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ポポロクロイス牧場物語 - (2018/01/23 (火) 11:56:26) のソース

*ポポロクロイス牧場物語
【ぽぽろくろいすぼくじょうものがたり】
|ジャンル|RPG|&amazon(B00TJUPFAC)|
|対応機種|ニンテンドー3DS|~|
|発売元|マーベラス|~|
|開発元|epics|~|
|発売日|2015年6月19日|~|
|定価|5,800円(税別)|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|誰もが予想だにしなかったコラボ&br;『ポポロ』としての評価は高め&br;『牧場物語』要素はオマケ程度&br;難易度は非常に低い|~|
|>|>|CENTER:''[[ポポロクロイス物語シリーズリンク>ポポロクロイス物語シリーズ]]''|
|>|>|CENTER:''[[牧場物語シリーズリンク>牧場物語シリーズ]]''|

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#contents(fromhere)
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**概要
ピノン王子を主人公にした次世代シリーズが大爆死した上、皆の期待がかかったPSP移植版すら内容の酷さで評価を地に落とした『ポポロクロイス物語』シリーズのまさかの新作。~
//PSPのあれはバグだけの問題ではありませんでした
しかも、『牧場物語』シリーズとのコラボ、なおかつソニーハードではなく任天堂ハードでの発売((ゲームとしての本作の権利(特に商標)を所有していたソニー・コンピュータエンタテインメントは、本作では協力扱いである。))という予想外の要素まで引っ提げており、かなりの話題を呼んだ。~
時系列としては、大体『II』のプロローグと第一章の中間ぐらいに相当する。~

なお、開発元のepicsは2006年にジーアーティスツが社名変更したものであり、epics名義としては初めてのポポロクロイスとなる。

**ストーリー

平和な国、ポポロクロイス。今、この国は「黒獣」と呼ばれる正体不明の魔物の脅威にさらされていました。~
頭を悩ませたパウロ国王は、遠くガラリランドから来た手紙に従い、ガラリランドの外交官マルメラをポポロクロイスに招聘します。~
美しい容姿と知的な言動を持つマルメラは、「ガラリランドで対策を学べば、黒獣の脅威は去る」と語ります。~
そして、ピエトロはポポロクロイスを救うべく、自らガラリランドへと旅立つことを決意しました。

…しかし、それはマルメラの罠だったのです。

ガラリランドを覆う闇の化身、「グリフォト」の手先だったマルメラの奸計により、ピエトロはガラリランドへと追いやられてしまいます。~
ガラリランドは元々この国の守護神であった「光のガラリエル」の加護を失い、各地にある「光の牧場」も闇へと封印されてしまいました。~
ピエトロはガラリランド、そしてポポロクロイスに大地の恵みを取り戻すため、頼もしい仲間と共に再び旅立ちました…。

**システム
-基本はいつもの『ポポロクロイス』。『II』までに培われたシステムをほぼそのまま流用しているため、戦闘面では特にこれと言って語るべき点はない。
--強いて言うなら、2人で協力して放つ「協力技」という要素が追加されたぐらいか。もっとも、協力と言っても行動回数は1人分しか消費しないため、実質的には「特定の仲間がいると使える技が1つ増える」ぐらいの感覚。

-本作の主な舞台であるガラリランドの各地にある「牧場」を解放することで、野菜を育てたり家畜を飼育できるのが特徴。
--各種要素はシンプルにまとめられており、季節だったり病気だったりのトラブルは一切ない。日数カウントはなく、作物はバトルしたり、宿屋で休むと育つ。
--各地で採取した素材や野菜を「合成屋」で合成して新しいアイテムにすることもできる。
--ハンマーや虫網で鉱石と虫素材を集めることもできる。

-基本的な進行は「四季のそれぞれを模したガラリランド各地へと向かう」→「それぞれのエリアの牧場を解放する遺跡の扉を開くため、闇に汚染された畑ダンジョンを攻略する」→「遺跡に挑戦」となる。ただし、3つ目のコルダン地方だけは例外で最初から牧場が解放されているが…。

**評価点
-ファン待望、''久しぶりの「ピエトロ」の新作''。『ピエトロ王子の冒険』を除けば、『II』以来実に''15年ぶり''である。
--各キャラクターの性格付けなども、昔のまま。心優しいナルシア、誇り高い白騎士、少々イジワルだけど憎めないガミガミ魔王など、いずれもファン感涙物。
---漫画版から「ブラックバロン」がゲスト出演するというサプライズもあった。
---「ガミガミ魔王の四畳半ネタ」など、ちょっとしたネタもちゃんと拾ってきている。

-ストーリーや世界観も、王道ながら「ポポロらしい」と好評。
--ちょっと切ない感じもあるが、完成度の高いシナリオは相変わらずの出来栄えである。
---新しい仲間である気が強くて弟思いの兄、「ニノ」と心優しく兄を敬愛する弟、「ルー」の兄弟も評判はいい。

-称号集めや図鑑埋めなど、やりこみ要素も豊富。サブクエストの種類も多い。
--フリー畑ダンジョンエリアのクリアは本作では例外的に高めの難易度になっており、やりこみ甲斐がある。
--おなじみのお土産収集も健在である。

-エリア移動のロード時間が短く2~4秒程ですむ。
--今作は3Dグラフィックを使用しているが同じく3DであったPS2の作品では極端にロード時間が長かったので、3D作品での欠点を改善する事ができたといえる。

-起用されている声優が豪華。『[[プリキュア>プリキュアシリーズ]]』シリーズなど地上波の人気アニメでメインキャラを演じた経験を持つ有名どころが惜しげもなく投入されている。

-ゲームを進める上で致命的なバグや不具合は特に見当たらない。

**問題点
-''あまりにヌルすぎる''。『II』もゲームとしては全体に簡単目になっていたが、本作のそれはいささか度を越していると言わざるを得ない。
--難易度は「かんたん」と「ふつう」から選べるが、よほどRPGに自信がない人以外は「ふつう」を選ぶべきだ。「ふつう」でも恐ろしく難易度が低いので、これが「かんたん」ともなると…。
---難易度はゲーム中いつでも変えられる。これは親切なところ。
---「更新データVer. 2.0」のパッチを当てれば難易度に「むずかしい」が追加される。前述の通り「ふつう」でもヌルさが目立つバランスなので少しでも歯ごたえを求めるなら「むずかしい」を選ぶべきだろう。
--装備が弱すぎでもしない限り、基本的に雑魚敵は瞬殺。相手から受けるダメージも微々たるもので、レベルアップ時にHP・MPが全回復することもあり、回復アイテムすらあまり必要ない。
---ナルシアが仲間に加わってからは、完全にナルシアのホーリーアーク無双状態。燃費が恐ろしく良い全体魔法攻撃であり、これで一撃できなくても他のメンバーの攻撃で一掃できてしまう。
--ボスも非常に弱い。というより、行動パターンが少なく全体攻撃を使ってくるボスもほとんどいない有様。
---ほとんどのボスは「黒獣」「ガーディアン」であり、バリエーションも乏しい。終盤まで似たようなボスが何度も出てくる。
--さすがに終盤のダンジョンともなると、厳しくなっては来る。ただ、難しくなってくるまでが長すぎる感はあるが…。
--宝箱に化けた敵ミミックが一種類しかおらず、最終盤まで罠の敵はこれしかいない。当然、終盤になると一撃で倒せてしまうので罠でもなんでもなくなっている(宝箱の中身は普通にミミックのドロップ品として確定入手できる)。むしろ経験値とお金が手に入る分ボーナス宝箱と化している有様。

-敵の弱さに対し、エンカウント率が高めでイライラする。シリーズの伝統であるピエトロの「マジカルロード」もなぜか削除されてしまった。
--一応代替品のアイテムはあるが、一個500Gと少々お高め。中盤からホイホイ使うには台所事情が厳しく、効果時間も短い。合成でも作れるが、素材がモンスタードロップ品のため安定供給が難しい。
---そのため、基本的には雑魚戦はオート戦闘に任せてしまい、戦闘中は他の作業でもしていた方がストレスが少なくて済む。オートでも余裕の難易度なので、終盤までこれでOK。
---更新データVer. 2.0のパッチを当てればエンカウント率の調整が3段階でできるようになる。

-大半のダンジョンは「迷路状の畑ダンジョン」か「ほぼ一本道のストーリーダンジョン」に大別できてしまう。
--畑ダンジョンはやたらと複雑な構造をしているため、マップ開放アイテム「衝撃にんじん」を使わないとかなり面倒。一方、各地のお城や遺跡はかなり構造が単純。いずれにせよ共通して言えるのは''ギミックがほとんどなく、ただひたすら雑魚を倒して先に進むだけ''と、ダンジョンとしてはあまり面白味のない内容になっていることである。

-戦闘におけるバリエーションの少なさ。敵だけでなく、味方サイドも全体的に地味。
--顕著なのはガミガミ魔王。なんと技が''3種類''しかなく協力技もない。しかも最後の技は、最終章でのイベント習得なので、ほとんど2種類の技しか使えないことになる。
---協力技がないのは、むしろ彼のキャラクターには合っているのだが……しかし、それなら個人で使える技の種類を多くしてバランスを取るべきではないだろうか?
--終盤になってくると、魔法使いキャラのナルシアやルーですら直接殴った方がダメージが大きくなってくるため、魔法の存在意義が薄くなってくる。一応ホーリーアークは雑魚一掃に使えるが。
--技の演出も全体的に地味め。技のレベルが上がっても、演出はほとんど変わらない。
--属性はいわゆる「四すくみ」になっている火・水・土・風の4種、相反する光・闇の2種、独立した無属性の計7種で成り立っているが、この中では光属性が目立って優遇されている。というのも光属性と闇属性に関しては自分と同じ属性以外の全ての属性にダメージ上昇の補正が付き((具体的には無属性には1.1倍、火・水・土・風属性には1.25倍、相反する属性には1.7倍。))、かつボスなどの強敵はほとんど闇属性だからである。前述のホーリーアークの使い勝手の良さの理由の一つにはホーリーアークが光属性攻撃だからというのもある。

-配慮に欠けるユーザーインターフェース。
--アイテム一覧でのページ送り機能がない。一覧横のバーをタッチして動かせば一応一気にページを動かすことはできるが、他のシーンでは一切タッチペンを使わないにも関わらずなぜかここだけタッチオンリーなので、やりにくい。
--戦闘中敵の名前を確認するチャンスが「敵の行動時」しかない。こちらから攻撃の対象に選んでも名前が表示されることはない。モンスター図鑑もあるので、別に名前がわからないから不都合があるわけではないのだが、だからと言ってわざわざ隠す理由も謎。
--合成屋では一個ずつしか合成できない上、アイテム選択の記憶機能がなく、何個も合成したければかなり手間がかかる。しかもアイテム選択後の合成最終確認がデフォルトで「いいえ」になっているという地味な嫌がらせまで。
---合成レシピも手探りで埋めるか、あるいはサブイベントで入手するしかない。
---3種合成に至っては、自力でレシピを見つけるのはまず不可能と断言していいだろう。
---更新データVer. 2.0のパッチを当てれば作成済みのアイテムに関しては合成する数を選択できるようになる。
--「とりょう」というアイテムがあると、ニノに話しかけることで屋根の塗り替えができるのだが、''誰一人としてそれを説明してくれない''。もちろん、これ自体はゲーム進行に全く関係ない単なる塗り替えイベントなのだが、だからと言って説明皆無というのも…。
--ゲームクリア後、6人のメンバーから4人を選んで冒険できるようになるのだが、''組み合わせが完全固定''。ピエトロとナルシアを外すことができず、それに「白騎士&ガミガミ」か「ニノ&ルー」のどちらかのペアを選べるのみ。ピエトロを外せないのはまだしも、それ以外のメンバーが…。
---ストーリー上では、メンバー固定は仕方ない側面はある。だが、クリア後のオマケでも選択に自由度がないというのは問題である。
--画面上に表示されるお知らせメッセージ((作物が実ったり家畜の生産物が採れるようになったりするとポップアップする。))が鬱陶しいという意見も多い。表示されてもゲームが停止したりはしないのだが、牧場の数が増えると純粋にメッセージ量が多くなって目障り。オフにする機能はない。

-版権の都合で、一部の重要人物(本作のシナリオでの立ち位置はともかく)が名無しになっている。
--例を挙げるとピエトロの母のサニアは「王妃」、ピエトロの妹のエレナは「王女」に。これらのキャラの名前は原作ではなくPS版の設定である為、任天堂ハードの本作では使用が出来ないのである((念のためもう一度言っておくと、SCEは協力扱い。))。

-ナルシアの変身後の姿、カイが出て来ない。
--こちらは上記の名無しの問題と違い、原作にもカイは出てきている上に黄金の鍵もしっかりと出てくる。ゲーム作品の時系列的にも問題ないので、少し疑問に残る点ではある。
---主な要因はブリオニア関連の説明ができなかったこと、海自体が今作では出てこないことなどが挙げられる。

**賛否両論点

-牧場要素はオマケ程度。システムがシンプルな上、ほとんど放っておいても構わない。本筋がRPGであることを考えると、妥当とも言えるが。
--一応バランス的には、序盤の敵から得られるお金に対して装備品の値段がかなり高く、真面目に作物を育てておけばそれなりに楽にはなる。また、サブイベントを進める際も何かしらの作物が必要になるケースは多く、高性能な回復アイテムや武器を合成するのにも役に立つ。
---とはいえ、前述のように戦闘バランスはかなり緩いので、本筋にだけ興味があるならほぼ無視してもOK。この辺りは自由度が高いと評価してもいいだろう。

-『牧場物語シリーズ』では定番なのだが、賛否を呼んだのが''各地の女の子にプレゼントをあげて仲良くなる''イベント。
--説明しておくと、ピエトロは''常にナルシア一筋''である。これはシリーズ通して微塵もブレていない要素の一つ。
---というより、本作でも序盤からキスシーン(額にだが)があるなど、「ピエトロとナルシアの淡い恋愛関係」というのは大きなテーマである。
--にもかかわらず、堂々と「浮気」要素を放り込んで来たところに古参ファンでも意見は分かれた。
---一応ピエトロ側の認識としては「仲の良いお友達」程度なのかもしれない((実際おしゃべりして「楽しいね」「面白いね」と言い合う程度のプラトニックなイベントである。もちろん子供ができたりなどはしない。))が、「背後にナルシアを引き連れているのに、堂々とプレゼントをあげるってのはどうなのよ?」と言われやすい。
--ゲーム的には、彼女たちと仲良くなっておかないと「金のアイテムシリーズ」が手に入らない((具体的には好感度を最大にした上で、彼女たちから出されるクエストをクリアする必要がある。))。作業効率を上げるだけの「金のクワ」「金のじょうろ」はともかく、「金のハンマー」「金の虫取り網」はアイテム収集に関わってくる((採集1回当たりのアイテムの収獲量が増える。))ため、是非とも欲しい一品になっている。
---無理に進める必要性はないのだが、結局彼女たちの好物を見つけてひたすらそれをあげまくるだけの単調な内容である。
---ちなみに好感度を最大にするとアイテム扱いの「気持ち」が手に入り、レアアイテムを入手しやすくなったり、作物の収獲量が上がったりなどの恩恵を受けられる。
---なお、すれちがい通信によって手に入る「宝の地図」によって「金メッキのアイテムシリーズ」という「金のアイテムシリーズ」と同様の性能を持った道具を手に入れることもできるが、手に入らないことも多い上何回か使っていると壊れてしまう。
--各女の子は「男勝り」「純情系」「真面目系」「不思議ちゃん」「ツンデレ」と一通り網羅はしている。担当声優も能登麻美子や田村ゆかりなど、実に豪華な面子。

-ガラリランドがメインのフィールドになったので仕方ないのだが、ポポロクロイスが大幅に狭くなってしまった。
--ポポロクロイス城と平原、フローネルの森だけ。後は洞窟が一つ、畑が一つ。
---タキネン村がなくなってしまったのは、上記のキャラ名同様何やら版権が絡む事情があるとのこと。

**総評
全体的に『ポポロクロイス』としても『牧場物語』としても特別破綻しているポイントはなく、手堅く作られてはいる。特に『ポポロ』としての雰囲気はファンとしても納得のいく仕上がりであり、すっかり新作が途絶えてしまっていた『ポポロ』を復活させた功績は大きいと言える。~
ただ、RPGとして見ると、とかく弱い雑魚敵に単純極まりないダンジョンと、あまり褒められた出来ではない。ゲーム全体がこの単調な流れで進んでしまうのは、やはりマイナスポイントと言わざるを得ないだろう。~
「ポポロのファンアイテム」という側面が強くなってしまうのは仕方ないところかもしれない。

**余談
-なぜかオプションで、ピエトロとナルシアの声優を2通りから選べる。
--パターン1は『II』に準じた「折笠愛&白鳥由里」のコンビなのだが、パターン2は全く新しい「坂本真綾&川澄綾子」。なぜ2通り用意されているのかは不明。
---この二名は『[[ルーンファクトリー2]]』において声を演じている((坂本真綾は1部での主人公、川澄綾子は同じく1部でのヒロイン候補の一人を演じている。))ため、『[[ルーンファクトリーシリーズ]]』のオマージュともとれる。
---ファンからは「新作における声優の声をファンに慣れてもらうためでは?」などとも期待されている。

-初代から延々とその存在が語られていた「キングナイトの剣」が遂にゲーム中で入手可能になった。
--……手に入る''だけ''だが。ラストダンジョンの宝箱を開けると、ヒョイっと手に入ってしまうので感動も何もない。もちろんその時パーティーに白騎士がいても無反応。
---一応白騎士の最強武器ではある。また、キングナイト関連のイベントはちゃんとあるので、別に無視されているわけではない。

-これまでにも述べているように2015年7月22日に難易度「むずかしい」やエンカウント率の調整機能などを追加した「更新データVer. 2.0」が配信されている。これから本作をプレイする際にはあらかじめダウンロードしておくことが推奨される。