【ミリマス】私という撫子の
執筆開始日時
2019/06/16
概要
種を埋めたら芽が出て、茎が伸びて花が咲く。
そういう自然の理のなかで。
私の種はまだ蕾すらもつけないで。よく見えない光を探しながら。
その花が何かも知らぬまま。
控室で抹茶を飲んで一息つく昼下がり。この時間がたまらなく好きだった。大好きな日本で大好きな抹茶を飲むということの幸福に浸っていると扉が開く。そこから顔を覗かせたのは仕掛け人さまで、私を見ると「ここにいたのか」と呟いた。
「仕掛け人さま」
今の口ぶりだと私を探していたみたい。用事だろうか。手にしていた茶碗を置いて姿勢を正した。
「特に急ぎじゃないんだけど今度の取材のことでちょっと渡したいものがあってさ」
そんな私を見て仕掛け人さまは硬くしないでいいよと笑う。お言葉に甘えて肩の力だけを抜いた。今度の取材、と聞いてすぐに思いついたのはあるけれど確認のために尋ねておく。
「着物の松山さんの、ですか?」
「そうそう。取材で聞く質問はこんな感じですよ、っていうメールが届いたからコピーして早めに渡しておこうと思って」
「わざわざありがとうございます。確認しておきますね」
「まぁあんまりしっかり考えすぎない方がいいと思うし、こんなこと聞かれるんだなって何となく目を通しておいてもらえばいいから」
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^エミリー スチュアート
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最終更新:2019年07月06日 20:01