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428 ~封鎖された渋谷で~ - (2017/01/10 (火) 10:54:05) のソース

*428 ~封鎖された渋谷で~
【よんにーはち ふうさされたしぶやで】
|ジャンル|サウンドノベル|#amazon(B001FSKK0Q)|#amazon(B002FQKKDY)|#amazon(B002FQKKE8)|
|対応機種|初出:Wii&br()移植:プレイステーション3、プレイステーション・ポータブル|~|~|~|
|開発元&br()発売元【PSP・DL】|チュンソフト|~|~|~|
|発売元(他機種)|【Wii】セガ&br()【PS3/PSP】スパイク|~|~|~|
|発売日|【Wii】2008年12月4日&br()【PS3】2009年9月3日&br()【PSP】2009年9月17日&br()【PSP・DL】2011年3月9日|~|~|~|
|定価|【Wii/PS3】7,140円&br()【PSP】5,040円&br()【PSP・DL】2,000円|~|~|~|
|廉価版|【Wii】みんなのおすすめセレクション:2010年2月25日/2,800円&br()Spike The Best:2010年12月2日/【PS3】3,444円、【PSP】2,940円|~|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|~|
|>|>|>|>|CENTER:''[[チュンソフトサウンドノベルシリーズ]]リンク''|

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#contents(fromhere)
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**概要
-名作と名高い『[[街]]』の流れを汲む、チュンソフトのサウンドノベルゲーム第7作。脚本は同社の『[[3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!]]』『[[忌火起草]]』に携わっていた北島行徳。
--続編ではなくあくまでも別タイトルの作品だが、舞台は『街』の10年後の渋谷という設定。
---そのためか、一部テキストにて『街』の人物を彷彿させる箇所が散見される(後述)。
--グラフィックに実写を使用、Tip、ザッピングなど、『街』と同じシステムが使用されている。
-ファミ通クロスレビューで40点満点を得たことで話題になった。
--開発にファミ通編集部が関わっているため、多少下駄を履かせられている部分もあると思われる。
--満点を取ったことで逆にユーザーの期待感が下がった節も。
-発売日となる2008年12月には本作の舞台である渋谷の各地で大々的にプロモーションを行い、多くの話題を呼んだ。
--渋谷駅西口をはじめ道玄坂やセンター街などの各所大看板、TSUTAYA SHIBUYAのエスカレーター占拠、渋谷109前で主題歌を歌う上木彩矢の野外ライブや作中で使用された建物で抽選会を行うなど、正に渋谷をジャックするほどの規模であった。
-「日本ゲーム大賞2008」でフューチャー部門、「日本ゲーム大賞2009」で優秀賞を受賞。
-当初は『428(仮)』というタイトルで発表されていた為、あの『[[四八(仮)]]』の続編か?などとネタ扱いされていた。
--これに関しては開発者も「去年某社さんから発売された『四八(仮)』の2ではありませんよ。お間違えの無いように」と念を押していた。%%そりゃ一緒にされたくないだろう…%%
-クリア後のボーナスシナリオが2つあり、片方に『[[かまいたちの夜]]』の我孫子武丸、もう片方に『[[Fate/stay night]]』等で有名なTYPE-MOONを起用している。

**特徴
-200X年4月28日、渋谷で起きたある事件に、偶然居合わせた複数の登場人物が巻き込まれていくという話。プレイヤーは5人の主人公が午前10時から午後20時まで体験した10時間の出来事をプレイする。シナリオの数は5つ+α。
--5人の主人公にはタマと名乗る着ぐるみの謎の人物なんてのも居る。
-5人の主人公の行動は互いに影響し合うように出来ており、ある主人公が起こしたアクションが間違ったものだった場合、別の主人公がBAD ENDを迎えてしまうことがある。その時は間違ったアクションをした主人公を正しい行動へ導かなくてはならない。
--BAD ENDへ誘う落とし穴は終盤になればなるほど増え、時には3人以上の登場人物を同時に正しく動かさなければならないことも。
-物語中の文章には時折、青色で書かれた部分がある。これは「Tip」と呼ばれるもので、青色で書かれた単語のより詳しい解説が見られる。
-物語の途中で「KEEP OUT」と表示され行き止まりになった場合は、他の主人公のストーリーを進めて特定の場所から「JUMP」をし、行き止まりを解除する必要がある。
-物語の流れは1時間ごとに区切られていて、5つのストーリーが全て正しい続き方(「To be Continued」に辿り着く)をすれば次の時間に進める。

-このように『街』と同じシステムを採用しており、舞台も『街』と同じであることから比較されることがたびたびある。
--『街』との最も大きな違いは物語の全体的な形にある。『街』はテイストの違う複数の物語を平行的に進めるものであるが、本作は5つの物語全てが最終的に1つの物語へと集束していく。互いの物語がより密接に、分かりやすく絡み合うようになっている。
--群像サスペンスと銘打っていることもあり、全ての物語に緊張感が漂うシーンが多いのも違いの一つ。最初は「ギャグ調」「ほのぼの」などテイストが一風変わっているシナリオも、時が進むにつれ事件に関わっていきシリアスシーンを多く含むことになる。

**評価点
-最も評価されている部分は、「早く続きを読みたい」と思わせる物語の作り。
--話の展開が二転三転し、驚きのどんでん返しが数多くある。
--スピード感を重視している。文章を出来る限り短くしたり、描写を背景写真に任せて必要最低限に留めるなどして、早く読める工夫がなされている。
--『街』よりボリュームが少なくなった分、濃度を濃くして充足感を味わえるように作られている。
--全主人公のシナリオを1時間分消化すると、次のセクションの予告編ムービーが挿入される。重厚なメインテーマをバックに、印象的なシーンを断片的に繋ぎ合わせたハイスピードな演出は、止め時を見誤らせる牽引力がある。

-良質な音楽とそれに合わせたテンポの良さ
--映像とマッチして、良い臨場感を生み出している。サウンドはドルビープロロジックIIにも対応(なおPS3移植版はリアル5.1chサラウンド対応)。
--タイムチャートで現在それぞれのストーリー状況がどうなっているのかが一目で分かるようになっており、より便利さが追求されている。
--初めての人のためのガイド機能がある。『街』未経験でシステムに馴染みがなくても楽しく遊べる配慮がなされている。

-チュンソフトのゲーム(特に『街』)をプレイした人にはニヤリと出来るような小ネタが多く含まれている。
--例えば登場人物「頭山花」の名前の由来、コーヒー牛乳が好きな刑事、梶原刑事のTIPであった、自分にそっくりな美容師、伝説となっている軍人、キャベツ教団など多く隠されている。

-快適な片手リモコン操作
--片手でリモコンを持ち、もう片手でお菓子を食べながらでも遊べる。

-キャラクター
--『街』同様、魅力的な登場人物が多い。これは静止画の撮影のため今まで演技経験者では無い素人や日本語の不自由な外国人も起用できるため印象に残るキャスティングであるからだと思われる。特に格好良い中年~初老の男性が多い。
--特に当時12歳の謎の少女役ティギー・ウィリアムスや、「電波少年」にて「懸賞生活」にチャレンジしたなすびがアフロヘアで登場、圧倒的存在感を魅せてくれる。
--また、ある場面には脚本担当の北島氏まで出演している。

-エンディング
--前回好評であった、これまで静止画であった俳優、女優が楽しそうに撮影をしていたり、話し合ったりする姿を移した映像にエンディング曲を流す演出はシリアスな本編とのギャップに心が温まる。

**批判点
-2つのボーナスシナリオのうちの1つ、TYPE-MOONが担当した「カナン篇」は本編とは違い「アニメ絵」をバックに声優陣が台詞をボイスつきで読み上げるという形でシナリオが進んでいくが、これが不評で「蛇足」と評する者もいる。
--理由として、「本編と雰囲気が違いすぎる」「シナリオ担当の奈須きのこ特有の文章が読みづらい」「アニメ絵に馴染めない」「本編のある登場人物の威厳が低下」などが挙げられている。
--なお、あまりに雰囲気が違うシナリオを入れているのは、ジャンルが完全に異なる8本のオムニバスストーリーであった『街』のリスペクトの面が強い((『街』にもアニメ調の絵をバックにしたシナリオが存在する。))のだが、本作は『街』とは真逆に「統一された世界観と雰囲気」を重要視したため、本編の流れが好みだった層には前作のようなオムニバス感があまり期待されていなかった面もある(ボーナスシナリオは本編クリア後に出てくるオマケなので、普通は本編が気に入った人でないとやる気にはならない)。
--ただし、傭兵である重要キャラクターの過去(本編での大きなどんでん返しに関わる因縁の発端)を掘り下げるために「プロによる紛争地域における工作活動」を描く内容のため、「一般人がテロ事件に巻き込まれる」という本編との雰囲気の違いについては致し方ないところではある。

-本編の終わり方がすっきりしないのが嫌だという声が多い。
--エンディング自体は大団円なのだが、スタッフロール後にそれまでの人々のドラマを嘲笑うかのようなエピローグが挿入される。せっかくの良い読後感が最後の最後で釈然としないものに変わってしまう。
---下記にあるように続編のアニメ展開もあるが、アニメを見てみるとこの終わり方に言及はされていない。
--むしろこれは『街』のスタイル(渋谷で起こるドラマは永遠につづいていく「終わりがない物語」というもの)を踏襲したからではないかとも思われる((実際、トゥルーエンドにおける表記は「THE END」ではなく「NEVER END」である))。『街』よりも主軸のストーリーを強固にしたため、逆に「終わりがない物語」の部分が違和感として感じやすくなった。

-ボリュームの少なさ、話の短さが物足りないという声がある。
--多彩なバッドエンドやボーナスシナリオ、スペシャルエピソードなどメインストーリー以外にも様々に用意はされており、一作品としてのボリュームは十分ある。しかし前作『街』より主人公が減った事と一日で事件が終了するため、どうしても前作と比較して物足りなさが漂ってしまう為と思われる。

-物語の性質上、ネタバレを見てしまうと面白さが半減するというリスク。
--これにより、一度クリアすると満足してしまい、周回プレイをする気があまり起きないという欠点がある。

-システム向上で便利になった反面、プレイヤーが自分の力で試行錯誤する「やり込み度」が低下したという声がある。
--その逆で、攻略サイトなどを見ないと隠し要素は発見しづらい。
--特にクイズに答えて隠しシナリオを読むことができる「カルトクイズ428」のクイズはかなり難しく、「WiiConnect24」では解答の為のヒントが4回に渡って配信され、更にPS3/PSP移植版ではクイズ難易度が若干下げられた。

**総評
サウンドノベルの集大成を作ろうという意気込みのもと製作された本作は、確かな面白さで高い評価を受けた。~
あの名作『街』に比肩するほど、もしくは『街』を超えたと評するユーザーも少なくない。~
実写サウンドノベルということでオタク受けはせず、またWiiの所持層に合うジャンルでは無かったのか当初売上はあまり伸びなかったが、~
評価の高さからこのジャンルとしては珍しくじわじわと売上を伸ばして行き、2010年末の時点で全機種合計で約16万本を売り上げた。~
食わず嫌いをするには本当に勿体ない逸品であり、ドラマでも映画でもない、ゲームだからこそ可能な物語を、是非楽しんでもらいたい。

**余談
-タレントの伊集院光も本作を評価するユーザーのひとりであり、ラジオやファミ通の連載で何度も激賞していた。

**その後
-2009年、講談社BOXより本編脚本を担当した北島行徳氏による小説版が発売された。
--新シナリオ「迷天使編」が追加された他、登場人物の心理面の掘り下げ、場面の整理、本編で説明不足と指摘された部分の補完、主人公達の後日談などが追加されている。
--北島氏はこれを本作の完全版とし、「428はこれで書き切った」と自身のブログにて述べている。
-同年夏、スピンオフアニメ『CANAAN』放送。ちなみにチュンソフト作品初のアニメ化である。
--ストーリーは独立しており本作を知らなくても十分楽しむことが出来る(時系列は後日談に位置する)。
---基本的にはボーナスシナリオ「カナン篇」をベースとしているが、独自要素が多く((「ボナー」と呼ばれる特殊能力者など))、「428本編とカナン篇」以上に雰囲気の剥離は大きい点には注意されたし。
---また、『CANAAN』では本作のネタバレ要素が根幹にあるため、『428』をプレイするつもりであるなら先に視聴してしまうのはあまりおすすめできない。
--御法川をはじめ、『428』から多くのキャラクターが出演しているのも特徴。
---最もスピンオフ故か、一部人物の性格は本編と異なっている。
--漫画版、小説版の他、『428』と『CANAAN』を繋ぐ作品『CANAANスフィル』もある。
-同年秋、スパイクからPS3/PSP移植版が発売。本編の追加は無いが、スペシャルエピソード等が追加されている。
--2010年12月2日に両機種のベスト版が発売された。これに加えて2011年3月9日にPSP版のDL版が配信開始された。
-Wii「みんなのニンテンドーチャンネル」での「おすすめランク」内において、最も取るのが難しいプラチナランクを獲得。
--2010年、「みんなのおすすめセレクション」の一つとして廉価版が発売。
-[[風来のシレン4>不思議のダンジョン 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ]]と[[5>不思議のダンジョン 風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス]]にこのゲームのタイトルをもじった壷『四二鉢』が登場する。物を入れても何も起こらないが、投げると爆発する。
-全くの別タイトルだが『[[ガチトラ! ~暴れん坊教師 in High School~]]』には御法川の妹が登場する。兄と同じくジャーナリストであり、その兄についても作中で触れられている。
--そもそも御法川自体、元々は『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』の登場人物である。
-2011年11月、チュンソフトからiOS版(iPhone/iPod Touch/iPad用アプリ)が配信。
-2013年3月、スパイク・チュンソフトからAndroid版が配信。
//アプリに関しては、↑の様な本文中での簡単な記述に留めるのがよいとし、データの方は消しました。