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ソニック ワールドアドベンチャー - (2018/05/27 (日) 23:33:01) のソース

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*ソニック ワールドアドベンチャー
【そにっく わーるどあどべんちゃー】
|ジャンル|アクション|&amazon(B001G6108S)|&amazon(B001G6109C)|
|対応機種|プレイステーション3&br;Xbox360|~|~|
|発売・開発元|セガ |~|~|
|発売日|2009年2月19日|~|~|
|定価|7,140円|~|~|
|備考|ゲームオンデマンド版:2000マイクロソフトポイント|~|~|
|判定|なし|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[ソニックシリーズリンク>ソニックシリーズ]]''|

**概要
HDソニックシリーズの2作目。ソニックアドベンチャーシリーズの正式な3作目に位置づけられている。~
頻発する長いロード等多くの問題を抱えていた[[前作>https://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/5019.html]]から大幅に遊びやすく、爽快感をアップさせた作品である。~
今作では昼と夜の2つのパートを切り替えながらゲームを進めることになり、その中の昼パートは後の3Dソニックシリーズの新たな礎を築いた。

**ストーリー
毎度のごとく悪事を働こうとしていたエッグマン。~
そこに現れたソニックはカオスエメラルドの力を駆使してエッグマンのメカを破壊するが、隙を突かれて捕まってしまった。~
エッグマンが機械を操作すると、カオスエメラルドから色が失われると同時にソニックの姿も変貌を遂げてしまう。

そのカオスエメラルドの力を使ったエッグマンの攻撃によって、なんと地球が7つに割れてしまった!~
ソニックは地上で出会った記憶喪失の妖精少年チップと共に、地球を元に戻すため世界中を冒険する。

**2つのパート
***昼パート
-いつも通りのステージを猛スピードで駆け抜けるパート。
--基本的に奥へ向かって進む3Dアクションだが、今回からは途中で横スクロール2.5Dにシームレスで切り替わる場面もある。特定の場面ではこれまで同様、カメラワークを使った演出も入る。
-今作では新たに「ソニックブースト」というアクションが追加された。
--リングを回収したり加速パネルに乗るとブーストゲージが溜まり、このゲージを消費しながら超高速で敵をぶっ飛ばしながら走ることができる。
--ソニックの能力は敵を倒して得た経験値ゲージで強化することが出来、昼パートではブースト時間やスピードが伸びていく。
-これまでのシリーズで培われたアクションも一部分引き継がれている他、レースゲームのようなドリフトも使えるようになった。
--ストンピングやエアブーストなどは特定のステージで習得することになる。
-ステージは基本的に一本道だが、その中でも分岐ルートがいくつかある。どのルートを通るかはプレイヤー次第。
--ルートによって長さが違うのはもちろん、走破難易度も出せるスピードも違ったりする。

***夜パート
-本作では夜になるとソニックが「ウェアホッグ」に変身する。
--昼パートほどのスピードが出なくなるが、伸びる腕を使った攻撃アクションが可能となる。
--昼パート以上にステータスが多く、成長させるごとに使える技やコンボが増えていく。
-こちらではステージ中のスイッチを探したり、敵を全滅させながら進む謎解きバトルアクションとなる。
--昼パートがタイミングが重要なのに対して、夜パートは慎重さと正確さが求められる。

-なお、昼と夜の切り替えはある箇所まで進行すると、ワールドマップ上で任意に行うことが可能。また、ステージを選択するエントランスでも昼夜逆転のオブジェクトで切り替えることが出来る。

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**評価点
-ソニックブーストはまさにとんでもない速度が出し続けられるため、これまでのシリーズを超えるスピード・爽快感を味わうことが出来る。
--そのスピードを活かすためにはステージを覚えて適切なタイミングでアクションを繰り出す必要がありなかなか難しい。
--ただブーストすればいいというものではなく、急カーブではあえてブーストを切って(スピードを緩めて)ドリフトしたりと、操作のメリハリもついた。
--しかし慣れれば最初から最後までブーストした状態で駆け抜けられるステージや、空中ブースト次第で思いもよらないルートを開拓できるステージもあり、使いこなせるほどに一気に爽快感が増す。このあたりはかなりレースアクションに近い((実際本作のWii版や『ソニックジェネレーションズ 白の時空』ではコースごとの最短タイムが記録されるようになっている。))。
-世界中のショップで販売されている食べ物やおみやげ、ステージのどこかにあるコレクションアイテム集めとやりこみ要素も豊富。
--ステージRTAやSランク取得の他に、各地のホットドッグ屋で受けられるホットドッグミッションが用意されている。~
またゴール時のリングをそのままショップ購入用の通貨として持ち帰れる事を見越してか、本作はステージ中のリングが大量に配置されているうえ、''ダメージを受けても大量のリングが一発で0にはならなくなっている。''
--他にも街の人々の悩みを解決するサブイベントも豊富。中には通常より条件の厳しくなったステージを攻略する必要もありやりごたえがある。
-グラフィックも美麗。各ステージも個性的な特色があり、タイトル通り世界中を回っている雰囲気をうまく演出している。
--特に爽やかな町並みと大時計台が特徴の「オレンジルーフス(act1)」は非常に高い人気を得ている。『ジェネレーションズ』で選抜されたことがその証左だろう。
--カメラワークもこれまでの反省から大幅な改善が行われている。
-BGMも良い出来。主題歌の「Endless Possibility」も人気が高い。

**賛否両論点
-夜パートは賛否両論だがやや不評意見が目立つ。
--「初っ端から落ちたら即ミスになるようなアスレチック要素が大量にある」「ステージの途中で湧いてくるナイトメア軍団やエッグファイターを全滅させたり、決められた場所に鍵を持っていかない限り先に進めない」等、全体的にストレスが溜まりやすいステージ構成なのが原因か。
--さらに後半になると空中を浮遊する、仲間のナイトメアを援護したりソニックの行動を妨害したりする等厄介なタイプの敵が多数登場したり、ナイトメア達がこぞってガードを習得し、ウェアホッグの基本であるゴリ押しが効かなくなるのも理不尽な難しさに拍車をかけている。
---特に不評なのが細い橋を渡る場面。序盤は側面にしがみつきながら渡る事でやり過ごせるが後半になると橋の左右にトゲが配置されたり上を歩くと崩れたりする橋もあるため正規の方法で渡る事を強いられる上、渡るのを急かされバランスを崩したりちょっとズレただけでトゲに当たり落下ミスとなってしまう等、殊更に時間を長くかけることを強いられる理不尽気味な難易度である。
--昼パートのカメラワークは改善された一方、こちらは練りこみ不足な部分が目立つ。
---ウェアホッグの基本的なアクションを覚えるステージであるはずのアポトス夜act1ですら、このカメラワークの悪さのせいで棒を掴み損ね何度も落下しミスする初心者プレイヤーが後を絶たなかった。

**問題点
-最終ステージとなるエッグマンランドの長さが尋常ではない。
--全体的に長めの構成である本作ステージだが、それでもほとんどは長くても初見15~30分もあればクリア出来た。しかしこのエッグマンランドだけは初見1時間をゆうに越えるとまで言われる長丁場になる。
--道中で昼パートと夜パートを交互に途切れなくプレイして進むうえ、ラストステージらしく難易度が高いのも原因のひとつ。
--何度もプレイすれば約30分まで短縮できるようになるが、そこまで行くのは至難の業。

-ゲームを進めるためには各ステージに隠されている「太陽のメダル」と「月のメダル」(後のレッドスターリング)集めが必要になる。作業的という声も。

-両機種とも一部処理落ちするシーンがある。スピードが重要な作品なのでフレームは安定して欲しかったところ。

-前作のようなステージ途中でのロードこそなくなったが、ロード時間の長さは未だに問題視されている。

-題名通り世界規模のストーリーなのにも関わらず、レギュラーキャラの登場はソニック、テイルス、エミー、エッグマンの4人だけ。
--特にカオスエメラルドとその遺跡が物語に関わっているのに、ナックルズが登場しない件については一部ファンから不満の声が挙がっている。
---しかしソニックカラーズ(Wii版)ではエミーすらも登場しなくなるため、今作はまだ登場キャラは多い方と言える。
--この作品から「ソニックメインのゲーム性を重視する」という趣旨のインタビュー通り、ソニックだけに焦点をあてたゲームが主流となっていき、それ以外のキャラクターは長きにわたってスポットが当たらなくなっていった。

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**総評
[[新ソニ>ソニック・ザ・ヘッジホッグ (PS3/360)]]での失敗を活かし、システムを全面的に見なおして生まれ変わった、ソニックシリーズの新たなスタンダードの一つ。
ハイスピードアクションを強調した昼パートが評価される一方、同様に夜パートで評判を落としてしまった不運の作品でもある。~
昼パートにおけるソニックブーストなどの新アクションは、後に発売された『[[ソニックカラーズ]]』『[[ソニックジェネレーションズ]]』や『ソニック フォース』でも基礎となるほど完成度の高いシステムであった。

ただし本作の成功によりハイスピードアクションが極まるところまで行きすぎてしまった結果、一時はプロデューサーらに懸念を抱かせるキッカケを与えてしまった(これが『[[ソニック ロストワールド]]』に繋がる)。~
いずれにせよシリーズのターニングポイントとなったことは間違いなく、ソニックの歴史を大きく変えた優秀なゲームである。

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*ソニック ワールドアドベンチャー(Wii・PS2版)
【そにっく わーるどあどべんちゃー】
|ジャンル|アクション|&amazon(B001G61092)|
|対応機種|Wii&br;プレイステーション2(海外のみ)|~|
|発売元|セガ|~|
|開発元|ディンプス|~|
|発売日|2008年12月18日|~|
|定価|6,090円|~|
|判定|なし|~|

通称SD版、Wii(海外のみPS2も)でリリースされたもの。発売は日米ともにHD版より少し早いが、~
ステージやシステムの簡略化や削減(昼ステージのレベルアップがそのステージ限りなど)がされている。~
グラフィックはPS3や360には劣るもののクオリティは高く((ただしPS2版はWii版よりさらに数段落ちる。))、音楽はHD版と変わらない((削減されたステージの曲は当然入っていない。))。~
評価サイトでは、夜ステージが適度に簡略化されたSD版の方が評価が高くなるという珍事が発生した。~
同じタイトルを冠しているが中身は別物と言って良いレベルであり、ステージ構成はモチーフ以外全て異なっている。

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**評価点(SD)
-SDハード用ゲームではあるが、グラフィックの良さはかなりのもの。
--マルチソフトながら[[ソニックと暗黒の騎士]]などといったWii専用ゲームよりもソニックのモデリングはかなり良い出来になっている。Wiiでの開発のノウハウは着実に活きている。
--PS2版はWii版に比べモデリングがかなり簡略化されているが、ハード後期にしては頑張っている方。
--ムービーは明度において大幅に後れを取っているものの、それでもなお綺麗に映るので見られないほどではない。
---ただし彩度が低いせいで暗い場面では少々見づらくなる。

-上述のようにウェアホッグパートが非常に簡略化されていることも捨てがたい評価点である。
--経験値を溜めていくことでアクションが増えていくのは同じだが、こちらは階段式に習得していくため煩雑さはない。
--攻撃アクションの操作も簡略化していて、適当にコンボしていけば大体は倒せるという塩梅に。

**問題点(SD)
-HD版に比べてステージはなんと二つも削られている。
--その一つのマズーリは一応存在こそするものの、ボスパートのみ。エンパイアシティは完全になし。
--昼パートのACT1以外は簡潔なミッションステージとなっている。既存ステージの使い回しもあるが、ミッション専用ステージが少なくない。
--それに対して夜パートはACT3まであるため、いくら簡略化されたとはいえかなり億劫である。

-ウェアホッグのアクション面ではHD版以上に難しくなっている。
--こちらのウェアホッグはスパイクを履いているのにも関わらず何故か滑りやすくなっており、細かい足場を乗り継いだり、スピードを出した後の停止がやや難しい。

-HD版に比べて、一部のボスパートはヌルくなったり演出が微妙になっている。
--特にラストに戦うことになるエッグドラグーンはガトリングの出が悪く、ショボい。デザインに反してこれでは威厳がない。
--ラスボスであるダークガイアとの戦闘も、HD版と比べれば面倒さは減っているが、演出面はかなり弱められているのが欠点。

-HD版に比べてリトライ時のロードが長くなっている。
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**総評(SD)
HD版と比べても優劣付けがたい作品になっており、「○○の方が良い」などと断言は出来ない。~
ただ、昼ステージのルート構築は負けず劣らず豊富であり、タイムアタックにおいてはHD版と違った楽しみを見いだせる作品である。~
一方で、ブーストアクションには若干の癖があるほか、ステージ数が削られたことなど、残念なところも目立つ。~
せっかくのハイスピードアクションステージも、ACT1しか素直に楽しめないなど痒いところに手が届かない要素は多い。

ウェアホッグパートは簡略化されているとはいえ、やはり面倒なパートであり、HD版同様にこのパートの存在自体を評価する声は少ない。~
しかし様々な面が簡略化されており、アクションゲームとしては出来ることが減った反面わかりやすい内容には落とし込まれている。

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**余談
-360版のみ、砂時計で変身した際のロード中に変身ムービーが流れるという演出があるが、なぜかPS3版やSD版には存在しない。
--また、フレームレートは360版は固定30fps、PS3版が可変60fpsという違いがあり、処理落ちの発生する箇所など細かい部分にも違いがある。ゲーム部分には違いはないので、どちらのハードで購入するかは好みで決めよう。

-HD版のグラフィックには当時のゲームとしては珍しかった「グローバルイルミネーション処理(GI処理)」が実装されている。((簡単に言えば光源から壁などのオブジェクトに当たって照り返された光を描く処理で、当時のディズニー映画等のいわゆる「CG映画」によく使われている表現である。))
--今でこそミドルウェアも充実し多数のゲームタイトルが採用している表現だが、本作の開発当時は1回のGI処理に&bold(){専用の高性能マシン6台と余ったパソコンを総動員させて半日がかり}とかなりの手間がかかっていたとのこと。
-本作のCG技術によって作成されたCGアニメ「ソニック&チップ 恐怖の館」がyoutubeなどで配信されている。こちらもなかなか面白いので、ぜひ視聴していただきたい。