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ファイナルファイト タフ - (2021/02/26 (金) 19:56:14) のソース

*ファイナルファイト タフ
【ふぁいなるふぁいと たふ】
|ジャンル|ベルトスクロールアクション|&amazon(B000068HMC)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|24MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|カプコン|~|
//|開発元|不明|~|
|発売日|1995年12月22日|~|
|定価|9,800円(税別)|~|
|プレイ人数|1~2人|~|
|レーティング|CERO:B(12歳以上対象)&br()※バーチャルコンソール配信時のレーティングを記載|~|
|コンテンツアイコン|暴力、犯罪|~|
|配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2009年12月8日/800Wiiポイント&br()【WiiU】2014年10月29日/823円&br()【New3DS】2016年11月21日/823円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|盛大なコレジャナイ感&br()新要素の多くが噛み合わず&br()''まさかのパンチはめ(事実上)削除''&br()『1』の壁は高すぎた…&br()ひとつのゲームとしては楽しめる|~|
|>|>|CENTER:''[[ファイナルファイトシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
ベルトスクロール型の『ファイナルファイト』シリーズとしてはシリーズ最終作品。~
海外版のタイトルは『Final Fight 3』でナンバリング作品の扱いとなっている。

今作ではハガーとガイの他に新キャラクター2名を追加して4人の中からキャラクターを選ぶことが出来、『[[ファイナルファイト2]]』同様に2人同時プレイも可能となっている。~
その他、ダッシュ移動などの新システムが追加されているが、システムの詳細は後述する。

本作が発売された時にはもはやプレイステーションやセガサターンが主要ハードになりつつある頃であったためか出荷数が抑えられていたようで、本作はプレミアが付いており、中古でも万越えはザラにある状況であったが、バーチャルコンソールで配信されたことで幾分かは落ち着いたように見受けられる。

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**ストーリー
>ハガー達の活躍によりマッドギアは壊滅、メトロシティも一見すると平和になったかのように見えた。~
しかし、マッドギアほどの大規模な組織こそ無くなったが、逆に小規模な組織を形成する悪党共を統率する存在がなくなってしまったのも事実で、次第に街が乱れ始める。~
中でも、ここ最近になって急速に力を付けてきたマッドギアの元下部組織「スカルクロス」の存在は再び市民を不安と恐怖に陥れるのには十分であった。~
~
そんな折、修行の旅に出るため、長年ハガーの元から離れていたガイがメトロシティに戻ってきた。~
2人が談笑をしている最中、留置所がある方向から大規模な爆発が起こる。~
ハガーの元に訪れた女性刑事・ルシアから留置所が謎の集団による襲撃を受けている旨を聞かされた2人はルシアと共に急ぎ留置所に向かおうとするが、そんな3人の元にディーンと名乗る青年が現れ、「案内する」と同行を申し出る。~
~
この事件を発端に、スカルクロスとの新たな闘いが幕を開けることになる。
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**システム
本項でシステムや操作方法に関して触れている個所があるが、ボタン操作に関してはオプションで設定を変更することが出来るため、ここでは押すボタンを直接記載する場合はデフォルトのボタン配置(攻撃:Y・ジャンプ:B・エクストラジョイ((通常、Y+B同時押ししないと出せないメガクラッシュがこのボタンひとつで出せるようになる。)):A)に準じて表記する。

***操作システム
''ダッシュ移動''~
左右同じ方向に2回十字キーを入れると、押し続けている間ダッシュで移動することが出来るようになった。~
ダッシュ中に攻撃をすればダッシュ中専用の攻撃が出せる他、ダッシュジャンプからの攻撃も可能。~
キャラクターによっては打撃の特定段をキャンセルしてダッシュできる為、コンボ要素として使うこともできる。~
一部のキャラクターを除いてダッシュ中でも必殺技(メガクラッシュ)を繰り出すことが出来る。

ただし、ダッシュ移動中の急停止は出来ないので、特定の地点に止まりたい場合は多少早くボタンを離す必要がある。

''シフト移動''~
LまたはRボタンを押しながら移動することで十字キーの入力に影響されずに向きを固定しながら移動が出来る。~
そして、シフト移動中に今向いている方向に対して後ろに当たる方向に十字キーを2回入力するとバックステップが出来る。~
キャラクターごとの差はあるが基本的に素早く距離を稼げる上、バックステップ中は攻撃を受け付けない無敵時間が存在するので、上手く使えば敵に囲まれている状態から脱出したりする事も可能。

***アクション
''コマンド技''~
本作では新たにコマンド入力で特定の技を出すことが出来るようになった。~
キャラクターによって1~4つのコマンド技を持っている。~
各キャラクターの技コマンドは後述のキャラクターの項で紹介する。

''スーパーメガクラッシュ''~
画面下に新たに「スーパーメガクラッシュゲージ」が追加された。~
このゲージは敵に攻撃を当てることで溜まり、最大になると一定時間ゲージに「SUPER」の表記がされ、この間は「スーパーメガクラッシュ」という、強力な技を繰り出すことが可能。~
スーパーメガクラッシュを繰り出すか、一定時間の経過でゲージは0になり、再び溜め直す必要がある。

''武器システム''~
キャラクターごとに得意武器が明確に設定されており、その武器を該当キャラクターが拾った際には武器による連続攻撃が可能になっている((ただしディーンのみは例外で、得意武器であるハンマーを投げてしまうのは変わらず、敵に当たった時のダメージが増えるだけになっている。))。

''掴み方向の概念の導入''~
これまでの真正面で掴むだけでなく、背後からも掴むことが出来るようになった。~
掴んだ方向によって繰り出せる技が変わる為、敵を掴んだ時に下+Yボタンで掴む向きを入れ替えることが出来るようになっている。~
なお、前述のスーパーメガクラッシュは全て掴みからのコマンド入力で繰り出すが、これは真正面から掴まなければ繰り出すことが出来ない。

***その他システム
''ルート分岐''~
プレイ中の一部のステージでは特定の条件を満たすことでプレイするルートが分岐するようになった。~
特定地点への接触や特定のオブジェクトを破壊したりなどが主な条件となっており、場合によってはステージのショートカットやボスとの戦闘を回避出来たりなど、影響は小さくない。~
更に特定の分岐はエンディングにも影響を及ぼすものとなっている。

''「AUTO 2P」モード''~
このモードを選ぶと、コンピューターをパートナーにして擬似的な2人同時プレイが可能になっている。~
ただし、このパートナーは自分からアイテムを拾いに行くことはない((何らかの要因でアイテムの出現と攻撃のタイミングが一致してしまうことなどの要因でアイテムを拾ってしまうことはある。))上、スコアによるエクステンド(残機追加)もあまり望めないため、最終ステージに行く前には大体脱落してしまっていることが多い((脱落した場合、パートナーはコンティニューをしないのでそのまま1人プレイを継続することになる。))。~
このパートナーの強さはオプションの「PARTNER LEVEL」でWEAK・NORMAL・STRONGの3段階から選ぶことが可能になっている。

''雑魚敵のカラー''~
同じ敵の色違いが出現するようになっている。~
なお、色によって性能や攻撃手段が変わることはなく、あくまで見た目の差異に留まっている。

''体力回復アイテムの扱い''~
従来作では体力回復アイテムを拾った時に体力が満タンであった場合はスコアが入っていたが、1メモリでも減っている場合はどんなに回復量が大きい回復アイテムであってもスコアは加算されなかった。~
本作では体力回復アイテムを拾うとその時の体力に関係なくスコアが加算されるようになった。~
これにより、スコアのために体力満タンで回復アイテムを拾い、その後敵にダメージを貰ってしまった…といったことは起こらなくなり、本当に必要な時に拾いに行けるようになったと言える。
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**キャラクター
※コマンド技とスーパーメガクラッシュのコマンドの十字キー入力部分はテンキー表記で、コマンドはキャラクターが右を向いている時のものとなり、対戦型格闘ゲームの必殺技同様に左向きの時は入力が反転する。
:&size(15){ガイ}|シリーズお馴染みとなった武神流忍術第39代目の伝承者。&br()単発での攻撃力はそれ程ではないが、素早く移動して攻撃が出来る扱いやすいキャラクター。&br()多段ヒットや他の敵を巻き込む性能にも長けており、時間当たりの攻撃力も随一。&br()武器はヌンチャクを得意とし、装備時は連続攻撃が可能。&br()ガイのみ壁に向かってジャンプし、壁に接した時に再びBボタンを押すと壁を利用しての三角飛びが可能。
|CENTER:技名|CENTER:コマンド|CENTER:備考|
|足払い正拳突き(あしばらいせいけんづき)|後ろ掴み中2+Y|Yボタンで追撃が2回まで可能|
//後ろ掴みのニュートラルは上手く説明出来ないけど、足払いと正拳突きのどちらの要素も無い投げ技。
|通し(とおし)|236+Y||
|千拳唯打掌(せんけんいだしょう)|正面掴み中632+Y|スーパーメガクラッシュ|

:&size(15){ハガー}|シリーズお馴染みのメトロシティの市長で、元ストリートファイター。通称「戦う市長」。&br()マッドギアを壊滅させてからも市長職を続けており、本作では齢50を超えているのだが、その筋力は衰えるどころかますますパワーアップしている。&br()攻撃速度も移動速度も遅いが、それを補って余りあるパワーが持ち味。&br()武器は鉄パイプを得意とし、装備時は連続攻撃が可能。
|CENTER:技名|CENTER:コマンド|CENTER:備考|
|バイオレントアックス|236+Y||
|ファイナルハンマー|正面掴み中632+Y|スーパーメガクラッシュ|

:&size(15){ディーン}|ハガー達の前に突如現れた青年。&br()元ストリートファイターで、スカルクロスに対して異常なまでに復讐心を燃やしている。&br()ハガーと比較するとややパワーで劣るものの、その分移動速度や攻撃速度は速い。&br()どちらかと言えば投げをメインに攻撃するタイプだが、地面に叩き付ける系統の技が多く他の敵を巻き込みにくい。&br()ハンマーを得意武器としているが、ハンマー自体が1回投げて使い切るタイプの武器であるため、電撃を纏って威力が上がるだけで連続攻撃は出来ない。
|CENTER:技名|CENTER:コマンド|CENTER:備考|
|イカヅチ|49+Y||
|つかみかかり|236+Y||
|バックブリーカー|後ろ掴み中8+Y||
|エルボードロップ|バックブリーカー中22+Y|バックブリーカーの追加攻撃|
|スクラップダンク|正面掴み中28+Y|スーパーメガクラッシュ|

:&size(15){ルシア}|メトロシティ市警、特殊犯罪課に所属する敏腕女性刑事。&br()かつて起きた汚職事件に関わった際にハガーと知り合い、以降は良き友人となっている。&br()また、コーディーとも古くからの友人関係にある。&br()素早くパワーもあるが、武器を振う速度が遅めになっている。&br()脚を使う割には通常攻撃のリーチが短めで、コマンド技も若干入力しにくいため、一癖ある性能。&br()警棒を得意武器とし、装備中は連続攻撃が出来る。
|CENTER:技名|CENTER:コマンド|CENTER:備考|
|トルネードスピナー|623+Y||
|ファイヤースピナー|ジャンプ中236+Y||
|ハードヒットニー|226+Y|スーパーメガクラッシュ|
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**評価点
''『2』の問題点を改善した''
-『2』では敵味方共に攻撃力が低すぎたことでいたずらにプレイ時間が延び、操作しているプレイヤーが疲れるのが先か、クリアが先かと言わんばかりの状態となっていたが、本作では攻撃力が『2』に比べて高くなっており、逆に敵の攻撃力はそれ程高くないのでゲーム難易度は幾分下がった。
--さらに敵の体力と防御力も全体的に抑えめになっており、こちらの攻撃手段が大幅に増えていることから、戦闘が作業的になっていた点が大きく改善されたのは大きい。

-『2』の雑魚敵の体力はステージごとにほぼ固定値を取っていたが、本作では敵によって差別化が図られている。

''プレイヤーキャラクターの性能強化によるテンポの良いプレイ感覚''
-パンチ攻撃・投げの他にダッシュ攻撃や必殺技・スーパーメガクラッシュ等の導入により、プレイヤーキャラクター側の性能が大幅にアップしており、上記の通り敵の体力が全体的に低めになっているため、より爽快感溢れるプレイが可能になっている。
--ダッシュ攻撃や必殺技は格闘ゲームのようにキャンセルして出せるようになっているため、様々なコンボを作り出すことも可能。使いこなせるようになれば耐久力の高い敵やボスさえも体力満タンから一気に畳みかけることも出来る。
--新たに追加された攻撃手段はいずれも攻撃力が高めになっているため、群がる敵を次々となぎ倒していける。
--操作自体もそれほど複雑ではないため、初心者でも遊びやすい。

''操作キャラクターの増加''
-おなじみの人気キャラクターガイとハガーに加え、新キャラクターとしてルシアとディーンが加わって4人になった。
--コンボが強力で扱いやすいガイ・高威力かつ扱いやすい投げと判定の強いパンチ持ちのハガー・リーチが短い代わりに基本性能が良いルシア・強力な必殺技と背後投げを持つ反面癖の強いディーンと性能面でも個性付けされており、キャラクター選びの楽しみも増えたといえる。
--前述の「AUTO 2P」モードとも相性が良い。性能が控えめとは言え、友達を家に呼ばずとも豊富なキャラクターで二人プレイが出来るのは本作の醍醐味である。

''豊富なルート分岐''
-攻略の幅が広がり、周回プレイによる探索の楽しみが増えた。
ルート毎にボスも異なるため、前作までに比べるとボスの種類が多くなっている。
--攻略難度も変わるため、腕に合わせたプレイが可能。

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**賛否両論点
''新システム''
-『[[ファイナルファイト]]』(以下『1』)は基本操作は簡単ながらもプレイヤーの技量次第で「パンチはめ」などのテクニックや様々な立ち回りを楽しめるようになっていた。
--しかし、本作に追加されたシステムはその真逆を行くものであり、「『ファイナルファイト』らしくない」とする否定的な意見もあれば、逆に「このシステムによりアクションの幅が広まり、ゲーム性が深まった」と好意的に見る意見もある。
---軽快なダッシュやコマンド技など、言うなれば別シリーズのベルトスクロールアクションに近い操作感である。『ファイナルファイト』シリーズの名を冠するにあたって、賛否両論が吹き出すのもやむを得ないところであろう。
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**問題点
''パンチはめの削除''
-『1』で猛威を振い、『2』でも使いづらくなったが残っていたテクニックである「パンチはめ」だが、本作では向きを変えて出すパンチがやたら遅くなっており、向きを敵のいる方に戻す前に敵が復帰してしまっているため、パンチはめが実質削除されてしまっている。
--普通に繰り出す連続攻撃の際は全く問題ないのだが、パンチはめの要領でやると成立しないようになっている。
---本作は攻撃力が高く、パンチはめなしでも問題なくクリアが出来るゲームバランスになっており、ゲーム単体としては問題ないのだが、"シリーズの象徴"とも言えるテクニックを否定することにはやはり反感の声が大きかった。
--余談になるが、『1』のGBA向け移植作品である『[[ファイナルファイト ONE]]』(以下『ONE』)発売に合わせて行われた『ファミ通』のインタビューにて「パンチはめがなければ『ファイナルファイト』ではない」との旨の発言をスタッフがしていた。ならば「『ファイナルファイト』シリーズ」に属する作品である本作でもそのスタンスを貫いて欲しかったものである。

''新キャラクターの魅力が乏しい''
-ガイやハガーのインパクトに勝てというのは酷かもしれないが、『2』のカルロスに輪をかけて魅力・インパクトに欠け、印象に残りづらい。
--ディーンは投げが地面に叩きつける格好なので他の敵を巻き込みにくく、ダッシュ攻撃も4人の中で唯一多段ヒットしない等、性能面で不遇ぶりが目立つ。おまけに何者なのかも特に語られないので、取って付けた感が否めない。
--ルシアはその露出度が高い服装や繰り出す技などから別の意味で印象に残るかもしれないが、それらの要素をキャラクターの魅力として良いものかどうか…。
---こういう部分は個人の感性というのもあるので一概に言い切れない部分も確かにあるのだが、ネットなどの媒体で本作に触れた中でキャラクターに関して好意的な意見がほとんど見られないというのもまた事実であり、少なくとも「魅力あるキャラクター」とするのは難しいと言わざるを得ない。

''コマンド技の格差''
-出しやすさと使い勝手を備えた技が猛威を振るう一方、コマンドがやや個性的であったり、技の隙が大きすぎたりと、使えない技も多い。このため、技を使わないほうがクリアしやすいというキャラまで出てきてしまう。
--更に、コマンドによっては立ち回りの中で図らずもコマンドが入力されるように動いてしまい、Yボタンを押したら技が暴発した…ということも起こりかねない。
--スーパーメガクラッシュも使い勝手が分かれる。基本的に無敵かつ超高威力ではあるものの、入力難度や性能に格差があり、終わるとすぐに無敵が無くなってしまうため、安易に出すと却ってピンチになることも。使い所は選ぶべきである。
---それでいてスーパーメガクラッシュゲージは時間経過でなくなるため、使いたい時に使えないこと、使わぬべき時に使えることが多々ある。ゲージストック制であったら話は違ったのだが…。

''仕掛けの乏しさとアイテムのバランスの悪さ''
-前述の通り、ルート分岐や限定ボスなど、マップの多さという意味での仕掛けは豊富なのだが…。
--しかしマップの個性という意味での仕掛けは『2』以上の乏しさで、本作では地雷などが仕掛けられていたりなどはなく、グラフィック以外は何も変わらない平地で戦い続けるのみ。強いて仕掛けらしきものを挙げるなら、縦に移動する場面が1回とドラム缶が転がってくる個所が1つ(3度転がってくる)あるくらいか。
---せっかく機敏なダッシュやジャンプが実装されたのだから、それを活かすようなマップ構成があっても良かったのではないだろうか。

-また、アイテム(ドラム缶など)の配置も相変わらず少なく、あっても得点アイテムであったり、ほとんど回復が見込めない回復アイテムしか入手出来ないこともある。
--ステージ1では回復アイテムが一度も出てこないのを筆頭に、それ以外のステージにおいても、ボス直前エリアの最初の方に僅かに回復するアイテムを出したっきりで敵が多く出現する長い距離を進ませて漸くボス戦に突入させたりなど、やや理不尽な難易度の上げ方になっている。
---回復アイテムの他にも、アイテムの少なさ故にせっかく設定された各キャラクターの得意武器も出て来る回数が数えるほどしかないため活かしきれておらず、一度も得意武器を使うことなく最後までクリアということも多々ある。

''処理落ちが起こりやすい''
-アニメーションのパターンや表示オブジェクト数が増えたことなどが影響しているのか、2人同時やAUTO 2Pモードでのプレイでは頻繁にスローがかかる。
--シューティングゲーム等では弾避けに有利になることもあるが、本作ではコマンドの入力タイミングがズレる等、デメリットの方が大きい。
--一人プレイではあまり起こらないとはいえ、ウリの一つであるAUTO 2Pモードの爽快感を下げてしまうのは残念。

''難易度設定による変化の乏しさ''
-本作でもオプション画面にて難易度がEASY・NORMAL・HARD・EXPERTの4種類用意されているのだが、難易度による変化は敵の積極性が増したり好戦的になっていく程度で、難易度変化によって敵数が変化するのはEASYのみ。
--難易度を最高にしてもNORMALより敵が増えたり、より強い敵に差し替わっていたりすることもないため、よりたくさんの敵と戦いたいという人には物足りない仕様になっている。
---『2』の時のように2人(オート2P時も同様)プレイ時にも敵数がさらに増えるということもない。むしろ頻繁に処理落ちが発生してしまうためかえって遊びにくくなってしまうという悪循環も…。

''詐欺くさい敵の各種判定''
-『1』のように理不尽な判定は幾分減ったが、一部の敵には依然として強力な判定が残っている。
--小柄な上に無敵の移動技を多用する敵、非常に投げ間合いの広い敵、突進の判定が異様に強いボスキャラなど、敵の攻撃を防ぐという面で見ると前作より難度が向上した箇所も見られる。敵の食らい判定が小さめなことと相まって、当たり方によっては、こちらの連続攻撃に割り込まれるという事態も。
---タイミングによってはさながら「食らい投げ」や「当て身投げ((SNKの『餓狼伝説』シリーズに登場する「ギース・ハワード」が主に使う必殺技で、相手の打撃攻撃を受け流しつつそのまま投げ返してしまう技。))」のようにしか見えなかったりと、プレイしているうちにイライラが溜まってきかねない。

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**総評
ファン心理を抜きにして本作を見れば、単体としては遊べる作品であり、少なくともクソゲーと言われるほどではない。~
だが、新システムがそれまでのシリーズの「簡単操作で爽快アクション」に真っ向から衝突するようなものであったこと、その代わりにシリーズの特徴でもあったパンチはめが事実上不可能にされていること。~
加えて、魅力に乏しいキャラクターなどの様々な要素が噛み合わさって、『1』を知るユーザーが「こんなの『ファイナルファイト』じゃない」と失望するのも無理はない。 

勿論、『1』とマップと登場する敵以外の基本的な物が何も変わっていないというのでは、それはそれで「マンネリ」を指摘されてしまうのだが、本作の場合はそのマンネリ打破のためのシステムが噛み合わず、結果として余計にコレジャナイ感を強めてしまったと言える。

逆に、新システムを受け入れることができたり、本作が初めて『ファイナルファイト』シリーズに触れる作品であったりすれば、十分に楽しめる作品ではある。
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**余談
***後年の作品において
『ストリートファイターV』にて、2019年8月5日のアップデートでルシアがまさかのSEASON4の追加プレイアブルキャラクターの1人として参戦している。~
ただし、デフォルトの髪型や服装が変更されて、所持する武器は警棒ではなくトンファーになっている。~
また、同作では日本語ボイスが関西弁になっている((英語音声でのブルックリン訛りを日本語で表現したもの。『龍虎の拳』のロバート・ガルシアと同様の理由付けである。))。~
今作におけるガイの新技は残念ながら後のストリートファイターシリーズ等で外部出演した際には実装されていないのだが、後に『V』にて参戦したガイの師匠である是空の特殊技に今作のガイの通しが実装されている。

***一部の敵キャラクターについて
本作にはセクシーな格好の女性敵キャラクター「メイ」が登場し、幸せ投げ((フランケンシュタイナーなどのように太ももの部分で相手の頭部を挟んだり、首を極めて投げる技を「女性が」行う場合に呼ばれるもの。男性にやられた場合は特別な呼び方は無いが、一転して言うなれば悪夢のような技となる…のだろうか。))など個性的な技を使うが、海外版でもその姿が一切差し替わっていない。~
古くは『1』のAC版で「ポイズン」と「ロキシー」という女性敵キャラクターに関してのゴタゴタがあり(詳細はAC版ファイナルファイトのページを参照されたし)、それ以来、海外版では『SFC版1』・『ガイ』・『2』・『ONE』のいずれも、女性の姿をした敵キャラクターは男性に差し替えられている。海外ポリコレに対する配慮の草分けと言えるだろう。~
そんな本シリーズにおいて、特に女性的な「メイ」がそのまま販売されたのは異例中の異例といえる措置であるが、そうなった理由はわかっていない。

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