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DEATH NOTE Lを継ぐ者 - (2014/01/17 (金) 13:22:53) のソース

*DEATH NOTE Lを継ぐ者
【ですのーと えるをつぐもの】
|ジャンル|推理心理戦アドベンチャーゲーム|&amazon(B000P05014)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~|
|開発元|イングローブ、キャビア|~|
|発売日|2007年7月12日|~|
|定価|5,229円|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
|ポイント|前作とは全く異なるゲーム性&br()しかし題材はやはりボードゲーム|~|
|>|>|CENTER:''[[少年ジャンプシリーズリンク>少年ジャンプシリーズ]]''|

**概要
-前作『[[DEATH NOTE キラゲーム]]』から半年ほど後に発売された続編。
--とはいえ、ストーリー上のつながりは全くなく再び原作のストーリーを頭から順に追っていくことになるので、実質完全新作と思ってもらって差し支えない。
---本編特別編として同名のアニメがあるが、本作のストーリーとは関係ない。

-以下混同を避けるため漫画『DEATH NOTE』を「原作」、ボードゲーム『スコットランドヤード』を「原典」と表記することとする。

**システム
-前作は『汝は人狼なりや?』をモデルにしていたが、本作は『[[スコットランドヤード>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%83%89_(%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0)]]』をモデルにしている。
//ボードゲームをやらないTVゲームプレイヤーが多いだけで、ボードゲームプレイヤーからするとどちらも超有名作品です。
-ごく簡単に言うとマップ移動型のシミュレーションゲーム。前作同様、キラ側とL側に分かれてキラはLから逃れること、Lはキラを捕まえることを目標にする。
-マップはレッド、ブルー、グリーンの3エリアで構成されている。キラ、Lのターン制でこのマップ内を移動していくことになる。
--移動の際には各メンバーに個々に設定された移動ポイントを消費して動くことになる。なお、L側の捜査員は一度移動するといくら移動ポイントが残っていても再度移動はできないが、キラ側は移動ポイントが許す限り何度でも移動できる。
---また各マップには地下鉄や高速バスといった特殊な移動施設が設置されている。これらの施設は特殊移動ポイントを消費することで利用でき、離れた場所に一気に移動できる。
---ただし、移動先は固定されてしまうこと、特殊移動ポイントは回復することがなくそれぞれのメンバー全員で共有することに気をつける必要がある。
--基本的にL側にキラ側のメンバーの位置を知る手段はない。ただし、直前のキラのターンに各エリア内にメンバーが移動していると「エリアレッドで月が目撃されました」のように曖昧ながら目撃情報が得られる。基本はこの情報を頼りにキラ側を追い詰めていく。~
たまに何の情報も得られないこともあるが、それならそれで相手がどこのエリアでもない場所に潜伏しているということなので居場所の推測は可能。
---各エリアには「都市カメラ」という監視カメラが設置されている。捜査員の心強い味方であり、解析すればキラ側のメンバーの足取りを掴めることもある。~
キラ側のメンバーはこのカメラを破壊することもできる。居場所を推測されやすくなるリスクはあるが、同エリア内の半分以上のカメラを破壊すれば目撃情報がLに届かなくなるなど、メリットは大きい。~
捜査員側は壊れたカメラを修理できる。ただし、修理したばかりのカメラは解析不可。

-キラ側はデスノートを所持したキラと、持っていないパートナーに分かれる。キラが逮捕されると敗北。
--原典では逃走するのは犯人のMr.X一人だけであったが、本作では犯人側もチームプレイなのである。Lには誰が本物のキラか知るすべはないので、うまくかく乱するように動く必要がある。
---原作に準拠した独自の要素として「所有権の移動」がある。使用できるのは一度だけだが、離れたパートナーにデスノートを移してしまうことで、追い詰められても敗北を免れる逆転の一手である。
---なお、隣接した相手に移動させる場合は回数制限がない。うまく使って相手をかく乱させてやろう。
--当然ながらキラにはデスノートを使って「裁き」を実行する能力がある。
---「トラップ」という能力がそれである。道の上にデスノートを使ってトラップを仕掛けておき、捜査員がそれを踏むことでリタイアさせることができる。多くのマップでは全ての捜査員をリタイアさせるのが勝利条件となる。
---ただし、効果は無限ではなく2ターンしか続かない。効力を失ったトラップは「ノートの切れ端」になり捜査員に回収されると勝利ポイント(後述)にされるので注意が必要。
---また使用回数にも制限がある。使い切ってしまうと厳しくなるので、残り使用回数には常に気を配っておきたい。
--他キラ側の特殊能力として前述の「カメラ破壊」と「変装」がある。
---変装はキラ側の他メンバーに変装して捜査員を惑わす能力。これを使えば例えば「エリアレッドで月が目撃」という情報と「エリアブルーで月が目撃」という情報がLの元に同時に届くことになり、相手をかく乱できる。

-捜査員は姿を隠しているキラを見つけ出し、接触することで逮捕するのが目標。なお、Lは捜査本部で指示を出しているので現場には出てこない。
--主に目撃情報とカメラの解析を元に地道に調査していくことになる。前述の通りトラップに引っかかるとアウトなので注意。控えのモブ捜査員が投入されることもあるが、顔ありの固有キャラに比べると移動ポイントが少なく、特殊能力が使えないなど全体的な能力は劣る。
--捜査員側の特殊能力は「検問」「隠しカメラ」「裏路地」の3つ。
---検問は設置することでキラ側のメンバーが通過不可能にできる。うまく使えば特定のエリアに追い込める。
---隠しカメラは名前の通り本来の都市カメラとは異なるカメラを密かに設置する。解析する必要がなく自動で相手の足取りを追ってくれるなど非常に優秀だが、絶対に発見されない保証はない。
---裏路地は一つのマップで一回しか使えない奥の手。トラップを完全に回避しつつ目的地に向かうことができる。
---なお、検問と隠しカメラは設置数に制限がある。限界に達している場合既存のものを先に回収する必要がある。

-キラ、捜査員の各メンバーは固有の特殊能力を所持している。
--使用回数に制限はあるが、いずれも状況を一発で打破できる強力な特殊能力ばかり。

-各マップにはターン制限が設けられており、規定ターン数までに決着が着かなかった場合勝利ポイントによる判定となる。
--勝利ポイントはキラ側は相手をリタイアさせること、L側は相手を逮捕したりノートの切れ端を拾うことで増える。要するに有利になるように動いていれば大抵勝利ポイントは相手を上回っている。
---なお、同点の場合はキラ側の勝利となる。よって引き分けはない。

**評価点
-ボードゲームをプレイしない人間には馴染みのないスコットランドヤードを題材にしたゲームであること。
--過去にもGB版が発売されていたり、海外限定でDS版も販売されているが[[(参考リンク)>http://www.mobygames.com/game-group/scotland-yard-licensees]]、日本語版が存在しない為触れる機会が少ない。他にもドリームキャストの『あつまれぐるぐる温泉2』内に題材としたゲームはあるがドリームキャストそのものが現在では入手しづらく、オンラインゲーム版はサービス終了。~
つまり本作はTVゲームとしては現状、日本において''最も簡単にスコットランドヤードを遊ぶことができる方法''なのである。
---ちなみにDS版のスコットランドヤードは日本でも輸入販売している店舗があり、日本語表示が出来ないものの日本のDSでも問題なくプレイ可能。さらに1本あれば複数人数でのプレイも可能である為、持ち主がルールを説明すれば英語の分からない人とでも普通に遊べる。しかも輸入送料込みでも案外安く入手出来たりする。
--当然原典の頭を使った駆け引きは本作でも健在。キラとLの知略の限りを尽くした追走劇を体験できる。

-原作の要素をバランスを崩すことなくうまくルール内に組み込み、キャラゲーとしても良好。
--特にトラップは最も大きな変更点。原典では逃げ回るだけだったMr.X氏だが、今回はキラとして群がる捜査員どもに裁きを下せるようになった。
--他にも原典と比較しても変更された点は数多い。にもかかわらずバランスはとれており、どちらが明確に有利ということもない。

-登場キャラクターは大幅に増加。ヨツバ関連のキャラがほぼ全員登場(ほとんどモブ扱いだが)する他、捜査員にも伊手が追加され日本捜査本部メンバーが勢ぞろいした。
--今回は第2部にまで物語が展開するため、前作で隠しキャラだったニアとメロが物語に大きく絡み彼らの部下も登場。なかにはあのチートキャラ、ジェバンニの姿も…((しかし特殊能力は非常に地味。))。
---ちなみに夜神粧裕は非操作キャラに降格。だがその方が原作の雰囲気にふさわしいだろう。

-前作で突っ込まれていたストーリーはほぼ完全に原作に準拠しており、まともになった。
--キャラゲーとしてはifストーリーやサイドストーリーがないなどの不満点はあるし、カットされた描写もあるものの、原作の重要なシーンは概ね抑えられている。
---というか、前作の場合キラゲームを無理に原作のストーリーに組み合わせようとしたから妙なことになったのであって、「潜伏するキラをLが追跡する」という内容ではおかしくなりようがないのだが。
--難易度ハードで最終面(10話)をクリアした場合に登場する隠しステージ(11話)のみは、キラ側勝利のifとなっている。

-グラフィックは前作同様良質。表情も多少豊かになった。
--しかし顔芸と言えるほど大胆ではない。とはいえこのあたりはマニアックすぎる問題点か。

-操作性も前作譲り。今回はボタンを使ったショートカットコマンドも追加されており、操作のストレスはDSゲームの中でも屈指の低さ。

-意外にもBGMの出来がいい。
--ゲーム音楽としては珍しいジャズ調であり、緊迫感もある。どこかダークな雰囲気も原作に合っている。

**問題点・賛否両論点
//-題材があまりにニッチすぎる。
//--そもそも日本で、原典となるスコットランドヤードというボードゲームの存在を知っている人間がどれだけいるのかが疑問。
//---原作は全世界で3000万部も売り上げたのに、このゲームを楽しめる人間はそのうち何%ほどなのだろうか…。
//ニッチなゲームを題材とした事は評価点として書かれてますが?
-ゲーム自体がかなりとっつきにくい。
--キラ側なら結構爽快感もあるのだが、L側の時は非常に地道な捜査を要求されるのでこの手の作業が苦手な人との相性は悪い。
---原典のゲームでも泥棒側((本作で言うキラ側))が好きというプレイヤーも多く、警察側は何人もが集まって協力して追い詰めるのを楽しむゲームである。

-原作と辻褄の合わない部分もチラホラある。
--最大の問題はデスノートの扱いだろう。上記のシステムを見れば分かるとおり本作のデスノートは「道に設置することで捜査員が踏んだ際に発動するトラップ」として扱われている。一応言っておくと原作のデスノートは''一度たりともこんな使われ方はされていない''。
---ストーリー中、松田や模木といった重要キャラはトラップにかかっても生き残っている。竜崎はそれを見て「しぶとくて良かったですね」と言う。しつこくなるが原作のデスノートは''しぶといぐらいで生き残れるような甘いものでは断じてない''。
---ちなみに南空ナオミとレイ=ペンバーは第一話でチュートリアル代わりに殺される。原作通りではあるが、彼らは松田ほどしぶとくなかったのだろうか…。

-マップごとの個性があまりない。
--原典ではイギリスの名所がマップ内に描かれているなどプレイヤーを飽きさせない工夫があったが、本作のマップの建物はシルエットだけで個性は皆無。ストーリー上海外に向かうこともあるが、それでも特徴は全くない。
---原典はボードゲームである為プレイマットは1種類しかなく、別バージョンも多くはない。本作はマップが10種類以上収録されており、その意味でのバリエーションはある。

-キャラゲーとしてみた場合、ボリュームが薄い印象がある。全体的にストーリー描写があっさりしていることもあり、さくさくと最後まで行けてしまう。
--3段階の難易度調整など、それなりにやりこむ要素はある。とはいえ結局は、同じルールのボードゲームを繰り返し遊ぶ以外にないので、そのルールに馴染めないと飽きは早いだろう。

-ショートカットコマンドはなぜか右利きお断り。
--X、Y、R、STARTボタンを使用するため、右利きの人が普通にタッチペンを使うとこれらのボタンを押すのは困難。
---ただし、ショートカットコマンドは全てタッチペンで代用できる。では左利きの人には役に立つのか、というと左利きの場合十字キーを使った画面スクロール(こちらは代用不可)が難しい。
---つまりもとより左利きの人には本作の操作は難しいのである。ABXYを十字キーと同じように使えたほうが良かったのでは?
---とはいえ前述の通り右利きの人にとっては特に違和感なく遊べる。ショートカットコマンドは無意味だが。

-今回はキラ、L、どちらのサイドかはキャラクターごとに固定。前作のような無茶な役の配分は不可能になった。

-フリーモードの結果画面が恐ろしくあっさりしている。勝敗とターン数などのデータしか表示されない。

-対戦モードはあるが、ソフトが2本必要なハードルの高い対戦環境は健在。
--思考時間の制限はなくなっているので、CPU戦と同じ感覚でのプレイは可能になった。

**総評
キャラゲーとしては概ね合格レベルを達成している出来であり、薄くはあるもののストーリーなども及第点。~
しかし前作同様、元となったゲームがマニアックすぎて楽しめるかどうかがその人個人により極端に分かれてしまう。~
「原作のファン全てが楽しめるわけではない」ということで総合的にはキャラゲーとしての評価も落ちてしまうだろう。

**余談
-トラップにかかった際の演出は「交通事故」「鉄骨落下」「通り魔」の3つからランダムで選ばれるのだが、通り魔の時の効果音が妙に生々しい。
--「ヒュッ、クッ、トプ」のような感じ。直接的な描写はないのでグロではないが。