「は、ハルヒ、放課後なんだが…体育館裏に来てくれないか? あ、暇だったらでいいぞ。」
いつもより真剣な顔で…キョンはそう言った。
アイツの顔は少し上気しているように見えた。 …告白かしら?
あたしの答えはもう決まっているわ! OKに決まっているじゃない!
体育館裏を覗くとキョンがそわそわしながら待っていた。
…しばらく観察していましょう。
「プププ…何あいつ予行練習しているのよ。 あたしに見られたらどうするつもりなのかしら。 見てるけど。」
「ハルヒ、俺は…」
そう言いながらキョンは振り返る…あ、見つかったか。
「おーい、ハルヒ!」
そう叫び、ニコニコしながらキョンは手を振っている。 さて、出て行ってあげようかな。
「もう、こんなところにあたしを呼び出すなんてしょうがない奴ね。 で、何の用?」
キョンと向かい合って立つ。
距離はおおよそ50cmほど…友達にしては間隔が近すぎるんじゃないかしら。 さあ、早く言いなさいよ・・・。
キョンは二回深呼吸をして、じっとあたしの目を見つめた。
「ハルヒ、好きだ。」
…まさかこんなにストレートに来るとは。 あのキョンが!
こっちまで恥ずかしくなって来るわね!
「キョン、あたしうれしいわ! 照れるじゃない!」
そう言い、軽くキョンを突き飛ばした。
ごどっ
?
ゆっくりと目を開ける。
校舎のザラザラとした壁に赤く丸い跡が付き、そして筆で書いたように下へと…
そこには、キョンの頭…
…キョンは壁に頭を持たれかけながらピクリとも動かない。
ああ、どうしようどうしよう!
「涼…みや…?」
振り返ると、岡部がウンコ座りをしながら煙草を吸っている最中だった。 眼を見開いたままこちらを見ている。
…このクソ教師! サボリタバコ吸うんじゃないわよ!
「岡部先生、これは違うんです…。 あの、その…。」
「涼宮、な、こっちくるな!来るな!」
「ち、違うんです、これは違うんです!」
「近寄ってくるな! その手にもった大きな御影石はなんだ! こないでぇ!」
「先生…。 あたし、こんなところで人生つまづきたくないの。 …わかって。」
ゴドッ
間一髪のところで岡部は横に逃れる。
腰が抜けたのか手足をバタバタさせ、逃れようとしている。
そいやぁ!
ごどっ 「ひぃっ!」
とりゃっ! ごどっ 「わひゃん!!」
「あんた…結構運動神経いいのね。 往生しなさい。」
「ハルヒ! がんばれ! がんばれ!」
いつの間にかキョンが応援してくれている! …首を60度くらいに曲げたまま。
あたし頑張っちゃうわ!
おわり