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タイムクライシス5 - (2017/12/11 (月) 13:32:48) のソース

*タイムクライシス5
【たいむくらいしす ふぁいぶ】
|ジャンル|ガンシューティング|#image(TC5_KYOUTAI.jpg,height=240)|
|対応機種|アーケード|~|
|販売・開発元|バンダイナムコゲームス|~|
|稼働開始日|2015年3月12日 |~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''黒歴史''|~|
|ポイント|''9年ぶりのシリーズ新作''&Br;「守り」から「攻め」を意識したゲームシステムへ&Br;サブウェポン・バグなど劣化した部分も多め&Br;未完成商法?&br疑問が残る続投キャラの扱い|~|
|備考|2015年10月22日にアップデートで「真の黒幕編」追加|~|
|>|>|CENTER:''[[タイムクライシスシリーズリンク>タイムクライシスシリーズ]]''|


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#contents(fromhere)
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**概要
前作『[[タイムクライシス4]]』から9年(『[[レイジングストーム]]』を含むと6年)ぶりに稼働した、ガンシューティング『[[タイムクライシス]]』シリーズ最新作。~
『3』の発展形であった『4』と比較すると新システム(後述)を多数実装した意欲的な作品となっている。~

キャッチコピーは''「守るタイクラから攻めるタイクラへ」「バカめ 横がガラ空きだぜ!」''

**ストーリー
>国際特殊諜報機関のVSSEは、ある廃リゾート島で行われる兵器マーケットにおいて、機密情報がVSSE因縁の敵であるワイルド・ドッグに引き渡されるという情報を掴んだ。~
機密データは3ヶ月前に殺されたVSSEエージェントから奪われたもので、データには「VSSE内部に潜む裏切り者」の情報が記録されていた。~
VSSEはデータがワイルド・ドッグの手に渡ることを阻止するため、若手のエージェントであるルーク・オニールとマーク・ゴダート、ワイルド・ドッグとの交渉役である古参エージェントのロバート・バクスター((『2』における2P側主人公。))、後方支援担当のキャサリン・リッチの計4人のエージェントを派遣、機密データの奪還を試みる。~
~
しかし、おとり交渉のさなか、ワイルド・ドッグはVSSEの存在に気付き逃走。~
若きエージェント達は機密データを奪還すべくワイルド・ドッグを追撃する…。

#region(「真の黒幕編」ストーリー、ネタバレ注意)
>ロバートが機密データの入ったアタッシュケースに撃ち込んだ発信機の信号を追い、エージェントたちはワイルド・ドッグの保有する兵器工場へと向かう。~
ロバートは機密データを巡る事件にかつての相棒であるキース・マーティン((『2』における1P側主人公。))が関わっていると確信。ルーク、マークと共にデータを追い工場の奥深くへと進んでいく。~
そしてロバートの予想通り、工場の内部にて待ち構えていたのはキースであった。キースは「裏切り者の動向を探るために動いていた、目的は機密データだけでワイルド・ドッグと組んではいない」と語るが、ロバートは「そんな話を信用できるか」とこれを一蹴。対立する二人は激突することになる。~
~
機密データに記された、VSSE内部に潜む「真の黒幕」の正体はキースなのか?そして、真の黒幕の思惑とは…?

#endregion

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**ゲームシステム
今作も''「ペダル操作(遮蔽物に隠れる)を駆使して、時間内に敵を倒して進んでいく」''というシリーズのコンセプトを踏襲しているが、キャッチコピー通りの「攻め」を意識した意欲的な新システムを多数追加している。

-''新型ハンドガンコントローラと武器切り替えボタン''
--ハンドガン型コントローラ(以下ガンコン)は新造され、より軽量化することで取り回しを改善するとともに新たに「武器切り替えボタン」を搭載。これによりペダルを踏んでいる時でも切り替えボタンを押すことで武器を切り替えられるようになった。一方で、「ペダルを離している間にトリガーを引く」という従来の切替方法は廃止された。
--銃撃時の反動機構は従来のスライドが動く『ブローバック』から銃グリップ内部のモーターが振動する『バイブレーション』へと変更。これによって反動は抑え目となってしまったが、従来のガンコンの弱点であった耐久性の大幅な向上がなされている。
--サブウェポンも前作から変わらず、連射速度を重視したマシンガン、広範囲を攻撃できるショットガン、広範囲を一撃で攻撃できるグレネードの3種を使用できる。

-''ダブルペダルシステム''
--稼働前から宣伝されていた新要素。従来作では1つだったペダルが本作では「L」「R」の2つに増えている。この2つを使い分けることで左右の異なるポジションを移動し、異なる角度から攻撃することができる。前作の「マルチスクリーンバトル」を発展させたかのような内容であり、ペダルを増やすことで前作の「視点移動の暴発」という欠点を解消している。
--ペダルを踏み分けることで「防弾盾を構えた敵に対し、左ポジションからでは攻撃を防がれてしまうが、右ポジションに移動することで無防備な側面を狙い撃ち」「右ポジションに向かう集中砲火を左ポジションに移動してやり過ごし、敵を左ポジションから攻撃」「右ポジションの画面を塞ぐ煙幕を避けて左ポジションに移動」など、攻略を有利に進め、膠着した状況を打開することが可能。
--側面から無防備な敵兵士を撃つと''「SIDE ATTACK」''となりスコアボーナスが入るが、攻撃を連続ヒット(コンボ)させることが出来なくなる。またポジション移動は回避動作としても使用できる。

-''「MOVE EVENT」と「CRISIS EVENT」''
--新システム。いわゆる「QTE」のようなシステムで、前者はタイミングよく指定された方向のペダルを踏んで攻撃を回避する、後者は画面に表示されるマーカー(標的)を狙撃して破壊するといった内容。
--ムーブイベントは成功すると画面がスローモーションになり、無防備な相手を攻撃可能。失敗するとダメージを負うが、ダメージはライフ半分と良心的。

-''敵兵''
--敵兵に関しては『4』から更にバリエーションが減少。ゲーム前半であるステージ1~3には一般兵・黒兵((従来作における「隊長兵」であるが、今作では耐久力を持つ。))・伝統の赤兵・黄色兵・ナイフ投げ兵以外に特殊な兵士は殆ど出現しない。
--『レイジングストーム』との世界観のつながりを示すためか、レイジングストームに登場したパワードスーツ「H.A.C.S.」や、空中を群れながら移動する無人兵器「シーカー」が登場。&br()HACSはデザインや攻撃手段はほとんど別物だが、「背面が弱点」という特徴だけは受け継いでいる。シーカーは前作のテラーバイトポジションを継ぐ敵で、マシンガンが弱点となっている。
--STAGE3では『3』からバイク兵が復活。移動速度が速く、通常の兵士と違い一撃で吹っ飛んでしまう(コンボが出来ない)。
--「真の黒幕編」には新たな敵として強化兵と跳躍兵(仮称)が登場。強化兵は銃を撃たない代わりに高い耐久力を持ち、接近してナイフで攻撃してくるが、ヘッドショットで一撃で倒すことができる。跳躍兵は数回画面内を跳ねまわり、定期的に着地して攻撃してくる。跳躍のスピードは早く跳躍中に攻撃を当てることはほぼ不可能だが、着地時が隙になるので、そこを狙い撃つことになる。&br()跳躍兵には一般兵と同じ赤・黄・黒のバリエーションがあり、特徴も一般兵のそれに準ずる。

-''バナパスポートと「勲章」''
--今作からはバナパスポートへのデータ記録に対応し、プレイヤー名やハイスコア、そして新要素である「勲章」の記録が可能となった。
--勲章はいわゆる「実績」システムで、「ステージクリア」「敵兵士の累計撃破数」などの条件を満たすことでアンロックされる。

***ステージについて
-アップデート前から実装されていたステージ1~3と、「真の黒幕編」アップデートで実装されたステージ4~5、ファイナルの全6ステージ。
-ゲーム開始時に1面から通してプレイするか、「真の黒幕編」のステージ1に相当するステージ4から開始するかを選択できる。ただし、ステージ4から始めた場合「ステージ4・5・ファイナルのクリア」「ノーコンティニューでゲームクリア」の勲章は得られない。

#region(ステージ情報。''真の黒幕編ネタバレ注意'')
-''ステージ1''
--逃走したワイルド・ドッグを追いかけるステージ。ダブルペダルシステムのチュートリアル的な側面も持っており、ステージの随所にダブルペダルシステムを使うと有利になる状況が存在する。
--ムーブイベントとクライシスイベントが初登場。ムーブイベントは「墜落するヘリをかわして飛び降りる」というもの。
--ボスは、レイジングストームのロングレッグを思わせる多脚型の戦車。弱点を破壊することで撃破できる。

-''ステージ2''
--走行中の列車に逃亡したワイルド・ドッグ。エージェント二人はヘリに乗り、走行する列車を追撃しつつ、ワイルド・ドッグ配下の戦闘車両や攻撃ヘリを破壊していく。
--シリーズ伝統の乗り物ステージ。このステージのみ武器は弾数無限のマウンテッドマシンガンに変化し、敵をガンガン蹴散らしていける。
--ステージ後半では武器がロケットランチャーに変化。集結する敵兵・敵車両を蹴散らし、次のステージに進む。

-''ステージ3''
--バイクを駆り、夜の市街でワイルド・ドッグを追うエージェント。ワイルド・ドッグとその配下も、戦闘車両やバイクで熾烈な攻撃を仕掛けてくる。
--全編バイクでの高速チェイスとなるステージ。バイク兵の猛攻、テクニカル(簡易戦闘車両)とポジションを切り替えながらの銃撃戦、ペダルを離して回避する罠、ムーブイベント&クライシスイベントなど、一筋縄では行かないステージ構成となっている。
--ボスはワイルド・ドッグ。お馴染みのモーゼルと、『4』から装備したトラクタービームで攻撃してくる。

-''ステージ4''
--ここから「真の黒幕編」がスタート。ワイルド・ドッグの基地へ潜入する。前半は「暗闇の中でライトを頼りに敵兵を探して倒す」「スナイパーライフルを使った狙撃ステージ」「ラインが稼働する工場内での銃撃戦」と、シリーズ過去作へのオマージュとも感じられる懐かしいシチュエーションが続く。
--中盤ではキースとロバートが激しい白兵戦を繰り広げる中、誤射を避けながらキースだけを狙い撃つという、これまた『4』を思わせるシチュエーションでの戦いとなる。
--ボスはキース。シリーズでは初めてのVSSEエージェント同士の戦いとなる((ただし『2』PS2移植版では、クライシスミッションモードの最終ミッションにおいてキースが『1』の主人公リチャード・ミラーと戦っている(ただし訓練という名目なので、模擬弾を使用)。))。刀による接近戦と銃を使い分ける難敵。
--『4』を想起させた前座戦から一転して、今度はなんと外伝の『ゾーン』のエッジィを思い起こす戦闘となる((『3』のステージ2ボスも似ていると言えば似てはいるが、物が散乱する室内や手裏剣のように回転しつつ投げられるナイフ、それに残像を出しつつの高速移動などエッジィの方が近い。))。

-''ステージ5''
--機密データに記されていた「真の黒幕」ロバートを追い、キースとともに進んでいくステージ。本ステージで先述した強化兵・跳躍兵が初めて登場し、まる強化兵がまるでゾンビ映画のように徒党を組んで襲ってくる。
--ボス戦では『4』の家庭用版で死んだはずのワイルド・ファングが再登場。強化兵・跳躍兵を従え、ステージを飛び回りながら装飾つきのライフルで攻撃してくる。体力を減らすと背中に装備したコイルを展開し、巨大なエネルギーの球体を作り出しVSSEを道連れにしようと試みる。

-''ファイナルステージ''
--ついにロバートを追い詰めたVSSE。しかし、ロバートは逆にHACSのような巨大人型メカを起動させ、エージェントたちを始末するために襲い掛かってくる。
--全編通してボスであるロバートとの戦いとなるステージ。前半は人型メカの攻撃をよけながらロバートの体力を減らし、ムーブイベントを挟んだ後半はロバートが搭乗することで形態変化したメカとの戦いとなる。

#endregion

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**評価点
-''ダブルペダルシステム''
--ダブルペダルシステムの存在は総じて好評。ダブルペダルはシリーズに新たな”攻め”のゲーム性を付与することに成功しており、前作のマルチスクリーンバトルのような暴発に悩まされることもない。
--赤弾やナイフをポジション移動で避けて敵を側面から奇襲、LRのポジション移動で最適な位置取りを探しながら敵のテクニカルと撃ち合うなど、さながら映画のようなアクションも可能。
--ただし、ペダルを適宜踏み変えて最適なポジションを探す必要が有る。このため、従来作より足の使用頻度が高くなっており、「楽しいが、疲れる」という意見も多い。

-''新型ガンコン''
--改良され、軽量化されたガンコンは好評。扱いやすく、エイムの負担も軽減されている。
--武器切り替えがスムーズにできるようになったこともメリット。ただ、「武器切り替えボタンが軽すぎて、間違って触れただけで切り替え暴発」「武器切り替えが行き過ぎてしまう」などの難点もあり、一概に評価されているわけではない。

-''ステージ2の爽快感''
--シリーズ伝統の乗り物ステージであるステージ2の爽快感はやはり格別。敵兵をマウンテッドマシンガンで蹴散らし、ヘリや戦闘車両を次々破壊するステージ構成は「破壊のカタルシス」を味わうには十分。
--後半はロケットランチャーで群がる敵兵や車両をまとめて吹き飛ばせる。このあたりは『レイジングストーム』のノウハウが活かされている。

-''難易度''
--今作もワンコインクリアが可能なバランスには収まっており、「無理ゲー」的な状況はない。アップデート前は理不尽な難易度の高さを指摘されるステージもいくつかあったが(後述)、「真の黒幕編」アップデートに伴う「赤弾(命中弾)の弾速低下」という修正により難易度はそれなりに落ち着いた。
--また、「2Pキャラ(2Pなら1P側キャラ)が射線に重なるように配置され、攻撃の邪魔になる」というシチュエーションが極端に減ったことは評価されている。これにより、「相方を誤射してヒット数が途切れる」という状況がほぼなくなった。

-''過去作にも負けないボリュームとシチュエーション''
--稼働当初は全体的な内容の薄さを指摘されていたが、「真の黒幕編」追加によりボリュームに関しては過去作にも負けない内容となった。
--先述したような、過去作を思わせるシチュエーションはシリーズファンに懐かしさを感じさせてくれるはず。
--さりげなく本作ではストーリーモード初の「VSSEエージェント(キース)との戦い」というシチュエーションが用意されている。キースはかつての主人公という肩書に恥じない強さでプレイヤーの前に立ちふさがり、プレイヤーに「今までの敵はこんなバケモノと戦っていたのか」という気分を存分に味あわせてくれる。
--ステージ4のキースvsロバートの戦いは見もの。シチュエーションとしては前作『4』のラッシュvsマザーズのプロレス対決に近いのだが、技術の進歩により両者の動きはかなり自然なものになっており、戦いの内容も「刀とナイフによる剣戟」「格闘術で相手の姿勢を崩そうとする」「相手の足場を揺らして体勢を崩すことを狙う」「投げ技」などかなり細かく作りこまれていて、この戦いを見ているだけでも割と楽しい。

**賛否両論点
-''過去作に引き続き『B級』で漫画的な演出''
--『2』以降のシリーズで常に言われてきたことではあるが、今作でもキャラクターの行動や描写はB級ハリウッド系アクション映画や漫画のようで、敵・味方共に超人化が進行している。
--まず、主人公たちはステージ1前のデモで兵器マーケットの警備員を昏倒させるのだが、その際「一瞬で後方に回りこみ、首筋に打撃を加える」という超人じみた描写がされる。これは誇張ではなく、文字通り瞬間移動したかのような描写で敵の正面から背後に回りこみマーケットの警備員を気絶させる。
--ツインペダルシステムの描写も同様で、ポジション移動の際には数メートルの距離を一瞬で、歩く・走るという動作を見せず、段差が存在してもそれを飛び越えて一瞬で移動する。これはプレイヤーもゲーム開始時のチュートリアルと一部のステージでCPU(or反対側のプレイヤー)の動きを見て確認することができる。
---ステージ4では、同じエージェントであるキースも瞬間移動を披露する。ちなみに『2』ではキース、ロバートとも移動の際は「かがみながら走る」「側転で隣の物陰へ移動」などまだ常識的な動きをしていた。
---ステージ3ではバイクで疾走しながらの戦いになるが、ここでもバイクごと超高速な切り返しによるポジション移動を行う。
--その他にも、主人公達は様々な場面でスーパーアクションを披露してくれる。
---ステージ1序盤、隣のビルから、道具などを一切使わずに生身のままジャンプし、窓ガラスを割って突入する。
---ステージ1でのムーブイベント成功時は足場からジャンプして空中からスロー状態で敵兵を撃ち放題になるのだが、どう考えても数メートル以上の距離をジャンプしている。ジャンプ中の描写もまるで平行移動しているように見える。
---その他にも、「瓦礫が降る中を数メートルの高さがある足場へジャンプして上階に上がる」(ステージ1ボス戦)、「前方の地面が崩れて開いた大穴を突破するために壁を走って反対側へ移動する」(ステージ5)といったように、人間離れした描写が多い。
---ステージ3では、ゲーム開始前のデモでエージェント2人は高所にいるヘリから何の装備もなしにバイクに乗ったまま飛び降りるという絶技を披露する。&br()その後も2人は銃火器で攻撃しながらバイクを運転し、超絶的なドライビングテクニックを披露する(先述のポジション移動含む)。他の演出に比べると地味だが、これだけでも人間離れしている。
--ステージ4のキース対ロバートの白兵戦が見所であるのは先述の通りだが、この二人の戦いも常人離れしている。頭上の足場に跳び乗ったり、果ては跳び超えたりしている。

-敵側は過去作以上に超人的な描写が多い。
--ステージ4のキースは先述したように瞬間移動をする他、高速で刀を振るって衝撃波を飛ばして攻撃してくる。
--ワイルド・ファングはダメージを受けると背中のコイルから太陽のようなエネルギー球を生み出し、それを爆発させることでエージェントたちを道連れにしようとする。
--また、ファング戦の舞台は秘密の兵器工場の地下なのだが、そこにはアーティストのライブ会場のステージのような謎の建造物が建てられており、ファングが名乗りを上げた際にはライブの演出のような火柱まで上がる。
--ステージ5に出てくる強化兵は、「壁を破壊or地面から土を散らして登場」「体中に斑点があり、不気味に体を揺すっている」「うめき声を上げながらこちらに走ってくる」など、外見・性質が完全にゾンビ。良くも悪くも『[[ハウス・オブ・ザ・デッド>THE HOUSE OF THE DEADシリーズ]]』を彷彿とさせるもの。
---どこを撃ってもダメージが同じだった通常兵と異なる「ヘッドショットで即死するが、その他の部位には耐久力がある」という仕様もHODシリーズのゾンビ風味。
---インパクトこそ大きいが、対峙してみると「ゲームランクによる耐久力変動なし」「アクティブになるまで棒立ちで、共通して『接近してナイフで斬る』という隙だらけの攻撃パターンしか持たない」うえに、本作はHODとは違って「攻撃の回避手段が使いたい放題な上、リロードも兼ねている」「ハンドガンの装填数が9発((『HOD』または『HOD2』稼働当初は「ガンシューティングは6発装填」という風潮があり、それにあわせてバランス調整をしていた。なお、この風潮を打破したのが他でもない『タイムクライシス2』である。))」ということもあり、対処は簡単。

**問題点
***アップデートで解決された問題点
#region(折りたたみ)
-''不安定な難易度曲線''
--本作は稼働当初は「難易度が高い」と評価されることが多かった。加えて、その難度の高低がステージによってバラつきがあることが大きな問題とされていた。
--全体的に赤弾の弾速が速く、プレイヤーの隠れ判定の厳格化もあいまって、従来の感覚による回避が通用しにくい。過去作ではペダルを離した約1フレーム後から無敵となっていたが、今作ではペダルを離してもしばらくは無敵にならない仕様となっているためである。これは『レイジングストーム』からの仕様である。
--この高速弾が1面から容赦なく飛んできたため、初心者は1面をクリアすることも難しい。
--正確には前作までと比べて赤弾の初速が異常なほど速いのが原因で、近づいて大きくなっていく描写自体はほとんど変わらない。
--COLOR(red){現在は前述したように赤弾の仕様変更により、ある程度難易度曲線は改善された。}一方で、プレイヤーの隠れ判定は変更なし。

-前述のとおり、この容赦無い殺意はステージ1の時点で容赦なくプレイヤーに向けられる。
--記事冒頭では「ダブルペダルのチュートリアル的ステージ」と解説したが、実態としては「ダブルペダルを的確に使わないとクリアは至難」という表現のほうが近い。
--全体的に敵の層が厚く、加えて「赤兵をカバーするように一般兵が出現する」など意地悪な配置も散見される。更に今作では序盤はサブウェポンが封印されており、サブウェポンで力押しという方法も取れない。
--まだステージ序盤である、バーカウンターを挟んで敵兵と撃ち合うシチュエーションが鬼門。「ボンベを破壊すれば敵を一掃可能」という定番のシチュエーションなのだが、それを防ぐかのように敵兵とワイルド・ドッグが赤弾を連射してくるので、初心者ではボンベ破壊どころではない。赤弾が3~4連続で飛んでくるという、1面とは思えないような光景となる。
---加えてボンベの破壊が早すぎると、敵を一掃できず耐久力付きの兵が残ってしまう罠がある。
--その後もムーブイベント後に出現する見えにくい赤兵×2、煙の中から銃撃してくる赤兵、そしてクライシスイベント後のボス前のラッシュに登場する赤兵4名など、1面ながら確実にプレイヤーを殺そうとしてくる。「ステージ1が最難」と語るプレイヤーもいるほど。
--道中とは裏腹にボスは弱い。「砲撃時に姿を現す、装甲された砲台を4つ破壊」→「ミサイルとエネルギー砲を避けつつ、エネルギー砲塔の5箇所の弱点を破壊」という順番で攻略していくのだが、前半は連射力さえあれば開幕からハンドガン連射で4個中2個の砲台は速攻撃破でき、攻撃チャンスを逃しても砲台は「エネルギーを溜めるエフェクト」で攻撃タイミングを教えてくれる。
--後半では、戦車の武器は「警告表示から撃たれるエネルギー砲照射」「機体各所から放たれる破壊可能なミサイル」の2つに絞られるため、こちらも被弾する要素が皆無。
--COLOR(red){現在は前述したように赤弾が仕様変更されたのに加え、赤弾の出現頻度が減り難易度は落ち着いた。}

-続くステージ2だが、ステージ1とは比べ物にならないほど簡単になる。
--武器がマウンテッドマシンガンに変わること、敵の攻撃が全て破壊可能なミサイルやロケットに変わることが理由。ミサイル(ロケット)は赤弾と比べるとスピードは遅く、極一部を除いて撃墜も回避も容易。
--一部の難所を除けば被弾する要素はほぼなく、ボスも存在しない。
--アップデートでミサイル・ロケットの判定が細分化され、撃ち落としにくくなったことに加え「ロケットを構えた敵に予め照準しておき、操作可能になると同時に弾を撃ちこんでロケットを撃たせることなく倒す」というテクニックがかなりシビアになった。これにより以前のように気が抜けなくなり、COLOR(red){ステージ2らしい骨太な難易度となって、難易度曲線の上昇は順当なものになった。}

-''全体的なボリュームの減少''
--稼働初期~中期、''本作で一番指摘された問題点。''
--本作は過去作に比べて各ステージのボリュームが大幅に減少。後述する「真の黒幕編」との兼ね合いもあるが、ボリューム不足は否めない。
--ストーリーの規模も過去作と比べると縮小。要するに「真の黒幕編」開始前の筋書きは「機密データを盗んだワイルド・ドッグの追跡」であり、大作ハリウッドアクション映画のようなボリュームのあった過去作と比べるとストーリーの魅力は弱く、「序章」といった雰囲気が漂う。
--ゲームとしても、敵バリエーションの削減によってゲームとしては単純化。目立つところではシリーズ伝統の爪兵・マシンガン兵、『4』の特技兵やテラーバイトがリストラされている。
--変わったシチュエーションもステージ3のバイクチェイスが目新しい程度で、目につくシーンが少ない。ボスの攻撃パターンも減少し、総じて過去作と比べると一回りボリュームは薄味にまとまっていた。
--現在は前述の通り、COLOR(red){「真の黒幕編」追加によりボリュームに関する問題は解消された。}

-''「真の黒幕編」関連''
--ステージ3をクリアすると、ワイルド・ドッグは苦し紛れに機密情報の入ったアタッシュケースを義手ごと打ち上げ、本人はシリーズの伝統を守り自爆して退場。
--アップデート以前はその後ムービーが挿入され、南米を思わせるジャングルでアタッシュケースを回収する何者か(この謎の人物は「真の黒幕編」でキースであることが判明)の姿を見ることができ、そして「『真の黒幕編』開発中!」といった内容の告知が出てゲームは終了する。つまり、アップデート以前の『5』はゲームとしては未完成であった。
--「真の黒幕編」は「2015年内の実装を目指して開発中」という発言の通りアップデートで実装されたのだが、アップデートされたのは2015年10月22日。稼働開始から半年以上(約7ヶ月以上)の時間がかかった。この7ヶ月の間アップデートに関する情報やバグ修正のマイナーアップデートなどは一切存在しなかった。
--批判に拍車をかけたのが、2015年9月の時点で海外ではアップデートが完了していたこと。これはyoutubeにプレイ動画がアップされたことで判明した。
--一応アップデート前も「クリア後にライフを引き継いで高難度の2周目がプレイできる」というやりこみ要素はあったのだが、2周目をクリアしても特に特典などはない。また高難度と言ってはいるがそこまで難度が上昇したようには感じられず、「苦し紛れのボリューム水増し」の域を出ない。

-''バナパスポート関連''
--稼動当初はバナパス認証のタイミングが「クレジット投入」→「プレイ形式選択(1人プレイか、協力プレイか)」→「バナパス認証」となっていた。バナパス認識用のタッチパネルはコイン投入口の横にあるため、コイン投入口の前とガンコンの前を行き来する必要があり、少し面倒であった。
--現在はCOLOR(red){「クレジット投入」→「バナパス認証」→「プレイ形式選択」の順番に変更され、問題は解消された。}

#endregion

***アップデート以降も残る問題点・アップデートに伴う問題点
-''ダブルペダルシステム''
--評価点でもあるが、前述したようにゲームを進めながら頻繁にペダルを踏み変えて最適なポジションを探す必要があるため[[ゲーム内の体力だけでなくプレイヤー本人の体力もクリアには必須。>THE HOUSE OF THE DEAD III]]
--「ポジション移動中はコンボのゲージが減少しない」という仕様を逆手に取った「左右のポジションを行き来し続けることでコンボゲージを維持し、本来ではありえないヒット数を稼ぐ」というテクニックまで発見された。このテクニックを使いながらゲームを進める場合、足を酷使することになる。

-''サブウェポンの弱体化''
--今作ではサブウェポンが大幅に弱体化しており、それに伴い「マシンガンやショットガンで敵を蹴散らす爽快感」「グレネードで画面を一掃する爽快感」が失われてしまっている。
---目立つのが最大所持弾数の低下。『4』と比較するとマシンガンは300発→100発(後に180発)に、ショットガンは50発→10発(後に15発)に。グレネードに至っては1発になってしまい、より使い所を考える必要が出てきた。
---攻撃力は全体的に低下。ボスどころか、中ボスのHACSをサブウェポンで速攻で倒すことさえ難しい。
---サブウェポンの弾数を次ステージに持ち越せない。一方で、「ステージ1で使い切ってもステージ3で一定数補填される」という利点もある。
---サブウェポンの弾を出す黄色兵の出現頻度が大幅に減っている。具体的にはステージ1のボス前、ステージ3の対テクニカル戦、「真の黒幕編」ではステージ5・ファイナルの中盤(しかも手強い跳躍兵として)のみで、ゲーム中4箇所にしか出てこない。
--反面、ハンドガンは火力が大幅に強化されており、プレイヤーの連射力にもよるがHACSや各種ボス攻略にはハンドガンの連射が一番有効。殆どの場面をハンドガンで切り抜けられてしまう。
---黄色兵の出現頻度低下も、ハンドガンの使用率向上に拍車をかけている。
---アップデートでマシンガンやショットガンの弾数が増やされたが、依然として威力は据え置きで「殆どの状況をハンドガンで切り抜けられてしまう」という状況を根本的に変えたとは言いがたい。
--だが、サブウェポンも完全に死に武器になったわけではない。相変わらず一般兵に対しては一撃必殺であり、ハンドガンでは押し負けるようなシーカーの物量にも対抗できる。「一般兵が物量で押してくる場面で雑魚散らし」「命中率増加による追加スコア狙いでショットガンを使用」「エイムしにくい跳躍兵の排除」など、使い所はそれなりにある。
--ちなみにアップデートで新たな演出が追加されたが、「サブウェポンと2面のマウンテッドマシンガン・ロケットランチャー発射時に画面が揺れる」という演出はどちらかと言えば「画面が見にくい」と不評。

-COLOR(red){''過去作ファンには不評な過去作からの続投キャラの扱い''}
--本作ではシリーズお馴染みのワイルド師弟の他にも、『2』の主要キャラであるロバート、キースが再登場するのだが、その扱いが不評。キャラ設定が「改悪」されていることが批判点となっている。後述する出来の悪いストーリーと合わせて、これがアップデート後の本作最大の問題点となっている。

#region(各キャラの目立つ改悪部分。''「真の黒幕編」のネタバレを含むので注意'')
-''ワイルド師弟''
--ワイルド・ドッグは前作に比べてハイテンションでうるさくなり、「B級アクション映画の噛ませ犬」的な雰囲気が増している。過去のシリーズで見せていた知性的な一面がなくなった。
---声優は変更され、前作よりかなり高い声になった。これにより、過去作にあった渋さが消えた。
---前半3ステージに亘って登場する点こそ優遇されているものの、今回の彼の活躍は機密データを持って逃走したことのみ。弟子が黒幕と組んでいるにもかかわらず何も聞かされていないようで、結局何も知らないまま本編の出番を終える点も噛ませ犬的な雰囲気に拍車をかけている。
--ワイルド・ファングは以前のスーツ姿から一転、「派手な紫色のシャツの胸元を開けて胸筋をさらけ出し、髪型は金髪のガチガチに固めた盛り盛りのリーゼント、襟には真紅のファー」という奇抜なファッションに変更。使用する武器は「黄金のエングレービング(装飾)付きのライフル」であり、明言されなければ以前のファングと同一人物とはわからない。
---背中には6本の羽のようなコイルを仕込んでいる。それを展開した派手な見た目に至っては、過去作の面影はほぼなし。
---戦法に関して、ファングの象徴であるキックは殆ど使わず、部下の兵士を盾にして跳びながらライフルを撃つというもの。一応蹴り技はあるのだが、使用頻度は低い。
---黒幕の前座として出てくるあたりVSSEエージェントと同様に世代交代を意識したようにも見受けられる。しかし、過去作のワイルド・ドッグは自分から出向いてきて立ちふさがったのに対して、今作のファングはVSSE一行を足止めするため、ロバートの仕掛けた罠にかかったエージェントを待ち構えていただけである。師匠程の執念を感じられず、「立ちふさがる」というよりは「足止めに使われた」感がある。
---ファングも声優が前作家庭用での「戸部公璽」氏から変更。前作『4』で主人公のVSSEエージェントを演じた「三浦祥朗」氏となった。だが三浦氏の演技に特に違和感は無く、ワイルド・ドッグよりも声優変更への批判は少ない。

-''キース・マーティン''
--「背中に日本刀を背負い、タクティカルベスト着用」という、[[「メタルギアソリッド2」>メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティー]]の主人公・雷電を思わせる姿になった。こちらもファング同様、言われなければ同一人物とはわからない。
--戦闘中は「手裏剣を投げて攻撃」「時代劇の忍者よろしく、スモークグレネードを地面に叩きつけて逃走」「空中をクルクルと回転しながら跳躍」など、忍者のような立ち振舞を見せる。
--キースというキャラクターには忍者のイメージに繋がるような要素は皆無で、ここまで大きな変更が加えられた理由は不明。
---ちなみに『2』では表向きは映画の特殊効果スタッフで、爆発物のスペシャリスト・SASの出身ということになっていたが、その面影はない((『2』PS2移植版の説明書内・キャラクター紹介の欄に記載。ついでにロバートは表向き通学バスの運転手・NavySEALsの出身。))。
--アップデート以前は「VSSEを裏切り、金になる情報を売り渡していた」という情報だけが先行しており、この時点で「過去作の主人公を悪役にするのか?」という不安の声が多かったものの、いざ真の黒幕編が始まってみると「元相棒であり、本当の裏切り者だったロバートを止めるために奔走する」という至極まともなキャラで、性格面での改悪は免れている。

-''ロバート・バクスター''
--COLOR(red){''今作において一番批判が集中しているキャラクター。''}「かつての主人公からラスボスへ」という大胆なクラスチェンジを果たしたが、それが大きな批判を呼んでいる。
--「エージェントたちを信用させておいて、口封じのために後ろから闇討ち」「いざ追いつめられると、巨大ロボットを使って自分はその後ろに隠れ高みの見物」「兵士強化薬を詰めたミサイルをニューヨークに発射してテロを引き起こそうとする」など、過去作の主人公とは思えないほどの非道・卑劣さが目立つ。口調は挑発的で小物らしさが漂い、かつての主人公の威厳は皆無。
--戦いになると唐突に正義について語り出すなど『5』での描写だけをとってもキャラが大きくぶれている。稚拙なストーリーと合わせて、ロバートのキャラを間違えているという批判の声が上がった。
---一応、ステージ4道中でルーク達に対して「お前達を見ていると昔を思い出す。俺もキースも目の前の任務をこなすのに必死だった」と、正義を信じていた昔を回顧するようにつぶやく場面もある。「VSSEの腐敗を見て変わってしまったのでは?」という擁護意見もあるが、そこに至るまでの過程が全く描かれていない。
--「敵側と内通する裏切り者」というポジションでは過去にも『3』の家庭用に収録されたヒロインミッションに登場するジェイクがいたが、ジェイクは『3』初出のキャラであり過去作とは何ら関わりがなく、「敵側と内通する裏切り者」という役割自体に問題はない。''問題は、それをよりによって過去作の主人公に担当させ、加えて余計な改悪設定・描写を付け足したことにある。''

-''クリスティー・ライアン''
--本作では台詞にて言及されるだけだが、キースによると''「VSSEの内偵調査中に裏切り者(ロバート)の事を知った結果殺された」「キースの恋人だった」''という悲劇的な設定が語られている。
--クリスティーは『2』のヒロインであり、同作では殺されかけた所をロバートが救出するシーンもあった。旧作のヒロインを設定だけで簡単に殺したことに対する批判意見が多い。

#endregion

-''稚拙なストーリー''
--過去作もアクション系ハリウッド洋画のようなノリでシナリオは大味な部分が多かったが、本作は大味を通り越して稚拙。特に「真の黒幕編」は批判が強い。

#region(ストーリーに関して。''「真の黒幕編」のネタバレを含むので注意'')
-ステージ1冒頭ではワイルド・ドッグが交渉に現れたロバートに対して「よく来たな!」と歓迎しているが、『2』での因縁が全く感じされない。
--そもそもワイルド・ドッグとVSSEは因縁の関係にある。特にワイルド・ドッグからすればVSSEは自分の仕事を毎回邪魔する忌々しい相手であり、交渉の場を設けて馬鹿正直に話し合いに応じるような間柄ではない。しかもVSSE側の交渉役は『2』で実際に交戦したロバートである為、「ワイルド・ドッグは相手がVSSEと知らずに交渉に応じたのでは?」「VSSE側が素性を隠してワイルド・ドッグに接近を図った」といった理屈も通用しない。

-続投キャラの扱いにおいても述べたが、''かつての主人公を組織の裏切り者という純粋な悪役にし、あまつさえラスボスに仕立てあげる''という配役。「強い信念を持ち、その信念に従って組織を抜けた」「VSSEが腐敗していたので、『VSSEはダメだ』と悟って組織を抜けた」ということが明確に描写されていたのであればまだしも、ロバートの台詞だけではそこまでの信念を感じられず、ラスボス化するまでに伏線もない。&br()これまでのシリーズのことを考えると「家庭用移植でロバート関連の設定は補完される」と考えることもできるが、不完全燃焼感は大きい。
-ワイルド・ファングは再登場したが、「師匠であるはずのワイルド・ドッグについて一切言及しない」「蹴り技を殆ど使わない」など、ワイルド・ファングである必要性が薄い。
--家庭用『4』のラッシュ編にも登場しており、この時も師匠についての言及はないものの「師匠と同じ場所に登場」「師匠と同じくトラクタービームを装備」「跳び蹴りやコンテナなどを蹴り飛ばす攻撃など足技を多用」など、ワイルド・ファングとしての個性を保っていた。

-ステージ5で強化兵に絡めて「人間に投与することで絶大な戦闘能力を与えるが、理性と思考能力を奪ってしまう薬品」の存在が語られるのだが、そこから急に「強化薬品」がストーリーの核になるという超展開。そこから怒涛のように「VSSEは薬品の存在を知りながら、『金になるから』黙認した。VSSEは正義ではない」「この薬をニューヨークに撃ちこんでテロを起こす」など、薬が重要なファクターとして扱われる。&br()ステージ5の強化兵登場までそのような薬について全く言及はされない。
-「VSSEの腐敗を見て組織を裏切った」ロバートなのだが、ラストになってようやく、取ってつけたように「VSSEは正義ではない」「この強化薬でテロを起こし世界を一度リセットする」「正義は1つじゃない」など信念のようなものを述べ始める。しかし、重要な設定が全く語られないため説得力がない。正義云々の台詞に関しても唐突感が強い。
--VSSEの腐敗に関してはゲーム中でキースとキャサリンが「VSSEは兵士強化薬に関する事件のデータを抹消している」「(兵士強化薬に関連することは)なかったことにしたいらしい」といった内容の台詞で示唆しており、ロバートもミサイルを発射する間際に「正義面した奴らが作った薬で世界は一度終わる」と言っている。しかし、そこまでの伏線がなくこれに関しても唐突であり、ロバートの台詞も「正義面した奴ら=VSSE」と明確に示してはいない。
-ロバートはメカを起動させた際「さすがのVSSEもこいつには勝てないだろう」と自慢をするのだが、エージェント(プレイヤー)は''これと似たような多脚戦車を既に2台破壊しており、重ねて言えば『2』では発言者のロバート自身もかつてキースと共に完全武装した人工衛星を拳銃一丁で破壊しているという前歴がある。これについても全く説得力がない。
--先述のように豪語して持ち出したメカにはプレイヤーの攻撃は一切通じないのだが、シーンが進むとそのメカは航空機離陸のあおりで破壊されてしまう。
-ロバートはステージの進行に伴い「こいつの真の姿を見せてやる」と自ら(破壊されたものとは別の同型)メカに乗り込み、メカの形態を変化させるのだが、変化前は全身が装甲に覆われた状態だったのに形態が変化すると装甲をパージしたために弱点とロバートの乗り込んだコックピットがむき出しになり、プレイヤーがメカにダメージを与えられるようになる。ある程度は「ゲームだから」仕方ないとはいえ、これも説得力のなさに拍車をかけている。
-そしてラストはかつての主人公であるロバートにプレイヤーの手でとどめを刺すという、古参ファンにとっては辛い展開が待っている。

-エンディングでは墜落する航空機から海面に落下したエージェントたちが生存を喜び合い、ルークがのんきに「あ、島だ!探検してみようぜ!」と偶然近くにあった島に向かって泳ぎだし、それを他のメンバーが追っていくという楽観的すぎるエンド。「かつての仲間を自分の手で討った事への葛藤」などは全く感じさせない。
#endregion


-''バナパスポート関連''
--バナパスポートにデータを記録できることは先述したが、カードに記録できるのは「3文字のプレイヤー名」「ハイスコアと直近のプレイのスコア」「勲章」の3個のみ。
--勲章も多いが、「ステージクリア」「累計300人の敵にヘッドショット」「1万人以上の人型敵を撃破」「累計一億点到達」など、普通にプレイを重ねていれば取得できるような代り映えしないものばかり。意識しないと取得できないのはヘッドショット関連程度。

-''その他・バグなど''
--リザルト画面の音楽がシリーズおなじみの「作戦成功」ではなくなった。
--今回も『4』『レイジングストーム』から引き続き日本語音声を採用しているのだが、『4』と違い、英語音声が収録されているのにも関わらず、日本版では音声の切り替えができない。((『レイジングストーム』もゲーム内では音声切替はできないが、テストモードで変更可能であった。))
--バグが存在し、致命的なものだと''「ステージ2のロケットランチャーを使うシーンで特定の方法を行うと次に進まずゲームがフリーズする」''という進行に影響をおよぼすバグがあった。&br()他は「ステージ2のリザルト画面が正常に機能していない(スコアが正確に表示されない)」というわかりやすいバグが有る他、再現性は低いものの「ステージ3終了時、ワイルド・ドッグのモーゼル発砲時のSEがロードに入るまで鳴り続ける」というバグがある。
---バグについて、アップデートで解消されていないものがある。加えて、「ステージ3のムーブイベント後、破壊された多脚戦車にミサイルのグラフィックが不自然に宙に浮いている」という実害のない新たなバグも見つかっている。
--「真の黒幕編」でも新たなバグが発見され、「進行フラグが立たなかったのか、敵を全滅させても進行できずに詰んだ」「ステージ5のリザルト画面の計算がおかしい」「処理落ち」「ステージ4ボス戦のキースの挙動がおかしくなる」などのバグが大小問わず報告されている。
--処理落ちは詳細な発生条件が今だ不明で、酷い時は一瞬フリーズしたかのようにゲームの進行が止まることも。特に相手の攻撃と処理落ちが同時に起こると、「筐体のペダルを離したのに処理落ちで反映が遅れ、避けられたはずの攻撃を食らう」という理不尽な状況になることも。
--こちらも条件は不明だが、ステージ4のキースが異常な挙動を見せることがある。「ステージ4最終エリアでのボス戦開始時、本来はプレイヤーの方向を見ているはずが、プレイヤーに背中を向け、背中から衝撃波を飛ばす」などの実害のない笑えるものもあるが、酷いものだと「キースの刀攻撃が異常に追尾する」という難易度に関わるものも。&br()「キースが刀を振りかぶる~振り降ろす間にポジション移動で攻撃をかわすとキースが段差や陳列棚をバグめいた挙動(刀を構えた姿勢で横を向いたまま、体の側面を向けてプレイヤー側に迫ってくる)で瞬間移動し、逆ポジションに移動して凄まじい速さで刀を振るう」という明らかに異常な挙動を見せた、という報告もある。
--正確にはバグではないが、倒した敵兵が異常な挙動を見せることがある。
---今作では物理エンジンに「アンリアルエンジン3」を採用し、敵兵などの動きが自然なものになりグラフィックも進化したのだが、時折「ハヴォック神」「祟り」的な挙動を起こすことがあり、「敵兵がオブジェクトの間に挟まってブルブルと不気味に震える」「物理法則を無視して高速で吹っ飛んでいく」「何もない空間に敵兵がぶら下がっている」「まるで軟体動物のように人体の構造を無視した体勢になる」などのバグめいた挙動の報告例がある。現状、これによる実害はない。

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**総評
9年ぶりのシリーズ最新作ということで期待値は高く、ダブルペダルシステムや新型ガンコンなど評価すべき要素もあるものの、過去作に比べると続投キャラクターのぞんざいな扱い、大味と言うには稚拙すぎるストーリー、貧弱なバナパス関連、バグなど短所のほうが目立つ。「真の黒幕編」を未実装のまま発売したこともあり、評価は過去作に比べると一段低く見られている。~
ガンシューティングとして基本的な部分は押さえており、アップデートで作品のボリュームや難易度調整に関しても改善されたが、いかんせんシリーズ過去作や『レイジングストーム』と比べると物足りない、という意見は多い。~

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**余談
過去作と比較してあまりに評判がいまいちなのが影響しているのか、発売から1年が経過した現在においても家庭用移植は今のところ音沙汰は無い。とは言え、何故過去作復活キャラが悪役ポジションと化してしまったかの真相のストーリーを補完してほしいという意味でも移植を希望する声はそれなりにある模様。