nomad

古泉一樹の誤算 NG 五章

最終更新:

hiroki2008

- view
管理者のみ編集可
五章



「兄者、僕たちいったいいつまで潜っていなければならないんですか」
「耐えるんだ裕、俺たち脇役は常に主役を立てる役目にあるんだ」
「とはいってももう三十分もこうして池の中に潜っていますよ。いくら六月とはいえ体が冷えてきましたよ」
「出番が来るまで待つんだ。あの未来から来たとかいう連中がなにを企んでいるか知る必要がある。いざとなったら俺たちの古泉を守るんだ」
「朝比奈みくるがもっとも怪しいですね。あの胸、どう見てもシリコンじゃありませんか」
「こ、こら、そんなことを主役に聞かれたら瞬きのひとつで抹消されてしまうぞ」
「ああ……僕はなんで脇役なんかに生まれたんだ。機関の待遇ももうちょっとよくしてほしいです」
「裕、文句を言うな。俺たちはエージェントなんだ、それが嘘であろうと命令には絶対服従しなければならない」
「すいませんでした、今のは忘れてください」
「うむ。水に流そう、池の中だしな」
「それにしても、僕たちの古泉の姿が見えませんが」
「うむ……忘れ去られたようだな」


長門と長門

「……」
「……」
長門と長門、なんか喋れ。
「……そう」
「……分かった」
「……なんか」
「……なんか?」
「……なんか」



「……あんたたち、これ見よがしにいちゃついてんじゃないわよ」
「……あなたは、アルコールに弱い」
「……てやんでい。未来人がなんだっての」
「……酒癖、悪い」



 そのとき、校舎の屋上に赤く光る玉が現れた。いよいよお出ましだな。機関の連中がそれを見て、あれはなんだと指差した。神人も妙なやつが現れたことに気が付き、しばし破壊の手を休めた。
「街を破壊する青い巨人ども、世界を崩壊におとしめる悪の枢軸。ここで会ったが百年目、少年エスパー戦隊レッドが成敗してみせます」
ジャカジャーンとギターをかき鳴らしたと思うと屋上から飛び降りた。
「とうっ!」
地面に着地するときメキッと音がして顔をしかめた。
「イタタタ……。捻挫してしまいました、僕としたことが」
屋上から飛び降りて捻挫だけで済むなんてふつーありえんぞ。

「あの赤い玉は何なんですか、我々の味方ですか」
「あれは……あなた方が解任しようとしている古泉の壊れた姿です。お笑い系になっちまってる気もしますが」
森さんも他のスタッフも口を丸くあけたまま何も言わなかった。
「これもきっと涼宮さんが望んだことなのでしょうね」
さあ。自分のキャラが窮屈で壊れてみたくなっただけじゃないですかね。



「ほんとに分からなかったのか、お前はハルヒに選ばれたんだ」
「この世界で僕と涼宮さんになにをしろと言うんですか」
「アダムとイヴだぞ、産めや増やせでいいじゃないか」
「殴りますよ、あなた」
冗談だ。過去にお前に言われたから言ってみたまでだ。


記事メニュー
目安箱バナー