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THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD - (2020/11/28 (土) 23:54:33) のソース

*THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD
【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず いーえっくす ねおぶらっど】
|ジャンル|対戦格闘|CENTER:&amazon(B00005TPIC,image);&amazon(B00005TPID,image);|
|対応機種|ゲームボーイアドバンス|~|
|メディア|64MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|マーベラスエンターテイメント|~|
|開発元|アートゥーン|~|
|発売日|2002年1月1日|~|
|定価|5,800円(GBA本体セット:15,600円)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|格ゲーとして破綻&brメーカー対応が香ばしすぎる&brマーベラスな正月の悪夢(ナイトメア)&brタカラ餓狼の再来|~|
|>|>|CENTER:''[[KOFシリーズ関連作品リンク>THE KING OF FIGHTERSシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-マーベラスが発売したゲームボーイアドバンス初の『KOF』。アドバンスセットでは限定GBAと同時発売された。
-本作は「オロチ編とネスツ編を繋ぐ立ち位置」として発表された。~
さらに、従来の携帯機向けKOFはいずれも低頭身にアレンジされていたが、本作では発売前に紹介されていた静止画では従来のKOFの見た目を遜色無く再現できているように見え、GBAでもネオジオ等身と同じようにKOFが出来るとファンは期待を寄せていた。……が、''見事に裏切られた。''

**特徴
-主なシステムは『[[KOF2000>THE KING OF FIGHTERS 2000]]』がベースなので割愛するが、キャラや背景の素材に『[['99>THE KING OF FIGHTERS '99]]』の物を多く使用している関係上、そちらがベースと誤解されやすい。
-本作オリジナルの新キャラクターとして、桜の花弁をベースとした技を使う「葉花萌」が追加。
-CPU戦は「チーム戦」と「シングル戦」の2つの他、チーム及びシングル戦の2つが選択可能な「通信対戦モード」、プレイヤー1人でどこまで戦えるか競う「サバイバルモード」、最終戦クリア時のタイムを競う「タイムアタックモード」、対戦の練習が可能な「スパーリングモード」、と基本的に選択可能なモードは家庭用KOFを踏襲している。
-シングル戦は『'99』や『2000』と同じく2人を選択し、片方をストライカーにする形式。
-操作モードはA,B,L,Rの4つのボタンを使用する「4ボタンモード」とA,B,Rの3ボタンを使用する「3ボタンモード」の2種類。それぞれオプションで変更出来る。

#region(キャラクター一覧)
-基本的に『'99』のものを踏襲しているが、主人公チームがオロチ編の京メインに戻っているなどいろいろと差異がある。
-唯一の新キャラクターとして主人公チームに葉花萌が参戦している。

-デフォルト6チーム+中ボス1人+ラストボス1人。ストライカー専用6人+隠しストライカー4人。
-()内のキャラクターはストライカー専用。チーム内に1人だけしか入れられず、加入させた場合は強制的にそのキャラがストライカーになる。
-通常キャラ4人でのエディットチームを組んだ場合やシングル戦では従来通りストライカーを毎回選択可能。

|~チーム|>|>|>|~メンバー|
|主人公チーム|草薙京|二階堂紅丸|&b(){葉花萌}|(矢吹真吾)|
|餓狼チーム|テリー・ボガード|アンディ・ボガード|不知火舞|(ジョー東)|
|龍虎チーム|リョウ・サカザキ|ロバート・ガルシア|キング|(ユリ・サカザキ)|
|怒チーム|ラルフ・ジョーンズ|クラーク・スティル|レオナ・ハイデルン|(ウィップ)|
|サイコソルジャーチーム|麻宮アテナ|椎拳崇|包|(鎮元斎)|
|韓国チーム|キム・カッファン|チャン・コーハン|チョイ・ボンゲ|(ジョン・フーン)|
|エキストラストライカー(隠し)|(K')|(マキシマ)|(山崎竜二)|(ヴァネッサ)|
|中ボス(隠し)|>|>|>|八神庵|
|ラストボス(隠し)|>|>|>|ギース・ハワード|

#endregion

**問題点 
''「SFC版の初代『[[餓狼伝説>餓狼伝説 宿命の闘い#id_71820f83]]』と並ぶ、もしくはそれ未満」と言われている程、ゲームとしての完成度が低い。''

-格闘ゲームとして''調整がまったく成り立っておらず''、不具合・バグだらけ。
--CPU戦ではしゃがみキックのみで勝ててしまう。
--リョウのしゃがみ強パンチが1ドットしか減らない。
--チョイの鳳凰脚やリョウの覇王翔吼拳のMAX版は通常版よりダメージが低い。
---が、ロバートのMAX版龍虎乱舞は体力ゲージの8割分のダメージ。通常版の3倍近く。
--萌の星読のダメージが異常に高い。
--萌はのけぞりがやけに大きい為、キングはミラージュキック→通常技→×nや、萌は歩き小Pでの永久コンボが決められる。
--キムは紅丸に対して鳳凰脚の最後の一発が当たらず、落下中に再度鳳凰脚が繋がる。ゲージ3本なら即死。
--ラルフのふっ飛ばし攻撃をキャンセルするとスーパーアルゼンチンバックブリーカーが当たるが、相手を投げ飛ばしている最中にグラフィックがずれて一旦相手が落ちてから拾う形になる。
---また、この途中で地面に落ちたところにストライカーが当てられる。クラークだとラルフが拾うはずだった相手を奪ってしまい、場合によってはラルフが固まる。
--ストライカー紅丸を当てた際に超必殺技を使うと相手がしばらく空中で震え、追い打ちが可能。
--テリーのライジングタックルは&bold(){降下中にも攻撃判定があるため隙が皆無}。
---ライジング(昇る)なのに降下のせいで強いとは中々面白いネタではあるが。
--ヒットストップが画面全体方式になっている。
--全ての飛び道具に発生保証がついている。
--足払いがカウンターヒットすると追撃が可能。スパーリングモードでは設定を弄れば永久コンボも可能。
--コマンドをまったく認識してくれない。
---ダッシュ、萌の外袖、MAX版超必殺技が出しにくいと言った辺り。
---リョウの暫烈拳に至ってはコマンド通りでは出せず、虎咆の暴発でなければ出せない。
-初心者向けという触れ書きで追加された「3ボタンモード」では強キックのコマンドが→+強パンチなのだが、密着して出す場合にコマンド的に通常投げがやたらと暴発しやすく、強キックを密着して確実に出すにはダッシュから出さなければならないため、結局通常の4ボタンが実践的というオチがついている。
-通信対戦をするとボタン設定が強制的に先に通信を始めた方のものになってしまう。

-ハードを考えても酷い演出やグラフィック
--画面写真だけ見ると本家KOF並のクオリティだが、いざプレイしてみると動きが悪く、カクカクしている。
--OPはボスキャラクターを除く全キャラクター(ストライカー専用の真吾と鎮元斎を含む)のバストアップ絵が表示され、最後に萌のバストアップ絵が表示されるだけの手抜き仕事。
---従来のSNK作品でも『リアルバウト餓狼伝説』などは本作同様にバストアップ絵が表示されるOPだったが、それらはちゃんと専用のイラストが表示されるなど手抜きではない。
--対戦チーム毎にステージが固定されている上に、ラウンド開始時の演出もカット。
---下水道ステージは『'99』だとエレベーターの演出がストーリー等と相まって盛り上がるのだが、その演出もカット。
--掛け合いも存在しない。

-音源やボイスなどの点。
--BGMの多くは『2000』のものがアレンジされているのだが、音源がファミコン並にしょぼい。
---しかもOPなどは音量が非常に小さい。
---『2000』からの曲は、音源がしょぼくなっただけで曲自体が極端に改悪されているというわけではないため、まだチップチューンアレンジと捉えれば聞けないこともない。~
しかし、よりによってストーリーモードの庵とギース戦のBGMがシリーズお馴染みの「嵐のサキソフォン」「ギースにしょうゆ」などではなく''オリジナル曲''のため、どうにも盛り上がらない。
--ボイスもこもっている上に数が少なく、やけにケチっている。
---テリーのパワーゲイザーなんかは原作だと「パワー…ゲイザー!」と言った具合だが、本作だと「パワー…''ほわぁ!''」と、中途半端に他のボイスを使い回している。
---しかもベースとなった『2000』の物を使用しておらず、何故かそれ以前の作品の物ばかりを使用している。~
例えば京は荒噛みの「ボディが甘いぜ!」等のボイスが、『'96』の頃の「燃えろ~!」や「喰らえ!」になっている。

-劣悪なストーリーモード。
--ストーリーは「優勝セレモニーの際に庵が襲い掛かる。撃退するとギースが現れ、庵の中に眠るオロチの力を覚醒させるために大会優勝者と戦わせたと発言。その後ギースと戦うが、倒されると即座に逃亡」程度で説明が済む。
---しかも倒されたギースはプレイヤー達に「逃げるのはお前達のほうだろう?」といいつつ&bold(){自分が真っ先に逃げる。}
---なぜ優勝セレモニーが行われずに庵がいたのか?ギースは庵のオロチの力を狙ってどうしようとしていたのか?などの点は不明である。
---前情報では「本編のオロチ編とネスツ編を繋ぐ」等と言われていたが、&b(){本作は繋ぐどころかどちらのシナリオともほぼ関係がない。}
//---ギースが自爆して逃げるのは恒例の事なので、ここは評価できるかもしれない。
//↑自爆が恒例なのはルガールでは?
--中間デモに専用のBGMやイラストが用意されているわけでもなく、立ちグラフィックと台詞のみで進行する。特にイラストがないのは致命的。
---さらに歩行グラフィックも使われずに''地面を滑るようにキャラクターが現れたり去っていく''というシュールさ。内容も状況説明ばかりでまったく面白くない。
--中ボスの庵戦とラストボスのギース戦は3対1なのだが、ボス側に補正もかかってなければ体力ゲージが実質3本分ということもなく、''同じキャラクターを3回KOさせる''という納得のいかない設定。しかも1回倒すごとに何事も無かったかのように登場デモが挟まれる。
---本編での3対1戦は相手に能力強化補正が掛かったりなどがされており、非常に強力になっているかわりに1回倒せば勝利となっていたが、本作のやり方は強引どころか馬鹿げているレベル。
---その本編ではクローンが登場していたり、ボンボン版餓狼伝説ではギースのこそ出ないがクローンが出るのもあって、相手が3体いるのはクローンだからと言うネタもあったりする。
--何故KOFの醍醐味であるチーム戦でこうなってしまったのかは理解に苦しむところだが、実は上記の不可解な仕様は''本作のシングル戦をやれば謎が解ける''。
---従来のKOFのシングル戦モードは通常の格ゲー通りの2本先取・最大3ラウンドで、一部の作品では設定変更でラウンド数が変更できるというのが普通だった。~
しかし、本作では''3本先取・最大5ラウンド固定''で、設定で変更することもできない。
---しかも対戦画面をよく見ると、チーム戦・シングル戦ともに体力ゲージ下に勝ちラウンド数を示す枠が存在し、勝利すると□□→□■のように埋まっていく。~
つまり本作はシングル戦でもチーム戦と同じシステムを使い回しており、内部的には同キャラ3人でチーム戦をやっているという仕組みなのである。~
尤も、さすがにシングル戦モードのみ体力ゲージはラウンド毎に全回復するようになっているため、本数固定であること以外の実質的な弊害はないのだが。
---このため本作にはそもそも「1人だけで戦う」という設定そのものが存在しないと思われ、件の庵・ギース戦も同様に内部的には同キャラ3人チームで疑似ラウンド制を再現しているに過ぎないのだろう。
--チーム毎にEDも用意されているが、デモと同じく立ち絵グラフィック流用のみの仕様なのでまったく盛り上がらない。
---2チーム程は専用のED曲が用意されているのが救いか。

-『'96』から久しぶりにKOFに登場したギースの仕様。
--餓狼チームでのクリアで使用可能になるが、性能は飛ばない疾風拳・発生の遅い当て身投げを持つ『'96』仕様。隠し技にデッドリーレイブは追加されている((一応、『'96』当時でもデットリーレイブを使えていたが、こちらでは没技扱いでチートを経由しないと使用出来ない仕様だったのだが、本作の仕様は『'96』当時の乱舞式では無く『リアルバウト餓狼伝説』シリーズで登場した際の連続入力式になっている。『'96』仕様のギースが再び使えるのなら、幻の当時仕様のデッドリーレイブを素直に復活採用させれば良かっただろうに。))が相当弱い。ラストボスとして出て来ても弱い。
---しかも任天堂携帯機における『'96』仕様のギースは一世代前の機種のゲームボーイで発売された『熱闘ザ・キングオブ・ファイターズ'96』で既に登場していた訳で……
---主人公チームのクリアでは庵が使用可能になるが、そちらは普通の性能のため中ボスとしても強い。
--キャラクター選択画面や対戦画面の顔グラフィックは通常キャラクターは『'99』の流用だが、ギースは『'96』のものなので明らかに浮いている。
---森気楼氏による公式イラストも他のキャラクターは『'99』の写実的なイラストを使用しているのにもかかわらず、彼だけ『'96』当時のアニメ調のイラストを流用。やはり浮いている。

-鳴り物入りで主人公チームに追加されたオリジナルキャラクター「葉花萌」もいろいろアレな性能。
--技はボイスが「つくよみ!」な星読や、発生が遅すぎて全然対空になっていない対空技の「燕飛」、庵の葵花の様な連続入力技だが、1段目と2段目が全然繋がらない「外袖」などことごとく変。
--ボイスは『[[真サムライスピリッツ>真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』のチャムチャムでお馴染みの元女優・千葉麗子なのだが、例によって演技が棒読み気味。「えい↓」「やー↓」
---チャムチャムのボイスも相当アレだったのだがクセになる点では評価されていた。しかし本作ではボイスの仕様のために更に悪化している。
---ちなみに続編『EX2』では必殺技は大幅に修正・仕様変更され、ボイスはともかく殆ど別キャラクターとも言うべき変貌を遂げている。
--本作にストーリーなど上のようにあってないようなものなので、新キャラかつ本作の主人公チームの一員である筈なのにキャラクター的にも非常に空気。
---中間デモでも庵に因縁があるのは京であり、ギースとの会話でも萌はヤジを入れるぐらいしかしない。エンディングでも、何かを思う京に対して疑問を投げかけるが''「別に。おまえにゃ関係ねえよ」''とばっさり吐き捨てられてしまう。いったい何のために出てきたのか……。
---一応、萌単独のストーリーでは庵から僅かに興味を示され、エンディングでは庵の独り言として萌が「十種神宝」であることが語られるのだが、庵自身は「だが俺には関係のない話だ」で済ませてしまうため、それについては一切分からず仕舞いで終わってしまう。
---続編でようやくきちんと設定が掘り下げられ、主人公チームの一員らしい設定が追加された。

-キャラクター選出の面
--「オロチ編とネスツ編を繋ぐ」という謳い文句だったためか、主人公チームがネスツ編のものではなく、オロチ編の京主体のものに戻ってしまっている。
---これにより、ネスツ編の主人公であったK'達は、本作ではストーリーと全く関係ない隠しのエキストラストライカーに追いやられてしまった。
---その隠しストライカーも『2000』主人公チーム勢ぞろいかと思いきや、ラモンの代わりに何の脈絡もなく山崎が入っている。人気キャラクターといえばそうなのだが、ネスツ編では『2000』のストライカーと『2002』のプレイアブル(一応こちらのほうが早い)しか出番がなかったので疑問なところ。
--容量の都合からか本編でお馴染みの女性格闘家チームはオミットされている。舞は『'99』同様に餓狼チームに所属し、キングも『2000』のように龍虎チームに入っているので完全消滅というわけではないが。

-ストライカー専用キャラクターの扱い
--ストライカー専用キャラクターは作中のストーリーデモやエンディングに一切登場しない。選ばれた基準もどうにも不明瞭。
---が、バックストーリーではジョーは外部のムエタイ大会に参加し、ユリは風邪をひいたのでタクマに看病してもらっているため不参戦……、~
つまりストライカーになっているキャラクターはストーリー上は「その場に居ない」ことになっている設定という全く以て謎な状況になっている。
---ちなみに雑誌アルカディア等で本作の記事が載った際には、第一報からしばらくの間はストライカー専用キャラクターの情報は全く無かった事から、制作時に何かしらの問題が生じていた可能性ある。
--その割にチームストーリーは''ストライカー専用キャラクターも含めた4人''でチームを組まないと見ることができない。
---例えば主人公チームは京・紅丸・萌・真吾の構成で、実際のデモには真吾は一切登場しないのだが、京・紅丸・萌・別のキャラという構成にすると、デモに出てくる3人は見た目上同じように揃っているのに台詞は京のエディットチーム扱いとなってしまう。
---また、CPU戦を公式チームでプレイする場合は必ずストライカー専用キャラクターが含まれているため、試合毎にストライカーが変更できず完全に固定されてしまう。

-その他細かなミス・不具合・クソ要素。
--説明書には「ジョー''あづま''(正:ひがし)」「''カ''ラクター(正:キャラクター)」などの誤表記。
--勝利ボイスがチャン・コーハンにしかない。
---更に巨漢であるはずなのに身長は他のキャラクターと同じくらい。
--キャラクターセレクト画面でカーソルを動かすと処理落ちする。
--フリーズも存在。
--プレイヤー一人でどこまで戦えるか競うサバイバルモードと最終戦クリア時のタイムを競うタイムアタックモードも追加されているが、それぞれクリアしても何の特典も無い。

**賛否両論点
-バトルアビリティの不採用
--ベースとなった『'99』と『2000』でのスコアシステムは「バトルアビリティ」という特殊な物を採用していたが、今作では『2001』以降の作品と同様の一般的なスコア形式に回帰している。
--一般プレイヤーにとっては理解しやすくなった反面、オリジナルでバトルアビリティを好んでいた層からは残念な評価を下される事がある。

-シングル戦やエディットチームのデモ
--本作は公式チーム以外で組んだりシングル戦を行った場合、メイン1人だけが対象ながらそれぞれのキャラクター個別で一言二言だけながら専用の会話デモやエンディングが用意されている(チーム戦では残り2人は棒立ちで無言になる)。
---本編ではエディットチームの場合は無味乾燥な汎用台詞になるケースが多かったため、個別にデモを用意したことについては無駄に頑張っていると言えるかもしれない。肝心のストーリーの中身が薄すぎるのはどうしようもないし、力を入れる箇所を間違っている気がしなくもないが。
--しかし内部的にはそれぞれのキャラクターの優先順位が設定されているらしく、選んだ順番に関係なく優先順位が高いキャラ1人のデモが優先されてしまう。
---本作のシングル戦はストライカーが居るため2人を選択する形式なのだが、例えばレオナと京を選択して終始レオナしか使っていない場合も''京のデモが優先''されてしまう。
---チーム戦でも、ストライカーに回していたキャラが何故かデモだけ出張ってきて台詞を全部持っていくという事態が起こり得る。
---これを防ぐにはシングル戦でエンディングを見たいキャラを選んだ後、必ずデモから除外されるストライカー専用キャラクターを選ぶと良い。

**評価点
-グラフィックは良い
--携帯機にしてはネオジオ版と遜色ないグラフィック、ACと同じ等身のキャラクターを採用。
--加えて、これまでの携帯機作品ではハードの都合上で近距離通常攻撃など何かしらの技が削除されていたのだが、本作ではハード容量の上昇によって登場しているキャラに限られているが殆どの技がネオジオ版と同様になっている。
--更に、キャラ選択画面のグラフィックも移植元の物を忠実に再現。

-使用ボタンの増加によって攻撃の強弱の使い分けが容易になった。 
--これまでの携帯機種で発売されたネオジオ格ゲーの移植版ではボタン数の少ないゲームボーイやネオジオポケットで発売されていた事もあってか、ボタンの圧力で攻撃の強弱の調整を行うというややこしい操作系統だったが、本作で従来のA,Bボタンに加えてL,Rの2ボタンが登載されそれぞれのボタンに強弱攻撃が割り振られた事により、ようやくアーケードと同等の操作系統を携帯機で実現出来たとも言える。 

-登場キャラが多い。
--KOFシリーズはチームバトル制を採用している作品なのだが、これまでの携帯機作品はハード容量の都合上、オリジナルからリストラされたキャラ数も多くなる傾向が見受けられていた。
--だが本作ではストライカー専用のキャラこそ多いものの、それを含めれば'99に登場していたキャラの殆どが形態問わず出演している事から、これまでの携帯機版KOFよりも多いキャラを使える点は評価出来る。

-試合中のボイス搭載。
--これまでの携帯機で発売されたネオジオ格ゲーの移植版ではボイスの再現が行われていないケースが非常に多かったが、今作はネオジオ版同様に試合中にキャラクターが喋る様になった。

-楽曲の再現性
--本作以前の携帯機で発売されたネオジオ作品の移植群におけるBGMは一部のフレーズがカットされていたり音程が非常におかしかったりと、
--再現性に難を抱えている物も多かったが、本作収録分の楽曲についてはそういった物が見受けられず、基本的に原作に忠実な楽曲が採用されている。

-システムの元となった『2000』でゲームバランスを崩した元凶のストライカージョーを含む、ダウン追い打ち効果のあるストライカーの削減。
--ただし、ストライカーリョウには残ったままである。
--関係はないが、チャンのストライカー動作が鉄球大圧殺から画面端から端までをローリングアタックで進むものに変更されている。

-ギースと萌の書き下ろしのバストアップ絵。
--前述した通り、本作の素材は基本的に『'99』の流用であるのか、新たに追加された2名は『'99』風のバストアップ絵が新たに書き下ろされている。

-本作では主人公チームの曲として使用されているが、続編では聞けない『2000』の紅丸チームのBGM(「INNER SHADE」)が聞ける。
--『EX2』では紅丸が参戦自体していないためか、主人公チームのBGMは原作では対戦時にしか聞く事ができなかった京のテーマ(「Good Bye ESAKA」)に変更。

-続編では見れないレバー入れ特殊技と各種通常投げの名前がコマンド表で見れる点。特に萌の通常投げとレバー入れ特殊技は本作でしか見られない。
//↑元が99なので少し違うのでは?
//本作の基本システムは2000のシステムを採用し、背景とキャラに99を使用している作品です。この事は多分勘違いだと思います。
//↑触ってみましたが2000が基本ですね……。

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**総評
次世代の携帯ゲーム機であるゲームボーイアドバンスでリリースされた本作は、鳴り物入りでPRされた割には格闘ゲームとしての出来はボロボロ、シナリオ面もボロボロと、全体的に出来が悪く、大失敗という結果になってしまった。

一応、グラフィックやシステム面などでネオジオの作品を再現している部分も見受けられている事から、携帯機でネオジオ製ゲームの忠実な移植が可能になる土壌が出来上がりつつある点を証明しているのも事実ではある。

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**余談
-メーカーの行動が非常に香ばしい。
--バグ情報を非難する書き込みの山。
---更に社員が一般人を装ってKOFのファンサイトで宣伝を行っていたのではないかという情報も。 
--そして、証拠隠滅のためか掲示板を閉鎖&リニューアル。
---ただ、SNKが倒産直後で混乱状態((実際、プレイモアが旧SNKの知的財産権の一括譲渡を受けたのが2001年10月30日(SNKの破産宣告と同日)という時期から考えても権利関係がゴタゴタな状況下での開発であった。))だったことと、ハードの都合でソースを泣く泣く削ってバグだらけになったとフォローできる点もあるが……
--ちなみに本作の開発下請けを担当したアートゥーンは主に3D系アクションゲームを手がけていた開発メーカーであり、それまで2D格闘ゲームを手がけた経験は全く無かった。
---一応誤解を招かないように言うが、アートゥーン開発の他のアクションゲーム等はそこそこな出来である(『ブリンクス・ザ・タイムスイーパー』、『[[ブルードラゴン>BLUE DRAGON]]』等)。要は「''全く格ゲー開発のノウハウのない会社に何故KOFを任せてしまったのか''」という、メーカー選択を誤った形。
---ただ、こちらはこちらで[[同じハードのロンチタイトル>ピノビィーの大冒険]]にてやらかしているため、全く負がないとは言えないかもしれない。また、『[[ヨッシーの万有引力]]』のように、アートゥーンが手掛けたことがきっかけで後続作品のゲームの質が落ちてしまったというケースもある。
---同社にとっても黒歴史なのか、当時のアートゥーン公式サイトの[[開発作品紹介の欄>https://web.archive.org/web/20091217140700/http://www.artoon.co.jp/jp/game.htm]]には本作だけが存在しなかった。
---ちなみに同社は後に吸収合併されAQインタラクティブ・マーベラスAQLを経て現在はマーベラスへと統合されているが、主なスタッフは合併前後に独立しアーゼストというメーカーを設立している。

|参考動画&br;&nicovideo(sm438661)|

**続編
続編の『[[THE KING OF FIGHTERS EX 2 ~HOWLING BLOOD~]]』は、発売元は同じだがデベロッパーはサン・テック((こちらはかつてSPSに在籍していた開発者たちがスピンアウトして興したデベロッパー))に交代し、旧SNK社員も開発に加わっている。~
詳細は当該記事を参照。
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