「La-Mulana」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

La-Mulana - (2021/07/26 (月) 23:24:21) のソース

*La-Mulana
【ら・むらーな】
|ジャンル|アクション|&image(http://la-mulana.com/jp/wp-content/uploads/common/wlmj_shop.jpg)|
|対応機種|Wii(Wiiウェア)&br;Windows XP/Vista/7&br;Nintendo Switch&br;プレイステーション4&br;Xbox One|~|
|メディア|ダウンロード専売ソフト&br;Switch版のみ『2』とセットになったパッケージ版あり|~|
|発売・販売元|【Wii】アスタリズム&br;【Win】AGM PLAYISM&br;【Switch/PS4/One】PLAYISM|~|
|開発元|NIGORO|~|
|発売日|【Wii】2011年6月21日&br;【Win】2012年7月13日&br;【Switch/PS4/One】2020年8月6日|~|
|定価|【Wii】1,200Wiiポイント&br;【Win】Playsm:1,234円、Steam:1,480円&br;【Switch/PS4/One】1,480円|~|
|レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|
|備考|''2019年1月31日にWiiウェアの購入期間は終了済み''|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|元同人フリーソフトのリメイク作品&br;開発者からの挑戦状=高難易度&br;''ねじるぞ!''|~|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
2006年にMSXファンの同人グループ「GR3プロジェクト」がインターネット上で公開した同名のフリーゲームを、Wiiウェアとしてリメイクした作品。いわゆる「インディーズゲーム」の一種である。~
往年のMSXファン以外にも、国内外のコアなゲーマーから高い評価を得ている。~
Wiiウェアとして発売するにあたって、ミステリー雑誌『ムー』とタイアップを行った。

発売元のアスタリズムからは、本作と同じく人気フリーゲームである『[[洞窟物語]]』がDSiウェアとしてリメイク発売されている。

2012年7月13日に、ゲーム配信サイト「Playsm」からPC版を発売開始。内容自体はWii版から大きな変更はないが、海外向けに英語対応になり、Wii版で修正が間に合わなかった不具合の整理や細かいオプションなどの追加が行われている。2013年にはSteamでも配信が始まった。

**ストーリー
>主人公のルエミーザ・小杉博士は日系三世の考古学助教授。~
ある日、博士の父親にして考古学者としての最大のライバルでもあるショーン・小杉から、「勝利宣言」が入った封筒が届けられた。~
考古学者としての対抗意識と知的探究心から、急ぎ出発の支度をするルエミーザ博士。~
向かうは、ショーンが研究していた「世界の全ての古代文明の共通の起源」になったと噂される、神秘の遺跡ラ・ムラーナ。~
ゲームは博士が「旅立ちの村」に到着したところから始まる。

----
**システム
-レトロチックなドット絵で構成された、ビューチェンジ型2D横スクロールACT。公式曰く「遺跡探検考古学アクションADV」。
--元がMSXファンの同人グループが製作したゲームとあって、全体的なゲームデザインはMSXの名作探索ゲーム『ガリウスの迷宮』をベースとしている。

-舞台は上記のとおり「旅立ちの村」と巨大遺跡ラ・ムラーナのみだが、ラ・ムラーナ自体が複数の個性ある遺跡の集合体であり、クリアに必須なだけでも16種の独立したコンセプトの遺跡がある。

-基本的なルールは、それら遺跡の各所で「アイテムを集める」「敵を倒す」「仕掛けを解く」の3つをこなしながら、遺跡内に潜む合計8体のガーディアン(ボスキャラ)を倒して、遺跡の真実に迫っていくというもの。
--ただし、ガーディアンと戦うにはガーディアンを封印している「アンク(十字架型のオブジェ)」を特定の部屋に出現させ、さらに「アンクジュエル」という、アンクを破壊しガーディアンを呼び出すための宝石も入手しないとならない。もちろん、どちらとも決められた謎解きをこなす必要がある。
--勿論、遺跡内には大量のトラップも仕掛けられている。

-これだけ聞くと単純なルールでそう難しくなさそうに見えるが、遺跡内の重要なオブジェを攻撃すると天罰の雷が落ち大ダメージを受ける要素等、この手の探索ゲームでありがちな「詰まったらそこらのものを手当たり次第にいじってどうにかしてみる」という方法が通用しない構成になっている。

----
**評価点
-「考えて解き明かす」楽しさを存分に味わえる、洗練されたゲームバランス。
--本作は元々フリー版の時点から「''開発者からプレイヤーに送る挑戦状''」というスタンスであり、アクション、謎解き共に難易度はかなり高い部類に入る。初見殺しの要素も多い「死んで覚える」タイプのゲームだが、それゆえにクリア出来た時の達成感もひとしお。

-考古学的雰囲気と謎解き2Dアクションの融和が大変良く、遺跡内各所に置かれた石碑の文章を読み解きながら進むべき道を推理する過程は特筆もの。
--序盤の「巨人霊廟」ではその魅力が際立っており、石碑の内容が巨人族たちの物語の断片となりながらも、謎解きの手順にもリンクしているため、多くのプレイヤーはここでグッとゲームに引き寄せられることになるだろう。

-ゲーム自体のボリュームもかなりのもので、序盤から自由度の高い探索を楽しめる。一つのフィールドに専念して謎解きをするも良し、様々なフィールドを渡り歩いて先にアイテムを集めるも良しと、プレイヤーの好きなスタイルで探索できる。
--各フィールドは様々な繋がりを持っているため、その繋がりを探すことで新たな道を開く楽しみもある。
---ただし、前述のように初見殺しが点在するため、装備や予備知識無しに突撃すると痛い目に会う場所も多いので、大胆さと慎重さの両立が肝要。また、初到達時点ではキーアイテムの不足により攻略不可能であったり、序盤装備ではボス撃破が非常に困難な所にまで行けてしまうこともある。
--理不尽に難しいのではなく、救済策やトラップ避けのヒントも用意されている。
---例えば、錘を置く台座の周囲に骨が転がってるからこれはトラップだなと推測出来たり、罠にかかった時に警告音を発してくれるアイテムに従って、その場を大至急離れれば脱出もある程度可能等、プレイヤーの腕次第で十分事故死を回避出来る構成は見事。
---他にもオブジェクトに主人公を重ねて配置した際の表示優先度が「人骨は主人公より後ろ」「謎解き用の台座は主人公より前」「''人骨に見せかけた台座''は主人公より''前''」など、観察力を試される小ネタもある。
---とはいえ、後半になるにつれ不意打ち同然のトラップも出てくるため、油断はできないが。
--DLCで購入出来るエキストラダンジョンに至っては、「プレイヤーがネット上でウィキや掲示板等で攻略情報を共有し合う」ことを見越したうえでの凶悪な難易度となっており、そのフィールドに突入するための手順から殺意が充満した真剣勝負である。昨今のゲームによくある「おまけと言いつつ実績に関わるような、ここ限定の特典」というものも無いので、手に負えないならスッパリ諦めても本編に支障は無い。その分、クリア時のオチも脱力ものなので「散々苦労させておいて最後にこれか!」と怒らないように。

-公式サイトでDL出来る初心者向けガイドブックも必見。昔のゲームの説明書らしさ満載の構成で、総量60ページにも及ぶボリュームは普通の読み物としても面白い。
--同じく初心者用のチュートリアル動画もニコニコ動画やYouTube等で配信されているので、これらに一通り目を通しておくとスムーズにゲームに入りやすい。
--ある程度先の展開にも触れているため、ネタバレを可能な限りシャットアウトしたい人にはちょっと不親切とも言えるが、そもそもちょっとバレた程度で楽になるような甘いゲームじゃないので無問題。

-BGMとグラフィックも高クオリティ。それぞれのフィールドの特色を存分に表現したドット絵や、ボスやフィールドごとに用意された個別BGMなど、ゲームの盛り上がりを支える良質なものが用意されている。

-遺跡や集落の住人とのやりとりがなかなかに愉快。
--ゲーム開始早々、主人公のパソコン((主人公が持っているパソコンの名前は「Mobile Super X」。それぞれの頭文字を取ると……。))に一方通行なメーラーをインストールしてくる村の長老や、古代人のくせに「我まいっちんぐ」等とぬかすヒロイン、村の売店で所持金が足りないと「''ねじるぞ!''」と恫喝してくる売り子等。所によっては開発者の愚痴などの内輪ネタが出てくることがあるので、そういうのが嫌いな人はちょっと注意。
---上記の補足として、遺跡内の非常に解りにくい(というより謎解きフロアやボス戦フロアなどプレイヤー心理の隙をついた)場所に、開発者の隠れている部屋が仕込まれている。裏話やメタ好きなら良いかもしれないが、普通の謎解きを期待して時間を使った後にゲーム本編と無関係な話をされては……という気持ちになるかも。また、おまけマップの石碑には、ユーザーに対して開発チームのゲームを購入するよう上から目線&命令口調で促す文章((全文は「これからもNIGOROのゲームかえよ?いいこだから。」))もあり、人によっては不快だろう。とはいえ、いずれもスルーしたところで全く損のない隠し要素ではある。((厳密には、おまけマップ自体には鞭の強化に繋がるアイテムがあるので寧ろ行った方が良いのだが、ただ通り道に置かれただけの石碑を読むことは任意である。))

----
**問題点
-前述の高い難易度は、そのまま難点ともなりうる。
--本作では、オリジナルのフリーウェア版プレイ経験者の挑戦を見越したうえで、さらにその裏をかくように設定された謎解きも多いため、フリー版未プレイの完全初心者は何が何やら分からない、というケースも。
---とにかく''大切なのは「調べて」「考えて」「行動する」こと''だと肝に銘じてプレイする必要がある。自分の不注意でマップ上の変化を見逃すのは論外であり、その辺のオブジェをいい加減にいじってひどい目に会うのは自業自得である。
--難しいだけに「達成感もひとしお」というのも、評価点でありつつ、実のところ人によるというのは避けられない。本作では実際にマップを駆けずり回ってヒントを獲得し、仕掛けの関連性を推理し、高難度のアクションをこなす、という性質上「繰り返し同じマップを移動させられる」ケースが非常に多い。そのため、かけた時間に見合わず徒労に思われたり、飽きの来ることも考えられる。
---特に中盤以降は仕掛けを動かした際に全く別の遺跡に作用することがあり、また、必ずしも関連が示されてはいない為、コマンド総当たりならぬ「全マップ総当たり」にすらなり得る。
---開発者曰く高難度のアクションゲームとして「死を恐れながら進めてほしい」という想いがあり、それ自体は成功していると言えるが二度目以降は単に面倒に感じるケースも少なくない。
--徒労を感じさせる要因には、ガーディアンや、中ボス的存在のルームガーダーなどのボスがセーブポイントから少し遠いというのもある。総じてボスからの被ダメージは高く、無行動時間も少ないことから「よく解らないが死んだ」という局面がある割にリトライが容易ではない。
---元のコンセプトから見ればあまりにユーザーを突き放した遠さではない((そもそもオリジナル版では、遺跡内にセーブポイント自体存在しなかったのだ。))が、「そこは時間と手間を押し付ける場面じゃないだろう」と思う事もあるかもしれない。
---特に最終盤のマップで取得出来る最大体力UPアイテムの取得条件は最悪の一言。最短でも3体のボスと連戦した後、ボスが特定の位置で特定の行動をするまで攻撃を凌ぎ続け、その後トゲ天井とトゲ壁だらけの細い通路を伝っていく(アイワナを想像してもらえば分かりやすい)必要がある。一度でもトゲに触れてしまえばリセットしないと再挑戦不可、リセットしたら3体のボスとの連戦からやり直しという純度120%のストレスを与えてくれる。

-元がレトロゲーム風作品なだけあって、主人公の操作性や挙動にも往年のレトロゲーのような独特の硬直感があり、最初のうちは思うように操作出来ずに戸惑うことがある。慣れてくれば問題なし。
--例えば梯子を昇降している途中はジャンプや左右移動ができない。その割に敵の攻撃は障害物を無視して縦横無尽に通り抜けることが多いため、他のアクションゲームのつもりで臨むと思ったような緊急回避ができずストレスになることもある。一応左右への攻撃と盾構えはできるが。((RTAでは敵味方問わずダメージを受ける「まきびし」をわざと自分にあたるように投げ、ダメージ落下ではしごを落ちるテクニックが多用されている。))
--ダメージを受けると派手にノックバックし、そのあと着地するまで制御不能になる。いやらしいマップの造りも相まって、一度被弾したがために4つも下のマップまで落とされることもザラ。

-ボス戦については先述の理由から、初手のインパクトこそ優良だが、ユーザーが学習する楽しみを得られないまま死ぬことが多い。ゲーム後半になると攻撃面が充実してくるが、前半は敵の弱点スレスレを狙って攻撃せねばならず、少しでも横軸がズレるとお決まりのノックバックで叩き落される非常に忍耐の必要なデザインになっている。
---とはいえ、本ゲームではボスを倒すことで新たな道が開けるとは限らず、寧ろ強力なアイテムやフラグアイテムの多くは道中にあるため、苦戦したらアイテムが揃うまで一旦放置したほうが効率は良い。

-特定の行動を取った場合にバグで攻略不可能になる可能性がある。
--現在はほとんどアップデートで対処されているが、半年(2012年1月)経ってから「ある場所に設置されるはずだったヒントの置き忘れが発覚する」など、未対応の不具合も存在する。ゲーム自体の性質も相まって「不具合なんだか探索不足なのか分からない」という状況が頻発するので公式サイトのブログや2chの攻略スレ等で、プレイ前に更新情報をチェックしておくことを推奨。

----
**総評
全体の構成は手堅くまとまっており、ボリュームも十分ある力作であるが、一方で昔っぽいゲームデザインと、挑発的な高難易度のために、人を選ぶゲームでもある。~
レトロゲーム世代の人や探索ゲーム、高難易度ゲームが好きな人なら違和感なくゲームになじめるが、そうでない人は何度もねじられる羽目になる。~
しかし、本作は前述のようにゲームそのものが「挑戦状」であり、オリジナル版の説明書からして、開発者から「''私が求める&ruby(つわもの){兵}は、その昔[[ドルアーガを打ち倒し>ドルアーガの塔]]、ガリウスから赤子を連れ戻し、[[イビルクリスタルを封印した>ハイドライド3]]真の兵達です。''」というメッセージが添えられている。~
本作に興味があるなら、高難易度に臆することなくぜひ兵の仲間入りを果たせるよう、気合いを入れてかかること。
//存在しないページにリンクを張らないでください。

----
**その後の展開
-2018年7月31日に、続編である『La-Mulana2』が発売。相変わらずプレイヤーを陥れる高難易度な謎解きの数々が待ち受ける。