194 名前:白黒探偵の事件簿 セカンド :2010/11/04(木) 22:29:27 ID:???
 私ことグラーベ・ヴィオレントと、パートナーのヒクサー・フェルミは探偵である。
最初に「自称」とつけた方がしっくりくる気がするが、それは置いておこう。瑣末なことだ。
 そもそもこの探偵業は、ソレスタルビーイングのインテリジェンス・オフィサーという
裏の顔を隠すための隠れ蓑であって、つまるところごっこ遊びの域を出ない。
 だが、世の中には探偵の助けを必要とする人間はことのほか多いものだ。
それは多くの場合、警察には相談しづらい類のトラブルであり、内密のうちに
解決してしまいたいものであることが殆んどなのだ。


グラーベ「……すまない、もう一度言ってくれないか」
ミハエル「だから、俺の妹をたぶらかそうとしてる野郎をぶちのめすのを手伝えってんだよ!」
グラーベ「キミは何か勘違いをしているらしい。それも、途方もなく重大な勘違いをだ。
     ケンカの加勢をするのは探偵の業務には含まれていない」
ミハエル「でもよ、探偵っていえばボクシングとか、怪しい格闘技の心得があるもんだろ?
     少しくらい手を貸してくれてもいいじゃねぇかよ」
グラーベ「それは偏見だ。早急に改めた方がいい……」


ソーマ「常日頃からストーカーにつきまとわれているのだが……」
グラーベ「相談に来るところが間違っていないか? それは警察に被害届を出すべきだ」
ソーマ「いや、警察は当てにならないから、秘密裏に始末して東京湾に沈めるにはどうすれば」
グラーベ「一介の探偵に殺人のコンサルティングをしろというのか、キミは」
ソーマ「ストリートギャングに知り合いはいないのか?」
グラーベ「……すまないが、そういう職種の友人はいないな」


ミレイナ「それで、ヴィオレントさんは攻めですか? 受けですか?」
グラーベ「キミが何を言いたいのか、私にはわからないのだが」
ミレイナ「そりゃあもう……キャッ、言わせないでください恥ずかしいですぅ」
グラーベ「なんなんだ、一体……」


ヒクサー「いやぁ、この街は今日も平和だねぇ。おかげでノンビリ女の子とデートできたよ」
グラーベ「そう思うなら明日一日だけでも留守番をしていてくれ。私は疲れた」
ヒクサー「お、おい? グラーベちゃん? なんでそんな不機嫌なんだよ。
     ほら、辛い時こそニッコリ笑えって。ネオジャパンの諺だけど、笑う門には……」
グラーベ「すまないが放っておいてくれないか……」


 探偵の助けを求める人間が、必ずしも探偵という職業をきちんと理解しているとは限らない。
 これが、とある一日に私が得た教訓だった。

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最終更新:2014年12月07日 22:24