• SOL13174
24.9日後にプールメンバーへ負荷分散できなくなる可能性

  • 対象バージョン
BIG-IP LTM		11.0.0, 10.2.3, 10.2.2, 10.2.1, 10.2.0, 10.1.0, 10.0.1, 10.0.0

  • 説明
TMMはプールメンバーのSlow Ramp Timeに誤った情報を記し、メンバーに想定よりも少ない数を接続するかもしれません。
 
この問題は、次の全ての条件を満たした時に起こります。

・プールメンバーのステータスがavailableのまま24.9日以上経過
・プールの Slow Ramp Time 設定が有効(0秒以外)

注釈:BIG-IPバージョン10.1.0からSlow Ramp Timeはデフォルト値が10秒で有効になっています。

・次の2つの値の1つが変更されたとき
  ○プールのSlow Ramp Time値
  ○プールのactive memberのPriority Group値
 
BIG-IPシステムは24.9日ごとにリセットするカウンターを使用しています。
そして、プールメンバーのSlow Ramp Time値の誤った計算が発生します。

この誤った値はまるでSlow Ramp Timeの間隔であるかのように、LTMシステムで継続的にプールメンバーを扱う原因になります。
結果として、BIG-IP LTMシステムは新規接続を負荷分散できないかもしれない、または想定よりも少ない数を負荷分散するかもしれません。

補足 : Slow Ramp Timeとは、運用中のバーチャルサーバに新規でプールメンバーを追加したとき、新規プールメンバーにトラフィックが集中しないようにするために、
段階的にトラフィックを割り当てる機能
詳細は以下を確認してください。
段階的なトラフィック振り分け

  • 影響
プールメンバーは非常に少ない新規接続を受ける、または新規接続ができない

  • 事象
 この問題の結果として、次のような事象に直面するかもしれません。

・Slow Ramp Time が設定されたプールメンバーの数がプールのactive memberの総数の半分より少ないとき、影響を受けたプールメンバーは新規接続を受けません。

・Slow Ramp Time が設定されたプールメンバーの数が少なくとも半分のとき、影響を受けたプールメンバーは想定された接続の割合よりも少ない接続を受けます。

・プール統計は、プールメンバーの接続負荷が予想外の配分を表示します。

例えば、"tmsh show ltm pool members"コマンドの出力の一部で示されるように、"Availability"と"State"が"available"と"enabled"と示されていても、
現在の接続数は0と表示され続けるかもしれません。

 --------------------------------------------------------------
 | Ltm::Pool Member: 10.1.1.200:80       
 --------------------------------------------------------------
 | Status                                
 |   Availability   : available          
 |   State          : enabled            
 |   Reason         : Pool member is available
 |   Monitor        : http (pool monitor)
 |   Monitor Status : up                 
 |   Session Status : enabled            
 |   Pool Name      : MyPool             
 |   IP Address     : 10.1.1.200         
 |                                       
 | Traffic                                  ServerSide  General
 |   Bits In                                         0        -
 |   Bits Out                                        0        -
 |   Packets In                                      0        -
 |   Packets Out                                     0        -
 |   Current Connections                             0        -

  • 状況

F5製品開発はID 367690をこの問題に割り当てました。この問題が上記対象バージョンに存在することを確認しました。
この問題を解決するリリースまたはホットフィックスに関しては、以下の表を参照してください。

Fixのタイプ Fixしたバージョン 関連記事
リリース 11.1.0 ,10.2.4 SOL2200: Most recent versions of F5 software
ホットフィックス None None

  • 暫定対策
この問題の暫定対応は、次の手順を実行し、Slow Ramp Timeを無効にすることです。

暫定対応の影響 : プールメンバーがオンラインに戻る時、偏って多数の接続を受けるかもしれません。

■Slow Ramp Timeの無効化

1.Configuration utility(GUI)にログインします

2.Local Traffic >> Pools >> Pools Listの順に辿ってクリックします

3.設定を修正したいプール名をクリックします

4.ConfigurationをAdvancedに変更します

5.Slow Ramp Timeの値を0(秒)に設定します

6.Updateをクリックします


もし、上記手順の影響が特定の環境で適さないならば、影響を受けたプールメンバーのカウンターをリセットすることでこの問題を軽減することができます。
この措置は問題の暫定対応にはなりませんが、BIG-IPシステムが再びプールメンバーへ負荷分散します。
しかし、プールメンバーがactiveの状態で24.9日経過すると、この問題は再発する可能性があります。

次の手順を実行して、カウンターをリセットすることができます。


■プールメンバーの無効化と有効化

手順の影響 : プールメンバーが監視されているならば、プールメンバーの状態が遷移するので、アラートが発生する場合があります

1.Configuration utility(GUI)にログインします

2.Local Traffic >> Pools >> Pools Listの順に辿ってクリックします

3.設定を修正したいプール名をクリックします

4.Membersタブをクリックします

5.Current Membersのリストで、修正したいプールメンバーのチェックボックスを選択します

6.Disableをクリックします

7.Current Membersのリストで、再度プールメンバーのチェックボックスを選択します

8.Enableをクリックします

  • 補足情報
・SOL13099: Change in Behavior: The Slow Ramp Time pool setting is enabled by default
・The Pools chapter in BIG-IP Local Traffic Manager: Concepts (11.x)
・The Configuring Load Balancing Pools chapter in the Configuration Guide for BIG-IP Local Traffic Manager (10.x)
最終更新:2012年06月09日 22:44