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XZR 破戒の偶像 - (2014/06/25 (水) 23:26:18) のソース

*XZR 破壊の偶像
【えぐざいる はかいのぐうぞう 】
|ジャンル|ARPG|
|対応機種|PC-8801mkIISR以降、MSX2|
|発売・開発元|日本テレネット|
|発売日|1988年8月|
|定価|8,800円|
|分類|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|
|ポイント|ヤレ。ゼッタイ。(という訳でもないが)&br();12世紀にコンビナート&br();800年後の最強最悪の敵!|

**概要
-イスラム世界が舞台という異色のARPG。
-いろいろおかしいイスラム世界。
-パワーアップアイテムは麻薬!
-XZRと書いてエグザイルと読む。かなり強引だが。

**ストーリー
-7世紀に起こったイスラム教は、アラブを席巻。ついにイベリア半島からペルシャに跨るイスラム国家、サラセン帝国を誕生させる。だが、時代と共に主導権争いが勃発。正統派と異端派に分かれ、サラセンは正統派セルジュク朝のものとなる。一方、追いやられた異端派。その中に過激な思想を持つ"ASSASSIN"という組織があった。闇に潜む暗殺集団"ASSASSIN"。その首領、シャイフのサッバーフは、セルジュク朝打倒を決意。バグダッドへカリフ殺害のため、選りすぐりの四人の暗殺者を送った。だが、四人は行方知れずとなる。やがてサッバーフの息子、サドラーに命が下る。四人を探し出し、共に使命を果たせと。サドラーは単身、バグダッドへ向かうのだった。((一応、史実を元にしているが、いろいろと違う。))

**特徴
-トップビュー、サイドビューの二つのパートからなるARPG。
--トップビューのパートはADV。町や山、砦などに向かうと、このパートになる。一般のRPGのように店に行ったり、人から話を聞いたりはこのパート。ただ戦闘は発生しない。
--サイドビューのパートが戦闘パート。ダンジョンに入ると、このパートになる。
--他にアジトのパートがある。このパートは向かう町や山、砦を選ぶ。地図が表示されその中から選択する事になる。セーブもこのパート。

-章別のようなスタイルで進むストーリー。
--MAP単位で話が進んで行く。MAP内のストーリーが解決すると、次のMAPへというスタイルだ。ただ先に進んでしまうと元のMAPに戻れない。アイテムを取り忘れて詰まるという事はないが、支障が出る場合はある。

-サイドビューのパートでは、サドラーを操作して戦う。
--仲間がいるのだが、戦うのはサドラーだけ。仲間はストーリー上でしか絡まない。ゲームとして絡んでくるのは、魔術師のファキールが魔法を教えてくれるくらい。
--サドラーは下左右移動とジャンプができる。ジャンプは空中制御可能。また梯子があると登れる。攻撃は剣での突きとしゃがみ突き。それとジャンプ時の下突き。この下突きはかなり威力が大きい。
--魔法が使えるようになると、剣の先から魔法を撃つようになる。身に着けた魔法の中から選択し使う事になる。ただ当然MPを消費していくので、ここぞという時に使うもの。
--敵は地上を這いずっているものから、飛び道具を撃つ者、飛んでる者と様々。ボスももちろんいる。

-「''麻薬''」でパワーアップ!
--シャブ、アヘン、マリファナ、コカイン…。聞いた事くらいあるだろう。本作に出てくる薬の名前である。
--麻薬によって一時的にパワーアップ(ものによってはパワーダウン)ができるのだ。効果は様々。また組み合わせて使う事もできる。ただし、忘れてはいけないのが副作用。所詮麻薬である。効果が切れると副作用が必ず出る。ほとんどのものはしばらくすれば元に戻るが、ものによっては即死する事も。こんな危険なものなので、副作用対策の薬を忘れないように。ただ常習性がついて、止められなくなったりはしない。
--ちなみに何で麻薬なのかというと、ASSASSINは麻薬によって恐怖を麻痺させ、勇猛果敢な戦士となったという伝説が元になっている。((もっとも、これらは後世の言い伝え。そもそもASSASSINなんて言う集団は実在しなかった。キリスト教徒のイスラム教徒への畏怖が、伝説という形で残ったのだ。))

**素晴らしきXZRの世界。
-麻薬でパワーアップって…。
--確かに関連がない訳ではない。というか結構ある。が、イスラムの事を全く知らない多くのプレイヤーにとっては、ぶっ飛んだシステムにしか思えなかった。

-イスラム世界を舞台とした異色作。その世界観も斬新!と言うかおかしい。
--12世紀に19世紀発明された紙巻たばこがある。
--イスラム教徒なのに、露出度の高いヒロイン。
--12世紀に19世紀採用されたトルコ帽をかぶる仲間。
--情報集めのためとはいえ、ユダヤ教の洗礼をあっさり受ける主人公。
-上記のようにおかしな所のある本作だが、当時のゲームとしては目くじら立てる程のものでもないだろう。この程度のいい加減さは、他にもある事はある。だがこれで終わらないのが本作。
--20世紀の合成麻薬が12世紀にある。
--流通してるお金は何故かドル。
--12世紀のアラブにサーカス。
--ナチスが12世紀にいる。パレスチナゲリラもいる。
--石油コンビナートが12世紀にある。しかも河川汚染で、奇形魚が発生している。
-
#region(さらに最後に待ち受ける強大な2体のサタン。)
-とうとう使命を果たし、セルジュク朝のカリフを倒すサドラー。だがカリフは2つの懸念を最後に残す。一つは迫るモンゴル帝国軍へどう立ち向かうか。そしてもう一つは800年後に現れるイスラムの強大な敵の事だった。
-やがてサドラーは、イスラム、いや世界の敵、サタンを倒すため、アラーの力によって800年後に飛ばされてしまう。
-そこにいたサタンとは…''ソビエト社会主義共和国連邦の書記長''、''アメリカ合衆国の大統領''だったのだ。サドラーは二人を暗殺。サタンを見事討ち倒し世界を救ったのであった。
#endregion()

**評価点
-全体的にスムーズに進む。稼ぎをする必要もほとんどない。

-アクションもそれほど難しいものではない。苦戦するようなら、回復アイテムをたくさん持ってごり押し的な突破もできる。

**問題点
-せっかくの麻薬システムがあまり意味がない。
--ARPGなので、パワーアップしている間だけ戦闘するという都合のいい戦いができる訳もない。さらに魔法がかなり強力で、ボス相手でもこれで十分。副作用のある面倒な麻薬を使う必要がないのだ。

-所持アイテム数が少ない。
--アイテム保持数は最大20個まで。この中にはキーアイテムも含まれる。しかもキーアイテムが捨てられない。おかげで話が進めば進むほど、アイテムを持つ余裕がなくなっていくのだ。これも麻薬を使わなくなる理由の一つ。

-上に攻撃できないので、状況によっては身動き不能になる事も。
--梯子を上っている時、敵が頭の上に来ると先に進めない。上に攻撃できないので倒す事もできない。さらに敵も上下には攻撃できないので、膠着状態になってしまうのだ。段差のある所や梯子の出口などで、敵に上から被さると、リセットするしか手段がなくなる事がある。

-トップビューパートで、分りにくい通路がある。一見すると隠し通路のようだが、実は普通の通路がこうなっている。もう少し配慮が欲しかった。

-魔法が強すぎて、後半はボス戦は結構あっさり。魔法取得後は、むしろザコの方がやっかい。ザコの攻撃の種類が増えた一方で、魔法の無駄遣いはあまりできないので。

-大味というか行き当たりばったりなストーリー。お使いが結構多い。しかもカリフ暗殺のために選りすぐられた4人は、勝手な事してばかり。人選ミスなのではという気にすらなる。

**総評
イスラムが舞台と言う珍しいARPG。ただし世界観はツッコミ所満載。またゲームとしても少々雑。せっかくの麻薬システムはほぼ無意味。ストーリーも支離滅裂な所があり、苦笑いさせられる。&br();一方、プレイテンポはかなりよく、バランスもほどほど。アクション性も対応機種の性能にしては、それなりに頑張っている。&br();プロローグこそシリアスな雰囲気があったが、勢いだけでやってしまったかのよう作りが全体をバカっぽくしてしまっている。もっとも、日本テレネットらしいとも言えるRPGだ。

**余談
-PCエンジン版も出ているが、中身はまるで違う。実は、PCエンジン版は本作の続編であるXZRIIをベースにしているのだ。やはりラストの2体の怪物が問題だったのだろうか。