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スーパードンキーコングGB - (2020/05/24 (日) 23:00:00) のソース

*スーパードンキーコングGB
【すーぱーどんきーこんぐじーびー】
|ジャンル|アクション|&amazon(B00005OVDC)|
|対応機種|ゲームボーイ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|レア|~|
|発売日|1995年7月27日|~|
|定価|3,900円(税別)|~|
|配信|バーチャルコンソール&br()【3DS】2014年4月2日/411円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ドンキーコングシリーズ・関連作品リンク>ドンキーコングシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
『[[スーパードンキーコング]]』のGB向けアレンジ作品。~
後の『[[ドンキーコング2001]]』(GBC)やGBA移植版がほぼSFC版を再現しているのに対して、こちらは''新作に近いフルリメイク''になっている。

**3作共通の特徴
本項目では第1作『スーパードンキーコングGB』をメインに記述しているため、~
他2作の詳細については第2作『[[ドンキーコングランド]]』、第3作『[[ドンキーコングGB ディンキーコング&ディクシーコング]]』をそれぞれ参照。~
海外版のタイトルはそれぞれ『DONKEY KONG LAND』『DONKEY KONG LAND 2』『DONKEY KONG LAND III』となっており、マリオシリーズのGB版『[[スーパーマリオランド]]』シリーズにかけたものと思われる。~
~
以下は3作全てに共通する事項。

-背景やキャラクターのグラフィックが描きこまれており、GBでありながらSFC版同様の立体感が出ている。細かなモーションも忠実に再現され完成度はきわめて高いのだが、時にはそれが仇になることも…(詳しくは後述)。

-BGMは基本的にSFC版のものをアレンジしているが、いずれもGBの性能に合わせながら不自然さをまったく感じさせない。

-残機数はSFC版と違って画面の下に♥(ハート)の数で示される。最高は20(2作目からは18)だが、表示されないだけで残機はそれ以上に増える。

-GBの狭い画面に対してコングや敵の大きさがSFC版と変わらないため、相対的に敵に当たりやすくなっている(これはGBのアクションゲーム全般に言えることでもあるが)。

-高い場所から落下すると、スクロールが追い付かずにそのまま1ミスになる。これはシリーズを重ねるごとに軽減していく。

**本作の特徴
 クランキー「前回の冒険はお前たちにしては上出来じゃった。まあ、あのキレイな絵と最新のサウンドがあれば黙っていても子どもたちにはウケるはずじゃが」
 ドンキー「うるさいじいさんだなあ。それだけでウケてたわけじゃないぜ。やっぱりゲームが面白かったからみんな遊んでくれたんだよ。なあ、ディディー」
 ディディー「そうだよ。オイラたちの冒険に色数や画面のキレイさなんて関係ない!」
 クランキー「ほう、それではまたキングクルールに言ってバナナを隠させようかの。ホッホッホ…」
というメタな挑戦を受けてドンキーとディディーが旅立つ、『[[スーパードンキーコング]]』の後日談。「新たな冒険」ということでステージはすべて新規のものとなり、オリジナルの敵や仕掛けが多く登場する。

**SFC版との違い
-新規ステージとして海賊船・山道・水中遺跡・空・大都会が登場。自然の風景がメインだったSFC版とは異なる雰囲気になり、「トルネードで大ジャンプをする」「消える雲の足場や風船の上を渡っていく」「KONGパネルを取って足場を作る」など、SFC版にはない仕掛けも登場する。
--特に空のステージでは、さまざまな模様のブロックが浮かぶ背景の中を雲の足場に乗って進んで行くという、シリーズの世界観からかけ離れたシュールな光景を見ることができる(説明書にも「ここでは常識が通用しません」と書かれている)。

-敵キャラクターはSFC版に登場したものの一部と本作オリジナルのものが登場する。ボスはクランボーとキングクルール以外の2体が本作オリジナル。容量のせいか、キングクルールの大きさもなぜかコングと同じぐらいになっている。

-アイテムの効果は同じだが、中間地点・ゴールがシンボルアイテムに変わっていたり、「コングトークン((一部のボーナスステージで、集めた数だけ1upを獲得できるミニゲームに挑戦できる。))」「ダイナマイトバレル((シリーズおなじみの「TNTバレル」とは別物。これを取ってゴールするとマップ上の岩を破壊して先に進むことができる。))」などの本作オリジナルのアイテムが追加されていたりする。
--特に「KONGパネル」の効果が大きく変更されており、SFC版では4つ集めると1upするアイテムだったが、本作では''4つ集めてゴールするとセーブができるアイテム''になっている。
--今作の中間地点に相当するシンボルアイテムは複数存在しているステージが見受けられている。なお、該当するステージは、アイテムの性質上スタートからゴールまでの長さが通常よりも長く設定されている物が多い。

-SFC版にあった以下の要素が変更されている。
--ドンキーのハンドスラップができなくなっている。
--敵及びアイテム入りの床をジャンプで踏んだ際の挙動がドンキー及びディディー共に共通の物に統合されている。
--アニマルフレンドのうち、エンガードとウインキーが登場しない。敵を踏む事ができなかったエクスプレッソが強化され、ジンガーをも踏む事ができる。
--コングファミリーは一切登場しない。

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**評価点
-グラフィックが徹底的に描きこまれており((ザラザラした壁の質感が特に秀逸))、SFC版同様の立体的な絵になっている。しかしながら、それゆえの弊害も出てしまっている。(後述する問題点を参照)

-本作オリジナルのBGMも評価が高い。
--GBシリーズとしては唯一、『スーパードンキーコング』シリーズの音楽担当としておなじみのデビッド・ワイズ氏が参加している。彼らしい味わい深いメロディー、厚みのあるハーモニーが所々で聴ける。
--ボス戦のBGMは同社が手掛けた『[[ブラストドーザー]]』でアレンジされて使われている。因みに、本作のBGM担当の1人、グリーム・ノーゲイト氏は同作の音楽も担当している。

-レベルは4つと少ないが、ステージ数は計30とやり応え充分。シリーズらしい難関ステージも豊富である。
--2-6「ノーチラスの追跡」では名前の通り、このステージだけに登場する「ノーチラス」という敵からひたすら逃げる。SFC版の「クロクトパスのうみ」と似たようなものだが、あちらが一定の軌道を通るだけだったのに対し、こちらは徹底的にドンキーたちを追尾し地形をすり抜けてくることもあるため、トラウマぶりが倍増している((最後の1体を除けば、追跡開始後に逆戻りすれば対処できるという、意外な解法も用意されてはいる。))。
--3-5「空中迷路」は本作最難関のステージとして知られる。ジャンプしたり壁にぶつかったりすると方向が変わるリフトを使って迷路の中を移動しなければならないのだが、リフトが小さいうえに移動方向を自由に決められないため、とにかくよく落ちる((救済措置としてか、実はスタート地点の下に隠しゴールがあるのだが、それを知らない人は非常に苦戦する。公式ガイドブックにはこの隠しゴールの記述はない。))。

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**賛否両論点
-ディディーの弱体化
--今作は概要にもある通りジャンプで敵などを踏んだ際の挙動が両者共通の物に統合されている関係上、SFC版ではディディーでしか行けなかったような高所のボーナスバレルにドンキーでも行けるようになった事から、ドンキー側が強化されている言える。
--その反面としてディディーは原作とあまり変化が無く、壊せる壁の減少も相まって相対的に弱体化しているように感じられる事がある。

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**問題点
''本作はシリーズの中でも難易度が高い。''~
難関ステージが多いことも理由の一つだが、以下の仕様が加わることで難易度を大きく跳ね上げてしまっているのである。

-''背景のグラフィックを細かく描きこみ過ぎたせいで、コングや敵のグラフィックと背景が混ざって見づらい''((その見づらさは小学館の公式ガイドブックに「SGBで見やすい色配置を作ってみよう」というコラムがあったほどである。))。ジャングル・山道ステージのグラフィックは特に厄介で、「敵に気づかないで衝突」「自分の位置を見失って落下」といったミスを連発しやすい。

-ゲーム中に文字情報がほとんど登場しない(エリア名・ステージ名すらゲーム中では分からない)ため、自分の現在の状態を把握しにくい。

-一部アクションに癖のある挙動があり、シリーズ経験者でも慣れが必要。
--ジャンプが動きが鈍く落下も早い。落下ミスに繋がりやすい上、ジャンプを多用するACゲーム特有の浮遊感が欠けている。
--何故かローリングアタックが終わった瞬間に不自然な硬直が残る。その瞬間でも敵は普通に動けるので、ギリギリ届かなかった時にもう一度アタックしても届かない事も。 

-控えのキャラがいるかどうかが画面内に表示されず、後何発攻撃を喰らうとミスになってしまうのかどうかが分かりづらい。
--2作目からは、画面右下に表示されるようになった。

-そして、何といってもセーブが面倒なこと。KONGパネルのありかはSFC版以上にわかりづらくなっており、ボーナスステージに置かれていることも多い。上記の難関ステージで詰まってしまうとまったく先に進めなくなることもある。
--前の簡単なステージに戻ってそこでKONGパネルを集めることはできるのだが、ファンキーコング(エリア単位で移動出来るコングファミリー)もいないので戻るのが非常に面倒。
---ボス戦をクリアするたびに自動セーブもされているのだが、ゲーム画面にも取扱説明書にも各種攻略本にも一切そのことがわかる記述や演出がないため、かなり観察しないと察知できないし、知っていないと活用できない。
--また、上記の仕様は「KONGパネルで1UPしない」と言う意味でもある。加えて本作では、バルーンが希少な上に画面に出た瞬間にすごい勢いで上空に飛んでいくので取りにくいため、難易度の高さと相まって残機不足に陥りやすい。

''その他問題点''
-高度なレンダリング技術で描かれたキャラクターをほぼそのままゲームボーイに移植している為か、プレーへの支障こそ無いもののキャラクターのグラフィックが時折乱れる事がある。
--この点は次回作でも同様であったが、ゲームボーイカラーで発売された作品群(及び海外ゲームボーイの『ドンキーコングランド3』)では発生しない事から、ソフト容量の関係で生じている可能性性が高い。

-ボス戦が地味。通常コースに手をかけている分、ボス戦は手抜きとさえ思えるほどに単純で、ラスボス以外はスクロール無しの1画面、行動パターンも変化なし。ラスボスにした所でギミックは薄い。%%クルールのやつ、クランキーに無理矢理けしかけられてやる気が出ないのか?%%
--また、ラスボスのクルール以外はそれぞれエイ、アコヤ貝、モグラと、絵的な地味さは拭えない。
--しかも2面のボスはスーパードンキーコングに登場した雑魚キャラである。どうでもいいが、2面ボスのクランボーは元は無敵キャラだったので実質弱体化してしまっている。
//1面のボス(エイ)は削除。エイの敵キャラが出てくるのは今作よりも後に発売されたドンキー2だし、名前も全く違うので。

-エンディングがさらに地味。ラスボスを倒すといきなり無背景のスタッフロールで、尻切れトンボ感が漂う。おまけにスタッフロールのBGMはタイトル画面の使いまわし。

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**総評
難関ステージの多さや、書き込みすぎた背景グラフィック、セーブ方法の面倒臭さは否めないが、スーパーファミコンの名作を上手く携帯機向けにアレンジした一作。

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**余談
-後に本作とは別にゲームボーイカラーにて初代『スーパードンキーコング』のリメイク作品『[[ドンキーコング2001]]』が発売されている。同作では本作のBGMの多くが流用されている。
--なお、同作のタイトルは一見するとリメイクではなく新作のように見え非常に紛らわしいが、その理由は『スーパードンキーコング』というタイトルを本作に使用してしまった事が説として挙げられている。