ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「ラベンダー・バス(二人は暮らし始めました)」で検索した結果

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  • ラベンダー・バス(二人は暮らし始めました)
     夏の間、部屋に帰ればすぐシャワー、汗をかいたら即シャワー、というパターンを繰り返していたせいか、思えば「ゆっくり湯船につかってくつろいだ」という記憶があまりない。  これは何もシャワーのせいとばかりは言えないだろう。  心・技・体ともに、「ゆっくり湯船につかる」のにまったく不向きな人物と、おれは暮らしているのだから。  まず心。風呂を肉体ばかりか精神をくつろがせ、リフレッシュする場所だとは、どうあっても思えないらしいあいつは、湯船にはられた液体が摂氏40度のお湯だろうが、15度の水だろうがおかまいなしに、真夏の動物園で氷柱をもらった北極クマのように、はしゃぎにはしゃいで、とにかく水をあたりにまき散らしてくれる。  つぎに技。稚戯から一転、あいつがその気になれば、魔法の杖のように指を一振りするだけで、今度はおれの理性が3段式ロケットに乗って宇宙速度で飛び去り、種馬だとかオットセイだ...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その3
    その2から  バカップル的ひきこもり生活も10日を越えると、さながらル・マン24時間耐久レース(あるいは1万円で1ヶ月生活)の様相を呈してきた。  本家のバイオスフィア実験−水も空気も出入りしない人工閉鎖系で、植物や家畜を持ちこみ、究極のショート・レンジリサイクルを行いつつ人がどこまで生きていけるかという過酷な実験も、予想外の、しかしシステム的な要因による慢性的な酸素不足、収穫不足、家畜の全滅に加えて、実験期間後半には、メンバー間のいさかいが耐えなかったという。  おれたち二人の間でも、いつものように、いさかいは耐えなかったが、これもおそらく谷口あたりに言わせれば、痴話ケンカの域にも達しない「いちゃつき」と判定されるレベルであり、ここに国木田、阪中を加えても、満場一致にして判定は覆らなかったであろう。  おっとハルヒが呼んでいる。後世に書き残し、何かの教訓にしてもらおうとい...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その3
    親父が来る その2から   ……この親父、家族愛に訴えてまで、娘を怖がらせようとしている。しかし怖がらせたところで、この親父に何の見返りがあるというのか。ある意味なけなしの父娘の絆をまた損なうだけじゃないのか。  それにしても、こいつもまたダブル・バインドだ。まともに受け取れば冗談にして茶化すことができるし、相手にしなければ親の死に冷淡な態度を非難できる。いずれを選んでも、向こうに負ける余地はない。  おれはハルヒの反応を見ようと後ろを振り返った。 「ふう。で、その不幸の手紙は何人に出せばいいの?」 おい、ハルヒ。いきなり《肝心なことは聞いてない》攻撃か? 「バカ娘、そうじゃない。死を回避する方法はないんだ」 そうだ、そういう設定だろ。 「人間いつかは死ぬわよ!」 一般論!! 「だからいつ死んでもいいように、今日の今この時を一生懸命生きるの! キョン、あたし何か...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1
     夕食後のコーヒーを楽しみながら、いつものように、どうでもいいことを話していると、ハルヒがふと、思い出した、といった顔をしてみせた。 「そういえば、こないだは花火見にでかけちゃて、あんたの怪談を聞かずじまいだったわね」 「別におれの方は、聞かせたくなるような怖い話はないぞ。だいたいおまえを怖がらすメリットがない」  むしろデメリットの方が激しくあるんじゃないだろうか。怖がっておれに抱きついてくるタイプじゃないし(ああ、そんなゆるいツンデレなら、世界は幾度も危機に陥ったりせん)、むしろパニックに陥って手当たり次第(おれを含めた)周囲のものに攻撃をし出すことの方を危惧するぞ。 「このあたしを震えあがらせるようなやつを希望するわ」 「だからおれの話を聞けって!」 「団長に二言なし!どっからでもかかってらっしゃい!」 「聞く耳なしだろ!……やれやれ。その言葉、後悔するなよ」 ...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その2
    親父が来る その1から  計画なき逃亡をぶち上げたハルヒに、おれは首を振った。  「ハルヒ、ダメだ。前にも言ったろ。恐怖と不安は逃げれば逃げるほど、大きく強くなるって」 「じゃあ、どうすんのよ」 「馴化だ、簡単に言えば、馴れるんだ。詳しいやり方は、今教えてやる。使えるものは3つあるんだが、まずは……ハルヒ、拳をつくってみろ」 「こ、こう」 「シャドウ(・ボクシング)まではいらん。今、鼻をかすめたぞ」 「ごめん」 「ぐっと握って、腕に、二の腕に、肩にありったけの力を入れてみろ。ぶるぶる震えるくらい。……そしたら、ぱっと一度に力を抜く」 「ふう」 「これを全部の手足、胴体でやる。筋弛緩法って奴だ。恐怖や不安と両立しない感情や生理状態があるって話も、前にしたな。怒りや食欲や性欲の満足もそうだが、リラックスってのも恐怖や不安と両立しない。怖がってるときは、体もこわばって...
  • 留守番(二人は暮らし始めました)
     「……ハルヒ?」  手が隣が居る誰かを探していた。  気が付いて、目が覚める。 「そうか。あいつ、帰ってたっけ」  あの親父さんがインフルエンザだとかで、「タダでさえ体の弱い母さんにうつしたら大変」だからと、親父さんは一室に隔離され、食事を出したり着替えを出し入れしたりをハルヒがやることになった。 「おまえにうつったら意味ないだろ?」 「あたしはそんなマヌケじゃないわ。親父のタミフルひったくって先に飲んでおくから。親父? タミフルなんかに頼らず気合で治させるわ。この暮れの忙しいときに呼び付けるんだから、それぐらい当然よ。それにタミフルの服用は、症状は劇的に改善するけど、治癒についていえば平均で1日だけ治りが早くなるくらいの効果しかないの」  あわれ、親父さん……。  あいつと暮らし始めて、8ヶ月。  のべつまくなし、ほとんどあらゆる時間を一緒に居...
  • SS(二次創作)「ハルヒと親父」シリーズの物置
    ハルヒと親父 @ wikiにようこそ このwikiは、ハルヒスレSSまとめwikiに掲載された「ハルヒと親父」(オリキャラ全開)シリーズとその周辺的二次創作の物置です(詳しくは→はじめての方へ)。ひとりでやってます。 急募「親父の掛け合いを演じてみませんか?」 声劇「ハルヒと親父」では、声優さん(声で演じてくれる人)を募集してます。http //bit.ly/9TQ1r5 本日の親父の放言 「井の中の蛙の頭上にも、空は広がっている」 今日のオススメ ランダムリンク 新着記事 取得中です。 ハルヒと親父wiki 内容一覧 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) +ハルヒと親父(メインライン・ストーリー) ハルヒと親父(メインライン・ストーリー) ハルヒと親父1 ハルヒと親父2 ー おとまり「ハルヒと親父2 ー おとまり」から削除...
  • 閲覧回数上位SS
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  • 二人は暮らし始めました 10日目
    ハルヒ うちは女二人に男一人よ。 キョン 俺のところは、男女二人づつだな。 ハルヒ うちではトイレの便座は、普通降ろしてあるわ。 キョン おれのところは、上げてある。 ハルヒ あんたん家は、なんで便座を上げてるの? キョン 知らん。父親に対する、わずかばかりの敬意の表現じゃないか。 ハルヒ 妹ちゃんは、あんたと結構歳が離れてるわよね。上げたままだと、小さい頃危なくなかったの? キョン ああ、トイレトレーニング用の奴があるだろ。あれ取り付けるには、便座を上げとかないといけなかった。その名残かもしれんな。……しかし、これは今決めなきゃならない問題なのか? ハルヒ 甘いわね、キョン。新婚、同棲に関わらず、男と女が暮らし始めたとき、もめごとの種になる第3位が、この「トイレの便座は上げたまま(男性優位)それとも降ろしたまま(女性優位)」問題よ。事は生物の根幹に関わること、しかもはっきり口するのが憚ら...
  • 二人は暮らし始めました 4日目
    「ハルヒ、いつもネットで何見てるんだ?」 「内緒」 「おいおい。『一緒に暮らす以上お互い隠し事はなし』っていったのは、おまえだぞ。といっても、俺の方は、すでに隠すような余地は何もないわけだが。『あたしと住むんだから、この手のものは必要ないわね』って随分捨てられたし(谷口すまんな)。で、今は何見てるんだ?」 「プライバシー」 「けんもほろろ、かよ。んなこと言われると、余計に見たくなるんだよ。えーい、実力行使!」 「あー、後悔するわよ」 「誰だ、このマヌケ面? って、俺かよ! というか、ライブカメラな現在の俺かよ! どこで撮ってるんだ?」 「そんなの、アングルでわかるでしょ」 「って、パソコンのディスプレイのすぐ上に乗ってるじゃないか。なんで、気付かなかった、おれ?」 「灯台下暗しってとこね」 「いや、まて。高校時代もか。部室でも、おまえ……」 「ふっ。ご想像にお任せする...
  • 二人は暮らし始めました 5日目
    「さあ、キョン! 今朝のメニューは、手羽先餃子に、焼き塩シャケ、蟹かまのマリネに、卵豆腐、さつま芋の味噌汁、納豆、豆乳、ブルーベリー、あと常備菜からは昆布の佃煮とじゃこの佃煮、漬物は3種類。あとご飯はもちろん食べ放題よ!」  ちょっと待て。いや、本当は待たなくていいし、うまそうなんですぐに食べたいんだが、待ってくれ。ハルヒ、朝からこんなに食うのか? 「引っ越ししたばかりで、昨日まではパンとか適当なもので済ませて来たけど、やっぱり日本人は朝食よ! 朝から食えるだけ食って、一日を戦い切る企業戦士よ!」  いや、俺たち、学生だしな。 「なによ、食べないの?」  くう。……食ってから考えるか。 「あー、おいしかった。キョンはどう?」 「ああ、めちゃくちゃうまかったぞ」 「そうね。食いつきが全然ちがってたわ」 「……すまん、ハルヒ。うまいものをたらふく食って幸せに浸っている...
  • 二人は暮らし始めました 9日目
    「39.2度……。キョン、ごめん」 「熱は出た方がかえって気分はマシなんだ。中途半端なときがいちばんしんどい。だから気にするな」 「ごめん」 「あと人肌で暖めるのがいいのは、雪山で遭難したときだ。俺の方が熱が高いから温まらないし、お前にも風邪がうつるから、もうするな」 「うん、ごめん」 「ネットスーパーで、スポーツドリンクと桃缶とプリンとゼリーの栄養補助食と氷枕と遠赤外線を反射する保温シートを注文してあって午後には届くけど、他に欲しいものない? あと、いつでもおかゆは作る用意はしてあるわ」 「ああ、いまは食べ物は体が受けつけんと思う。ちょっと、眠るから」 「うん」 「熱があるから、何かうわごとを言うかもしれんが気にするな」 「うん。……タオルしぼる水とりかえてくる。ゆっくり寝てて」  二人が付き合い出してない頃、あたしが風邪を引いて、キョンがお見舞いにきて...
  • 二人は暮らし始めました 3日目
    「う〜ん。ハルヒ、今日は夢見なかったのか?」 「夢見てんのは、キョン、今のあんたよ! あああ、時間がない。タクシー呼ぶから、その間に顔洗って着替えて!」 「いくらなんでも、そりゃ無理だろ。……今日、なんかあったっけ?」 「あんたとしゃべってると日が暮れるわ! 結婚式でしょ、結婚式!」 「ええ、もう? 暮らしてまだ3日目だぞ!」 「結婚してから、一緒に暮らす人も大勢いるの! じゃなくて! どういう訳か、あんたも呼ばれてんでしょ!」 「そうだった。あああ、寝過ごした!」 「そんなの、あんた以外はみんな、先刻承知よ!」 「ハルヒ、おれの靴下がみんな、おまえの下着に変わっちまってるぞ!」 「衣類も1人分が2人分になったんだから、入れる場所が変わったって何度も説明したでしょ!」 「見たことのない下着がある」 「そ、それは勝負下着よ!」 「何と勝負するんだ?また誰と?」 「…...
  • ラブひげ危機一髪(二人は暮らし始めました)
    「なんだ、また古泉から小荷物か。今度はどこの強壮剤だ?……『ラブひげ危機一発』?」 「あんた、なにしてんの?」 「ハルヒ、いや、古泉からまた怪しげな小荷物がとどいてな。中身をたしかめようと開けたところだ」 「今度はどこの精力剤?」 「いや、どうも、そうじゃないらしい。『ラブひげ危機一発』ってなんだ?」 「あんた、「黒ひげ危機一発」も知らないの?」 「それは知ってる。ナイフを順番に刺していって、『当たり』の場所に刺すと黒ひげが飛びだすゲームだろ」 「黒ひげがが飛びだしたら、そいつの負けだから、むしろ『はずれ』ね」 「こいつは、そのアレンジ版か?」 「そうね。簡単に言うと、『黒ひげ危機一発』に『王様ゲーム』を足しこんだみたいなものね。まあ、試しにやれば、どういうものか、察しの悪いあんたにも分かるでしょ」 「おう、やってみるか。……ハルヒ、突き刺すナイフになんか書いてあるぞ」...
  • 二人は暮らし始めました 8日目
    ハルヒ あー、昨日の焼肉はおいしかったわね。ついつい食べ過ぎちゃったわ。 キョン 食い放題に底なしモードで挑めば当然だな。それにしても太らないな。 ハルヒ あんた、こないだから、そればっかりだけど、あたしに太って欲しいの? スレンダーと言えば聞こえは良いけれど、実は抱きしめると骨があたって痛いとか? キョン モデル体型の意外な盲点だな。いや、おまえの場合は、いろんな場合と場所で、それぞれに何かもかもが、ちょうどいい具合だと思うが。まあ、太っても痩せてても、ハルヒはハルヒだけどな。 ハルヒ そ、そんな、よく言うような頻出で月並みなこと言ってもダメだからね! キョン ダメって、何がダメなんだ? ハルヒ うっさい。と、とにかくダメ、ダメなの! キョン たとえダメと言われようが、ハルヒはハルヒだけどな。 ハルヒ あんた、重ね重ね、そういうことを。あたしを憤死させよ...
  • 二人は暮らし始めました 7日目
    ハルヒ 昨日のちゃんこは、おいしかったわね。ついつい食べ過ぎたわ。 キョン ヘルスメーター買っといてよかったな。 ハルヒ む。あたしが重いっていうの? キョン いや、重くなかったぞ。 ハルヒ あんたも別に重くなかったわ。 キョン 体重の掛け方か? ハルヒ そんなもんなの? ところで、食べ過ぎると言えば、付き合い出した頃、あんたと焼き肉を食べに行ったわね。 キョン ああ、食べ放題のやつな。 (付き合い出した頃) キョン こら、俺の皿に肉を勝手に入れるな。んぐお、口に突っ込むな。 ハルヒ あんた、焼き肉の掟を全然理解してないようね。 キョン なんだ、焼き肉の掟って? ハルヒ 焼く、そして食う、よ! キョン そのまんまだろ! ハルヒ うっさい。あんたみたいにちんたら食べてたら日が暮れちゃうわよ! キョン そのまえに制限時間...
  • 二人は暮らし始めました 6日目
    ハルヒ キョン、昨日の帰り、ヘルスメーターを買ってたわよね? キョン ああ。 ハルヒ ひょっとして、あたし、太った? キョン いや、おまえは全然重くないぞ。むしろ自分用というか、近い未来対策だ。『備えあれば憂いなし』『転ばぬ先の杖』だな。 ハルヒ あんた、太る予定でもあるの? キョン 予定はないが、『幸せ太り』って言葉があるだろ、ハルヒ。 ハルヒ あるわね。でも、幸せと太ることは無関係よ。 キョン そりゃまあ、そうだろうが。 ハルヒ 結婚して太ったっていう新婚夫婦が時々いるけど、あれは作る方からすれば「量の加減がわからないし、だったら少ないよりは多いほうがいいかな」と思って作りすぎるからだし、食べる方からすれば「最愛の人がせっかく作ってくれたのに」と思って、無理して食べて残そうとしないからよ。 キョン まあ、そうだろうな。だが、ハルヒ、この間、交感神経...
  • 二人は暮らし始めました 2日目
    「夢、見たわ」 「そうか。今日のは、あんまり大変そうでなくてよかったな」 「夢というより、想起ね。昔あった出来事を思い出したのよ」 「そうか」 「キョン、あんた、修学旅行で2日目に泊まった旅館、覚えてる?」 「あー、はっきり覚えてないが、廊下でおまえに会ったよな、確か」 「そう。消灯時間後にね」 「部屋を出るとき、なんか冷やかされた気がするな、そういえば」 「あんた、あんな時間に何してたのよ?」 「いや、単にのどが乾いて、飲み物を買いにだな。……おまえの分も、ちゃんと買っただろ?」 「余計なことだけ覚えてるのね。あんた、あたしとどこで会ったか覚えてない?」 「だから、廊下だろ」 「生徒は泊まってない階のね」 「生徒には買い食いさせたくない教師の親心だ。どこの修学旅行もそんなもんだろ」 「確かに生徒が泊まっている階には、自動販売機はひとつも無かったわね。あっても電...
  • 二人は暮らし始めました 1日目
     その朝、ハルヒは目覚めると、真っ先に俺の首にかじりつかんばかりに飛びついてきた。 「キョン!あんた、今の、見た?」 「何をだ?」 「夢よ、夢! 見てないの?」 「ああ、俺もさっき起きたが、夢は見てないな」 「そう。……よかった」 「大丈夫か。怖い目にでもあったのか?」 「ううん。……顔、洗ってくる!」 「何、見たんだ、ハルヒ?」 「え?」 「今朝、飛び起きた時だ。夢、見たんだろ?」 「ああ、あれ。……なんでもないわ」 「朝の様子じゃ、なんでもないことはなかったぞ。悪いが見えちまった」 「な、なに見たのよ?」 「涙。おまえ、泣いてたろ?」 「……」 「拭うな、今は大丈夫だ。それで、顔を洗いに飛び出てったんだろ?」 「あたしとあんたの夢は、ときどきシンクロするから……だから、念のため、聞いたのよ」 「だから、どんな夢だって?」 「気分の悪い夢。聞い...
  • そのとき親父書きは何を思ったか?
    そのとき親父書きは何を思ったか? その1:親父シリーズ短編について その2:「ハルヒと親父1」(シリーズ第一作目)について その3:「あるSS書きの個人的七つ道具」シリーズについて その4:「ハルヒと親父3ー家族旅行プラス1」について その5:「ハルヒと親父2ーおとまり」について その6:「できちゃった」について その7:「一人旅に必要な事」について その8:親父シリーズ以外(二人は暮らし始めました、新落語シリーズ「出来心」他)について その9:親父シリーズ以外(みぞのの鏡、辞書シリーズ/英和辞典、他)について その10:親父シリーズ以外(その男文系につき、ツンデロイド、他)について その11:親父シリーズ以外(彼と彼女と彼女のメール、電波の日 Nowhere、他)について その12:親父シリーズ以外(「パソコンが砂糖と化してアリがたかる」カオス篇)について その13:親父シリーズ以外(手...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その16)?
    再び、『二人は暮らし始めました』について  『二人は暮らし始めました』は、めでたしめでたしの定型句「二人は幸せに暮らしました」に対抗して(?)、つけたタイトルです。だから内容は、「どう幸せにくらしたんだよ?」という突っ込みに対する自問自答です。どうしたってばカップルものにしかならないんですけど。  前に、「わりとすっとばされるというか、前提にされたり一行で済まされたりするシーンやイベントを、丁寧にやってみたい」と書いたことがあります。  小説というか、広く芸術なんてものはだいたいがそうなのでしょうが、何を書くか(表現するか)と同じくらい(時にはそれ以上に)何を書かないか(省略するか)が、大きな意味を持ったりします。「すべて」を描くことは不可能な訳ですから、何を描くか決めることは、何を描くことを断念するか、と裏腹です。  ひとつは頻出モチーフやシチュエーションを避けた...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その28)?
    あいつについてあたしが話せる2、3の事項  二人は暮らし始めました−--わるいゆめ  「あいつについて、あたしが話せる2,3の事項」のきっかけになった、ポクロウタさんの1枚絵から連作の4コママンガに生まれていたので、それに更にインスパイアーされて、「二人は暮らし始めました−わるいゆめ」はできました。  なので、この二つは基本的にはと同じ話(消失トラウマのキョン)です。   キョンの受けは同じ「ありがとな」ですし。  ただ時間を経て、二人の関係が「いまいち辺りをはばかる男女交際」から「同棲」へと移っているので、シチュエーションが違う、受け返しも違う、互いの理解の深さが違うものになってます。  頭を叩(はた)いても腕に抱かれても目を覚まさないキョンが、ハルヒのティア・ドロップには目が覚めたり、「泣いてなんかいない」というハルヒにt対するキョンの受け返しが妙に「男前...
  • 二人は暮らし始めました−--わるいゆめ
    「あいつについてあたしが話せる2、3の事項」のきっかけになった、ポクロウタさんの1枚絵http //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-219.htmlから連作の4コママンガhttp //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-223.htmlが生まれていたので、それに更にインスパイアーされて、このSSはできました。ポクロウタさんに多謝。  夜の最中、名前を呼ばれて、目が覚めた。  何か大切なものでも失ったみたいな悲しい声で。  あたしは確認する。ここはどこ?今は何時で、何をしているの?  安らぎを与えてくれるぬくもりの中に、あたしはいた。  大丈夫、何があったって、そう言える力を与えてくれるもの。  問題は、その熱源と、今の声の発生源が、同じだってこと!  ちょっと、何、寝ぼ...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その3
    その2から  一泊二日の宿の予約を済ませ、互いにたっぷりと睡眠をむさぼった数日後、俺たちはその、やたらと交通の不便なところにある温泉旅館に向けて出発した。  乗り継ぎの面倒さにも関わらず、ハルヒは終始上機嫌で、 「やっぱり人間寝ないとダメねえ、キョン!」 などと勝ち誇ったように語ってみせる。 「見なさい、いいえ、触れてみなさい、このみずみずしい張りとつやの肌!」 「どれどれ」 「ど、どこさわってんのよ!! 時と場所をわきまえなさい!」 「グーで殴るな。ほっぺただろ!」 「あたしが無抵抗なのをいい事に、人のほっぺを『たこやき』にしたわね」 「抵抗どころか、おもいっきり反撃してるだろ! あと知らない奴には絵でもないと伝えにくいぞ、このいたずら」 「あんたがやったんでしょうが!」  長い旅のはずだったが、くだらない話をする時間というのは、なんでこうも短く感じ...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その1
    ハルヒ なにベンツのマーク(スリーポインテッドスター)描いて欲情してるの? キョン してない。これは俺たちの生活時間を示した円グラフだ。 ハルヒ ふんふん。こっちが睡眠ね。たっぷり8時間、ちょうど一日の三分の一眠っている訳ね。 キョン 生活習慣を改めた結果だ。ちょっと眠りすぎてる気もするがな。 ハルヒ 睡眠は大事だわ。睡眠時間が7時間を切ると・・・ キョン そのネタは前にやった。で、こっちが学校へ行ったり、買い物に出たり、外に出かけてる社会生活の時間だ。これも合わせると、全部でおよそ8時間になる。 ハルヒ 残りの三分の一は何? キョン あー、うっほん。ハルヒ、こっちへ来い。 ハルヒ 何よ?別にいいけど。……えへへへ。 キョン 何故しがみつく? ハルヒ だきついてんのよ! キョン そうか。で、俺に触るとデレ・スイッチが入るんだな。ツン回路が切れるというか。 ハルヒ 条件反射みたいなものね。く...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その2
    その1から ハルヒ 今日からやっと夏休みよ。これで思う存分いちゃラブできわね! キョン なんだ、その、いたラブって?イタ車みたいなものか? ハルヒ そう、アニメ・キャラをでっかくプリントした続き柄のおそろいを着て、って何でやねん! キョン おお、乗りツッコミ。しかも関西弁だ。 ハルヒ 確かにあれは痛いカップルだったわ。 キョン !実在するのか? ハルヒ あの世界は深いわ、キョン。まだまだこんなもんじゃないわよ。 キョン いや、その話題はストーリーとも関係ないし、なんだか帰って来れない気がするから、やめとけ。 ハルヒ そうね。話を戻すと、夏休みよ!学校に行かなくて済むし、寝る以外のすべての時間を、強い意味でのイチャイチャにつぎこむつもりでいくから覚悟しなさい! キョン なんだ、その「強い意味」って? ハルヒ ハードな内容になるってことだけは言えるわね。 キョン 具体的には? ハルヒ...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その4
    その3から  大浴場には、結局おれ達以外、誰も入ってこなかった。何故かというなら、決まってる。部屋ぜんぶに専用露天風呂があるからだ。  では何故大浴場があるのか? それも決まってる。旅先でケンカするカップルは、決まって一定の割合でいるからだ。部屋に居づらくなっても大浴場がある。混浴ならいっそ、新しいパートナーだってみつかるかもしれないと思うのは穿ちすぎか。とにかく人手のピークは、あれやこれやがあった後、ずっと遅い時間なんだろう。 「ちょっと、キョン! 温泉がうれしいのは分かるけど、あんた、はしゃぎすぎよ!」  悔しいが今は涙を飲もう。はしゃいだのは温泉だから、混浴だからじゃないぞ。だが今は何を言っても負け惜しみだ。反論にすらならない。 「まあ、懲りるって事を知らないあんただから、いつでも再戦は受けて立つわ。でも、おなかがすいたから、早くて夕食の後よ」  ああ、部屋...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その1
    「あー、やっとあんたも、ゼリーとプリンの日々にお別れできるわね」  とはいうものの、おれはゼリー生活に少しだけ未練があった。ゼリーだけであれだけの種類のものが作れるのも驚異だが、そのすべてが極ウマだったのだ。栄養なんかのことは、味付け以上に考えてあったんだろう。それ以外のものを口にしてないのに、2キロ太ったぐらいだからな。 「あんたのおなかの具合もよくなったことだし、買い出しに行くわよ!」  買い出し、は少々大げさでも、ハルヒはずっと付き添っていたせいで、おれが熱を出してからの買い物はすべてネットスーパーで済ませていた。数日ぶりに買い物に《出かける》ことになるな。 「おれも行こう。その勢いだと、おまえだけだと持ちきれんほど買っちまうだろう」 「あんたは病み上がりなんだし、……うーん、まあ、そこまでいうなら、お供に連れて行かないこともないわ」  いや、単なる買い物だ。それ以上のご...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その2
    その1から 「というわけで、痛いエロカップルが部屋つき露天風呂でどんなことするか、リサーチしたわ。といっても、半分以上が盗撮ネタだったけど」 「……ハルヒ、聞こうと思ってたんだがな。俺でさえ毎日3時間しか寝てないのに、いつそんなこと調べてるんだ?」 「あんたが寝静まってからに決まってんでしょ、エロキョン」 「だから、お前、毎日ちゃんと寝てんのか?」 「むう」 「ちなみに夕べか明け方か知らんが、直近の睡眠時間は、何時間、いや何分だ?」 「15分ほど、うとうと……したかしら?」 「俺たちがここに来て11日になるが、その間の、のべ時間だと?」 「あーえー、全部足せば5、いいえ、6時間にはなるはずよ!」 「ハ・ル・ヒ」 「な、なによお?」 「ちょっと来い」 「こら、耳ひっぱるな! って、どこ触ってんのよ!」 「いいから、ここ座れ」 「す、座ったわよ」 「人...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その15)?
    二人は暮らし始めました 6日目  つまりハルヒが大食いなのに太らないのは、恋にもキョンにも不思議にも常に「臨戦態勢」で挑んでいるからだと。副交感神経優位なキョンですら、ハルヒといるかぎりは交感神経優位にならざるを得ない状況に巻き込まれるので太らない(笑)。いや古泉、おまえはいい、黙ってろ(笑)。 アルプスの少女ハルヒ  カオス一つ目。宮崎アニメの初期名作ですね。で、ハルヒちゃんの火くぐり羊を数えるネタが入ってます。個人的には、鶴屋ロッテンマイヤーの「けだものにょろ!」が好きです(笑)。 ハルヒ番長  カオス二つ目。昨年、自分の中でブレイクした『金剛番長』(週刊少年サンデー)がクロス元。卑怯番長とか、ネーミング、設定からして卑怯なマンガ。主人公、金剛番長の決めセリフ「知ったことか!!」(なんと時勢を反映した(笑))。 銀行強盗  やっちまいました。リライトした...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その8)?
     リンクいただいてる、とあるブログの管理人さんから「個人的には親父シリーズ以外に書かれている物も載せてしまえばと思うのですが。」とのコメント返信を得て、ちょっと前からブランクで作ってあった「ハルヒと親父以外」カテゴリーに、親父シリーズ以外のSSを載せ出しました。正直「一人旅」シリーズで疲労したアタマを休めるのにも、よいタイミングかと思ったので。 二人は暮らし始めました  ぱっ、と4日分が浮かんだんで、いきなり書きました。これを30日分続けられたら、うぬぼれていたかもしれません(笑)。読み返してみると、「一人旅」シリーズで疲労したアタマを休める(こればっかりだな)のに読んだ、TTT氏の 『ハル○かわ○い』シリーズの影響が顕著ですね(どこが?と思われるかもしれませんが)。 新落語シリーズ「出来心」  「新」落語シリーズというのは、元々、他の方が書いた(傑作の誉れも高い)落語シリ...
  • あいつについてあたしが話せる2、3の事項
    (ポクロウタさんのブログに掲載されてる http //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-219.html 「翌年からあの事件の日が近くなると無意識の不安からハルヒに抱きついちゃうキョンそしてわけがわからないハルヒ」の絵に殴られたような衝撃を受けて書きました。)  この時期、あいつは決まってどこかおかしくなる。  もともと何考えてるか、いまいちわからないし、最初からおかしなやつだけど、この時期はそれに輪をかけて変だ。  普段は、あたしが声をかけても、何かに誘っても、決まってめんどくさそうな顔するくせに、この時期だけは反対で、何かといえば、あたしに声をかけてくる。「何の用?」と尋ねると、「いや別に」とか「いや、いい」とか、まったく要領を得ない。  それに、この時期になると、どういうわけか、いっつもあたしの方を見てる。 ...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー6
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳バックナンバー6 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-06-07の分 2009-05-16〜2009-06-30の分(別ページ) -2009-07-01〜2009-07-31の分 2009-07-01〜2009-07-31の分(別ページ) -2009-08-01〜2009-08-31の分 2009-08-01〜2009-08-31の分(別ページ) -2009-09-01〜2009-09-30の分 2009-09-01〜2009-09-31の分(別ページ) -2009-10-01〜2009-10-31の分 2009-10-01〜2009-10-31の分(別ページ) -2009-11-01〜2009-11-15の分 ...
  • はじめての方へ:ハルヒと親父 @ wikiのご紹介
     このwikiもどきは、ハルヒスレSSまとめwikiに掲載された『涼宮ハルヒ』シリーズの二次創作物(SS)である、「ハルヒと親父」(オリキャラ全開)シリーズとその周辺的二次創作の物置です。  あまりにも二次創作の域を逸脱してしまってスレに投下し損なったもの、言い訳、後悔、ツール、その他企画物を含みます。  このwikiでのSSは、涼宮家を中心とした日常系おはなしです。  超常的な出来事はほとんど起こりません。SOS団の面々も(すみません)あまり活躍も登場もしません。あしからず。  なお、当サイトはリンクフリーです。「リンクしましたよ」と、お知らせいただくと、こちらからもリンクさせていただきたいと思います。 written by 親父書き 主な登場人物 涼宮ハルヒタイトル・ロールです。原作ではほとんど無敵の彼女ですが、彼女を生み育てた父母はそれに輪を...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その18)?
    ヰタ・セクスアリス/雨宿り及びつづきについて  ハルヒが言っていた「雨の日にしたくなるのは何故か?」という疑問は、以前にある人から投げかけられて、しばらく持っていたものです。その時、たどり着いた答えは、「背中あわせでいいから、くっついていたい」「誰かに(とくにあなたに)いっしょにいて欲しい」というものでした。男(キョン)の立場だと、これはかなり拷問に近いものがありますが(笑)。まあ、彼なら我慢できてしまうかもしれない。  この線で書けば、もう少しきれいなお話になって、 「ハルヒ、……また『雨宿り』していくか?」 「うん」  こうしてわたしたちは、いつか『大人』になる日が来て、それぞれの『相手』を探しに出かける時が来るまで、大きな木のつくる洞の中で、同じ雨に濡れ、手をつなぎ背中を合わせながら、雨宿りをしている。 ……みたいなラストになっていたかもしれません(ハルヒV...
  • 6月6日 かえるの日
    6月6日 かえるの日  かえるの鳴き声「けろ(6)けろ(6)」の語呂合わせから、「かえるの友の会」の会員である作家の矢島さらが1998(平成10)年に提唱しました。って、それだけ? (改作グリム童話「かわいい女の子とカエル君」)  むかしむかし、あるところに、名古屋弁で言うと、どえりゃー美人で、スレンダーなくせに出るとこ出てる女の子がいました。  女の子は、思いつきで行動するのが大好きです。その日は1000本ノックとピッチング練習をすることにしました。  ところが、あたりどころが良すぎて、800本目のノックはフェンスを越えて、ホームラン級の打球になって飛んで行きました。 「まあいいわ」  夕焼け空に消えていく白球を見送って、女の子は帰り支度を始めました。  すると、 「泣いたりして、どうしたんだ?」  なんと、モブ(群衆)の中から雑用係のカエ...
  • 一言違いシリーズークラークの法則
    クラークの第1法則 著名な、だが年老いた専門家が、何かが出来るというとき、それはおそらく正しい。しかし、何かは不可能だというとき、それは絶対に間違っている。 クラークの第2法則 あることが可能か否かの限界を知る唯一の方法は、その限界を超えて不可能性の領域へ突き進むことである。 クラークの第3法則 十分に進歩した科学技術は魔法と区別が付かない。 (クラークの第3法則→クラークの第1法則 篇)  休み時間、谷口が難しい表情を顔に貼り付けてやって来た。そんな顔してると本当にアホみたいだぞ、谷口。 「ほっとけ。んなこたぁいい。それよりお前、どんな魔法を使ったんだ?」 「魔法って何だ?」  著名な、だが年老いた専門家が、何かが出来るというとき、それはおそらく正しい。しかし、何かは不可能だというとき、それは絶対に間違っているという警句を思い出しながら俺は聞き返した。  授業が終...
  • 掲示板/足跡帳
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-06-07の分 2009-05-16〜2009-06-30の分(別ページ) -2009-07-01〜2009-07-31の分 2009-07-01〜2009-07-31の分(別ページ) -2009-08-01〜2009-08-31の分 2009-08-01〜2009-08-31の分(別ページ) -2009-09-01〜2009-09-30の分 2009-09-01〜2009-09-31の分(別ページ) -2009-10-01〜2009-10-31の分 2009-10-01〜2009-10-31の分(別ページ) -2009-11-01〜2009-11-30の分 2009-11...
  • 二人でドライブ
     居間でごろごろしながら携帯でネットを見ていると、母さんが声をかけて来た。 「ハル、午後、3時間くらい時間ある?」 「いいわよ。車でしょ? 買い出し?」 「悪いわね。キョン君はいいの?」 「それくらい離れて暮らした方が愛も深まるってもんよ!」 「あの……3時間だけでいいのよ」  最近、車の免許を取った。キョンと一緒にだけどね。  母さんも免許は持っているけれど、運転は得意でないらしい(大抵の事は何でもこなすのに、めずらしいこともあるもんだ)。  親父は、居れば居るでうっとうしいくらい構ってくるけど、普段は滅多に家にいることがないから、あたしが小さい頃を除けば、うちには車は無い期間が長かった。  で、免許取得と同時に、新車がやってきた訳。 「どうせ3分も経たないうちに、ぶつけてぺしゃんこになるんだから、紙製でいいぞ、紙で」 と親父はまた馬鹿な事を言ってたけれど、も...
  • 新落語シリーズ「松山鏡」
     越後の国は松山(まつのやま)村に、キョンという、へんな名前の、まことに素朴で孝行者がおったそうでございます。  さて、その評判が領主にも聞こえ、褒美を与えようという話になりました。  「松山村のキョン、ならびに村役人一同、ばっちり付き添ってるねっ!」 領主役はいうまでもなく鶴屋さんでありまして。 「ははあ、一同、付き添いましてございます」 「キョン、面(おもて)をちょいと、上げてくれないかなー」 「はい」 「なるほど、なるほど。キョン、って顔してるねえ。なんでも、めがっさ親孝行なんだってねえ?」 「いえ、両親とも、十分な孝行をしないうちに、亡くなりました。何分、貧乏暮らし故、うまい酒を飲ませたことを、うまい魚を食べさせたこともありません」 「ふーん、随分早いうちに親を亡くしたんだねえ。で、それ以来、墓参りを欠かせたことがないって言うじゃないかぁ! まったく領...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その23)?
    ひさびさに短い目の「そのとき親父書きは何を思ったか」をお届けします。 乱歩の日  乱歩なら他にもいくらでもあるだろう、との当然過ぎるご指摘がありましたが、ハルヒなら、絶対『人間椅子』だろうと迷いもしませんでしたwww。  というか、これを書いてはじめて『人間椅子』の何が嬉しいのか/何を欲望しているのかが、理解できたような気がします。  暑苦しくても、視覚と動き回る自由を失ってでも得たいもの。キョンは反省して、もっと「だっこ」してあげるべきですねwww。 夏氷(なつごおり)の日 ゲリラ雷雨 夏の自転車  歳時記を見てネタを考えたような、夏の掌編。  省略に省略を重ねて、削りに削ってるのは、描く力量と時間がないせいです。  それでも読み手の想像力が救ってくれるのに賭けるという、文字でやってる強みに完全に寄りかかってますね。だから、感想がもらえると、このあたりのは本当に...
  • 辞書シリーズ/英和辞典:I love you.
    ハルヒ ちょっとキョン、あんただったら、これどう訳す? キョン おいおい。それはどういう冗談だ? 俺に英語の訳を聞いてどうするんだ? 恥ずかしいから一度しか言わんが、おもいっきり専門外だ。他を当たってくれ。 ハルヒ あんたの場合、学業自体が専門外じゃないの。 キョン そこまでいうか。まあ確かに、俺と谷口なら、イーブンで五分と五分、刺し違える覚悟はあるが、おまえとだったら話にならん。というか同じグランド上で違う球技をしてるようなもんだぞ。お前はバレー・ボール、おれは卓球。おまえはサッカー、おればビリヤード。 ハルヒ 御託は良いから、さっさと訳しなさい! バカのあんたでも十分訳せる英語だから。 キョン やれやれ。そうまでして異種格闘技がやりたいのか? 俺を凹ますカードなら、他にいくらでもあるだろうに。……と、アイ・ラブ・ユーか。I love you. あい、らぶ、ゆう。ふ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その5)?
    ハルヒと親父2 ー おとまり  これは絶対に、ハルヒの一人称でいこうと思ってました。  ハルキョンものの前提として、相思相愛で、そのうち告白して、エッチして、同棲して、結婚して、子供ができて……、というのがあると思います。この中で「告白もの」とか「無自覚だがどう考えてもつきあってるだろお前らもの」のSSはたくさんありますが、わりとすっとばされるというか、前提にされたり一行で済まされたりするシーンやイベントを、丁寧にやってみたい、というのがありました。  たとえば、他の方の書いた「無自覚夫婦」というSSの中に出てくる、 >酒の入った涼宮とキョンの想像を絶するいちゃつき具合 というのを、具体的に書いてみたり(このバカSSがそれですが)とか、 これも、他の方の書いたエピソードというか断片ですが、 ハルヒがおもちゃの手錠をつかって朝比奈さんで遊んでいたので...
  • 二人は何故レスリングなんかしてたのか?
    二人でドライブより 親 父 強くなりたい? そりゃまた、あまりに少年マンガ的な決意だな、カカロット。 キョン いや、ベジータに勝てるまで強くなくてもいいんですが。 親 父 ぶっちゃけて言うとな、キョン、人間は訓練で強くなったりしない。毎日、砂を叩いてこぶしを固くすることはできるだろう。経験から間合いをつかむコツを会得するかもしれん。だが、どれだけやっても、捨てるほど安い拳銃一丁持ったガキにかなわんし、複数人に襲われたらひとたまりも無い。まして誰かに襲われて、自分以外の者を守ったりなどできん。 キョン ……だからです。 親 父 ん? キョン 俺たちが何かそういう場面に出くわした時、ハルヒは俺を守って戦わなくちゃならなくなる。うまく言えませんが、俺があいつの足手まといになりたくない、というか。 親 父 なるほど。そういうバカップルな決意だったか。……いいだろ...
  • スポンサーから一言 その1
    「ハルヒ」 「親父! なによ、いきなり来て。連絡くらい入れなさいよ!」 「借用書だ」 「はあ?あんたからモノ借りた覚えはないわよ」 「よく見ろ、これからおれがおまえから借りる、という内容になってる。さあキョンを出せ」 「あんたねえ、イヌかネコの子みたいに。だいたい彼氏ってのは親に貸すようなもんじゃないでしょ!」 「彼氏という自覚ができたか、それはめでたい。実を言えばお前の所有でもないから、借りるなんていわなくていいんだがな。で、キョンはどこだ?」 「いないわよ」 「いないのは見れば分かる」 「なんであんたに、あいつの行き先を言わなきゃいけないのよ?」 「そりゃもっともだ。邪魔したな」 「こら、借用書! こんなもの、置いて行くな!」 「……よう、キョンか? おれだ、親父だ。手借りたい。どこで会える? ああ、そこなら10分以内だ。今? ああ、おまえたちの部屋だ。汗水流し...
  • ハルキョン版アリとキリギリス
    (虫成分が含まれます。苦手な方は回避願います)  その夏、キリギリスのハルヒは、山で海で、全力で遊んでいました。  そうこうしていた、ひときわ暑い日、知り合いのアリが荷物を運んでいるのに出くわしました。 「なによ、キョン、あんた汗だくじゃないの! 真夏の炎天下に力仕事なんかして、熱射病で倒れても知らないからね!」 「なんだ、ハルヒか。おまえこそ、大丈夫なのか?」 「なによ、夏休みの宿題なら最初の3日で終わらせたわ。後の憂いなく、思う存分遊ぶためにね!」 「そうじゃなくて、冬の食料のことだ。夏のうちに食べ物を蓄えておかないと、あとで大変だぞ」 「そんなの、なんとかなるわ。あたしは今の瞬間を思いっきり生きるの!宵越しの金を持たない江戸っ子よ!」 「おいおい」 「だいたいね、この不景気に貯蓄なんてしてどうすんのよ! 世の中にお金が回らなくなって、ますます不況にな...
  • オヤジのバスケ
     誰と、どうした訳で、こういう事態になったかを説明し始めると、『オデッセイア』を上回る大叙事詩になる恐れがあるので割愛したい。  「3on3? って誰が? あいつらと?」 「おれが出よう。キョンを出すよりはマシだろう」 「ちょっと、キョン、こんなこと言われてるわよ!」 「今は勝つ事に集中しろ。作戦だ。長門は3ポイント・シュートを打ちまくれ。お前なら、コートのどこからでも狙えるだろ?」 「わかった」 「だが、得点源が誰だかすぐにばれる。長門が狙われるぞ」 「親父さんは、長門がシュートを打ち終えるまで、敵と長門の間に入ってガードしてください。バスケでは相手にぶつかっていくとファールを取られますから」 「なるほど。先に体を間に入れちまえば、こっちのものって訳か」 「あたしは何をすればいいの?」 「ハルヒ、おまえは指令塔だ。基本的にお前からボールが出て、こっちの攻撃が始ま...
  • 二人でベンチに
    ハルヒ 今日、とても仲の良さそうなおじいさんとおばあさんを見かけたの。 母 そうなの。 ハルヒ 公園のベンチでね、小一時間ぐらい座っていたわ。あまり話してる様子はないけど、「ねえ?」とか「ああ」とか「そうだね」とか、相槌みたいなことばかりね、それでもちゃんと気持ちが伝わってる感じ。 母 ええ、すてきね。長い時間を共にされたからかしら。 ハルヒ 母さんたちは、よくしゃべってるわね。 母 そうね。 ハルヒ お互いのことを、知れば知るほど、分かりあうほど、話さなくなるものなの? 母 お父さんなんか、わざと分かりにくくするために、しゃべってるところがあるわね。 ハルヒ そうよ!まったく、あの親父ときたら! 母 でも、お父さんが「かくしたいもの」なんて一目瞭然よ。 ハルヒ 何? 母 「照れ」よ。 ハルヒ なーんだ。そのくせ、クサイせりふは平気で吐くわ...
  • 王様とあたしたち その1
    prologue  「父上、うれしそうですね」 「ん? ああ、顔に出てるかな?」 「ええ、珍しく」 「息子の結婚だ。もちろん嬉しいとも」 「歳のはなれた、政略結婚でも、ですか?」 「君たちには時間がある。愛情はこれから育んでいけるだろう」 「さて、どうですか。……それよりも、来賓にあの方をお呼びしているとか」 「ああ。君はまだ会ったことがなかったね」 「ええ、楽しみですよ。聞けば私と同じ歳の娘がいるとか」 「家族ともどもお呼びしてある。私の恩人だからね」 Act-1  「結婚される息子さんって、おいくつ?」 「うちのバカ娘と同じだ。まあ、嫁さんの方は6歳らしいがな」 「大変ね」 「まったく。えらい奴はいろいろ面倒だ。王さまなんかやめてこっちに来いと言ったんだがな。俺とちがって真面目なんだ」 「ほんと義理がたい人ね」 「まあ、出会った...
  • 王様とあたしたち その3
    王様とあたしたち その2から ACT-20  「彼女は、この国の女性ジャーナリストの草分けで、民主派のリーダーの一人でした。スズミヤ氏が象に乗ってこの国を救ってくれたあの事件の際、夫を亡くし、その後、乳飲み子を連れて大学へ通い学位をとったのです。議会政治の腐敗と軍事クーデターが繰り返されるこの国の政治の在り方に強い疑問を持つ女性でした。また、なんとか事態を収拾し、玉虫色の均衡と和平を目指した私の最大の批判者でもありました。彼女からすれば、私はあまりにも現実におもねりすぎているように見えたのでしょう。逆に私は、彼女の清廉な理想主義と人柄に惹かれました。私達は何度も公衆の面前で批判し合い罵り合いました。大勢の人間が、私達に相手のことをもっと大事にするようにと忠告してくれました。私達は選んだ手段こそ違いましたが、同じ理想を追求しているのだと、説明してくれる人たちが大勢いました。...
  • @wiki全体から「ラベンダー・バス(二人は暮らし始めました)」で調べる

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