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コンバットライブス - (2013/07/23 (火) 09:37:46) のソース

*コンバットライブス
【こんばっとらいぶす】
|ジャンル|ベルトアクション|~|
|対応機種|アーケード|~|
|発売・開発元|テクノスジャパン|~|
|稼動開始日|1990年|~|
|分類|BGCOLOR(lightsteelblue):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|ただでさえ非常に難しい&br出荷設定ではさらに難しい&br選んだキャラによっては無理ゲー&br蹴り逃げ命&br理不尽すぎるラスボス|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
ニューヨークを根城に暴れ回る犯罪組織『グラウンド・ゼロ』を壊滅させるため、「狂戦士」バーサーカー 、「大斧」ブローヴァ 、「雷撃」ブリッツ の三人組からなる『コンバットライブス』と呼ばれる奴らが動き出す…。全6面。

**システム
-ライフ制で、体力を全て失い0になるとゲームオーバー。
-8方向レバー+2ボタン(パンチ、キック)で操作する。
-レバーを同一横方向に二回入れるとダッシュ。ダッシュそのものにも攻撃判定があり、ここからボタンを押すことでダッシュ攻撃に派生できる。また、わずかながら横軸だけでなく縦軸方向に動くこともできる。
--怯んだ敵に対し、真正面からレバーを相手方向に入れて掴む。
--ダウンした敵に対し、重なるようにレバーを下に入れると馬乗り。
--オブジェクトの上で攻撃ボタンを押すことによりそれを拾い、もう一度攻撃ボタンで投げつけられる。
-その他、掴んだ状態、ダウンした状態から出せる派生技が多数存在する。中には、敵に挟まれていないと出せない技もある。

**評価点
-さすがベルトアクションゲーの元祖を作った老舗テクノスだけあり、暴力描写へのこだわりは凄い。
--『ドスッ、バキッ!』と重く響く打撃音、敵のやられ声の痛々しさなど、SEはどれも素晴らしい。
--中でも馬乗り状態からボタンを押すことで出せる、地面に相手の顔面をガンガン叩きつける攻撃は、病み付きになりそうな爽快感と怖さがある。''試し割りだ!''。
-BGMも『ダブルドラゴン』を担当した山根一央氏が作曲しており、『ダブルドラゴンのテーマ』ほどのインパクトはないものの、なかなかの名曲・良曲揃い。
-当時、テクノスジャパンのゲームとしては破格の80メガのロムを載せた基板を使用し、ドット絵の書き込み・映像面での演出などにこだわりを感じさせる。ステージの変化もバラエティ豊富。
--さらに、『ダブルドラゴン』でテンポを殺ぐとして問題視された処理落ちは劇的に改善されており、本作ではほとんど処理落ちしない。おかげでゲーム展開はとてもスピーディー。

**問題点
-しかし…このゲームはあまりにも難しかった。
-まず、プレイヤーキャラクターを3人の中から選ぶのだが、実は''もうこの時点で難易度が全然違う''。
--「狂戦士」バーサーカー(青服の金髪)はバランスタイプという触れ込みなのだが、実際はスピードではブリッツにかなわず、パワーではブローヴァに劣ると、帯に短し襷に長しの感が否めない。さらに、''ダッシュ攻撃の判定が3人中で最弱''という欠点があるため、思った以上に立ち回りも苦労する。それでもなんとか、クリアできなくはない。
--「雷撃」ブリッツ(赤服の長髪)はスピードタイプで、''はっきり言ってぶっちぎりの最強キャラである''。足が速いために敵からの攻撃を受けにくい、パワーは3人中最弱とはいえ、その分手数が素早く多く出せるので結果的に時間当たりのダメージ効率が最高、おまけにリーチも長いと三拍子揃っている。ダッシュ攻撃も非常に使いやすく、プレイする際にはこいつの使用を強く勧める。
--そして最も問題なのが、「大斧」ブローヴァ(黄服の黒人)。パワー型なのだが手数がとろいため思ったよりダメージ効率が低く、正直強いと思う点はダウンしている相手の足元でパンチボタンを押して出せる『ジャイアントスイング』の回転数だけである。しかもスピードが最も遅いため、後述の『蹴り逃げ』攻略法を使ってもボスの反撃を避けられないシチュエーションが多数存在し、ダメージの蓄積が大きくなりすぎるという欠点がある。攻略サイトでは、''ブローヴァで1人プレイ1コインクリアは不可能''とまで記されている。
---ちなみに2011年2月時点で、ブローヴァの1コインクリア動画は様々な動画投稿サイトを見ても未だ上がっていない。このことからもお察し頂きたい。

-体力回復アイテムなどは存在せず、面クリア時に設定されている量が回復するだけなのだが、なんとこの回復量、一番標準的な設定と思われる''工場出荷設定ではたったの50しかない''。0~150まで調節可能なのだが、このゲームを1コインクリアするには''できれば150、どんなに妥協しても100ないと厳しい''と言われている(100でもOKなのはブリッツ使用時のみで、バーサーカーでは150ないとまず無理)。テクノス、ケチりすぎである…。
--なお、プレイ中にコインを入れると、プレイヤーの体力が初期体力設定と同じだけ回復するようになっており、元々追加コイン投入を何度もするように想定して難易度を設定していると想像される。まあ、ACのゲームだからインカムを良くするために、仕方のない面もあるとは思うが…。
-ゲームの難易度はかなり高い。雑魚敵は出現数が多い上アルゴリズムがいやらしく、自身の攻撃範囲ぎりぎりまで間合いを詰めて攻撃してくるため、相手の攻撃がこちらよりリーチが長いと一方的に攻撃されてしまう。本作ではそういった攻撃を持っている敵は珍しくないため、普通に立ち回っていたのではフルボッコにされてあっというまに終了である。
--ではどうするかというと、こちらのリーチより長い攻撃を持っていない雑魚に対しては、正面からキック連打でもOK。そうでない雑魚敵に対してはダッシュ攻撃で間合いを取らせないようにし相手をダウンさせ、そこに追撃を行うというのが基本的な流れとなる。
---追撃は先述の『ジャイアントスイング』が、回転中完全無敵状態で巻き込み判定がでかいため非常に強力。ただし技ダメージそのものはそれほど高くないため、周りに敵がいない状況なら『顔面叩きつけ』を積極的に出すといい。
--普段の攻撃力は乏しいがしがみついて拘束しようとする者、こちらの掴み攻撃に受身を取ったり反撃をしてくる者、ジャンプ攻撃を得意とする者、停止することなく素早く動き続け撹乱してくる者、ナイフやテクノス伝統の銃器で攻撃してくる者と雑魚敵もバラエティに富んでいるため、相手の特徴・周りの状況を把握しより有効な攻撃方法をチョイスする必要がある。とはいえ、その使い分けはなかなか楽しい。

-ボス敵はほとんどがこちらのリーチより長い武器を持っており、強敵揃い(ダメージを一定量与えると落とす奴が多い)。しかも体力を削り弱らせるまでダウンせず、一部の攻撃方法が通用しない、またはボス敵に対してだけは出せないという、プレイヤー泣かせの仕様となっている。
--例えば、瀕死になるまでボスには掴み攻撃が通用しない。''掴もうとすると逆にこちらがダメージを受ける''。
--ボス敵がダウンしても、馬乗りからの顔面叩きつけとジャイアントスイングは仕掛けることができない。ちくしょう。ただ、ストンピングや腹蹴りはできる。
--最も厄介な点は連続攻撃が基本的に入らず、ダメージを与えると反撃技を繰り出してくる点である。反撃技は様々だが''たいてい無敵時間が付いている''。
-このようなインチキをするボス敵に対してはまず地面に落ちているオブジェクトや雑魚敵を投げつけたり、ジャイアントスイングに巻き込んだりして、相手の武器を落としパワーダウンさせることに専心する必要がある。首尾よくいったらそこからは『蹴り逃げ』と呼ばれる、「相手が移動してくるところに蹴りを置いておき、ボスに当てた直後に移動して反撃を回避する」戦法で対処するしかない。慣れるまでは難しく、しかも最高のスピードを誇るブリッツを使用していても避けられないほど出の速い反撃技を持つボスもいるため、''正直運も絡んでくる''。

-技の細かい使い分けが肝心なのだが、一部の技は暴発が多く困る。特に掴み攻撃が意図しないところで出てしまいやすく、余計な反撃を貰ってストレスが溜まる。
-後半の面になればなるほど、制限時間が厳しい。最終面である6面は、今までのボス達が雑魚を引き連れて再戦を挑んでくる。ただでさえ戦いは長く辛いのに…。

そんな厳しい道中を経て最後に待ち受けるのは、このゲームを象徴する''インチキくさすぎるラスボスである''。
-その強さはハンパではなく、当時の「ゲーメスト」の攻略ですら、''「難しいけど勝てない相手じゃないぞ!」という一文だけで投げっぱなしにされ、具体的な方法が記されなかったほど''。
-詐欺のように強い攻撃判定、凄まじい攻撃力、ヒットさせたときと同じタイミングで技を出しているはずなのに負けることがある、喰らい判定が消失している時があるバグ?など、どれをとっても理不尽そのもの。
--ちなみに多人数プレイでラストバトルまで辿り着いた場合、なんと''プレイヤーの数だけ分身して襲い掛かってくる''。どこぞの忍者じゃあるまいし…。3人同時プレイで3人出てきた場合は、これまた''1コインで勝つことは不可能''と言われている。
-攻略法としてはある程度喰らうのは覚悟の上で、蹴り逃げとダッシュ攻撃でダメージをとっていくしかないとされている。実際ここまでで貯めた体力のほとんどはラスボス戦で費やすことになり、そういうプレイができなければまず1コインクリアできない。

**総評
見るべきものはあるものの、そのあまりの難しさが全てをスポイルしてしまった典型的な例である。作りこみは素晴らしかっただけに、もう少しプレイヤーに優しい調整をしていれば、第2の『ダブルドラゴン』たりえたのではないか? と思うと残念でならない。この作品と『[[ダブルドラゴン3>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1004.html]]』の散々な出来が災いして、アーケードでのテクノスジャパンは格闘アクションの老舗でありながら「ファイナルファイト」等をヒットさせたカプコンに大きく水をあけられることになってしまった。~
ちなみに、1992年にスーパーファミコンに移植されている。こちらは一部技モーションや演出こそ削られたものの、バランスに手が加えられ、簡素ながらストーリーデモもつき、おまけで対戦モードもあるという、なかなかの出来映え。ちゃんと二人同時プレイもできるため、機会があればプレイしても損はないだろう。

**余談
-映画『七人のおたく』にて内村光良(ウッチャンナンチャン)が本作をプレイしているシーンが存在する。
--監督とテクノスジャパンの社長が友人だったことから実現したサービスカットらしい。

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