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THE 功夫 - (2020/03/20 (金) 05:13:57) のソース

*THE 功夫
【ざ くんふー】
|ジャンル|アクション|&amazon(B0000ZPSYS)|
|対応機種|PCエンジン|~|
|メディア|2MbitHuカード|~|
|発売元|ハドソン|~|
//|開発元||~|
|発売日|1987年11月21日|~|
|定価|4,900円|~|
|配信|バーチャルコンソール&br() 【Wii】2007年6月5日/600Wiiポイント&br() 【WiiU】2014年4月30日/617円&br()PCエンジンアーカイブス:2010年1月20日/600円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|(当時としては)衝撃の巨大キャラを動かせるインパクト&br()しかし、ゲームとしての出来はアレ|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
-PCエンジン(以下、「PCE」と表記)初期本体発売から約1ヶ月後にハドソンからリリースされた横スクロールアクションゲーム。~
本体同時リリースの予定だったが、諸般の事情で発売日が延期された。

-PCEの性能の凄さを見せつけるために作られたような作品であり、当時の家庭用ゲーム機において不動の人気を誇っていたファミコンの性能ではまず不可能と思われる巨大キャラクターを動かせる事を売りにしていた。
-1人プレイ専用、全4ステージ構成×3周ループ。

**主なルール
-原則として、常に右方向の強制スクロールで進行するタイプのアクションゲームであり、カンフーの使い手である主人公を操作し、迫り来る敵や障害物を攻撃して倒したり、ジャンプなどでかわしたりして先に進み、各ステージにて3人ずつ待ち構えているボス(中ボス2人+ステージボス1人)全員(全ステージで合計12人)を倒すのが目的である。

-十字キーで主人公の移動やジャンプ等の操作を行い、2個のボタンはそれぞれパンチとキックに使用する。なお、ゲームの仕様上、主人公は右側向き固定(左に向く事は一切できない)である。
--十字キー左右で主人公の左移動(後退)か右移動(前進)の調整。
--十字キー上もしくは斜め上でジャンプ(斜めジャンプ)を行う。ジャンプ中は一切のジャンプ力調整や移動制御は不可能である。
--十字キー下でしゃがみ操作を行う。
--パンチボタンを押せばパンチ攻撃で、立ち状態(十字キーニュートラル状態)で上段パンチ、しゃがみ状態で中段パンチを出す。ジャンプ中ではこの攻撃は一切できない。
--キックボタンを押せばキック攻撃で、立ち状態にて中段キック、ジャンプ中だとジャンプキックを出す。しゃがみ状態ではこの攻撃は一切できない。
--パンチ・キックの各攻撃にはそれぞれ当たり判定に相違があるので、場所によってそれらを使い分ける必要がある。
--以下の操作を行うとスクロールが一時的に停止する。
---しゃがみ状態のままでいる。
---十字キーを左方向に入れっぱなしにしている。
---その場にてパンチ攻撃かキック攻撃を連打する(ジャンプキックは含まれない)。
---中ボス及びステージボス戦に入った時。
--中ボス・ステージボス戦限定行動として、相手がパンチを出した瞬間にパンチボタンを押すか、相手キックの瞬間にキックボタンを押せば防御(ノーダメージ)が可能。
---さらに、相手のパンチダメージを2~3回食らった後にこちらのパンチ攻撃を当てると、専属の必殺技が発動して相手に大ダメージを与えられる。

-ボス前にて特定の敵を倒すか、空中に浮いている「烏龍茶」を攻撃(触れるだけでは効果無し)すると、ライフが一定値まで回復する。

-中ボス・ステージボス戦共に相手のライフゲージが表示され、それを0にすれば勝利となる。中ボスを倒せばそのステージを継続してプレイ、ステージボスを倒せばそのステージはクリアとなる。

-ステージ4を除く各ステージをクリアすると、ボーナスゲーム画面となる。ゲージが上下にて激しく動いているので、これをボタンで目押しし、ゲージが止まっている場所が高い位置にあるほど高得点が得られる。もちろんボーナスゲームなので、どの結果になろうと得点に変動がある以外では次のステージ進行に影響はない。

-ライフ制+残機制の戻り復活システムであり、残機が全て無くなるとゲームオーバー。ミスした後の復活地点は、やられた場所の中ボスかステージボスのいる最初の地点からとなる。
--初期状態及びミスした後の復活時のライフは10ゲージだが、前述のライフ回復を行うと最大30ゲージまでライフを溜めることが出来る。敵から受けたダメージによるゲージ消費は状況によって異なるが、大体は1~3ゲージほどである。
--本作では、一撃死になるような要因は無いが、ステージクリアによるライフ回復の特典も無い。
--コンティニュープレイは表面上では不可能だが、とある裏技コマンド入力によりゲームを再開することは可能である。

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**評価点
-ハード性能をアピールしているだけあって、当時としては考えられないほど巨大なキャラクターを動かせるインパクトは相当なものだった。キャラクターをこれほど大きく表示しているにも関わらず、チラツキや処理落ちがほとんど無く、PCEというハード性能の高さを見せつけていた。
--また、グラフィックも当時としては美麗でカンフーの雰囲気を十分に描けており、まさにカンフー映画そのものをゲーム化したような出来映えであった。それほどまでにPCEの性能は、家庭用ゲーム機の常識を覆す程の存在といえた。

-BGMも雰囲気とぴったりマッチした良曲揃いで、当時のプレイヤーにとっては(最初のうちは)ノリノリでプレイできる事請け合いだった。ただ、サウンドテストが非搭載であった事は残念であるが。

-タイトル画面で特定のコマンドを入力するとデバッグモードになる。
--いきなり2周目に行けたり、無敵になったりすることが出来る。

**問題点
-ゲームバランスが悪く、首を傾げたくなるような被ダメージに遭遇してしまいがちである。
--キャラクターが大きい故に前方の視界が大幅に限定されてしまう影響で、敵が現れた瞬間に対処が遅れてダメージを受けてしまうことが多い。そういった状況から、主人公を前方移動させながらプレイするのは自殺行為であり、後ろに居座りながらの消極的待ちプレイ状況になる事は必至。それほどまでに本作の視野の狭さは深刻といえる。
---もちろん、パターンを覚えれば先読み攻略プレイはある程度可能だが、まともにクリアするにはほぼ全ての敵配置を覚えなければならず、アドリブで攻略できるような難易度ではない。
--ボス戦における相手の動きがかなりいやらしいので、攻略が凄まじく不安定。こちらがちゃんと間合いを考慮して攻撃しようが、''相手はそれをものともせずに反撃してくる''ため、例えば「全快のライフゲージがいつの間にやら無くなっていた」といった事態も大いにあり得る。

-巨大キャラクター表示に容量を使い過ぎたためか、敵グラフィックの使い回しが目に見えて多い。
--どんなにステージを進めようが、出会う敵は同じような顔ぶればかりで、先に進んでいる感じがあまりにも薄く、その結果早い段階からマンネリ化…という駄目なゲームのお約束を満たしてしまっている。
--人間型のザコ敵といえば、色と性能が違うだけの''装束を纏った敵1種類のみ''。他のザコ敵は、どこからともなく飛んでくる「石」や「扇子」などの道具、蛾やヘビといった小動物ぐらいなもので、これらも種類に乏しく他のステージでも使い回されている。
--ボスキャラクターに関しても、''グラフィックパターンが5種類しかなく、うち最終ボス以外のグラフィックを繰り返し使い回しており、凄まじくバリエーションに乏しい惨状''。しかも、そのうちの1人は''主人公のグラフィックの流用''((後半の2人は、とても人間とは思えない体色をしており「主人公のクローン」とも称されている。))であり、結果として専用グラフィックのボスは4種類のみである。
---よりにもよって、第1ステージの時点でボス3人全員が、スキンヘッドの軍人の使い回しであり、初っ端からウンザリさせられる。
---エンディングでは、流用だらけの倒したボス12人の姿と名前が表示される演出があるが、その12人全員がそれぞれ別名であり完全に別人として設定されている(…そんなところよりも他にこだわるべき部分があるのではないだろうか?)。

-いかにPCE初期のゲームとはいえ、楽曲数が少なすぎる。
--主な曲は「タイトルBGM、道中BGM(全ステージ共通)、ボスBGM(同)、ボーナスゲーム画面BGM、エンディングBGM」の5種類のみ。楽曲そのものは良いのが救いであろうか。
-正直、1周目だけでも問題の多い内容だというのに、それを3周繰り返せというのは酷である。
--エンディング内容はどの周回でクリアしても同じなので、1周クリアすればリセットしても問題はない。

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**総評
外観のインパクトは凄いが、実際プレイしてみるとその内容は「大味・ゲームバランス不安定・使い回し過多」という問題の多いゲームであり、当時のプレイヤーから批判も多く、PCEというハード普及に貢献したとはお世辞にも言えない作品である。~
とはいえ、遊べないほどゲーム性が崩壊しているというものでも無い。

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**その後の展開
-バーチャルコンソール、PCエンジンアーカイブス、PC Engine GameBoxにて配信されている他、かつてはドリームライブラリー(ドリームキャスト)などの配信もされていた時期があったりと、移植には恵まれている。

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**余談
-どちらかというと、PCエンジンのデモンストレーション的な側面が強いソフトであった。
--見た目のインパクトは絶大なため、雑誌紹介でファミコンとの性能差をわかりやすく見せることには成功した。
-%%タイトルの読みは「ジ・いさお」ではないので注意。%%