自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

154 外伝27

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tapper

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497 :外伝(またはパラレル):2008/05/20(火) 21:27:28 ID:OiXF2z220
バルランド王国ヴィルフレイング
町外れに設置されたアメリカ軍の物資集積所の一角に一群の装甲車輌が置かれている
「見て見てホレイショ、あれが私達の“戦車”よ!」
「あれは“装甲車”でございますレミナ様」
OD色に塗装された車体にアメリカ軍に所属する車輌であることを表すホワイトスター
の代わりにチョークで“カレアント軍”と殴り書きされた鋼鉄の塊りに熱い視線を注ぐ
のはカレアント公国国王レミナ・カンレアク
そしてレミナの誤った認識を冷静に正すのは右目を眼帯で覆ったヒゲダンディー
ホレイショ・カラマンボ元帥
公務でバルランドを訪れていたたレミナは自軍向けの供与兵器の第一陣が揚陸された
ことを聞きつけると自らワイバーンを駆ってオールレイングから飛んできたのだ
そしてレミナが千と二百万年前から愛してると言わんばかりの眼差しで見つめるのは
箱型の車体の四隅に大型のタイヤを配し車体前部左側のボールマウントに30口径の
ブローニング機関銃、微妙に凸凹のついた実に味のある造形の鋳造砲塔に37ミリ砲と
30口径の同軸機関銃を備えた重装甲車
米軍呼称M6、正史では英連邦軍に供与されスタッグハウンドと呼ばれたはずの車輌
だった
このスタッグハウンド、もともとは英国の発注でシボレーが製造したものだが
戦闘重量13.9トン、最大装甲厚45ミリと軽戦車並のボリュウムを持っている
このため陸軍から「タイヤ付きでこの重量なら軽戦車使ったほうがいいじゃん」と言われ
正式装輪装甲車の座はほぼ同じ武装で重量半分のフォード社製六輪装甲車(M8グレイ
ハウンドである)に攫われてしまったという経緯がある
ところが捨てる神あれば拾う神あり
250台が完成した時点でいらん子認定され放置プレイを喰らっていた不遇の装甲車に
同盟国援助プログラムの一環として開放なった南大陸諸国軍での奉公の道が開けた
のだから世の中はわからない
そして真っ先に手を上げたのが進取の気風に富む(カラマンボ元帥に言わせると野次馬
根性旺盛な)レミナだった
なにしろルーズベルトから言質を取ったその日のうちに国王の強権を発動して
第一機械化騎兵旅団をでっち上げ訓練要員の派遣計画まで作ってしまうところからも
力の入れ具合が分かろうというものである
そんなレミナがごろにゃんと喉を鳴らして装甲車に頬擦りする姿を少し(というかかなり)
引いた位置で生暖かく見守る苦労人カラマンボ
竜騎兵用の革のツナギを着た二人はそうと知らない者が見てもとても女王とお供の武官
には見えないわけで
「あんたら何してんの?」
とポケットハンドでガムをクッチャクッチャさせながらぞんざいに誰何した
オコーネル伍長を責めることはできまい
ただ自分が声を掛けたのがやんごとない身分の御方と判り慌てて土下座した
オコーネルにマタタビの匂いを嗅いだ猫のような表情のレミナが
「コレの動かし方を知ってるか」
とスタッグハウンドを指差したときに
「郷里の祖母が臨月で」
とか何とか適当な理由でその場を離れるだけの機転を利かせられなかったのは
互いにとって不幸なことであった
15分後
レミナとカラマンボ、そしてオコーネルを乗せたスタッグハウンドはヴィルフレイング
の街のメインストリートを爆走していた
「何人たりとも私の前は走らせないィィ!フゥーハッハァ―――――ッ!!」
ハンドルを握るレミナは4×4の魅力に憑り付かれ人機一体、神の領域に至っている
(周りが見えてないとも言える)
「やめてとめてやめてとめてやめてとめてやめてとめてやめてとめてやめてとめてやm」
涙と鼻水を垂れ流しながら叫び続けるオコーネル
流石のカラマンボも渋いご意見番の威厳を保つ余裕はない
「レ、レミナ様!もそっと通行人に注意を…て言ってるそばからおじいさんが!
おじいさんが!アッ――――――――――!!!?」

レミナぶっちぎり伝説の始まりであった
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