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ゴールデンアックス (PCE) - (2016/01/18 (月) 16:32:29) のソース

注意:ここではセガ・エンタープライゼス(現セガ)原作のアーケードゲーム『ゴールデンアックス』の、PCエンジン版移植を紹介しています。
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*ゴールデンアックス
【ごーるでんあっくす】
|ジャンル|ベルトスクロールアクション|&amazon(B0000ZPV0Y)|
|対応機種|PCエンジン CD-ROM2|~|
|発売元|日本テレネット|~|
|発売日|1990年3月16日|~|
|定価|6,780円|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~|
|ポイント|ショボいグラフィック&br;操作性劣悪&br;ビジュアルシーンとBGMは高クオリティ|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
-1989年にセガ・エンタープライゼスからリリースされ、人気を博したベルトスクロールアクションである『ゴールデンアックス』。同年にメガドライブ版が移植発売され、そこそこの移植度で評価された。そして、その翌年にてPCエンジン版も移植された。
-発売はビジュアルとBGM''だけ''なら信頼のある日本テレネットである。この会社の例に漏れず、豪華声優陣を起用したキャラ達の会話やビジュアルを交えたストーリー演出が加えられた。
-ビジュアルなどの導入を蛇足と見る人も多いかもしれない。しかし、このゲームの問題はそんなところ以前に、ゲーム本編の悲惨な出来にある。

**本格的なビジュアルシーン
-ゲームを起動すると、ラスボス兼黒幕である「デス・アダー」が降臨するビジュアルシーンが始まるのだが、これがなかなか力が入っている。
--声優陣の演技もさることながら、無数の蛇が集結してデス・アダーの体を形成するシーンは気持ち悪くてインパクト大である。蛇が苦手な人は、多分トラウマになる事は必至であろう。
-ゲームを始めると、「アックス・バトラー」「ティリス・フレア」「ギリウス・サンダーヘッド」の三人の中から一人を選びゲームスタートとなる。残念ながら原作にあった二人同時プレイは削除されてしまったが、選んだキャラによってビジュアルが変わるというお楽しみがあるのは嬉しいところ。
--「アックス編」傭兵らしき二人の男がデス・アダー側の敵に襲われ一人が殺害、もう一人が窮地に立たされるところをアックスが現れて敵のほとんどを瞬殺、生き残った敵に対してデス・アダーにアックスの宣戦布告を伝えるように命令するという流れ。
---なんか、ものすごく「北斗の拳」のケンシロウと雑魚敵のやり取りに似たノリである。しかもアックス、半裸のクセにやけにイケメンでかっこいい、''半裸だが''。
--「ティリス編」繁栄を栄えたファイアウッド王国にて、誕生日を迎えた王女ティリスを祝う祭典が行われていた最中に、デス・アダー軍が攻め込み、その場にいた全員を殺害、両親を目の前で殺されたティリスだけは幸運にも生き残り、成長した彼女がデス・アダーに復讐を誓うという流れ。
---原作では絶対にお目にかかれないであろう、幼女時代のティリス様が拝めるのがPCE版だけ、''ロリコンは必見だ!'' もちろん、お尻ボーン、おっぱいボーンな成長したティリス様をビジュアルで拝めるのもPCE版だけ、''エロい人も必見だ!''
--「ギリウス編」ティリス祭典と同時間に、野原にて焚き火をしてくつろいでいたファイアウッド親衛隊に所属するギリウス一行、しかしその最中にファイアウッドはデス・アダーの凶行に落ち、それを阻止しよう乗り込んだギリウス一行はデス・アダーに挑むも歯が立たず、ギリウスの目の前で共に行動していた実の弟を殺されてしまう、辛うじて生き残った彼はデス・アダーの復讐を決意するという流れ。
---ティリス編もそうだが、デス・アダーは「一人残らず皆殺しだ!」と宣言し虐殺を行ったのに、何故かまだ息があったギリウスにはとどめを刺さなかった。ティリスの場合は物陰に隠れていたからデス・アダーに見つからなかったのだが、ギリウスの場合は、風前の灯火だった彼とデス・アダーとが直接会話していた訳で、その状態で殺さなかったのは疑問が残る。
-デス・アダー戦前にて3回目のビジュアルシーンが導入され、物語がクライマックスへ突入する。追い詰められるも余裕を崩さないデス・アダーに彼ら三人は勝利する事ができるのか?
-4回目のビジュアルシーンは念願のエンディング、デス・アダーは英雄達の手でこの世から消え、世界に平和が訪れた。彼らがその後どういう人生を送ったのか、それはここでは伏せておく。

**ゲームパートの現実
ビジュアルのかっこよさからして、「こいつはすげえ期待だぜ!」と胸を膨らましてしまいそうだが、そのゲームパートに待っている現実。…それはあまりにもお粗末なものであった。

-まず、CD-ROM2で作られたゲームなのに、やたらと小ぢんまりとした''ファミコン並のグラフィック''が嫌でも目に付いてしまう。どうみても1990年製作のPCエンジンのゲームじゃねえぞって感じだ。
--前のMD版はこれに比べれば原作に近いグラフィックだった。ならば「きっとPCEの性能の問題」と思われるかもしれないが、同じセガ原作のPCE移植作である『獣王記(NECアベニュー発売)』『忍(アスミック発売)』が、相応の頑張った外見だった事を考えると、決してPCEの性能のせいではなく、''ビジュアルに力を入れすぎたテレネットの成れの果て''と考えるのが妥当だろう。
---なお、日本テレネットの作品はスーパーシステムカード(256KB)専用ソフトはそれなりに見られるものが多いのだが、旧システムカード(64KB)対応ゲームは悲惨なものばかりである(例:『[[レギオン]]』)。
-原作にあった倒した敵が白化する演出などが削除されたのはまだいいとして、原作の魅力だった使用キャラのアクションや魔法によるド派手な演出すらも、目を覆いたくなる程にショボくなっているのは許せない。アクションには全く躍動感がなく、魔法に関してもちゃっちい魔法が「ボ ホ ゙ボ ボ」とヘボい音ととも発動されるだけである。原作を知っている人から見れば「ふざけてんのか」と怒りたくなるのは必至なはず。
-ビジュアルでは声優陣の熱演を入れているくせに、ゲームパートでは何故かボイスなしである。原作では敵を倒す時と倒された時に英語風の断末魔の叫びを上げていたのが「ペロロンポロロン」といった感じのへちょいピポポ音を口にしながら(?)死ぬ。おまえら本当に人間か?しかも、効果音すらもショぼく、原作の豪快さが大幅オミットされているのが寂しすぎだろ。
-外見がヘボなら操作性だったヘボ。とにかく、キャラが動かしにくく、原作同様の行動ができない有様。キャラの動きはもっさりの極み、特にアックスは軸移動が遅すぎて敵との間合いを調整する事すら否定。当然ながらMD版はこの辺はしっかりとしていたのに、なんだこの差は!
-ステージが始まる度に微妙に長いロードが入り、テンポの面でも悪化している。他メーカーのCD-ROM2系のゲームは何かしらの工夫を駆使し、その辺が緩和している配慮がなされている事が多く、ディスクだから仕方ないなんて言い訳は通用しない。
-他にも上記の通り二人同時プレイ削除や、全体的なボリューム不足が挙げられる。但し、前者は本当にPCEの性能の問題でそうなったかもしれないし、後者に至っては原作からしてそうなのでPCEだけを責めるのは早計である。

**評価点
-上記の通り、力の入ったビジュアルシーンと豪華声優陣を起用した熱演は凄い。はっきりいって、''ゲームがおまけでこっちがメインだろう''といわんばかりのクオリティ。
--声の出演は青二プロダクション率いる10人のキャスト。もうこの辺で製作予算を多く費やしているとしか思えない。
--ビジュアルシーンはクオリティは高い反面、4回しかビジュアルが発生しないので、ボリューム的には褒められるものではない。
-テレネットの例に漏れず、アレンジされたBGMは良曲揃い。ゲームのショボさとは温度差が激しすぎて泣けるが…。
-ゲームパートの原作移植度はガタガタだが、一応はステージ数や敵配置などはそれなりに原作尊重である。

**総評
-「テレネットにアーケードの移植はまかせるとロクな結果にならない」まさにそれであろう。もっとも、オリジナル作でも大体は散々な出来で終わるのがテレネットクオリティであるが。
--ちなみに後にテレネットがHuカードにて『コラムス』の移植を行っているが、こっちは特に酷評は聞かれない。
-しかし、セガもよくこんなバッタモン移植にOKを出したものだな、と呆れてしまう。こんな結果に陥る位なら、当時は移植ものに定評があったNECアベニューあたりがリリースした方がマシだったかもしれない。
--といっても、前年にNECアベニューからリリースされた『獣王記』は外見は頑張っているものの、操作性劣悪、CD-ROM2版のロードの多さなどで、とても褒められた移植ではなかったが…。
-確かに旧システムカードの64KBというメモリは激狭ではあるが、それでもメサイヤの『エルディス』のようにPCM音源によるおしゃべりを入れつつロード待ちを極力避けた名作も存在するわけで、単なる技術力不足、もしくは製作者の怠慢と結論付けざるを得ないだろう。