「ウルフファング 空牙2001」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ウルフファング 空牙2001 - (2022/04/01 (金) 14:07:09) のソース

*ウルフファング 空牙2001
【うるふふぁんぐ くうがにせんいち】
|ジャンル|アクションシューティング|&amazon(B000069SOB)|&amazon(B000069SOC)|
|対応機種|アーケード&br()プレイステーション&br()セガサターン|~|~|
|発売・開発元|データイースト|~|~|
|稼動開始日|1991年|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|>|>|>|CENTER:&color(black){空牙シリーズ}&br()[[空牙]]/''&color(black){ウルフファング}''/スカルファング ~空牙外伝~|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
データイーストファンから絶大な支持を受ける横スクロールアクションSTG。~
同社の縦STG『[[空牙]]』の続編。世界観は同一でストーリーも後日談になっているが、異なる歴史をたどったパラレルワールドと言う扱い。前作自機の同型機が背景に出現する場面もある。~
次回作の縦STG『スカルファング ~空牙外伝~』と併せ、三作品で「空牙シリーズ」とも呼ばれている。

**システム
***自機選択
戦闘機を操作するSTGだった『空牙』とは違い、本作では装甲機兵((装甲''騎''兵(装甲騎兵ボトムズ)ではない。))と呼ばれる人型ロボット兵器を操作する。
-本作は自機選択システムを採用している(厳密には自機カスタマイズシステムと言う方が正しい)。~
ゲーム開始時に以下のいずれかで自機を選択する。
--セレクトモード:あらかじめ組立済みの4機から選択。単純にAAA~DDDと言う組み合わせである。
--コンストラクションモード:ボディ・アーム・レッグの3パーツ(各4種類)を自由に組み合わせて自機作成。
#region(パーツ内訳)
-''ボディ'':サブウェポンが変わる。実際に見た目が変化するのは肩か背中に装備される武器パーツで、ボディ自体は共通。
--''ホーミングミサイル(HM)'':大量の誘導ミサイルをばら撒く。
---ザコ戦・ボス戦共に使える安定したウェポン。レベルに応じてミサイルの数が増える。強敵に対し近距離でまとめて当てて高火力を発揮させたり、雑魚の群れを蹴散らしたりと汎用性に優れる。ただし自機後方へは誘導性能がかなり落ちる。
--''エレクトリッガー(EL)'':自機の周囲に弾消し能力のある電磁バリアを張る。
---通常弾を消す事が出来る唯一の武装。レベルに応じて効果範囲が広がり、レベル3ならば画面のほぼ全体を覆いつくす。攻撃力には期待できないが小型雑魚程度なら対処できる。ただし無敵になる訳ではないので注意。
--''フレイムランチャー(FL)'':真上に火弾を打ち上げ、一定時間炎の雨を降らせる。
---真上を攻撃できる貴重な攻撃手段。自機周辺を守るバリアのような使い方も可能。レベルに応じて範囲と攻撃力が増す。攻撃が開始されてしまえば強いのだが即効性が無く、水平方向への射程も短いなど癖がある。
--''グレネードランチャー(GL)'':自機の左右に放物線を描く爆弾を投擲する。
---飛距離が短く扱いづらいが威力は高く、ボスや大型敵に接近して全弾命中させると瞬殺も可能。命中しなかった爆弾は地面に落ちて火柱となるが、火柱の高さは自機の全高と変わらないので(ジャンプ等で張り付かない限り)空中の敵には無力。レベルに応じて爆弾の数が増える。
-''アーム'':左腕に装備された近接攻撃用の武器が変わる。それに伴い範囲や威力、攻撃速度が変化する。なお「左腕に装備」と書いたように、反転時のグラフィックがしっかり用意されている。
--''ナックルショット(NS)'':拳で真っ直ぐに殴りつける。デモを見る限り素手ではなく「電磁メリケンサック」を装備している模様((ぶっちゃけ『蒼き流星SPTレイズナー』と同じデザイン))。
---攻撃範囲は非常に狭いが、ボタン連打時における「時間単位で出せる威力(DPS)」は最強(BSやICに書かれているDPS最強は裏技の類)。脚部がホバーの場合、足元の装甲車に対して密着すると攻撃が当たらなくなってしまうので注意。
---なお「KS」ではなく「NS」なのは公式表記である(余談参照)。
--''ビームソード(BS)'':腕に取り付けられた(手に持ったではない)ビーム剣を上から振り下ろす。
---威力は低いものの動作が軽く連発が効く上、切り払うモーションから最も広い範囲をカバーできる(真上から落ちてくる爆弾を切り払うこともできる)。また威力の低さも連打でカバー出来る事(DPSはナックルショットに次ぐ)から、最も扱いやすい武器とされる。
---外周当てというテクニックにより、条件限定ながら多段ヒットさせることが可能な為、上手く使えば近接で最大のDPSを出すことも出来る。
--''アイアンクロウ(IC)'':下から掬い上げるように鉄の爪で薙ぎ払う。
---ビームソードより単発威力が高く、連打力が低いと言った性能。モーションのおかげで下方を広く攻撃できる数少ない武器(逆にビームソードと違い真上を攻撃できない)。しかし下方への攻撃は有効な場面とそうでない場面がはっきり分かれること((一部の坂道、海中、空中戦のみ。ルートによっては後者二つは無い。))と、連打力に勝るビームソードの方がDPSでは上なことから扱い辛さの方が目立つ。
---ビームソードと同じく、外周当てが可能だが、ヒット数がやや少ない。ビームソードよりも狙える状況が多いのが利点。また、近接キャンセルタックルでのDPSは全近接中最大を誇る。
--''パイルバンカー(PB)'':金属杭を真っ直ぐに打ち出す。
---リーチと単発威力は最高だが、隙が大きい上に攻撃範囲は真横のみなので地上物以外には当てづらい。連打力の低さから実はDPSは最低であり、他の武器より明確に優れる場面は丁度1撃で倒せる敵(装甲車等)を相手にした時ぐらいで、リーチの長さを活かせないと持て余してしまいがち。
---一応、判定の持続が長いという利点があり、多段ヒットしやすいのだが、敵をノックバックさせる距離も他の武器より大きい為、扱いが難しい浪漫武器。
---縦の判定はNSと同じらしく、脚部をホバーにしてしまうと密着時に地面を走る装甲車に攻撃が当たらなくなるという絶大な欠点がある。
-''レッグ'':移動速度とジャンプ力、猟兵の搭乗可能人数に影響する。また機体構造も大きく変化するので食らい判定の大きさも変化する。
--''2脚'':猟兵搭乗可能人数は2人。若干食らい判定が大きいが移動速度が高めでジャンプ力もそれなりにある。機動面に癖がなく総合的にバランスのよい脚部。
--''2脚ホバー'':猟兵搭乗可能人数は2人。歩行型に比べてジャンプ力が増し移動速度が落ちたパーツ。食らい判定が最も大きいのが難点だが、ジャンプ力と移動速度のバランス自体は良く、常に浮いていることから地雷を避ける必要が無い。ジャンプすると食らい判定が非常に小さくなる。
--''4脚'':猟兵搭乗可能人数は4人。ジャンプ力は最高だが移動速度は最低と非常に癖が強いパーツ。特に水中や空中などジャンプ力を活かせない場面ではデメリットの方が目立ちやすい。ただし見た目に反して食らい判定自体は小さい(脚部が地雷以外に対して無敵)。
--''6輪'':猟兵搭乗可能人数は4人。ジャンプ力が最低だが移動速度は最高という4脚と逆のパーツ。通常状態でもしゃがんだ2脚と同程度の全高なので食らい判定が小さい((ちなみに6輪でもしゃがむ事が出来(サスペンションが縮む)、僅かながら全高が下がる))(ただし前後の判定は一番大きい。全高より影響は少ないが)。車両ながら水中や空中で強みを活かせるが、地上面ではジャンプに依存しない戦い方をする必要がある。
#endregion

-パーツの組み合わせによって機体のコードネームが決定される。
--単語として定められた法則性は薄いものの、(4×4×4=)64機種全ての組み合わせにコードネームが設定されている。~
例えば「ホーミングミサイル・ナックルショット・2脚滑走型」の機体は『蒼龍』となるが、ナックルショットをビームサーベルにした機体は『虎徹』となる。
--最も初心者向きとされているのは敵弾消しに優れ食らい判定の小さい機体(その分攻撃力が低いが)。具体的には「エレクトリッガー・ビームソード・2脚」のTYPE-51『紫電』か、「エレクトリッガー・ビームソード・6輪」のTYPE-63『月光』。
---ただし、ある程度プレイすると分かるがどんな機体にも長所短所があり、プレイヤー個人個人で扱いやすい機体は分かれてくる。また一般的な評価とは別に&bold(){自分にとって最も手に馴染む愛機}を見つけ、それで戦うのが本作ならではの醍醐味でもある。
--尚、画面上の表記にコードネームが付与されるのは日本版限定。海外版はタイプコード(TYPE-〇〇)のみとなっている。

***操作方式
操作体系は1レバー3ボタン(ショット、ジャンプ、サブウェポン発射)
レバー左右で自機は左右移動。レバー上でショット発射方向を斜め45度上に。レバー下でしゃがむ(被弾判定が小さくなる)。

-ショットは4種類ある。ショットボタンを押すと自動連射。右腕に装備。
--ゲーム中で出現する「Power」のアイテムを取るとショットがパワーアップする。
--ショットの種類は、ゲーム中で「ショットチェンジ」アイテムを取ることにより切り替えられる。
---このアイテムにショットを当てる事で4種類に変わり、取った種類のショットに変更される。現在のショットと同じものを取ると得点になる。また4ループさせると爆発して画面の敵全てにダメージを与える。

#region(ショットの種類)
-''V(バルカン)'':扇状に針弾をばらまく。パワーアップするごとに3Way⇒5Way⇒7Wayと攻撃範囲が広くなる。
--ザコの多い道中では非常に頼りになり、ミサイルなど破壊可能弾への防御力にも優れる。一方で火力に乏しいためボス戦では撃破に時間がかかり持久戦に陥りやすい。
-''C(クラスターショット)'':円を描きながら飛んでいく複数の弾を1グループとして発射する。パワーアップによって1グループの弾数が増え円軌道が大きくなるが、同時に画面内に発射できるグループ数には限りがある。
--攻撃範囲はバルカンよりは狭いがパワーアップ済みなら必要十分な制圧力はあり単発火力も向上しているため、破壊可能弾の迎撃、対雑魚、ボス戦など場面を選ばず通用する。ただし無暗に連射するといわゆる弾切れを起こすため、上手く扱うには慣れが必要。
-''G(グレネードガン)'':自機から直線状に飛んでいき、敵に命中すると炸裂し爆風が残る。
--威力は高く爆風には敵弾を消す能力もあるので対大型ボスに向いた武装((実際、一部ボス相手だと封殺が可能(弾がほとんど飛んでこなくなる)。))。その反面、連射速度は低く命中判定も小さいため、小型の敵が四方八方から攻めてくるなど複数の敵に対処するのはかなり厳しい。基本的にはボス戦用の兵器。
-''L(レーザー)'':貫通性のある高威力なレーザーを照射する。
--近接攻撃が出てしまうとレーザー照射が解除されてしまい、再び攻撃判定が発生するまでに多少の時間がかかり隙が生じる特性がある。貫通性があるため前述のポイントを押さえれば敵を薙ぎ払うことも可能で道中でも使えなくはないが、基本的にはボスに速攻をかける用途が主。
#endregion

-ショットボタンを押したままだと、自機の左右方向をホールド(固定)する。ボタンを離すと自機はレバーを入れた方向に応じて左右を向く。
--ショットはレバー上中下で正面と上方45度の二種類の方向に切り替えできる(下はしゃがむことで中よりわずかに打点が下がる)が真上へのショットは不可能。下方へのショットもバルカンやクラスターでの正面攻撃時のオマケだけである。切り替えは一瞬であり、薙ぎ払うような動作はないので、レーザーやグレネードだとその隙間は死角である(バルカンやクラスターでもパワーが低いときは死角になる)。
--敵に肉薄すると、ショットが自動的に近接攻撃に切り替わる。押しっぱなしでも自動的に連続で攻撃するが、ショットボタンを手で連射すると素早い連打攻撃が可能(連打速度は近接武器の種類による)。
---近接攻撃のモーション中にダッシュ操作をするとモーションがキャンセルされるので、近接武器による威力の低さをこれで補ったりモーションの遅さによる隙を小さくすることが出来る。

-ジャンプボタンでジャンプやダッシュを行う。
--ジャンプの軌道はやや特殊で、上昇、下降速度はほぼ一定、空中ではかなり大きく左右に動くことができる(いわゆるデコジャンプ)。ジャンプ上昇の半分以降から、レバーを下に入れると高速で地上に降りる事ができる。
--斜面や水中では、自機はレバー上下で上下移動。ジャンプボタンで上方向へ高速移動する。
--しゃがみ中にジャンプボタンで高速ダッシュ。これで敵弾をくぐる事ができる。ダッシュ中、敵に接触するとダメージを与える事が出来る(通称タックル)が、ダッシュが停止してしまう。ダメージ量はパーツに関係なく固定。
---ダッシュは向いている方と逆にレバーを入れて行うと距離の短いダッシュになる。これを利用して近接攻撃→ダッシュキャンセル→近接攻撃と繰り返すことで硬い敵に短時間で大ダメージを与えられる。

-サブウェポンは時間チャージ式のゲージ制。
--ステージ開始時は使用不可能だが、時間と共に1段階目→2段階目→フルチャージ(3段階目)となり威力が上昇。一度使用するとゲージは0になり、最低でも1ゲージ溜めないと使用不可。
--チャージ速度は、エレクトリッガー→ホーミングミサイル→フレイムランチャー→グレネードランチャーの順に長くなる。
--ゲーム中では、即座にフルチャージになる「チャージ」アイテムも出現。

***ゲーム内容
ステージ選択制度及びマルチエンディング採用。~
2人同時プレイもでき、途中参加も可能である。
-ステージが進行すると、次のステージを選択する事ができる。5ステージで全4コース((1,2ステージと4,5ステージの間には分岐が無い。))。その際、難易度は「生還率」と表記される。
-隠しコマンドを使用する事で、分岐無しで全12ステージをプレイする事ができる「ROHGA(狼牙)モード」がプレイできる。(コイン投入後1P側のショットボタン、サブウェポンボタンを押しながらスタートボタン)
-なお、狼牙モードのエンディングは、高難易度ルート(Aルート)のエンディングと同じ物となっている。
--また後述の海外版ではこのモードがメインに変更されている。

ステージは真横からの視点の横方向強制スクロール。常に重力が働き、自機は地表を走行する。斜面、水中、空中ではレバーでの8方向移動が可能になる(何もしないと斜面では下方向に、水中では上方向にゆっくり移動する)
-自機は1機のみのライフ制。ゲーム開始時のライフは6ポイント(標準設定)、最大値は9ポイント。標準設定ではステージクリア時に1ポイント回復((回復しない設定にもできる))。
-アイテムは先述のショットチェンジ・パワー・チャージの他に、「ライフ(1ポイント回復)」と「猟兵」がある。
--アイテムは満タンの状態で取ると得点になる。ショットチェンジアイテムは、同じものを取り続ける事で得点になる。
--猟兵((武器を持ち装甲服を纏った随伴歩兵。機甲猟兵では(ry))は装甲機兵の腰に乗り自動で敵を攻撃してくれる。最大数以上取得すると得点が入る。
---攻撃力が低そうに見えるが、実はメインショットであるバルカン二発分程度の威力がある弾を打ち出す為、最も弱い雑魚程度なら一撃で墜としてくれる。特に6輪や4脚は4人乗れるのと相まって非常に強力。
-ライフが0になると自機が破壊されるが、パイロットが脱出して戦闘を継続する。生身の状態で被弾するとゲームオーバー。
--生身の状態ではショットパワーが最弱に固定されサブウエポンも近接攻撃も使えなくなるが、当たり判定が非常に小さくなる。また背中のバックパックでホバー飛行しているため、ダッシュやジャンプを含め装甲機兵以上の機動力を誇る(ジャンプは速すぎて逆に問題だが)。
---生身状態でダッシュすると、敵本体をすり抜けられる。当然、敵弾をすり抜けることはできない。
---また、猟兵も機体破壊時に放り出されるが、拾えば『[[グラディウス]]』のオプションのように自機に追従する。
--生身でライフ・パワー・チャージを種類問わず合計3つ取ると、機体を復活させる事ができる(この場合、残りライフが2ポイントの状態で復活)。また生身でステージクリアすると、次ステージ開始時には復活した機体に搭乗できる(残ライフが1ポイントの状態で復活)。どちらの方法で復活しようともショットパワーは最弱状態である。
--生身の状態に限り走行点が加算されるため、あえて機体を破壊させてこの状態で進むスタイルも一応あるが、弊害として永久パターンの問題点(後述)も出てきた。
-アイテム出現関連
--ゲーム攻略に直結する部分になるが、アイテムの出現条件が非常に特殊になっている。
--アイテムは、固定アイテムと非固定アイテムに分かれる。固定アイテムはステージ毎に出現位置が決まっている。また、非固定アイテムの出現条件はスコアであり、出現順番は固定されている。
--ライフアップアイテムだけは特殊な条件になっており、2万点以降の、千の位が9になった場合に出現するのだが、9の位を通らずに一気に桁上がりさせてしまうと、次の9千点を取得するまでアイテムの出現が完全に停止する。
---停止するのはライフアップだけではなく、固定アイテム以外の全て。ライフアップの回数も含めて、スコア調整をどうするかがゲーム攻略にとって非常に重要になってくる。

----
**評価点
-パーツ構成によって劇的に変化する自機性能ながらも、それぞれに特徴があり、異なった攻略パターンを要求されるステージ展開。
--それに伴い、自分の最も使いやすい機体に専用コードネームが与えられる事も相まって愛着が湧きやすく、思い入れも強くなる。
--ステージ選択制度を採用しつつ、機体構成によって攻略法方が変化するため、飽きが来にくい作りにもなっているのも評価点。
-丁寧な演出、濃厚な世界観、綿密なグラフィック、評価の高いサウンド。
--BGMはフュージョン系でまとめられている。特にステージ1のBGM「WOLF FANG -狼牙」は格別評価が高い。
--ボス出現前にオペレーターから警告があり、弱点を教えてくれるなんてのは勿論、ステージ開始時とステージ選択時にもオペレーターや上官からの指令が表示され、戦況を把握する事も出来る。
--水しぶきを上げて着水する輸送機や、「Commence your attack」の声と共に出撃する自機など、ロボット物の展開をがっちり抑えた演出も。
--メカニックデザインも評価が高い。要所要所で一騎討ち((後半は稀に2機同時戦闘))を仕掛けてくる敵ロボット「バーサーカー」や、後半のボス「フリムスルス」「ノルン」等、北欧神話から引用した名前のボス達はそのデザイン、攻撃方法もあって印象的。
-巨大ロボット(装甲機兵)を、システム・操作面から「それらしく」描いている。腕で銃を掲げて上空の敵を撃ち、膝をかがめて地に伏せるなど、シンプルでありながらロボットらしさを実感できる理にかなった操作であり、しかもそれがゲーム性にも深く結びついている。
--自機が破壊されてもゲームオーバーとならず、パイロットが生身のまま戦闘を続行する点もユニーク。身体ひとつで激戦の真ん中に放り出される心細さと喪失感は強い印象を残し、巨大ロボットの頼もしさを逆説的に実感させる。

**問題点
-高い難易度
--と言うのも、独特な操作システムにより、慣れるまでは振り向き撃ちがやりにくい仕様であるため。
--敵は画面の左右から容赦なく入り乱れて出現してくるので、振り向き操作を身に付ける事は必須。
--敵出現パターンを覚えればそれほど難しくなく、更に選択した武装を有効に活用する事で難易度を劇的に下げる事ができるものの、それだけに取っ付きが悪く、稼動当初は評価が芳しくなかった。
-システムも、前述のようにやや複雑で特殊操作が多彩。格闘ゲーム等と比べるとまだ簡潔な部類だと言えなくもないが、アクションシューティングとしてはややハードルが高い。
--左右の打ち分け、ダッシュといった操作を身に付け、機体ごとにより異なるジャンプ軌道を把握し、出現パターンを覚え、サブウェポンの使い所を覚える。
--高い難易度ではあっても、プレイする毎に、そしてやり込む毎に前に進んでいくゲームなので、一度ハマってしまえば面白いゲームではある。
//-パーツ性能差
//--各パーツの強弱がはっきりしており、せっかくのコンストラクションモードが役に立っていない。
//---特にボディは攻撃力は低いが唯一弾消し性能のあるエレクトリッガー、アームは攻撃範囲が広く攻撃速度で攻撃力の低さもカバーできるビームソードが最強とされている。
//---レッグパーツのみは、バランスが良く(ただし猟兵搭乗数は少ない)見た目も良い初心者向けの2脚滑走型と、ジャンプ力は低いが移動速度が速く猟兵搭乗数が多い玄人向けの6輪走行型に分かれる。
//---もっとも対人戦は無いので大した問題ではない。最初は楽な機体で腕を磨いて、腕試しに扱いの難しい機体にチャレンジするという遊び方も可能であり、64機種総てで狼牙モードの1コインクリアが可能な事も確認されている。
//↑エレクトリッガー+ビームソードは最強ではありません。防御(弾消し)に特化した組み合わせであり初心者には扱いやすいのですが、絶対的な攻撃力の低さが弱点です(特にドムを瞬殺できないのがキツいです)。本作のパーツ性能はそれぞれ一長一短でバランスが良いと思います。
//むしろ、手馴れたプレイヤーになるほど、その組み合わせの弱さを理解できるようになります。自分のスタイルで武器の強弱が変わるゲーム、という点で考えると、いいバランスに纏まってるのでは? 2Hも初心者が使うには喰らい判定、武器相性が出るせいで若干きつい脚部ですし、ちゃんとプレイして書いてるように見えないんですが……
-永久パターンあり
--一部ボスが自爆も撤退もせず、時間により耐久力が下がっていき最終的に1になる仕様(一定時間粘った後ならバルカン1発でも撃破できる)のため、攻撃せずに回避し続ければ永久パターンとなる。しかも生身の状態では攻撃せずとも時間で点が入る為、ゲーメスト誌でもハイスコア集計は打ち切られてしまった。
-裏ワザによるインカム低下
--熟練者が先述の「ROHGA(狼牙)モード」でプレイした場合、全面クリアまでの総プレイ時間は1時間を超える。この裏ワザが知れ渡るにつれてお店が得られるインカムも低下していき「稼げないゲーム」という評価がくだされてしまった。名作でありながら比較的短期間でゲームセンターから姿を消してしまったのは、この事情(および先述のハイスコア集計打ち切り)の影響が大きいという意見もある。

----
**総評
難易度という名のハードルこそ高いものの、そこを乗り越えた先に待つのはむせ返る程に熱い世界観、サウンド。美しいグラフィックと演出。変幻自在の攻略と奥深いゲーム性。やればやるほど本作の虜になっていく。~
とっつきの悪さもステージ選択制度による難易度調整、様々な機体によって異なる攻略パターン、がらりと変わるステージ展開から、ステージの先を見たいという誘惑と、単純に触るだけでもそこそこ楽しいと言う至極単純な要素を含めて、他の高難易度ゲームよりもハードルが低い傾向にある。~
あらゆる面において隙の少ない、完成度の高い2Dアーケードロボットゲーム。
今尚、根強いファンが多いゲームでもあり、もしも万が一何処かで見かけたら、一度……と言わずに何度もプレイしてみる事をお勧めする。
//「最高傑作」という表現は個人の好みによる部分が極めて大きいので削除

----
**移植
-プレイステーション版(1996年5月10日発売)
-セガサターン版(1997年3月28日発売)
--両機種共にエクシングエンタテイメント販売、辻事務所による開発。PS/SS版共に何故かタイトル画面のAC版年表記が199"4"になっている誤記が有る。

-PS版は、2003年8月28日にハムスターより廉価版が再発売されている。また、2010年4月14日よりゲームアーカイブス用ソフトとしてPlayStation StoreにてPlayStation 3、PlayStation Portable用にダウンロード販売が開始された。
-SS版は、PS版の移植と呼べる物であり、PS版を元に移植されているため、AC版とは若干プレイ感覚が異なる。ステージ演出、音声等、PS版と違う点がいくつかある。
-移植版の特典として、新しい操作方法を盛り込んだプラスモードや、オープニングムービー・プラスモード用の新規BGM(全BGM差し替え)・音声・隠しカラー(茶・黒・白・紫の4色)の追加など、オリジナル版にはなかった新要素が盛り込まれている。
-プラスモードでは、2W・6Wの二段ジャンプ、2Hの空中ダッシュ、4Wのホバリングが可能となっている。専用BGMは賛否両論あるが、アーケード版のオリジナルBGMに切り替えることもできるようになっている。
--特に空中ダッシュやホバリングは独自性が強く、原作とは大きく異なった戦い方が可能になる。
-サターン版のみ、オリジナルステージが追加されているほか、オープニングムービーが若干追加されている。しかもBGMがCD-DA形式で収録されているため、CDプレイヤーで聞く事もできる。
--移植に当たり別BGMが収録されるという触れ込みで発売されたが、そのBGMがアレンジでもなく全くの無関係、尚且世界観に全く合っていない扱いに困るBGMなのでオリジナル版のループが削られただけの存在意義を疑う物となっている。

-移植度
--ゲーム性については、ほぼ完全な形で移植されていると言えるのだが、ゲーム自体の移植としての評価は残念ながらあまり高くないと言えるだろう。評価の悪い理由は以下の通り。
---バグ(ボスパーツ無敵化等)の存在。ランク計算が完全に狂っている(ノーダーメージ時の敵出現パターンが、難易度最低ランク時のものになる等)。
---敵、及び自機の挙動が若干異なる、等(PS版では若干敵の挙動が変化しているのだが、SS版では、なぜかPS版ともAC版とも違う挙動を取る敵がいる。ドウシテコウナッタ……
---また、各所での演出も、一部削除されていたりする。大抵は普通にプレイしている場合には気付きにくい場所である事が多いのだが……
--とは言え、今現在、一番気軽にプレイ出来る媒体である事と、アーケード版をやり込んでいなければあまり気にならない部分ではあるので、まずは移植版からプレイしてみるのもいいだろう。
--オペ子の違い。アーケード派はSS版をどうぞ。 https://twitter.com/famico_man/status/1007185056610201600

----
**余談
-当初は『狼牙』というタイトルだったが、既に商標登録されていたため『ウルフファング』となった。なお海外版タイトルは『ROHGA』である。
-「第6回(1992年)ゲーメスト大賞」(アンケート方式)で総合2位を獲得。
--同時に「ベストシューティング賞7位」「ベストアクション賞5位」だった。その為「アクションシューティングだったのが災いして票が割れた」と言う意見があった。
//大賞(総合1位)が『[[ストリートファイターII']]』と言う化け物だった事もあり「他の作品がストII'(ベストアクション賞1位でもある)に票を食われた結果の棚ボタで総合2位」と言う評価が編集部の総評であった。
//条件は他のゲームと同じなんだから「他の作品がストII'に票を食われる中総合2位を獲得した」というのは逆にファン人気に支えられた証拠であり、棚ボタというのは悪意に満ちた表現では。あとゲーメスト編集部のその総評は見た記憶が無いんだけど、よければソース出してくれないかな
--なおゲーメストでの攻略は何故か途中で打ち切られている。永パ発覚の影響だろうか?
//途中で打ち切られてるのは確かだけど、数回連載されていた。
-その所為なのかは判らないが、移植はかなり遅かった。しかも忠実に移植をしないと定評のエクシングだったため、原作ファンからの評判は宜しくない。詳しくは上記のとおり。
-1面開始時の「&size(25){''酒''}落にもならん」という誤字は&size(25){''洒''}落になってない誤字として一部で有名。
--プレイステーション版およびセガサターン版では「洒落」に修正されている。同様に機体構築画面の「NUCKLE」「CRAW」といったスペルミス(正しくは「KNUCKLE」「CLAW」)も修正されている(が、ファンの間でのナックルショットの通称はNSのままである……何故だ)。