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サイドアーム - (2023/07/10 (月) 22:02:01) のソース

*サイドアーム
【さいどあーむ】
|ジャンル|シューティング|&image(http://www.famitsu.com/sp/130219_cacc/img/title07.png)|&image(http://flyers.arcade-museum.com/flyers_video/capcom/10024201.jpg,height=210)|
|対応機種|アーケード|~|~|
|発売・開発元|カプコン|~|~|
|稼動開始日|1986年12月|~|~|
|判定|なし|~|~|
|ポイント|左右撃ち分けロボシューティング&br()カプコンSTGにしては難易度低め&br()敵の使いまわしが目立つ|~|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
1986年にカプコンからリリースされたアーケード横シューティング。~
ゲーム中のタイトル画面では「SIDEARMS HYPER DYNE」とタイトルが表示され、タイトル下には「''絶対合体 ZETTAI GATTAI!''」という表示がでかでかとされている。

本作は自機が常にロボットの状態で戦闘を行うのが特徴。一応は変形して戦闘機型になるシーンもあるが、その状態では一切戦闘は行われない(合体時などの演出のみ)。

**主なルール
-一人~二人同時プレイ可能。1P側は白い「α機」、2P側は赤い「β機」を操作する。
--なお、一人プレイではゲームスタート時に2P側のスタートボタンを押すことでβ機を使用可能。
-各ボス撃破までの道のりを1ステージに換算すると全10ステージ構成で、ボスを倒すと画面のフェードなどを挟まず、そのまま次のステージへシームレスに進行する。

-1レバー3ボタン。コンパネの左配置から順に、左方向ショット・右方向ショット・武器切り替え、となっている。
--本作は自機が左右に向きを変えてショットを撃つ事が可能で、左方向と右方向を個別のボタンにて撃ち分ける操作法を採用している。
--武器切り替えボタンは装備している最大5種類の所持ショットを変える為の操作である。初期の所持ショットは「BIT」のみだが、敵を倒すと落とすアイテム「POW」を撃ち込む事により、アイテムの種類を変化させ、特定のパワーアップアイテムを取れば装備できる所持ショットが増える。
--以下ショット及び撃ち込む事で変化するアイテムの種類を示す(「BIT」から「AUTO」の順で武器切り替えができる)。
---装備1「BIT」…自機の初期装備ショット。連続で取ると最大三個まで自機周りに補助オプションが付き攻撃してくれる。
---装備2「S.G.(ショットガン)」…弾が途中で切れてしまうが攻撃範囲が広いショット。連続で取ると最大三段階までパワーアップする。
---装備3「M.B.L(メガバズーカランチャー)」…連射は効かないが攻撃力が高く、すべての敵や壁を貫通するショット。連続で取ると最大二段階までパワーアップする。%%武器の見た目が某百式のソレ。%%
---装備4「3WAY」…その名の通り三方向に攻撃を放つショット。連続で取ると最大二段階までパワーアップする。
---装備5「AUTO」…「弥七」「佐吉」の二種類のアイテムがあり、どちらかを取るかで性能が変わるショット。両者を併用する事はできないので、使いたいショットだけを取る必要がある。弥七は前方のみだが連射力に優れたショット、佐吉は弾の当たり判定が弱めだが上前下の三方向に弾を放てるショットを撃つ。各アイテムともにパワーアップは一段階(すなわち、取った時点でパワー最強)。
---「POW」「WOP」…前者は自機スピードを上げ、後者は下げる。
--ステージ中のとある場所にショットを撃つと、隠しアイテムが出現する場合がある。以下その種類。
---「合体POW」…取得するとα機とβ機が合体し、パワーアップする。性能については後述。
---「モビちゃん」…見た目は小さくディフォルメされた自機。取ると1UPするが、当然滅多に出現しないレアアイテム。%%ハイパーダインでなくモビルなんちゃらなのか?%%
---「ボーナスキャラ」…ホルスタインや[[タル>魔界島 七つの島大冒険]]、ジャンボイチゴなどの当時のカプコン作品ではおなじみだったキャラクター達。獲得するとスコアが入る。

-その場復活の残機制。合体していない状態でダメージを受けるか、自機がスクロールと壁に挟まれる((壁に触れるだけではダメージにはならない。))とミス。
--この際、装備していた武器は失われてしまう。

-上記の通り、「合体POW」を取得するとα・β双方の機体が''合体''し、性能が強化される。合体Powを取った機体がメインとなり、グラフィックと後述のサブショットの性能が変化する。
--メインショットとは別に8方向にサブショットを発射する((ソロプレイ時は自動で発射するが、協力プレイ時はサブ機体のプレイヤーが任意のタイミングで発射できる。))。αメインの場合は直進するショットで、βメインの場合は一定距離で自機に戻ってくるショットになる。
--2回までダメージを防ぐことが可能になる。耐久力が尽きると合体は解除されるが、即ミスにならない。

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**評価点
-左右撃ち分けの操作性は、本作の一年前に同社からリリースされた『[[セクションZ]]』にあったシステムで、本作はそれを受け継ぐ形となった。
--『セクションZ』では方向転換の度にボタンを押す必要があったが、本作の場合は方向転換と攻撃が同時に行われるため、囲まれた時の対処が格段に楽になった。
---敵側も画面左右からまんべんなく攻撃をしてくるので、同じショットボタンばかりに偏っていると確実に苦戦するゲームとなっている。
-グラフィックやBGMに関しては当時の基準から見てもハイレベルで、その辺の評価は高かった。
--ただし一部、著作権的に問題のあるヤツらが登場する。自機の武器''「メガバズーカランチャー」''はまだしも、敵キャラの''「ザク」「ズゴック」''は[[グラフィックまでモロである>スペースハリアー]]。さらには背景にも『風の谷のナウシカ』の巨神兵が朽ちた状態で出現している。
---ちなみに『カプコンアーケードキャビネット』のギャラリーモード内の設定資料のキャライラストには名称も表記されているのだが、この2体の敵は名称が消された様子が見られる。

**賛否両論点
-総合的な難易度はカプコンがリリースしたシューティングの中でもかなり低い部類。
--その要因としては「合体すると攻撃が強力になるばかりか、ダメージ時のシールドの役割も果たすので生き延びやすい((しかも、合体POWの配置数も結構多い))」「敵種類の少なさ故に、敵攻撃のバリエーションも少なく、慣れると余裕で対処できてしまう」「初見殺しが少なく、全体的に敵があまり本気を出してこない」などが挙げられる。
--難易度の低さから『[[1943 ミッドウェイ海戦]]』と並んでシューティングの教科書として名前が挙がる事もある。

**問題点
-敵の種類が少なく先に進んでも敵の顔ぶれの変化が乏しい。
--これはボス敵にもいえる事で、ボスの種類はラスボスを含めても''たったの5種類しかおらず''、早い段階からマンネリ化が目についてしまう問題を持っている。
--一応、1面とラスボスは固有で使い回されていないのだが、これなら全てのステージにボスを配置することが出来たのでは?

-ミスをした際の無敵時間が異様に短く、ほぼあってないようなもの。その為、一度死ぬと連続して死んでしまう事も起こりうる。

-二人同時プレイ時に合体すると、アイテムを取ったほうがコントロールの権利を持ってしまい、合体した相手は合体時の8方向ショットを撃つしか出来なくなり、ボタンを押しながら画面を眺めているだけという状態に陥る。
--上述の通り合体している方が強力で生き延びやすいので、二人同時の意義がほぼ無くなってしまう。

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**総評
良くいえば難易度控えめで遊びやすく、悪くいえばプレイヤーに優しすぎてやり込み性に欠ける、そんなシューティングであろう。そういうゲームだからか、とっつきは良かったものの、ロングヒットする事もなく影を潜めてしまった一作だと思われる。本作単体での家庭用移植はPCエンジン二種のみであり、アーケード版同様にその知名度はあまり高いとはいえない模様。
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**家庭用移植
-PCエンジン Huカード版(1989年7月14日、NECアベニュー)
--基本的にアーケード版に忠実だが、大きな変更点として以下の点がある。
---二人同時プレイが廃止された。但し、合体システム自体は健在で、アーケード版でいうところの2P機体は合体時のエクストラとして登場する。
---BGMがアレンジ曲に総入れ替えとなり、アーケード版のBGMはほとんど収録されていない。
---武器切り替えボタンは廃止され、ポーズをかけている最中に所持ショットの切り替えを選択できる方式に変更された。
---S.G.に敵弾をかき消す能力が追加された(『1943(改)』のショットガンに類似した性能)。
-PCエンジン CD-ROM2版(1989年12月15日、NECアベニュー)
--ゲームタイトルは『サイドアーム スペシャル』となっている。Huカード版とほぼ同様の移植に加えて、ステージ構造からゲームシステムまで大幅にアレンジを効かせた「BEFORE CHRIST」モードの二本立ての豪華収録となっている。BCモードの主な変更は以下の通り。
---完全なるステージクリア方式となり、クリアすると画面が切り替わるようになった(全10ステージだが原作とはかなり構造に相違がある)。また、ミス後は戻り復活制となった
---ショットが一つしか持てないようになり、武器切り替えの概念が存在しない。また、M.B.Lはボタン押しっぱなしによる溜め撃ちになっている。
---ショットの性能自体が原作とは似て非なるものとなっている他、アイテムの効力やグラフィックまでもが別物化している。アイテムの変化もショット打ち込みから時間経過に変更された。
---合体システムそのものが廃止され、その代わりに専用アイテムを取得する事により、自機の上下に補助オプション(BITとは別物)が付いて援護攻撃を行ってくれる。オプション装着時は自機の被弾を3発まで防いでくれるシールド効果も付く。
---各ステージのボスはほとんどが一新され、すべてのステージにて違う性能のボスが配置されている。これにより原作に難点だった使い回しは大分薄らいでいる。
---画面の解像度が異なる。スタンダードはHuカード版と同じ横336ドットだがBCモードは横256ドット。
--収録されているBGMが、当時のカプコンのサウンドクリエイター集団だった「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」が手がける生演奏によるアレンジCD音源となっている。ちなみに、曲そのものはアーケード版が元であり、Huカード版とはまた違う曲調である。
--ちなみにBCモードは元はHuカード用に作成して没になったバージョン。オリジナルに忠実なものと大胆にアレンジしたものの2バージョンが作られたが、最終的にオリジナルに忠実な方が採用された。

-この他にもPS3/Xbox360の配信サービスの『カプコンアーケードキャビネット』のラインナップとして配信されている。
--『必殺無頼拳』『ラッシュ&クラッシュ』と共に本作のAC版の移植は国内初である(海外では『カプコン クラシックス コレクション vol.2』(PS2/XBOX)に収録されていた)。

-『カプコンアーケード2ndスタジアム』(PS4/Switch/XBOXONE/STEAM 2022年7月22日配信、カプコン)のラインナップとしても配信。
--やはり版権の問題からか敵キャラの「ザク」「ズゴック」のグラフィックは別のものに差し替えられた。
---ただしその一方で、ゲーム内マニュアルにおけるメガバズーカランチャーの説明では「&bold(){『ええい、ままよ…!』の精神で使えば当たるはずです}」という、&bold(){あからさまに元ネタを隠す気がない記述がされている}。

**余談
-ネームエントリーはゲームスタート直後のデモ画面中に行う珍しい仕様。画面下でこっそり始まっているので気づかないプレイヤーも多かった。

-当時はロゴの『S』も発音して『サイドアーム''ズ''』と呼ぶ人もいた((初期ゲーメストの紹介記事でも「サイドアームズ」と表記されていた。))。
--PCエンジン版発売時に『サイドアーム』とカタカナ表記されたことでそう呼ぶ人はいなくなった模様。

-本作に登場した「モビちゃん」は、本作以降もカプコンの多くのゲームに1UPアイテムとして登場するマスコット的立場に。%%名称がモビルスーツの略という危ない設定なのに…%%
--逆に言えば本作を知らない人間には「なんでロボなんだ?」と言う事になるが。
--なお「弥七」「佐吉」は『[[1942]]』から存在する((更に弥七は『バルガス』で敵キャラとして登場している))のでモビちゃんより先輩である。此方は「POW」と同類のシンボル的なデザインだが。
---ちなみに弥七は「風車の弥七(水戸黄門)」、佐吉は「流れ星佐吉」という、どちらも時代劇から名前を付けられている。

-本作の流れを組む作品として『ロストワールド』が存在する。また、左右撃ち分けシステムは『[[天地を喰らう>天地を喰らう (AC)]]』に引き継がれている。
--『ロストワールド』では最終面に本作の敵キャラが登場する他、『[[NAMCOxCAPCOM]]』(後述)では名無しの超戦士と共演する等シリーズの繋がりを見せている。
--2005年発売のPS2用シミュレーションRPG『NAMCOxCAPCOM』では、ロストワールドから出演となる名無しの超戦士1P・2Pが装備する補助兵器『サテライト』として登場し、必殺技や同作から出演のシルフィーとの協力攻撃にて、本作におけるロボット形態時の姿を見せてくれる。

-『[[ダライアスバースト クロニクルセイバーズ]]』のDLC自機として1P機が参戦。合体時のエクストラとして2P機も登場する。
--この作品は元々『セクションZ』方式の方向転換システムが採用されているが、本機使用時は本作同様に左ショットと右ショットでボタンが分けられる。
---同作内のDLCで登場している作品で、他に本機と同じ仕様を採用している機体として『[[デススマイルズ]]』のウィンディアがある。

-今作は後にストリートファイターII等を手掛ける事になるあきまんこと安田朗氏のデビュー作でもあるのだが、氏は後に今作のザクやズゴックの元ネタであるガンダムシリーズ作品『∀ガンダム』のキャラデザを担当し原作者の富野由悠季と親交を深めている。
--更にその後はカプコン自身も『[[機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオン]]』で本当にガンダムのゲームを作った上、同作が更に後に『ガンダムVS.ガンダム』としてシリーズ化した際には上記の∀ガンダムも参戦する事になった。
--そういった意味でも今作は「カプコンとガンダムの繋がりが出来た」と呼べる作品と言えなくもない。