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オシャレ魔女 ラブandベリー - (2016/04/21 (木) 17:50:06) のソース

*オシャレ魔女▼ラブandベリー
【おしゃれまじょ らぶあんどべりー】~
※本来は▼部分はハートマークですが、環境依存文字に付き代用しています。
|ジャンル|トレーディングカードアーケードゲーム|~|
|対応機種|アーケード(SYSTEM SP)|~|
|発売・開発元|セガ|~|
|稼動開始日|2004年10月30日|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
『[[甲虫王者ムシキング]]』に続くセガのキッズカードゲーム(子供向けTCAG)で女児をターゲットとしており、その層に親しみやすい魔法少女ものの世界観に基づいたストーリーやキャラクターを取り入れ、「ファッションとダンス」をテーマにしている。~
ゲーム内容は「おしゃれまほうカード」を使ったコーディネイトと相手とのダンス勝負(簡易的な音ゲー)の二つから構成される。

**ストーリー
主人公ラブとベリーは、普段は仲良しだが、オシャレに関してはお互い競い合うライバル同士。「ナンバーワンのオシャレ魔女になる」という目標をかなえるため、今日も2人はファッションとダンスの修行に励む。

**ゲーム内容
コーディネートを行ったあとCPUおよび対戦相手とのダンス勝負となる。コーディネイトとダンスの両方の評価が高い方が勝ちとなる。

***コーディネート
-コイン投入後、おしゃれまほうカードが1枚排出される。その後、「ラブ」「ベリー」「ミーシャ」((ミーシャは途中から。))の三人のキャラクターから1人を選ぶ。

-コーディネートパートでの得点は「オシャレパワー」と呼ばれる。

-おしゃれまほうカードは「ヘア&メイク(髪型および化粧)」「ドレスアップ(服)」「フットウエア(靴)」の三つにわかれておりそのコーディネートを組み合わせる。
--各カードには「ラッキーカラー」が設定されており((キャラごとにラッキーカラーが違うカードもある。))、上手くあわせると高得点に繋がる。

-ダンスのTPO(ステージ)との相性もオシャレパワーの評価に含まれており、それらを考えた上で高得点を狙う。

***ダンス
-ダンスの操作は画面下のタンバリンを叩くタイミングにあわせてボタンを押していく。
--難易度が一番下の「ちょーかんたん」であればタンバリンを叩く回数およびタイミングが出る。

**評価点
-『ムシキング』の女児版を目指しただけのことはあり「女の子向け」に徹底してこだわった。
--まず、キャラクターデザインはアニメ調のグラフィックではなくリカちゃん人形のようなデフォルメの少ないやや写実的な造詣の着せ替え人形風味にしており、ターゲットの女児が親しみやすいデザインとなっている。これはいわゆる「大きなお友達狙い」はせず、純粋な女児向けを志向するという意図から来ている。
--『ムシキング』のようなバトルではなくダンスにした点。これは親の側からも子供が安心してゲームを遊べるようにした配慮ともいえる。
---この「コーディネイト」と「ダンス」という二つの要素は、以降の派生作品の数々が本作を踏まえることになる。

-カードの豊富さとやりこみ要素
--4年間も続いたシリーズだけのことはありおしゃれまほうカードはプロモーションカードを含め200種類以上になる。3種類のカードと3人キャラクターによって分けられるためバリエーションは無数ともいえる。シンプルなゲームルールと相まってやりこみ要素は高い。

-デザインのクオリティの高さ
--カードに登場する服のデザインのクオリティは高く、実際に商品化された服も多い。

**問題点
-ムシキングと異なり低年齢層に特化している為かある程度の年齢の女児がプレイするのには辛い物がある。
--服も一つのカテゴリに決められておりダンスのテーマとあっていればどんな服でもクリアー出来てしまうのでゲーム性は低め。モードもダンスのみ。
---カードも薄いキラ加工がしてあるので統一されており、他のカードゲームにあるようなキラキラ光るカードや綺麗なイラストのカードなどは存在しない。この為、コレクション性も低い。

-音ゲーとして見ると単調。
--ボタンも1個のみで楽器もタンバリンだけなので少々物足りない。音楽のジャンルもポップスだけ。
---本作はゲームとしてよりもキャラクターを眺めて楽しむという要素の方が強いので着せ替え人形で遊んだことのない女児にはイマイチ面白味が伝わりにくかった。

-ストーリーが薄い。
--簡単な人物紹介とプロローグが紹介されているだけ。物語性は皆無に等しい。
---大人でも考えさせられるストーリーだったムシキングと比べるとやや薄っぺらさは否めない。

-絵柄があまりかわいくない。
--上記の通り着せ替え人形をモチーフにしているのでリアル志向が強く、可愛らしさは少なめ。
---服を着せ替えている時や踊っている時も表情が変わらずお面のような顔立ちであり、一部では「気持ち悪い」と言った声もあるなど、肝心の女児からもあまり評判が良くなかった。

-本作に限ったことでは無いが、稼動終了後の現在はカードはコレクターズアイテムでしかない。
--だだし、本作はDS版(後述)でスキャンして使えるので決して無意味ではない。

-三人目のキャラクター「ミーシャ」の使える期間が短かった。
--稼動終了直前の弾であった「2008年夏バージョン」からであり事実上2弾のみしか使えなかった。

-本来のターゲット層である女児の周囲のプレイ環境を懸念した結果、男性客が主な顧客層である一般的なアミューズメント施設に置かれることが少なかった。

**栄光の輝きと転落の末期
-今まで「男の子向け」のイメージが強かったカードゲームを「女の子向け」にした本作は大ヒットを記録した。
--女の子がもっとも好むオシャレをテーマにした点、そして殺伐さを感じさせないダンスバトルという設定からくる明るい作風が大いに評価された。
--当時のゲームコーナーは本作とムシキングは欠かせない存在になり、テレビ番組に取り上げられたりお笑い番組のパロディに使われたりするなど一躍有名になったのである。
---休日には行列が出来ていた事もありいかに本作が人気だったことが伺える。

-ゲームに登場する服を実際に販売するアパレル展開も行っていた。
--完成度も高く人気絶頂期だった事もあり発売後即売り切れになることもあった。オークションではとんでもない高値が付いたこともあり、入手困難な時期が続いた。
---ちなみに、服の一部は洋裁学校の生徒がデザインした物もあり、生徒にとってもいい勉強の機会になっていたと言える。

-金銭的にも優しく遊びやすかった。
--封入率の低い所謂レアカードと呼ばれる物は少なく、組み合わせさえあっていればどのカードでもクリアー出来るのでとっつきやすかった。
---レアカードもない訳ではなかったが、ムシキングと異なり強力な効果を持つのではなくゲームをやや有利にする程度の能力しかなかったのでなくても格差なく遊ぶ事ができた。

-このように全盛期は凄まじい人気を誇った。アパレルだけではなく子供向けフォトスタジオで本作のドレスを着せ、写真やポスターにするサービスが企画されたり、神奈川県藤沢市の東片瀬海岸にて、本作の公式の海の家が開設されたりと多くの企業や団体が本作のブームを利用した。同時期に同じく大ブームを巻き起こした「ふたりはプリキュア」とも互角な勝負を見せ、多くの女児を魅力した。
--ムシキングと違い、同社が似たようなジャンルのゲームを出さずファン同士の同士討ちをさせなかった事も女児の人気を集めた事に繋がった。

-ところが、その輝きは2006年を境に急激に失われる事になる。あまりの失速の早さに設置店が困惑したと言われるほど。その頃はまだムシキングが現役であったためそこまで危惧されていなかったが、翌2007年からはそのムシキングも低迷し始め2つの看板作品を掲げていたSEGAの業績はそれまで鰻登りだったのに対し非常に悪化する事になった。
--ムシキング以上に衰退のスピードが早く「''若い女性が一瞬でおばさんになった''」とも言われた。

-上述のアパレル展開は2007年秋頃に終了したものの、ブーム終了までに全て売り切る事が出来ず結果的に膨大な在庫を抱える事になってしまった。
--本作に登場する服がバーゲンセールに投げ売りされたり2008年初春の福袋に入れられてまとめて売られるなど、転売されるほど人気だった面影は跡形もなくなっていた。

あれだけの人気を誇った本作がなぜここまで没落してしまったのかについては以下の理由が考えられる。

-一番の理由はやはりムシキング同様に独占状態だった市場へのライバル進出だろう。カプコンの「ワンタメ ミュージックチャンネル」やアトラスの『きらりん☆レボリューション ハッピーアイドルライフ』やバンダイの『超ねんじゅーかいさい カードでおーえん! たまごっちカップ』の稼働が始まるとそれらにメインターゲットの女児を大量に奪われてしまった。
-カードゲームの割に戦略性やカスタマイズ性が低く、ハイスコアなども表示されなかった為プレイスタイルがマンネリ化しやすく飽きられてしまったこと。ゲームシステムの構造上、派生作品や新モードを出せなかった。それに加え一般的に男児よりも飽きやすいと言われる女児をターゲットにしていたので尚更であった。
-低年齢層に特化し過ぎた為、ファン層が女児に限定され大人のプレイヤーがいなかったこと。特に金銭的に余裕のある「大きなお友達」と呼ばれる男性のファンがつかなかった事で女児が離れた後でも遊ぶユーザーがいなくなってしまい、衰退のスピードをより速めてしまった。

-新キャラクターを追加したり服の種類を増やす等のテコ入れも行ったがブームが再燃する事はなく、本作を撤去する店も続々と出てきており2007年辺りからはすっかり終焉ムードが漂っていた。
--ムシキングと比べアニメ化しなかったことや漫画のコミカライズが少なかった事、筐体やシステムが変わり映えしなかった事もライバル達に差をつけられた原因になった。

-そして2008年9月8日、本作はひっそりと稼働終了した。最期はムシキングよりも悲惨で完全に忘れ去られた存在となってしまった。せめてもっとファン層を広げ、大人も楽しめるゲームにしていれば稼動期間も、もっと延びていたかもしれない。

**総評
徹底して「女の子向け」にこだわった本作は、狙い通りの大ヒットを果たした。~
斬新なシステムを取り入れ後発の同ジャンル作品における雛形を作り上げた功績は大きく、今でも女児向けTCAGの元祖と呼ばれている。~
しかし、競合作品が登場するに連れてシステムの欠点や不満点が続出するようになり、更にはターゲット層を絞りすぎたことであまりにも早すぎる失速を迎えてしまった。

残念な結果に終わってしまった本作ではあるが、以降の派生作品に多大な影響を与えたことを鑑みれば、女児向けキッズカードゲームの草分け的存在といっても過言ではないだろう。

**余談
-2006年11月22日にニンテンドーDS用ソフト『オシャレ魔女▼ラブandベリー ~DSコレクション~』が発売された。これはおしゃれまほうカードを使用できる専用カードリーダーが付属されている。
--セガの国内向け家庭用ソフトとしては、セガサターン版『バーチャファイター2』以来の2本目のミリオンタイトルとなった。

-本作のプロデューサーのダンディ植村こと植村比呂志氏の[[インタビュー>http://www.excite.co.jp/News/bit/00091126149161.html]]によると本作の企画を打ち立てたのはデザイナー以外、男性のみのチームだったという<script id="gpt-impl-0.8005700560106844" src="http://partner.googleadservices.com/gpt/pubads_impl_81.js"></script>。

-後継作として『リルぷりっ ゆびぷるひめチェン!』が2009年12月9日から2011年11月25日まで稼動していた。本作の欠点を解消しより年齢層を広くした作品になった。
--しかし、本作ほどの人気を得る事は出来なかった。なお、『リルぷりっ』の後継作は発表されておらず、セガの女児向けキッズカードゲームは途絶えている。

-本作の失速を見てか、以降の女児向けTCAGは大人から子供まで楽しめるTCAGが中心となっていった。
--後に大ヒットとなる「アイカツ」や「プリパラ」は「大きなお友達」もターゲットとしている。
---絵柄もアニメ調の物が主流になり長らく本作のような着せ替え人形のグラフィックのTCAGは出ていなかったが2015年に人形をモチーフにした絵柄の「オトカドール」が稼働を開始した。