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アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝 - (2020/01/12 (日) 17:24:01) のソース

*アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝
【あんちゃーてっど える・どらどのひほう】
|ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B000WQM7YO)|~|
|対応機種|プレイステーション3|~|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|~|
|開発元|ノーティドッグ|~|~|
|発売日|2007年12月6日|~|~|
|定価|5,980円|~|~|
|廉価版|PLAYSTATION3 the Best:2009年9月3日/2,980円|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|>|>|>|CENTER:BGCOLOR(#ffffcc):''[[アンチャーテッドシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**プロローグ
かつて世界一周を遂げた稀代の海賊にして冒険家「フランシス・ドレイク」卿の隠された子孫を名乗る冒険野郎「ネイサン・ドレイク」(通称ネイト)。~
ドレイク卿の足跡を追いかける彼は、TV番組「アンチャーテッド(未知の世界)」の女性キャスター、エレナ・フィッシャーと共にある物を引き揚げる。~
それは空っぽのドレイク卿の棺と、そこに長い間隠され続けていたある手帳。~
それこそが400年前に滅亡したとされる黄金の都、エル・ドラドへの手がかりであった。~
ネイトは相棒であり師匠でもあるヴィクター・サリバン(通称サリー)、無理やりついてきたエレナと共に未知の孤島へと赴く。~
伝説の財宝を求め秘められた謎を追う彼らだが、やがて想像を絶する陰謀の渦と危険な冒険の真っただ中へ巻き込まれていく・・・。
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**概要
次世代ハードに本格アクションゲームが未だ登場していなかった時期に、次世代アクションゲームの凄さを知らしめた一作。海外名は『'''Uncharted: Drake's Fortune'''』。~
キャッチコピーは''『プレイする映画』''。開発は[[クラッシュ・バンディクーシリーズ]]の制作元として有名なノーティドッグ。~
コミカルなシリーズをリリースしてきた会社だが、今作から幾分シリアスな路線に回帰した。とはいえ作中のフランクな雰囲気にその作風は受け継がれている。~

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**特徴・評価点
-''次世代機トップレベルのグラフィック''
--開発期間がPS3発売から僅か一年と言うのに圧巻のグラフィックを誇る。
--現在の視点で見ると、キャラや自然物のポリゴン等は流石にやや見劣りするが、それでもなお第7世代ハードでは上位に位置している。
--特に廃墟や遺跡のグラフィック描写は、2007年発売のゲームながら今なおトップレベルにある。

-''最高のB級映画的ストーリー''
--ハムナプトラとダイハードとインディ・ジョーンズのいいとこ取りをしたかのようなストーリーは明快で親しみやすく、非常に評価が高い。
--様々なB級映画の要素・場面が大量に取り入れられており、B級映画好きな人は思わずにやりと笑ってしまう事だろう。
--登場人物も全員B級映画的なツボを押さえてキャラクタライズされている。
---皮肉屋で普段はおちゃらけているが決める時はきっちり決めるカッコよさを持つネイト、どんな苦難にも挫けない芯の強さと大胆さを持つエレナ、ダンディズム溢れる&s(){チョイワル親父}老紳士のサリー、悪役だがどこか憎めないエディ、小悪党としか言いようのないローマン等、全員が全員魅力ある人物に仕上がっている。
---彼らの掛け合いや末路などにもB級映画お約束の展開が見られる。
--ムービーもスッパリ短くとても分かり易いので非常にテンポが良い。
--音声も英語と日本語の両方に対応。字幕好き、吹き替え好きのニーズにもちゃんと答えられている。

-''映画的演出''
--本作のゲーム画面は非常に個性的で、多くのアクションゲームに見られる体力ゲージ・マップ・方角等は一切表示されない。
---基本的に一本道を進んでいくゲームであるため、マップや方角を把握する必要がない。
---敵の攻撃によるダメージは画面の色調がモノクロになっていくことで表示される。完全にモノクロになりきるとミスになる。~
一定時間敵の攻撃を受けないでいればすぐに回復するため、体力回復アイテムも存在しない。
---それ以外にも、現在装備している銃とその残弾数、照準といったものも戦闘時以外は表示されない。これは、『プレイする映画』という本作のコンセプトをより体現するための意図的な演出である。
--銃器や爆発物で敵を倒した際の吹っ飛び方も、1980年代のB級アクション映画のそれである。これもまた好きな人は思わず笑ってしまうだろう。
--ちなみにこの演出、2001年GOTY受賞作の『[[ICO]]』と全く同じ演出方法である。開発元のノーティドッグも「ICOをリスペクトして作っている」と公言しており、演出・操作性・ゲーム進行等を見てもそれが伺える。

-''ローディングの少なさ''
--スタートorコンティニュー時の読み込みを除けば''ロードが無い''。ステージが変わる時、ムービーが入る時と全てにおいてロード時間は皆無。しかも&bold(){HDDインストール不要。}
--これ以降、この裏読みロードはSCEファーストタイトルの定番となり、本作の続編、GOW3、インファマスシリーズと受け継がれてゆく。

-''簡単且つ親しみやすい操作性''
--操作性は極一般的なTPSであり、派手さこそないものの非常に取っ付きやすい。
--構える+撃つでエイム射撃、構えずに撃つでブラインド射撃、カバー、ジャンプ、回避行動等、一般的なTPSにある要素は全て備わっており、簡単な操作で実行可能。
---この『全て』というのが何気に重要。ジャンプや回避行動がないTPSは結構多いが、本作ではその全てをゲーム内に盛り込み、それに合わせたゲーム進行を用意し、尚且つ快適な操作を実現しつつゲームバランスも絶妙・・・という職人芸を披露している。
--あらゆる動作からあらゆる動作に移行できるのも本作の特徴の1つ。
---例えば、リロードモーション中にカバーアクション・回避行動・ジャンプができる。その逆も同様で、ジャンプ中や回避行動中にリロードを行ったりも可能。更には崖に捕まっている時や落下中に銃撃を行える等、ありとあらゆる動作から別の動作へと繋げる事ができ、痒いところに手が届くようになっている。
---この『○○中に○○ができる』というのは咄嗟の動作をしたい時に非常に重要になる。後述する問題点を除けば丁寧に丁寧に作られており、クラッシュ・バンディクーシリーズと同様に拘って作られている事が伺える。

-''リスタートポイントの多さ''
--本作は3Dアクションゲームであり、ジャンプで足場を渡ったり崖をよじ登ったりするし、敵との戦闘も多々ある。それらの場面でミスをするとゲームオーバーになるが、殆どの場合その直前からリスタートする。上述の通り、この際も''ローディングは無い''。
--地味ながらプレイヤーのストレス軽減に多大な貢献をする仕様であり、気持ちよく遊べるゲームにしようというユーザーフレンドリーさが感じられる。

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**問題点
-銃撃戦の多さ
--作風的にインディジョーンズの様な遺跡の謎解きや仕掛けの攻略がメインというイメージが先行しがち(無論そういう要素もある)だが、大半は湧いてくるor待ち構えてる敵との銃撃戦である。TPSが苦手な人にとっては初級(イージー)レベルでも中々厳しいレベル。
--また乗り物等一部の場合を除きシチュエーションが大して変化しない。「新しい場所に行く」⇒「待ち構えてた敵が出てきて囲まれる」⇒「物陰に隠れて殲滅する」の繰り返しであり、作業感が漂う。
--この点は後作でゲームバランスの調整・シチュエーションの追加・「ステルスアクション」の追加という形で解消された。

-格闘が単調
--2つのボタンで格闘技を繰り出して弾を使わず敵を倒せるのだが、敵はこちらが手を緩めない限り反撃して来ず、結果的にはネイト一人が''一方的にボコ殴りする''だけである。次回作からはこの問題点は解消された。
---ただ敵が多数いる場面で考え無しに格闘戦を行えば当然あっという間に銃でハチの巣にされる。

-ボス戦が簡単かつ単調
--ボス戦はなんと''表示されるQTEコマンドを押す''だけで終わる。一応銃弾を回避しなければ即死する危険があるが、それに気付けば避けるのは非常に容易。
--むしろハンドガン系武器がない状態からのスタート(ライフル系も初期装備がショットガン)するボス戦までの道中の方が苦しい。
--そもそもボス戦自体がほとんど無いことも惜しい部分である。
---ラスボスも何か大きな黒幕があるわけでもなく、あくまでベッタベタの''B級映画っぽいラスボス''である。

-モーションコントローラーによるゲームバランス、テンポの改悪
--PS3で追加された、傾ける事によって直感的に操作可能になるこの機能が''逆に改悪要素''になってしまっている。
---具体的には、細い橋を渡る時などに入力が起こるのだが、これが''かなりシビア''。あっという間に落ちてしまう。
---また、グレネードを投げる時も入力が起こるのだが''スティックでの操作とモーションコントローラーの入力が別々に起こる''ため、慣れないと本来狙いたい場所から漏れてしまう。
---次回作からはスティック操作かモーションコントローラー操作かを任意で選べる様になった。
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**総評
PS3初期の作品な事もあって多少の作りの粗さが伺えるが、致命的なバグは一切無く、どちらかと言うと今後への期待を込めた好意的な要望意見が多い。~
その声にしっかり応えて次回作で本作の問題点はほぼ解消され、同時にノーティドッグの新たな看板タイトルとしての道を歩み出す。~
そう、ネイトの冒険と本作が得た高い評価は、正にキャッチコピーの言葉通り、''『プレイする映画』''の幕開け程度でしかなかったのである。
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**余談
-全世界で340万本以上の売り上げを記録、当時のPS3の普及率から考えればかなりの大ヒットと言えた。
-日本国内では新規タイトルである事と洋ゲーである事から5万前後と振るわなかったが、続編と共に廉価版が発売された事で再評価され、合計10万本超えるヒットとなった。