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マリオブラザーズ - (2017/01/28 (土) 01:24:46) のソース

*マリオブラザーズ
【まりおぶらざーず】
|ジャンル|アクション|CENTER:&image(http://famicomdaisuki.up.seesaa.net/image/E3839EE383AAE382AAE38396E383A9E382B6E383BCE382BA20E98A80E7AEB1.jpg,height=200)&br();&amazon(B00022FI30)|
|対応機種|アーケード、ファミリーコンピュータ|~|
|メディア|192KbitROMカートリッジ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|任天堂、インテリジェントシステムズ|~|
|発売日|1983年9月9日|~|
|定価|3,800円&br()4,500円(値上げ後)|~|
|プレイ人数|1~2人|~|
|配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2006年12月12日/500Wiiポイント&br()【3DS】2013年5月8日&br()【WiiU】2013年5月29日/上記共に500円|~|
|備考|ゲーム&ウオッチ版あり|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|リアル大乱闘マリオブラザーズ&br()ジャンプ制御が難しい&br()対戦が熱い|~|
|>|>|CENTER:''[[マリオシリーズ・関連作品リンク>マリオシリーズ]]''|

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#contents(fromhere)
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**概要
マリオシリーズとしては第1作目の作品。~
配管工となったマリオとルイージが、下水に住む大きなカメ・カニ・ハエなどの敵をひっ繰り返し蹴飛ばして退治していく。

同名のアーケードゲームの移殖作だが、こちらの方が知名度が高いため、本記事ではファミコン版を中心に解説する。~
基本的にファミコン版はアーケード版から忠実に移植されたが、ハード性能からアーケード版より様々な仕様が変更され、一部ギミックも削除されている。~

**ゲーム内容
-マリオとルイージ(1Pの場合はマリオのみ)は、配管から次々と現れる敵キャラクターをブロックの下からジャンプで叩いてひっくり返し、自機で接触して蹴り飛ばすことで除外していく。
--ひっくり返った敵は放置すると復活してスピードアップするが、突き上げても復活してしまう。この場合スピードは変わらない。
--ステージ下部の中央には3度叩けるPOWブロックが存在し、接地しているキャラに全て突き上げの効果を与えることが出来る。2回目以降のボーナスステージごとに復活する。
--1体の敵を倒すごとにスコアアイテムのコインが落ちてくる。コインはブロックで突き上げる他、直に接触することでも入手可能。

-最下段には小さな配管があり、そこに入ると敵は再度同じ状態で上の配管から出現する。プレイヤーキャラは配管に入ることは出来ない。
--ステージは1画面ループ構成となっており、画面端に行くと反対側から登場する。敵も最下段を除いてループする。全ての敵を除外すると1PHASEクリアとなる。

-エンディングがない俗にいうループゲームであり、ファミコン版はPHASE17以降はPHASE13から、アーケード版はPHASE23以降ゲーム内容はPHASE16から22までのループとなる。
--どちらもカウントはゲームオーバーまで継続されるが、画面上の旗による表示は大旗が5ごとの表示であるが25以降はずっと「KO」表示となる。
--ボーナスステージも存在し、画面内に浮いているコインを時間内に全て収集することでパーフェクトスコアを得られる。

-移動操作には慣性があり、移動中にレバーをニュートラルにしてもすぐには止まれない。また、レバーを移動方向の逆に入れると一定距離を滑ってから方向転換する。レバー入れっぱなしで走るが、レバーを一瞬入れることで歩くこともできる。

-2Pプレイの際は協力プレイとなるが、自機同士が接触すると勢いの強いほうが押し出され、勢いが同じだと押し合いになる。
--ジャンプなどの際も同様で、他のプレイヤーを踏むと空中へノックバックしてしまう他、敵キャラと同じように足場下から突き上げられると浮き上がってしまう。
--このため、近くで行動しているとお互いが邪魔をしあってしまうため、協力プレイの際は分担作業が必要となる。

-逆に言えば仕様を逆手にとって、協力すると見せかけて敵にわざと当ててミスを誘うということも可能。
--アーケード版のインストカードやコイン投入前のスタンバイ画面では「''協力し合うか、それとも裏切るか…''」というフレーズが書かれており、予め対戦・協力の2つのプレイスタイルを制作側が意図していたことが伺える。
--実際、この仕様を利用した対戦ルールなども開発され、特にアーケード版では白熱した対戦を見ることが出来る。

***敵キャラクター
敵キャラクターは、他の敵やコインと接触すると方向転換を行う。また、ひっくり返された状態で一定時間放置された後に起き上がると色が代わり、移動スピードが早くなる。~
また、全てが転倒していた場合を除き、移動中に最後の1体となったカメとカニは、最大スピードへと一瞬で変化する。()内の名称は、アーケード版のデモで紹介される名前である。
-カメさん(シェルクリーパー)
--動きが緩慢で叩きやすい。ノコノコではない((ただし、ノコノコの見た目や後述の設定は明らかにカメさんを引き継いでいる。))ので、歩行中に踏んだりしても返り討ちに合う。
--ノコノコにより「亀は踏めるもの」というイメージが確立したため、後のマリオシリーズにおいてミニゲームとして収録された際には踏めないことを示すためトゲゾーに変えられていることが多い。
---マリオシリーズではおなじみの「亀の甲羅は被り物」という設定は、実は本作が初出((ひっくり返った後の復帰時にちょっとだけ甲羅を脱ぐ。移植版では省略されている))。音楽スタッフの田中宏和氏の思い付きをそのまま採用したとか。

-カニさん(サイドステッパー)
--カメより少し移動速度が速い。2回叩かないと転倒させられず、1度叩くと怒り出し、移動スピードがアップする。
--怒っている最中にスピードアップが乗ると自機では到底逃げ切れない凶悪なスピードになる。叩いた時のノックバックも大きい。

-ハエさん(ファイターフライ)
--飛び跳ねながら移動する敵。最後の1体になってもスピードは変わらないが、転倒から復帰すると他の敵と同じようにスピードアップする。ただし色の変化はなし。
--当然ながら飛んでいるときは転倒させられないので、着地した瞬間を狙う必要がある。しかし一度転倒させるとゆっくり落下していくため、蹴り飛ばしやすい。
--彼だけは「ファイターフライ」という名前が公式で採用されやすい。

-スリップアイス(フリーズ)
--一定距離移動すると足場に氷を張らせる敵。撃破しないと凍った足場で滑りやすくなり、ミスが誘われやすくなる。接触してもミス。1度下から叩けばそれだけで破壊出来る。
--敵としてはカウントされておらず、他の敵を全て倒せば一緒に消える。
--最上段、および最下段は凍らせない。

-ファイヤーボール&グリーンボール
--ファイヤーボールは時間が経つと上方から画面をバウンドしてくる火の玉。さらに長時間たつと勝手に消滅し、スピードアップして復活してくる。
--グリーンボールは一定時間同じ場所にいると画面を横断するようにふらふら飛んで来る。
--同じく敵としてカウントされていない。難易度設定の影響を受ける要素は実はこれだけである。それだけに殺意が高く、死因となることが多い。
--足場ブロックに近い位置を通った際にブロックで突き上げると破壊して得点を得られる。ただし、次に出現した時のスピードが上がる。
---パワー床を叩くと無条件で消えるが、この時は得点にならずスピードアップもしない。


***アーケード版とファミコン版の差異
基本的には容量の関係で削除されたものが多い。
-ドット絵の違い
--全般的にアーケード版よりファミコン版は敵キャラが小さくなっている。火の玉の大きさの違いは特に顕著で、アーケード版はかなり大きいうえに軌道も複雑。
---消すと火の玉の移動速度が高速化するが、アーケード版はただでさえ判定が大きいのでかなり脅威となる。
--色が変わっていくパターンもアーケード版とファミコン版で異なる。例えばカメさんなら「アーケード版・緑→紫→赤、ファミコン版・緑→赤→全身青」など。
--マリオとルイージの配色が違う。特にルイージはアーケード版のほうが現在に近く、ファミコン版では白のオーバーオールへと変更された。~
また、解像度の影響でファミコン版ではマリオとルイージの目が点で表現されているが、AC版では白目に黒目の入ったデザインで天井を叩く際に目線を上に向けるなどの芸の細かさがあったが、そうした違いもなくなっている。
---マリオの配色が現在(赤い帽子とシャツに青いつなぎ)と異なり「青い帽子とつなぎに赤いシャツ」。青い帽子のマリオはシリーズ通しても珍しく、イメージカラーも赤ではなく青で、筐体やタイトルロゴの配色に反映されていた。もし当時にポケモンが企画されていたなら、発売されていたのは「青」と「緑」だったであろう。

-アーケード版からファミコン版で削除された演出
--また、アーケード版では火の玉やつららにやられるとキャラクターが燃える・凍るといったミス演出があったが、ファミコン版は通常敵に触れた際の演出と同じ。
--カメさんは転倒からの復活時、甲羅を脱いで再び入り直す演出がアーケード版にあったが、ファミコン版は起き上がるだけとなっている。
---また、この演出がないためカメさんの復帰速度が事実上、AC版よりも早くなっており、そういう意味ではファミコン版のほうがやや難易度が高まっている。

-アーケード版専用ギミック・つらら
--アーケード版PHASE17から登場する(最上段の床の色が青になる)。最上段からつららが段々と形勢され、完成すると下に落下する仕掛け。
--下のブロック床での突き上げ判定に重なるまで成長すると、ブロックから叩いて破壊することが出来る。

**評価点
-単純明快なゲーム性と絶妙な難易度調整
--敵を床下から突き上げて、敵を蹴り飛ばすだけというわかりやすいゲーム内容のおかげでとっつきやすく、誰でもプレイが出来る。~
『[[スーパーマリオブラザーズ]]』以降しかプレイした事がないとシステムの違いに戸惑うかもしれないが、理解の難しい内容ではない。
--なお、プレイしやすいというだけでゲームの難易度は決して甘くはない。敵のパターンは上記しかいないが、それらを巧みに組み合わせた難易度調整は実に絶妙。

-自由度の高いゲーム性
--本作の2Pプレイは基本的に協力プレイだが、先の通り対戦ゲームとしての側面もあり、他プレイヤーを罠に陥れる策がいくつも存在する。
--倒れていた敵を蹴り飛ばそうとしている他プレイヤーに合わせて敵を叩いて起こし、ミスさせるという戦法はもはや定石。
--他機と接触すると押し出すという性質を利用し、押し出される直前にスカして敵に当てるというやり方などもありで、かなり熱い読み合いが繰り広げられる。
//---それ故にリアルファイトが起こることもしばしばであったが、この手のタイプのゲームにはお約束のことではあった。

**問題点
-ジャンプ制御の難しさ
--ジャンプする前はある程度制御出来るが、ジャンプした後が問題。このゲームは空中で移動制御することが出来ず、本作で操作に癖があると言われる原因となっている。~
ジャンプの感触が重い上に、自機そのものに強い慣性が働いていることも制御のし難さに繋がっている。後のマリオシリーズと比較しても、本作は特に制御しづらい。~
パワー床に乗るためには慣性を理解する必要がある(普通に乗ろうとしてもパワー床上では止まれない)。具体的には、歩きながら(≠走りながら)ジャンプしないと乗れない。
---ジャンプ軌道は、「走る(レバー入れっぱなし)」と「歩く(レバーを小刻みに入力する)」で変化する。また、この使い分けは凍った床などでも重要である。
--一度他プレイヤーに打ち上げられると、場所によっては延々と垂直にノックバックさせられ続ける状態が起こる。これは対戦モードでは確殺のテクニックとして利用される。
---ただしこの状態だとノックバックさせている当人も動けなくなる。もっとも、これをかけている方が超有利なことに変わりないが。

-エクステンド設定の不自由さによるバランス崩壊
--ノーエクステンド以外はどの設定でも初回以外は3万エブリとなるので、結局は「3万エブリorノーエクステンド」となり店舗としては設定によって客層に合わせた調整をしにくくなっている。
---この反省からか、以後の任天堂作品ではアーケード撤退まで「初回エクステンドとエブリエクステンドを個別に設定可能」と設定の幅が広げられている。
---ファミコン版ではエクステンドは1回限り。

-ファミコン版におけるアトラクトデモの削除
--アーケード版ではプレイ前に敵の倒し方を掲示するデモが入るのだがファミコン版では削除された。
--容量的に仕方ないし、やればすぐ覚えられるとはいえ、ちょっと残念な仕様である。

**総評
単純明快、しかし奥が深いという任天堂のゲームらしさを体感出来る完成度の高いゲーム。~
アーケード版と比べると演出の劣化、仕様の変更はややあるものの、ファミコン版でも本作の魅力を十分、再現しており、白熱したプレイが楽しめる。~
後にマリオが主演して大ブレイクを果たした『[[スーパーマリオブラザーズ]]』と比べると知名度は低い。~
しかし、現在でもリメイク版が登場したり、ステージモチーフとして利用されるなど、非常に愛されたゲームであるといえよう。

**対戦ゲームとしての本作
本作には、システムを考察したうえで定められたローカル対戦ルールが存在する。~
特に有名なのは、アーケード版における「3面ルール」である。ファミコン版は3面がボーナスステージなため、これは適応出来ない。~
これは、「3面をクリアするまでにどちらが相手の残機を多く減らせるか」というもの。また、クリア時点で残機が同じ場合、獲得スコアが勝敗の判定に利用される。~
一見単純なルールだが、「先に敵を倒し、コインを獲得することで判定勝ちにおいて有利をとる」、「とにかく立ち回りで相手を罠に陥れて残機を一気に減らさせる」など戦術の幅が広く、大変盛り上がる。

なお、スコアのシステム上滅多に起きないが、同残機・同スコアだった場合はボーナスステージの次のカニさんが登場するステージで「1戦限りのサドンデスを行う」というルールが基本である。~
//非公式ながらこのルールでの大会が開催されることも多く、特に盛り上がると筐体の周囲に黒山の人だかりが出来るほど人が集まる。

**移植版
本作品は様々なハードに移植・リメイクが行われているが、いずれもファミコン版準拠となっている。

-''帰ってきたマリオブラザーズ''
--前述したようにジャンプの空中制御が可能になっている他、つららの復活やグラフィックがアーケード版に近い出来になっている等、アーケード版を基にした調整が行われており、遊びやすさが向上している。
--本作は永谷園とのタイアップで発売されているため、ゲーム開始時にCMが入る。また書き換え料金が400円と他のソフトより100円安価であった。
--このゲームには「オリジナル マリオブラザーズ」と「永谷園ワールド」の2つのモードがある。ゲーム内容自体は全く同じだが、永谷園ワールドには以下の追加要素や特典があった。
---ゲームオーバーになった時に一度だけスロットに挑戦でき、残機を獲得してコンティニューできる可能性がある。
---一定以上のスコアを獲得した時に表示される画面の写真を任天堂に送付すると「マリオ3」のトランプ等の商品がもらえるキャンペーンを行っていた。

-[[スーパーマリオブラザーズ3]]
--2Pプレイ時に他方のプレイヤーが居る場所でAボタンを押すと、本作をベースとした対戦ゲームが発生することがある。ルールは若干異なっている。詳細は同項目参照。
--本作以降ノコノコとの混同を避けるためか、カメさんがトゲゾーに差し替えとなっている。

-[[スーパーマリオコレクション]]
--マリオ3に付属した対戦専用ゲームであることは同様だが、本作はマリオ3のタイトル画面から直に開始できるようになった。
--スーパーマリオの状態から始まる、ノコノコが登場し踏んづけて蹴飛ばせる…と、さらにバトル向きの内容にアレンジ。
---回復要素としてスーパーキノコもある。もちろんこれを取ろうとしてきた相手に攻撃をかますという駆け引きも面白い。
--なお、コインを先に5枚とったほうが勝ちというルールも併用されており、敵をひたすら倒してコイン収集に勤しむという戦法もあり。

-GBA版(スーパーマリオアドバンスシリーズ、[[マリオ&ルイージRPG]]に収録)
--コレクション版のリメイク。アドバンスシリーズ全タイトルと「マリオ&ルイージRPG」におまけとして収録されている。
--最大4人同時プレイが可能に。マリオの性能が強化されており、USAと同様にしゃがみからの大ジャンプが可能になっている。
---2つのモードがあり、クラシックは原作同様に全ての敵を倒してステージを進んでいく。バトルは色違いのマリオ同士の戦いとなり、また原作にはなかったゴミ箱やアイテム、倒せない敵クッパなどの要素が追加されている。
---残機が4以上溜まるようになり、敵を連続で5匹倒した時やボーナスゲームをクリアするなど、原作より1UPの機会が増えている。
---全てのソフトそれぞれに互換性があり、全員が同じ作品で統一しなくてもこのモードをプレイ可能となっている((ちなみにバトルは1カートリッジプレイ対応。クラシックは人数分のカートリッジが必要(マルチカートリッジプレイ対応)となっている。))。
--クラシックのタイトル画面がある意味豪華。アーケード版にしかないタイトルデモと、ファミコン版にしかないタイトルBGMの両方が盛り込まれている。
--クラシックでは、アーケード版にしかなかったつららが復活しているほか、最上段の配管部分につららが出来たり、凍ることのなかった最上段の床も凍らされるなど、難易度は上がっている。

-また[[大乱闘スマッシュブラザーズX]]に本作をそのままモチーフとしたステージが登場している。~
ルール上、左右の画面ループがなくなっており、敵キャラに接触すると真横に大きくふっとばされる。下からの突き上げや攻撃ワザで敵キャラをひっくり返して相手プレイヤーに投げつけることもできる。

**余談
-あまり知られていないが、本作の始祖は、1983年7月14日に稼働開始したアーケード版ではなく、それより先の1983年3月14日に発売されたゲーム&ウオッチ版である。
--ゲーム&ウオッチ版は舞台が工場で、ベルトコンベアによって運ばれてくる荷物を落とさないようにマリオとルイージを同時に操作して運んでいくゲームだった。このゲームこそルイージのデビュー作である。
--以後、ゲーム&ウオッチ版だけでもマリオ登場作品が乱発されることとなり、様々な職業を転々とすることともなる。