ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「自転を逆に回して」で検索した結果

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  • 自転を逆に回して
     ひょんなことから小金が入った。  悪銭身に付かずというわけで、俺たちは小さな戦闘機を買うことにした。  そして今日が処女飛行という訳だ。  小さくても複座(2人乗り)で、ワープは出来ないが、音速なら超えることができる。 「まったく、生きてるうちにこんなものが買えるなんてな」 「あんた、年寄りくさいわよ、キョン」 「しょうがないだろ。実際、年寄りなんだから」 「あたしが言ってるのはね、あんたは昔からかわんないってこと」 「そういうおまえは変わったか。以前なら人に操縦カンを任せるなんてなかったろ?」 「いらいらするほど分かりが悪いのも、相変わらずね。あんたがハンドル握るなら話は別よ。あたしがあんたの運転に文句言ったことなんてあった?」 「他の文句を言うのに忙しいのかと思ってた」 「バカキョン」  旧式といっても、21世紀の軍需品だ。操縦桿を握ってる時間より...
  • そのとき親父書きは何を思ったか?
    ...、「デカンショ」、「自転を逆に回して」について] その20:何ゆえ書き手はかくも弱いのか その21:「できちゃった」について 再び その22:「ハルキョン温泉旅行」について その23:「夏氷の日」「ゲリラ雷雨」「夏の自転車」等について その24:「終電車」等について その25:「親父さんと谷口くん」シリーズについて その26:「長門有希の空腹/満腹」そして「オヤジラジオ」シリーズについて その27:「司書魔女」シリーズについて
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その19)?
    ...ので重宝。 自転を逆に回して  アイデア一発もの(でも既出が結構あった)。デカイ話を軽く書くのは、バカな話を執拗に書くのと、対になってると思う。そしてキョンは努力を見せない男だしね。  だが文章力のなさが徒になってるな。二人が何をやってるか、どういう状態で何をいま見ているのか、いまいち分からない人がいたんじゃないかと思う。  絵で表現した方がわかり良い話になるのかもしれないけど、わからないところからふっと抜ける瞬間がポイントになる話な訳で。  いや、やっぱり下手な自分が悪い(笑)。
  • 閲覧回数上位SS
    ...心」 (9059) 自転を逆に回して (9046) スポンサーから一言 その1 (9002) 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1 (8979) 涼宮ハルヒのいちゃつき (8946) あるSS書きの個人的七つ道具ーネット篇 (8937) オヤジラジオ その3 (8915) 夏の自転車 (8813) ハルヒと親父2その後 一周年 その1 (8771) 親父さんと谷口くん4 (8765) ともコレ (8752) できちゃった その2 (8743) 辞書シリーズ/和英辞典:ただいま/おかえり (8714) 輪になってマッサージ (8704) 一人旅に必要な事 その後 (8703) 王様とあたしたち その1 (8676) 白みかける空 (8620) 親父書きがSSを読む (8387) 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その3 (8377) 掲示板/足跡帳バックナン...
  • SS(二次創作)「ハルヒと親父」シリーズの物置
    ...あるデートの誘い方 自転を逆に回して 近距離レンアイ 寒い日が好きだった 涼宮ハルヒの正夢 ともコレ マジで恋する5秒前 かなしいうた 夢魔が降る夜 +その他のSS かなりばか系 その男、文系につき SOS団がカラオケへ行く スモール・トークス ラブレターズ 歴史改変阻止シリーズ 技術の長門 おれがあいつであいつがおれで 背中合わせ 逆チョコ バカップル度チェック 7月20日 Tシャツの日 一言違いシリーズー伝染病 一言違いシリーズークラークの法則 長門有希の解答ーおっぱい 技術の長門−ワッフル・デコーダーの暴走 ミルク搾りの女の子 青少年愛護条例 ハルキョン版アリとキリギリス 銀河の中心で愛を叫ぶ バカップル度チェック(初心者篇) ならんでる +その他のSS カオス系 涼宮ハルヒの禁欲 涼宮ハルヒのいちゃつき 涼宮ハルヒの中継 かつてなく積極的な ツンデレエンザ...
  • できちゃった 外伝ー教材仁義
    オヤジ 母さん、今ちょっといいか? ハル母 ええ。なんですか? オヤジ 南朝・梁(502 - 549年)の武帝が、周興嗣に作らせた千字文(せんじもん)というのがあるだろ。東アジアじゃ各地で子供に漢字を教える初級テキストになった長詩だ。 ハル母 敦煌でも手本や習字した断片が出土したそうですね。日本でも寺子屋で使ってたのかしら。 オヤジ ああ。だが今の人間には少々難しいから、石渡明という人が、小学校学年別漢字配当表にある字を使って現代っ子向けにつくった「平成千字文」というのがあるんだ。それを筆で書いてみた。あいつらに送ろうかと思ってな。 ハル母 相変わらず、いい字ですね。王羲之とまではいかなくても。 オヤジ あっちは空前絶後の書聖、こっちは親父の手習いだ。 ハル母 アカザキさんとマサカドさんが「イメージと違う」と言ってらしたわ。誰も読めないような筆跡にちがいないと思ってたのに、って。 ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その3)?
    個人的七つ道具のこと  Syu s quiz blog(こことか、ここ)でとりあげられたおかげで、いろんな人が「七つ道具」について自分のサイトでコメントしたり、ソーシャル・ブックマークしたりしてくださってるみたいです(ありがたいことです)。  親父書き自身がよくつかうのは、マインドマップ(スパイダーマップ)です。このウィキを作るとき、新しいコーナーを作るときから、書き始める前に、書いていて行き詰まったときにも、マップを書きます。  普段はあまりおおきな紙を持ち歩いてないので、正方形のポストイットだとか、手帳の白紙ページで済ませてしまいます。ポストイットの方は取りあえず書いた日の手帳のデイリーリフィルに貼られて、あとで別の日に貼りなおされたり、加筆修正されたり、書きなおしの元ネタになったりします。  7つ道具の表篇は、使用度の高いものたちですが、表の枠を引く...
  • 二人は何故レスリングなんかしてたのか?
    二人でドライブより 親 父 強くなりたい? そりゃまた、あまりに少年マンガ的な決意だな、カカロット。 キョン いや、ベジータに勝てるまで強くなくてもいいんですが。 親 父 ぶっちゃけて言うとな、キョン、人間は訓練で強くなったりしない。毎日、砂を叩いてこぶしを固くすることはできるだろう。経験から間合いをつかむコツを会得するかもしれん。だが、どれだけやっても、捨てるほど安い拳銃一丁持ったガキにかなわんし、複数人に襲われたらひとたまりも無い。まして誰かに襲われて、自分以外の者を守ったりなどできん。 キョン ……だからです。 親 父 ん? キョン 俺たちが何かそういう場面に出くわした時、ハルヒは俺を守って戦わなくちゃならなくなる。うまく言えませんが、俺があいつの足手まといになりたくない、というか。 親 父 なるほど。そういうバカップルな決意だったか。……いいだろ...
  • 夏の自転車
     地球の公転周期を、昔の人間はたまたま「1年」と定めたが、俺たちを乗せた惑星が、相当に長い距離を巡り、また元の位置あたりに戻ったとしても、結局のところ、かわりばえしないのが人間の習慣という奴だと、我が身と我が体験を通じて断言し、ついでに嘆息をもらさざるを得ない。  学年で言えば1個上にあがり、背負わされる課題の山はそれに応じて更なる高みに達したと聞くが、俺はと言えば、まだそいつを確かめる気になりさえしないのだ。  言い訳させてもらえば、人間の思考能力及び集中力、注意力はそれぞれ有限であり、より重要な懸案事項が、まさに今、眼前に存在しているのであれば、それに有限な思考能力その他諸々を注がずにはいられないのが、人間という生物なのであって、それを「悲しい」とか「進歩がない」とか、そういう情緒的な文言で片付けて欲しくないものだな。って、そう言ってるおまえはどうなんだ、ハルヒ?  「あたし? ...
  • クレイマークレイマー
     いつもは、静かでこじゃれたレストランなのに、怒鳴り声をまき散らしてる馬鹿一人のおかげで、散々な事になってる。  料理もいつもの通りおいしいし、連れに若干の問題があったけど、それを帳消しにするだけのものがあったわ。  まったく、それなのに、ね。料理人まで呼びつけて、意味のわかんないこと、わめいてる。 「なんなのよ、あれ? 連れの女の人だっているのに」 「大方、出掛けに娘につれないことでも言われたか、ネコに飯を食わせるのを忘れたんだろ。あいつらを怒らせると、後が怖い」 「その『あいつら』の中に、あたしも入ってるのかしら?」 「キョン、おまえさんを男にしてやろう。いや、変な意味じゃないぞ。あれを解決して来い」 「行かなくていいわよ、キョン。親父が見本を見せれば?」 今日のディナーはキョンと、あと余計な馬鹿親父と。まあ、親父のおごりだっていうし、この店は気に入ってるしね。 「ご...
  • 終電車
     「あ、キョン? 随分遅いけど、今から出て来れない? ううん、今、駅。あ、駄目ならいい」  らしくない電話だった。『今すぐ駅まで来なさい! 30秒以内!』ってのがハルヒのハルヒたるところであって、殊勝な内容は、いつもと違って聞こえる声と相まって、何か俺を不安にさせた。 「わかった。すぐ行ってやる。自転車で行くから、そんなにはかからん。ちゃんと待ってろよ!」  この時、俺もまた、いつもなら言いそうにもないことを言っていた。  俺たちは、違い過ぎていて、そして似過ぎていた。  あいつの努力は空回りすることが多かったし、俺の苦労も大抵は報われなかった。  思えば、俺たちはずっと近すぎる距離にいた。同じ教室の、すぐ後ろと前の席。  ハルヒが望んだことなのだろうが、俺の方も異存はなかった。だがそれが、物事を複雑にしていた。  それ以上近づこうとすれば、お互いに触れ合わざるを得な...
  • ロール・プレイング その3
    ロール・プレイング その2から オヤジ あいつらは? キョン ええ、火に当たって濡れた体を乾かしてます。親父さんそれは? オヤジ ん?ああ、タロットだ。おれたちの世界で言うと、マルセイユ版って奴だ。酒場でやたら絡んでくる奴がいてな、ちょっとした賭けをして巻き上げた。 キョン 大丈夫ですか? 占い師なら、商売あがったりじゃ? オヤジ 残念だが、タロットは占いもカバラも無関係のあとからのこじつけ、って結論が出てる。ダメットって学者が分厚い本を書いててな。今度貸してやる。 キョン は、はい。 オヤジ で、どう思う? キョン 何がです? オヤジ とぼけるな。おまえが気付いてないはずがない。 キョン ……。 オヤジ じゃあ聞くが、さっき斬り方が分かったとか言ってたが、その時「あいつ」の声はしたか? キョン ……親父さん、実は……。 オヤジ ちょっと待て。「実は」ってんなら、おれの方が先に話...
  • オヤジ狩り
     あー、なんだ、おまえら?  ふーん、警棒にスタンガンに催涙スプレーか? いきなりそんなもの向けられたら、誰だっていい顔しないぞ。  腰が引けてるな。最初、取り囲んだときに、相手がびびってくれないと、案外、攻めかかる機会がないだろ。  あ、すまん。思いっきり蹴っちまった。後ろからこられると手加減が難しい。って、聞いてないか?  相手に見られると攻撃しにくいだろ?顔をみてしまうと攻撃のテンションが上がらんように遺伝子にプログラミングしてあるんだ。猟友会も猿とは目が合うからと撃ちたがらない。  逆に後からだと殴りかかりやすいんだが、かといって相手の顔が見えないんで実はタイミングをはずしやすい。相手が気付いているかどうかも、わかりづらい。  四本足だった頃の記憶かしらんが、上半身は縮める方向に力を入れ易く感じるらしい。前足は引きつける方向に地面を蹴っていただろ? だから突きは練...
  • 親父の英会話 Lesson 8
    親父の英会話 Lesson 7から 主語の英語 主語は「既知」である 親父 前回、主語は省略しても構わん、と乱暴なことを言ったが、理由は分かるか? キョン 会話だと、話している相手とか文脈から、判断がつくからでしたっけ? 親父 そう。逆に言えば、それが、英語でどんなものが主語になるか、何を主語に持ってくればいいかのヒントになる。  どんな言語もそうだろうが、言語表現は、話し手と聞き手の間で共有される「既知の情報」を表す部分と、話すことで話し手から聞き手に渡される「未知の情報」の部分とからできている。順番は 「既知の情報」→「未知の情報」 だ。そして、英語でもそうだが、主語は表現の最初に来ることが多い。このことから何が予想されるか。答え:主語は「既知の情報」を担うことが多いんだ。例を示そうか。 ○ The new project is exciting....
  • 二人は暮らし始めました 9日目
    「39.2度……。キョン、ごめん」 「熱は出た方がかえって気分はマシなんだ。中途半端なときがいちばんしんどい。だから気にするな」 「ごめん」 「あと人肌で暖めるのがいいのは、雪山で遭難したときだ。俺の方が熱が高いから温まらないし、お前にも風邪がうつるから、もうするな」 「うん、ごめん」 「ネットスーパーで、スポーツドリンクと桃缶とプリンとゼリーの栄養補助食と氷枕と遠赤外線を反射する保温シートを注文してあって午後には届くけど、他に欲しいものない? あと、いつでもおかゆは作る用意はしてあるわ」 「ああ、いまは食べ物は体が受けつけんと思う。ちょっと、眠るから」 「うん」 「熱があるから、何かうわごとを言うかもしれんが気にするな」 「うん。……タオルしぼる水とりかえてくる。ゆっくり寝てて」  二人が付き合い出してない頃、あたしが風邪を引いて、キョンがお見舞いにきて...
  • 近距離レンアイ
    今日も背後から、涼宮ハルヒの攻撃は続く。 敵の発射基地は、俺のすぐ後ろの席だ。 これだけ近ければ、どこぞのオンボロミサイルだって、はずしっこないだろう。 さっそく痛っ。シャーペンの先かと思ったが、折り畳んだ紙の角か。 どうして、もっとやさしい渡し方ができないんだろうね。 後ろ手にその紙を受け取って開く。 「今日、どこ行く?」 やれやれ。そんなこと、後でいくらでも話せるだろうに。 返事を書いて後ろに投げ返す。 「どこも行かん。部活だろ?」 さらに紙の角攻撃。 「だ・か・ら、部活が終わった後よ!」 紙の隅に怒ってる自分の似顔絵が書いてある。妙なところに凝るやつだ。 いつもの茶店、と返事するのも、何か芸がない気がした。ああ、へんな似顔絵のせいで魔が差したんだ。 さあ返事を返すぞ。 「いっそ遠出するか」 うしろの机でガタガタうるさいぞ、ハルヒ。 「と、と、遠...
  • 8月2日 パンツの日
    ○8月2日 パンツの日  奈良の下着メーカー磯貝布帛工業(イソカイ)が自社ブランド「シルビー802」の商品名にちなんで制定しました。  後に、大坂の下着メーカー、オグランも「パン(8)ツ(2)」の語呂合わせから、この日を記念日にしました。 オヤジ 今日はパンツの日だな。 キョン そうですか。知りませんでした。 オヤジ かといって、どうしようもないがな。 キョン そうですね。贈るとか飾るとか、なんかそういうのでもないと。 オヤジ キョン、お前はパンツを贈る癖とか飾る癖があるのか? キョン いや、ないです。 オヤジ なんだ、つまらん。行動を喚起しない記念日なんぞ、なんのネタにもなりゃしないな。 キョン ちなみに、「パンツを贈る癖」から、どういう展開があったんですか? オヤジ 知りたいか? キョン そう聞かれて、知りたかったことも、断れたことも、ない気がするんですが。 オヤジ そう...
  • 親父抜きの大晦日その後^4
    親父抜きの大晦日その後^3から  初詣については、毎年の事であるし、難事件も新年早々遠慮したい訳であって、申し訳ないが、本篇を読み返すなり、SSを書いて妄想を膨らますなりして、各自で補完してくれ。  長門が幸先良く「大吉」をひきあてたとか、朝比奈さんがかわいらしく「小吉」であったとか、古泉が絡みづらい「中吉」であったとか、妹もまた「中吉」で「古泉君といっしょだー」と無邪気に喜ぶ姿に、おれのなかに黒いものが芽生えたとか、鶴屋さんが「天晴」なるものを引き、みんなで納得したとか、おれが周囲の期待を上回りも下回りもせず「末吉」だったとか、触れずにすませばすませられることばかりだ。 「正月早々、華がないわね、くじまで」  そんなもの、あったら傘の上で一升ますでも回してる。 「平凡で詰まらないって言ってんの」  それについては異論はないぞ。で、ハルヒ、おまえはどうだった...
  • 涼宮ハルヒの脱衣ー第1回お礼SS
    「い、言い出したのは、おまえだからな」 とおれ、何を言ってる? 「わ、わかったわよ。別に……どうってことないわ」  どうってこと、あるだろうが、その顔は? 「何よ?」  やめろ、考え直せ。 「な、なんでもない……」  そうじゃない! 何かあるだろ!?  なんでもいい。部屋が寒いとか、風邪気味だとか、じいさんの遺言だとか、 学校に来る途中黒い猫に前を横切られたとか、なんかそういう、 それこそどーでもいい、断る理由が、だ。 「お、おまえ、さ、寒くないのか?」 「さ、寒いわけないでしょ! それがこれから服を脱ぐ人間に対して言うセリフ!?」 いや、まったく、そのとおり。って、だから、それ、既定事項かよ! 「ハルヒ!」 「ちょっと離して! あんたに脱がされるくらいなら!」  おれはハルヒの腕を取り、引き寄せようとして失敗して、 それならと自分の方から近づいた。  ...
  • 新落語シリーズ「金明竹」
    ハルヒ ねえ、キョン。有希のことなんだけど。 キョン どうしたんだ、ハルヒ? ハルヒ 素直なのはよいことだけど、もう少し断るってことを覚えた方がいいと思うわ。昨日なんか、自分の持ってる傘を知らない人に貸しちゃって、自分はずぶぬれで帰ってきたのよ。 キョン 長門、ハルヒに聞いたんだがな。自分の持ってる傘を知らない人に貸して、自分はずぶぬれで帰ってきたってのは本当か? 長 門 事実。 キョン なあ、長門。時には断った方がいいと思うぞ。 長 門 どうやって? キョン そうだな。落語なんかだと、『貸し傘も何本かありましたが、この長雨でどれも使い過ぎまして、骨は骨、紙は紙、とばらばらになりましたから、使い物になりませんので、風呂の焚き付けにでもしようかと、物置に放り込んであります』とか言うんだが。ははは。 長 門 わかった。 キョン おいおい、今のは落語の...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その3
    親父が来る その2から   ……この親父、家族愛に訴えてまで、娘を怖がらせようとしている。しかし怖がらせたところで、この親父に何の見返りがあるというのか。ある意味なけなしの父娘の絆をまた損なうだけじゃないのか。  それにしても、こいつもまたダブル・バインドだ。まともに受け取れば冗談にして茶化すことができるし、相手にしなければ親の死に冷淡な態度を非難できる。いずれを選んでも、向こうに負ける余地はない。  おれはハルヒの反応を見ようと後ろを振り返った。 「ふう。で、その不幸の手紙は何人に出せばいいの?」 おい、ハルヒ。いきなり《肝心なことは聞いてない》攻撃か? 「バカ娘、そうじゃない。死を回避する方法はないんだ」 そうだ、そういう設定だろ。 「人間いつかは死ぬわよ!」 一般論!! 「だからいつ死んでもいいように、今日の今この時を一生懸命生きるの! キョン、あたし何か...
  • ゲリラ雷雨 その後
    ゲリラ雷雨から (キョンサイド)  雲の切れ間から太陽が照りだしたっていうのに、激しい雨も、あいつが大嫌いな雷も、まだ続いている。 よほど適齢期の狐がたくさんいたのか、長い長い狐の嫁入りだ。  居場所も言わず10秒で来い、というのがハルヒ・クオリティだが、ああ携帯にGPSがついてたな。それにしたって、アプリを起動するだけで10秒くらいすぐ経っちまう。  商店街か。アーケードがあるから雨宿りにはちょうどいい。が、なんでこんな入り口近くにいるのかね。もっと商店街の中に入れば、稲光(ひかり)も雷鳴(おと)もマシだろうに。 「はくしょん!!」  おれの方はと言えば、集合場所へと自転車で向かう途中であり、電話では軽口を叩いてたものの、全身ずぶぬれで、結構悲惨な状態だった。そして、ハルヒのいる場所は、おれのいる場所からすると、商店街のちょうど反対側の端近くということになる。...
  • 銀行強盗
     「なあ、キョン。あいつら殴って来ていいか?」 「お、落ち着いてください、親父さん。他にも人質が居るし、犯人たちは全員武装してます」 「ちっ。だがどうする。このままでは埒が明かんぞ。……時間に間に合わんと事だ」 「た、確かに」 「あいつら、楽しみにしてたからな」  夕方には、ハルヒの母さんのバースディ・パーティが予定されていた。それ用に注文されていたケーキと七面鳥の丸焼きを取りに、親父さんと俺は派遣された訳だが、軍資金を降ろそうと立ち寄った都市銀行支店で、何の因果か捕われの身になっていた。  犯人は4人組。武装は全員、本物っぽく見えるサブ・マシンガン。うち一人は、名乗りを上げ威嚇するために、先ほど実際に乱射して見せた。  全員の携帯電話は没収され、待ち合いスペースの真ん中にまとめて置かれている。  男性の行員及び客は、みな後ろ手に縛られている。女性たちが窓際の椅子に集...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その5
    涼宮ハルヒのリフォーム その4から  「で、どうすんの?」 と尋ねるハルヒの眼の中に、往年の某野球マンガにまで遡れるメラメラと燃える炎が見えたのは気のせいか? いずれにしろ、今やこいつの気分は絶好調に高揚し、アドレナリンが分泌され、「オラ、わくわくしてきたぞ」状態になっているのは間違いない。 「マグライト振り回して、相手の侵入経路を調べて回るのが手堅いが、そんなことでもすれば、相手が人間であれ物の怪の類いであれ、間違いなく勘付かれる」 「そうね」  ハルヒは頷いた。 「とっと逃げられて、ほんとに居たのか居なかったのかも、よくわからない、ってのが最悪のケースね」  そういうと思ったぞ。二手に分かれるのはリスクがある。かといって一方から追い込んでも、窓から外に飛ばれでもしたら、それでおしまいだ。  「手、貸そうか?」  後ろから、聞き覚えのありすぎる声。そして予想がつ...
  • ロール・プレイング その8
    ロール・プレイング その7から 兵士A おい、あいつ、本当にやっちまいやがった。 兵士B ああ。たった一人であの軍勢を押し戻した。 兵士A 人っ子一人いないぞ。西のやつら、逃げ帰るのも迅速だ。 兵士B あれだけの兵に、竜までいて……。それが気にかかるがな。しかし、今は先にすべきことがある。 兵士A ああ、そのとおりだ。 皇太子 「そこまでやっていいのか」ですって? つまらないことを考えるのですね。 オヤジ やっと入れ替わったか、デブ王子。 皇太子 不敬の罪は問わないでおきましょう。 オヤジ 口の聞き方を覚えるのはそっちだろ。おれは大人だぞ。 皇太子 それが何か? オヤジ 自分が世界を支えてる訳じゃないと知ってもなお、その「つまらないこと」に命投げ出して考えられるようになったら、赤飯を炊いてやる。 皇太子 支えるのは民草の役目でしょう。この世界が変わるのを、あるべき姿に変...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その24)?
     ひさびさに言い訳コーナーです。 終電車  ハルヒスレに、ハルキョンが生き別れて……という話を書いている人が居たので、書いてみました。  テイストとしては夏の自転車に似てます。  普段バカップルものとかバカ親父ものを書いてるんですが、それだけに、「こいつら、離れたらどうなってしまうんだろう?」という疑問は常に有ったりします。  「離れたら、どうなるか」については、「その後」を書いてみたことがあるのですが(『一人旅に必要な事』シリーズ)、今回は「その前」を書くことで、この疑問に自分なりに答えられないか、と思って書きました。  間接的には、こいつら、なんでこんなにバカップルなんだ?とか、こんなにバカップルで大丈夫か?といった疑念に答えるバックステージ(舞台裏)ものでもあり、  直接的には、実は日常の中に無数にあるバッドエンドへの分岐を、こいつらはどうや...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その5
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その4から 「は?」  と俺は聞き返す。 「なに言ってんだ、おまえ?」  受話器越しにハルヒは答えた。 「なにって……、修学旅行とかで、ほら、男子が女子の部屋に遊びに来たりするじゃない? いわば、ああいう奴よ。深い意味はないわ」 「悪いがハルヒ」 「な、なによ?」 「お前の方に深い意味がなくてもな」と俺は言った「俺にはある」 「ななな、い、意味ってなによ?」 「俺はおまえでなきゃ嫌だ」 「……」  ハルヒは黙った。それもいいだろう。どうせ全部言わなきゃ俺だって止まりそうにない。 「目の前にどえらい美人がいたとする。俺だって健康な男子高校生だし、抱きしめたいし、キスしたいし、押し倒したくなくないけどな、今はお前でないと嫌だ」 「い、今って?」 「お前に出会っちまって、お前を個体識別して、お前とお互いに話して、お互いに思っ...
  • ハルヒ先輩2
    ハルヒ先輩から  「まあ、あんたは、鞭より飴が効くタイプだとは思ったけど、ここまでとはね」 「どっちかって言うと、ハルヒが事前にしてくれた家庭教師のおかげだと思う」 「それでもね。……あんた、平均で80点超えてるわ。これだと『愛の極上スペシャル・フルコース』になっちゃうけど、どうする?」 「……」 「そうよねえ。こういうのは、お互いの気持ちの高まり、とか、そういうのが大事なもんだし、賞罰のネタにするのはダメね。あたしが悪かったわ。代わりに、なんでもいいから、欲しいもの言いなさい。ちゃんとご褒美は用意するから」 「ハルヒ」 「なに?」 「子供扱いしてるだろ?」 「む。そんなこと、あるわけないじゃない。あんたは、たまたま年下だったけど、あんたが10才年上だろうが、逆に年下だろうが、キョンはキョンよ。あたしの気持ちに変わるところはないわ」  いや、さすがに10歳下はま...
  • ヰタ・セクスアリス/雨宿り
     梅雨入りが宣言されて以来カラカラの晴天が数日続いた次の日。  どうやらそれも昨日までの気まぐれらしく、ようやく空に暗雲が立ちこめ、こりゃ一雨どころか雷様だってやって来そうな放課後、俺はまだ教室に居て、窓からおどろおどろしい灰色の渦巻き模様を眺めていた。  「おい、キョン。帰らないのか? こりゃ一雨どころか雷だって来るぜ」 だったら俺になんぞ声をかけずにさっさと帰りゃいいのに、谷口はへそを手で隠しながら、気が早すぎて鞄をアタマの上に乗っけている。 「谷口、おまえ、傘忘れたのか?」 「な、なんで分かった?」 「ほらよ」 置き傘を谷口に放ってやる。折りたたみだが、雨が激しくならないうちに帰れば、十分役に立つだろう。 「ほらよ、って。ありがたく借りてやるが、おまえはどうすんだ? 涼宮が休みだから、SOS団だって休業だろ?」 ああ、なんで俺は帰らないんだろうね。 「雨...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その23)?
    ひさびさに短い目の「そのとき親父書きは何を思ったか」をお届けします。 乱歩の日  乱歩なら他にもいくらでもあるだろう、との当然過ぎるご指摘がありましたが、ハルヒなら、絶対『人間椅子』だろうと迷いもしませんでしたwww。  というか、これを書いてはじめて『人間椅子』の何が嬉しいのか/何を欲望しているのかが、理解できたような気がします。  暑苦しくても、視覚と動き回る自由を失ってでも得たいもの。キョンは反省して、もっと「だっこ」してあげるべきですねwww。 夏氷(なつごおり)の日 ゲリラ雷雨 夏の自転車  歳時記を見てネタを考えたような、夏の掌編。  省略に省略を重ねて、削りに削ってるのは、描く力量と時間がないせいです。  それでも読み手の想像力が救ってくれるのに賭けるという、文字でやってる強みに完全に寄りかかってますね。だから、感想がもらえると、このあたりのは本当に...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー1
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳バックナンバー1 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-05-31の分 おっかなびっくり設置してみました。 -- 親父書き (2009-05-16 12 14 15) 早速リンク貼っちゃったぜ! -- ざぶとん (2009-05-16 16 23 18) 楽しませていただきました! 質問ですが、VIPにある「親父シリーズ」は載せないんですか? -- まこD (2009-05-16 18 32 45) VIPにある「親父シリーズ」は他の方が書かれたものです。あちらの方が数倍上手だと思います。日々精進。>まこD さん -- 親父書き (2009-05-16 18 38 02) 後先になりましたが、リンクありがとうございます>ざぶとん さん -- 親父書き (2009...
  • ハルヒ先輩7
    ハルヒ先輩6から  「随分、成績も上がってきたな。これだと外の学校を受験しても十分勝算があると思うが」 「外の大学なんか行かないわ」 「……この進路志望調査票なんだが、第1志望から第3志望まで『ハルヒの嫁』っていうのは?」 「あ、それ、あたしが書いたの」 「……涼宮、なんでお前がここにいるんだ? なんで一昨年と同じ会話を、おれとお前はやってるんだ?」 「だって、これ、キョンの三者面談でしょ? あたしの時と事情は同じじゃないの」 「三者ってのは、本人と親と教師のことだ。おまえは何だ?」 「キョンの嫁よ。英語で言えばベター・ハーフよ。こいつの成績に関しては、あたしも責任があるし。あと、これ、キョンのお母さんからの委任状。ちゃんと話はつけてあるわ」 「あの、先生。ハルヒにはあとでよく言っておきますんで。とりあえず内部進学を希望するということで」 「すまんな、キョン」 ...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その3
    その2から  一泊二日の宿の予約を済ませ、互いにたっぷりと睡眠をむさぼった数日後、俺たちはその、やたらと交通の不便なところにある温泉旅館に向けて出発した。  乗り継ぎの面倒さにも関わらず、ハルヒは終始上機嫌で、 「やっぱり人間寝ないとダメねえ、キョン!」 などと勝ち誇ったように語ってみせる。 「見なさい、いいえ、触れてみなさい、このみずみずしい張りとつやの肌!」 「どれどれ」 「ど、どこさわってんのよ!! 時と場所をわきまえなさい!」 「グーで殴るな。ほっぺただろ!」 「あたしが無抵抗なのをいい事に、人のほっぺを『たこやき』にしたわね」 「抵抗どころか、おもいっきり反撃してるだろ! あと知らない奴には絵でもないと伝えにくいぞ、このいたずら」 「あんたがやったんでしょうが!」  長い旅のはずだったが、くだらない話をする時間というのは、なんでこうも短く感じ...
  • ハルキョン家を探す その1
     駅前の不動産屋の前で、掲示されている物件情報を親の敵のように睨みつけている奴に出会った。  誰であろう、涼宮ハルヒである。  ハルヒは自分の行為によほど集中していたのか、俺が声をかけられるほど近づいても、まるでこちらに気付かないでいた。  やれやれ、今度は何を考えついたんだ? 大方、SOS団の駅前屯所を作るのよ!これから地の利ってのがものをいうんだからね、といったようなことだろう。  悪の芽は早めに摘むに限るな。といっても大げさなものじゃない、ちょっとばかり小言を言うだけさ。だいたい、こいつは物わかりが悪い奴じゃない(逆に物わかりが激しすぎるきらいはあるが)。ただ正面から否定すると意地になって、自分でもわかっちゃいるくせに上げた手が下ろせなくなるだけの話だ。  周りの迷惑を少々過小評価するきらいはなくはないが、こいつはこいつなりに自分を含めた「みんな」のためを...
  • 家族旅行で見る夢は
     充電中の携帯が、けたたましい音を立てた。おいおい、まだ7時半だぞ。待ち合わせは10時のはずだろ。どうしたんだ、ハルヒ? 「キョン? 今そっちに親父が行ったから、早く逃げなさい! いいから、とにかく逃げて! あーもう、今からあたしもそっちに行くから!」  何あせってんだ、ハルヒの奴? そういや今、下で『あらあら、ハルヒちゃんのお父さん』っておふくろの声がしたが。誰か階段を上がってくる。って、ハルヒの親父さん、もとい、お父さん? 「ハロー、キョン君。いい朝だ。俺のことは涼宮親父と呼んでくれ」 それ、ものすごく呼びにくいです。 「パパでもいいぞ」 勘弁してください。 「いま電話があったみたいだが、ハルヒがこっちへ向かってるんだ。急いで出るぞ。逃げるんだよ、地の果てまでも。ちなみに君は人質だ。あ、ご両親には今話をしておいたから」 ほとんど数分もかかってないぞ。それと『話しておいた...
  • オヤジラジオ その3
    オヤジラジオ その2から ハルヒ なによ、このヘタクソなピアノは!? オヤジの奴ね! キョン 確かにがんがんぶっ叩き系だが、ノリノリだな。お、グリッセント。 ハルヒ これくらい、あたしにだって弾けるわよ! キョン そりゃ、おまえは弾けるだろうがな。あ、長門のボーカル。 古泉 お取り込み中のところ、申し訳ありません。 キョン 別に取り込んじゃいないぞ。 ハルヒ いないわ。 古泉 ……送信機の奪取に一応の目処が着きましたので、ご報告を。 キョン 随分、速いな。 古泉 探すべき場所が無線LANスポットに限定されたので、捜索に当たる人員を増員しました。市内の公衆LANスポットを手分けして一斉に当たらせてます。あ、ご心配なく。突然駆りだされたボランティアのみなさんですので。 キョン 駆りだされたら、ボランティアじゃないだろ。 鶴屋 と、言う訳なのさ。目処もついたみたいだしさ、ハルニャンた...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その4
    涼宮ハルヒのリフォーム その3から リフォーム4  涼宮夫妻合作のツナキャベツ・サンドを食べ終えた後も、ハルヒと俺は、ひなたぼっこともおしゃべりともつかぬ何かをしつつ、庭の隅にあったベンチに腰かけていた。  ハルヒが会話を切って横を向き、俺もハルヒの顔から視線を外してそっちを見ると、気配を消してきた親父さんがすぐそこまで来ていた。 「おまえら、ほんとに仲良いな。離れ離れになったら、ダメダメになっちまうんじゃないか?」 「なるわけないでしょ」  いつものオヤジ・トークだ。声にもからかいの色が乗ってるし、口元もニヤリとしてる。ハルヒが適当に受け流して、それでいつものように終わるものだと思っていた。  ところが、今日に限って、親父さんは食い下がった。多分、ハルヒの返事の些細な違い、たとえば「おおきなお世話よ」と無視を決めこむのか、それとも今日のように明確な否定を...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その26)?
    長門有希の空腹、満腹、オヤジラジオ 911さんをして「とうとう会わせてしまいましたね、この二人を」と言わしめた長門‐親父シリーズ。 原作で、反則的なまでに圧倒的なスペックを誇る長門さんと、親父シリーズ自体が反則なんだけど、その中でも破格に反則な親父さんのタッグ。 というか、この二人、なんか気が合いそうというか、話が通じそうなんだもん、と思うのは、親父書きの贔屓目ですか?イエス? ならば言おう。書きたかったんだもん。 しかし、小説の処理的には、ちょっと難しかったです。一応、キョンの一人称で追えないものは、登場人物のセリフだけ、というのが方針なんですが(ハルヒの一人称は少しあるけれど)、長門‐親父となるとセリフ回しだけで可能なのか、喋ってくれるの、長門さん?という懸念が一部にはありました。まあ、実際は、親父さんが長門さんの分まで喋ってるんですが。 あと、ラジ...
  • 親父さんと谷口くん2
    親父さんと谷口くんから 「えーと、前にも尋ねた覚えがあるんだが、誰だっけ?」 「このあいだ、親父さんの教えを受けた谷口です」 「おー、そうだった。その後、どうだ? もてたか?」 「おばあさん相手に100人切りを完遂しました。どっちかというと、返り討ちにされた気がしますが、勉強になりました」 「で、今はどうしてる?」 「はい、それが高じて、介護施設にボランティアへ」 「そうか。人生何が幸いするかわからんな」 「親父さん、もう一度、チャンスをください!」 「ん?何の?」 「大変充実した日々を送りましたが、本来のナンパ道から遠ざかっている気が。それに、おれ、正直言って、若い女が好きなんです!」 「それで、なんか、アドバイスすればいいんだな?」 「ぜひともお願いします!」 「アーリー・ラーニング・セットって知ってるか?」 「いや、いいえ」 「20世紀最大の催眠...
  • 年越し
     「ねえ、キョン?」 「なんだ、ハルヒ?」 「あんた、来年の今日は、何をしてると思う?」 「……わからん」 「つまんない答えね。というか、答えに値しないわ」  その通りだな。  だが神様じゃあるまいし、そんな先のことまでは正直わからん。約束もできん。  なぜなら、こいつには、こいつにだけは、嘘はつきたくないからであって、それはどんな目にあわされるか、まるでわからんという理由からだ。  でもな、ハルヒ……。 「どこで何してるか、まるでわからんが……この手がいる場所は変わらないと思うぞ」 「このエロキョン……」  いきなりそこまで言うか、普通? 「そういうこと言うのか」  右手で、その柔らかい髪を撫でる。少し、くしゃとなるくらいに。 「い、いつまで触ってんのよ?」 「あ、ああ。ここじゃないよな」 「そうよ」 「これでいいか?」 「いい」  ハルヒはうなずい...
  • High Moon:真夜中の親父
     「ただいま」 「お父さん、お帰りなさい」 「……」 「ん?ハルヒ、闘(や)ったのか?」 「中学生3人と。クラスメイトが脅されて、お金取られそうだったんだって」 「バカな連中だ。小学生、おどしても、いくらもならんだろ。襲うなら大人を襲え」 「……」 「それも少し違うと思うけど」 「……負けた顔じゃないな。まあ、負ける訳はないか。だが、こいつ、怒りを押し殺してるって顔してるぞ」 「そうなの。でも、何にも教えてくれなくて」 「母さんにも話さんとは珍しい。……どれ、その怒り、おれが買ってやろう」 「!さわるな!」 「なるほど。……男を殺したくなるようなものを見たか。クラスメイトが取られそうだったのは、どうやら金だけじゃないらしいぞ。母さんに言いたくない訳だ」 「……」 「ハルヒが帰ってきたのはいつだ?」 「午後6時ごろかしら」 「この季節じゃもう暗い時間だ。……こ...
  • ヰタ・セクスアリス/雨宿りのつづき
    ヰタ・セクスアリス/雨宿りから  「低気圧が近づくと発情する」というハルヒの理論には、納得できないところがある。  たとえば雨の日、大抵の人間がそうかもしれないが、俺の体はいよいよ脱力と倦怠の極みに達し、頭脳は小停止とフリーズを繰り返し、気分にいたってはブルー一色の憂鬱に沈み込むだろう------もし、涼宮ハルヒという存在がこの世になければ。そして、よりにもよって俺の席の後ろにいなければ、確実にそうだっただろう。  精神状態に作用する薬物には、大まかに分けて、気分や精神状態を高揚・興奮させるいわゆるアッパー系と、逆にけだるい気分を提供するダウナー系がある。覚せい剤は、その名のとおりアッパー系であり、身近なところではタバコに含まれるニコチンなどがこの仲間だ。ダウナー系には、悪名高いヘロインからアルコール、アヘン、シンナーなんかもこっちに入る。  「阿片は余を裏切らないが、余...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー4
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳バックナンバー3 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-06-07の分 2009-05-16〜2009-06-30の分(別ページ) -2009-07-01〜2009-07-31の分 2009-07-01〜2009-07-31の分(別ページ) -2009-08-01〜2009-08-31の分 2009-08-01〜2009-08-31の分(別ページ) -2009-09-01〜2009-09-14の分 スポンサーから一言、脱稿。現在、絶賛反省中。ああ、事件ものなんて手を出すんじゃなかった……。 -- 親父書き (2009-09-01 19 16 12) 某所に1日限りの、私にとっては「夏のご褒美」となるコンテンツ発見。ああ、夏の疲れがいやされ...
  • オヤジサンタ
     コンコンと部屋の窓ガラスを叩く音がして、何か赤いものが外を横切った。 「よお、キョン。今日は冷えるな。しかし、あまり時間がない。急いでくれ」 「親父さん、これはいったい?」 「見て分からんか? サンタだ」 「いや、それは、わかるんですが」 「おれもこの歳でやるとは思わなかった。老後の楽しみに取っておこうと思ってたんだが、この御時世に人手不足らしい。誰か首相に教えてやれ」 「おれも行くんですか?」 「そうだ。オチも考えてあるから心配するな。一通り配り終えたら、おまえさんにストッキングをかぶせて、バカ娘の部屋に窓から放り込む。悪く思わんでくれ」  自分の「行く末」の方は無視して、おれは今聞いておかないと、この先きっと質問する機会が永遠に失われるであろう事項について尋ねた。 「このトナカイとそり、宙に浮いてるように見えるんですが?」 「だからサンタだ。原理はいまいち分からん...
  • とある七夕の前日
    娘「もう! なんで宇宙人は何も言ってこないのよ!」 母「あらあら、すっかりおかんむりね」 娘「(じとっ……)」 母「うーん、そうねえ。たとえば、ハルは遠くから男の子を見つめていたことはない?」 娘「ない」 母「じゃあ、逆に男の子側からの話の方がいいかしら」 娘「……」 母「遠くからその娘を見つめているだけなのに、むこうはこちらの名前すら知らないのに、何故思いが通じないのだろうと思ってしまう。ぼくは彼女が何時のバスに乗るか、どの教科が得意で、友達とどこで昼食を食べるか知っているのに。ぼくは彼女の家までの道順をそらで云えるのに。ぼくは彼女の好物を知っていて、絵が上手なことを知っていて、合唱コンクールの何列目の何番にいたかまで知っているのに、なんであの娘はぼくのことを知らないのだろう、って」 娘「……」 母「宇宙人はなぜ地球人にコンタクトしてこないのか? じゃあ地球人の方は本当にコンタクトをしよ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その6)?
    『できちゃった』について  ハルヒ、いきなり妊娠してます。で、生むと言ってます。周囲も反対する気配なしです。  難しい素材だ思うけどと、コメントをいただいてますが、確かに難しい。こんなに簡単に書き始めるんじゃなかった、実力が足りてないぞ、と後悔することしきり。  ただ、子が親になり、親が祖父母になる、という話は、いつか必ずやろうと思ってました。世代交替というか、世代の循環があってはじめて、お話に出てくる親たちが、書き割りや背景でなく、主人公世代と並び立てる全うな登場人物になるんじゃないか、と思っていたからです。  ただ人が読みたがるか、需要はあるかと言えば、とても微妙です。  いまのコメディものは、ジャンルで言うと「家庭喜劇」というのに分類されるのですが、異なる世代を徹底的に排除しクリーニングした上に成り立ってるものも多いです。  異なる世代のことなんて、理...
  • 親父の臨終
    母  お父さん、あと何か言いたいことはありますか? 親父 プロポーズのこと覚えてるか? 母  ええ、もちろん。 親父 俺と同じくらい長生きしてくれ、って言ったっけな。 母  こんなおばあちゃんになるまで生きられるなんて誰も思わなかったわ。お父さんのおかげよ。 親父 俺が死んでも、合わせなくていいぞ。2倍ぐらい長生きしてもいい。 母  一人でさびしくないんですか? 親父 娑婆がにぎやか過ぎた。さびしいってやつを思いだすのに時間が必要だ。 ハルヒ にぎやかさの半分は、親父のせいでしょ! 親父 あとの半分はおまえだ。なあ、キョン、おまえもそう思うだろ? キョン はい。 親父 あとは頼むぞ。といっても、こいつら勝手になんとかするからなあ。 キョン ええ。 親父 ああ。最後にかっこいいこと言って死のうと思ってたんだがな。 ハルヒ いいわよ、最...
  • 師走の親父
     「お父さんが今度の仕事で点数稼いだから、多少の無理はきくそうよ」 とハルヒのお母さんは言った。  以下は、後で親父さんに聞いた話である。  「んー、仕事か? いつものモメゴト・シューティングだ。町村合併でな、もともと仲が悪かった町がひとつになった。片方は古くからの温泉を中心にした町で、向こう側にあるスキー場が生業の町だ。水と油ならぬ、湯と雪の間柄って訳だ。元々地熱のせいで、ここのスキー場は雪解けが早くて営業できる期間がよそより短い。そういうところに人間様が後からやってきた訳だが、自然に怒りをぶつけてもしょうがないから、地熱憎けりゃ温泉旅館まで憎い、ってことらしくてな」  「涼宮さん、すぐオヤジが参りやす。しばらく遊んでってくだせえ」 「なるほど。おれは、うまい飯といい女に目がないんだが、よく分かったな」 「へへへ、それは男なら誰でも同じでしょう」 「そう...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その3
    ハルヒと親父2その後 一周年 その2から  朝が来たのは分かった。  おれの精神(こころ)及び肉体(からだ)は、まだ完全には覚醒しておらず、周囲の状況を把握するには至ってなかった。おれの右手は、そこにいるはずの誰かを無意識に探していたが、成果ははかばかしくなかった。それで、人の気配を感じたとき、おれの肺は空気を喉と口蓋に送りこみ、この世のものとは思えぬ音を出すという失態をやらかした。だが音の方がしでかしたことは、よくよく考えればはるかにマシで、更なる大問題は音声信号の内容の方だった。 「ん……ハルヒ?」 「残念。はずれ」  この似ているが確かに違う声について、脳髄が前頭前野と側頭野と海馬に鞭を入れ、最高速度の検索を要求する。結果:この声は確かに・・・ 「って、ハルヒのお母さん!」 「おはよう、キョン君」 「お、おはようございます!」 「誰かお探し?」  ハルヒの...
  • 涼宮オヤジの20冊
    ホメロス『オデュッセイア』 エリック・ホッファー『波止場日記』 ホメロス『オデュッセイア』  ホメロスは世界で最初の、しかも最高の文学者だ。ここで神話と文学は分かれる。  古代ギリシアの悲劇も叙事詩も、ともに神の血を引く人間たちの姿が英雄的に描かれる。  だが、『オデッセイア』は違う。この主人公は、どんな英雄も、巨人も、精霊も、神をも向こうに回すが、その終始違わぬその望みは、愛するものがいる故郷へ、我が家へ帰り着くことだけだ。なにしろ戦争に駆り出されたくなくて、アホの振りをしたくらいだ。  多くの神に愛され守られていたトロイアは、この男オデッセウスの知謀なしには、決して攻略されなかっただろう。そのせいで神の恨みを買ったこいつは、10年間の戦争の後、さらに10年、世界中の海を彷徨い、恐ろしい一つ目の巨人や歌声で魅了し船という船を難破させるセイレーンなんかに遭遇する羽目になる...
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