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ときめきメモリアル4 - (2018/09/20 (木) 16:25:24) のソース

*ときめきメモリアル4
【ときめきめもりあるふぉー】
|ジャンル|恋愛シミュレーション|&amazon(B002PK0KOE,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/81oNRuGdQyL._SL160_.jpg)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|メディア|UMD 1枚|~|
|発売・開発元|コナミデジタルエンタテインメント|~|
|発売日|2009年12月3日|~|
|価格|5,250円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|『1』『2』の路線に回帰&br;良くも悪くも昔ながらのシステム|~|
|>|>|CENTER:''[[ときめきメモリアルシリーズリンク>ときめきメモリアルシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
かつて一世を風靡した『[[ときめきメモリアル]]』シリーズの4作目。前作『[[ときめきメモリアル3>ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~]]』から実に8年のブランクを空けて世に出された、まさに''「思い出したように発売された続編」''である。

**前評判
同年9月にKONAMIは恋愛シミュレーション『[[ラブプラス]]』を発売し、ギャルゲー古参メーカーとしての底力を見せつけたが、同時に『ときメモ』シリーズ復活の希望も俄かに沸くこととなった。また、『ラブプラス』がそれまでのどのギャルゲーとも一線を画した内容だったため、正統派のギャルゲーを求める声が上がってもいた。

そんな折、東京ゲームショウ2009にて『ときメモ』シリーズ最新作が突如として発表される。多くのファンが『3』の大ゴケ、続く『ONLINE』の最悪な運営体制による失敗から続編が絶望視されていた『ときメモ』の新作発表にファンは沸きたった。

しかし不安要素も多く、前評判は恐らくシリーズ最悪と言っていい状態だった。

-''メタルユーキのプロデューサー続投。
--''『3』及び『[[ONLINE>ときめきメモリアルONLINE]]』での失敗により、シリーズ凋落の元凶とも言われた氏の起用には多くの批判が見られた。

-キャラクターデザインの大幅な路線変更。
--『ときメモ』シリーズのキャラクターたちと言えば昔ながらのぶっ飛んだデザインがとにかく特徴的であったが、本作では''「まさかの[[TLS系>トゥルー・ラブストーリー]]か」とまで言われるほど地味なもの''になった。デザイン及び作画監督は『2』の大塚あきら氏だが、それだけに『2』同様の画風を求めていたファンの失望を買った。

-J-POP歌手のOP・ED起用。
--特にOPテーマをアイドルグループ『アイドリング!!!』が担当したことには批判が殺到した。
--そもそもJ-POP歌手起用は『3』でも行われた(そして成功したとは言い難かった)だけに「過ちを繰り返すのか」という声も上がった。

これらの不安要素に加え、舞台は『1』と同じきらめき高校……。ファンの中には「初代を汚すな」という者まで現れるほど。~
こうしたファンからの不安と批判的な前評判の中、いざ発売されて見ると、それらの不安をいい意味で裏切る作品に仕上がっていた。

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**特徴
-システムの試行錯誤が見られた前作から一転、基本システムは『1』『2』とほとんど変わらない形に回帰した。コマンドを実行してステータスを上げ、デートでときめき度を上げるという流れはもちろん、例によって、シリーズお約束の爆弾システムも搭載されている。
--ただし、「雑学」パラメータの廃止に伴い「遊び」コマンドが無くなり、代わりに「リッチ」と「経験」ポイントが追加された。「リッチ」は女性向けの『Girl’s Side(GS)』から((同社作品でさらに古い『みつめてナイト』からの輸入とも言える。))の輸入で、バイトや月の始めに貰うお小遣いで貯まり、デートや休日に行う「買い物」コマンドで使用する。「経験」はコマンド実行によって増減し、後述の特技習得で使用する。
--「ストレス」パラメータは「体調」パラメータに統合されて無くなっており、ケガ・ノイローゼ・病気は発生条件が同じになっており、重複してかかることもある。

-新要素「特技」
--経験ポイントを消費することで習得できるスキルのようなもの。装備すると様々な恩恵が得られるようになり、どの特技をセットするかによってプレイが大きく変わってくる(例:「基礎体力」で体力を減り難くする、「鉄板」でコマンドの失敗を減らすなど)。
--特技の習得・装備は新学期が始まるタイミングでのみ可能。特技は樹形図状に発展していき、当然発展していくにつれ消費ポイントは高くなる。一回に装備できる特技は最大6つ。装備した特技同士が互いに影響し合う場合もあり、より効果的になるよう考える必要がある。
--また、メインヒロインたちも固有特技を装備しており、恩恵を受けたり良くない影響を受けたりする。なおこの発生を阻止できる特技もプレイヤー側に用意されている。

-新要素「勲章」
--いわゆる実績・トロフィー。ゲーム中に特定の条件を満たすことで勲章を獲得できる。CGギャラリーと並ぶ本作のやり込み要素。
--勲章の中にはとてつもなく面倒な条件を要求されるものもある。
---『〇〇との絆』は対象ヒロインのCGを全て蒐集し、さらに全てのエンド((多くのヒロインは告白されるエンドと自分から告白するエンドの2つだが、一部特殊なエンドもある))を迎えることが条件。もちろんヒロイン全員分ある。
---『進路の証』は卒業後の進路のうち「Aクラス進路」とされる難易度の高い進路から20種以上を達成。特定の部活を極めるタイプの進路は1プレイで1つしか達成出来ないので、単純に時間が掛かる。
---極めつけは『コレクター』で、アイテムを累計196種類以上入手するのが条件。これには戦闘で敵がドロップするもの、修学旅行のお土産、誕生日やクリスマスのプレゼント(男からのものも含む)、ヒロインの誕生日にこちらから渡すもの(各ヒロイン毎に毎年違うものを渡すうえ、同じ年でも2種類から選ぶ)なども含まれるためかなりの手間が掛かる。

-ゲームシステムがほとんど変わらない以上、デートも相変わらず。電話を掛け、休日にデートの約束を取り付ける。当然、デートは伝統的な3択式である。
--強いて新要素と言えるならば、相手がときめき状態・デートの印象が「わりと良い」以上の時に発生する「手つなぎ会話」か。デート後の帰り道で、2つの話題を選択しポイントを上げ、一定以上になったら手をつなぐことが出来るようになる、『GS』の大接近モードに少し近いシステム。

-エンディングに到達する条件も基本的には変わらない。好感度が一定以上の中で、最大のキャラが選ばれる。ただし、『3』ほど厳しくはないが、一部フラグを立てなければクリア出来ないキャラも存在する。
--ただし、本作では「ヒロインポイント」と呼ばれる数値が存在し、これもクリア条件の一つとなっている。
--ヒロインポイントは、イベントをこなす事によって対象ヒロインに加算されていく。
---これが足りないせいで、攻略していないキャラに告白されたりバッドエンドになったりすることもある。
---狙ってるキャラが好感度で負けていてもヒロインポイントで勝っていれば、そのキャラに告白される。もちろん好感度が告白を受ける程度に高くないといけない。
---前述のように、キャラによっては告白条件に進路やパラメータも含まれている場合があるので、 例えヒロインポイントが最大値だったとしてもパラメータ不足や望まれない進路に行った場合は告白されない。
--各キャラで獲得可能なヒロインポイントの最大数は20ポイントで、ある1人だけは14ポイントとなっている。 これはそのキャラだけ攻略ルートが二つ存在している関係上で、割り振り自体は合計20ポイントある。 
--ヒロインポイントの仕組みを分かっていれば1回のプレイで複数ヒロインの同時攻略も可能。

-その他の細かい変更点
--時代の流れか『GS』の影響か、使用する電話が携帯電話。従来の情報誌がメールマガジンとなり、キャラの情報も携帯で見る。また、キャラからメールが届く場合もある。
---今まで突っ込まれていた「電話を掛けるだけで一日が終わる」仕様が無くなり、電話の後にコマンドを実行出来るようになった。また、バッテリーが許す限り、一日に何回でも掛けることができる。が、バッテリー制限があり、電話は一ヶ月につき(アイテムを購入して補充するか、ある特技で回復させるかしない限り)4回しか掛けられない。
--SS版『1』以来の「自分から告白」が復活。特定の特技を装備することで意中の相手に自分から告白できるため、要領よくやれば複数のヒロインを同時攻略してエンディングを効率よく見ることもできる。ただし、ヒロインから告白される場合と比べてOKされる条件は厳しくなっている。
---また条件を満たしていない相手にわざと告白した場合、サターン版『1』でおなじみの失恋シーンを拝める。相手の好感度が低かった場合は、かつての詩織(大嫌い状態)に勝るとも劣らない文句で振るヒロインもいるため告白の際は覚悟を決めること。
--一部にバイノーラル録音の音声が収録されている。バイノーラル録音とは立体音響の録音方法で、実際にその場にいるかのような臨場感あるサウンドになる。そのため、一部場面では立体音響でヒロインの声が聞ける。プレイの際は是非イヤホン・ヘッドホンを。
--EVS(Emotional Voice System)を発展させた合成音声システムSpeeCAN。
---EVSは合成音声を作成するシステムで、ゲーム内のキャラに自分の名前を呼ばせることができる。『2』が初出で以降の作品にも発展を続けて搭載された。だが、システムの意図が意図だけに膨大な発音パターンの音声が必要であり、声優やゲーム容量に大きな負担を掛けていた。『2』がCD-ROM5枚という驚異的な規模を誇ったのも、これが最大の原因である。
---だが、本作のSpeeCANはネットを介在してサーバーに接続、音声ファイルを作成・ダウンロードするというものであるため、容量もシステムもメディア媒体に依存せず、かつ流暢な合成音声になる。
---ただしその性質上、オンライン環境の無いプレイヤーは利用できないという欠点もある。
---またオンラインサービスという特性上、いつまでもサービスが提供され続けるとは限らず、需要がないとみなされればサービスが打ち切られる場合もある。その場合、合成音声の新規作成はできなくなる。

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**評価点
-サウンドノベルが主流となる中、伝統的な育成タイプのギャルゲーを踏襲。
--決してバランスが良いとはいえないが(後述)、サクサク進む快適なインターフェース、能力調整によるキャラ登場・好感度抑制の駆け引き、高い自由度は全く変わらない面白さがあり、単純に育てゲーとして見ても高品質。

-会話パターンがとにかく豊富で、シリーズでも最大。そのため、消化試合となってダレやすい後半でも楽しめる。

-デザインやキャラ造詣も今までと比べて地味だが、それでも個性的なキャラクターは多い。
--また、大塚氏のデザインのレベル自体は高く、十分魅力的なものに仕上がっている。

-最新機だけあり、グラフィック・BGM共に高品質。特にBGMはCD音源そのものと言っていいほどの音質で、かつ出来がいい。

-内容から少々外れるが、前作のものがすこぶる不評だったためか、本作の男キャラの七河正志と小林学は非常に良く作り込まれている。
--前作同様彼らからは情報を聞かないのでゲーム根本に関わることはないが、多くの印象的なイベント、友情エンドまで存在する優遇っぷりで、「シリーズ最高の男キャラ」とされることがある。ちなみに、彼らの担当声優は[[某人生>CLANNAD]]と同じ中村悠一氏と阪口大助氏のコンビ。

-声優陣もこれまでのシリーズと比べ、福圓美里氏・井口裕香氏・加藤英美里氏・花澤香菜氏・水橋かおり氏等といった実力派声優が多く起用されており、バイノーラルイベントではその演技が高く評価されている。

***小ネタ
-もともと本シリーズは小ネタが多い作品ではあったのだが、本作はそれに輪をかけて多い。シリーズネタのみならず、古参ファンすら分からないような内輪ネタや、他メーカー作品・アニメネタが盛り込まれている。

#region(一例)
-「ヘアバンドの似合う完璧な女性」を親戚に持つメインヒロイン。
-告白の時、壊れていたはずの鐘が鳴り出す。
-きらめき高校とひびきの高校とを入れ替わって登校する双子。
-『3』で封印された魔物を召喚するヒロイン。
-映画のタイトル「悪魔嬢ドラキュラ」・「サイレントリバー」・「夢大陸のペンギン」・「メタルスネーク」・「ボーイズサイド」・「バイオ!ミラクルアカデミー」・「きらめきのメモリー」
-ミニゲームの「射的」の的が『コナミワイワイワールド』のキャラクター。
-独眼竜ビームを出し、外国かぶれな伊達正宗に怒るヒロイン。
-観覧車での選択肢「人がゴミのようだね」
#endregion

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**賛否両論点
-良くも悪くも『1』『2』と変わらないシステム
--「原点回帰」「安定した内容」と好意的に取るか、「進化していない」「新鮮味がない」と否定的に取るか。

-上で何度も書いたように、キャラクターが地味。
--今までと見比べてみるといかに本作が特異なのか良く分かるが、『2』と同じ人とはいえ当時の面影が全く見られないほど画風が変わっている。さすがに10年も経っていれば仕方ない……。

#region(比較。上段左から1、2、3。下段が4のメインヒロイン2人)
&ref(比較.png)
#endregion

--発売後はなんだかんだと好評だが、発売前はとにかく叩かれ、「ギャルゲーなのに女の子が可愛くないなんて」とさえ言われた。その一方で、「『3』よりよっぽどオタクっぽくない」と歓迎する声もある。

-とあるヒロインがかなり癖のあるキャラクターである点。
--そのキャラは、間違いなくシリーズで最も異色な設定で多くの人に衝撃を与え、シリーズでも屈指の人気を博しているキャラである。また、その人物のぶっ飛び方は、比較的現実味ある本作をときメモらしくしている面もある。
--しかし、過去シリーズに類を見なかったその癖の強い設定を受け付けない人もおり、結果かなりの賛否両論に。
//---また、ゲーム外の問題ではあるが、そのキャラの悪質ファンが批判意見などを潰しまわったり、他ヒロインのファンを攻撃したりと、2ちゃんねるをはじめ作品のファンが集う場を荒らすというマナーがなってない行為が多く、これも賛否両論の一つとなっている。
//---当然、そういった行為はごく一部の心無い者によるものであ。しかしそのキャラのファン全体(ひいてはキャラ自身)を同一視する批難も見られ、荒らし回った報いとそのキャラへの叩きやファンへの嫌がらせなど、逆の立場による問題も多く見られた。
//ゲーム外の問題を持って賛否両論というのはおかしい。

#region(重大なネタバレにつき未プレイ者は注意)
-そのキャラは、主人公の幼馴染である大倉都子のこと。''幼馴染キャラが情報屋''であること自体異例で、更に情報屋を攻略できることもまた異例((一応、同社作品でも『あいたくて…』という前例がある。))だったが、最も衝撃的だったのは、彼女が''ヤンデレ''だったことである。
--あるイベントを起こすとキャラが豹変し(ヤミ化:公式呼称)、外見・BGMさえも非常に陰鬱なものになる。この状態の時他のヒロインとデートすると、''彼女が大切にしているうさぎのぬいぐるみ''(『[[SILENT HILL 3]]』に登場したロビー君が元ネタ)と戦うことになる。ついでにヤミ化している間は小遣いがもらえない((本作では小遣いは都子越しに受け取る仕組みになっているため。何故そうなったのかは「日頃の行いが悪いんじゃない?」と言われるのみで不明。))ためとにかく金に困る。また、更にイベントを進めてヤミ化状態が解除されても、他のヒロインとデートすると、やはり戦闘が起きる。そのため、彼女を攻略しようとすると、実質''他のヒロインは攻略不可''になってしまう。更に他の女の子の情報が聞き出せなくなり、爆弾の除去も不可能になるが、都子自身は''他のヒロインの爆弾の影響を受けない''((ただし、都子以外に2人いる隠しヒロインについては例外的で、連絡先は本人から直接貰うため問題なく入手でき(1人は攻略法自体が特殊だが)、爆弾についても、都子に限らず隠しヒロイン全員が爆弾を出すことも他のヒロインの爆弾の影響を受けることもない。))。「爆弾処理なんて必要ないんだよセニョール!!」それに加えて''好感度の上がりやすさもトップクラスで、デート時に好感度の下がる選択肢も殆ど存在しない''。
---もっとも、ヤミ化以前に連絡先を聞いているヒロインとは普通にデート可能であるし、シリーズになれていれば爆弾の持ち主や爆弾がつきそうなヒロインの特定もそう難しくはない。そのため攻略不可能というほどでもない。またうさぎを返り討ちにすると小額ながら金が入るため、うさぎを倒せる実力が備わっているのであればむしろ得ではある。&br()しかしヤミ化状態の都子は出会う度に全ヒロインの傷心度を上げる(爆弾を発生しやすくする)特殊能力を持っており、ヤミ化を解除するかマイナス能力無効化の特技を実践しない限り「爆弾処理のため他の子とデート⇔都子の能力でまた違う子に爆弾が発生」の往復となってしまい、面倒くさくなる。それ以前に都子のヤミ化する経緯を考えると外道まがいのプレイになる。

---このようにヤンデレ的演出が多く含まれているが、[[殺傷沙汰>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/2582.html]]などの過激な展開があるわけではない。また元々病んだキャラというわけではなく、あくまであるイベントによる傷心や、主人公への想いから来るものであり、そういった演出とキャラ性のバランスが人気に繋がったと見る声は多い。
---さらに唯一『ときメモ1』当時と全く同じ「伝説の樹の伝説」を知っており、かつ信じているキャラクターでもある(他のキャラは覚え間違えているか知っていても半信半疑)。この事情から(後述する公式の過剰なヨイショは別にして)真のヒロインと言われても仕方がない部分もある。
#endregion

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**問題点
-特技の導入をフル活用するとゲームバランスが崩れる。
--最初こそ効果の薄い特技しか習得できないが、発展していくとかなり便利な特技のおかげでゲーム難度が大幅に下がる。また、一度習得した特技の樹形図が次回プレイで解放されているため、経験値さえ貯まれば序盤から下位特技をすっ飛ばし、上位特技をガチガチに装備して望める。そのため、従来は一つのハードルとされてきた一流大学や一流企業が非常に簡単。
--もっとも一部キャラやイベントは特技を使ってもなお高難易度である。
--もちろん歯ごたえが欲しいなら特技を縛れば良いのだが、それによる勲章などは無い。

-終盤のプレイがダレやすい。
--2年目2学期の修学旅行でヒロインがときめき状態だと専用のイベントが発生する。しかしそれ目的で前半に好感度を上げきってしまうと、後半はパラ育成と爆弾処理の作業をこなすだけの消化試合になりやすい。
--従来のシリーズにあった3年目のクリスマスイベントも一部のヒロインにしか無い。

-「手つなぎモード」はヒロインの反応も少なくゲーム的にも単純。
--似た構図の『トゥルーラブストーリー』シリーズの下校会話と比べるとかなり薄い。1度手つなぎが成功したらその後は同じ周回では再び発生することはないため、おまけ程度の要素である。

-3人クリアすることで購入可能になる体力回復アイテムが強力過ぎる。
--特技「節約上手」を装備して大量に仕入れれば、その後は休養コマンドを選ぶ必要はほぼなくなってしまうほど。高難易度キャラを攻略する際の救済処置と見るべきか。

-自分から告白した場合も、告白される場合と導入が少し違うだけで内容は使い回し。しかし勲章取得には必要なので両パターン見る必要がある。

-メインヒロインであるはずの星川真希の影が薄い
--キャラ自体に問題はないのだが、何せ『ときメモ』、彼女自身があまりにも設定が普通すぎるのに対して他のキャラが濃く、シリーズのメインヒロインとしては地味だった。
--それに加えて、歴代メインヒロインと比較すると主人公の幼馴染では無いどころか高校入学以前の主人公との接点すら皆無((『3』のメインヒロイン・牧原優紀子も主人公の幼馴染ではないが、小学生の頃の同級生で主人公に助けてもらったことがあるという接点がある。))ということと、その「主人公の幼馴染」というポジションには前述の大倉都子が存在し、その都子が発売前後で人気と話題を独占していたこともメインヒロインと認識されない一因となった。
--一応ストーリー上では強制イベントが用意されてる等かなりメインヒロインっぷりを発揮しているのだが、設定やゲーム中での扱いでも明らかに都子の方がメインヒロインらしく描写されているために殆ど認知されていない((歴代メインヒロインに存在している「主人公との過去の思い出」イベントも星川には無く、都子の方に存在している。さらにイラストとバイノーラルイベントも全キャラの中で都子が一番多く、挙句にはエンディングの演出まで都子だけ特別なものになっている。))。しかも、攻略対象としては最初からいるのに、''星川の電話番号は都子に教えてもらわなければならない''。
--そのためか、電撃マ王で連載されたコミカライズ版では都子がメインヒロインに抜擢され、星川は主人公の事は諦めて都子との仲を応援するというポジションに位置づけられてしまった。
--さらに言えば、コナミネットDXの『ときめきメモリアルメールドラマ』で『4』から登場したのも、星川ではなく都子だった。
---だが、''星川の好感度の上がりやすさは、シリーズでも『2』の光と並んでトップクラス。''攻略が非常に容易であるが、立場上強制登場であるゆえに、やはり他キャラ攻略時にはかなりの障害になり得る((しかし実は都子を攻略する場合、前述のように都子の好感度の上がりやすさは星川よりも上で、しかも爆弾の影響を受けないこともあって星川も完全に無視出来てしまえる。))。
---また、本作で攻略難易度が最も高い、いわゆるラスボスである「皐月優」は他のキャラよりも爆弾が付きやすい設定になっており、星川と同じく他キャラ攻略時の障害となりやすい。1の「藤崎詩織」や2の「麻生香澄」は傷心度が上がりにくかったため驚いたプレイヤーは多かったと思われる。なお、皐月は固有特技が凶悪((こちらの装備している特技を外すというもの。前述の通り特技の装備は学期の最初にしか出来ず、ヒロインの特技は会うたびに何度でも発動するので対策無しでは全ての特技を外されてしまうこともある))な点でも障害となりやすい。

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**総評
『1』の正統進化系として好評を得た『2』を更に発展、手堅く完成された作品である。相変わらず育成ゲームとしては面白く、ギャルゲーの「ツボ」もしっかり押さえられている。粗こそあるが、割と大きな問題が多かった過去作と比べるとそれも少ない方で、名実共に「シリーズの集大成」と言えるだろう。~
長期間待たされたファンはもちろん、潜在的なファンの多さも手伝って、『ラブプラス』『初音ミク Project DIVA』『THE IDOLM@STER DearlyStars』などに客層が流れた中、6~7万本を売り上げる健闘を見せている。~
一方、『1』から全く変わらぬストイック過ぎる恋愛・代わり映えしないシステムは安定感こそあるものの、さすがに時代遅れな感は否めない。キャラクターデザインに難色を示す者も多く、これらが売り上げに響いたとも言える。出るのが早過ぎた『3』とは逆に、本作は出るのが遅すぎた。ある意味、またしても時代に泣かされた作品と言えるだろう。

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**余談
-過去作の登場人物についての小ネタが多い本作だが、そんな中で『2』の隠しヒロインであった九段下舞佳は、とある一枚絵において写り込むという形で''本人が登場を果たしている''。
--過去作キャラの登場は『Girl's Side』シリーズでは行われていたが、本家シリーズでは初めてのことである。

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**その後の展開
-「ときめきメモリアルシリーズ」から「ときめきシリーズ」へ
--2017年現在では続編の登場・メディア展開の音沙汰が無く、本作は現時点での「ときめきメモリアルシリーズ」としての事実上の最終作になってしまっている。
--本作の発売から4年後の2013年には男性アイドルとの恋愛を描くGirl's Sideシリーズの流れを継いだスマホアプリ『ときめきレストラン☆☆☆』が、2018年には同じく「ときめき」のタイトルが冠されたアイドル育成及びリズムアクションゲーム『ときめきアイドル』がそれぞれ配信された事から、これからは「メモリアル」のタイトルが外された「ときめきシリーズ」としてブランド展開していくと思われる。
--なお、非学園物である「ときめきシリーズ」への変更に至った背景として挙げられるのは、「同時期にリリースされ大ヒットした『ラブプラス』と設定や内容が被ってしまった」という説が挙げられているとか。~
とにもかくにも、本作および『ラブプラス』が発売された2009年はコナミ製恋愛ゲームにおける転機の一年であったと言わざるを得ないだろう。