「ねえキョン、あんたどんなところ就職するのよ?」
ハルヒは俺の胸に顔をうずめながら、左指で俺の乳首をいじっていた。
すでに行為は終わっていたし、感慨もなくただされるがままだ。
それにハルヒは俺の胸に寝るのが落ち着くらしく、
週末にはこうやって東京で一人暮らしをしている俺の部屋に遊びに来るのだ。
俺は大学受験を終え、東京の有名私立大学へと進学した。
ハルヒも同じ学校に進学したが、俺とはレベルの違う学科だった。
すでに能力は消えていた。
ハルヒは大学に入って最初の一年はやたらともてていたが、
ずっと俺と一緒にいたおかげで、今は声をかけるものはいなくなった。
ハルヒ曰く、
「馬鹿大勢より、大事な人一人のが価値があるでしょ」
だそうだ。
ハルヒは俺に身体をくっつけたまま上目遣いで俺を見つめた。
「ねえ、時間はあるんだし、もう一回しましょ」
「分かったが、俺は就活で疲れてるんだ、お前が上になれよ」
「分かったわよ、ちゃんと前戯ぐらいはしてよね」
「じゃあ、ちょっと横になれ」
俺はハルヒを下にして、強引に脚を広げた。
いつみても綺麗だって思ってしまうのは、ハルヒの毛が薄く、
割れ目が見えていることだけじゃない。
ひきしまった陰唇はすでに濡れていて、俺を受け入れるのには十分だった。
ハルヒは前戯が好きだ。
初めてした時、俺が舐めようとするのを拒んだが、今では整った顔を歪ませて声をあげている。
「なあ、もういいんじゃないか。十分濡れてるぞ」
「そうね。さっき一回イってるし、十分かも」
そういうとハルヒは起き上がって俺の上に跨った。
「ちょっとキョン、なんでまだこんなに硬いのよ」
ハルヒは俺のペニスを痛いほど強く握って、嫌な笑みを浮かべた。
「入れるわよ」
ハルヒの中に入っていく感触が伝わった。
「んっ…、あっ」
ハルヒは光悦とした表情を浮かべ、俺を見下ろし、ゆっくりと腰をスライドしだした。
「どう? 気持ちいい?」
「かなり」
ハルヒの中はいわゆる名器というやつで、締りも肌触りも俺とぴったりだった。
ハルヒはそれだけいうと、それ以外はなにも言わなかった。
ただ、卑猥な音とハルヒの喘ぎ声だけが狭い部屋に響いた。
「んっ、はぁ、……いや! あ! んっ…」
ハルヒは腰の動きを激しくしだした。
それにあわせて俺も腰を振った。
「ちょっとキョンなんでつくの!? いや、だめ! もう限界! んっ!」
中が急激に締まると、俺は簡単に限界を迎えた。
「で、キョンあんたどこに就職すんのよ」
ハルヒはブラジャーをつけながら言った。
「そうだな、大手の出版社なんか狙ってるんだが」
「また無理そうなところ狙って、落ちても慰めてなんかやらないわよ?」
「やってみないと分からんだろ」
「まったく」
面接当日。
「はい、お守り」
ハルヒはお守りを俺に手渡してきた。
「大学受験じゃあるまいし、要らないだろ」
「ちゃんとよく見なさいよね」
あ、そういうことか。
「大学受験のとき、これ一緒にわざわざ太宰府までいって買いに行ったでしょ?
それで一緒に合格できたんじゃない。
今回もね。だから、もっていきなさいよ」
「あ、ありがと」
「まったく、それぐらいしかやってあげられることないからね!」
「分かったよ」
「頑張りなさいよ」
俺は胸が一杯になった。
たまに優しさを見せるハルヒがとても愛しかった。
それは、前から決めていたことでもあった。
「なあ、ハルヒ?」
「なに?」
「大学でたら、結婚しないか?」
「え?」
俺はもう一度繰り返した。
「大学を出て、就職をしたら、結婚しないか?」
「わ わたしはいいけどさ…。 あんたはそれでいいの?」
「いいさ。俺にはハルヒしかいないから」
ハルヒは抱きついてきた。さっきみたいな卑猥な感じじゃない。
優しく、そっとだ。
「ありがとう、でも本当にいいの?」
「ああ」
俺は抱きしめ返した。強く、力強くだ。
そして俺たちはとても静かなキスをした。
「いってらっしゃい」
ハルヒは笑顔でそういってくれた。
「行ってくるよ」
「帰ったら、ご飯の準備しとくわね」
「ああ」
ハルヒの笑顔を見つめ、そして俺は履きなれない革靴に足を入れた。
「じゃあ、行ってくる」
「早く帰ってくるのよ!」
俺はドアを開け、さわやかな気持ちで、右足を踏みしめた。
外は無駄な暑さで、空には大きな入道雲がそびえていた。