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ミニ四駆シャイニングスコーピオン レッツ&ゴー!! - (2017/06/08 (木) 11:14:01) のソース

//※正式なジャンル名、初回限定盤の価格、開発元についての情報をご存じの方がいらっしゃいましたら追記をお願いいたします。
//限定版のみ大量生産したため、実際に出回ったのは初回版のみで通常版は販売されてない。
*ミニ四駆シャイニングスコーピオン レッツ&ゴー!!
【みによんくしゃいにんぐすこーぴおん れっつえんどごー】

|ジャンル|シミュレーション|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/410PWkYCwCL.jpg)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|発売元|アスキー|~|
|開発元|キッド|~|
|発売日|1996年12月20日|~|
|価格|8,800円(税抜)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|良くも悪くもリアルすぎる設計&br()勝ち方を知らないときつい|~|
|>|>|CENTER:''ミニ四駆シリーズ''&br; ''シャイスコ'' / [[WGP2>ミニ四駆レッツ&ゴー!! POWER WGP2]] /  [[GB>ミニ四駆GB Let's&Go!!]] / [[オールスターバトル>ミニ四駆GB Let's&Go!! オールスターバトルMAX]] |

**概要
雑誌『コロコロコミック』に連載され、第2次ミニ四駆ブーム((ミニ四駆そのものが大ヒットするきっかけとなったのは徳田ザウルスが「コロコロコミック」に連載した『ダッシュ!四駆郎』(と同作のアニメ)であり、アニメ放送の打ち切りとほぼ同時に第1次ブームも終焉した。ちなみに、『レッツ&ゴー!!』の作者こしたてつひろは同時期に「コロコロコミック」で『炎の闘球児 ドッジ弾平』を連載していたが、「別冊コロコロコミック」でも『ミニ四駆RC伝説 燃えろ!アバンテ兄弟』という作品を連載していた。))を牽引した『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』初のゲーム化作品。~
主なストーリーや登場人物は原作の国内編に準拠しているが、オリジナルキャラクターが主人公であり、原作・アニメと異なるところも多い((登場人物のマシンが初めから「スーパーグレートジャパンカップ」出場時のもの(ハリケーンソニック、サイクロンマグナム、スピンコブラ、ネオトライダガーZMC...)になっている、原作登場人物の中で唯一「J」が登場しないなど。))。~
本作のタイトルにもなっている「シャイニングスコーピオン」はストーリーモードの冒頭で託される主人公機で、''走行中に色が変化する''という特徴がある((マシンの温度によって模様の色が青→紫→ピンク→赤と変化していき、赤のときに最高速になる。))。

**本作の特徴
基本的にはレースを繰り返していくだけだが、マシンのセッティングの再現度が高く、''ミニ四駆のシミュレータ''としての側面を持つ。
-マシンは「ボディ」「シャーシ」「ギア」「モーター」「電池」「ターミナル(電極)」「タイヤ」「ホイール」「ローラー」から構成され、前後で違うタイヤやローラーをつけられるなど細かなカスタマイズができる(ただし、ストーリーモードではクリアするまでボディとシャーシは変更できない)。

-それぞれのパーツにはパラメータが設定されており、タイヤのゴム・スポンジ、ローラーの口径の大小、ダウンフォースや重量のバランスなど、色々と考える必要がある。
--それぞれのパーツには耐久度があり、長く使うと劣化して性能が落ちるが、モーターだけは少しだけ消耗した状態(ピーク)で最高の性能が引き出せる。
--レース中でもパーツの劣化は容赦なく進行する。長丁場のレースに劣化しやすいパーツを使うと終盤で一気にビリになってしまうことも。

-マシンはセッティングだけでなく改造やメンテナンスもできる。改造はカラーリングの変更や軽量化(肉抜き)、大径のタイヤをはかせる、シャーシに合わないボディを乗せる(クリア後のみ)などの加工が可能で、タイヤは溝を掘ることでグリップ力が高められる。メンテナンスはギアやタイヤなどの耐久力回復と、モーターの慣らし走行(ブレークイン)による性能向上ができる。これらの改造やメンテナンスは、より大きな改造をするための「熟練度」(後述)稼ぎとしても重要である。

-最後のレースである「スーパーグレートジャパンカップ(SGJC)」の車検に合格すると、そのときのマシンのデータがパスワードで保存される。このパスワードを入力するとフリーバトルモードで自分がセッティングしたマシンが使用できるようになる。

**評価点
-ゲーム中に登場するパーツがタミヤ公式の「グレードアップパーツ」であることをはじめとして、性能や総重量・車高・空気抵抗、改造の有無でマシンの性能が微妙に変わるところやレース前の「車検((ただし、審査の対象になるのはモーターのみであり(SGJCはモーターの制限がないので必ず車検は通過できる)、他の違反要素はセッティング画面の時点ではじかれ終了できないようになっている。))」の存在など、現実のミニ四駆レースの再現性が高い。
--レース中はミニ四ファイターの実況も入り、コースアウトや1位争いのデッドヒート、終盤での追い上げなどの熱いレース展開を見せることがある(原作に登場したキャラクターでも普通にコースアウトする)。フリーバトルモードはパスワードを持ちよれば簡単に対人戦ができることから、現在でもネット上で大会を開く有志がいる。

-ストーリーモードの内容は原作に比べるとはかなり端折られているが、星馬兄弟たちとレースができるというキャラゲーとしての魅力は十分に発揮されている。ただし、原作と違って(?)彼らのセッティングは本格的なものであり、マグナムトルネードのような必殺技は使ってこない。大神学園の3人もイベント戦以外では実力勝負をしかけてくる。

**残念な点
本作は''子どものころにクリアできなかったゲーム''として名前を挙げられることが多い。というのも、本作には''実際に走らせる以外にマシンの能力を知る方法がなく、攻略のヒントもほとんどない((中盤になると「ミニ四駆図書館」というセッティングの情報を教えてくれる施設が登場するのだが、ここで得られる情報は大まかなものでしかなく、このタイミングで行き忘れるとその情報すら分からないままゲームを進めることになる。))という、文字どおり暗中模索の状態で攻略をしなければならなかった''からである。
-その中で最も分かりにくかったのが''「熟練度」''。レースの優勝や改造・メンテナンス、特定のイベントクリアなどで上昇する経験値のようなもので、熟練度が高いとコースアウトしにくくなる、シャイニングスコーピオンの色が変化しやすくなる、シャーシにボディを合わせる改造ができる(クリア後のみ)などの効果があるのだが、''ゲーム中では隠しパラメータになっているうえに具体的な効果を誰も教えてくれない''ので、意味がよく分からなかった人も多いのではないだろうか。
--攻略本には「模型店の壁に貼られているランキングシートが多少の目安になる」と書かれているのだが、変動が激しすぎるためにまったくあてにならない。

-セッティングの自由度が高いということは、適切なセッティングを探すのが難しいということでもある。もともとのパーツの値段が高いうえに高いから強いというわけでもないので、選択を間違えると''レースに勝てない→パーツが劣化して速度が落ちる→レースに勝てない…という悪循環に陥って詰む''。
--特に詰みやすいのが、サマーレースとオータムレースの出場権が得られなかったときに参加する「共通予選」。規定タイム内にゴールすればよいだけなのだが、共通予選への参加が決まるとクリアするまで他の町に行けなくなり、負けが込むと態勢が立て直せなくなる。模型店のレースに参加してポイントを稼ぐことはできるが、1回に獲得できるポイントが少ないうえにパーツが劣化しているとここでも勝てなくなり、ジリ貧に追い込まれてしまう。
--タダでパーツを買えるようになる裏技があるため、完全に詰む心配は無い。勿論、説明書等には載っていないので、知らなければどうしようも無いが…

また、マシンのセッティングとレース以外のゲーム内容が薄く、単調で飽きやすいこともマイナス点と言わざるを得ない。
-ストーリーモードは原作のあらすじを組み直しただけのシンプルなものであり、後に戻る機会も必要もまったくない。先に紹介した「共通予選」を除けば文字どおりの一本道である。
--ちなみにこのゲームの模型店にはランクがあり、ランクの高い模型店はランクの低い模型店のパーツをすべて扱っている。最後の町「S・G・シティー」には佐上模型店以外のランクの模型店がすべて登場するが、この町には''「全てのパーツを販売しています」''と豪語する「田宮直営模型店」があるため、他の模型店の存在価値はない。

-ゲーム内のほとんどのイベントが原作の登場人物どうしの会話で終わってしまう。しかも、主人公がよほどのことがない限りしゃべらないし会話にも参加してこないので、主人公なのに影が薄い。

-当然のことながらプレイヤーはレースに干渉できないので、レース中は自分のマシンを見守るだけになる。盛り上がる場面があるとはいえ、ミニ四ファイターの実況のパターンが少ないので、コースが長くなるとさすがに飽きてくる。
--ミニ四駆シミュレータとしてリアルということは、「かっとべマグナ~ム」のような理不尽というか突飛というか浪漫溢れるというか、常識を超えた装備や動きをすることはなく、せいぜいイベントで描写される程度である。そのイベントもセリフだけで片づけられてしまっているのがちょっとさみしい。

-やはりゲームであるが故か、現実には起こらない現象が存在する。
--メンテナンスの項目で「タイヤのゴミ取り」「ターミナル磨き」の項目があるのだが、本来ならゴミの付着などによる余計な劣化を防ぐためのものでしかないものが、''単純にパーツの損耗度が少し回復する''ようになっているため、繰り返しまくるとボロボロのパーツでも新品に戻ってしまう。
--一方で、このようなメンテナンス項目が存在せず、劣化を回復できないホイール・ローラー・電池などはその都度新調することになるのだが、その度に店員から「一度買ったパーツだけどいいのかい?」と念を押されてしまう。気にせず買えばそれでいいのだが、この台詞を聞いて「何か別の方法があるのだろうか?」と買うのを躊躇した人は多いと思われる。
--悪循環に陥って詰む可能性があるゲームなので、こういった非常識な現象はゲーム的にはむしろ有難いのだが、タイヤとターミナルだけにあってもどうしようもない。

-セッティングの項目が本格的すぎて逆に理解しづらい部分がある。~
モーターのメンテナンス項目には「ブレークイン」と言うものがあり、これは要するに慣らし運転なのだが、実際にモーターのベストコンディションを引き出すにはブレークインをした上で少し実際に走らせてモーターの損耗度を若干進めてやる必要がある。~
これは現実のミニ四駆でも存在する現象で、熟練のミニ四駆レーサーには常識なのだが、本来の対象年齢層の子供たちにとってはせいぜい「モーターは少し慣らしてから使うべし」程度しか知らない事が殆どで、ブレークインだけで慣らしが完了してしまったと思ってしまう事が多かった。

-フリーバトルモードではストーリーで走ったコースが順次解禁されていくという仕様だが、ストーリーの中で「共通予選コース」だけは、ずっと勝ち続けていると行く機会が訪れない。~
スプリングレースの難易度が高いために初回プレイで上位入賞というのはなかなか困難だが、一度でも参加しないとフリーバトルで走れないので、どこかの公式レースでわざと順位を落とすか、サブデータの作成が必要となる。

-公式レースのBGMが秀逸なのだが、フリーバトルモードでは聴くことができず、公式レースのコースを選択しても普通のレースの曲になってしまう。

#region(クリア後のご褒美について)
-SGJCに優勝すると、ボディやシャーシが変えるだけでなく、ご褒美としてシャイニングスコーピオンのゴールドメッキボディをもらえる。~
全ボディ中最軽量のスピードタイプのボディなのだが、''一切改造をすることができないためにセッティングの幅が狭くなってしまう''。~
特に大径ホイールを装備するためのカウルを削る改造ができないのは痛く、実際のスピードは肉抜き・大径ワンウェイホイール装備の通常のスコーピオンやサイクロンマグナムに負けてしまう。
#endregion

**総評
セッティングの自由度の高さや最後までどうなるか分からないレース展開など侮れない面白さを秘めているが、当時の購買層である小学生向けのゲームとして見ると、不親切な点や内容の薄さが目立つ。~
特に最大の魅力であるはずの「自由なミニ四駆のセッティング」が説明不足のために、ストーリーモードの難易度を高める要因になってしまったのが惜しい。

**余談・その後の展開
-本作のあとも「レッツ&ゴー!!」のゲームは複数発売されている。1作を除いていずれもミニ四駆レースのシミュレーションゲームになっていることと小学生相手とは思えない難易度の高さが共通している。
--''[[ミニ四駆GB Let's&Go!!]]''(1997年 GB/アスキー):「空力」「ダウンフォース」などのキーワードやレース中に1回だけ加速できる「気合」のシステムなど、ある程度の原作再現がある。
--''フルカウルミニ四駆スーパーファクトリー''(1997年 SS/メディアクエスト)
--''ミニ四駆爆走兄弟レッツ&ゴー!! WGPハイパーヒート''(1997年 PS/ジャレコ)
--''[[ミニ四駆GB Let's&Go!! オールスターバトルMAX]]''(1998年 GB/アスキー):『ミニ四駆GB Let's&Go!』の続編。
--''爆走兄弟レッツ&ゴー!! エターナルウィングス''(1998年 PS/ジャレコ):続編『爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAX』までのキャラクターが登場。''普通のアクションレースゲーとなり、自分でマシンを操作できる''ようになったが、それはもはやミニ四駆ではない気が…。
--''ミニ四駆レッツ&ゴー!! POWER WGP2''(1998年 SFC/任天堂):''5対5のチーム戦を1人でこなす''忙しさも含めてゲーム性が格段に向上、シナリオもなかなか熱い。実は数少ない''任天堂発売の版権ゲー''でもある。

-限定版では、主人公のマシンであるシャイニングスコーピオンのボディが同梱されていたのだが、冒頭のパッケージ画像にもある通り、脇に烈と豪のイラストがあった。これについて、&color(red){''「烈と豪は入っていません」''}という注意書きがあった事は笑い話として語り草になった。Wikipedia等でも「当たり前のこと」と茶化されている。まあ、大人にとっては当たり前でも小学生にとってはどうかは分からない。こんな所だけ小学生向けを徹底しなくても・・・。

-シャイニングスコーピオンは後にキット化され、一般発売された((ホワイトカラーバージョン。限定版のものはパールホワイトカラーで微妙に違う。また、予約者特典としてゲーム中にも登場するゴールドメッキボディがプレゼントされた。))。後にシャーシやステッカーなどを仕様変更したシャイニングスコーピオンプレミアムが発売され、紫とピンク、赤の限定仕様も発売された。
-原作・アニメに逆輸入され、国内編ではミニ四ファイター(アニメのみ)、ワールドグランプリ(WGP)編では中国チームリーダー(原作では全員)の持ちマシンとなった。

-佐上模型店のある最初の町は原作・アニメでは「風鈴町」なのだが、なぜか本作では''「朝日町」''になっている。