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シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件 - (2017/03/23 (木) 00:12:17) のソース

*シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件
【しゃーろっく・ほーむず はくしゃくれいじょうゆうかいじけん】
|ジャンル|アクションアドベンチャー|&image(homes.jpg,height=160,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HH7)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|メディア|1MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|トーワチキ|~|
|発売日|1986年12月11日|~|
|定価|5,000円|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|暴力が支配するイギリス&br;システム解説を平然と誤記&br;理不尽な難易度、自画自賛&br;推理ADVだと思ったら、意味不明な『[[マッピー]]』だった|~|
|>|>|CENTER:''[[シャーロック・ホームズシリーズリンク>シャーロック・ホームズシリーズ]]''|

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#contents(fromhere)
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**概要
言わずと知れたアーサー・コナン・ドイルの有名探偵小説『シャーロック・ホームズ』シリーズを題材としたアクション・アドベンチャー。トーワチキの処女作でもある。~
『最後の事件』終了後の時系列をベースとし、令嬢を誘拐した犯罪組織に迫っていく本作独自のストーリーが展開される。

**特徴
-本作の敵は令嬢を誘拐したオリジナルの犯罪組織''パパイヤ団''

-ゲーム画面は、見下ろし画面と横方向画面の二つを使った横スクロールアクションゲーム
--市街では一般市民も歩いているが、システム的には敵である。
---何もせずに触れるとダメージを受け、攻撃して倒すと見下ろし画面ではお金、横方向画面では情報(日常会話も多い)が入手できる。

-推理力
--町の人から情報を入手するごとに上がっていく。下記、虫眼鏡で情報を入手するには一定以上の値が必要。

-虫眼鏡を入手するとゲーム攻略情報が入手できるようになる。
--情報の入手場所は道を歩く人々からヒントを貰える。
---例:「ヒビワレノ  オオイ  ゲスイドウダナァ」→ひび割れの箇所を手当たり次第調べる→情報ゲット
--情報屋からも基礎的な情報は入手可能。
---「''鍵が無いと行けない場所がある''」「''よろず屋には便利なものが売っている''」(意訳)といった基礎すぎるのか、「''この手帳スゲーだろ!ニューカッスルで買ったんだ!''」(意訳)といった''情報屋の情報''のどっちかしかないが。

**問題点
-ゲーム進行方法の不明瞭さ
--ゲーム開始後、町中に放り出されるのだが、どこへ行って何をしたらいいのかがさっぱりわからない。
--攻略情報の入手に使う虫眼鏡だが、まず虫眼鏡の入手方法がノーヒント。
--町の人から入手できる情報も曖昧な情報が多く、その上日常会話や「シャーロックホームズッテ  ''オモシロイゲーム''ナンダッテ」等のようなネタ文章も多いため、必要な情報も埋もれがち。

-説明書で使用しないと記述されている2Pコントローラーが実際は攻略に必要。
--パスワードを入手するにも復活するにも2コンが必要。
---復活自体は1コンでもできるが、1コンだと体力1で復活なのに対し、2コンを使うと体力が満タンの状態で復活する。
---復活用コマンドが異なる(1P側:スタート+セレクト、2P側:十字キー+A+B)ため、どちらかを知らない人も多いだろう。
--さらに''謎解きに2コンが必須となるステージまで存在している''。しかもラスボス戦手前。

-アクションゲームとしての難しさ
--まず被ダメージに無敵時間がないので、''複数の敵に重なられたらあっという間に死ぬ''。
--町によっては銃弾が飛び交うのだが、しゃがんでも銃弾をかわすことができない。
--ナイフを繰り出すと、処理落ちで画面が止まる。
---敵側も同じなので、ナイフを突き立てられたと思ったら処理落ちでペースを乱され追撃を食らう…なんて事も。
--公園や民家の中にも穴があいており、落ちれば即死する。
--横スクロールアクションシーンでピストルを撃たれると避けるのが難しい。しゃがむアクションはあるのだが、''弾丸が頭に命中してダメージを受ける''のでジャンプキックの頂点でギリギリかわすしかない

-探偵としての捜査とアクションゲームとのミスマッチ
--画面上に出てくる敵を倒しお金や情報を入手する、と書けばアクションゲームとしては普通だが、その相手が一般市民であり、入手する情報が探偵としての捜査情報である為、''いきなり襲ってくる一般市民を蹴り倒して情報を貰い、さらにお金を奪う探偵''というシャーロック・ホームズを題材にしたゲームとしてはあんまりなゲームになってしまっている。
---しかもアクション性の難易度上げの一環で、''町によっては銃弾が飛び交っている''。
--攻略本によると''歩いている市民=パパイヤ団構成員''という設定があり((「ロンドン駅に着いたわたしは、ブリストルまでのキップを買おうとしたが、モロッコ皮の財布がなくなっているのに気づいた。いや、財布だけではなかった。手帳、ピストル、虫メガネ、探偵道具一式がなくなっていた・・・。わたしともあろう者が!どこからかコルディリア博士の笑い声が聞こえるようだ。こうなったら、捜査費は全部パパイヤ団の隠し資金で賄おう。市民に装したパパイヤ団の手下ども、空手キックで勝負だ。1キックで30ポンド手に入る。」JICC出版局の攻略本より。原文ママ))、助手のワトソン以外の''ロンドン住民ほぼ全員がホームズの命を狙っている''というのだが、説明書にはそんなことは記述されていない。
---実際には、市民に攻撃して話しかけるとホームズへの敵意などなかったかのような''どうでもいい世間話''(上記参照)を返してくるため、一般市民にそんな設定があるとは考えがたい。

-シナリオ面の問題
--まずFC(子供)向けとはいえ、敵組織のパパイヤ団というネーミングセンスからして、ホームズの世界観には合っていない。
--敵が大規模な犯罪組織なのに、警察に協力も求めない。原作でモリアーティの組織に対抗する際には警察の協力も仰いでいたのだが…。
--タイトルは伯爵令嬢誘拐事件であるが、その誘拐事件はゲーム内容にほとんど関係がない。つまりタイトルと内容が不一致である。
---伯爵令嬢も、オープニングで怪人物にさらわれて以来、エンディングまで登場しない。そもそも誘拐されてからホームズに依頼がくるまでの場面はゲーム中には描写されない。ゲーム開始直後の状態で、誘拐事件が起こっているのかさえ、プレイヤーにはわからない。
---さらには、令嬢の行方を捜す描写は劇中一切ない。探そうという文章すらも存在しない。パパイヤ団の支部を叩き、本拠地をつきとめ壊滅させたら''何故か令嬢も救出できた''、といった話である。
---令嬢の捜索を頼む依頼人=伯爵((依頼人の出番はなんと、説明書内のストーリー説明部分だけである。))も登場しない。

**評価点
-あまり取り上げられない原作ホームズの一面をピックアップしている事。
--原作においてホームズは格闘技に精通した人物で、犯人を逮捕する過程で肉弾戦を行うことは頻繁にあり、生命を危険にさらすことも珍しくない。また、バイオリンの名奏者でもある。そういった一面を扱った作品はまずない。
---ホームズを題材にゲームを作る際には名探偵として頭脳面を主に描かれることが多い為、この点は本作ならではと言えるだろう。
---ただし、それを上手く表現できているとは言いがたいので、本当に評価点であるとも言いがたい。

**総評
何を考えてホームズを題材にこんなゲームにしたのか問い詰めたいゲーム内容。~
ホームズである事を抜きに考えても、攻略情報やアクションの面でも辛い為、単純にゲームとして非常に遊びづらい代物になってしまっている。

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**その後の展開
-説明書の最後にある紙切れには、「第2弾(PART2)企画中」と記されていた。
--実際、トーワチキの名でホームズ物の『[[霧のロンドン殺人事件>名探偵ホームズ 霧のロンドン殺人事件]]』『[[Mからの挑戦状>名探偵ホームズ Mからの挑戦状]]』が後に発売されている。
---''凄まじくクソだった本作の路線''は引き継がない推理物アドベンチャーであり、こちらは比較的まともな内容であった。
---ついでに本作のパパイヤ団は、ホームズの宿敵である「M」失脚後の英国裏社会を支配しようとする存在であるらしいのだが、続編2作の黒幕はいずれも「M」であり、伯爵令嬢自体なかったことにされた模様。
--今回の黒幕はやられ際に「SEE YOU AGAIN NEXT GAME」と言うが当然「NEXT GAME」には出なかった。

**余談
-山内泰延の漫画『男子高校生の日常』で、主要人物の一人がこのゲームをプレイしている。
--それを学校で話した時の友人たちの台詞は「あーあの蹴りで戦うアクションゲーム」「街の人に当たると連続ヒットして即死するんだよ」「''コンティニューが裏技みたいなゲームだな''」といったもの。
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