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ZANAC - (2017/06/01 (木) 23:04:39) のソース

「[[要強化記事>要強化記事一覧]]」に修正依頼が出ています。加筆できる方は修正をお願いします。~
依頼内容は評価点の追記です。~
&color(red){''2017年8月29日までに改善されない場合は削除対応します。''}
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*ZANAC
【ざなっく】
|ジャンル|シューティング|&amazon(B00L6B4QKC)|
|対応機種|MSX、ファミリーコンピュータ ディスクシステム|~|
|発売元|ポニーキャニオン|~|
|開発元|コンパイル|~|
|発売日【FC】|1986年11月28日|~|
|定価【FC】|2,900円|~|
|配信|バーチャルコンソール&br;【FC】2007年10月9日 / 500Wiiポイント|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:[[''コンパイルSTGリンク''>コンパイルSTGシリーズ]]|
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#contents(fromhere)
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**概要
「自動難易度調整機能搭載」「通常ショット+8種のサブウェポンを駆使して戦う」「高速スクロール」を実現した名作縦シューティング。~
隠し要素が多く、またサブウェポンの豊富さによるプレイの多様化、スコアアタックの熱さなど、発売から20年以上も経っているにもかかわらずファンは多い。~
高速スクロールとは表現したが、実際には「ストロボ効果」と言う目の錯覚によって発生する現象((解りやすく大雑把に説明すると、「物体が高速で動くと、大雑把な模様になってゆっくりと目に映るようになる」現象のこと。体感したい場合は、高速回転している扇風機の羽を見てみよう))を利用して、高速スクロールを擬似的に表現している。その為、敵や弾はスクロールにあわせて高速移動してくるわけではない。

なお、本作はMSX版とFCディスクシステム版が存在するが、この項目では後者に準じた解説を行っている。~
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**ストーリー
はるか昔、とある有機知性体が作り出した「システム」は、生みの親である有機知性体がいなくなった今日も活動を続けていた。~
この「システム」には生命体の発展を助けるため、ある行動がプログラムされていた。~
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イコン(聖像)を正しく開いたものには知識を。誤って開いたものには滅亡を。~
~
ある時、イコンの一つが誤った方法で開かれた。「システム」はプログラム通り正しく作動し、攻撃を開始した。~
ところが少し経った後、同じ種族が別のイコンを今度は正しく開いた。~
イコンは「システム」の中枢に攻撃中止を要請したが、「システム」はこの要請を無視。~
「システム」を生み出した有機知性体もこのような事態は想定していなかったのであろうか?~
ともかく「システム」はこの時点で単なる殺戮装置と化した。~
~
イコンを開いた種族--人類--は危機的状況におちいった。~
正しく開かれたイコンは幸いにも正常に作動し、手持ちの知識を人類に与えたが、~
所詮「システム」の末端センサーにすぎないイコンでは、「システム」全体に対する知識を得ることはできない。~
「システム」側の圧倒的物量、攻撃力の前に、人類の繰り出す迎撃部隊は次々に撃破されていったのである。~
~
いよいよ人類が滅亡の危機に瀕した時、一つの可能性が提起された。~
~
『「システム」は基本的に戦略マシンであり、多対多の戦闘を想定している。~
ならば単独で「システム」に向かって行けば相手の思考の隙を突くことになり、効果的に対応できないのではないか?』~
~
危険な賭けではあったが、勝利へのわずかな可能性に賭けてこの計画は実行された。~
人類はイコンによってもたらされたテクノロジーをもとに、新型戦闘攻撃機「AFX-5810=ZANAC」を制作。~
ZANACは単独で「システム」の中枢に侵入しこれを破壊することに成功。危機は去った、と思われた。~
~
しかし、敗北を喫した「システム」は、破壊される直前に他の「システム」にこの事態を連絡したのである。~
すでに幾つかのコロニアムは攻撃を受け、連絡を絶っている。~
AFX-5810を改良した最新鋭の戦闘機「AFX-6502=ZANAC」は、「システム」の脅威から人類を救うため、単独で飛び立っていった…。~

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**システム
-全12ステージの縦STG。地上物と空中物があり、一部サブウェポンでは地上物を攻撃できない。
--空中物…敵及び敵弾、パワーチップの入った「ボックス」、武器アイテムの入った「カーゴ」など
---敵弾には通常ショットで破壊可能な弾と、サブウェポンでのみ破壊出来る弾「リード」の2種類が存在。
---ボックス:必ず3個一組で出現する。中にはパワーチップ以外にもリードが入っていたり、逆に何も入っていない事もある。
---カーゴ:パワーチップを一定数以上獲得する事で、偵察機の代わりに出現する様になる。
--地上物…砲台、要塞(ボス)、顔の様な遺跡「イコン」、笑顔の遺跡「アイアイ」など
---イコン:撃ち込むと光球が出現。取得するとエネミーイレイサー(敵弾、空中物を消滅させる全画面攻撃)が発動。出現した光球をしばらく放置すると、ワープアイテムに変化することもある。
---アイアイ:撃ち込むと通常ショット・現在装備しているサブウェポンが最大までレベルアップする。
--特殊な方法で出現する隠しアイテムが存在する。
---ランダー:特定の条件下でカーゴか偵察機を攻撃すると出現する1UPアイテム。更にランダーに撃ち込むと赤色に変化し、その状態で取得すると1UPに加えて連射速度が上がる。
---リオ:道中の特定のポイントに撃ち込むと出現する妖精。取得するとエネミーイレイサーが発動する他、そのままボス戦まで持っていくと一度だけボスを無条件で破壊してくれる。
-Bボタンは通常ショット。地上空中双方を攻撃可能。パワーチップを取り続けると強化されていく。
--アイアイに撃ち込む、または初期装備のままパワーチップを取り続ける事で、攻撃範囲の広い「ワイドショット」に変化する。
-Aボタンでサブウェポンによる攻撃。武器アイテムを取る事で8種類に変化し、同種のアイテムを取り続けることで強化される。武器アイテムはカーゴや、道中に設置されている特定の地上物を破壊することで入手可能。
--サブウェポンの中には、最大まで強化されると性能が変異するものもある。
#region(サブウェポン一覧)
--0番:オールレンジキャノン
---初期装備。レバー入力によって射出方向を指定できる弾数無制限ショット。一見癖はあるがシンプルで使いやすく、横・後ろからの敵の対処からボス敵に密着して通常ショットと同時に連射するなど、運用の幅が広い。
---リードを破壊できないが、最大まで強化すると破壊可能になる。
--1番:ストレートクラッシャー
---空中物を貫通しながら前方にゆっくりと飛んでいく弾。弾数制限あり。高攻撃力でまっすぐ飛んでいくのでボスに強いが、側面からの攻撃に対処できないので雑魚戦で苦戦する。
--2番:フィールドシャッター
---敵弾を防ぐバリアを自機周囲に展開する。耐久力制。
---変異後は「時間制になる代わりに完全無敵」という性能に変化し、タイミングよくアイテムを取り続ければ無敵状態のまま進むことすら可能。
---ただし、用いているとバリア無効の敵が大量出現するようにもなるので、相応のリスクを覚悟せねばならない。
--3番:サーキュラー
---自機の周辺を高速回転する弾。時間制。すべての空中物を破壊可能な攻防一体の武器。ただし回転の隙間を敵や弾がかいくぐることもあるので油断は禁物。また、地上物には干渉しない。
--4番:バイブレーター
---一定の距離を前進した後、左右に揺れる巨大弾を発射する。弾数制限あり+一弾ごとの耐久性。前進距離を掴むのに慣れが必要だが、うまく使えれば雑魚戦、ボス戦ともに頼りになる兵装。地上物には干渉しない。
--5番:リワインダー
---ある程度前進した後自機に戻ってくる、ブーメランのような貫通弾。弾数無制限(MSX版では弾数制限あり)。前進・後退中は自機の左右の動きに合わせて弾も左右に動く。~
アイテムを取り続けるとレーザーに変異。前方へ高速発射され、敵も貫通する。攻撃範囲は狭いが、威力は全武器中最高。
--6番:プラズマフラッシュ
---敵弾もしくは空中物に触れると、エネミーイレイサーが発動する光球を射出。弾数制限あり。強化されるとボタンを押しただけで即時発動するようになる。~
また、ある条件を満たすと画面上の空中物すべてをランダーに変化させる「ランダーフラッシュ」に変異する(これは1ゲーム中1回のみ)。
--7番:ハイスピード
---オールレンジキャノンを凌ぐ超高速で連射される貫通弾。時間制(射出中のみカウントが進む)。レバーの左右入力で射出角度をある程度変えられ、前方広範囲をカバー出来る、最も使いやすい武器。
#endregion

-自動難易度調整機能「A.L.C.」により、さまざまな要因で難易度が変化し、それに応じて(ある程度の法則はあるものの)敵出現テーブルが劇的に変化。絶えずアドリブが要求される。いわゆるランクシステムの先駆けだが、これほど大胆に変化するのは例を見ない。
--難易度上昇:要塞の破壊に失敗する、偵察機を逃がす、赤ランダーの入手や連射パッドを用いる等して連射速度を上昇させる、etc…
--難易度下降:要塞の破壊に成功、偵察機の破壊に成功する、etc…

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**ゲームバランス
-敵弾や敵の数が多いうえ、多くの場合で自機が攻撃できない横から襲ってくることが多いため、慣れていてもあっさりやられることも珍しくはない。
-しかし''2万点・8万毎というかなりの頻度でエクステンド(残機アップ)''する上、その場復活なのでゴリ押しも可能。序盤で残機を貯め込んでおいて、後半は残機を消耗しながら戦うのが攻略のセオリー。
--ただしゲームクリア時は残機が得点に変換されるため、スコアアタック時はいかに効率良く残機を貯め、かつ死なないよう進めるかがポイントとなってくる。同時に道中の得点効率を上げるため、難易度も序盤でMAXまで上げきるのが基本となってくる。
-道中ではボスとして要塞が複数回出現。エリア11最後と最終エリア以外では放置しても問題無いが、制限時間内に破壊できないと難易度が上昇する。また破壊時にボーナススコアも入るので、それだけ生存に確実に近づく。
--要塞は破壊可能部位が複数あり、破壊せず放置すると攻撃が激化する部位も存在する。

-パワーチップや武器アイテムを取ると、僅かではあるが無敵時間が発生する(武器アイテムの方が長め)。これを利用して硬い敵に張り付いて攻撃したり、敵弾に突っ込んで弾を消すといった戦法も可能。

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**評価点
-シューティングでありながら独特な世界観を有している
--シューティングではありがちなSFにありながら、遺跡のような地上物など古代文明に似た要素を融合させる事で特異な世界観を形成している。

-豊富なグラフィック
--一見地味な見た目ではあるが、自然や生物をモチーフにした有機的なものから、敵である基地といった無機質なもの、果ては宇宙と非常に幅広い構成になっている。
---これに前述の世界観が加わる事で、地味ながらも味わい深いグラフィックが出来上がっている。

-BGMも良質
--見た目に合わせてかあくまでも控えめでシンプルな曲が多いのだが、それがグラフィックや世界観といった他の長所と上手く結びついている。
---曲は半分ほど使いまわしだが、きちんとステージにあった選曲がなされている。同じ曲を勇ましいイメージと物悲しいイメージの2つにアレンジするなど、印象深くする工夫もなされている。
---タイトル画面だけ妙にコミカルであったりするのだが、ギャップや楽しさが相まり却って耳に残りやすい。

-サブウェポンや隠しフューチャーによるゲーム性
--7種類のサブウェポンにはどれも癖があり、色々と試していく面白さがある。
---安定したものもあるため、他に使い慣れない場合でも安心。
--アイテムによる隠しフューチャーも多く、それらを探す楽しみもある。
---特にイコンに関連したものは数多い。きちんとストーリーをゲーム性に活かせている。
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**問題点
-シューティングゲームにとっては致命的である永久パターンが存在する。
--ステージ道中にエネミーイレイサーから変化するワープアイテムがあるが、このワープアイテムには前の面に戻ってしまうものが存在する。
--また11面のボスは時間内に撃破出来ないとZAPしてしまい、さらにラスボスも制限時間が存在しないため、永久パターンが成立する。

-根本的な難易度が高め
--全体的に敵や敵弾の量が多い上、サブウェポンの癖が強いために攻略はかなり難しい。
---初期装備の0番からしてその傾向が顕著に表れている。メインウェポンはパワーアップしないとお話にならないレベル。
---圧倒的物量という部分はストーリー通りで、演出の一環とも見られるのだが。
--自動難易度調整機能を見てみるとわかるが、偵察機を取りこぼしたり、メインショットを外す(敵に命中せずに画面外に消える)と難易度が上昇する。つまり、上手くない人ほど余計難しくなってしまう。
---一応、敵にやられると難易度は大幅に下降する。しかしパワーアップ型STGの宿命で、やられると初期装備に戻る=そのまま立て直せずに全滅ということも珍しくない。その初期装備が装備なので...。

-全12面かつ一つ一つのステージが長い為、クリアまでには1時間近くかかる。この為ワンプレイが長過ぎてダレやすい。
--評価点にあるグラフィックやBGMも、下手をすればこれと結びついて欠点になってしまう。
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**総評
極端に癖の強い縦STG。しかし特別難しいわけでもなく、初心者でも慣れれば攻略の糸口をつかむ事はできる。もちろんシューティングをやり尽くしたシューターもスコアを交えて楽しむ事が出来る。~
サブウェポンの使い方で攻略が大きく変る本作は、複雑なゲームシステムと相まって、一度クリアしてもまだ先の見えない濃密さを内蔵している。

決まった形の無い展開にどう対処するか。~
プレイヤーの数だけ攻略法が存在する本作は、8bit最強と謳われた『[[サマーカーニバル'92 烈火]]』と並ぶ高速物量シューティングとして、多くのプレイヤーに語られ続ける存在となっている。

また、本作のFDS版はディスクを片面しか使用しないために、おこづかいでゲームを買う子供に優しく、かつ「B面入れ替え」という興を削ぐ作業もないためその部分も高評価であった。

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**移植・その他
-NES(海外FC)にも移植されている。
--FDS版は拡張音源を使用していないため、同一内容で移植できた。ただし、BGMの音程だけは異なっている。

-MSX2用ソフトとして「ZANAC EX」が発売されている。
--一応後日譚ではあるが、ゲームそのものはFDS版の逆移植だったりする。

-2001年には、FC版の移植と完全新作「ZANAC NEO」をカップリングした『ZANAC×ZANAC』がプレイステーションで発売された。
--FC移植版はただのFDS版移植に留まらず、海外NES版を元にしたROMバージョン、新敵の追加やサブウェポンの性能変更等の様々な上級者向け調整が施されたスペシャルバージョン、決められたステージでハイスコアを狙うスコアトライアルなど、新モードが多数追加されている。
---ただしBGMはNES版のみが採用されている。
--NEOは旧作をベースにしつつも、性能違いの自機バリエーションや、スコア稼ぎを重視したシステムの数々(敵を逃がさずに倒す事でスコアにボーナスが付くコンボ、チャージショットによる連爆など)などが導入され、また違ったプレイ感覚が楽しめる。
---ストーリーやキャラクターが裏設定として存在する。スタッフロールやローディングなどの節々にそれらが散在している。
--コンパイル末期に発売された事もあって生産本数は少なく、プレミア価格で取引されている。
---2010年にはゲームアーカイブスで配信が開始された為、現在は入手が容易になっている。配信元はガンホー・オンライン・エンターテイメント。
--ちなみにパスワード入力方式を用いたオンラインでのスコアランキング大会も開催されたのだが、一部のマナーの悪いプレイヤーが改造コードを用いた不正プレイを行った事が発覚した為、上位入賞者には「ゲームプレイの動画の提出」を義務付けられる事態になってしまった。

-恐らく業界トップクラスでノーブレーキなRPG「[[神次元ゲイム ネプテューヌV]]」にて、''メインキャラのスキルとMSX版がセット''になったものが配信されていたりする。抱き合わせ商法臭いが。

-2007年より、バーチャルコンソールでFDS版が配信されている。こちらは発売を担当したポニーキャニオンが配信元。

-直接的な続編ではないが、コンセプトが継承された実質的な後継作として「アレスタ」が存在する。
--元々はZANACシリーズの一つとして制作されていたものの、版権の都合でZANACの名称が使えなかった為に「アレスタ」と名付けられた…という経緯がある。
--一作目はセガマークIIIで発売。その後MSXにアレンジ移植されたのをきっかけに好評を博し、以後続編や派生作品が多数制作される人気シリーズとなった。