宿主、覚めない夢はないと知れ
それは失笑であり憫笑であり、蔑笑であり嘲笑。
およそあらゆる悪意が混濁した笑みと共に、暗黒の球体が変形した。
そこに、ナハトが顕れる。
その躯、もともとはおまえのモノだが、今となっては俺のモノだ。なぜならおまえは暗黒のアダム。魔王の器として、俺に捧げられた贄なのだから
渡して貰うぞ今ここで。おまえは王冠にもツォアルにも遠すぎる
視界が歪む。耐え難い猛烈な毒気がナハトの周りで渦を巻いているのが見える。
眼球が蒸発しそうなその奔流に、しかしライルは屈しない。
俺を手に入れて、おまえはどうする?
知れたこと。我は我が存在意義を果たすのみ
ヒトは殺す。天使も殺す。頂点が多すぎれば黄金律が狂ってしまう
ここに凝縮したアビスのシンは、すでに空間を突破するレベルの密度に達している。おまえの肉体を手に入れれば、すかさずあちら側に転移も可能な状態よ。そうだな、まず手始めに……
あの小娘を、五分刻みに解体するのも一興か
ふざ…けるなよ……ッ!
長口上は遺言だと思ってやる
ナハトが言ったことが本当なら、距離を無視して外に転移できるらしい。
だが、今はそんなことなどはどうでもいい。
ただ——
リルを殺すとそう言った、こいつのことが赦せない。
湧き上がる激情に回らない呂律のまま……短く、そして決然と言い切った。
ここで、今……おまえを潰すッ!
……足掻くかロト、徒労もまた甘美と知れ
備考
ライル(ロト)が神格の適性が無い事を暗に示唆しているシーン。
だからこそ無価値の器となり、それを打倒できたのかもしれない。
関連項目
- ああ、無価値は神格否定だからこそ無慙を打倒する可能性が兆が一かもしれないがあるのか -- 名無しさん (2021-03-06 11:03:37)
- やっぱり、当たり前だが神格は肉体じゃなく魂にこそ含まれるんだな -- 名無しさん (2021-03-06 16:29:43)
- ロトに神格の適性があった場合、神格否定が源流っぽい無価値の力をもった神になれたのかもだが、観測者的にはあんまり都合のいい存在でもなさそう -- 名無しさん (2021-03-17 12:28:55)
最終更新:2021年03月17日 12:28