「RPGツクール3」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

RPGツクール3 - (2020/11/24 (火) 14:33:40) のソース

|||||
|||||
|||||
|||||
|||||
|||||
|||||
|||||
|||||
|||||
|||||
|||||
*RPGツクール3
【あーるぴーじーつくーるすりー】
|ジャンル|RPG製作ソフト|&image(SLPS01093-1.JPG,height=160)[[高解像度で見る>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3854/2005/SLPS01093-1.JPG]] / [[裏を見る>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/3854/2006/SLPS01093-2.JPG]]|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|アスキー|~|
|開発元|空想科学|~|
|発売日|1997年11月27日|~|
|定価|5,800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|家庭用版ではもっとも安定したクオリティ&br()&bold()サンプルゲームも普通に良作&br()戦闘シーンはちょっとアッサり|~|
|>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
RPGツクールシリーズ、コンシューマー第3作。今作からハードをプレイステーションに移行。ハード性能向上により前作からの正当進化に成功した。

**評価点
-メモリーカードにより大きな課題であった容量の問題が解決。ブロックがある限りイベントを作れるようになった。
--ただし無限に作れるのはイベントだけで、イベント以外の魔法、アイテム、マップといったシステムデータは最大でもメモリーカード1枚分まで。
---それでも今までとは比べものにならないほど容量は潤沢。優れたデータ圧縮技術により容量のコストパフォーマンス自体も非常に良好である。
--またイベントは、メモリーカードをまたぐ場合イベントデータを丸々入れ替える形になるため、本当の意味でイベントが無限に追加できるわけではない。PSのゲームのディスク交換に近いか。
---ただしそれを加味してもメモリーカード一本でかなりの長編を作ることは可能。

-グラフィックの解像度が向上。また歩行グラフィックもカラー変更が可能に。

-マップは1マス単位での編集が可能に。また既成の1枚絵マップも収録。

-文章まわりが大幅強化。ほとんどの漢字・記号が使用でき、1つのイベントに入れられる文章量も増大。
--入力システムも最初は戸惑うが、慣れればその完成度に驚くことになるだろう。
--漢字の入力は音読みだけでなく訓読みにも対応しており、片方の読み方しか知らずとも入力しやすい。訓読みでも入力出来るのは当時としては非常に稀である。

-イベントのページ数(フラグによる行動パターン変化)が前作の4パターンから99パターンにまで増加。

-職業システムの実装
--今作の職業システムは現在のシステムとは違い、能力設定した主人公に更に追加成長や魔法習得する形になっている。
---その為に職業が不要の場合は名前だけ記載する、あるいは設定する必要がないのがポイント。
---現在のツクールの場合主人公の能力が職業に依存される形になる為に職業→主人公(アクター)設定をする手間が(転職の有無にかかわらず)あり、キャラの幅を広げながらも不要なら使わなくても支障が出にくいシステムにしたのは評価できる。

-アイテムや魔法の作れる数や種類も増大。さらにHPを消費して使う「必殺技」が追加された。
--作成手順は魔法と同じだが、必殺技には「魔法禁止状態でも使用できる」「相手の魔法半減や跳ね返しなどの補助効果を無視できる」などの特性がある。「全員の補助効果無効((ドラクエでいうところの凍てつく波動。魔法で設定していると魔法無効系の補助効果で無効化されてしまう。))」という効果の特技を作成する際は、必殺技での設定がほぼ必須である。

-魔法や必殺技のアニメーションを作成出来る様になった。

-ステータスや通貨の名前を変更可能に。世界観に広がりができた。
--しかもこれらは、トップメニューでも変更後の項目名が反映される。

-選択肢による分岐で「はい/いいえ」以外に自由に文章を設定することが可能になった。またランダムで分岐することもできる。

-敵の出現パターンをそのマップ全域で一律に設定する方式の他に、特定の範囲内にだけ個別に出現パターンを設定することもできるようになった。これによりマップの一部分にだけ敵が出現する地帯などを作れるようになった。

-グラフィック製作モードである「アニメティカ」を搭載。作成したグラフィックデータをメモリーカードに記録しておき、ゲーム中に使用できる。
--アニメティカのみに収録されている大型モンスターや現代風キャラクターなどのサンプル素材がある。ただ同じディスク内にあるデータなのに、それらを使うのにもメモリーカードを使う必要がある。

-『[[音楽ツクール かなでーる2]]』の曲データをコンバートして使用可能。

-CD-ROM製のゲームとは思えない程読み込みのストレスを感じさせない工夫。
--読み込みと感じるのはゲーム開始時とメモリーカードのアクセス位で作業中はもちろんプレイ中読み込みに悩ませることがない。
---ロード対策による弊害もあるが通常プレイする分には問題ないレベルである。
--上記の外部素材もゲーム開始時に一括で読み込むため、『[[RPGツクール4]]』のようにゲーム中に逐一ロードが挟まることもない。

-その他、属性、マップ上特殊エフェクト、AI操作キャラ、負けイベントなど、新要素多数。

-サンプルゲームの『ゴブリくんの冒険』は、RPG世界のザコキャラである主人公が、ボスキャラになることを夢見て旅するというもの。メタ的な内容を含みつつも、素朴で温かみのある世界観は評価が高い。
--前作同様チュートリアル的な要素が強く、新機能であるパーツ範囲でのモンスターの出現設定について言及されるシーンも多い。そのわりに、サンプルゲームでは使用されていなかったりするが。

**賛否両論点
-戦闘関連の仕様がロード対策によって簡素化
--戦闘関連のロードがほとんど感じられない程テンポが良いが、その代償として戦闘中の背景グラフィックが廃止され、マップ画面に敵グラフィックがそのまま出る仕様になり他のRPGツクールと比べてもアッサリしている。
--また戦闘時の魔法エフェクトが作成可能になったが、昔の簡素なフラッシュアニメーションのようなもので、自由度が上がった反面クオリティが下がった。
---設定出来るフレーム数も少なく、基本的にエフェクトがあっさり。どれだけ長いアニメーションをつくろうとしても2秒か3秒程度が限度である。種類が限られていても前作のような綺麗なアニメーションのほうがいいという意見も多い。
--事情を説明すると当時のCD-ROM製RPGは戦闘ごとに読み込みでテンポが悪くなるという問題点があり、戦闘周りの処理を少なくすることで戦闘時の読み込み問題を解決したとも言える。
---戦闘は工夫しないと作業感が増すという意見がある一方で、テンポを崩さなくて良いという意見もある。

-効果音素材の一部にはっちゃけた、どこで使うんだと言いたくなるものがある。
--ただし再生速度を18段階に渡って弄れるので、工夫と発想次第では効果音でピアノ演奏をさせたり、乱戦の剣戟の細かい機微を表現したりと、可能性は多岐に渡る。

-フィールドマップが、従来の普通に移動する方式から、行き先を指定して移動する方式(サガシリーズや、『[[スーパーマリオRPG]]』などに近い)に変更。ここは好みの分かれるところ。
--ただし、内部マップで従来のフィールドのようなマップを作ることは可能。

-別売りのキーボードが使えないため、漢字が増えた分文章入力が少し面倒になった。
--とはいえ、漢字リストは音読み訓読みどちらにも対応しているので、慣れれば使い勝手は良好である。

-ゲーム配布のハードルは相変わらず高い。
--他人にプレイしてもらうにはソフトとメモリーカードを別に用意する必要があり、特にメモリーカードの負担は大きい。
---複数枚に及ぶ大作にもなるとソフトよりもメモリーカードの調達の手間や出費のほうが圧倒的に高い事もザラ。現在ではPS3を使えば仮想メモリカードにより問題が解決されたと言えるが。
---他にも他者にプレイしてもらうには結局データが入ったPS3、あるいはメモリーカードアダプタでメモリーカードに写して(このソフトを持っていないユーザーの場合は)ソフトも持参する必要があるし、そもそもPSを持っていない場合は自宅に呼んでプレイしてもらうしかない等配布に関しては手間が掛かり、敷居が高い。
--とはいえ、市販のメモリーカードを使う分ゲーム配布に関しては前作、前々作のSFC版に比べるとハードルはそれなりに下がっている。

**問題点
-武器と盾が左右の手それぞれに装備でき、両方の手に武器を装備すると2回攻撃ができるためバランスを崩す要因になる。
--そのため難易度の調整や、あらかじめ外せない装備品で片手を封印しておく(そうすると今度は武器と盾が同時に装備できないが)などの工夫が必要になる。

-魔法の有効・無効が個別に設定できなくなった。
--ダメージ魔法の増減は属性による影響と魔法無効か魔法反射による無効化のみ。
--状態異常魔法と能力ダウン魔法の成功率は「魔法耐性」による一括でしか設定できない。
---そのため前作までは可能だった「状態異常は効かないが能力ダウンは効くボス」と「雑魚戦では状態異常魔法で活躍し、ボス戦では能力ダウン魔法で活躍する呪術師タイプのキャラ」も作れなくなった。

-魔法耐性の仕様がややこしい。
--具体的に言うと、魔法耐性の値が1000で「その状態異常の成功率が1割」減る。
---よって、魔法耐性の値に限って3桁程度では殆ど無意味であり、他のパラメータと違い極端に高く設定しなくてはいけない。
--各状態異常の元々の成功率も種類ごとに固定されており、例えば毒や能力ダウンは100%、即死は40%といった具合。
---故に、魔法耐性1000の相手には前者が90%、後者が36%の確率で成功する。

-味方の運の良さが敵の素早さを上回ると敵の攻撃が滅多に当たらなくなる。
--これにも面倒な計算式が関わっており、この仕様を上手く生かした設定も困難。
--特に素早さを下げる魔法を「どうせあんまり使わないし」と思って低コストや効果大にしてしまうと目も当てられなくなる。
---上記の魔法耐性の仕様に加えて、この仕様も説明書はおろか公式ガイドブックにも記載されていなかった。
---これら数々の仕様を知らずに作られた作品(コンテスト受賞作や後述の読者投稿作品)も多く、プレイヤーへのスマートな説明も面倒で、テンポやモチベーションの低下にも拍車をかける。

-自動開始イベントの代わりとして初期化イベントやイベント引継ぎ機能が追加されたことにより使えなくなったテクニックが存在する。

-エンカウント率設定を一番低い設定にしてもエンカウント率が高い。
--この影響でサンプルゲームのエンカウント率がかなり高い。特に中盤のダンジョン「マルデ城」は迷路のようなマップ構造に加えて敵も強く、逃亡も失敗しやすいためここで挫折した人も多い。
--かといってエンカウント率を下げる魔法やアイテムは重ねがけが可能なので、これらを使える様にすると今度はノーエンカウントが可能になってしまう。

-ランダムエンカウントモンスターのパーティを設定することが出来ない。
--設定したモンスターがこちらのパーティ人数を問わずランダムで登場するため、「序盤に登場するモンスターは1体編成に絞る」などの細かい調整が出来ない。
--イベント戦闘ならモンスターのパーティ編成も可能だが、逃げる事ができないといった制約もある。

-麻痺を回復させるアイテムがマップ上で使用できない。
--万能薬などでは回復可能。恐らく設定のミスだと思われる。
--しかも麻痺という効果は1ターン行動不能にする行動制限系の状態異常であり、マップ上で治せないのはかなりの痛手。自然治癒はするが時間を要する。
---状態異常としてはかなり強いため、あるいは麻痺そのものを登場させないという選択肢も考えなくてはならない。

-必殺技の仕様が不便。
--使用のために消費するポイントがHP固定なことに加え、就いた職業によって習得する形でしか習得できない。
---後の『4』では新たな個別消費ポイントが設定され、主人公の設定で覚えさせることが可能となった。
--必殺技の習得をレベルアップ時に設定できるが仕様上L99になると必殺技が習得できなくなってしまう。
---イベントで必殺技を習得する事が可能なのでこちらで救済する事は可能。
--''消費HPは2桁まで''しか設定できない。そのため、強力な必殺技を作りにくい。((MPに比べ、HPは消費してもすぐ回復手段で補充できるケースが多いため、強力な必殺技が実質使い放題になってしまう))
--効果の抑制が魔法以上に効かず、無効化も「不可能」な為、ゲームバランスも大味になりがち。

-変数システムが未採用。
--製作者によっては所持金を変数として使っていた。無論これは所持金システムを捨てることとなるので、汎用的とは言えない。
--これは後の『4』から本格的に採用となった。

-装備品を購入する際、パーティ内の誰が装備できるかという一覧表が削られた。『4』では復活する。

-説明書に記載されていない操作方法やテクニックがある。
--また仕様が説明書に記載されているのと異なる部分もある。

-デフォルトマップに使い道があまりないものが多い。
--自作マップが出来ない分、割合使い道は多彩な『4』と比べると少し難点ではある。

-同ディスク収録の「アニメティカ」が非常に使い辛い。
--デザエモンで可能な「方向キー1回入力につき1ピクセル移動」が不可能。その上カーソル移動に緩急がなく位置の微調整が効かず不親切。PS用マウスも精度が低いのであまり救済にならず。
--キャラクター製作に至っては特定のエリアで左右反転が正常に機能しないなどのバグもある。
---画面レイアウトもあまり最適化されておらず、原寸大ウィンドウ(全9コマ)と描画エリアが同じサイズの為、拡大しづらい。

-『かなでーる2』のデータコンバート時にバグがある。
--特にドラムキットの音が打ち込んだ分の1オクターブ分ズレるバグが厄介。上記のアニメティカの使い辛さもあって素材製作環境は非常に悪く、前作で出来た、音楽ツクールの曲をそのままRPGツクールで使う事も出来なくなった。
--かなでーる2で作成したコンバートデータにはメモリーカードに書き込んだ順のIDが付く。そのためデータ名は違っても同名のファイルとみなされるというバグもある。これもかなり面倒。
--かなでーる2のBGMを鳴らし続けているだけで大音量の雑音が鳴り続けるバグもあり、回避方法は「あまり流さないこと」。これらを「知っていれば回避可能」で片付けるのは賢明とは言えない。

-どちらもハードの性能や時代を鑑みても、音質が良いとは言えない。

**総評
一部要素については前作『[[2>RPGツクール2]]』のほうが良いという声もあり、また自由度に関しては次々作『[[5>RPGツクール5]]』のほうが遥かに高い。~
が、ツクールの魅力である自由度、作りやすさ、クオリティのバランスが最も取れているのは今作であると言える。~
そういった意味で、コンシューマー版ツクールの最高傑作はこの『3』だとする声は多い。

**その他
-史上初の、メモリーカード使用ブロック数が可変という仕様。これについてパッケージでの容量表示についてソニーと揉めたらしい。

-CD付録つきのゲーム雑誌『電撃プレイステーションD』では一時期((D11~D44、ただしセーブデータ特集号等で投稿作品がない場合もある。))、毎号に渡って本作で作られたアマチュア投稿のゲームが収録されていた。
--当時はインターネットがほとんど普及してないこともあって、アスキーのコンテスト以外で『RPGツクール3』作品を発表できる数少ない場でもあった。
--当初はメモリーカード無制限で投稿が可能だったが、メモリーカードをあまり持っていないユーザーの配慮として2枚でプレイできる工夫が必要になった。
--中には市販並のクオリティの作品もあったので、『RPGツクール3』作品をプレイする目的で『電撃プレイステーションD』を購入するユーザーもいた。
---『電撃プレイステーションD』に投稿し公開されたRPG作品の著作権は発行元のメディアワークス(当時)に帰属されている形だった。当時はお互いに全くの別々のグループ会社であったが、グループ再編の影響で現在はツクールシリーズと『電撃プレイステーション』が同じ株式会社KADOKAWAグループになっているという形というのは何とも運命的な話である。
//2013年10月の角川グループ再編でツクールブランドを保有するエンターブレインと電撃シリーズのアスキーメディアワークスが吸収され株式会社KADOKAWAとなった事でツクールシリーズと『電撃プレイステーションD』の投稿RPGの著作権を同一会社が所有する形になり、『電撃プレイステーションD』に投稿された作品をツクールシリーズを通してリメイクすることも実質可能。あくまで理論的な話なのでコメント補足としています。

-ガイドブックは実質説明書の焼き直しであり、役に立つ部分は少ない。

-ネットコミュニティでは、とあるツクラーの影響により、戦闘曲「BATTLE3」が異様に有名。通称『[[邦子のテーマ>https://dic.nicovideo.jp/a/%E9%82%A6%E5%AD%90%E3%81%AE%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%9E]]』。

-2019年半ばに入ってから、「アニメティカ」が&bold(){任意のゲームのセーブデータの改竄ソフトとして使える}ことが判明し、一部で脚光を浴びることになった。
--これは、「無圧縮」形式でデータを保存すると、画面の色情報がそのまま00~FFの16進数情報で保存されるためで、他のゲームのセーブデータを「アニメティカ」のセーブデータとして読み込ませ、&bold(){画面に塗られた色をセーブデータに見立てて書き換え、上書きセーブする}ことでデータを書き換えることができる。
--ただし、実施には「他のゲームのセーブデータを『アニメティカ』のセーブデータとして読み込ませる」(あるいはその逆)ため、セーブ中にリセット、またはメモリーカードを抜く操作が含まれている。~
事前にバックアップは取れるものの、データ消失の危険があり、メーカー保証外の操作でもあるため、実施の際は自己責任で。
--このデータ書き換えを、他のゲームのRTAに応用する遊びも行われている。これにより、本作は&bold(){「セーブデータツクール」}等とネタにされることになった。
---もちろん、「『RPGツクール3』を併用する」という時点で当然ながら既存のRTAとはレギュレーション的に別扱いであるため、あくまでも限定的なネタである。([[電ファミニコゲーマーの解説記事リンク>https://news.denfaminicogamer.jp/news/200422c]])