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グルーヴ地獄V - (2022/02/19 (土) 08:32:17) のソース

*グルーヴ地獄V
【グルーヴじごくふぁいぶ】
|ジャンル|''クソゲー"|&amazon(B000069TQR)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|オーパス・スタジオ|~|
|発売日|1998年1月8日|~|
|定価|5,544円(税込)|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|&bold(){地獄で待ってるぜ。}&br()自称『&bold(){クソゲー}』&br()ミュージックエディターは高評価|~|
|>|>|CENTER:''電気グルーヴシリーズ(グルーヴ地獄シリーズ)''&br;&bold(){グルーヴ地獄V }/ [[バイトヘル2000]]/ [[The Last Guy]]|
|>|>|CENTER:''[[SIEワールドワイド・スタジオ作品]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-本作は『[[DEPTH]]』の流れを汲む「SweepStationシリーズ」の二作目となる作品。テクノバンドである電気グルーヴがプロデューサーとして参加しており、ゲーム全体のプロデュースをメンバーのピエール瀧、音ネタのプロデュースを同じくメンバーである石野卓球と砂原良徳が担当している。
--余談だが、砂原は電気グルーヴ加入前にCSK総合研究所の関連会社で働いていた事があり、メガドライブ版「[[ギャラクシーフォースII]]」のBGMに携わったことがある。また、ピエール瀧は[[ドラクエ3>ドラゴンクエストIII そして伝説へ…]]にハマりすぎて専門学校を中退した逸話を持つほどのゲーム好きであり、当時放送されていたゲーム番組「ゲームカタログII」にも準レギュラーとして出演していた。
-また、本作のキャラクターデザインはゲーム『[[バスト ア ムーブ]]』やアニメ『OH!スーパーミルクチャン』のキャラクターデザインなども手掛けている田中秀幸が担当している。田中氏は元々ピエール瀧と合同でCGアニメや映像演出を制作する仲であり、関わりが深い人物でもある。

-基本的には前作『DEPTH』と同じく、プレイヤーは音ネタを集めて簡易的なシーケンサーを操作して遊ぶという内容になっている。
-- ・・・のだが、ピエール瀧の個性が思う存分発揮された結果、&bold(){「クソゲー(自称)」が出来上がってしまった。}

-オープニングは夕暮れ時のサラリーマンが鬼の面やスピーカーが装飾された&bold(){暴走トラックに轢かれる}映像となっている。

-タイトル画面のBGMはピエール瀧が「グルーヴ地獄ファイブ~」と&bold(){アカペラで熱唱}するものとなっている。
--当然だが、グルーヴ地獄Ⅰ~Ⅳは存在しない。

-ローディング画面は、麻雀の牌が揃っていき「ツモ」になる・&color(#F54738){飛行機がビルに突っ込む}・口に含んだガムを手で伸ばすなどのバリエーションがある。

**ゲームシステム
-&bold(){バイトをして、お金を稼ぎ、ガチャガチャを回して、音ネタを集めて遊ぶ。}簡単に言えばこれだけである。
***メインメニュー
-なぜかテレビ番組「ドリフの大爆笑」のコント「もしもシリーズ」で使用されているBGM風のものが流れる。

***バイトジゴク
-メインメニューの「ジゴク」を選択すると出てくる。所謂「バイト斡旋所」。合計8つのバイトの内、ランダム3つの「バイト」(ミニゲーム)が選べる。BGMはなぜか剣道の音が聞こえる。
--どうやら「バイト=つらい=地獄」ということらしい。
-しかし、この「バイト」が一癖も二癖もあり、正に「クソゲー」と呼ぶに相応しい内容になっている。当時のゲームレビューでは「&bold(){3分で飽きる}」「ゲームをする前に取扱説明書のゲーム説明を読んでいる間が一番幸せなひととき」と評された((マイウェイ出版『プレイステーションクソゲー番付』より))。

-以下、主なバイトを紹介する。
-『ボールペンコウジョウ』
--名前の通り、&bold(){フルポリゴンで描かれた黒色ボールペンにキャップを嵌めるだけの仕事。}
--嵌める、送る、嵌める、送るの繰り返しであるが、たまにペンが上下逆になって来るのでひっくり返して嵌める必要がある。&bold(){たまに赤色のボールペンも来るが、ただの赤色ボールペンなので得点が加算されたりすることは無い。}
---作業中のBGMは無く、周りの作業員と思われる話し声がボソボソ聞こえてくる。BGMが存在しない理由について、ピエール瀧曰く「&bold(){工場だから}」との事。
--何本嵌めろというクリア条件は無いため、&bold(){カンストするまで思う存分キャップを嵌める仕事が出来る((計算上およそ16年と3ヶ月かかる))。}
---もちろん途中で辞めることが出来るので、そこまで嵌めた本数のバイト代が貰える。もちろん、バイトなので&bold(){キャップを80本嵌めたところで300円程度しか貰えない}。
--嵌めずにそのまま流してしまったり、上下逆のまま嵌めて送ってしまった場合、一切ゲームの進行に影響は出ないが、給料はその分引かれてしまう。

-『薪割り』
--&bold(){イジワルなクソババア}(取扱説明書より原文ママ)が出してくる薪を割っていく仕事。タイミングよく割っていかないと即終了となってしまう((この時にも「ドリフ大爆笑」のコントのオチのSEっぽいのが流れる。))。1本10円なので、10本割ると100円がバイト代になる。
---たまに動物を出してきたり、動物の形をした薪を出してくるので、注意が必要である。
--薪を割るのが遅い、もしくは動物を割ってしまうと終了となってしまう。動物を割ってしまった際には&bold(){お経が流れる}。

-『崖レース』
--赤い帽子に青いオーバーオールをしたおじさん((プレイヤー側。「マ」と表示されている。))とロバ((ちなみに英語でロバは「ドンキー」という。))がカートに乗り、チキンレースをする。それなんて&s(){マリオカート}
--当初のゲームの名称は「[[スーパーマリ岡64歳>スーパーマリオ64]]」だったが、流石に怒られたらしい。

-『キノコ or DIE』
--「フロッガー」のパロディゲーム。絵柄も8bitのドット風になっている。交通量が多い道を渡ろうとしているおじいちゃんを、車を避けながら対面側の歩道まで移動させるゲーム。
--道の途中にキノコが生えており、キノコを集めながら向こう側に行くとボーナスが入り、バイト代が上がる。
---このキノコは「&bold(){一部の若者の間で人気}」という危険な設定になっている。

-『心霊写真鑑定人』
--流れてくる写真に対し、心霊写真だと思うものに○ボタンを押していくゲーム。
--しかし、流れてくるものは&bold(){全部心霊写真}(という名の電気グルーヴのオフショット写真をコラージュしたもの)である。
---適当な合成がされているため、一目で心霊写真だと分かるようになっている。

-『ときめいていいとも』
- 取扱説明書には書かれていない隠しバイト。
--略すと「&bold(){ときめも}」。タイトルBGMは[[長らく平日のお昼に放送されていた番組>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E7%94%B0%E4%B8%80%E7%BE%A9%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%BC_%E7%AC%91%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%A8%E3%82%82!]]のテーマっぽい曲。
--[[とある恋愛シミュレーションゲーム>ときめきメモリアル]]に似ている画面の中、女の子が行う花占いで「好き」に当たれば得点が得られ、バイト代がもらえる。
--たまに[[サングラスでオールバックヘアーの人物>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%A2%E3%83%AA]]から電話がかかってくる。「&bold(){明日いいかな?}」と聞いてくるので「&bold(){いいとも!}」と答えると、翌日の12時になり、高額なバイト代が貰える。

***ガチャガチャ
-「バイト」で貯めたお金を使う場所。
-3台あるガチャガチャのどれかを選び、ガチャを回す。ちなみにどれを選んでも変化することは無く、一回100円均一となっている。
--カプセルの中身は、音ネタとハズレのどちらかが入っている。カプセルは上下で別になっており、音ネタが2つ手に入ることもある。もちろん上下どちらもハズレの可能性もある。
--また、音ネタをゲットすると一つ絵柄が開放されていき、一つのジャンルの音ネタをコンプリートすると一枚絵となるコレクション要素もある。
---ハズレは字の通り「ハズレ」なので、なにも得られない。

***ジタク
-「ミュージックエディター」と呼ばれる簡易的なシーケンサーと一台のターンテーブルがある。『DEPTH』における「GROOVE EDITOR」となっている。
-「ハイハット」「バスドラム」など8つのトラックで構成されているものに対し、プレイヤーが集めた音ネタで自由に組み替えてシーケンスを作っていく。
--シーケンスの音量の調節や音の振り、速さ(BPM)を調整することも出来る。
-作り終えたシーケンスはターンテーブルで自由に切り替えて演奏することが出来る。また、簡易的なエフェクトをかけることも可能。
-- R1/2、L1/2でトラックのミュート、○ボタンでトラックの頭出し、□ボタンでエフェクト、左右キーでシーケンスを選び、×ボタンでシーケンスの切り替えという仕組み。
--コントローラーのボタンひとつの簡単操作なので、誰でも簡単にDJプレイが楽しめる。
--プレイヤーが遊んだリプレイを保存することが可能であり、友人などに共有することが出来る。過去にはピエール瀧によるリプレイセーブデータが配布されていた。

***セーブデパート
-ごく普通のデータセーブ・ロードができる。受付のお姉さんはなぜか吐血している。BGMは西部劇の音が鳴り響いており、馬の鳴き声や銃撃音だらけとなっている。

***トモダチ
-友達に電話をかけることができる。ただの友達との会話なので、&bold(){攻略情報などはあまり教えてくれない。}というより、&bold(){意味不明な事ばかり言ってくる。}
--たまに普通にバイトやミュージックエディターのアドバイスが貰える。
-また、「ボールペンコウジョウ」で良い成績を出していると、ボールペン工場の社長が電話に出るようになり((ここで非常に歪んだ「ゴッドファーザー 愛のテーマ」のイントロが流れる。))、工場の社員になるように勧められる。ここで社員になることを選択すると、&bold(){ボールペン工場の社員となりゲームオーバー}となる。

**ゲームクリアはあるの?
-ミニゲームを遊び、ガチャを回す。延々と同じものをするゲームではあるが、一応ゲームクリアのような要素はある。
--一枚絵(音ネタ)をすべてコンプリートすると、水木しげるによるイラストが見られる((この時「ゲゲゲの鬼太郎」っぽい曲が流れる。))。
--その後、「グルーヴ天国」モードとなり、「バイトジゴク」も「バイトテンゴク」になる((ゲーム内容は一切変わらない))。
---更に一枚絵が追加され、この一枚絵をコンプリートすると里中満智子によるイラストが見られる((この時「ファイナルファンタジー」っぽい曲が流れる。))。

-ただし、&bold(){エンディングやエンドロールは存在しない。}

**評価点
-バカバカしい演出やパロディが大半を占めている点。
--自称『クソゲー』ではあるが、『バカゲー』要素の方が大きいとも言える。

-金策に困ることは無い。
--「ときめいていいとも」のレアバージョンに当たると11111円もゲット出来る。「心霊写真鑑定人」も○ボタンを押すだけでいいので300円は確実に貰える。
---タイトル画面でコマンドを入力すると、音ネタが全解放された状態で遊べるようになっている隠し要素もある。

- ミュージックエディターが優秀。
--上述した通り、コントローラーのボタンひとつの操作で完結してしまうので、非常にプレイしやすい。ユーザーインターフェースも良好である。
--エフェクトをかけると画面が揺れるなど変化が起こるため、視覚的にも分かりやすい。

-「音ネタ」が豊富であること。
--合計192種類もの音ネタが収録されている。先述の通り、音ネタ部分は電気グルーヴの楽曲制作の中心となってる二人が監修しているため、数秒のパターンではあるが本格的な音作りとなっている。また、電気グルーヴの楽曲で使用された音源なども存在している。
--ジャンルも細かく分けられているため、あらゆるパターンの音ネタを組み合わせる事が可能。
---ちなみに本作発売後、電気グルーヴが本作の音ネタをサンプリングした楽曲「&bold(){地獄へ堕ちろ電気グルーヴ}」を発表している。((電気グルーヴ8枚目のアルバム「VOXXX」収録曲。このアルバムの制作中に砂原良徳が脱退し、石野卓球とピエール瀧の2人体制になった。))

-バグが存在しない。
--&s(){意外と}堅実な作りとなっている。

**問題点
-ゲームのシステム上、人を選ぶ点。
--ミニゲーム集ではあるが、ブラックジョークやパロディが含まれている為、好き嫌いが分かれる作風となっている。
--電撃プレイステーションでは、簡単に作曲ができるという点では評価されており、「ゲームとしてはダメ」「コメントに困る」というレビューがされていた。

-シンプルな出来となっているが、悪く言えば単調な点。
--バイトをする→ガチャを回す→バイトをする→ガチャを回すという流れであり、バイトも8つしか存在しないため、飽きが来てしまう。

**総評
1998年当時としては誰にでもDJ感覚で楽曲をプレイすることが可能であり、作曲ソフトとしても楽しめるゲームになっている。前作『DEPTH』よりもミュージックエディター部が強化されており、音楽部分においては正当進化したものと呼べるだろう。~

また、電気グルーヴと田中秀幸による不条理な世界観もしっかり存在しており、電気グルーヴを知らない人にも概ね好意的に受け入れられた。「ミュージックエディター」と「クソゲー」によってカルト的な人気作品となっている。~

ミニゲームに関しても数は少ないが、シンプルならではの中毒性がある。ペンにキャップを嵌めるゲームやチキンレース、フロッガーなどのパロディゲームなどバラエティ豊かとなっている。~
まともなミニゲームを入れなかった理由について、ピエール瀧は「&bold(){エディター部分だけ遊んでも面白くないからクソゲーを入れた}」ということらしい。~
本作発売当時、ピエール瀧は「(本作の三週間後に発売される予定の)[[バイオハザード2>BIOHAZARD 2]]を待ったほうが間違いなく楽しめる」と豪語していた。~

その後、2005年には本作のミニゲーム部分が強化された『[[バイトヘル2000]]』が発売。同じくピエール瀧がプロデュース、田中秀幸がデザインを担当している。~
しかし、こちらは「ミニゲーム集」としての要素が強く、エディター部分はオミットされているため、本作のゲームアーカイブス化やリメイク版を求める声も存在している。~

「SweepStationシリーズ」としては、2000年に三作目『BEAT PLANET MUSIC』が発売。こちらは本作よりも前作『DEPTH』の「CRUISE STAGE」を正当進化させたような内容となっている。

**余談
-ジャンル名
--開発がほぼ終わった頃に、カタログに載せるジャンル名を決める必要があると言われた瀧氏はどうするか悩んだ末にあてはまるジャンルがないので「じゃあ"クソゲー"でいいですよ」と答えたため、ジャンル名が「クソゲー」になった。
--また、アイデアとして出たクソゲーの中には「自機と敵が1ドットのシューティング」なんてのもあったが、流石に怒られて没になったことを本作発売当時のインタビューで語っている。

-もともとの生産数が少なく、あまり市場に流通していなかった為、一時期は中古価格がプレミア価格で高騰していた。