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ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし - (2023/04/27 (木) 22:33:27) のソース

*ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし
【ぜるだのでんせつ ふしぎのぼうし】
|ジャンル|アクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B0002OVBP2,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61YR6ZZ14PL.SL160.jpg)&br;&image(https://img-eshop.cdn.nintendo.net/i/9020467560daf62ff19441a05fc50c624809a879da0ef1ef1cf30f76573e958b.jpg,width=160)|
|対応機種|ゲームボーイアドバンス|~|
|メディア|128MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|任天堂、カプコン|~|
|発売日|2004年11月4日|~|
|定価|4,571円(税別)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|3個(EEPROM)|~|
|レーティング|CERO:全年齢(全年齢対象)|~|
|配信|【3DS】アンバサダー・プログラム&br;【WiiU】バーチャルコンソール:2014年4月30日/702円(税8%込)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|『4つの剣』等の素材を流用した完全ソロプレイ用作品&br;ドット絵をはじめ全体的に丁寧に作り込まれている&br;本編のボリュームは薄めだが収集要素は十分|~|
|>|>|CENTER:''[[ゼルダの伝説シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
『[[ゼルダの伝説 ふしぎの木の実 大地の章/時空の章]]』から続くカプコン製2D『ゼルダ』の一作。~
『[[4つの剣>ゼルダの伝説 神々のトライフォース#id_781d3e80]]』およびその続編『4つの剣+』の素材を流用して製作されており、ストーリーやシステムに関しても『4つの剣』シリーズの流れをある程度汲んでいるが、マルチプレイ必須もしくは推奨であった同2作とは異なり完全ソロプレイ専用であり、従来の携帯機用2Dゼルダの正当進化と言える作品。~
キャラクターや音楽には『[[時のオカリナ>ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』をはじめとするさまざまな過去作品からの客演やアレンジが含まれており、シリーズごった煮の外伝的な雰囲気を持つ作品となっている。((なお、本作発売後に公式が設定したシリーズ作品の時系列によればハイラル史を織り成す物語の一つとしてしっかり独立して数えられている。))~
2021年現在、ドット絵で描かれた最後の『ゼルダ』でもある。~

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**特徴・評価点
-''ほのぼのとした世界観''
--本作はピッコルと呼ばれる小人と人間が共存する世界が舞台。詳しくは後述するが、リンク自身も小さくなって小人の世界を体感しながら冒険することができる。
---草むらや岩山の小道、人間の道具を利用した集落、果ては民家の天井裏や本棚の中など、ピッコルの住まいは多彩。小人スケールで描かれる背景は細やかで美しく、普段目にしている小物が巨大に映るなど変化も大きいため探索するだけでも楽しい。
--キャラクターの動きが細かい。とくにリンクのアニメーションが多彩でかわいらしい。
--キャラクター達の会話もコミカルで楽しく、暖かみがある。
--SELECTボタンを押すと、パートナーのエゼロと会話ができる。謎解きのヒントにはならないが、これから行く場所を教えてくれたり、雑談や自慢話など会話パターンが多めで、一度に5種類ほど聞ける。

-''2Dながらも多彩なアクション''
--Rボタンが様々な機能に割り当てられており、会話や持ち上げ、オブジェクトの押し引きなど、状況に応じた動作が可能。
---その場面でどんな動作をできるかは画面右上に常に表示される。3DゼルダにおけるAボタンのような役割である。
---また、移動中の汎用アクションとしてRボタンで前転を行うことが可能。こちらも3Dゼルダの回転アタックに近く、ダッシュ用アイテムの「ペガサスの靴」がなくともスピーディに移動を行うことができるようになっている。
--従来の剣を使ったアクションはもちろん、物語を進めることで、前転から繋がる突進突き、ジャンプ後の下突きなど、ボタンやアイテムとの併用で繰り出す様々な剣技を使えるようになってゆく。そのバリエーションの多彩さは当時の3Dゼルダにも劣らない。
--ダンジョンの仕掛けも2Dながらに凝った仕掛けが多数。
--『[[夢をみる島>ゼルダの伝説 夢をみる島]]』『ふしぎの木の実』に続き、A・Bボタン個別に剣と盾を含めたアイテムを割り当てるシステム。
---物を吸い込んだり空気弾を放ったりできる「魔法のつぼ」、当たったものをひっくり返す魔法弾を撃てる「パッチの杖」など、過去作には見られなかった新機軸のアイテムも登場する。
---一方で、定番の「盾」「爆弾」「弓矢」「ブーメラン」といったアイテムもしっかり登場。従来の2D作品におけるLv2装備のような強化版も存在する。
--『4つの剣』の名残と言える分身の要素もある。
---特殊な床を用いることで出現する分身と協力し、大きなブロックを押す、離れたスイッチを同時に押すなどの仕掛けが用意されている。
---『4つの剣+』のハイラルアドベンチャーを1人プレイする際はマルチプレイ時の動作を再現するため煩雑な操作を要求される場面もあったが、本作の分身システムは1人用に最適化されており、ストレスなく使用できる。

-''小人化''
--本作の目玉でもある要素。旅の序盤で出会えるパートナー「エゼロ」の力により、リンク自身も小人になることができる。
---システムとしては『4つの剣』の登場アイテム「小人のぼうし」の流用。
--小人化は「エントランス」と呼ばれる台座で行われる。エントランスは家やダンジョンなど、様々な所に配置されている。
--小人になっているときはマップ上にはリンクは小さく表示され、普通の人間や魔物には干渉できない。
---小さく表示されるとは言ってもアイコンで居場所を知らせてくれているので、見失う心配はない。
--小人になっているときはピッコルだけでなく動物と話をすることもできる。しかし一部のネコに近づくと…。
--人間サイズでは通れなかった細い道や小さな穴を通過する事ができたりと、謎解きに使用される事も多い。
--既に述べた小人スケールの世界は、小人状態でのみ入れる特殊なマップという形で表現される。
---背景は普段のマップと大きく変化するものの、入ってしまえばリンクを含むキャラクターやオブジェクトは普段通りのサイズで表現されるため操作感は変わらないので安心。
---メインダンジョンの中にも小人化状態でしか入れないミニチュアスケールのものも存在する。一部の仕掛けや登場する敵の違いによってサイズ差を実感することも。
--また、小さくなることによる制約やデメリットも表現されており、階段ほどの段差も通れなくなるうえ、小人状態専用マップではただの雨ですら巨大な水の塊となり当たるとダメージを受けてしまうほか、通常サイズではなんてことない雑魚敵がダンジョンのボスとして登場することも。

-''しあわせのカケラ''
--本作のやり込み要素のひとつ。作中でメダルが半分に割れたような形の石を手に入れることができ、もう半分の片割れを持っている人と「カケラあわせ」をする事で世界のどこかに様々な変化が現れる。
--片割れを持っている人に近づくとカケラあわせが可能である事を示すフキダシが表示されるので判別は簡単で、その人に対してLボタンを押すだけでスムーズにカケラあわせを行うことができる。
---カケラあわせを行える相手は町の住人だけでなく、小人になった時にのみ話せるピッコルや動物、果ては特殊な壁など多岐にわたる。
--カケラあわせを行うことで起こる変化にはご褒美の入った宝箱がどこかのマップに出現するといった直接的なものから、破壊不可能な障害物が取り除かれる、ハイラルの町に新しい店が開く、倒すと大金を落とす金の魔物が出現するなど、豊富なバリエーションが用意されている。
---世界のどこに変化が現れたかはそれぞれのカケラあわせ完了時に短いムービーと共に地図上のアイコンという形で表示されるうえ、メニュー画面から開ける地図からも参照可能なため現地へ向かう際に迷うことはない。
--基本のカケラは草を狩る、宝箱から入手するなどの方法で手に入る。カケラの種類によって入手方法も多少異なる。
--一部、ストーリー進行に使用されるイベント専用のカケラも存在する。
--イベント専用も含めるとゲーム内に用意されたカケラあわせの数は100個もあり、コンプリートの暁にはあるキャラクターからトロフィーをもらうことができる。

-''フィギュア集め''
--やりこみ要素のひとつ。「ヒミツのかいがら」を集めて、それを消費する事でフィギュアを手に入れる事ができる。
---「ヒミツのかいがら」自体は『夢をみる島』にも登場しているが、入手数と場所が決まっていたあちらと異なり今作では様々な場面で無数に手に入る。
--フィギュアは町の人やモンスターなどゲームに登場するキャラクターのほぼ全てが網羅されており、全136種類もある。またキャラクターのプロフィールやここだけの情報も確認できる。
---キャラクター単体のものからジオラマ風に作られているものもある。宙に浮かんでいるキャラクターはスタンドで固定されているなど芸が細かい。
--フィギュアは「くじびき」という名のガチャポンから入手する。数が集まってくると当然重複するようになるが、「かいがら」を一度に消費する数を増やすことで重複率を下げる事が可能。
---なお、同種のフィギュアを複数個所持することはできず、重複したフィギュアは入手直後に5ルピーへ強制換金される。
--「かいがら」の入手手段は草むらを刈る、店で買うなど多様に存在する。上述のカケラあわせのご褒美としても大量に入手することが可能。
--全136種類のうちラスボス撃破が解放条件になっている6種を除いた130種を集め切るとコンプリートの証を貰えるほか、サウンドテストを利用できる特別な部屋に入ることができるようになる。

-''チロップ''
--草を刈った際のルピーや「しあわせのカケラ」などの出現率を上げることができる消費アイテム。効果ごとに6種類が存在する。
--1つ200ルピーと高額であり使用してから有効な時間もかなり短いが、ルピー出現率アップの効果はかなり高く上手く使えば一瞬で元を取ることができる。
---「カケラあわせ」「フィギュア集め」を全てこなそうと思うと大量のルピーが必要になってくるが、その救済のような側面もある。宝箱を取り切った後はコンプリート作業の大きな助けになるだろう。

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**問題点
-本筋の内容が過去作と比較して少々薄い。
--特にシナリオ中で訪れるダンジョンはラストダンジョンを含めても6つしかない。
---同じ携帯機の2D作品『夢をみる島』や『ふしぎの木の実』にはいずれも8つ以上のダンジョンが存在したため、相対的にボリュームが少なく感じられる。ダンジョンごとの密度や広さで見ても数が少ない分を補えているとは言い難い。
---とはいえ、ほとんどのダンジョンは入るまでのイベントがかなり豊富で、実質的なミニダンジョンになっている箇所も多い。
--ただし、やり込み要素や探索要素は豊富であり、装備アイテムの入手や「カケラあわせ」によって拓かれる脇道も多い。

-キャラクターやグラフィック、BGMやアイテムなど、流用されている物が多めで新鮮味に欠ける部分がある。
--上述の通り、当時『4つの剣』『4つの剣+(特にハイラルアドベンチャー)』そして本作とグラフィックのベースが共通した作品が連続でリリースされていた事から、シリーズファンには食傷気味に取られることもあった。
--過去作要素に関してはファンサービスとしても機能しており、一概に問題とは言えない部分もある。

-入手期間が限定された装備アイテムの存在。
--RPGジャンルではよくある「取り返しのつかない要素」(一定の進行時期に発生するイベントでのみ入手でき、機会を逃してしまうと後から取り返せない)タイプのアイテムだが、ゼルダシリーズでは異色の存在である。
--幸い手に入るのはシナリオ上必ず入手する装備アイテムの強化版であり、逃してもアイテム欄に空欄はできないのだが、どこか寂しいものがある。

#region(その入手イベントについて。ネタバレ含む)

-序盤で話せるようになる特定の人物とカケラあわせをすると、本来はストーリー後半で訪れる場所に限定的に移動できるワープポイントが出現する。
--移動先には幽霊にとりつかれて寝込んでいる人物がおり、その幽霊を祓ってやるというのが期間限定イベント。
--幽霊を祓うことができていれば、のちにその場所に正式な方法で訪れた際に上述の強化版装備を貰えるのだが、逆に幽霊を放置したままストーリーを進めた場合、なんと再訪時に&bold(){その人物が姿を消している。}
---周囲の人たちはだれもその人物について言及しない。本来リンクは無関係なので責められたりすることも全くないのだが、姿を消した人物の顛末についてはプレイヤー側で想像するしかなく、何とも後味が悪い。
---一度も訪れていない場合、この人物が存在したことすらわからなくなる。
--助ける方法自体は簡単でイベント初遭遇のタイミングで入手済みのとあるアイテムを使えばいいのだが、ヒントが全くないため解決法が分かりづらく、今はまだ対処できないだろうという思い込みを誘発しやすい点も罠である。

#endregion

--またこれとは別に人助けのイベントで択一(厳密には3人から2人選択)になっているものがあったりとプレイヤーに地味に嫌な決断を迫る面があったり、特にイベントはないものの終盤入れなくなる場所や、会えなくなったりするキャラクターもいる。

-フィギュア集めが作業的になりがち。
--フィギュアを集めるためには「くじびき」と呼ばれる上記のようなガチャポンをする必要があるが、使う「かいがら」の量を決めたらすぐにフィギュアが出るのではなく、会話をして自分でレバーを引くという作業を繰り返し行う必要があるため少々面倒である。
---実際のガチャポンのようなワクワク感を出すのには効果的な演出だが、コンプリートを目指す場合は何度も繰り返すことになり、地味ながらかなりの手間になる。
--さらに、このフィギュアをコンプリートしなければ入れない場所にハートのかけらが1つ置かれているため、体力を最大にしたいならフィギュア収集は必須作業である。
--「チロップ」をうまく使えば「かいがら」集めもラクになるが、最終的には草刈りの単調作業の繰り返しになってしまうのが残念なところ。
---「カケラあわせ」によって手に入るルピーやかいがらは多めなので手に入れたらこまめに使っておくべきなのだが、それと知らずに溜め込んでカンスト分を無駄にしてしまう恐れもある。

-過去作における基本アクションの一部が剣技扱いになっている。
--一定の条件を満たした上で道場というスポットに行くことでリンクが新たな剣技を覚えるのだが、その中にはお馴染みの回転斬りや「ペガサスの靴」によるダッシュ斬りなど、過去作で無条件に(あるいは必要なアイテムの入手や剣の強化で)できたことも含まれているため、余計な手間が増しただけと感じることも。
--ただし技を覚える際にはその出し方を教えてくれるため、一概に劣化とは言いがたい点もある。

-一部のアイテムに利用価値の低いものがある。
--チロップの中にはハートや妖精を出やすくする物もあるが、直接ハートを回復できる「赤いクスリ」「青いクスリ」に比べるとコストパフォーマンスが極めて悪い。
---妖精に関しては無尽蔵に取ることができる泉が多数存在するため、出現率を上げる意味はほぼない。
--盾の強化版として「ミラーシールド」が存在するが、入手できるのは&bold(){ラスボスを倒した後}。クリア後の強敵といった要素もないため全く活躍の機会がない。

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**総評
システムやビジュアルに関しては当時の携帯機ゼルダの決定版と言えるほど丁寧に作り込まれている。~
美麗なドットで描かれるほのぼのとした世界観、練り込まれた多彩な仕掛けやアクションは楽しく遊びがいは十分。~
一方で過去作と比較すると本編のボリュームにはやや欠ける。その分寄り道ややりこみ要素は豊富だが、人によっては作業と感じてしまう点かもしれない。~
とはいえ総合的には手堅くまとまった高い完成度を持つ作品であると言えるだろう。

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**余談
-姫川明によるコミカライズがなされている。
--同作者の手掛けた漫画版としては初となる「猫目リンク」ベースの作画である。