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テイルズ オブ デスティニー (PS2) - (2018/09/16 (日) 17:12:43) のソース

*テイルズ オブ デスティニー
【ているず おぶ ですてぃにー】
|ジャンル|ロールプレイングゲーム&br()(シリーズ内ジャンル名:運命という名のRPG)|&amazon(B000KN22OE)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|メディア|DVD-ROM 1枚|~|
|発売元|バンダイナムコゲームス|~|
|開発元|ナムコ・テイルズスタジオ|~|
|発売日|2006年11月30日|~|
|定価|7,140円|~|
|プレイ人数|1人(戦闘のみ1~4人)|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|PS版をベースにフルリメイク&br;新戦闘システムは2Dタイトル屈指の完成度&br;シナリオの粗や矛盾も大幅改善&br;『D2』からの逆輸入要素多数&br;主要キャラの性格、設定改変は賛否両論|~|
|>|>|CENTER:''[[テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク>テイルズ オブ シリーズ]]''|
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#contents
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**概要
『[[テイルズ オブ デスティニー]]』のリメイク。主な略称は『リメD』。~
ハードの進化に伴い戦闘システムを大幅に進化させ、グラフィックの質も大きく向上した。~
また、リメイク作品としては珍しくストーリーやキャラクター設定も所々大きく変わっており、続編である『[[D2>テイルズ オブ デスティニー2]]』を意識した改訂も加えられている。

プロデューサーは『ファンタジア』の頃から何度か関わっている岡本進一郎。~
ディレクターはのちにシリーズのプロデューサーを務める馬場英雄。~
これまでシリーズを手がけてきたプロデューサー吉積信は、本作品以降はエグゼクティププロデューサーを担当していることが多い。

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**評価点
***システム
-システム面で大幅な変更が行われ、多くの新たなシステムが導入された。
--戦闘システムの「エアーリアルリニアモーションバトルシステム」は空中戦が重視されており、エイミングステップ(□+左右入力)で空中の敵に飛びつくことができ、パーティメンバー10人中7人が大量の空中発動技を所持している。
---空中戦ではボス含め敵がコンボを抜けてこないので、より攻撃的に戦える。ダメージを与えると敵にブラストゲージと呼ばれるものが溜まっていき、100%になるとコンボを抜けられ反撃されるが、空中では100%になってもその反撃が発動しない。
--従来の術技使用のためのパワーソース「TP」を撤廃し、新たにCC(チェインキャパシティ)システムを導入。これまでのSPやFGよりも分かり易く、コンボ自由度の飛躍的上昇も相まって、2D戦闘では歴代最高との声も。
--CCはTPと同じように術技使用やバックステップなど様々な行動により減少するがすぐに回復するため、今までのようにTP切れの心配をする必要がない。~
CCには最大値と最小値が存在し、そこからCCを消費するたび一定の法則により現在の値が算出されるため、現在CCに応じて行動する、適当な行動を取って素早く最大値にするなどの判断も必要となる。~
また、これまでのように「特技→奥義」というような連携の決まり事を無くし、「CCが続く限りあらゆる技が使い放題」という爽快感を生み出した。~
術も同じように連携ができ、使用するたびに次の術の詠唱時間が短くなっていく。CCは戦闘中のみのパラメータであり、HP回復技が移動中に使えず、単純で簡単なシステムという訳ではない。
--技のタイミングや特性を把握し、敵のアクションに合わせて繰り出すテクニックこそ必要であるが、技の組み合わせによっては一人でも無限コンボができるようにもなる。
--今作での術技の種類は、剣技・術剣技・晶術とあり、ステータスの算出方法によって分けられている。特に術剣技は攻撃力と術攻撃力によって算出され、これにより今まで後衛にとっての攻撃力や前衛にとっての術の攻撃力など死にステータスだった物が今作では意味を持つ事になった。
-今回の戦闘を一言で表すなら「属性ゲー」。弱点属性の攻撃はダメージ1.5倍、命中率、クリティカル率は4倍、耐性属性はダメージ0.5倍、命中率、クリティカル率は0.25倍まで下がる。
--属性による影響は難易度を上げる程顕著になり最高難易度のchaosでは弱点ダメージ3倍、耐性ダメージ0.3倍、クリティカルダメージもノーマルの2倍に対し5倍にまで大きくなる。
---chaosでは敵の能力もHPは4倍、攻撃力は5.76倍とインフレするため、高難易度では敵の弱点を突き敵の攻撃の属性を防がないと話にならない。一方、難易度simpleだと属性効果が殆ど現れない為実質的な最低難易度はnormalと言われている。
--複数の属性を持つ術技で攻撃した場合はどれかが優先されるということはなくすべて適用されてしまう。たとえば弱点+耐性の場合は相殺して通常扱いに。
---中盤あたりから複数の耐性を持つ敵が目立ち始め、終盤では1つの弱点以外はすべて耐性という敵も珍しくない。そのため、単一属性の術技が極めて重要になってくる。リリスが強いとされる理由はこれによるところが大きい。逆にマリーは被害を受けている。(後述)
--他にユニークなシステムとして、一度弱点属性の攻撃がヒットすれば、コンボが継続する限り以後どの属性で攻撃しても常に弱点扱いになるというものがある。
-ソーディアンのマスター同士での交換やディスク装備システムなどは削除、そのかわりソーディアンは「デバイスシステム」というもので、好きなようにカスタムできるようになった。
--これにより各キャラの使える術が固定になった。
-控えにいる時に効果を発揮するスキル「サポートタレント」が追加。各キャラそれぞれ異なった効果を持ち、控えの内一人だけが使う事が出来る。
-「なりきりアイテム」の登場。これは、装備させたキャラを戦闘中別のキャラに変身させる(グラフィック・技が別のキャラのものになる)というアイテムで、~
これにより、第2部以降もパーティにリオンを加えたまま(戦闘中のみ擬似的にだが)シナリオを進めることができる。
-これまでCPUはほとんどジャンプをしなかったが、今作では浮いた敵を追尾して次々と空中コンボを決めてしまうため従来ファンを驚かせた。それ以外の挙動もシリーズの中ではかなり的確に行ってくれる。

#region(「なりきりアイテム」は全員に対応しており、複数個入手も可能なのでこんなこともできる。)
&youtube(http://www.youtube.com/watch?v=5rKajHwRWvU)
#endregion

-PS版では不便な部分もあったインターフェース周辺も大きく改善されている。
--食べる(=フードサックに入れる)まで効果がわからない((またたび、ふるいミルク、とらふぐなど、効果をある程度想像できる食材もあったが、何故かホーリィボトルの効果になる虫食いリンゴなど、突拍子な効果を持つものもあった。))上に、食べた後にどんな効果があったかも説明されず使いにくかったフードシステムは、食糧の残量を表す「フード」と、料理の種類と効果を指定する「フードストラップ」により、従来の料理システムに近い使い勝手にまで改善された。
--船となる海竜『ベルナルド』を呼ぶ際に、メニューから『つのぶえ』を使う必要がなくなった。海岸線に近づいてボタン一つで簡単に呼び出せるようになっている。
--ラストダンジョン突入まで使えず、乗り込むたびに出るラストダンジョン突入の選択が煩わしかった飛行竜も、飛行竜の小型版である『始祖竜』が別に登場したことで大幅に使いやすくなった。~
操作性や移動速度も大幅に向上し、更には『アビス』にもあった自動操縦機能まで備わっており、まさに至れりつくせり。

-元の難易度がゼロに近かっただけに、戦闘でのシステムのみならず、ゲームバランスにおけるあらゆる面が見直された。
--それでも第1部においては所々強い敵が現れる程度であり、余程気を抜かない限り全滅には至らない難易度である。~
しかし、第2部のリオン戦(2回目)辺りから難易度が跳ね上がり、雑魚戦含めて耐性、ステータス異常等に気を配らないと味方がいつのまにか死ぬゲームバランスになっている。特に連携攻撃からBCまで繋げてくるリオンや晶術障壁からアンビバレンス等強力晶術を繋げてくるヒューゴが後半における難関ボスになっている。
--顕著な強化が見られるのは後半空中都市で戦うオベロン社3幹部であり、個性豊かで歯応えのあるボスになっている。
---バルックは自身も剛体を纏った蟲となって登場し、周りにステータス異常攻撃を持つ虫をバラまいてくる。
---イレーヌはファンネルのような物を多数飛ばしてのオールレンジ攻撃を仕掛けてくる。本人は無駄に固いバリアを纏いひるむことなく強力な晶術を連発するので、後半屈指の難所の一つ。
---レンブラントの乗機アーマーも陸空2通りの厄介な攻撃パターンを持ち、周りに自爆攻撃持ちのマシーンを呼び出す。
---ちなみに、各幹部と戦う順番、そして空中都市を巡る順番も原作とは逆順になっている。
-そして、テイルズ オブ シリーズどころか、RPG界隈屈指の雑魚だったラスボスが抜本的に変更、最終形態が完全な別物に差し替えられ大幅に強化された。
#region(ラスボス戦。※ネタバレ注意)
&youtube(http://www.youtube.com/watch?v=7Aapu-fDe1I)
&youtube(http://www.youtube.com/watch?v=W7Epju8aHRE)

-一定のコンボ数でダメージを与えると、瞬間移動をして広範囲に気絶効果のある攻撃をし、その間に強力な晶術を連発する。
-また''30発''の攻撃を受けきる鋼体をつけ(裏ボスのバルバトスでも20発分)、後半には通常技に状態異常効果がつき、火力も底上げされる。動画1/2の終盤のように一気に形勢を逆転されることも多々ある。
-ちなみに後述のバルバトスを倒すと、味方の特定の晶術に対して''カウンター秘奥義''を使用してくる。リメイク作品は数あれど、ここまで露骨な強化を施したRPGもそう多くはないだろう。
--慣れれば単独ノーダメ撃破の的にされること請け合いだが、初見ではこのくらい苦戦して当然の強さなのは確かである。
-一方、とある秘奥義を使われた後、スタンの最終秘奥義によって勝利することができるというサプライズ要素もある。スタンの秘奥義は続編であるD2を知っているとニヤリとさせられるニクい演出である。
#endregion

-戦闘BGMは、PS版では切り替えで「Bare its fangs」と「Surprise attack!」がかかったが、本作ではそれぞれが物語開始時、中盤で変更されるようになった。また終盤の戦闘BGMやフィールドも新規に追加された。
--ボス戦も重要ボスやディムロス戦が追加。中でもディムロス戦のBGMはとりわけ人気が高い。

-オープニングムービーはPS版の流用(デジタルエフェクトは強化されている)である。アニメーションは屈指のクオリティであり、楽曲も原作と同じ音源を採用するなどここだけ原作準拠なのは評価された。ただし''コングマンがいないのもそのまま''である。
--ある重要なイベントでは、オーケストラバージョンとして流れ、多くのファンは大歓喜した。

***キャラクター
-PS版ではバグや噂の類に過ぎなかったスタンの妹「リリス」が隠しキャラとして正式に仲間になる。ただしブラコン度合いが加速している点については賛否両論。容姿もやや異なり、技も「サンダーソード」以外はPS2版オリジナルのものとなっている。
--防御力、HPこそ低いものの攻撃力は前衛を張るに十分であり、固定装備も攻撃力アップ効果なのもあって、スタンやウッドロウの攻撃力を平気で上回っている。また、武器がCC固定なので安定した戦い方ができ、単体属性の技も多い。
--集めたアイテム「まんぼう」で威力が上がる「まんぼう」技、全術技中でもトップクラスの総合性能を誇る「レインボーアーチ」、ジョニー以外では唯一の音属性術技「死者の目覚め」、BC1(最初の秘奥義)では最強クラスの「サンダーソード」など、技の優秀さもピカ一。
---レインボーアーチは優秀すぎたためかDC版では修正されて弱体化した。

-パーティメンバーの一人「ウッドロウ」のレベルや術技に大幅な修正が加えられ、更に剣と弓を即座に持ち換えながら戦う戦闘スタイルを獲得。原作での「再加入時のレベルが低すぎる」「ストーリーの都合でメインメンバーで唯一術が使えない」「剣と弓の両方の技が使えるが、戦闘中はどちらか片方しか装備できない」といった不満点が軒並み解消された。
--ウッドロウがリメイク前ではネタにされた最たる原因であるソーディアン・イクティノスは、原作では後半になってやっと手に入ったかと思えば''イクティノスのレベルが低すぎて使い物にならない''という酷すぎる仕様であったが、本作ではグレバム戦後からウッドロウが装備しており、またデバイスもその前に離脱するリオンのシャルティエのものを引き継ぐようになっている。
--ウッドロウが「空気王」と呼ばれているのはこのリメイク前の仕様が原因であり、これらが改善されてからはネタ要素は無くなった…と思いきや、新たなネタとなる要素を生む事となった。
--BC3(最強の秘奥義)である「刹華斬」は「リミッターを外させてもらう!」という台詞と共に敵を切り裂くと''同時に戦闘不能になる''ため、また新たなネタにされた。その際の台詞もどことなく哀愁が漂っていると言われている。
---これだけ見ると実用に耐えないネタ技と思われがちだがBCの中でも最高威力を持ち、戦闘不能の味方を蘇生させる効果があり、この技でトドメを刺して戦闘を終了すれば戦闘不能にならない為、使いどころを誤らなければ非常に強力な技である。
--またサポートタレントの「警戒」もエンカウント率を下げるというかなり優秀な性能で、PS版と違う意味で控えメンバーにさせられることも。

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**賛否両論点
***キャラクター・シナリオ
-台詞は全て書き直されており、スタッフ曰く「何気ない一言についても会議が行われた」ほど。あるいはデスティニー2での設定や描写に合わせた為か、原作とは性格が大きく変化しているキャラクターが多数存在する。~
これらは新規プレイヤーにとっては無関係だが、原作に思い入れのあるファンからすれば「ほぼ別人化している」と感じるものもあり、現在でも賛否が割れている。
-PS版はメンバーの平均的な年齢が高かったためかスタンも含めたメンバーはさほど感情的ではなく、シビアかつ若干ドライな一面も多かったが、リメイクにあたって全体的にトゲのある要素が削られ、代わりにギャグ要素やコミカルな一面を付け加え、ほぼ全員原作よりも程度はあれど感情表現が豊かになっている。また、仲間同士の結束を強調している点も挙げられる。
--これについてはCERO:Aにする都合上((PS版のまま収録すると差別発言や敵への残虐な仕打ち、一部の過激なストーリー展開でCERO:Aでの販売が難しくなると思われる))原作に見られた過激な描写を削らざるを得なかったことや、前作『[[アビス>テイルズ オブ ジ アビス]]』の尖ったキャラや重いシナリオに激しく賛否が分かれたことを踏まえ、万人受けを狙ってマイルドな調整が加えられた可能性などが考えられる。

#region(各キャラクターの性格について(ネタバレ注意))
-主人公・スタンは最も改変の煽りを受けている。
--原作では「素朴な田舎者」「茶目っ気はあるが常識人」といったキャラであったが、本作では「単純馬鹿」な面が強くなっている((しかし、『アビス』購入特典のDVDでもその兆候はある程度見受けられていた。))。~
原作では選択肢によってそのような発言もあるが本筋ではほぼ無く、これは『D2』での主人公で、彼の息子であるカイルに合わせたものとも考えられ、覚える術技もカイルのものが多数逆輸入されている。
--原作では比較的空気を読むことに長けており、感情面でも良くも悪くも周囲から半歩引いた立場にある事が多く、常識人な目線での突っ込み役だったり振り回されるタイプだった。だが本作ではボケの比重が極端に大きくかなりの激情家になっており、PS版での彼を見知った者が見ると我が目や同一人物なのかと疑いかねないシーンも数多い。
--そのボケ&能天気具合は''シリーズ随一のバカ主人公と言われてきたカイルをも凌駕((ちなみにカイルは15歳、今作におけるスタンは19歳である。『ジアビス』の特典DVDにおいても、スタンのあまりの能天気ぶりに逆にカイルの方が呆れている。))して歴代主人公の中でもトップクラス。''ルーティやディムロスの皮肉が終始全く通じない((原作では皮肉に反発していたり、逆にリオン相手に皮肉を言ったりもしていた。カイルも一度褒め言葉と勘違いして指摘されたところもあったが、基本的に皮肉や嫌味に対しては反発している。))ことに始まり、序盤だけでもチェルシーの「木と話をしていた」という話を本気で信じる(原作ではウッドロウ共々苦笑いしていた)、ルーティ達を捕まえに来た兵士に対して頓珍漢な弁明をする((その後自身も一緒に投獄されてしまうのだが、その時も自分を取り押さえた相手を第一に称賛するなど、自分の置かれた立場を理解していなかったりする。))等々、良く言えば''マイペースなお人好し''だが、悪く言えば''感覚のずれたバカ''とも言える。PS版でも世間知らずという事が描かれていたが、本作のそれとは全く性質の異なるものである。
--また、こちらもD2の設定((D2でスタンとリオンの友情を匂わせるシーンや台詞が多々ある))に合わせた為かリオンとの友情が強調されているのだが、些か過剰な程プッシュされており''ヒロインであるルーティと同等かそれ以上に描写が多い''。また、二人の性格の関係上「事務的な態度を崩さないリオンに対し、スタンが''初めから親友であるかのような態度で''お構いなしにアプローチを繰り返す」という展開が非常に多く、知らない人が見ると&bold(){スタンが半ばストーカー的にリオンを好いて追い回しているように見えかねない。}実際はリオン自身も度々ボロを出すなど、満更ではないことを表す描写は存在しているものの、肝心のリオンを慕うようになった経緯が殆ど説明されておらず、本当に&bold(){一目惚れと表現されても仕方ない}くらいに流れが唐突過ぎる。
---後々のリオン関係の描写から推測して「腐女子狙いで無理矢理絡ませたのでは?」という声が挙がることもある。PS版の間柄を知る人から見れば、それほど強引な擦り合わせという事である。
--極めつけが''リオン離脱直後の場面''で、「''怒りのあまり我を忘れ、ディムロスの制止も一切聞かず一人で暴走する''((直前にウッドロウに一喝されて一度落ち着いているにも関わらずである。))」という醜態を晒してしまう。この後も収まるどころかしばらくは口を開けばリオンへの未練ばかり(最終的には反省している)であり、この展開を「仲間想いの熱い奴」と好意的に取るか「依存している対象を失って一人錯乱しているだけ」と批判的に取るかで意見が分かれている。~
原作でも(目の前でベルクラントの破壊力を見せつけられたという理由はあるが)無理な高度まで飛ばした結果飛行竜は墜落しており、その修理のためにダンジョンに赴く手間が増えてしまっている。今作の展開であればそれなりの理由付けができるため必ずしも改悪というわけではないが、個人的に暴走した結果飛行竜が墜落し、仲間も危険に晒してしまったスタンが割を食う結果になったのも一概に褒められる話ではない。
--とはいえ、ただのバカキャラやギャグ要員で終わっている訳ではなく、熱血主人公寄りにシフトしたなりの活躍も追加され、純粋な一面で他の仲間達とは違う目線で物事と向き合えるという長所にも繋がっている。またディムロスとの絆を深めるイベントや会話も多く追加され、この辺は比較的好評。
---「普段はのほほんとした田舎者だが、やる時はやる隠れた実力者」だった原作に対し、「極度のお人好しで能天気だが、常に明るさを失わない熱血漢」という、原作とはまた違った形の主人公らしい性格になったとも言える。

-リオンの性格変更もスタンに並んで激しく。人気キャラであることもあってか最も賛否が分かれている。元々PS版の次点では「人気キャラ」という先入観がなかった事も影響しているかもしれない。
--冷徹な皮肉屋で''他者に心を開かず''、唯一愛した女性のために命を落とすという悲劇的な人物だったが、リメイクに当たり、''他者に心を開けない''年相応の不器用な少年となった。
--これと同時にスタンとの友情描写が増やされているが、その多くに露骨なツンデレじみた言い回しが見受けられ、やたらベタベタした関係に。PS版では良くも悪くも仲間同士の域を出ないあっさりとした間柄だった((リオンが酔っていた時や洪水に流された直後に心配している程度であり、基本的には皮肉を言い合うなど、比較的そっけない間柄である。))。
--更に過激ながらも印象的な名台詞の削除((「終末の時計は動き出した…もう、誰にも止められない」「僕は殺せる。大切なものを守るためならば、たとえ親でも兄弟でも、だ!」「黙れ下衆野郎!」…等))などのマイルド方向での改変も非常に多い((PSP版D2のジューダスの台詞も近い変更がある。あちらは本作と異なる移植作品という事もあってか、ごく一部の台詞を削除している程度だが。))。
---PS版では露骨な女性差別や敵への残虐な仕打ちの数々など倫理に反した行いが多いものの、それらは彼の生まれや周囲の環境に裏打ちされたものでもあり、彼の背景を語るには欠かせないファクターとも受け取れる。それ故、それらを削ぎ落とした性格改変に反発を抱くファンも少なくない。
---ただし、PS版であっさりとした間柄だったのはリオンに限った事ではない事はある程度留意すべきである。
--これだけならまだ個人の思い入れや好みの問題で済むが、下記のように海底洞窟でのやり取りが大幅に変わっているためPS版準拠のD2の回想シーンと食い違ってしまったり、悲惨な原作の展開を感動路線の王道展開に変更しようとしたが故にツッコミどころ満載なシーンと化してしまったり、シナリオ上無視出来ない問題点も生まれている。
-その代表的な場面が、リオンの最期となる一連のやりとりである。
--PS版ではスタン達とリオンは敵対したまま終わる((実際には「裏切った以上は容赦しないが、かつての仲間には違いない」といった感じの、愛憎混じった複雑な結末である。))のだが、PS2版ではスタンの必死の説得で和解し((こちらも、PS版ではそれ程強くリオンを諭しておらず、彼の死に対しても比較的ドライに受け止めていた))、押し寄せる洪水からスタンたちを助けるという展開となっている。新規に挿入されたアニメムービーの演出も相まって感動的な場面のはずが、その実態は~
「''誰かが残って(しかもやたらと離れた)スイッチを操作しないと動かない仕組みのリフトにスタン達を乗せ、リオンが操作役を請け負い、彼等を逃がした後洪水に飲まれ死亡''」~
というもの。
--リオン曰非常用との事だが、操作盤をリフトから引き離し、操作役を別個に配置しないといけない時点で非常用の人員運搬装置としては有り得ない構造であり、''まして操作と同時に乗り込めない程距離を離すなどもってのほかである。''考察抜きにしてもリオンが同時に乗り込み助からないようにする為の苦肉の措置にしか見えない。
---原作と違う「自らの意思でスタン達に後を託し、自身は身代わりに死を受け入れる」という王道展開にするにあたっての整合性が取れきっておらず、「PS版とは違う展開にしたいが、リオンだけはなんとしてでも死なせなければ」といったスタッフ側の思惑が拭えない不自然な図になってしまった。PS版にはエレベーターのような運搬装置は無い。
---PS版では会話の最中に洪水が押し寄せ、スタン達は押し流されながらも命からがら脱出する((ただし、流されてから停泊所にたどり着くまでの過程はかなり省略されている。))が、洪水を免れて洞窟内に取り残されたリオン一人がそのまま水に呑まれて死亡する展開な為、矛盾等の問題は起こっていない。
---ちなみにPS2版を元にした漫画では、リオンが操作するのは操作盤ではなく電源装置になっており、また彼がその場から動けない理由も別につけられたため不自然さはかなり減っている。
--性格のみならずストーリーでの立ち位置等もだいぶ変わっている。
---PS版では本編当初からマリアンを人質に取られ止む無くヒューゴの手駒となっていたが、本作では第2部に入ってからマリアンが人質に取られるようになった為、第1部での立ち位置がかなり異なる。更に、「リオン・マグナス」という名前も自身で名乗った設定となっており、前作のアナザーストーリーのドラマCD等と食い違いが生じている。

-ヒロインのルーティはトゲのある発言や皮肉が目立つキツイ性格だったが、それらがかなり抑えられて毒気が抜けており、年齢相応の女性らしい一面が増えている。また原作での良くも悪くもサバサバした部分は大幅に削られ、スタンとの間柄を深める描写やイベントが多くなっている。
--代わりに後述するイレーヌ関連をはじめ、貧困層出身の人間としてのシビアな価値観を伺わせる描写が少し追加されている。

-フィリアは一人称が「わたくし」から「わたし」に。「実は爆破マニアなマッドサイエンティスト((本筋ではなく、チャットでネタにされる程度である))」「ゴミだらけの状況では発狂寸前になる程の潔癖性((そういったダンジョンでは、言葉遣いが非常に厳しくなったり、戦闘中にBCゲージが自動で増加するという仕様まで追加されている。))」など、コミカルな面が((自作のデザートに変な名前をつけようとするなど、原作でもそれなりにコミカルな一面はあった。))強調されている。
--ただし、いかにコミカルといっても結果腹黒い印象になってしまうためか、スタンやリオンに次いで改変の煽りを受けたキャラとして批判される事も。((純潔なシリーズキャラの腹黒キャラ化はフィリアに限らず主に外伝作品ではよくされている事であり、賛否を分けている))
--また「クイズ好き」という設定も追加され、道中のスキット(会話)などで同じ趣味を持つウッドロウとの絡みが増えている。

-ウッドロウも特に大きな変化は無いが、マリーに恋心を抱くイベントや描写は軒並み削除されている。
--PS版ではあまり見られなかった「偉大な父王に対するコンプレックス」「突然父王を失い、その後を継ぐ事に対する苦悩」がクローズアップされている。

-マリーは性格にあまり変化はないが、代わりに傭兵上がりの自警団員だったPS版から、&bold(){王政の在り方に疑問を持ち、王国の民主化を目指して活動するレジスタンスの一員}となり、設定面が大きく変わっている。
--夫であるダリスもその&bold(){レジスタンスのリーダー}という設定に変更され、夫婦共々物語上の立場が大きく変化している。
--また、後述の通りダリスは生存が確定し、なおかつ後半の再加入時期も早いまま((PS版ではダリスが死亡する展開に進まなければ、再加入の時期が大きく遅れてしまう。))という、原作のいいとこ取りな扱いである。

-コングマンは傲慢な描写が大きく減らされ、代わりに愛嬌豊かでかつ情にアツい好漢となった。
--また、フィリア一筋ぶりにも色々と拍車がかかっている。
--他にも、闘技場のチャンピンであり続ける姿勢や心構えにも一定の言及がなされている。

-ジョニーは最終加入が他のキャラに比べ非常に遅くなっており、「キレモノを隠した三枚目」だったPS版に比べて「ちょっと変わってるけど普通にカッコいい二枚目」に変わっている。

-ソーディアンの性格や描写もそれなりに改変されている。
--ディムロスとアトワイトは、PS版ではあくまで「共に戦った仲間同士」という間柄だったが、D2では恋人同士だという設定になっているからか、一変してカップル然とした会話や描写が多くなっている。
--常に丁寧語で話していたイクティノスも普通の言葉で話すようになり、よりクールな人物としての側面が強調されている。ウッドロウとの関係も上下関係が伺えたPS版に対し、より対等に話をする間柄になっている。

-第1部の大ボスとして登場するグレバムは、PS版ではヒューゴを欺き裏切る形で神の眼を持ち出していたが、本作ではそれもヒューゴの計算のうちという設定となっている。

-ボスの一人であるイレーヌの改変も批判されている。
--フィッツガルドで問題になっている貴族と庶民の貧富の差と差別を無くすべく奮闘している女性なのだが、富で町が豊かになっても解決しないどころか余計に貧富の差が悪化する…という現実に絶望してしまいヒューゴの計画に加担、それを止めようとするスタンたちと敵対する。
--PS版では現地の住民を想いひたむきに尽力する努力家だったが、本作では思想家じみた一面が多く目立つようになり、上から目線で傲慢な描写が多くなっている。
--彼女が子供に優しくしている場面ではコングマンやルーティに「彼女も貴族と同じで優しくすることで優越感に浸っているだけだ」と批判される、現地の住民にも疎まれるようになっているなど、本人の描写のみならず周囲からの評価も大きく変わっている。
---コングマンとルーティは貧困層出身の人間のため、イレーヌの行為が「善行」よりも「施し((イレーヌ自身はオベロン社の幹部という事で他の貴族同様裕福に暮らしている。この場面についても、愛情というより施しに見える構図に変わっているのも事実である。))」の面が強く見えてしまうから、との事。
---しかし、原作ではコングマンもルーティも彼女を批判することはなく((ルーティに関しては、原作ではどちらかと言えばスタンを巡っての恋敵のような関係である。イレーヌの人徳は認めており、後に対峙した際も、ヒューゴに加担したことについて素直に疑問を感じていた程である。))、コングマンに至ってはドラマCD版では彼女を誰よりも尊敬していたなど、PS版とPS2版での扱いがほぼ真逆な程変わっている為、露骨な印象操作にも捉えられかねない。
--また、物語後半に敵対した際には選民思想とも取れる発言までしており、ディムロスやウッドロウにも悪人扱いされ((実際二人の立場・生い立ち上悪人扱いされても仕方がない発言であり、その内容が作中でのそもそもの対立関係を作ったことに関わっているため非難されるのは当然ではあるのだが))、ルーティにもイレーヌの主張((主張の内容自体はリメイク前と一緒だが、論調は「悲痛な訴え」から「高らかな演説」という風に変わっている))を「言うことやること何もかも薄っぺらい」と一蹴される。PS版ではこれらの場面は一切無かった。
--その後は戦闘を挟んでPS版同様に自害し、それ以降は流石に彼女を責めるような会話は鳴りを潜める…が、彼女の死を悼むというより彼女の死に傷ついたスタンを気遣うような会話へと移っていき、それ以降は父親であるレンブラントとの戦闘やサブイベントで少し話に出る程度でその後はほぼフェードアウトしてしまい、スタン自身の行動の支柱になっていたようなPS版の描写も薄れてしまっている。
--なお、「独善的な思想のもとに一方的な施しを押し付ける為政者」という点は『D2』の黒幕エルレインの思想に共通する部分でもある。奇しくもそれに反発していたナナリーとルーティも互いに境遇が似ていることもあり、さながら時代を跨いだ代理戦争のような構図になってしまっている感もある。当然だがイレーヌとエルレインは全く縁もゆかりもない関係である。
--本作から20年近く経過したD2でも彼女を慕う住人が居たり、ノイシュタットの住人への愛情が垣間見えるイベントがある等ノイシュタット及びフィッツガルド地方の発展に大きく貢献し、人々にとっては大きな存在であった。そんな彼女が本作になって慈善の意味を履き違えた滑稽な人物にされた事に反発を覚える者も少なくない。
---彼女の名誉の為に付け加えておくが、リメイク版でも空回りしているとはいえ本性は決して悪人ではなく、貧しい人に心を痛め、救いたいという気持ちそのものはPS版同様本物である((スタンに限っては彼女の善の側面を認めていたが、非難する周囲の人間と意見を交わすような場面もなく、寧ろ取り繕った外面しか見えていないという印象のほうが強い。))。実際、本当に優越感に浸りたいだけの人間かというとそういうわけではなく、目の前で魔物に襲われていた子供を庇ったり、対決前にルーティに思想を一蹴されても全く動じないなど、彼女なりの覚悟や度胸を持ち合わせた上での行動である。

-同じくオベロン社幹部のバルックに関しても扱いが酷い。
--元々は気候の厳しいカルバレイスにてバルック基金を設立し、貧しい現地の人々を救おうとしていた善人であり、イレーヌと同じように悲惨な現実に心を歪ませ、結果的にスタン達と敵対してしまう。と言うキャラだった。
--PS2版では天上人の子孫と言う設定に変わり、前述の活動も全ては先祖の悲願を果たす為…という設定に変更されている。また基金の活動自体も住民の救済というよりはこの野望寄りのものになっており、こちらもイレーヌと同じく現地住民に疎まれている。
---ドラマCDでも同じく天上人の子孫という設定なのだが、此方は現地の住民の総意と言っても過言ではない訴えをファンダリア国王であるウッドロウに投げかけており、現地の人物からも信頼されていた。ヒューゴに従う理由も「どの国家も貧困と飢餓に喘ぐカルバレイスの惨状に手を差し伸べなかった中、唯一惜しみない援助で危機から救った為」というものになっている。

-一方、執事兼科学者のレンブラントはPS版での好々爺を装った卑劣なマッドサイエンティストとしての側面は消え失せ、忠義に篤い人物になっている。

-総帥のヒューゴは最期の瞬間に僅かに自我を取り戻し、ミクトランからスタン達を救うという流れに変わっている。
--原作では倒された直後自我を取り戻したもののそのまま死亡し、別に復活したミクトランがスタン達を圧倒。その後「ここで始末する必要もない」とあえて止めを刺さず、役目を果たしたベルクラントごと海に捨てるという展開だった。

-『D2』に合わせたと思われる設定・描写の変更も若干見られるが、それに合わせることが目的のリメイクではないため、リメイクによって矛盾を生じた箇所もある。
--例:マリーの夫であるダリスの死亡ルートが削除されたこと。これにより、二部でのマリー参入タイミングがPS版のダリス生存ルート同様「早め」で固定されたが、『D2』ではダリスは死亡しているため、設定が食い違ってしまう。
---また、今作のエピローグにてマリーがスタンに「ダリスが楽しみにしているからサイリル((マリーとダリスが住んでいる街。))に遊びに来て欲しい」と発言するが、サイリルは『D2』の時代では滅んでしまっている。ダリスはエピローグから『D2』までの間に何らかの理由で死亡する、「遊びに来て欲しい」は「復興を手伝って欲しい」という意味であるものの結局復興は上手くいかなかったと考えれば矛盾はしないが。
//---「本作の後、ゲームで描かれていないところで死亡した」と考えれば矛盾はしないが。((実際、D2迄の間に空中都市の残骸の落下でサイリルが滅んでおり、その際に死亡した可能性も充分ありうる。))
--また、何故かディムロスがベルセリオスのコア人格がハロルドであることを知らない。『D2』で描かれた天地戦争の時には気付いていなかったということだろうか。
---『D2』の結末から黒幕エルレインとカイル達が天地戦争に介入しなければ知らなかった可能性も十分にありえる。
//偏った表現が気になったので一部変更。
#endregion

***その他
-スタンのみ「ねぼすけで簡単には起きない」という設定から「''戦闘中睡眠状態になった時攻撃されても起きない''」という仕様がある、他キャラは被ダメージがクリティカルになるがすぐ起きる。
--原作のPS版でも「睡眠状態の時間が他のキャラより長い」という特性はあったが、本作のこれはより凶悪であり、睡眠攻撃を使う敵相手では、睡眠耐性の装備がほぼ必須になってしまう。
---スタンの寝起きの悪さについては本編でも描写しているため脈略の無い設定という訳ではなく、睡眠耐性の装備も入手しやすいため対策は容易である。
-マリーの装備は剣、槍、斧の使い分けができたPS版とは違い斧固定となったが、術技も含めてほとんどが斬と打の属性を同時に持ってしまっているためピンポイントで弱点を突くことが出来ずにダメージを出しにくい。属性ゲーである本作では戦闘においてかなり不遇な位置にある。
--ほとんどの敵は斬に弱い敵は打に強く、打に弱い敵は斬に強い。両方を保持してることのメリットはほとんどない。
---斬属性だけ、打属性だけの技もあるが数が少なく、他キャラと違いマリーが一番弱点を突きやすいという状況がほぼ無い。
--こうして見ると弱キャラと思われがちだが、攻撃力自体は決して低くはなく、固有装備の「革命バンダナ」((手間はかかるが、早ければ中盤で入手可能。))で全ての状態異常を無効に出来る。~
状態異常が厄介な本作においてはかなり強力な長所であり、活躍の場は十分にある。攻撃中はのけぞらない技があったり、敵の状態・隊列を崩す技が多かったりとキャラの特性もきちんと作られている。サポートタレントも便利なので、総合的な実力は寧ろかなりのもの。

-モンスターはほとんどが『D2』、『[[テイルズ オブ リバース]]』の流用、もしくは新規となっており、オリジナル版から登場しているモンスターは極わずかである。
--ボスモンスターも主要人物以外は軒並み新しくなっている。
--空中都市群に出現する生体兵器や、シリーズお馴染みのモンスターであるローパー系等も新たに描き直されており、グラフィックの進化に伴って見た目や動きにより生々しさが増している。その中には自爆を図る敵もおり、体を膨らませて破裂する様子も中々にリアルであり不気味。
---もっとも、2Dシリーズにおけるモンスターのモデル流用は次回作『ハーツ』や現時点で最後の2D作品の『なりきりダンジョンX』にも引き継がれしまっており、結局2Dシリーズの終焉までモデル流用が続く事になった。

-ラストダンジョンの一部のフロアに、何故か『D2』のラストダンジョン「神のたまご」を再現したマップが存在する。
--一種のファンサービスとも言えるが、当然ながらダンジョン同士に全く関連性はない。「ただデザインを使い回したかっただけなのでは?」と疑う声もある。
--PS版における水晶のフロアに相当する場所であり、異空間にワープさせられた先であるため構図的にはさほど違和感があるわけでは無いが。

-『D2』の名(迷)物キャラ「バルバトス・ゲーティア」が隠しボスとして登場する。
--本作では亡霊という設定で、特にイベントがある訳ではない。しかしその実力はD2以上。D2と違い昌術は使わないが、D2で使用してきた特技の強化版とも言える特技を多く繰り出し、中でも画面ほぼ全域に渡って完全にオーバーキルな攻撃を与える「ワールドデストロイヤー」は、今でもファンの中では語り草となっている。
--しかも最低難易度だと''ステータスが10倍に上昇し''、「貴様らに俺と戦う資格はねえっ!!」という台詞と共に開始直後に全滅級の威力、射程を持つ技を使ってくる。しかも10発近く連発してくる。
--そのために「最低難易度で勝利する」という他のゲームでは存在しないやり込みが登場する事になった。むしろ''低難易度に堂々と注文をつけるボス''((仮のエンディングしか見られないなど、低難易度クリアのペナルティ自体は珍しいものではない。))など、世界広しと言えど彼ぐらいであろう。
--『アイテム使用に対するカウンター』も続投しているが、本作ではなんと即死級のBCにまで昇華。凄まじい形相のカットインと共に放たれるそれは、中級術で反撃程度のD2と違い良くてパーティ半壊、これ一発で全滅もよくある事というおぞましい目に遭う。~
DC版では背後に立つ事へのカウンターも専用特技として採用され、不用意に彼の背後に立つ数多のソーディアンマスター達を即死させていった。
--さらには、この近年プレイヤーがよくやっていたアナログスティックを固定して放置するオートレベルアップに対して、~
「20分ほど同じ場所でオート戦闘を連続でする」という条件を満たすと、「貴様ら、こんなところで長々と何をしている!」という会話付きで唐突に現れてくれる。~
HPが無限なので絶対に倒せず、それ以外のステータスも隠しボスのときと同じ。逃げることはできるが、オート戦闘なのでCPUは何も考えず突っ込む…。ついでに最低難易度時での挙動も同じである…
--いくらなんでも唐突でしかも強烈なインパクトを残したので、''野生のアナゴ''((バルバトスの担当声優・若本規夫氏が演じる『サザエさん』の登場人物から。))というアダ名が付けられた。
---もっとも、今作から初めて放置対策を始めたという訳ではなく、「ボタンやスティックが使われているとリザルト画面が終了しない」「戦闘終了後にA(○)ボタンを押さないとリザルト画面が終了しない」といった手段でオートレベルアップを防止する作品も存在する。

-ハーメンツでのリオン戦で、リオンを倒す事が出来なくなった。
--PS版では難易度こそ高いが彼を倒す事が可能で、その際専用のバッドエンドを迎えるという隠し要素があったが、リメイクにあたって途中でBCを発動されて強制的に敗北するようになり、正真正銘の「負けバトル」となった。

-オベロン社幹部戦のBGMが全くの別曲に差し替えられている。
--一応オリジナル版でのBGMはサウンドテストの没曲として収録されているが、差し替えられた理由は単にリメイク版でのボス戦の作風に合わなかった可能性が高い。

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**問題点
-ほとんどのキャラが第2部での加入時期が早まっているにも関わらず、ジョニーだけ加入時期が原作よりもかなり遅くなっている。~
貴重な音属性の技を使いこなせるだけに、終盤まで進めてようやく加入することを残念がるプレイヤーは多い((ちなみに、原作におけるダリスを生存させた場合にマリーが復帰する時期とほぼ同じである。))。~
なお、ウェア系の装備は彼とリオン用の装備なので、リオン離脱から彼が加入するまでの間は誰も装備できず、長い間アイテム欄の中に埋もれることになる。
-戦闘中、ターゲットが勝手に切り替わることがある。空中の敵などを狙うときに混乱する。
-2Dマップは美麗なのだが、3Dマップがとてつもなく粗い。4年前のゲームであるデスティニー2の方がよほど綺麗なぐらいである。
-町やダンジョンのマップも当然全て新規だが、ダンジョン内のマップについては使い回した部分が露骨に目立ってしまっている。
--特に目立つのが、似たような長い通路や曲がり角のようなマップが一つのダンジョンに何箇所も存在すること。突き当たりは順路である可能性の他にも宝箱があったり、単に行き止まりだったりする点もほぼ共通している。
--モリュウの海底洞窟とオベロン社廃工場の地下部分に至ってはほぼ完全に使い回し。初見のプレイヤーでもすぐに分かるほどバレバレである。
-特技画面での作画に難があるキャラが存在する。
//-新図鑑として集めたフードストラップを確認する事ができる「フード図鑑」が追加されたものの、恒例のコレクター図鑑が存在しない。
//--もっとも、この点については2005~6年に発売された本編作品の多くで当てはまっていて、この事から長期化しつつあるシリーズのマンネリ防止策として施行していたと思われるが、やり込み要素に欠ける等としてプレイヤー側から受け入れられず、結局『イノセンス』からモンスター図鑑及びコレクター図鑑の両実装が戻る事になった。
//リメDにはコレクター図鑑ありますよね?

-属性に重点を置いた意欲的な試みだが、残念ながら粗も。
--火、水、光、風は対応する各ソーディアンがあり、地は後述のなりきりアイテムを使うことでどうにかなるが、闇だけは使える術技が大きく限定される。そのため、闇属性が弱点というだけで難敵になっている敵がいるほど。

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**総評
時代的にまだ各種システム面が未熟であったPS版から大きなスケールアップを果たし、それでいて露骨なマニア向け仕様にはせず、初心者にもとっつきやすいよう絶妙に調節されたシステム面は多くのプレイヤーに評価された。
称号やアイテムコンプリート、隠しイベントや高難易度なEXダンジョンを巡った最強装備作成…といったクリア後までのやり込み要素も多く、システムを弄繰り回し爽快な戦闘を末永く愉しみたい人にはもれなくオススメ出来る作品である。

キャラクター、シナリオ面に関しても、主要キャラの性格やイベント内容の大幅な変更に始まり、ダンジョンの攻略順序や世界観の細かい設定など、ほぼ別作品とも言えるレベルにまで大胆な変更が加えられている。~
これについては前作からの思い入れが強いプレイヤーを中心に反発や賛否の声が多く挙がっているが、大掛かりな改変によるシナリオの破綻といった重大な問題は一部のイベントを除いては見られず、本作なりにしっかりと纏まっている。~
強いて単体の作品としての賛否を挙げるならば清々しいまでの勧善懲悪に徹していること、一部のキャラやイベントの露骨なギャグ要素に好みが分かれる位である。~
それ故「これはこれで面白い」という好意的な評価も多く、受け入れて楽しんでいる原作経験者もいる。~
このことから賛否は分かれるものの改悪とは言い難く、あくまでも「大がかりな改変が施されたリメイク作品」であると言える。

シリーズでも人気の高い作品のリメイクという事、改変の度合いが非常に大きい事から評価が割れやすいものの、単体の作品としてみればシステム・シナリオ面共にクオリティは高く、充分良作と呼べる完成度を誇っている。

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*テイルズ オブ デスティニー ディレクターズカット
【ているず おぶ ですてぃにー でぃれくたーずかっと】 
|ジャンル|ロールプレイングゲーム&br()(シリーズ固有ジャンル名:もうひとつの運命という名のRPG)|&amazon(B000XP9CRO)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|メディア|DVD-ROM 1枚|~|
|発売元|バンダイナムコゲームス|~|
|開発元|ナムコ・テイルズスタジオ|~|
|発売日|2008年1月31日|~|
|定価|通常版:6,090円 / プレミアムBOX:7,140円|~|
|プレイ人数|1人(戦闘のみ1~4人)|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|PS2版の追加&調整版&br;リオン視点のシナリオ追加も代わり映えに欠ける&br;一部戦闘バランスなどの見直し&br;リオン絡みのギャグ描写は賛否両論&br;これから買うならこちらが無難|~|

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**概要(DC)
リオンを主人公にし、本編ストーリーを彼の視点から進める「リオンサイド」を筆頭に、様々な追加要素や調整を施している。~
なお、従来どおりスタンが主人公で進む本編は「スタンサイド」という名称で扱われている。~
無印版とのコンバートが可能。~
また、本作はPS2で発売された事実上の最後のテイルズ オブ シリーズ作品でもある。

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**特徴・評価点(DC)
-本編であるスタンサイドでもサブイベントが幾つか追加されている。

-味方のステータス限界が999(装備込み)から999+装備に変更され、無印版での最高HP5994から9999まで成長させることが可能になった。

-デバイスも新しい機能が追加され、引継ぎ要素も「フードストラップ」と「術技」が新たに追加された。

-戦闘システムもそれなりに調整が入っている。
--無印版で猛威を振るった「幻影刃」や「キュアフラッシュ剛招来」などの無敵技が弱体化。
--上記で述べた「レインボーアーチ」も硬直が付加されて汎用的な性能に落ち着いた。
--また、敵の行動パターンも変わっている。
---特に大きく変わったのは難易度最低のバルバトス。無印版では普通の行動パターンにチート級の技を1つ組み合わせただけだったが、DC版では弱い技は全て使わず、通常移動が全てダッシュになっている他、凶悪な新規技を数多く繰り出してくる為、ただでさえ高い難易度が更に大きく上がっている。
--空中で使える術や技が増えた。

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**問題点(DC)
-肝心のリオンサイドのボリュームがかなり薄い。
--内容は''大半がスタンサイド(本編)とかぶっている''上、何よりリオンは無印版と同じく中盤で離脱するため当然そこまでしかプレイできない。
--リオンサイド独自の展開やリオン視点で語られるシーンはあるが、本来のスタンサイドとのボリュームの差を埋める程ではない。値段を考えると、もう少しアナザーストーリーの類が欲しかったところである。

-追加要素の少なさも問題。
--リオンサイド追加、一部のキャラの技(敵含む)追加、闘技場ランク6くらいでモンスター追加された程度。ゲーム自体は良作だが、ほぼフルプライスの値段でこれは少なすぎる。
---引継ぎ要素についても、ソーディアンデバイスのポイントや習得率も引き継ぎの要素に加えて欲しかった所である。

-一部イベントの露骨な趣向
--恒例になりつつある温泉イベント(リオン編)も追加されたのだが、何故か「男だとばれないように胸までタオルを巻いて女湯に入る」という、どう見ても腐女子狙いな展開となっている。

#region(なぜそんなことになったのかというと…(ネタバレ))
リオンが利用した当時は男湯が故障中であり、受付の計らいで空いていた女湯を貸し切りで使わせてもらったのが事の発端。そこまでは良かったのだが、受付が急用で席を外している間に、運悪く事情を知らない女性客が女湯に来てしまった。当然このままではあらぬ誤解を受けるため、シャルティエの咄嗟の機転で&bold(){女性のタオルの巻き方(=胸までタオル)をして女性になりすまし、女性客をやり過ごした}…という流れ。ちなみに本人は普通にやり過ごせてしまったことに案の定凹んでいる。得られる称号にも「この行為は時に大事なものを奪っていく」という説明が…
#endregion

--また今作以降リオンを「男装の麗人に見える(称号:セインガルドの薔薇)」という面を強調するようになり「性格改変とかはともかくに腐女子に媚びた真似までするな」と拒否反応を示す人もいる。~
その手のネタに疎い人には全く意味がわからない謎の展開で終わってしまうし、逆になまじ知っている人には寒いだけである。では、当の腐女子達にはウケたのかと言うと、『あざとい』『自分達を狙っている魂胆が見え見え』等あまり芳しくない。無印版での性格改変の時点で『公式でそれをされると逆に萎える』『冷徹で他人を寄せ付けない性格だったからこそ好きだったのに』等の不評もあった。
#region(ネタバレ注意)
-ちなみに、リオンサイドであろうともやはりリオンは''本編同様に死亡し、生存させることはできない''。
--スタッフのインタビューでも「生存ルートは考えていたが、そうするとリオンらしくなくなる」「リオンはあの場所で死なないと、リオンではなくなってしまうんですよ。」等の理由で結局没になった。今作における彼があのような形で死亡したのはその名残である可能性も考えられる。
//--発売前はリオンが生き残るルートもあると期待されていたが、&bold(){そんな事は無かった。}電撃PSでの緑川氏(リオンの声優)のインタビューが妙に落ち込み気味だったのはこれが原因かと思われる。
//---というかスタッフたちは、大半のユーザーは、if展開でもいいからリオン生存ルートの追加を期待しているという事が分からなかったのだろうか。
//性格改変はダメなのにリオン生存は望まれるというのか…。
//あくまで一部のファンってだけだしね。グリリバの落ち込みようとかはよくわからん。
---ただしリオンで隠しダンジョンに乗り込むことは可能になった。
#endregion
//問題点冒頭を含め、リオンの件について記事の内容そのものは変えない程度に伏せました。原作のページでも伏せてあったのでそれに倣った形です。

-追加技の数や性能のバランスが悪い。
--追加技のほとんどがリオン。空中可能に変更が4つ、特技が2つ、晶術が2つ、空中晶術が2つ、BCが1つ。他キャラで追加されたのはスタンの「空中屠龍閃」とチェルシーの「キューピッドアロゥ」のみ。
---あくまでリオン要素重視な作品である事もあっただろうが、リオンの技は元々少なかった訳でもなく、性能も高かったため、上記のマリー等のように技が偏っている他キャラの技増量に宛てても良かったのではないだろうか。
--リオンの追加技「デモンズランス・ゼロ」は通常のデモンズランスに追尾弾、封印効果が追加され威力も約1.3倍、更に術攻撃は55%も上昇、物理攻撃10発(術攻撃5発)分のけ反らなくなる鋼体効果も付加、追加効果だけでも他の術技並みの効果にもかかわらず消費CCが4から6に上がっただけと凄まじい性能を持つ。
---地上時の倍近い威力になる「空中屠龍閃」、イベント技を除けば全キャラ最高威力のBC「魔神剣・刹牙」も強力。

-冒頭で述べたようにステータス計算式が変更されたにも関わらず、ソーディアンを持てないメンバーの装備品などに相応のテコ入れが行われていない。
--これによって武器も性能も強いソーディアンチームと非ソーディアンチームの格差が更に広がる事になった、特に武器の弱いコングマンはかなりの差を付けられてしまう。

-バグの修正が雑。修正されていないバグや新たに発生したバグもある。
--熱毒中にBCを使うと挙動がおかしくなる事があるバグを、''全状態異常でBCを発動出来なくする''事で修正。状態異常攻撃を行う敵が多い本作に於いては、かなりの支障となる。
--難易度を上げると味方の防御の性能が上がるよう変更されたが、フラッシュガード(攻撃を受けるとほぼ同時に防御する)の性能はそのまま、最高難易度だとダメージ軽減において、通常の防御がフラッシュガードの性能を僅かながら上回ってしまう。ただし、フラッシュガードはダメージ軽減のほか、BCゲージが多く回復するという効果が存在する。
--リオンサイドは本編より初期レベルが高い状態で始まるが、ステータスや経験値は本編の初期値のまま。意図せずにリオンサイドの難易度が上がってしまっている。
--リオンサイドで隠しダンジョンへ行っても''ウッドロウの武器が汎用武器のロイヤルブレイドのまま''、当然隠しダンジョンの敵相手では完全に戦力外。PS版以上に悲惨な立場となった。

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**総評(DC)
無印版からの追加要素と値段がいまいち釣り合っておらず、これらの要素自体も痒いところの調整が行き届いていなかったり、リニューアル作品としては手放しで高評価できうる作品かと言われると微妙な部分も少なくないが、その他の追加要素や調整が無印版の完成度にもたらした恩恵もまた多く、全体的な完成度は決して低くはない。~
無印版をプレイした人からすれば微妙な一作かもしれないが、初プレイ時に無印版とどちらかを選択するのであれば、&bold(){金銭面が許す限りこちらがおすすめである。}

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**余談
-以降の2Dテイルズシリーズでは種別問わず本作とほぼ同様のシステムを採用している作品が殆どで、本作の戦闘システムがいかにプレイヤーに受け入れられたかを伺い知る事が出来るだろう。
--一方で、2Dシリーズの戦闘システムを本作の物を基準にした事により、これまで毎作戦闘時に実装されていた意欲的なシステム群も失われ、マンネリの加速と2Dシリーズの衰退も招いてしまったのも事実ではあるが・・・
-レイディアントマイソロジーなどのお祭りゲーにおいて、本作のキャラクターの性格や設定は基本的にこのPS2版準拠のものになっている。
-かつて本サイトの前身の一つ「クソゲーまとめ」においては「賛否両論」判定で記載されていた。本作の改変内容に対する判定の難しさが伺える。
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//タグ管理用スペース(タグを変更した時は内容をこちらにコピペ上書きしてください。)
//バンダイナムコゲームス,テイルズシリーズ,プレイステーション2&bold(){}&bold(){}&bold(){}&bold(){}&bold(){}&bold(){}&bold(){}&bold(){}