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トゥルーラブストーリー2 - (2023/06/11 (日) 00:16:51) のソース

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*トゥルーラブストーリー2
【とぅるーらぶすとーりーつー】
|ジャンル|恋愛シミュレーション|&amazon(B000069U26)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|メディア|CD-ROM 3枚組|~|
|発売元|アスキー|~|
|開発元|ビッツラボラトリー|~|
|発売日|1999年1月21日|~|
|定価|6,800円(税抜)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[エンターブレイン恋愛シミュレーションシリーズ]]''|

**概要
-1996年に第一作が発売された、『[[トゥルー・ラブストーリー]](以下TLS)』シリーズの第二作。当時としては斬新な試みが施され、ダークホース的な人気を受けた前作。その評価を受けて、TLSは本作から正式にシリーズ化された。通称『TLS2』。
--本作から題名の中黒「・」が無くなっている。
-良作ながらも荒削りであった前作を、コンセプトはそのままに、全体的な内容強化が図られた。シリーズ全体の基礎は本作で完成され、TLSシリーズの最高傑作に挙げられることも多い。

**内容
-本作も前作と同様、転校を目前に控えた主人公が、残りの一ヶ月間で恋人を作ろうと奔走するお話。とはいえ前作とは舞台、人物等共通点は全く無い。

-本作は四季毎ではなく学期毎で物語が分かれ、DISC1~3が、それぞれ1~3学期に対応する。また、前作では季節が違っていてもイベントはほぼ共通だったが、今作では学期毎に対応するイベントが発生するようになっており、特に、各学期の三週目に発生する夏祭り、文化祭、体育祭のイベントにヒロインを誘うことが、一つの目標となる。
--ディスクはそれぞれ単体で動くようになっており、一つの学期だけなら一枚だけでEDまでプレイ出来る。地味ながら良い点である。
--微々たる違いではあるもののOPムービーもディスク毎に異なり、確かな拘りが散見される。

-攻略対象はメインヒロイン四人、学期限定キャラ二人×3で全十人。実際のところ、前作と比較して一人しか増えていないが、キャラ同士の横の繋がりを増やしたことで((前作では、妹とヒロインの一人ぐらいが精々だった。今作では、各キャラは主人公以外と何らかの繋がりを必ず持っている。))、前作ではチョイ役程度だった友人、妹、先生等の出番がグッと増加。ゲームが全体的に賑やかに。
--特に理由の無い非攻略ヒロイン、隠しキャラクターは、本作から登場している。

-ゲームの進行、下校会話、攻略方法については、前作と大差無いが、それぞれ細かいながらも劇的な改良がされている
--マーカーの採用。これは移動場所を選択する際、条件を満たしていれば、移動場所に!や?、☆のマーカーが付く。それぞれ、誰かがいる場所、イベントが発生する場所、チェーンイベント含む重要なイベントが発生する場所を示しており、これらによって、イベントの取りこぼしが少なくなった。
---前作では、どこで何が起きるかはカンに頼るしかなかったので、かなり大きな改良点である。&br()もっとも、誰がいるかは伏せられており、また☆以外のマーカーは、マーカーがあるからと必ずしもイベントが発生する訳でもなく、無いからと発生しない訳でもない。あくまで、目安であることに注意。
--下校会話の選択肢に、「寄り道をする」が追加。好感度が一定以上であれば、寄り道イベントが発生する。全三回まで発生し、後になればなるほど難易度は高い。
---前作では、下校会話の使用先が「デートに誘う」のみに限られていたので、プレイに慣れると、後半は持て余してしまうこともあった((それでも『TLSR』では、オマケながら全三回デートに誘えるようになったので、持て余さずに済むようになった。))。今作では寄り道に加え、上記の学期毎のイベントに誘うことも出来るので、最後まで緊張感ある下校会話を楽しめる。
--チェーンイベントの採用。ヒロインの数人には、いわゆる「ルート」があり、幾つかのイベントを連続して発生させてフラグを回収して攻略する。

**評価点
-前作の面白さはそのままに、ディスク三枚組の大容量によって、大幅な内容アップを実現できている。特に、上に挙げた&br()1.学期イベント、寄り道追加&br()2.マーカーの採用&br()は、まさに正統進化に相応しい追加要素である((特に後者は、形を変えながら現在まで一要素として残っている。))。もちろん、イベントや日常での演出の数々は、相変わらず容赦なく泣かせに掛ってくる。

-その他の点に目を向けると、
--全体的なキャラクター性の強化。
---前作では「普通」という要素を全面に押し出し、リアルなキャラクタ像を確立して話題であったが、同時に印象が薄いことが難点であった。今作では前作のコンセプトをそのまま引き継ぎながらも、またイベントの進行による内面描写を増やすことで、ゲームの進行に伴ってキャラを深く掘り下げることに成功している。一見何の変哲もない普通のキャラであっても、良い意味で、スタートとエンディングとでキャラの印象が全く違っていることもザラ。
---「女の子とのコミュニケーションによって、キャラを引き出していく」TLSシリーズのゲームデザインが、ようやくここで結実したと言える。
--キャラクターデザインの変化。
---前作ではまだ粗かった松田浩二氏のタッチが、一般的に人気の高い、丸みを帯びた温かみのあるタッチに変化した。
--今から見ても当時で見ても、非常に豪華な声優陣。
---一番乗りに乗っていた時期のせいか、シリーズ中でも特に声優が豪華。全学期共通ヒロインだけでも永野愛氏や川上とも子氏、夏木リオ氏に飯塚雅弓氏と相当な顔ぶれだが、季節限定ヒロインにまで目を向ければ長沢美樹氏や今井由香氏、皆口裕子氏に岩男潤子氏と全く引けを取らない。サブキャラも田村ゆかり氏に南央美氏といった女性陣から、関智一氏に阪口大助氏といった男性陣まで全く抜かりの無い顔ぶれが揃っている。

**賛否両論点
-自由度の低下。
--上記のチェーンイベント、いわゆる「ルート」を採用したことで、前作の特徴だった自由度が大幅に下がってしまっている。前作ではたとえイベントを集められなかったとしても、好感度さえ条件を満たしていれば、(一部人物を除いて)クリアが可能であり、今作でも一応踏襲されているのだが、一部キャラには多少シビアなフラグ管理が求められる((もっとも、上記のマーカーの採用によって、難易度はそこまで高くはない。))。これによって、読むものになってしまったという批判がある。
--また、第三週目に学期固定のイベントが設定されたことで、周回プレイの内容が似通ってしまうという弊害も。
--もっともなかよし傾向かあこがれ傾向かによってイベントの差異はあり、フラグ管理が必要なのは一部のキャラに留まっているため、プレイの幅が狭まった訳ではない((この点でいえば、むしろシリーズ中でもまだ自由度は高い方。))。イベントを増やした結果であると考えると、中々悩ましい問題である。
---これに関しては、同年発売の『[[ときめきメモリアル2]]』でも同様の批判がされている。共通しているのはどのようにして既存のシステムにストーリー性を盛り込むか、という試行錯誤の結果である。

-キャラクター性の強化は図られているが、突飛な見た目や性格のキャラは相変わらずほとんどいないため((全くいない訳ではない。))、一見ではやはり地味な印象は拭えない。上記の通り、イベントを進めていくことで段々とキャラの個性を感じさせるようにはなっているが、一発の「強さ」は求められない。
--もっとも本シリーズはむしろそこを特徴として、現在まで続けている。ここは「らしさ」と捉え、じっくり腰を落ち着けてプレイして欲しいところ。

**問題点
-UI自体に進化は見られない。つまり、相変わらずあまり快適ではないということでもある。必要最低限度は整っているのでダメという訳ではないが…。

-相変わらず、傾向を決定するイベントが分かり辛い。前作でも分かり辛かったが、傾向変化によるイベントに大きな違いはなく((キャラによっては、むしろ本来の傾向から外れることにより、起きないイベントの方が多くなる。))、一種のおまけ要素なので問題は無かった。が、チェーンイベントのある今作のキャラは傾向の決定によってルートが決まり、全く違う物語が進行するので、条件が分からないと同じルートを繰り返したりクリアに影響したりと、少々不親切な仕様になっている。

**総評
まさに前作の正統進化。TLSシリーズのシステムは本作で完成したと言ってもよく、後のエンターブレイン恋愛シミュレーションシリーズは、ほとんど本作をベースにしている。~
もちろん、システムだけではない。内容もかなりの充実が図られ、イベント、キャラ等、シリーズ中でも最高クラスの水準である。初めての人はもちろん、後継作品から入った人も、「TLS1(orR)はちょっと古臭くて……」と思ったなら、こちらをとってみると良いかもしれない。

**余談
-本作のパッケージのみ、ヒロインが描かれていない。また、シリーズで唯一メインヒロインがOP・EDを歌っていない作品でもある((三作目『3』はOPのみメインヒロイン役のたかはし智秋氏が担当。四作目『TLSS』はそもそも楽曲が使われていないが、OVAではメインヒロイン役の桑谷夏子氏がOP・ED共に歌っている。))。
--ちなみに本作のOP・EDを歌っているのは、前作のメインヒロインを演じた菊池志穂氏。
-舞台になった『青葉台高校』は、グラフィック担当の高山箕犀氏((後のキャラクターデザイン。))の母校、茨城高等学校がモデルとなっており、EDでは取材協力としてクレジットされている。