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C1-CIRCUIT - (2021/03/02 (火) 15:23:05) のソース

*C1-CIRCUIT
【しーわん さーきっと】
|ジャンル|レース|&image(http://www.jp.playstation.com/software/title/8tnu0100000013nz-img/8tnu0100000013py.jpg,height=160)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|インベックス|~|
|発売日|1996年10月4日|~|
|定価|5,800円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|&color(red){''10年に一度級のクソゲー''}&br;PS初の首都高再現&br;''未完成同然で市場に出荷''&br;妙な企業タイアップ&br;史上最低の操作性&br;所謂MIDI丸出しの音楽&br;全方位に渡って悉く水準未満&br;妙に細かいパーツ類&br;謎に包まれた没データ|~|

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#contents(fromhere)
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**概要
詳細不明なメーカー、インベックスが世に送り出したPS初の「首都高を再現した」レースゲーム。~
あまり車に詳しくない人のために一応書いておくと、「C1」とは首都高速都心環状線の路線番号・通称である。「C」は英語で「環状」を意味する"Circular"の略から。~
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4企業2団体、「八重洲出版(自動車雑誌を中心に発売する出版社)」「AUTOLOOK M's PROMOTION」「BLITZ」「ブリヂストン」「キングジム」「ユニコ(かつてのelfブランドのエンジンオイルの輸入代理店)」からの協賛・協力を得て、宣伝広告のパイプラインを確保した事もウリとされていたが…。~
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その出来は、''伝説のクソゲー、10年に一度のクソゲーとも並ぶ程の核地雷であった''。~

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**特徴(と言うか問題点)
''メニュー画面''
-オープニングの時点で既に地雷臭が凄まじい。兎に角BGMも無く、ただただ''効果音が適当に鳴っているようなムービー''が寂しく映し出される。ただ幸いボタンを押せば飛ばす事は出来る。
-そしてタイトル画面。ここも背景がぽつんとC1の図のような画像が表示されている程度の物である。
--そこからボタンを押してセレクト画面に行くと…何と''無音''である。
--そこで新規にゲームを始めるかデータをロードするかを選択し、新規にゲームを始める場合は名前を入力して開始させる…が。
---入力音も「ポッ」と妙に間抜けな音である。押しても意味が無いボタンを押すと、今度は耳障りな電子音が鳴る。
-最初の内はポイントも無く、レースをして稼ぐ必要があるので、車種を選択していざスタート。しかし…。

''レース中''
-''余りにもレースゲームらしかぬ上、素人が所謂MIDIで作った事が丸わかりな音楽''の中でレースは始まる。
--エンジン音や接触音はそこそこ良いのだが、それ以外の箇所は水準に達しているかどうかが怪しい。グラフィックも平面的で、車もタイヤの動きが雑だったり、ブレーキランプが機能しない等もあり、良くない。
-挙動も悪く、特にドリフトした時の制御はかなり難しい。アクセルオフしてグリップで走った方が確実である。
--壁や一般車に接触した時、''速度に応じてぶつかった方向とは逆の方向へゆっくり大きく跳ね返り、強制的に道路中央に戻される''と言うゲームとして見てもリアルとして見ても不自然極まりない挙動を示す。
-芝公園付近1箇所だけ画面が暫く赤くなる箇所がある。作りかけとしか言いようが無く、プレイの邪魔でしかなくなってしまっている。
--但し、実際の都心環状線にも同じ地点にオービスがあるのでそれのフラッシュを再現しようとしたのだろう。
---同じ都心環状線を収録している『[[首都高バトル0]]』『[[湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE]]』でもしっかり再現されている。
-ATのシフトダウンのタイミングが狂っており、例えばドリフトした後に回転数がかなり落ちてもシフトダウンしない致命的な所も。その為このゲームはMTでやった方がミスをした時のリカバリが容易である。

''チューニング''
-晴れてレースに勝ち、140ポイント前後手に入れていざチューニング。
--しかしチューニングパーツはそれに対して異常に安く、安くて3ポイント、平均して10ポイント前後、ごく一部高くても40ポイント位と、2、3回もレースすればあっと言う間にフルチューン出来る程にヌルい。
---パーツを酷使し続けると、レース中にエンジンブローという形で強制終了してしまうため、パーツ管理を怠らないことが重要となる…が、ゲーム全体の出来を鑑みれば、管理の面倒さが勝っているだけの要素なのはいうまでもない。ブローした時の「TROUBLE」という文字が背景が真っ赤に染まった中で粗く拡大表示される演出は、地味ながらもホラーである。
-所有しているパーツは1ページにまとめて表示される為、非常に見辛い。
--パーツや車のステータス等は妙に細かく、車好きには一見の価値はある…のかもしれない。
-車の値段の概念も無く、パーツの売却価格も購入価格と全く一緒でポイントは溜まる一方である。
--パーツを売る選択肢が「SALE」となっているが、間違いでは無いとは言え、物を売る意味では「SELL」の方が一般的だろう。
--因みにゲーム中に表示されるシナリオの英語表記を「SC''I''NARIO」と間違えている。説明書には「SC''E''NARIO」と正しい表記がされている。

''その他''
-BGMは10曲程あり設定で変える事が出来るのだが…。
--''全て上記の所謂MIDI丸出し音源かつ音質も悪い''為、とても褒められた物では無い。一部そこそこ悪くない曲もあるが、それでも良曲とは言えない出来である。
--やり方も説明書に書いているとは言え「SOUND TEST」から変更すると言う表記的に紛らわしい物。
--内蔵音源でも問題無いレベルなのにBGMはCD-DA規格で収録されている。ここでも技術面での未熟さが窺える。~
言い換えればCDプレイヤーでも音楽が聴けると言う意味でもあるが…。
-エンディングを迎えても2周目等も無く、ただリセットボタンを押すだけである。

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**評価点?
''ゲームとしての評価点は無い''に等しいが、強いて挙げるとすれば、以下の通りである。~
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''都心環状線の再現度''
-一応都心環状線を初めて再現したレースゲームなだけあり、その出来は意外にも隠れたところで光っているものがある。
--比較対象として挙げられがちな『[[首都高バトルシリーズ]]』では1999年6月24日に発売された『[[首都高バトル]]』まで実現せず、それ以前は首都高をモチーフとした架空コースを登場させていた。今作発売より前の1996年5月3日に発売された『首都高バトル DRIFT KING 土屋圭市&坂東正明』でも、実際の首都高を''モチーフにした''コースが登場していた。
---上述のオービスも、%%ゲーム自体の完成度を差し置いて%%法定速度以下で走行した場合だと光らないなど、部分的に芸の細かいところも確認されている。C1自体の再現も、ビル群や道路の寸法など、実は意外なところに手の入った出来栄えとなっており、これでも再現度が高いものである。そういう意味では頑張った出来栄えと純粋に評価できるポイントだろう。それでも平面的なテクスチャ等が見受けられるなど、やはり表面だけを見ればチープに見えてしまうという意味での未完成感は拭えず、総じて良いレベルとは言えないのが残念なところである。

''その他''
-''レースゲーでは珍しいAE92型レビンを模した車が登場している。''他のゲームでは『[[KAIDO -峠の伝説-]]』程度しか収録の実績がなく、ある意味本作独自の要素かもしれない。
-実在企業とタイアップしているだけあり、一部パーツは実名である…が、こんなゲームに実名で出してしまってはイメージダウンになってしまうのでは無いだろうか。
--ただし、タイアップによって「このゲームは信用できる」ものとして実際に手に取り、爆死したユーザーも散見された模様であり、そうした意味でも被害者の生産に繋がってしまった程度には機能した模様。

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**総評
首都高を再現した初のゲームと言うだけあり、C1の再現度という隠れていながらも実は大きな長所を有しており、他にも%%ゲーム全体の面白さに全く繋がってないとは言え、%%実在する自動車の細かいパーツやスペック、更には起こりうるトラブルを再現するなど、決して手を抜こうとしているわけではないことが伺える…のだが、ゲームと言う概念に対する知識に乏しかっただろうが故に、その全てが悉く裏目に出てしまい、ただの自己満足の域を出ない結果となってしまったと言うべきか。これではC1の再現度とスポンサーとのタイアップで力尽きたものと言われるのもやむを得ない話である。~
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単にレースゲーム単体として見ても、平面的過ぎるグラフィック、所謂MIDI丸出しの音楽、貧相なシステム等、どれをとっても水準を大きく下回る未完成ぶりであり、その完成度は&color(red){''誇張抜きに10年に一度のクソゲーレベルに匹敵''}する。もし当時からKOTYがあれば大賞も確実だっただろう。~
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現在ではネットなどが普及したこともあり、その出来の劣悪さと隠れた長所が発掘されたことを中心に、熱心なユーザーを生み出すに至ったものの、基本的には車好きは勿論の事、単純にゲームとして楽しみたい人やクソゲーハンターでも購入する事は激しくオススメ出来ない。~
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''そして何より「プレイステーション」と言う名の大海原にこのような核地雷クラスの凄まじいクソゲーもある事を再認識してくれる、それがこのゲームの存在意義かもしれない。''

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**余談
''雑誌『CARBOY』での扱い''
-八重洲出版とタイアップしているだけあり、[[''当時同社から出版されていたCARBOYでは大作と同じ扱いとして積極的に取り上げられていた''>https://twitter.com/kohilosi11/status/1158231911342284802?]]。
--同じ雑誌内では当時のインベックス社内における制作現場の様子が積極的に公開されており、更には隠し車種が存在していることが紹介されている…が、実際にデータ内に存在を確認した事例はあるものの、肝心の正規での出現条件は設定されていないため、通常プレイでは一切使用することができない。

''その他''
-あまり情報が発掘されていないせいか、これ以外で同社が手掛けたゲームは確認出来ない。
-現在インベックスのあった番地を検索に掛けると、全く無関係であるだろう建物が建っている事が確認出来る。恐らく倒産した模様。