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タクティクスオウガ - (2019/03/10 (日) 18:12:43) のソース

*タクティクスオウガ
【たくてぃくすおうが】
|ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&image(to1.JPG,height=160,https://www.amazon.co.jp/dp/B000068I88)[[高解像度で見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3613&file=to1.JPG]]&br()[[裏を見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3613&file=to2.JPG]]&br()&br()&amazon(B000069T4A)&br()&amazon(B000069UD7)|~|
|対応機種|スーパーファミコン&br()セガサターン&br()プレイステーション|~|~|
|メディア|【SFC】24MbitROMカートリッジ&br()【PS/SS】CD-ROM1枚|~|~|
|開発元(共通)&br()発売元【SFC】|クエスト|~|~|
|発売元(他機種)|【SS】リバーヒルソフト&br()【PS】アートディンク&br()【VC各機種】スクウェア・エニックス|~|~|
|発売日|【SFC】1995年10月6日&br()【SS】1996年12月13日&br()【PS】1997年9月25日|~|~|
|定価|【SFC】11,400円&br()【SS/PS】6,090円(税込)|~|~|
|プレイ人数|1人|~|~|
|セーブデータ|2個|~|~|
|レーティング|【SFC(VC版)】CERO:C(15歳以上対象)&br()【SS】セガ審査:全年齢推奨|~|~|
|廉価版|【PS】ARTDINK BEST CHOICE&br()1999年12月2日/2,800円(税別)|~|~|
|配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2009年2月10日/800Wiiポイント&br()【WiiU】2014年3月12日/800円&br()【New3DS】2016年11月21日/823円|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|ポイント|ウェイトターン制による緊張感あふれるSRPG&br;民族問題に踏み込んだヘビーなシナリオ&br;それによく合ったグラフィック・音楽&br;充実した育成・やり込み要素が魅力&br;先駆者ゆえ、容量不足ゆえのいびつさも|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[オウガバトルサーガシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-『[[伝説のオウガバトル]]』に続くオウガバトルサーガの2作目。
--前作同様シミュレーションRPGとして開発されたが、そのシステムは大幅に変化している。
-中小メーカーの作品ながら50万本以上を売り上げた。
--英題は『Let us cling together』。やはり松野氏の尊敬するクイーンの楽曲から採られている。最終章のタイトルも同曲の邦題「手をとりあって」である。
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**ストーリー
オベロ海に浮かぶヴァレリア島。この島では、古くからその覇権を巡った紛争が絶えなかった。~
この紛争は覇王ドルガルアの登場により一時的に終止符を打ったが、彼の死後はその後継を巡り再び民族間の内紛が激化するようになった。
 
支配階級の多いバクラム人や多数派のガルガスタン人に対し、少数派のウォルスタ人((人口比率ではバクラム人2割、ガルガスタン人7割、ウォルスタ人1割))はこの紛争に対抗するだけの戦力はなく、ガルガスタン人により弾圧されていた。~
民族根絶を目的とした虐殺や、自治区での強制労働も行われる中、残されたウォルスタ人の一部は抵抗勢力となってゲリラ活動を続けていた。~
抵抗勢力の一員として迎えられた主人公デニム・パウエルは、様々な出来事に直面することとなる。そして、彼の決断が諸島の未来を揺さぶることになっていく。
 
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**システム
-''ウェイト・ターンシステム''(公式システム名称「ナッツ(NATS=Non-Alternate Turn System)」)
--マップ上では、敵味方関係なく、「ウェイト」の数値が早く0になったユニットに順番が回ってくる。
--「ウェイト」の数値が小さいユニットほど順番が回るのが早くなっていき、逆に大きいほど遅くなっていく。
---ある意味FFシリーズのATBに近いが、「プレイヤー陣営のターン」と「敵陣営のターン」を回す非リアルタイムSLGが多い中、ユニットごとにターンが回り、なおかつ待ち時間が異なる本作のシステムは非リアルタイムSLG(SRPG)の中では斬新であった。
---「ユニットが早い順に行動できる」というアイディア自体は『[[シャイニング・フォース>シャイニング・フォース 神々の遺産]]』が先だが、今作のウェイト・ターンシステムは''ターン性自体を排除''し、更に1歩踏み込んだものとなっている。
---なお、魔法を使うためのMPはゲーム開始時には0の状態でスタートし、時間経過で増加(回復)していく。そのため、必ずしもウェイトが小さいことで状況が有利に働くわけではない。
--クラスやレベルによってウェイトの基本値が変わるうえ、装備品の重量によって更に変動する。場面や各ユニットの役割に応じて、重装備で固めるか防具等を外してでも軽量化するかといった戦略性も求められる。
---装備品に関しては部位による制限は多少緩めなものの、個数制限(4個まで)が有る。基本的にはクラスによる装備制限は無い。ただし、Lサイズユニットは装備の種類が非常に限られる。消耗品も1個として数えられる一方、魔法は別枠であり装備を圧迫しない。その弊害については後述。~
また銃はどのクラスでも装備できるが、ガンナーでないと射撃することが出来ない。ちなみに、攻略本に載っている銃のSTR補正は非常に低いが、実は射撃時の銃の威力(STR補正)は全武器中最大クラス。
---ユニットの素早さは攻撃の命中率・回避率を上昇させるのみならず、ウェイトの数値を下げるためのステータスとなっている。
--各ユニットは行動後に再びウェイトが付与され、これが次の行動までの待ち時間となる。しかしこのゲームでは、不要な行動を省くことによってこれをある程度自分で調整できるようになっている。
---「移動」か「行動(攻撃や魔法・アイテムの使用等)」の片方だけなら付与されるウェイト量が少なくなり、何も行わず待機した場合は特に少なくなる。
---ウェイトの大小をうまく利用すれば、「回復→補助魔法→射撃→攻撃」などといった緻密な行動順序の組み立てが可能である。
 
-''フリーマップ制''
--1章の間、移動できる範囲なら(ごくたまに一方通行の場合もあるが)どこにでも移動できる。
--シナリオ攻略を重視して最短経路を進むも良し、トレーニングやランダムバトルでゴリゴリキャラクターを育成するも良しと、本当に自由度が高い。
---終章では寄り道をすることで隠し要素が解放されることもある。ゲームの根幹となる謎が解き明かされたりするので、これもプレイヤーの探求要素をくすぐられるポイントである。
---基本的にショップの品ぞろえに地域差は無いが、特定のショップであることをすると限定品が店頭に並ぶことも。
--後述のやり込み要素も含め、「育成型SRPG」を確立したと言えよう。
---フリーマップ制や、1章がたくさんのバトルから成り立っているという点では『[[ファイアーエムブレム 外伝]]』と共通点がある。
 
-''「高さ」「向き」の設定''
--本作では「HERMIT」という座標・高さ・種類を設定すれば擬似3Dマップを生成できるプログラムが使われている。
--低い場所から高い場所には攻撃が届きにくく、基本的には高所の方が有利。
---遠距離攻撃に関してもユニットの高さや、攻撃の射線が軌道計算されており、射線が放物線を描くか直線状かによっても変わってくる。
---但し魔法に関しては、高低差の影響を受けるものはほとんど無い。
---段差の上りやすさなども位置取りに直結するため重要。ユニットによっては段差が苦手なものや、高低差を無視して飛んだりワープできるものもいる。
---Lサイズユニットは背が高く、また高段差に接していれば味方が昇降するための足場として利用可能。
---盾攻撃などによるノックバックで高所から押し出されると、落下ダメージが発生。一部マップでは底無しの穴(地面がない)もあり、そこに落とせば飛行ユニット以外は即死。
--「向き」に関しても側面や背後から攻撃すれば命中率が増すなど、戦術においてダイレクトな影響を与える。
---側面攻撃は+25%、背後からは+50%。命中率10%しかない攻撃でも背後を取れば60%の命中率になる。ただし、正面からの命中率が命中率下限の1%の場合、内部では命中率が0%以下になっていることが多く、向き補正は内部の値に足されるので、側面から攻撃しても+25%上がり切らなかったということも。
 
-''ユニット、クラスとクラスチェンジ(転職)''
--店で仲間を雇用したり、戦闘中に敵ユニットを説得して仲間に引き入れたりできる。中には説得でしか仲間にできないクラスも存在する。
---勿論、イベント等を通して仲間になるキャラクター(固有名持ち)も多い。
---仲間は主人公含め最大30名まで登録可能、戦闘では最大10名まで出撃可能。ただしLサイズユニットは最大で2体までしか出撃できない。
--主人公も含めた人間キャラ(固定クラス除く)は、条件さえ満たせば何度でも転職(クラスチェンジ)できる。ただし性別や後述のアラインメントや、その他諸々の条件により転職可能なクラスは違ってくる。
---再転職不可能な特殊クラスも幾つか存在するので注意。
---なお非人間キャラは、各種族がそのままクラスとして扱われており、ドラゴンが上位ドラゴンになる以外はクラスチェンジできない。
 
-''エレメントとアラインメント''
--各ユニットには固有のエレメント(風・炎・大地・水)とアラインメント(ロウ・ニュートラル・カオス)が設定されており、それぞれがユニットの特徴などに関わってくる。
--アラインメントによって、転職可能なクラスががらりと変わる。なお主人公のアラインメントは、プレイヤー自らが選んだ道(ルート)によって変わってくる。(後述「評価点」で説明)
--属性は、風・炎・大地・水の4つのエレメントに加えて、神聖・暗黒・物理の合計7種類がある。
---神聖・暗黒の属性はアラインメントによって決まり、「ロウ」なら神聖、「カオス」なら暗黒となる。
--属性は、まずユニットごとの属性耐性(RES)として影響する。RESはダメージの割合(単位は%)で高いほどダメージがかさむ。RESはクラスごとに固有であるが、ゲーム内で直接確認することはできない。物理RESだけは、ステータス画面の防御力の表示から逆算で知ることができる。~
また、相反属性の攻撃を受けるとダメージ増加(+5)、同属性の攻撃を受けるとダメージ減少(-5)の補正がつく。
---装備によって一部のRESが強化(あるいは弱化)されることがある。鎧・盾・兜等の防具は、主に物理RESを強化するが、実はほとんどの防具の効果はあまり高いとは言えない。(問題点の項に詳述)
--各属性の中でエレメントの方はクラスチェンジには影響を与えないが、戦闘面ではアラインメントより重要である。
---自分と同じエレメントの魔法や武器などを用いた場合、威力や命中率などの効果がより高くなる。
---地形効果や天候に対しても、エレメントの影響が高い(後述)。
--エレメントと同様に、アラインメントによっても神聖・暗黒属性の魔法や武器攻撃が強化されるが、こちらは命中率や回復魔法の回復量への影響のみで、攻撃のダメージ量には影響しない。
 
-''地形効果と天候''
--地形効果は戦闘に様々な影響を与える為、不利な地形に相手を誘い込むなどの戦略性が要求される。
---ユニットの足元の地形が、物理的な攻撃力・防御力に直接影響する。
---各エレメントも影響を受ける。エレメントごとに有利な地形が存在する。
---ちなみに、草地や雪原の地形は炎の魔法で''焼き払える''。そのマスの属性バランスを変動させたり、一部の隠された財宝を見つけられるようになる。
--更に天候によっても効果が変動する。
---好天時は水と風の魔法の効果が低下、悪天候(雨降り、ひどい時は雷雨)時は炎と大地の魔法の効果が低下。場合によっては魔法の効果範囲が狭まることさえある。
---天候はアラインメントにも影響し、ロウのユニットは好天ほど、カオスのユニットは悪天候ほど強くなる。ニュートラルのユニットは天候の影響を受けない。
--地形効果はゲーム中で簡単に確認できるので、逐次確認しながら戦略を立てることができる。
--地形によって移動のし易さ(移動コスト)も違い、一部の地形では天候によっても移動コストが変わる。
---もっとも、プレイ中は移動可能範囲の表示に従っていれば間違いは無い。途中に1マスだけの水溜りがある場合も、回り道するより早い状況(移動コストが低くなる状況)なら自動的に''ぴょんぴょん飛び越えて''くれる。
--ちなみに、月ごとに乾期か雨期かが設定されており、陽や火を連想させる竜の月(神・地・白・炎・風・金・火・光)は好天になりやすく、陰や水を連想させる竜の月(水・影・雷・闇・海・黒・双)は悪天候になりやすいという隠し要素((雨季と乾季についての説明は取扱説明書に書かれている。また、一部雨季と乾季の別なく荒天下となるステージもある。))がある。
 
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**評価点
-''高い戦術性''
--前述した通り本作独自のシステムが多く、独創的かつ質の高いSLGを楽しめる。問題点も少なからずあるが、それを差し引いてもお釣りが来る。
 
-''小さな島国の覇権を賭けた民族紛争を舞台とした重厚なストーリー''
--同じ人間・同じ文化を持ちながら、ただ「民族が違う」というだけで血で血を洗う対立を続ける三民族。そこに単純な善悪は存在しない。
--本作の導入部で使われている「民族浄化(Ethnic cleansing)」という政策は、WWII中のナチスドイツによるものが特に有名であるが、本作とほぼ同年代に起きたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争でも実際に行われていたものである。
--鬱ゲーとも取れるようなキツい描写も多い。
--またストーリーやキャラクターを補完する存在として「ウォーレンレポート」というものがある。前作にも登場した占星術師ウォーレンが記録したレポートであり、ストーリーに直接関わる重要な情報やサブイベントに関する情報、戦いのヒントなどが掲載されている。~
ただシナリオ中に意識不明の状態にあってもちゃんと更新されるので、「意識不明でもレポートを書ける能力の持ち主」などとネタにされたりもしているが。
 
-''ロウ、ニュートラル、カオス。3通りの分岐''
--当時としては珍しく、選択肢の内容によって3通りにストーリーが分岐する。ストーリーの分岐によって攻略マップやシナリオの内容、登場人物の生死が分かれ、個々のストーリーでしか仲間にならないキャラも存在する。
--分岐自体は章の節目での選択により決まる、それまでの選択肢はほとんど意味がない簡素なもの。しかし密かに味方の忠誠度やカオスフレームに影響していたりする。
--『D&D』や『[[真・女神転生]]』のロウ・ニュートラル・カオスの概念を拝借している(ロウ側が残酷な判断を下すのも同様)のだが、この作品では早々にどの側につくのか自分のスタンスを決めることを強いる選択肢が用意されている。第1章のタイトル「僕にその手を汚せというのか」はそれを表すものである。
--組織の掲げる正義や目的達成のために非人道的な選択をすると大きく非難され、また綻びも生じ状況は好転しない。一方で非人道的な行為を糾弾する王道的な判断を下すと「綺麗事」「覚悟がない」「偽善者」と敵側から痛烈に皮肉られ、しかも濡れ衣を着せられて追われる身となり長期間放浪するいばらの道が待っている。かといって途中で信念をまげると日和見主義者としてさらに否定的に描かれる。善悪や正否の答えを作品内で明確に出さず、ぬるい希望を見せることもない非情に徹したストーリーが本作の持ち味である。
---しかし、権力者たちのやり方を否定し第3の道を歩む王道的展開を繰り広げるルートや、序盤に仲たがいする親友と和解、共闘できるルートなど、いずれのルートも甲乙つけがたい魅力が存在する。また、ルートごとにクローズアップされる敵キャラが変わるのも興味深い点である。
---なお、この分岐によって主人公のアラインメントも変化するため、就けるクラスはある程度固定される。
 
-イベントシーンの丁寧な作り込み
--システム上、主人公とゲスト以外のメンバーは自由にパーティから除名・離脱させることが可能で、例え重要キャラが死亡してもシナリオは進む。しかも、イベントシーンの会話に参加するキャラが離脱・死亡している場合の会話パターンもちゃんと用意されている徹底ぶり。
--シナリオ上、絶対に死なせてはいけないはずのキャラも死亡する場合があり、その場合のみエンディングが大きく変わる。
 
-''崎元仁・岩田匡治コンビによるサウンド''
--松野ディレクターが思わず「どんどん暗くなっていくから、もっと明るくした方がいいんじゃないのと言った」くらい、シリアスなゲーム性に重厚な楽曲が合っている。
---作曲者のコメントによるとこれでも「ついつい明るくなってしまって」いる曲があると言う。上記の松野氏のディレクションもあったものの、それでもなおダークな雰囲気が強い仕上がりである。
---戦闘BGMは全14と豊富で、いずれもテンポが速くせかされる曲から、ふわりとした印象の曲、身の引き締まるようなずっしりした曲、はたまたおどろおどろしい曲まで多彩。この辺りも飽きさせない工夫だと言える。
---難点はややループが短めなことくらいか。ただし、曲の緩急が十分付けられており、単調さはそれほど感じられない。
--暗い曲調とは裏腹に、裏技のサウンドモードで表示される曲名は「飲酒運転」やら「さむいッス」「おっほっほっほっ」…など、何故かカオスなものが多い。
---前作『伝説のオウガバトル』や後の『[[ファイナルファンタジータクティクス]]』と同様に、サウンドトラックではサウンドモードと違ってちゃんとした曲名が付けられており、お遊びの冗談のようだ。ちなみに『[[トレジャーハンターG]]』のようにこのノリの曲名が正式採用されているゲームも存在する。
 
-''初心者にも優しい作り''
--自軍同士での模擬戦「トレーニング」による戦力増強など、プレイヤー技量の低さやレベル不足をカバーできるようになっており、シミュレーションRPG初心者にも無理なくプレイできるようになっている。
--操作方法・戦闘の基本を細かく教えてくれるチュートリアル、アイテムの効果やゲーム中の地形などの様々なことがその場ですぐ表示されるオンラインヘルプ機能など、説明書が必要ない程わかりやすいシステムになっている。
--ゲームが始まってすぐに前作にも登場した有翼人・カノープスが仲間になる。高めの能力に加え、ゲームシステムと噛み合った高移動力・飛行能力を持ち、お助けキャラとして機能している。
--どうしてもSLG慣れしていない人の救済措置として、蘇生魔法のリザレクションが中盤で入手できたり、オーブという切り札的なアイテムも存在する。

-世界観に深みを与えるオンラインヘルプ機能
--ワールドマップ上の各地・アイテム・障害物・クラスなど、なんにでもヘルプメッセージが付いていて解説が添えられている。ステージ上の障害物の木でも「トチの木 Help:山の斜面や湖畔に生える落葉高木。白竜の月には白い花が咲き、死者を弔うのに用いられる。」といった具合。
 
-''隠しダンジョン「死者の宮殿」の攻略性の高さ''
--最終章になってようやく突入できる、地下100階まで存在する隠しダンジョン。一度外に出て再び入ると再度地下1階から攻略しなければならず、しかも中断は可能だが、途中でセーブはできない。
--さらに、地下3階より下層部に行くには隠し扉を開かなければならず、開かなかった場合そこで探索終了となる。
--ここでしか手に入らない魔法やアイテム、さらに仲間にできるユニットが存在する。
--あらゆる面で難易度が非常に高いダンジョンであるため、「真の最終ステージ」とも称される。
--さらに、このダンジョン中でランダムで出現し、必ず4体で立ちはだかる敵「ガーディアン」は、Lサイズユニットでありながら比較的軽量なウェイト、しかも最初に全体攻撃で大ダメージを与えてくる上に、同じく威力の高い遠距離攻撃をしてくるために作中でも最強の敵として、プレイヤーを苦しめるとともに攻略性を高めた。
---しかもここのマップは階毎に固定ではあるが、次に出現する敵ユニットの編成は一部を除いて不確定であるため、思わぬところでガーディアンに全滅させられたり、思わぬ敵チームに大苦戦したりと、全ての階で油断できない。
---非常にインパクトが強かったのか、「100階近い構成で数多の強敵が存在し途中セーブ不可、ただし魅力的な報酬が得られる」という似たようなコンセプトのダンジョン・施設は、本作とまったく関係ない他のSLGでも見られる。
 
-''精密なグラフィック''
--ドット絵は吉田明彦(人間系ユニット。顔グラや公式イラストも担当)と皆川裕史(モンスター系ユニット。背景なども担当)によるもの。~
キャラクターはうつむく、頭の向きだけを変える、椅子から立ち上がるなどの非常に細かい仕草まで行う事で臨場感を出しており、その生き生きとした動作は現在もドット絵の好例として挙げられるほどである。
--マップ、背景、その他細かな装飾なども非常に丁寧に書き込まれている。
--Vジャンプ攻略本の松野氏のインタビューによると、アニメーションにこだわったから発売が1年遅れたらしい。
--近接攻撃武器の剣・ハンマー・爪・槍・ムチは、得意武器だった場合に特有の攻撃アクションが用意されており、これがかなりカッコいい。特に剣は固有クラスごとに様々な構えが用意されているなど、グラフィック面で優遇されている。~
ただし、近接武器の中でも扇に限って得意武器アクションはない。
---かわいらしいマップ上のユニットと打って変わって、顔グラフィックはシリアスな世界観に合わせたリアルなタッチ。それゆえ仕方ないのだが固有のキャラは映画俳優をモデルにしていると思われるキャラが数人いる。
//---かわいらしいマップ上のユニットと打って変わって、顔グラフィックはシリアスな世界観に合わせたリアルなタッチ((開発初期はもっとデフォルメの利いたかわいらしい絵柄だった。公式絵では女神「イシュタル」の顔つきにその名残が見受けられる。))。それゆえ仕方ないのだが固有のキャラは映画俳優をモデルにしているようで、分かりやすいところで聖騎士ランスロットはもろに[[80年代に知名度を上げた>シュワルツェネッガー プレデター]][[某肉体派俳優>ターミネーター2]]である((因みに前作のゲーム内では兜をかぶっていたが、同作の公式イラストでも『タクティクス』同様の顔つきである。))。
//ランスロットがシュワルツェネッガーというのは賛同しかねるな。どちらかといえばジュヌーンの方がシュワちゃんに似ている。ランスロットは強いてあげるならクリストファーリーブ。
 
-''魅力的なキャラクター''
--主人公と同じ境遇で育ちながら真逆の道を歩む幼なじみヴァイス、国に従う騎士としての命を全うする生き様を見せるレオナール、同じ名前を持ちながら全く異なる思想を持った二人のランスロット、中盤に登場し衝撃的な台詞でプレイヤーの価値観を揺るがすザエボス、戦争と無関係の純粋な邪悪さを見せつけるニバスなど、印象的なキャラクターは数多い。
--特に本作のヒロインである主人公の姉・カチュアは非常に賛否両論分かれるキャラクターとしてよく話題に上がっていた。
//ニバス「先生」はネットのファンが呼ぶだけなのでここからは外します 
 
-''名前の自由度が高い。''
--一般ユニットは町で雇えるのだが、そのときプレイヤーが自分で名前を設定できる。通常のかな入力や英語入力に加えかなりの数の漢字にも対応しているので幅広く対応できる。
--さらに、名前入力が面倒だったら勝手にいろんな候補の名前を表示してくれて手間が要らずすぐ雇えて便利。
 
-細かく作り込まれた飛び道具の軌道
--木などがあれば放物線を描く曲射で敵を狙う、銃の狙撃で勾配を考慮して狙う敵より後ろのマスを指定して地形に邪魔されないように調整できる(そうしないと地形に当たってしまったりする)など、高低差や射線上の障害物などがきっちり影響する。
--ただし飛び道具の性能については強すぎるという面も。(後述)
 
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**賛否両論点
-ゲームバランスには難がある。明らかに強いクラスや戦法が存在する。
--特に間接攻撃>直接攻撃すぎるバランスは批判にさらされることが多い。その中でも弓の有用性の高さは群を抜いており、高さの概念(高いほど弓の射程が伸びる。一部攻略本の記述とは違い、威力は上がらない)、WT(移動せずに攻撃できる機会が多いためWTが早く回るうえに、アーチャー自体のAGI成長が高い)、反撃システム(弓による攻撃は絶対に反撃を受けない)、地形効果(相手を射程内にとらえられる範囲なら、地形効果の高い場所に立って攻撃できる)等のゲームシステムの恩恵をこれでもかというほど受けている。擁護する意見が無い訳でもないが…
---ダメージ計算や命中率の計算が複雑でゲームに慣れるまでは事前予測がしづらいという仕様も、やはり「弓・AGI・軽装至上主義」を助長することに繋がっている。~
攻撃のダメージや命中率を正確に知るには、とりあえず敵ユニットが自身の攻撃射程にはいる位置に移動して実際に狙ってみる必要があるのだが、攻撃はキャンセルできてもその前の移動まではキャンセルできない。~
これは『FFT』などの後発ゲームでは解決されている。
---ただし一部の戦闘ではこちらのユニット編成に合わせて相手のユニットのタイプが設定されるものがあり、強いからといって弓ユニットばかり投入していると相手も弓だらけの編成となって手痛いしっぺ返しを受ける場合も。~
特に両軍の距離が狭い戦闘が多い死者の宮殿では、敵の弓軍団による集中砲火を浴びせられるという危険な展開を招く恐れがある。
--松野氏いわく「まあ、バランス調整の甘さということで。随分と弓矢等は弱くしたんですがね。また、あれ以上、間接攻撃を弱くすると一般ユーザーには難しくなっちゃうんですよね。とはいえ、ゲームとしてはもうちょっとシビアにしたい。そのあたりの調整が非常に難しい…。」とのこと。

-アンデッドがHP0になっても死なずWT経過で何度でも復活できるにも関わらず、狙われやすく設定されていて非常に優秀な囮として機能する。
--さらに強力に敵を惹き付けるパンプキンヘッドというユニットも存在するが、こちらは攻撃性能が乏しく既にゲーム終盤にさしかかっていて死者の宮殿というこれが居てもツライ場所をこれから攻略しようというタイミングでの登場ということもあり、戦術が一変するほどのバランスブレイカーではあるものの序盤から使用可能なアンデッドと違ってあまり簡単になりすぎる要素とはされない。

-AGIとDEXの高いハボリムとペトロクラウドの組み合わせも凶悪。並み居る敵を次々石へと変えていくバランスブレイカーぶりは他のユニットを霞ませるレベルで、ファンからは「ペトロクラウダー」「石工」と渾名されるほど。
--実は他の状態異常魔法でも命中率が高いが、特にペトロクラウドが強すぎるため、そのような認識になってしまった。
--また、自分で1からAGIとDEXが高くなるよう育てたソードマスターあるいはウォーロックがハボリムを凌駕する命中率にできたりもするが、そんな手間をかけなくても完成されたハボリムがよく話に上がるのは必然。
--松野氏いわく「そのへんは狙ってセッティングしてあります」「ああいう抜け道がないとコンシューマーでは受け入れられなくなっちゃう」とのこと。

-これらを駆使しても高難易度のゲームだというプレイヤーも多く、弱すぎるアンバランス要素と違って強すぎるアンバランス要素についていまだに賛否の両論が飛び交ったりする。

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**問題点
***システム面
斬新で魅力的なシステムであるが、粗削りな問題点も散在している。先駆者ゆえの宿命であろう。
 
-ゲームバランスには難がある。明らかに強いクラスや戦法が存在する一方で、存在意義が疑われるほど不遇なクラス(ゴーレムとオクトパスがその代表格、詳しくは下記)も存在する。
--間接攻撃があきらかに強く、直接攻撃主体の前衛クラスは相対的に使い勝手が悪い。前衛職の代表格ともいえるナイトは物理攻撃特化な上見かけによらず防御力が低めで前衛としてはあまりに微妙な能力だし、他の前衛職も直接攻撃武器のみだと敵に隣接する前に弓や魔法で死亡・瀕死というパターンが多い。よほど防御力をドーピングして強化しない限り敵の猛攻には耐えられない。
--敵に近づくということは敵に背後を取られやすいということにも直結する。例えば最前列の敵の背後に周って攻撃することは二列目の敵に自分の背後をさらすことになり、リスクが増大する。
--「ニンジャ」や「ソードマスター」が両手に片手用直接武器を装備することで使用可能になるダブルアタック(二回攻撃)は、一発のダメージが7割という制約とクラス自体のハンデ(属性耐性の悪さ、戦士に有用のステータスの成長率の悪さ)と引き換えにしても強力だが、それでもやはり弓を持たせる方がよほど実用的である。
//---二回攻撃と言っても単発の威力が通常の7割に減るうえ、たとえ背後から攻撃しても二撃目の時にはもう敵が正面を向いてくるため、正面からでも命中できるような命中率がなければダメージ期待値は想定よりはるかに低い。
//そのため、1発目でクリティカルが出て敵がノックバックすると、ダメージは通常時の非クリティカル時ダメージよりも低くなってしまう程。しかもこれらのクラスは基本的に属性耐性も悪いため、敵を倒せないまま敵の正面に残るのは危険。
//クリティカルは通常プレイでは到底期待できるものではない。LUKは死者宮入手のくさいシリーズがなければ補強できそうにない。
//以上のDAのデメリットは非DA近接ユニットにとっても同じなこと。なのでダブルアタックの存在意義を説いた上、なお近接攻撃は間接攻撃に追いつけないという旨に書きなおした。
//---ソードマスターはその名に反して剣ではなく弓を持たせるのが正解である。
//弓でさえ微妙かもしれない。攻撃力の成長値が弱すぎて。やはり補助魔法専門か。
//--圧倒的な攻撃・防御力を備えた敵専用クラスのテンプルコマンドの中に1人使えるキャラがおり、こいつのダブルアタックだけは非常に脅威になる。
---得意武器による威力・命中のボーナスは3%(武器属性によるボーナスは10%)と微妙で、近接攻撃の得意武器を装備しても間接攻撃武器の優位性を覆すほどの効果ではない無いため、気づけば物理攻撃ユニットはみんな弓しか持っていなかった、なんてこともざらである。敵側もそれを理解していて、ナイトやドラグーンが得意武器の剣ではなく弓やボウガンを装備していることが多い。
//近接攻撃武器同士であれば得意武器の優位性は無視できないので文章を修正
--弓を装備できる人間キャラはまだマシで、武具の類を一切装備できないLサイズユニットは直接攻撃に頼らざるを得ないのでさらに使いどころが限られる。しかも、素手での攻撃はダメージが半減するという仕様があり、これがなぜかLサイズユニットにまで適用されるため、Lサイズユニットの直接攻撃は概して人間より弱い。例えばドラゴン系はドラグーンとほぼ同等の物理攻撃力があるはずだが、この仕様で実際には魔術師系ユニット程度にダメージが抑えられる。~
最初からノーコストで反撃不能のスペシャル攻撃を持っているドラゴンやコカトリス、HPを消費するとは言え長射程で高威力のウィンドショットを早期に習得するグリフォンはともかく、これらを一切覚えないゴーレムと、水中でしか使えないオクトパスは特に「使えない」とされる。
--ゴーレムは高い物理能力がウリで確かに物理属性の攻撃に対する防御力は非常に優秀なのだが、HPが極端に低いことがその長所をほぼ相殺してしまっている。しかも物理属性以外の攻撃、特に魔法には打たれ弱く、直撃するとあっさり昇天する。魔法使いはほぼ毎回敵パーティに配属されているので盾役として機能しない。それどころか、足もものすごく遅いので前線にたどり着く前に戦闘が終わることも。敵で出てきても弱く、固くてめんどくさいだけでほぼ無害なので無視して他を攻撃すればよいだけ。「「壁というより“敵の的”」「敵にコイツがいると嬉しかったりする」など、攻略本でも散々な言われ様。
--オクトパスは「地上では弱いが水中では強い」という特徴を持っており、実際水中での戦闘能力は高いのだが、「自分が水中にいてかつ相手も水中・水上(浮遊には無効)にいないとスペシャル技が使えないのに射程は1」「そもそも水場があるマップが限られるうえ、水中・水上に立てるクラスも限られる」などの理由で活躍の機会が皆無。ただし敵専用のオクトパスの上位クラス「クラーケン」は、水がなくてもスペシャル技を使えるので普通に強い。何そのインチキ。~
「足場代わりに使える」という説明文があるが、実際、幅の広い水場を渡るときの飛び石代わりに使うぐらいしか使い道がない。敵のオクトパスは死者の宮殿以外は水地形主体のマップで登場することが多いが、水から誘い出せばただの雑魚。水中にいるうちは近づかなければ人畜無害。~
ただし、スペシャル攻撃の威力を決めるSTRとMEMの成長率が共に高いため、オーブを使わせたときの威力はドラゴンを上回り、後述のヒドラに次いで高い。AGIもLサイズにしては高めなので、当てやすいのもポイント。
--ドラゴンは最速でクリザローの町という早期で雇用可能で、最初から状態異常つきのブレスを使える上、人間キャラよりもはるかにタフで、盾役として申し分ない能力を持っている。道幅の狭い場所に立たせて後ろに回復役をつければ、暗黒騎士団の攻撃すら余裕で耐え抜く頑健さである、~
また、Lサイズの中で唯一レベルアップで上位のドラゴンにクラスチェンジできるなど優遇されている。しかし、一から育ててクラスチェンジさせるより、終盤に登場する上位ドラゴンを説得して引き入れる方がはるかに楽なうえ、ステータスも高いという問題点も。特に殺害数40という厳しすぎる条件があるティアマットは(自分好みの名前を付けたい・Lv1から吟味して高AGIドラゴンを育てたいなどの理由がなければ)自力で作る価値は低いのが悲しい。~
また同じドラゴンでも属性により使えるブレスの種類が変わるのだが、状態異常の性能としては「風>水>>>大地>>(越えられない壁)>>炎」という状態。麻痺を誘発するサンダーブレス(風)が圧倒的に有用で、次いで眠り(麻痺に比べて解除されやすい)の追加効果のあるコールドブレス(水)もまずまず。毒の追加効果のあるポイズンブレス(大地)はかなり使いどころが限られるが、それを遥かに上回る使い勝手の悪さを誇るのがファイアーブレス(炎)。「相手の装備品を劣化させる」というほとんど無意味に近い効果。劣化させる装備は選べず、劣化させたところで減少値はわずか。さらに装備品のないLサイズユニットには何一つ追加効果がない。~
ただし、ドラゴンのブレスは追加効果が全てではなく、相手の属性耐性も重要な点は見逃せないポイント。特に雪原・氷原に出る敵は水属性で統一されていることが多く、これらの敵と好相性となっているので使いどころが全くないわけではない。これらのステージではデフゾショネルが非常に有効で、これと組み合わせれば無双状態になる。また、死者の宮殿最強の敵と言われるガーディアンには大地属性が非常に有効。風属性の倍近いダメージを叩き出せる。また、そもそもガーディアンやボスユニットには状態異常が通用しない。~
ちなみに、ホワイトドラゴン→バハムートとクラスチェンジした場合は属性ブレスは維持できるが、ブラックドラゴン→ティアマットになるとエレメントに関わらず闇属性のトキシックブレスに変わる。状態異常の性能自体は悪くはないのだが、終盤は闇属性を軽減する敵が多いため、ややダメージが物足りない。ただし敵がアライメントCでなければ周囲の敵の攻撃力が下がるテラーナイト同様の特性を持つ。攻のバハムート、守のティアマットという形で一長一短の関係にある。~
また、終盤では説得限定で「全ての属性のブレスを吐ける」ヒドラというドラゴンを雇用することができるのだが、こいつは他の雇用可能なドラゴンよりもMENが高いためブレスの威力が高く、しかもスペシャル攻撃の場合はなぜか自身のエレメントと一致してもしなくてもダメージが変わらないので、相手に合わせてブレスを使い分けられるハイスペックなキャラとなっている。
-初心者救済のためか、中盤で蘇生魔法が入手できるのだが、ゲームの仕様上、無限に使用できるのが問題。主人公とゲストユニット、蘇生魔法装備者以外は何度でも蘇生できる状況が成立してしまう。これを入手以降は戦闘の緊張感が一気に下がり、ヌルゲーと化す。キャラロストの緊張感を維持したければプレイヤー自身でこれを制限せざるをえない。
--ただしアライメントLの女性キャラはエンジェルナイト転生という蘇生魔法でフォローできない爆弾を抱えている。
--また蘇生魔法を装備できるプリーストは範囲回復魔法「ヒーリングプラス」を使用できないという欠点があり、クレリックの代わりにはならない。あまり有用ではないプリーストが事故死の保険として出撃枠を1枠占めることになる。(プリンセスが加入するなら3つ装備できる魔法の1枠を蘇生魔法に充てるだけで済むようになる)
//別に禁じ手なんかじゃない。暗黙のルールとかもないよ
//↑他のSLGにも蘇生手段はあるにはあるが、無制限というのはやりすぎ。中盤以降ヌルゲー化する一因となっているのは確か。
-装備品、特に防具の存在意義が微妙。
--防具は防御力自体を上昇させるわけではなく、攻撃側の「攻撃力」を守備側の「防具無しの防御力」で引いたダメージ値に割合で補正(RESと表現)を与えるというもの。防具一つ一つのRESは重量に対してそれほど効果があるようなものではなく、はっきり言って割に合っていない。~
基本的に防具のRESは重量の半分、盾ももうちょっとましだが最弱の盾を除き、やはり重量増の方が高い。素の回避率があればダメージ期待値が逆に下がる代物である。また、盾を持つ場合、片手武器しか装備できない。
--武器は素手だとダメージが半減する仕様のため、全く装備しないわけにはいかないが、こちらも後半の武器になるほど重量上昇に対するダメージの上昇値が割に合っていないものが多い。
--例えば、レベル25の敵ソルジャーの物理攻撃力が247ポイントなのに対して、店で買える上級武器の代表格であるバルダーソードの攻撃力は30と、ユニット自身の攻撃力の1割を少し超す程度なので、ダメージはほとんどユニットの攻撃力で決まる。また、上級な武器でもその攻撃力の差はドングリの背比べ程度なので、武器を持ち替える意義が薄いのが残念。~
ほかのSRPGでは、弱い武器でもユニット攻撃力に対して十分高かったり、ユニットの攻撃力と武器の攻撃力が別の概念であることが多い。『伝説』でも武器の威力は今作同様だったので、松野氏の考えがあるのかもしれない。
--特に物理属性の防具では、他の属性の物理攻撃を''全く防げない''という謎仕様のおかげで、終盤の物理属性武具の不遇が尋常ではない。(ちなみに、ゲーム内ではその事実を自力で認識しづらい)
--風・炎・大地・水の4属性武器はユニットの属性一致でダメージではなく「攻撃力」自体が10%も上がるため非常に強力。神聖・暗黒属性は属性一致による威力強化がないが、物理属性防具で防げない点は同じ。(神聖属性は終盤の敵に多いアンデッド・悪魔系に強いが、暗黒属性は聖職者以外は素で軽減するクラスが多くやや不遇。)
--逆に、属性持ちの防具は物理RES以外に「その反対属性に対してダメージ軽減率が上がる」だけで他の属性はやはり素通し。属性一致ボーナスは無い。また、攻撃属性と防御側のキャラの属性が一致した場合のダメージ軽減も5%のみと、属性攻撃は有利すぎる。一方の物理属性武器は一般的な物理属性防具と各種属性防具どちらでも軽減できてしまうので相対的に弱い。
--付加効果持ちの防具(代表例はストーリーで必ず入手する全状態異常無効のタイタニアメイル)以外は”''ただの重り''”と見るプレイヤーは多く、3章から敵がバルダー防具を着け始めるのを「ハンデを背負ってやってきた」と形容する人もいるほど。

#region(装備品の効果に関する検証)
平均的な成長をしたLv20、炎属性、アラインメントNのナイト((STR150・VIT115・AGI119・DEX149・LUK50))で検証。~
天候は曇り、両者石壁((攻撃効果40、防御効果15、各属性倍率なし))に立っている条件。~
バルダーソード、バルダーシールド、バルダーアーマー、バルダーヘルム装備のナイト(WT517)と、バルダーソードのみを装備したナイト(WT467)が正面から斬りあった場合、前者の攻撃は命中率38%でダメージ126、後者の攻撃は命中率100%でダメージ92となる。ダメージ期待値では防具を全く装備しない方が倍程度の差で有利となってしまっている。~
また、後者がバルダーソードではなく最弱最軽量のミニマムダガーのみに持ち替えた場合、後者の攻撃のダメージが78に減少する代わりに、前者の命中率が19%に減少、ダメージ期待値の差はさらに広がることがわかる。~
もちろん、攻撃側の命中能力や攻撃する向きによっては防具を外しても命中率100%ということもありうるため、防具装備が無意味ということはないが、いずれにせよWT増加の割にかなり効果が薄いことがわかるだろう。~
ちなみに、両者が火竜の剣に持ち替えた場合、バルダー系防具は全くの無意味で、両者のダメージは134で全く同じになり、命中率だけが44%と100%という関係になる。~
例えば、ロウルートでの暗黒騎士団のオズとの一騎打ちイベントでは、物理属性の防具は足枷にしかならないので、すべて外して臨んだ方が良い。~
もっと低レベルの序盤ではダメージ自体が小さいため、余計に防具の効果を実感しづらい。序盤はレザーアーマーなんぞを装備するぐらいなら、回復アイテムを持たせた方がよほど生存率に貢献できる。
#endregion

-AGI、WTに関するバランスが悪い
--上述の通り、WTは命中率、回避率ひいては行動回数に大きく影響するので、強力な武具で機動力を犠牲にするより軽装の方が強い。そして中盤以降になると、AGIの高いキャラと低いキャラの差が顕著になり、致命的な差になりうる。
敵側のテンプルコマンドなどの固有クラスはAGIの成長率が5~8と高めに設定されているのに対し、味方の戦士系一般職のAGI成長率は3~6と低い。これは具体的にはLv20前後で30~40程度の差となり、バルダー防具一式分の重りを背負ってるようなものである。これはほぼそのまま命中・回避率の差となる。大抵は高AGIのキャラほどDEXも高いので、命中・回避の差はもっと広がる。そしてこの差はレベルが上がると広がっていく。
--AGIの高いニンジャでレベルを上げる、装備品を少なくしてWTを減らすなどの対策があるが、長所を殺すことになる。また、行動を早くする魔法なども存在するが、命中&回避の問題は解決できない上に、元々素早いキャラに使った方がより効果が高い。
味方側でも、ゼノビア人など一部の戦士系固有クラスのキャラは高AGIに設定されており、他の戦士系イベントキャラよりもあからさまに強い。
--重装備をした鈍足前衛ユニットは盾役として攻撃役の後衛を守る役割で使うことになるが、そもそも前線に到達するのに時間がかかるし、到達しないと狙われないので意味がない。そして最前線に立たせて敵に集中的に狙われて耐えられるほど固くもない。中盤以降は魔法の効果範囲が広がるため、どうしても後衛が巻き込まれる形になりやすいし、巻き込まれないほどに離れると盾役としてあまり機能しない。
--システムの項では「WTが低いことが必ずしも有利に働かない」とあるが、終盤になると行動回数などにも劇的に影響する上、MPの回復手段も充実するため、大体においてWTが低いほうが圧倒的に有利。重装備したところでWT増加のデメリットを上回るような効果は期待できず、終盤はAGIの高いキャラをできるだけ軽装にして行動回数を稼ぐのが定石である。((武器すらも多少攻撃力が低くても序盤装備の方が軽快に動けて有利))敵側も、重装備で鈍足の戦士系キャラよりも軽装で投射武器を持った高機動のアーチャーや有翼人などの方がよっぽど脅威となる。
味方の場合は、戦術上、敵の攻撃を避けられるかどうかより、攻撃を外して敵の攻撃役を仕留めそこなうことのリスクが大きい。
//AGIが高いのが効いてくるのはクリアレベルの35を超えてからで、それ以下はVITなど他のステータスも無視できない。本スレでもAGI派とVIT派の争論が時々見られる。
//↑そんなことはない。

-戦闘におけるLUKの重要度が高く、キャラ付けのためにLUKが低く設定されているイベントキャラ((一部のイベントキャラは一般兵よりも低い))が妙に不遇なバランスになっている。
--比較的わかりやすいクリティカルの発生率以外に、与ダメ・被ダメ・命中・回避と戦闘のあらゆる場面に大きく影響するため、特に物理攻撃ユニットにとっては生命線にもなりうる。
--そもそもクリティカルが発生せず、前線から1歩引いた場所で攻撃し、原則命中率100%の攻撃魔法使いユニットに限っては、それほどマイナス要素とは言えない。
--基本的にレベルアップでは変動しない。ステータスを変動させるカードのうち、LUKのカードだけは下がることもあるため、思い通りに強化するのは難しい。
--LUKが低くないと拾えない埋蔵アイテムも存在するが、大体のキャラは中途半端に低く、最初から条件を満たすのはルート限定の1人しかいない((しかも男なので、水中の宝を拾うことができない。))。
 
-ある重要人物を特定のタイミングで死なせた場合に発生するイベントで入手可能な武器がどう考えても割に合わない。重量の面で上位互換ではないにしろ、威力が高い同種の武器が、そのキャラが健在の場合でも手に入るからである。
--またストーリー上、重要人物の死とそのイベントの関連が感じられない。
 
-NPCの行動パターンがお世辞にもいいとは言えない。
--大抵の戦闘は敵リーダー撃破が勝利条件なのだが、その敵リーダーが真っ先に突っ込んでくる傾向が強く、そこに集中攻撃すればすぐに終わってしまうこともある。逆にアイテム回収などを考える場合、突っ込んでくる敵リーダーをどう生かしておくかを考えなければならなくなる。
--高所に陣取った弓兵は非常に脅威なのだが、敵はそれを生かしきれない。特に該当敵が飛行可能だった場合、わざわざ低所に飛び降りてくる。
---防衛ラインを持った敵以外は、基本的に弓の効果範囲=「攻撃選択時に表示される攻撃範囲の中で弓の届く場所」と考えている模様。逆に防衛ラインを持った敵は弓の射程を生かし切るが、詰め寄られない限りその場を動こうとしない。
--味方NPCであるゲストユニットが最も厄介で、特にゲストユニット救出マップでは、ただでさえ前方に出ていることが多いのに身の危険を顧みずに更に突撃していく。初見ではほぼ救出不能な場合がほとんど。
---また、自ユニットをオートにする際にはAIパターンがあるにもかかわらず、主人公と共闘しているゲストユニットにAIパターンを指定することができない。そのため、ゲストキャラに調子を合わせないといけないのが大変。
 
-''強制クラスチェンジ''の存在。
--能力が一定値以上のアラインメント「ロウ」の女性ユニットが死亡したとき、その直後に「エンジェルナイト」というクラスに問答無用でクラスチェンジして復活することがある。しかも、エンジェルナイトから他クラスへのクラスチェンジは不可。~
断っておくと、「エンジェルナイト」自体は決して弱いわけではない。むしろ人間の中では強いクラスである。
//使用可能な魔法を除けばヴァルキリーの上位互換と言って差し支えないクラス。そのため、敵のエンジェルナイトはなかなかの強さを誇る。
//上位互換かどうか微妙。天候抵抗が強から弱になるので、チェンジ直後では戦闘力が落ちる。
--問題なのは「エンジェルナイト」が戦士系であるにも関わらず、魔法系として育ててきたユニットでも大抵転生してしまうという点。というより、アラインメント「ロウ」の女性ユニットはAGIやVITの上がるアーチャーになれないので、魔法系として育てるのが定石で、しかもエンジェルナイトの転生条件ではMPがかなり高い必要があるので、ヴァルキリーやドラゴンテイマーより、魔法職の方が先に条件を満たしやすい((クレリックなら25前後、ヴァルキリー・セイレーン・プリーストが30前後、ドラゴンテイマーはクリアレベル帯でも条件を満たさない。なお、よほど極端なドーピングを施さない限り、エンジェルナイトは自分で育てて作るより敵に出てくる個体を説得した方が強い。死者の宮殿で成長値が増加する装備を獲得すればヴァルキリー育成でレベル24程度で転職させた強いエンジェルナイトを作ることも可能ではある。))。そうなってしまうと、パラメータとクラス特性がまるで噛み合わないユニットが誕生してしまう。特にアラインメントロウで魔法職のイベントキャラは初期能力が高めなこともあり、終盤になるとだいたい転生条件を満たしている。
--転生を防ぐには、死亡と同時に自動で蘇生するアイテムを持たせておく((転生より自動蘇生が優先されるため。))、一部キャラは転生しないクラスに転職しておくという対策がある。そもそもアラインメントロウでしか転職できないクラスはプリースト((蘇生魔法要員であり、そもそも死んではいけない))しかいないので、汎用キャラであれば蘇生要員((実際、アラインメントロウは回復魔法の効果が他のアラインメントより高いため、僧侶系で育成することが多いだろう。))にし、戦闘員は他のアラインメントのキャラで揃えれば無駄がない。専用グラフィックがあってイベントに絡むアラインメントロウの女性ユニットは5人。そのうち1人は専用クラスのため、絶対に転生しない。また、残り4人のうち2人も専用クラスの「シャーマン」((魔法職として強力なクラスで、魔法攻撃力がセイレーンやプリーストに劣るものの、基本的に損はしない。魔法を装備できる枠が2個しかないが攻撃要員としては2個で十分))に転職すれば転生を回避できる。注意すべきは残りの2人だが、ニュートラルルートで加入する方のキャラは元々プリーストなのでそのまま起用すればよい。ロウルートで加入する竜使いの女性はMPが低く、そのままのクラスで育てた場合は積極的にカードを拾わない限りクリアレベル帯でもパラメータ条件を満たさないことが多い。また、加入時期が遅く、戦力としてもかなり微妙で、仮に出撃するとしても僧侶系にして後方支援要員としての起用がベターなのであまり死ぬことはないだろう。
---なお、転生したユニットが「固有ユニット」であった場合、一応キャラとしては復活しているのにも関わらず、シナリオ・イベント上では死亡扱いになってしまう((転生後の死亡セリフも汎用のものなので、生前の記憶や人格が消えているという意味でキャラは「死んでいる」。これに関してはストーリー上でも扱われている。))。それが嫌ならリセットしてやり直すしかない。
//逆に考えると、先述の蘇生魔法のせいで失われた戦闘の緊張感を維持するのに役立っていると見ることもできる。
//そんな緊張感の持たせ方はいびつと感じます
 
--あるアイテムを集めるサブイベントに進んだ場合、特定のユニットを魔法使いの「シャーマン」にすることが必要で、以後クラスチェンジできなくなる。魔法系の2人は問題が無いが、残り2名が物理系なので、今までの成長と噛み合わないという問題がある。
---ちなみに、クラスチェンジ時のダイアログでうっかり「いいえ」を押してしまうと、イベントがそのまま進行するものの、2度とそのキャラに対応するマップが解放されなくなるという、地味なひっかけみたいな仕様が存在する。
 
--クラスチェンジはしないが、第四章になるとデニムの成長率が専用クラスの「ロード」と全く同じになるという隠れ設定がある。((成長率を毎回チェックするプレースタイルでもない限り気づかない))
---暗黒騎士団に勝利を収め、ヴァレリア解放軍の長となった彼に合わせて衣裳が新調されるが、どうもこの副産物である模様((内部的にもグラフィックだけでなく「初期の主人公」「4章の主人公」が別物として扱われている。))。
---ロードの成長率は戦士系最強クラス((ナイトの攻撃力、バーサーカーの防御力と、1番ではないが総合成績が高い優等生。))なので、通常プレーではむしろありがたい状況なのだが、ニンジャで育てて最速デニムを作るようなやり込みをしたい場合にはこれがネックになる。
---また、あまりやる人はいないだろうが、デニムを魔法職で育てていた場合には、第四章突入以降の成長率がクラス特性と噛み合わなくなってしまう((ただし、補助魔法メインのウォーロックなら、脚力さえアイテムでカバーすれば何とかなる。バーサーカー並みの物理耐性を持つので、少し成長させれば前線で活躍も見込めるだろう。竜言語魔法は別にしても。))。
---また、この設定のせいで、後述の通りデニムがロードにクラスチェンジする旨味がほぼ失われている。
 
-範囲攻撃の演出の長さ。
--敵のいないマスまでわざわざ1マスずつ演出が表示される魔法((サンダーフレア、ファイアストーム、スタンスローター、ポイズンクラウド、ペトロクラウド、アシッドクラウド、クラッグプレス、アイスブラスト、イクソシズム))が多く、ややテンポが悪い。((これらの魔法は使用頻度が高く、中盤以降は効果範囲が13マス分におよぶため、1、2体しか範囲に入っていない場合はものすごく無駄が多い))
---特に大地属性のクラッグプレスは、同属性のアシッドクラウドとほぼ同じ効果である((威力の違いもわずかしか無い。敵との高さの関係で威力が変わるなど、実はとっても面白い仕様なのだが。))にもかかわらず、演出が無駄に長くてウザいだけ。しかも消費MPが2倍以上、価格は5倍と明らかにコスパが悪い魔法。魔法攻撃が本職のクラスはもれなく両方装備できるので、前者はほとんど存在意義がない。
//一応威力は微妙に上がっているはずです。微妙過ぎてわざわざクラッグプレス使う理由ないのは確かですが。
---一方、アシッドレインの様に、範囲内全体に同時に演出がでる魔法も存在し、これらについてはテンポが速く快適。
---全体攻撃魔法についても演出は一回で済むため、ストレスは小さい。
--終盤に特殊ダンジョンで入手できる状態異常付き全体攻撃も、1人1人に状態異常表示が出るため時間がかかる。
---状態異常が付加されない全体攻撃魔法も神聖属性1個・炎属性2個入手できる。死者の宮殿でチャージスペルと組み合わせて即時x複数組で連発するような全体魔法主体の戦術をルーチンワーク化する場合も、こちらを利用すれば状態異常表示に煩わされることもない。
//↑ダメージや状態異常の表示は1人1人に表示してくれないと、むしろ誰に効いたのか把握しづらい。特にテンポが悪いとも言えない。
 
-レベルシステムのバランスが微妙。
--本作では1レベル上がるだけで戦闘力に格段の差が生じ((特に序盤に顕著))、敵キャラよりも1レベル低いということが致命傷になりうる。
--加えて、アタックチーム内の最もレベルの高いキャラクターに合わせて敵レベルが決定されるので、キャラのレベルをなるべく統一する事を強いられる。((主人公よりレベルの高いユニットが1人でもいると、必然的に主人公のレベルが敵のレベルより低くなってしまう。))
--一般的なSRPG同様レベル差の補正で経験値が上がり、経験値はレベルアップするとリセットされるというシステムを採用しているが、そのシステムにより、1レベルずつしか上げられないので大きく差が開いてしまったユニットの育成は後述のトレーニング以外では難しく、少々煩わしい。
//↑これはSLGではわりと一般的なシステムで、特に問題点とは言えない。
//1レベル差が大きいのに一般的なシステムを採用している事が問題になってるので、文章を変えて復帰
--主人公のレベルを低く抑え、且つ主人公よりもレベルの高いキャラを出撃させなければ難易度を抑えることができるが、イベントで加入するユニットは概ね加入時期の敵の上限レベル以上に合わせられているので、この運用法ではせっかく仲間になったユニットを出撃させられないというジレンマも。
--一部のステージ((死者の宮殿))を除けば、敵にはステージごとに上限レベル(下限も)があり、それ以上にレベルを上げれば、敵よりもこちらのレベルが高い状態でプレーできる。ただし、NPC救出ステージではレベルが高いことがプラスに働きにくく、逆に低レベルで進めた方がNPCが無双状態になって救出しやすいことも。
---ただし、敵リーダーだけは常にレベル固定という仕様なので、低レベルで進めた場合は「敵リーダー一人だけ突出してレベルが高い」状態も起きる。
--SLGは慣れ親しんでいない一般プレイヤーにとっては難しすぎるとの考えから、「大味で、レベルアップさえすればクリアできる」と言われてしまうバランスを意図していたとのこと。

-パーティのレベルを上げる&均等化するために「トレーニング」というシステムがあるが、「レベルの高いキャラに低いキャラが延々投石を繰り返す」というシュールな光景はネタにされる。そしてネタを抜きに考えるとただただ面倒な作業プレイを強いられる。
--余談だが、このゲームは同士討ちが可能なので、トレーニングをする際の的は遠くに配置される敵チームのキャラよりも自チームのキャラを狙う方が効率がいい((AIによる1対1の殴り合い(時折回復)で最高レベルを目指す裏技、通称「クレリック法」を使う場合話は別。))。にもかかわらず、トレーニングには2つのチームを配備しないと開始できない。自軍の最高レベルのキャラが複数いる場合はともかく、一人だけレベルが突出している場合はチームごとの経験値の稼ぎに偏りが生じてしまう、もしくは配置に時間がかかる。
--幸い、レベル差が開いていると1回殴るだけでもレベルアップするので、後半に加入したキャラでもトレーニングを積めば比較的すぐ実践に投入することが可能である。ユニットの攻撃を当てるための方策が必要だが、状態異常魔法を使えば何とかなるだろう。
 
-イベントバトルで敵を何度も攻撃する、敵をたくさん撃破する、味方を何人も回復するなどの高い戦績を挙げると、そのユニットはMVPになり、おまけのレベルアップが発生する。MVPになったユニットのレベルが突出してしまうことが多いし、CCに撃破数が絡むユニットの場合((特にパラメーター条件を満たしながら撃破数が足りない場合。))レベルアップは余計なお世話であることが多いので、あまり歓迎されていないシステムである。
--MVPを避けるため、撃破数稼ぎはランダムバトルを使うことが望まれるが、ランダムバトルは出撃する敵ユニットがイベントバトルに比べて少ない。そのため撃破数のCC条件を満たすには何回もバトルを挑むしかない。
//経験値自体が入らない死者の宮殿は、撃破数稼ぎに最適である。突入できるのは最後半であるが。
// 「リザレクションを利用して弱い味方を何度も殺害するという裏技もある。」という記述がありましたが、以前SFC版でにクレリックのCC可否条件と撃破数に関して検証してみたところ、味方を規定人数(10人)撃破してもCC
 
-最終章のランダムバトルのレベル設定がおかしい
--本作では、最終章のランダムバトルの設定レベルが28~35になっている。しかし、最終章突入直前のイベントバトルの上限レベルは24であるため、最終章の開始直後にうっかりランダムバトルに突入するとパーティの平均レベルより4以上も高いランダム敵が出現することになる。((しかも、章の開始位置のフィダック城から、最初のイベントバトルのあるバハンナ高原までの移動ルートの途中にあるウェオブリ山は敵出現率がかなり高い))それどころか、この設定レベルは最終章の大半のイベントバトルの上限レベルよりも高いため、ランダムバトルに数回勝利すると味方のレベルが上がりすぎてしまい、イベントバトルがぬるくなってしまう。最終シナリオの連戦ステージに突入する直前の王都ハイムでのイベントバトルの上限レベルが31であることを考えると、上限下限ともに4レベル分低く設定されているぐらいが妥当な数値か。
 
-セーブデータが2つしか保存できない((もう1つ中断セーブがあるが再開すると消えてしまう))。ルート3つともう一つ大きな分岐点があることを考えると、少なくとも3つ、出来れば6つ以上欲しくなる所であり、かなり少ない。
--これは外部記憶装置を使うことで解決できる。SFCには「[[ターボファイル ツイン>https://www.amazon.co.jp/dp/B0001RBOOI]]」がある。セーブデータ数は最大16個。ちょっとした検証用にデータを移し替えるといった用途にも使えるし、クリアデータを保存したいという理由で導入するプレイヤーも多いようだ。「ターボファイル」の電池が切れればおしまいなのが玉に瑕だが。
---PS版でも、メモリーカード1ブロックでセーブが可能だし、メモリーカードに糸目を付けなければ((もしくはPS2のメモリーカードやPS3のドライブを利用するなどすれば。))いくらでもセーブを残すことができる。メモリーカードは簡単に手に入るので、攻略を楽に進めたいのならば最もおすすめである。
---SS版は内蔵メモリ、外部メモリにそれぞれ3ファイル保存可能。確かに「ターボファイル」が無い場合のSFCよりは多いが…
--''ただし、[[コピーできないVCではどうしようもない。>https://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_to/img/page_03/03_kakomi.gif]]VCでこの問題点が目立ったといっても過言ではない。''
 
***シナリオ面
-魅力的なストーリーだが、最後まで、あるいはルート次第で未消化のまま終わる伏線などもある。
--敵の親玉の1人は、一度戦うのみで逃げられてしまい、以降は直接会うこともできず決着はつけられないまま終わる。
--ストーリー序盤から登場するのに、結局戦わせてもらえない暗黒騎士がいる((必殺技などのデータはグラフィックが未完成ながらちゃんと用意されている。そのため当初は戦う機会があったことがわかる。))など容量不足ゆえに苦慮した面もあるようだ。
--その他、序盤で思わせぶりに顔見せしたキャラがルートによってはそれっきりフェードアウト、あるいは知らぬ間に死亡してしまったり、政治的に重要なキャラが死亡したことが、口頭でさらっと匂わされるだけで、ウォーレンレポートをチェックしないと詳細がわからないという問題もある。
--また、仲間に加えなかったときに「いずれ、また会うこともあるだろう」と言ったキャラと結局「また会う」ことが無く、ただの思わせぶりなセリフとして終わる。
--関連するユニットは戦闘中に会話イベントが発生する場合があるが、容量不足のためか、明らかに関係性の深いキャラ((アロセールVSレオナール、ロウルート以外のハボリムVSオズマ、フォリナー4姉妹(特にシェリー)VSブランタ))なのに全く会話が発生しないパターンもある。
 
-主人公のデニムの自己主張が変な方向に強い。
--プレイヤーの分身ともいえる主人公だが、到底感情移入できないようなトンデモ発言をすることがしばしばある。特にロウルートやニュートラルルートでそれが顕著。
#region(デニムのトンデモ行動の例:ネタバレ注意)
--ロウルートでは、幼馴染からの必死の説得(どう考えても正論)に対して上から目線のトンチンカンな発言で退ける((プレイヤーに発言の選択権はない))。
--ニュートラルルートではあっさりと幼馴染を見殺しにする発言をして姉を呆れさせる、姉が行方不明になっても何のリアクションもせずにスルーする(むしろ上司の方が心配している)など、人格を疑うレベルの発言や行動が目立つ。
--カオスルートではまともかと言うとそうでもなく、たった1人の肉親である姉がコリタニ城から港町ゴリアテ(距離が遠いだけでなく、敵地のど真ん中)に1人で帰ると言い出しても真剣に引き留めようともせず、それどころか護衛の1人もつけずに見殺しにする。(一応、無事にゴリアテにたどり着いたのち暗黒騎士団に保護されたので結果オーライだが。)ちなみに一度賞金稼ぎに姉を誘拐された過去があり、学習能力がないというか、根本的に人間らしい気遣いが欠如している。
--基本的に戦略眼などは皆無で、誰かに指示されないと次の行動もまともに決められない。行き当たりばったりの思いつきの行動ばかりとは言え、人助けに奔走するカオスルートはまだしも、私利私欲に走る権力者に必要以上に従順な態度で都合のいいように使われるロウやニュートラルルートは、とにかくストレスが溜まりやすい。
#endregion
 
-味方兵力が不自然な期間がある
--ルート次第では、主人公が逃走・潜伏する期間が存在するが、その間もイベントキャラはおろか一般兵すら1人も離脱することなく行動を共にし、置かれている状況からすると不自然なほど戦力が充実している。
--この期間中でも当然のように10ユニット出撃可能なため、追撃・待ち伏せ部隊との戦闘でもむしろ味方側の方が兵力が上という不自然な状況が多々ある。((主人公を誘いこんで罠にはめたはずの敵参謀の部隊がこちらより兵力が少ないステージなど))
 
-ゲーム的都合でしょうがない部分も多々あるが、敵味方ともに軍の統率者の危機管理意識が低く、指揮能力も作中での評価とは違って不自然なほど低い。

#region(軍人のチョンボ集:ネタバレ注意)
//--ガルガスタン陣営は、ロンウェー公爵の処刑の情報をエサにゲリラをおびき寄せたはずが、少人数のゲリラにあっさりと城を奪還される。囮待ち伏せ作戦のはずが、明らかな準備不足。
//前作『伝説のオウガバトル』を戦い抜いた百戦錬磨のゼノビア組の存在は予想できるものではなかった。少人数といっても例えば聖騎士ランスロットは、1人で騎士100人に匹敵する強さと言われている暗黒騎士ランスロット・タルタロスの片目を奪ったほどの使い手である。
--ウォルスタの将軍レオナールは、初登場シーンからして「敵将を追撃中に"油断して"奇襲を受け、部隊を壊滅させられて虜囚になっていた」という散々なもの。~
彼に関してはこの手のエピソードに事欠かず、カオスルートで圧倒的優位な状況でガルガスタン軍に勝利した以外では、だいたい戦に負けている。特にニュートラルルートではまたもや部隊を壊滅させられて虜囚になっている(しかも相手はただの少人数のゲリラ)。そして最終的に敵の城の中で不用意に単独行動してあっさり殺されている。カオスルートでも反逆者のデニムを討伐に来てあっさりと返り討ちにあって戦死((一応、彼は自己保身のためにローディスにつこうとするロンウェー侯爵を止められなかったことを悔いており、主君を裏切ることもできない立場なので、敢えてデニムに討たれることを望んでいたようだ。それを見越して、万が一の時にはデニムに従うように部下に下知を出し、何の偶然か次のマップが楽になるアイテムまで落としてくれる。))。この人がウォルスタ解放軍の遠征の総大将という時点でウォルスタの人材不足が見て取れる。
--ゼノビアの英雄のランスロットも、バクラムの侵攻に備えてライムに駐屯していたはずなのに、あっさりと奇襲を許してライムはあっという間に陥落、本人は虜囚の身となる。不戦の密約を無視した奇襲で多勢に無勢とは言え、百戦錬磨の英雄ならもうちょっとうまく立ち回ってほしいところ。
--バクラムの前線基地であるフィダック城は、暗黒騎士団団長がいたにもかかわらず、真正面からたった1日で攻め落とされ((門の警備にあたっていたのはバクラム兵であり、あてにしていたロスローリアン本隊が来る前に死んでしまう。バールゼフォンら城にいたテンプルコマンドたちも加勢しなかったのが実に哀愁を誘う。))、しんがりを任された暗黒騎士団コマンドも戦死((この時点でバクラムの最高権力者である司祭プランタは、自分の意に沿わないローディス暗黒騎士団長・ランスロットを疎んじていたのが仇になった。またローディスからしてみれば、彼らの目的に必要な「駒」を手に入れることができたので、余計な消耗は控えたかった。))。
//--ついで前線基地となったバーシニア城も、暗黒騎士団団長が指揮し、しかも足並みのそろわないバクラム兵ではなく、直属の暗黒騎士団が守備していたにもかかわらず、やはり1日で陥落((それ相応に難易度が高く、騎士団長は本作の最強キャラの1人なので、レベルが低いと苦戦は必至だが。))。暗黒騎士団っていったい・・・。
//バーニシア城は前線基地ではなく、4章始めは掴んでいなかった所在を情報の横流しという裏切りがあったことで密偵がつかんで、ヨルオムザ峡谷に囮の部隊を派遣したうえで進軍ルートから北に大きく外れた地方の城に奇襲を仕掛けたという流れ。そして暗黒騎士団はテンプルコマンドそれぞれが率いる騎士は30人程度しかいない少人数部隊である上、生き残ってるコマンド5人中4人が不在という寡兵の状況。
//---しかもこの団長、負けたことがよほどの想定外だったのか、自分が逃げ出したことを棚に上げて同じくバーニシアを守っていた部下((ただし、もともと上司に対して反抗的で、バーニシアでの戦闘中にも常軌を逸した問題行動を起こしている。))を罵倒してしまう。この部下にしてみれば「お前が言うか」という気持ちだろう。
//想定外だったのはカチュアが王都への撤退を嫌がったため留まって戦わざるをえなくなったこと。
//「いずれにせよ、奴等と戦うことにはなる!」というバルバスの主張を肯定せず島から撤退するのを悟られたように、団長としては解放軍と戦わせる必要性もなかった。
--ヴァイスは謀略や作戦立案能力には長けるが、実際の戦場では負けてばかりなので、現場指揮能力自体は凡庸。
--将軍としての指揮能力で評価できるのは、追撃してくるレオナールを罠に嵌めて返り討ちにしたニバス(の部下のモルドバ)、ロウルートで2度にわたってウォルスタ解放軍を撃退したザエボス(一度目はVSレオナール、二度目はVSヴァイス)ぐらいのものだが、いずれも作中での評価はあまり高くない。
--一方、デニムはゲームシステムの都合上、撤退戦などが存在しないこともあり、初陣のときから与えられた任務は常に完遂する無敵の英雄。多少の不利などものともせず、敵に嵌められて完全包囲されようが、あっさりと包囲網を突破する無双ぶり。何の戦略眼も持たない猪武者でありながら、いつの間にやらウォルスタ・ガルガスタンの連合軍を率いる指導者になっているのも頷ける圧倒的な現場力である。
#endregion
 
-民族融和を謳いながら、加入するイベントキャラの民族が人口比率と乖離して異様に偏っている。
--島の人口比率はガルガスタン>>バクラム>ウォルスタという状況にもかかわらず、ガルガスタン人のイベントキャラはほとんど仲間にならず、ほぼ不倶戴天の敵状態。
--特に最も民族融和を強調しているはずのカオスルートでは、固有の顔グラのあるイベントキャラではバクラム人が大半で、次いでゼノビア人(海外の来客)、ウォルスタ人と続き、ガルガスタン人は終盤の隠しイベントのキャラが1人のみ((しかもそのキャラは三ルートとも加入する可能性がある。つまり、カオスルート限定のガルガスタン人固有キャラが一人もいない))。戦後のガルガスタン人の処遇が心配になるレベルである。
--ロウルートでは、カオスルートに比べてバクラム人が4人減り、ウォルスタ人が1人、ガルガスタン人が2人増えるので、人口比率を度外視すれば比較的バランスがよい((ほかのルートに比べイベントキャラが1名少ないのはご愛敬。))。
 
-強制一騎打ちの存在。
--強制的に主人公1人、あるいは主人公だけが突出して前面に出ているというステージが存在し、これに耐えられるような育て方をしていないとほぼ詰み状態となってしまう。しかも、そのほとんどが連戦マップの最終ステージだったりするので、余計に質が悪い。ちなみに、シナリオ的にも主人公が単独行動をする必然性が薄い場面がほとんど。
--主人公が4章で旨味成長率で固定するので、そこまでに塩漬けにしたくなるプレイヤーもいるが、強制一騎打ちがそれを許さない。但しロウルートのみ完全な一騎打ちではなく離れた場所に一応味方が存在する。
 
-終盤に物語の超重要人物の生死に関わる台詞の選択イベントがあり、選択肢を間違えると問答無用で死亡する。
--しかも、そのイベントは過酷な三連戦ステージをクリアした直後であり、失敗すると三連戦からやり直しになるという理不尽すぎる仕様。
--そのキャラは非常に強力なユニットで死亡が大幅な戦力ダウンにつながるだけでなく、イベント的にも強制的にバッドエンディングに直結してしまう。
--そして、正しい選択肢を判断するのが初見プレイヤーにはやや難しい。質問は2つあり、1回でも間違えればアウト。つまり、何も考えずに選んだ場合に正解にたどり着く確率は25%。また、2つ目の質問の正解はその少し前のステージで別の人から投げかけられる質問により変動するという厄介な仕掛けがある。((一問目がチャプター3で自軍から出ていったときのカチュア姉さんの主張を肯定する「確かに置き去りにしたよ」だとが受け入れられて、否定する「置き去りにしたわけじゃない」だと拒絶されるのは、納得のいく展開ではある。二問目の「愛している」と「離れたくない」に正解不正解があるは理不尽なかんじが強い。))
//モルーバの事前質問は、直前のプランシーの「カチュアを救ってくれ」という遺言を考えれば「それだけはできません」を選ぶのが素直な答えであり、「それもしかたありません」を選ぶのは、ひねくれ者か、話をちゃんと聞いていないかのいずれか。よって、カチュアの二問目の質問も王道の「愛している」を選んで正解できる。
//↑大義のためには自演で同胞虐殺するのもやむなしというLルートを通ってきてるプレイヤーだと、姉への愛はあるけど離れたり戦うのもやむなしとデニムに答えさせるのもまた素直な反応の1つ。虐殺を拒否するCルートでカチュア離脱時には「僕を置いていくのかい?」という展開を通ってるプレイヤーなんかは、「それだけはできません」と「離れたくない」を選ぶのも素直な反応の1つ。通ってきたルートによってこの辺のプレイヤー感覚は左右されやすい。
--一応、その人物が死亡した場合のみの特典がいくつかあるが、下記の理由で割に合っているとは言いがたい。
---デニムがロードという非常に強力なクラスに就けるようになる。しかし、ロードの最大の特徴は戦士系最強クラスの成長率なのに、実は上述の通り、第四章になった時点からデニムの成長率はクラスに関わらずロードと同じになるため、全く意味がない。他のクラス特典も、魅力的なのは移動力と範囲回復魔法ぐらい((しかもニンジャで代用可能))なもので、ダブルアタックは実用性が低いし、行使できる魔法もステータス特性と乖離しているため、あまり役に立たない。((それどころか、魔法職で育てていた場合に使える魔法が限定されてしまうというデメリットも))
---隠しエンディングを見る条件にもつながっているが、もう一つの条件が難しすぎて、事前情報が無ければ到底自力で見られるものではない。
---ちなみに、そのキャラを死なせるにしても、選択肢で正解して一度仲間にしてから死なせた方が追加特典が1つ多い。つまり、選択肢を間違えて死亡させるメリットは実質的に存在しないも同然。
 
-一部仲間の加入条件が分かり辛い。
--最終章で仲間になるキャラは加入条件が難解なものが多い。((最終章で加入するキャラクターで確実に加入するのは「水のオリビア」のみ。))ただし、これらのキャラは実質的に隠しキャラなので、仲間にしなくてもシナリオには特に影響しない。((いずれも登場は隠しマップ扱い))
---当時のゲームでは事前情報が無ければまず見つけられないような隠しキャラ、隠しアイテムなどが存在するのは割とよくある話だったので、とりたてて本作が突出して理不尽というわけでもなかったのだが、不満に思うプレイヤーもそれなりにいたようだ。
--中でもフォリナー四姉妹の1人である「大地のシェリー」は、他の三姉妹とは比較にならない加入条件の複雑さが今でも語り草である。((他の隠しキャラと違い、シナリオ的にもいかにも仲間になりそうな雰囲気でありながら、事前情報なしでは条件成立がまず不可能なレベル))
---ゲームと同時発売のVジャンプ版攻略本(下巻)には彼女のその後に対して「いずれ再会することもあるかも。」としか書かれていなかった((どこで加入イベントが起こるか、といったヒントすら無い。果たしてVジャンプスタッフはシェリーと再会できたのだろうか?))。

#region(加入条件が極端に難しいキャラ(ネタバレ注意!))
-シェリーの加入条件は、前提として、彼女の妹である「水のオリビア」が自軍にいる必要がある。オリビアはストーリーを進めていれば確実に加入するので、これは問題ない。
+敵キャラとして出てきたシェリーを殺さずに逃がしておく。これも、彼女を生かしておけば何かありそうだということは多くのプレイヤーが思うはず。
+ここからが重要で、主人公が解放軍の本拠地に戻った後の一定期間中に天候を''大雨''にしたうえで「''バルマムッサの街''」に行く。もしくは「バルマムッサの街」で天候を大雨にしてゾード湿原へ移動する。
-ここで留意すべきは、この間に''シェリーに関する注意喚起が一切無い''((シェリーを退けた後、ブランタらがシェリーの消息について話すシーンがあるが、話で出てきた場所はバルマムッサではない。))点、「バルマムッサの街」は本拠地に戻った後の主人公の進路とは''逆方向にある''点である。また、シナリオを進め過ぎるとシェリーの再加入ができなくなる点も難点と言えば難点か。
--もしかしたら、虐殺以来これといったイベントの無かった((ロウルートの2章頭で戦闘行うくらい。))バルマムッサに再び訪れることができる時点で、そこで何かしらのイベントが発生することに気づいた人はいるかもしれないが、天候が条件なのは気付きようもない。
--''シェリーとの戦いの直後に加入イベントを起こせない''という点もいやらしい。シェリーをすぐに追いかけたくなるのが人情ではないのか。
---一応、シェリーはオリビアに若干劣るものの一線級の性能で、同時に手に入る魔法も使い勝手が良いのが救い。またシェリー専用(というかフォリナー四姉妹それぞれ)のサブイベントがあるため、サブイベントを全部見たいという人も仲間にする必要がある(ただし、報酬として手に入る呪文はほぼ使いどころがないただのコレクターズアイテムに近い代物で、むしろ副報酬として手に入る属性盾の方がまだ有用((これも重量が重すぎてぶっちゃけ微妙。属性防御はオーブと全く同じ))と言う声も)。ちなみに、このサブイベントを見るためにはそれぞれ固有クラスにクラスチェンジする必要がある。シェリーは普通は攻撃魔法要員として使うので、その場合は総合的に見てクラスチェンジしておいた方が強い。セイレーン以外のクラスで使いたい場合はこの強制クラスチェンジが最大のネックとなる。
--なお、シェリーを逃さず殺害すると、入手方法がこれ以外では死者の宮殿100階の汎用構成の敵からのみ((最低でも100階まで二周する必要がある))とかなり面倒な魔法「ダークロア」が手に入る。敵の最大HPに応じた割合ダメージを複数回するもので、性能は一見微妙だが、敵の説得に併用すると便利。一番損するのは、''シェリーを仲間にし損ねた上ダークロアも逃す''というパターン。これだけはメリット皆無なので避けたいところ。
-シェリーほどではないが、カオス・ニュートラルルートのセリエも特に説明のないまま救出可能期間が限定されるので、ややわかりづらい。
-「竜使いオクシオーヌ」や「魔女デネブ」も条件が難解だが、これらは本筋にほとんど影響しない完全な隠しキャラであり、任意のやり込み要素なので問題点とは言えないだろう。
//-ロウルートでしか仲間にならない「竜使いオクシオーヌ」も見つけにくい。第四章のある時期以降にウォーレンレポートを確認することで出現する隠しマップの1つであるベルモーゼ台地での"ランダムバトル"にジュヌーンを出撃させることでようやく出現する隠しイベントとなっている。また、第三章のとあるイベントバトルでジュヌーンを出撃させて敵ボスと戦闘中会話を成立させておく必要もあり、ジュヌーンを常時スタメン起用しているプレイヤーでなければまず気づかない。((ジュヌーンは攻撃力はトップクラスだがAGIが極端に低いというやや癖の強いキャラ))
//-「魔女デネブ」も条件が難解。そもそも、デネブの隠しショップ自体もかなりやり込まなければ自力で法則を見つけ出すことは難しく、普通にプレーするだけでは彼女に会うことすらかなりの幸運。さらに雇用する条件はそのショップで255個の買い物をするというもので、事前情報なしではまずもって気づかないだろう。((デネブのショップの目玉商品は超高額のオーブであり、安価な汎用アイテムをわざわざデネブから買う機会はあまりない))
//--加えて、本気のデネブを雇用するとなると、パンプキンヘッドを通算10人雇う必要があり、そのためには死者の宮殿のみでランダムで手に入るガラスのカボチャを10個売るという苦行を強いられる。ちなみに、レアアイテムのファイアワンドと炎の法衣、および炎系魔法のストライクノヴァはこの方法でしか入手できない。
//↑オクシオーヌやデネブまで問題点とか言い出したら世の中のゲームのやり込み要素はすべて問題点ということになってしまう。ギルバルトエンディングも含め、これらの記事を載せるなら「問題点」ではない項目を作るべき。というかシェリー加入も含めてこれらのイベントの詳細は攻略サイトに譲るべきでは。ここはあくまでもゲームレビューサイトなのだから。
#endregion

***バグ関連
プログラムミスor未実装or誤った説明が散見される。
-ユニットのエレメントが対立する場合は大ダメージを与え、同エレメントのユニットによる攻撃はダメージが小さくなる、という説明はあるが機能していない。攻撃手段の属性と防御側のユニットエレメントのダメージ増減関係との混同か。
-弓に対して窪みに置くのが有効という遮蔽効果の説明があるが、弓の軌道は放物線のため問題なく命中するし、軌道や相手からの高さで威力が変わったりもしない。一応、クロスボウ系の投射射撃は直線軌道で発射するので有効な場合もありえるが。
--検証により、''窪みに置くことでより弓が届きやすくなってしまう''ことが分かる。ギリギリ届く距離では標的の足元に撃って不発になるのを、足元への軌道を遮ることで高射角を取らせば届くようになることによる。
-ゲーム内の説明に悪天候での強さが記載されているクラスがあり、攻略本にはメーカー資料に基づいて「天候抵抗」というマスクデータが全クラス分掲載されている((悪天候に強いと説明があるクラスは本当に高い値になっている))。しかし実際には天候の効果は前作の昼夜のようにアラインメントに左右され、天候抵抗は天候に関係なくいつでも強く、実質クラスごとに違う能力ボーナスのようなものになっている。
-パラメーター画面で表示される防御力はゲーム中に使われている値とは計算が違うために参考にならない((本来は物理ダメージの倍率を決める物理属性耐性の逆数がキャラの素の防御力に乗算されている。防具によって防御力が上がるか下がるかの目安程度にはなるが。))。
--特に魔法防御力の計算にまで物理属性耐性が参照されているため、重装備すれば魔法に強くなるように見えるが、実際はダメージが変わらない。魔法全体の属性耐性が存在しないので、魔法属性耐性が正しく反映されないのは百歩譲って問題にしないにしても、物理属性の魔法が存在しないのだから、耐性自体を無視することはできなかったのだろうか?
-各種法衣やバルダー系の防具は装備するとINTが上昇するとの説明文があるが、魔法攻撃時に参照されないので実際にはほぼ機能していない((攻撃範囲の拡大には一応貢献する))。
--杖やバルダーソード系の武器、各種指輪などのINT上昇は魔法攻撃時にちゃんと機能している。((機能しているかどうかは装備画面で確認できるのが救い))
-武器を複数装備すると攻撃力が上がるかのような表記がでるが、ダブルアタックが可能なキャラ以外では実際には上がっていない。
--ちなみにパワーグラブは「所持者の力を増幅する(STR+5)」という説明がされているが攻撃力には全く影響せず、ゲーム内の装備画面でも攻撃力の上昇表示はされない。((一応断っておくと、攻撃されたときの防御力としてのSTRには影響しているため、タワーシールドと同じ装備部位・重量・属性耐性で防御力がわずかに高い優良防具。バルダーアーマーやバルダーヘルムなんぞより軽量で守備力が高いので、片手が空いているなら装備しておいて損はしない。))
-説得不可能・アイテムドロップもしないアンデッドの雑魚キャラが持っているせいで絶対に入手できないレアアイテムがある。
--解析によると倒せばそのアイテムを落とすよう設定されているが、アンデッドは倒しても時間経過で復活、浄化するとアイテムは落とさず消滅するため、意図と違った挙動になってしまっている。
-ハボリムの初期忠誠度がおかしくなる条件がある。
--ニュートラルルートで、クァドリガ砦を攻略してハボリムを仲間にしたときのみ、なぜか初期忠誠度がとんでもなく低い状態で加入する。この状態でカオスフレームの高い民族を攻撃して忠誠度が下がったりすると、最悪の場合離反することもあるので注意。ハボリムは、他のルートや同じニュートラルルートでも別の条件で加入した場合には忠誠度が固定で、シナリオ上、この条件のときのみ忠誠度が低くなる理由も特にないので、おそらく設定ミス。~
ちなみに、ハボリムの忠誠度が低いままだと、ハボリムの正体を知るイベントが発生しない。
-ウォーレンレポートの「ライム炎上」を途中でキャンセルすると戦闘で直接攻撃がダメージ無効になる。
-2章Cルートでイベントメッセージをきちんと表示させずに読み飛ばすとフリーズする箇所がある。
-1番目の出撃キャラがMP0だとCOMがMPを誤認してMP回復アイテムを使用しなくなる。

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**総評
勢いのあるテキストと壮大なBGM、緻密なドット絵が醸し出す独特の世界観。~
システムも斬新。バランス面ではかなりいびつなところもあるが、それを差し引いても戦術的に十分すぎるほど楽しめる。~
周到なヘルプによる間口の広さと、何度の周回プレイにも堪え得るボリューム。~
様々な要素を高水準で兼ね備えた、シミュレーションRPGというジャンルの永遠の代表作たる完成度を誇る名作である。
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**余談
-本作は、ファミ通の読者が選ぶTop20のランキングでSFCの作品で唯一、長年に渡りランクインし続けていたことから、未だ根強い人気を誇る作品であることが覗える。

-前作にも登場した秘宝「ファイアクレスト」を入手するとレポートに応募宛先が表示され、装備しているゲーム画面の写真を送るとデネブの手紙とガラスのカボチャが貰えるキャンペーンが行われた。

-伝説のオウガバトル完成後、発売されるまでの数ヶ月間は斜め見下ろし型のアクションゲームを試作していたとのこと。これが初期のHERMITと思われる(タクティスオウガのHERMITはVer1.3)。
--開発陣が『[[ソルスティス 三次元迷宮の狂獣]]』や『[[ランドストーカー ~皇帝の財宝~]]』にはまっていて、伝説のオウガバトルの開発が終わる頃に次はこういうのを作りたいと話していたとのこと。
--新規IP創出のため伝説のオウガバトルを支援していた任天堂から続編を作ろうと持ちかけられ続編企画が急遽動き出し、試作していた斜め見下ろし型アクションゲームを流用することになった。

-開発者の松野泰己がTwitterで企画書を公開している。当初の仮タイトルは『ランスロット Somebody To Love』だった。企画の立ち上げ段階では主人公はやはりランスロット・ハミルトン((余談だが、誕生日が松野氏と同じため、かなり入れ込んでいたキャラだということが伺える。他にもスタッフの誕生日と一致するキャラがいる。))であったが、彼が中年であったために没になったという。
--『ランスロット』の企画書の後に、『タクティクス オウガ The Byquest of King Dorgalha』((英題は『ドルガルア王の遺産』という意味。製品版でも物語の鍵となっていた。))として再度企画書が作成されている。主人公の血縁関係が開発中に代わっていることがこの企画書から読み取れる。詳細な理由は不明。
---初期設定では、主人公はブランタ司祭((暗黒騎士ランスロットの脇にいるため敵だったと推測されるが、製品版同様ラスボスでは無い。))の息子で、カチュア王女の護衛として弟のブライアン((製品版におけるプランシー。改名の理由はやはり不明だが、製品版では汎用キャラの名前の一つに存在。))に預けてゴリアテに送った、という設定だった。
--また、『聖杯』((『伝説のオウガバトル』に出てくる同名のアイテムとの関連は不明。))というアイテムがキーアイテムとして登場する予定で、企画当初のラスボスは製品版とは違い「聖杯の力に取りつかれたブライアン」だった。

-エニックスの雑誌「ガンガンWING(現・月刊ガンガンJOKER)」でコミック版が連載されていた(全4巻)。
--原作同様のシリアス路線だが、当時は王道とはいえなかったロウルートを題材にしており、原作ファンを驚かせた。
--ストーリーは1章途中から2章終了まで。オリジナルキャラも登場する。

-民衆からの支持率を示す「カオスフレーム」という隠しパラメータ((ファミ通版攻略本では「存在しないけど」と書かれていたが間違い。後述の通り、普通にプレイしていて気づく要素ではないので、不可抗力と言うものだろう。))があり、普通にプレイしている分には気にならないが、隠しエンディングの条件になっている。
--前作『伝説のオウガバトル』にも登場した概念で、エンディングに影響する重要なパラメータだったが、前作ではバーが表示されていた。
--特殊エンディングは内容的にはベストエンディングというわけでもなかったので、TOのカオスフレームについてはユーザーの間でひっそりと研究が行われていた。
--2010年に松野氏が隠しコマンドを入力することでカオスフレームを表示できる裏技があると言及、そして2014年になって、隠しコマンドを入力することでカオスフレームを表示できる裏技が発見された。
---松野氏すら自分用のメモを紛失しており、既にクエストを辞めていたことから開発資料も見れないのでコマンドが非常に複雑で再現できなくなっていたという曰くつき。なおSFC版のみの機能の模様。松野氏曰く、発売後の何かの機会に公開する予定だったが、その前にクエストを退職してきっかけを失ってしまったそうだ。雑誌「ゲームラボ」2014年7月版にも掲載された。

#region(記憶を頼りに再現できなかった非常に複雑な隠しコマンド)
+ウォーレンレポートを開く
+2コンで↑→↓←Y↑←↓→X↑→↓←L↑←↓→R↑↓↑↓B←→←→A・SELECT・SELECT・START・START・AAAAAAAと入力する
+時間表示の一桁が9になった時にBを入力する
#endregion


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**後日談
移植・続編・リメイク
-後にPS版とSS版が発売されている。
--PS版はBGMが劣化しているが、中断セーブによる再開でセーブデータが消失しないため難易度が大幅に下がることになった。
---しかしロード時間が長いのがネック。技の処理時間もSFC版より長い。
--SS版は声が収録されている((それも井上和彦などのベテランが演じている))。イラストギャラリーである「デネブレポート」も搭載された。
---なお、前作のSS版リメイクから続投したキャラのうち、半数に当たる2名の声優が差し変わっている。1名はいくらでも理由の付けられるキャラだが、もう1名は不明。スケジュールの都合だろうか。
---その他、SS版限定のバグも存在する。しかし大きな問題となるのはやり込んで所持アイテムの種類が増えると毎ターン「…なんと心のせまい方たちなのだ。」というメッセージが出るバグくらい。バグを利用して通常は仲間にできないユニットを使える裏技などもある。
---アスペクト比がワイド前提になっており、当時としてはスタンダードな4:3では縦長になってしまっている。
--移植版でも、景品は違うがファイアクレストのキャンペーンが行われている。
---前作とは違い、今作は当初海外で発売されなかった。PS版になってようやく英語版が発売され、海外プレイヤーは『TO』をプレイできるようになった。事実上の後継作である『[[FFT>ファイナルファンタジータクティクス]]』が海外でも発売され、主要スタッフの共通する『TO』に対する需要が増大したためだと考えられる((SRPGはローカルなジャンルだったため、『FFT』が海外市場の門戸を開いてくれた、とも考えることができる。))。
-このゲームの開発終了後に、松野泰己、吉田明彦、本作アートディレクターの皆川祐史が(旧)スクウェアに移籍し、『[[FFタクティクス>ファイナルファンタジータクティクス]]』『[[ベイグラントストーリー]]』『[[FFXII>ファイナルファンタジーXII]]』などを製作することとなる。
--当初は引き抜きだとして、ネット上ではオウガ支持者とFFタクティクス支持者の激しい応酬などがあったが、松野氏によると、クエストは本作の開発終了直後に退社し、移籍は自分の意志であるとのこと。
--続編『[[オウガバトル64>オウガバトル64 Person of Lordly Caliber]]』のストーリーも松野氏が退社したことで、松野氏が構想していた内容とは違う形になった。
--後にGBAで[[本作の外伝>タクティクスオウガ外伝 The Knight of Lodis]]が発売された。本作のある人物の過去の話となっているものの、それ以外のストーリー的なつながりは薄め。本作の問題点のいくつかを解消し、意欲的なシステムが導入されているが、やはり松野氏は関わっておらず、ウェイトターン性が廃止されているなどの難点もあり、評価が分かれている。
--PSPでフルリメイク作『[[タクティクスオウガ 運命の輪]]』が発売。『[[FFT獅子戦争>ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争]]』とは違い、松野泰己、皆川裕史、吉田明彦、崎元仁、岩田匡治といった主力スタッフは全員が関与している。
---システムやゲームバランスはオリジナル版からほぼ別物と言えるほど激変している。『伝説』のBGMや『外伝』のシステムを一部導入した、まさにシリーズ集大成にふさわしいものとなっている。

その他
-GAME SIDE 2010年8月号の「シミュレーションRPGを読み解く」の「シミュレーションRPG 名キャラクター紹介」でヴァイスとデネブがピックアップされた。

-電撃オンラインのリメイクして欲しいゲームランキングで5位にランクインした。