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*久遠の絆 【くおんのきずな】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|&image(kuon.jpg,width=180)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|フォグ|~| |発売日|1998年12月3日|~| |価格|5,800円(税抜)|~| #contents(fromhere) *概要 -平穏な学園生活を送る主人公・御門武。始業式の日、そんな彼の前に高原万葉と名乗る少女が現れる。それと時を同じくして、武は前世の記憶を思い出していく事になる。平安・元禄・幕末・現代と4つの時代の中で、転生し悲恋に翻弄されていく男女の運命を描く。 *評価点 -一番の白眉はそのシナリオである。現代編を主軸に平安編(第一章)・元禄編(第二章)・幕末編(第三章)と過去の物語をなぞっていく形であり、その中で悲恋が繰り広げられていくのである。各時代で散りばめられた伏線を現代で回収しつつ、クライマックスに向けて全ての登場人物達が集束していく様は圧巻。 --ありがちではあるが、平和な日常が非日常に侵されていく恐怖と、それに対する主人公の不安は描写が細かい。 --世界観の根底にあるのは日本神話であり、そこに竹取物語などの古典作品を絡めた独自の世界観は完成度が高い。 --また、転生を題材としたシナリオであり、ある時代では仲間であった人物と別の時代では敵対関係であったりと、男女の悲恋だけではなく家族の愛憎入り混じった濃い人物模様が描かれている。 --史実に登場する人物や、陰陽道・土蜘蛛・新撰組などの史実と関わりのある要素を取り入れた事も、考察好きなプレイヤーたちを唸らせた。時代ごとの世相や生活習慣なども(正確性は別にして)緻密に描かれており、物語を引き立てるガジェットとして巧妙に機能している。 ---そもそも平安時代などは史料の少なさから時代考証が難しく、歴史小説でも敬遠されがちな時代である。あえてその時代に挑み、さらに違和感なしに描き切った事は評価に値するだろう。 ---さらに、元禄編でメインの舞台となるのは遊里として有名な吉原である。コンシューマのゲームで吉原を扱うゲームが他にどれだけあるだろうか?しかも、この当時の因習に縛られた男女の色恋を描く為に、活かしきってある。 --本編クリア後のおまけ要素として、はっちゃけた雰囲気のギャグ系シナリオをプレイする事も可能。 -登場人物は、まだいわゆる「萌え」が普及する以前であり、ジュヴナイル小説や伝奇小説を意識した人物造形で、それぞれのキャラクターはしっかりと立っている。 --ヒロインは謎の転校生や幼馴染、美人の先生。これを王道と見るかベタと見るかは人それぞれだろう。 --敵キャラも黒幕である太祖や雑兵の妖魔を除けば、何れも魔道に堕ちざるを得なかった「ワルなりの哀しさ」を背負ったものが多く、道を踏み外すに至る過程や心情が丹念に描かれており単純に「悪」と割り切れる存在ではない。 -故・風水嵯峨による楽曲も物語に彩りを添える。 --和風テイストの楽曲はこの当時はまだ珍しく、舞台設定も相まって非常に印象的だった。 --彼の死後、本作のサウンドトラックがフォグの通販で販売された。 -また岸上大策による美麗なグラフィックも評価点。 --美少女だけでなく男性も上手く描いており、物語の中でうまく調和されている。 --幕末編以外全てにおいて「ソニーチェックの限界に挑戦した描写」が存在し、エロゲーでもないのにエロスを感じさせるのは岸上の絵の上手さゆえか。 ---「事後」を思わせるようなCGなどにその片鱗がうかがえる。それが後述する18禁逆移植への不満にもつながるのである。 --人物だけでなく、竹林や紅葉といった日本的な風景も評価は高い。 *問題点 -CVがない。 --昔のギャルゲーの場合「豪華声優陣の代わりにパートボイス」「フルボイスだが無名の声優陣」の二択を強いられていたため、その流れからすると仕方ない事なのだが。 -ギャルゲーの皮を被ったホラー。 --悲恋譚がテーマのゲームなだけにジャンル的には「ギャルゲー」のカテゴリに属しているが、恋愛要素と同等に「伝奇ホラー」としての面も濃厚な為、コンシューマー作品としては猟奇的な描写も多い。この点自体は問題点という訳ではないものの、物語冒頭から''女性の生首を掲げた化物''のグラフィックが登場するなどグロ描写に耐性の無いユーザーには意外と辛いかもしれない。 -法術戦闘のミニゲームが飛ばせない。 --「敵に狙いを定め、円の中で点を定めて五芒星を描く」というものだが、周回の度に必然的に平安編・現代編で行う事となる。また、正しい描き順でなければ攻撃が発動しない為((後にゲームにおける描き順は間違いであった事をスタッフが明かしているが、『再詔臨』や『The Origin』でも修正はされていない。))、陰陽道などに疎いプレイヤーは馴れるまで意外と苦戦を強いられる。 -1998年作品という事を鑑みても、システム周りはあまり良くない。 --メッセージスキップが「メニューを開く→「メッセージスキップ」を選択」の2動作を必要としたり(スキップも選択肢で選択を選んだらストップする)、オートモードが無かったりと話がとにかく長く、選択肢の多いこのゲームの特徴を考慮していないものであった。 *その後の展開 -1998年当時のギャルゲーとしては珍しく、攻略本やアンソロジーコミックが出版された。 --当時は攻略本や設定資料集が出るゲームすら稀だったが。 -マイナーメーカーの為当初は決して注目度は高くなかったが、口コミで徐々に注目を集め、シナリオの追加を行ったDC版『久遠の絆 再詔臨』として移植(後にPS2にも移植)。一方で、追加シナリオについては結末を巡って激しい賛否両論が巻き起こった。 --ただし、シナリオ担当の加藤直樹は結末について「自分の中では(追加シナリオで)書きたいテーマを全部描ききった」と発言している。また、追加シナリオはPS版で報われなかったキャラクター達に対する救済措置的な側面も含んでおり、その点に関しての評価は高い。 --『久遠』関連のアンソロジーコミックで描かれた一部キャラクターの性格が、逆輸入の形で追加シナリオに反映されている。 --また『久遠の絆 再詔臨』は、ドリームキャストマガジンの名物企画である読者投票で上位の常連だった。 -更に後にはザウスからWinで『久遠の絆 -The Origin』として18禁逆移植されたが、過去のシナリオの全改変・CGの使い回しなどのため評価は散々だった。 --シナリオの全改変といっても一部テキストはPS版から流用している為、時代的な事もあり現在の感覚で読むと少々古臭さを感じてしまう。また全5章中、''とある時代だけ性描写が全く存在せず''「何のための18禁移植?」との疑問の声も上がった。 --メインヒロインの万葉ルートのみ何故か初回プレイ時はどの選択肢を選んでも、およそ「大団円」とは言い難いエンディングを迎える。2週目以降は大団円へのルートが解除されるとはいえ、何故このような仕様にしたのか公式なアナウンスが無いため不明。膨大な物語を経て辿り着いた結末で受けた不条理なオチに、初回で挫折したプレイヤーも多いという。 --18禁という事もあって、何気にグロ描写もパワーアップ。特に敵兵の首筋に喰らいつき肉を食いちぎるゾンビ兵のCGは妙に力が入っている…が、それより根本的な部分に心血を注いで欲しかった。
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