*バトルコマンダー 八武衆、修羅の兵法 【ばとるこまんだー はちぶしゅう、しゅらのひょうほう】 |ジャンル|シミュレーション|&amazon(B000068HOJ)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|アークシステムワークス|~| |発売日|1991年12月29日|~| |定価|9800円|~| |ポイント|作りの粗いストラテジー&br()キャラゲーにしては複雑すぎた&br()エルガイムとドラグナーは地味にスパロボより先に参戦 &br()やりごたえ自体はある |~| //|分類|''賛否両論判定''|~| |>|>|CENTER:''[[コンパチヒーローシリーズリンク>コンパチヒーローシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 当時バンプレストが展開していた「コンパチヒーローシリーズ」の1作で、『[[第2次スーパーロボット大戦]]』と同時に発売された。~ スパロボがターン制であるのに対し、こちらは2010年代に入っても未だに国内では馴染みの薄いリアルタイムストラテジーである。 **ゲーム内容 -「3種族が見えない壁に仕切られた世界で共存していた世界が舞台で、壁の消滅により覇権をめぐって争いあうようになった」というオリジナルの世界観とストーリーで、とかく殺伐とした雰囲気が漂っている。 --ロボットアニメのメカ達が擬人化されて登場する。また、外見や名前がアレンジされている者も居る。ガンダムシリーズは機動族、マジンガーシリーズ(とゲッターロボやグレンダイザーも少々)は魔神族、重戦機エルガイムと機甲戦記ドラグナーは日出族。 --敵メカ由来キャラの割合が多め。機動族ならジオン、魔神族なら機械獣が半数を占める。 --スパロボのような原作のストーリーに基づいたクロスオーバー的シナリオは一切ない。どちらかと言えば方向性はグレイトバトルシリーズに近い。敵幹部もザ・グレイトバトルに登場したキャラ達。 -難易度は機動族(ガンダム)が初級者向け、日の出族(エルガイム、ドラグナー)が中級者向け、魔神族(ダイナミックプロ)が上級者向けとなっている。 --機動族はHPが低いという傾向があるものの、武器の射程が長く攻撃力も高め。そのアドバンテージは絶大で、相手が射程圏内に入る前に集中砲火を浴びせれば倒せる。おまけにバグで射程が無限なキャラが存在するのでかなりぬるい。 --日の出族はいわゆるマップ兵器が豊富。しかし通常兵器は機動族と比べると射程に劣るので通常戦闘では苦労する。敵の本拠地を落とせという勝利条件のステージもちらほらありやりごたえはあるが……。 --魔神族はHP及び攻撃力が高いという設定だが、射程が短すぎる。マップ兵器持ちもそんなにおらず、最高指揮官マジンガーの性能が3種族中最低など、上級者向けというより単に調整不足のせいで厳しい難易度になっている。 -給与は役職ごとに一律に設定しなくてはいけない。レベルが低かろうが高かろうが一律。そして、出撃していようがいなかろうが登録しているだけ支払われる。 --給与の影響が最も大きい指揮官は、一番レベルの高い指揮官に合わせないといけない。合わせないと高いレベルの指揮官のカリスマが下がり、配下の部隊員が逃げ出したり、最悪指揮官本人が逃亡する。 --敗北条件の1人である最高指揮官キャラであるF91、エルガイムMk-II、マジンガーはどれだけ薄給でも逃亡しないが、薄給のままレベルをあげすぎると当然カリスマなどは下がるので、部隊などとても編成出来ない。 --指揮官は32名まで登録できるが、そんなに多く雇用していては金がいくらあっても足りなくなる。常に最低限数の維持を余儀なくされ、他は解雇して削らないといけない。 -8種類の職業がある。タイトルの「八武衆」とはこれを指す。 **問題点 -説明書には「非常に高度なシミュレーション」とあるが、その通り複雑極まるシステムである。説明書だけで何十ページもある上、その内容も非常に難解。(ゲーム中では説明も無い)。 --Bボタンが決定、Aボタンがキャンセルという仕様も、プレイし辛さに拍車を掛けている。 --8種類の内、水中戦に優れる「海武衆(マリナー)」は、水中で戦う機会自体があまりないため実質使い道が無い。というかそらセットがあれば水中で行動する必要もなくなるのでそれに対応するうみセットも無用の長物。 -箱にはスパロボ風の戦闘画面が書かれているが、実際には半ば隠し要素のような物で、それを期待して購入したプレイヤーに大きなダメージを与えた。 -ゲーム進行に影響を及ぼすバグが多い。 --ステージをクリアすると、何面も前のステージに戻される事がある。 --ステータスを上げすぎると1に戻る事がある。 -バウが「バウー」、ズゴックが「ズッゴク」など、全般的に誤植が多すぎる。 -敵をたった一体でも見つけると、見つけたキャラ全員がこぞって逐一報告してくる。大変に紛らわしく、カットも不可能なのでうざったい。 -面数がそれほど多くないにも関わらず、勝利条件が代わり映えしないものが多い。ほとんどのシナリオにおいて、町を幾つか占領したら敵が攻めてくるのを待って叩き潰す戦法で勝てる。説明書でもこの戦法はおススメされている有様。 -エンディングがゲームオーバー時と同じ画面。せっかくクリアしたのにこれでは興ざめである。 **評価点 -SDキャラクター達に意思があるという設定ならではの、面白い世界観。 -この時代では珍しいリアルタイムストラテジーゲームを行った点((移動などのシステムに関しては『伝説のオウガバトル』に似るが、こちらのほうが先に発売されている。))。 -荒削りだがやりごたえはある。 --攻撃や移動がリアルタイムに行われるため、司令官であるプレイヤーは意外とあくせく指示を出していかないといけない。序盤は待ち時間が多いが、その待ち時間でもできることはあるため暇な時間は意外と少ない。 --暇な時間でも、ユニットが着々と目的地に向かっている姿を眺めるのは、子供心にはそれほどつまらない場面ではない。 --終盤は勝利条件も容易でなくなってくるので、休む暇なくユニットに指示を出していかないといけなくなる。よってヌルゲー感はかなり薄れる。最終面付近は特にそれが顕著。 -兵士一体一体が出来ることはかなり多い。 --工兵なら塹壕設置、地雷設置、時限爆弾セット、仕掛け解除などの支持が行え、それらを仕掛けていく楽しみはある。 --普通のユニットにしても、例えば索敵のため部隊員の一人を一旦単独行動させ、視界の広い部隊員だけ先行させて敵を発見させるということが可能。 --ユニットの配置を自分で変えることも可能であり、基本となる1ユニット4人の集合陣形のみならず、制限内において四方向に広がって歩いたりすることも出来る。 --敵のターゲッティングはオート設定もマニュアル設定可能。 -まだスーパーロボット大戦に参戦していない時代に、重戦機エルガイムと機甲戦記ドラグナーを参戦させたこと。 --ドラグナーに至っては、スーパーロボット大戦がおよそ10年程度後まで先延ばしされたことからも、本作のチョイスはある意味先進的だったと言える。 **総評 この様な仕様ゆえ、非常にクセの強いゲームとなっている。ただし、バグを逆用した裏技などもあり、やり込み甲斐はある。従って評価が極端に分かれている。~ ただでさえ、敷居が高く人を選びやすいこのジャンルを(見た目だけは)子供向けに出した本作はある意味挑戦的だったと言える。~ これを意識したゲームとしてスーパーロボット大戦・スクランブルコマンダーというゲームが発売されているが、本作とは違ってあくまでスーパーロボット大戦という括りであるため、ゲーム性はまるで異なる。 あと一歩練れば良作になれただけに惜しいゲームである。