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トレード&バトル カードヒーロー - (2020/02/18 (火) 07:01:41) のソース

*トレード&バトル カードヒーロー
【とれーどあんどばとる かーどひーろー】
|ジャンル|トレーディングカードゲーム|&amazon(B00005OVBG,image);|
|対応機種|ゲームボーイカラー(全GB共通)|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|インテリジェントシステムズ|~|
|発売日|2000年2月21日|~|
|定価|3,800円|~|
|配信|バーチャルコンソール&br;【3DS】2011年8月10日/600円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''カードヒーローシリーズ''&br;''トレード&バトル'' / [[高速カードバトル>高速カードバトル カードヒーロー#id_8c14fe0e]] / [[スピードバトルカスタム>高速カードバトル カードヒーロー#id_bec194de]]|
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#contents(fromhere)
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**概要
-当時流行期であったTCG(トレーディングカードゲーム)をオリジナルルールでゲーム化されたソフト。
--一度お蔵入りになりかけた所を、ゲーム雑誌「ファミ通」の編集者が注目しバックアップ、発売までこぎつけたという経緯を持つ。

**ストーリー
主人公「門マサル」が、カードバトルで悪者と戦うアニメ「カードヒーロー」。ひろしはこのアニメの大ファンだった。~
そんな折、ひろしが生まれてすぐ渡米した祖父が、久しぶりに帰国。彼がお土産に買ってきたカードがきっかけで、ひろしはTCGとしてのカードヒーローにも興味を持つようになる。~
友達のクミとカードヒーローを始めたひろしは、カードヒーロー同好会「クラマクラブ」に入会。果たして、ひろしはマサルのようにカッコよくカードバトルができるようになるのだろうか?

**特徴
-いわゆる『[[マジック:ザ・ギャザリング>Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers]]』型のカードゲーム。あらかじめ用意したデッキから手札を引き、「ストーン」(以下「石」と表記)というリソースを消費して「モンスター」を召喚して攻撃させたり「マジック」カードを使ったりして、最終的に相手「マスター」に攻撃を与えてそのHPを0にすれば勝利となる。

-本作でゲームで使うフィールドは以下のような構造になっている。他の同型のTCGに比べるとコンパクトな構造と言える。
|後| |後|マはそれぞれのプレイヤーを模した「マスター」が配置されているマス。前・後は「モンスター」カードを設置できるマス。&br;一人のマスターが2x2=4体まで自分のモンスターを設置できる。攻撃しない代わりに移動したり位置を交換したりもできる。&br;通常攻撃では隣接している相手にしか攻撃できず、前衛は後衛の壁のようになっている。&br;また、後マスにのみモンスターが設置されている場合、それを所有しているマスターのターンの始めに後マスから前マスに移動する。|
|前|マ|前|~|
|前|マ|前|~|
|後| |後|~|

-本作で用いるカードの種類は「モンスター」と「マジック」の2種類。
-「モンスター」はそのモンスターを場に召喚して攻撃を行ったりできるカード。モンスターを召喚するには石1個と一緒に場に置き、次のターンまで待つ必要がある。
--モンスターにはHPと通常攻撃が全カード共通して設定され、カードによっては特殊攻撃・常に効果を発揮する特殊効果もそれぞれ設定されている。特殊攻撃は使用に石を消費するものもある。
---HPと攻撃は1刻みの数値設定が行われており、モンスターのHPは最大でも6。HP1の差で命運が分けられていると言っても過言ではない。
---特殊攻撃は遠隔攻撃が可能なものが多いが、攻撃できる範囲はカードにより異なっている。1つ飛び、2つ飛び、どこでも、貫通、桂馬飛びなどなど。
--モンスターには前衛向け・後衛向けという分類が行われている。どちらも前マス・後マスにも置けるものの、慣れないうちは分類通りに設置した方が良い。
//慣れてきたらウェイクアップ警戒や後方での気合い溜めなど、分類を無視した設置を行うのもアリだが、さすがにそこまで書くのは野暮なのでこういう表記に
---前衛はHP・通常攻撃の威力が高いが、1マス以上隔てた相手には攻撃できない・できても威力が低いケースが大半を占める。
---後衛はHPが低く、通常攻撃の威力は低く0のものすらあるので前衛に出されるとなにもできないが、高性能の遠隔攻撃が使える場合が多い。
-「マジック」はその場で効果を発揮するカード。ストーン消費数は各カード毎に異なり、基本的にマジックで消費された石が戻ってくる事は無い。
--極一部のマジックのみ、シニア以降のルールにおいてはマスターの特技としてカードの消費無しに使用可能である。詳細は後述。
-なお、スタックやカウンター、インスタントといった概念が存在せず、「全てのアクションは宣言即解決」「相手プレイヤーのターン中に取れる行動がない」という特徴もあり、この点でも非常に簡潔でまとまったルールとなっている。

-各プレイヤーは毎ターン開始時に石3個を貰える。貰った石と手札をリソースとして、モンスター召喚や魔法の発動といった行動を行う。
--本作最大の特徴と言えるのがこの石に関する扱いである。モンスターの召喚やレベルアップに使った石は、そのモンスターのHPが0になると手元に戻る。また、マスターのHPはストーンで表され、マスターがダメージを受けた際には受けたダメージ分の石を入手できる。~
つまり、追い詰められるほどできることは増えていく。相手の残り個数に注意を向けつつ攻撃する必要がある。

-モンスターを強化するシステムとして「レベルアップ」と「気合い溜め」が存在する。
--相手モンスターを倒すとそのモンスターにレベルアップの権利が与えられる。Lvが上がるとモンスターによっては攻撃の威力や効果範囲が拡大することがある(最大Lv3まで)。
---レベルアップするには''1レベルごとに石を1個消費する''必要があり、レベルが上がったモンスターは''HPを全回復できる''。この回復がカードヒーローの勝敗の分け目になると言ってもいい。
---一部のモンスターには''スーパーカード''という特殊な進化形が用意されている。召喚するには「スーパーカードが手札にあるとき、それに対応したモンスター(「ボムノスケ」なら「ボムゾウ」)がLv3になる権利を得た時に交換して出す」というもので引きにも左右されるが、その分強力な攻撃技や特殊効果を持っている。
---マスターには攻撃を2ポイント軽減するバリアーが常備されており、大抵のモンスターは初期状態で攻撃力2以下の技しか使えないため、レベルアップなどによる攻撃力の上昇やダメージ系の技の駆使が非常に重要となる。
---先述した通り、全てのモンスターは場に出すときに必ず1個消費する。このため各モンスターの性能差は他のTCGに比べかなり平坦な形になっており、TCGでは多くの場合「強いモンスターを出す」のが目的なのに対し、本作では「強いモンスターに育てあげる」のが目的になっていると言える。
---なお、味方のモンスターを倒してレベルアップすることも可能だが、この場合自分のHPの石を支払うペナルティが与えられる((味方のモンスターを倒すことで1点、これによるレベルアップ1レベルごとに1点の石を失う))。
--モンスターに何も行動させずにターンを終了すると、モンスターは自動で「気合い溜め」を行い、吹きだしに[!]マークがつく。
---受けるダメージを1減らし((ややこしいが、これはダメージタイプではない攻撃(つまりパワーを持つ攻撃)から受けるダメージにのみ有効であり、ヴァルテルの”ねらいうち”などダメージタイプの攻撃からのダメージは減らせない。))、次の通常攻撃のダメージを1増やすという状態。1度でも攻撃を受けるか攻撃をすると解除される。1の差が命運を分けるカードヒーローではその意味はとても大きい。

-ルールは以下の3種。
--ジュニア
---マスターの最大HPは5、デッキ枚数は20枚((当初は15枚だが、シナリオの途中で”ルールの改訂”が行われる))。最も基本的なルールであり、ゲーム開始からしばらくはこのルールでプレイすることになる。
--シニア
---マスターのHPとデッキ枚数はジュニアと同じだが、マスター自身が石を消費して三種類の特技を使用可能となっている。守り寄りのホワイト、攻撃特化のブラック、隠しマスターとしてテクニカルなワンダーの3種から選べる。
---また、マスターによるダイレクトアタックも可能。1ターンに何度でも使えるが、石3個でパワー2という効率の悪さなので、メインの攻撃手段にはならない。
---さらに、シニア以上では味方モンスターの「追放」(フィールドからの除去)ができるようになる。高レベルのモンスターを追放して石回収、敵にレベルアップの権利を渡さないために瀕死のモンスターを追放するなどの使い道があるが、一度実行するたびにマスターのHPが1減る。
--プロ
---HPは10、デッキ枚数は30枚に。単純に数が増えただけだが、取れる戦略の幅は大きく広がる。
---プロ限定の特殊能力として、マスターのHPを2削ることで石1個を生み出す「メイクストーン」が追加されている。基本的には悪あがきの手段だが、思わぬ逆転の一手になることも。

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**評価点
-非常によくまとめられている完成度の高さ
--仮にも第一作目であり、当時は続編を出す予定も無かったにもかかわらずゲームルールが非常に良くまとめられている。
---どのカードも一長一短の性能を持っており、HP1の差で命運が分かれるため、性能で負けてもHPの差で優位に立てるケースもある。一見「誰得」なカードにも、意外な使い道があったりする。
---TCGによくあるような死にカードがほとんど無い。序盤に手に入る少数のカードには完全上位互換のカードが存在するが((例として、最初に手に入る後衛モンスターカード『ビヨンド』の完全上位互換として『ヤンバル』が存在しており、しかもかなり早い時期に入手できてしまう。更にゲームを進めれば、その『ヤンバル』すら下位互換としてしまうモンスターまで…))、カードの新シリーズ発売時期の問題、カードのレアリティの問題や、HPが低く倒されやすい点をメリットとする考え((味方殺しによる相手のレベルアップ封じや、モンスターを倒された際の石返還といった具合))もあるため一慨に死にカードとは言えない。
//ビヨンドとヤンバル、「パパトットの存在しない序盤に限り」マナトットとタコッケーなど、序盤から完全上位は存在。
--コンパクトな構成に反して、戦略の幅は広い。プレイヤーには前衛キャラクターと後衛キャラクターを巧みに使い分け、相手の攻撃を避けつつ敵側の陣営を崩す等といった臨機応変な選択眼が要求される。相手の割り込み要素がないことから詰め将棋的とも評されている。

-とても丁寧なゲーム説明
--最初にプレイする際はクドさを感じるかもしれないが、操作説明は非常に丁寧。ストーリーを進めていくうちに、基本的なルールを完全把握できる。
//どちらかというと「再プレイ時には」ではないだろうか?
--操作説明をちゃんと聞いていれば、それを応用したバトルイベントを容易に攻略可能な為、しっかり聞いておく事をオススメしたい。

-子供向けでありながらも王道かつ斬新な、熱いストーリー展開
--創作物でよくある「物語の世界で戦う主人公」ではなく「TVの影響でTCGを始めた主人公」なので、プレイヤーにとっても親しみやすい。
--近所の友達とよく遊んだ光景を軸に物語が進み、後半では悪の組織的な集団も登場し、終盤の盛り上がりっぷりは絵柄から想像できない程に熱い。
--登場人物も個性豊か…というか、カオス。特にエンディング後の『バトルセンター』で登場する対戦者達はお笑いコンビ、ワラ人形を持った女性(その名も『&bold(){のろい ますよ}』)、関取、大阪のおばちゃん、&bold(){高い知能を持ったチンパンジー}とクセモノ揃い。
---ほんわかしたキャラデザに反して黒い任天堂要素満載な個性的な人物も多い。(一応)メインヒロインのクミは893顔負けの恫喝っぷりを発揮し、サブキャラのお母さんはセリフが一々風刺の入ったトゲのある毒舌っぷりを披露する。

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**賛否両論点
-当時の需要と絶妙に噛み合わなかったキャラデザイン
--本作のキャラやカードのグラフィックは子供向けを意識したデザインで描かれているが、本作発売当時のTCG市場では『[[遊☆戯☆王>遊☆戯☆王シリーズ]]』や『マジック・ザ・ギャザリング』のようなリアルなモンスターデザインが好まれており、デザインだけで本作を敬遠した層も少なからず存在していた。
---子供向けを意識したデザインとしても『[[ポケモンカードゲーム>ポケットモンスターシリーズ#id_b1e5324b]]』が国産初のTCGとして既に世に出回っており、後発の本作にはどうしても注目が行き辛い状況が生まれてしまっていた。
---本作はあくまでゲーム作品なので、リアルTCG作品とパイを奪い合う事は無いのでは?とお思いの方もいるかもしれないが、少なくとも『ポケモンカードゲーム』と『遊☆戯☆王』については、その人気の高さから本作よりも先に[[GB版>ポケモンカードGB]][[作品>遊☆戯☆王デュエルモンスターズ]]が発売されてしまっていたので…。
---上述した作品群が円熟期を迎えつつある2020年時点では、『ポケモンカードゲーム』とも一味違う独自のデザインを評価する声も見られる。世に出る時期を間違えた、とでも評すべきだろうか。

-ゲームバランス
--基本的に大半のカードはレアリティ相応の強さに抑えられておりゲームバランスは良好なのだが、それでも「一部行き過ぎな性能を持つカードが存在する」というTCG界隈のお約束については、このゲームも例外ではない。

#region(強カード一覧)

-ヤミー
--カードヒーローでは基本的にピンチに追い込まれる程に手持ちの石が増え、反撃の手段もまた増えていくのだが、ヤミーの場合消費ストーン1個で相手の石を最大2個奪う((奪った石は自分のものにできる))という強力な特技を持っている。
--戦闘能力もレベルアップも可能な平均的な前衛モンスター並にある。明確な欠点も存在しておらず、速攻デッキなど特殊な構成のデッキでなければ3枚積み安定。~
「出せば勝ち」というような極端な性能ではないのだが、便利すぎるので通信対戦では禁止カードにすべきと主張する向きもある。
--石の所有数がアドバンテージにつながるプロルールにおいて、相手ストーンを奪ったり減らしたりするカードは非常に強力。こういったカードは大したデメリットも無く、反撃のチャンスを潰せてしまうのである。
--最大の問題はこんなに強力なスペックを持つこのカードがレアカードでもなんでもない、精々アンコモン止まりのレアリティだと言う事。入手時期がマジックカードを使う機会の少ない序盤、ジュニアルールの時期なのが理由だと思われるが、それを差し引いても性能に見合って無さ過ぎる。

-モーガン
--終盤に入手できる最強クラスのモンスター。後衛モンスターでありながらHP5、レベル1の時点で2パワーの通常攻撃に加え、どこでも攻撃が届く特技持ち。「前衛モンスターがどこでも攻撃を使える」と言う表現が相応しいか。当然ながら此方も特殊な構成のデッキでない限り3枚積み安定。
--最高レアのカードであり入手困難といった欠点はあれど、それらを考慮しても後衛モンスターとして異常なスペックである事には変わりない。

-にゃあお
--此方も最高レアに属する後衛モンスターで、レベルアップこそしないもののHP5に2パワーの通常攻撃と前衛並みのスペックを持つ。
--それ以上に凄まじいのが特技の「ワープ」。同名のマジックカードと同じ性能の特技でありながら、石消費はマジックカード版より1個少ない2個。
---にゃあおを召喚する為に1ターンのタイムラグを挟まなければならない点や、1ターンにつき1回しか使えないという制約こそあるものの、石2個・手札消費無しでモンスターの位置を行動済みだろうと移動不能だろうとお構いなしに交換できるというのはデメリットを補って余りある。
---攻撃済みの前衛モンスターを相手の反撃が届かない位置に避難させるもよし、相手の前衛を後ろに飛ばして置物化するもよし、HPが少ない相手後衛を前に引きずり出して、此方の前衛の餌にするもよし。にゃあお1体で劇的に戦局が変わるという訳ではないものの、相手からすれば厄介な事この上ない。
--単体のスペックも驚異的ではあるが、それ以上に罪深いのは、同様の特技を持つモンスター『テレポ』をHP・消費ストーン数において完全な下位互換としてしまっている点であろう。
---テレポがにゃあおに勝っているのは「ゲーム序盤、ジュニアルールの時点で使用可能」という一点のみ。しかもこのテレポ、ゲーム開始時にランダムで決まるプレイヤーのID番号次第ではパックから出てこない事がある為、下手すればテレポを一度も使わないまま先ににゃあおを入手してしまう可能性すら存在している。

-エルゴマ
--2回行動モンスター『ポリゴマ』のスーパーカードだが、HPが3という耐久力の無さと引き換えに、なんと5パワーで2回行動が可能。
--ポリゴマの少ないHPを意識しての調整だろうが、このゲームは石4個で使える『てんしのラッパ』や、『ぎんじ』がやられることで登場する『ハッピー』の特技でLvを上げられる為、ポリゴマを出して即エルゴマに進化させるという手段でリスクを軽減可能。ポリゴマの耐久が気になる場合は、全てのスーパーカードに進化可能な『なぞえもん』を使うという手もある。この為スーパーカードさえ引ければ召喚自体は比較的容易。
--更に2回行動という特性故に、普通にモンスターを倒してレベルアップした場合でも、他のスーパーカードと異なり即座に行動に移る事が可能。フィニッシャーとしては極めて優秀である。
---例え進化できずとも、3パワーで2回行動可能なLv2ポリゴマの時点で相手マスターにとっては十分な脅威。これもエルゴマの地位向上に拍車をかけている。
--エルゴマの攻撃を全てマスターに当てれば、最低でも6個の石を落とせる。マスターのHPが5しかないジュニア・シニアルールであれば、条件さえ揃えば無傷からの1ターンキルも極めて容易となっている。
--他にこういう超火力スーパーカードは存在してはいるが、一度超火力で攻撃すれば軽減不能の自爆ダメージで一発退場してしまう『ボムノスケ』や、Lv4まで上げる必要がある上にリスクもデカい上級者向けの『ガブッチョ』と癖の強いカードが多い。更には両方とも火力の代償とでも言わんばかりに、エルゴマ以外の他スーパーカードと比べてHPが低く、エルゴマ程お手軽に超火力をたたき出せる訳ではない。
---スーパーカードは「デッキからカードを引かなければ進化できない」という制限がある為、狙って活躍させられるとは限らない。『リフレッシュ』等のデッキ圧縮用マジックカードを使えば大分出しやすくなるが、そこまでの手間をかけてボムノスケやガブッチョ(更には、他のスーパーカードも)の降臨を狙うのなら、同じ手間でエルゴマ呼ぶ方が良くね?という結論になる。 もっと言えば、スーパーカードを引かずとも単体で安定して火力を出せるポリゴマや『ダイン』『ガスキン』『ビター』((いずれも前衛モンスターとしてはトップクラスの性能を有する。性能の詳細は外部サイトを参照されたし))で良くね? となってしまいがちな訳で…((例外は専用デッキを組めば、特技で「ずっと俺のターン!」を狙えない事も無い『カッパラー』位のものである))。
//「~だが」が多すぎだが、一文に纏めようとする努力は評価したいが、もうちょっと「。」で文章の内容を区切った方が読みやすいと思うのだが、どうだろうか
//説明が脇道に逸れがちな他カードの詳細説明も割愛

-マジックカード『ジアーゲン』と『かげぬい』のコンボ
--これらのカードは共に消費石が1個、併用しても計2個と極めて負担が軽い。
--『ジアーゲン』には「次のターンに対象のモンスターが別の場所に移動しなければ、そのターン終了時に除去される」という効果がある。これに「1ターンの間移動(と追放)ができなくなる」効果の『かげぬい』を組み合わせるコンボによって、石2個という低コストで、ほぼ確実に敵モンスターを除去可能となっているのである。
--このコンボの強みは対処法が非常に限られており、その為に成功率が高いという点にある。
---具体的に挙げるならば、状態異常を全て除去する(マジックカード『ゆうだち』や、後衛モンスター『クレア』の特技)か、モンスターを強制的に移動させる(マジックカード『ワープ』『ローテーション』や、上述の『にゃあお』など)かのどちらかしか明確な対処法が存在していない。
--カード2枚と石を消費してまで除去したいモンスターがいるかどうかや、相手のターンの間に自滅されたり、ペナルティ覚悟で同士討ちさせてレベル上げに使われたりした場合は此方が損した形になるリスクを考えると、強力は強力だがゲームバランスを崩すほどではない。加えてワンダーマスターが相手だと、特技として常時使用可能な『ローテーション』であっさり対策されてしまう。
---だがそれらを差し引いても石1個だけで相手の行動を縛れるジアーゲンの驚異は変わりなく、強力な性能と評していいだろう。

-ワンダーマスター
--冒頭でも述べた通り、条件を満たす事で使用可能となる隠しマスター。ゲームを最後の最後まで進めなければ入手できないが、そのスペックは相応に高い。
--自分と相手のモンスターの配置を時計回りor反時計回りに回転させる移動系マジック『ローテーション』を、石さえあれば自ターンにいつでも、何度でも発動させられる。
---相手の陣形を崩したり、倒されたくないモンスターを後衛に避難させたりと使い所はかなり多く、『ワープ』と比べて小回りがきかない点を差し引いても凶悪である。
--他のマスターとは異なり、入手時に第三の特技を6種類のマジックの中から選択できるのだが、一部の特技候補…具体的には『リフレッシュ』が強すぎる。
---手札を捨てて、捨てた枚数分のカードをデッキからドローするという所謂「デッキ圧縮」用のマジックであり、それが石1個の消費だけで無制限に使用可能なのである。
---カードゲーム経験者であれば「デッキ圧縮が使い放題」という説明だけでも凄惨な光景が思い浮かぶだろうが、その予想は概ね正しい。実際「リフレッシュ持ちワンダーマスターでエルゴマを高速召喚し、最速4ターンで決着」というデッキテンプレが生み出されており、当時の対戦環境で猛威を振るっていたのである。また、エルゴマ以外の強カードとも相性が良いという点も見逃せないだろう。
---但し、思考停止で『リフレッシュ』を選ぶのが正解とは限らない。ホワイトマスターと同様の感覚で運用可能な『ウェイクアップ』や、相手の手の内を読む必要こそあるものの、上手く使えば相手のコンボを不発にできる『リターン』も十分な性能を有しており、考えて組まれたデッキであれば負けず劣らずの活躍を披露できる。
//いちいち他特技の内容を説明すると長く、読みづらくなるので性能は割愛
--一応ホワイトマスターやブラックマスターでも、デッキ構築とプレイング次第で十分ワンダーマスターに対抗可能である点は強調しておきたい。

-上述したカード群ほどの性能ではないものの、石2個で特技を使った瞬間に大ダメージを与えつつ退場する為、相手モンスターに倒されレベルアップに利用されるリスクを回避可能な『シゴトにん』、石1個という低コストながら攻撃・防御双方に使えて利便性の高い『きあいだめ』、相手が満を持して投入した切札モンスターの能力をコピーしてしまえる『へんしんミラー』など、他にも強力なカードは複数存在している。
//ネタバレ要素への配慮&文章を不自然ではない形に修正&重複してる情報を一纏めに
//文章が長くなってきたのでDS版での性能変化に関する記述を削除。あとラスボスは「としお」(マスターXは裏ボスのポジション)では?

#endregion

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**問題点
-操作とCPUの判断が非常に遅い
--1つの操作を行うだけでも非常に遅い。選択を間違えてキャンセルするだけでも時間がかかる為に、ストレスが溜まりやすい。
--CPUの判断が非常に長く、ターン初めの「考え中」から1分以上画面が動かないケースもしばしばある。カードヒーローを遊びながら他の作業をやる位でないと、とてもではないがまともに遊べない。
--モノクロGBモードだとCPUクロック数がGBCの半分にも関わらず、もっさり操作や思考時間が多少軽減される。GBC対応の際に最適化の手順を誤ったのかもしれない。バーチャルコンソール版でもこの点は改善されていない。

-滅多に発生しないものの、フリーズバグが存在している
--対戦中に相手の「考え中」が表示されたまま、何分経過しても一切動かなくなってしまうというもの。本作のオートセーブ機能が災いし、リセットしてやり直しても敵のターンから始まってしまい、リセット前と同様に固まってしまう為どうしようもない。
--[[公式サイトにも記述されている>https://www.nintendo.co.jp/n02/dmg/ahhj/news/osirase.html]]が、一度リセットした上で特定のコマンドを入力すればバトルを強制終了させられる。但し、その試合には負けた事になってしまうので注意。
//コマンドをすぐ確認できた方が便利だろうと思い、リンクを追加してみた
---作中のバトルで降参するには、カードの購入資金にもなる「メダル」を消費しなければならないが、このコマンドを使えば実質的にメダル消費無しでの降参ができてしまう。だからどうしたという話ではあるが。

-先攻が後攻より有利となるルール上の仕様
//--基本的に先攻のほうが後攻より有利。最初の所持ストーンは互いに3、1ターン目も互いにドローできるため、引きの運にも左右されるが優劣はある。
--先手側は先に展開する事でモンスター効果を使ったり気合ための効果を得られ、後攻側は先に攻撃できる権利を得られる、と一概に優劣はつけにくい。
--ただし先攻側は''即座にターンを終了する事で手札とストーンを多く得た状態で後攻に回る事もできる''為、選択肢が多いという点においてどうしても先行有利となってしまう面はある。
//TCG版の改善については余談で触れているので削除

-パッケージやOPにタイトルで登場している「マサル」とその宿敵の「デロデーロ」の扱い
--何も知らずに購入したプレイヤーはマサルが主人公だと思った人もいただろうし、主人公のひろしが何らかの形で関わると思った人も多いだろう。…マサルとデロデーロはテレビ番組「カードヒーロー」に登場する架空の存在であり、ゲーム中にTV番組の中で何度か登場するだけである。
---大半のプレイヤーが主人公のひろしを初めて目にするのは、パッケージの裏面や説明書の中身など、お世辞にも目立っているとは言い難い箇所である。本主人公なのに扱いが悪すぎる。
--一応『バトルセンター』のコンピューター((デッキのマスターで戦う相手が変化する。ノーマルでコンピューター、ホワイトでマサル、ブラックでデロデーロと対戦する。隠しマスターのワンダーだと…?))で戦う事が可能だが、あくまでシミュレーターなので自分と同じデッキしか使ってこない。
//マスターXは流石にネタバレだと思ったので
--マサルの声優や、なりきりコスプレイヤーといったマサルのデッキを再現した対戦相手も出てこない。
//--TV上では古典的ながら熱い演出をやっていただけに、シミュレーター上でしか戦えないのは残念。←仮想キャラにそんなこと言っても

-隠しマスターの特技選択
--ワンダーマスターは第三の特技を6種類の候補から選択できるのだが、一度特技を決めてしまうと''二度と変更できない''。ワンダーマスターを入手できるのは最後も最後、特技の選択を誤った場合や、他の特技を試したくなった場合は、それまでに集めたカード資産を投げ捨てて最初からやり直す破目になる。
---選択できる特技はどれも一長一短な性能を有しており、場合によってはデッキの内容すら左右しうる為非常に悩みやすい。

-バグ
--毎週水曜と金曜にホワイト/ブラックマスターのみが参加可能な大会が行われるが、対戦前にデッキ内容の変更を行い、デッキメイク画面でキャンセルしてデッキ選択画面に戻ると他のマスターのデッキを選べてしまう。
---これにより真逆のマスターはもちろん、ワンダーマスターでも大会に参加可能。他マスターでは使えない特技を使用可能となる為、プレイヤー側が格段に有利となってしまう。
--メダルの所有数が9枚以下の場合、受付の右側の男「ギャンブル」に賭けバトルを持ちかけられ、勝てば所有コイン倍増、負ければ全没収されるという対戦イベントがある。
---このバトルを受ける前に上記の大会で優勝すれば、メダル50枚分も併せて掛け金に充てられる。この賭けバトルに勝てばカードの大人買いも余裕で行える程の資産を得られる。

-バグではないが、バランスブレイカーとなりうる仕様

#region(ゲームの楽しみを崩壊させる恐れがあります。閲覧注意)

-一定以上までゲームを進める事で、任意の要らないカード3枚と別のカード1枚を交換してくれる「ブレンドくん」を利用可能になるのだが…。
--特定の手順でカードを交換し、最終的に手に入った高額で売れるカードを大量売却する事により、2,000円程度の元手さえあれば所持金の無限増殖ができてしまう。条件さえ整えば上述したギャンブルですらお役御免である。
---当然ながらブースターパック購入・カード収集の楽しみを大いに削いでしまう可能性がある為、錬金術のご利用は計画的に。
--続編以降の作品では「特定のカード3枚と別のカード1枚を交換」という仕様に変更されている。スタッフも無限錬金は流石に問題だと判断したのだろう。

#endregion

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**総評
運の要素が薄く、極端なパワーカードもそれほど存在せず、戦略に重点を置いた独特なカードゲーム。~
敷居も低いのでかなり遊びやすく、ゲームシステム的には傑作と言える高い完成度を誇っている。

携帯ゲーム機でこのような本格的なカードゲームを遊べる事自体がだいぶ貴重でもあったのだが、~
しかし動作の遅さとキャラデザインが足を引っ張ったか、大規模なファンの獲得には至らず、隠れた名作止まりになってしまった。

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**余談
-ゲーム自体の問題ではないが、''現在中古市場に流通しているソフトの大半は、そのままの状態ではセーブできないと考えた方がいい。''
--これはカートリッジ内に時間をカウントする為の電池が内蔵されており、この電池が切れている場合はセーブができなくなるという仕様が原因である。
--一応電池交換の方法がないでもないが、リスクを伴うため自己責任で。電池交換方法については[[こちら>http://cardherowiki.reela.net/GBC5C5C3D3C0DAA4EC.html]]を参照されたし。
---バーチャルコンソール版を買えば電池の心配は不要だが、通信ケーブル機能が未対応となっており肝心の対人戦ができないのが泣き所である。

-ストーリー上のラスボスに負けると、既存のカードゲームにありそうでなかった衝撃の展開が待っている。

#region(ネタバレ注意)

-バトルに負けると、戦いの前に宣言された通りに''使用しているデッキ内のカードすべてを燃やされる''。
--しかし、直後に仲間達が駆け付けてきて「自分が使用していたものと全く同じ内容のデッキ」「ラスボスと同じ内容のデッキ」「ラスボス対策を施したデッキ」の3つを持ってきてくれるという熱い展開が待っている。
--燃やされたカードはラスボスに勝つと全て弁償してもらえるので、カードを失う心配はいらない。諦めずに挑み続けよう。

#endregion

-発売約2ヵ月後にはワゴン入りしてしまい、激しい値崩れを起こしてしまった。
--決して本作が不出来だったという訳ではなく、ゲーム自体を出荷し過ぎた…つまり需要の見誤りが原因の模様。

-ゲームの発売後、実際にカードゲーム化されて販売された。スタートセットやゲームにも出た4種類のブースターパックの他、ホワイト/ブラックマスターそれぞれの戦術に合わせてカードを収録した「マスターセレクション」というブースターパックも発売されていた。
--「先行プレイヤーは1ターン目のドロー無し」といったルール調整がなされており、また『シトラス』『ズガンダー』『かげ呪い』といったTCG版からの新規カードによってゲーム版ともまた違った戦術を楽しめる。
--しかし賛否両論点でも触れた通り、当時のTCG市場は既に[[ライバルと呼ぶにはあま>ポケットモンスターシリーズ#id_b1e5324b]][[りにも凶悪過ぎる相手>遊☆戯☆王シリーズ]]が席巻しており、シェアを獲得するには至らなかった。

-アドバイザーとして、[[ファイアーエムブレムシリーズ]]生みの親である加賀昭三氏が参加している。
--当時のファミ通のインタビューにおいて、ディレクターの坂本賀勇氏が「ストーリー本編を全てチュートリアルにしたのは加賀氏から提案されたのがきっかけであった」と語っている。

-このゲームに登場する主人公「ひろし」は、当時任天堂社長であった「山内溥」氏から名前を取られている。

-オープニングのクオリティが地味に高いが、このBGMに''歌詞がある''ことは意外と知られていない様子。
--歌詞は説明書に掲載されている。ただし、途中セリフの密度が半端ではない箇所がある為に、''[[初音ミクなどの音声ソフトでもなければ>https://www.nicovideo.jp/watch/sm1154834]]''歌唱は困難を極める。

-本作の発売から7年後、ニンテンドーDSにて『[[高速カードバトル カードヒーロー]]』としてリメイクされた。詳細は同作の頁を参照されたし。

-後に任天堂が発売したTCG『ファイアーエムブレム0(サイファ)』において、カードヒーローとの類似点が見られる。
--開発は本作と同じインテリジェントシステムズであり、ノウハウを流用しているのはほぼ間違いない。
--一部の本作プレイヤーはFEサイファをカードヒーローの精神的続編と見做して、同TCGを楽しんでいる…らしい。