※投稿者は作者とは別人です
549 ：外伝（またはパラレル）：2008/01/20(日) 15:30:57 ID:OiXF2z220
今明かされる衝撃の事実
レイリー「ユー アー マイ サン （コーホー）」
キング 「ノ――――――――――――――ッ！」
投下させていただきます
550 ：外伝（またはパラレル）：2008/01/20(日) 15:32:57 ID:OiXF2z220
巡洋戦艦アラスカがエスピリットゥ・サントに到達しつつあったその頃、カレアント公国
ロゼングラップ郊外に設置されたアメリカ軍のデポに置かれた一群の車輌があった。
ＯＤ色の塗料の匂いも真新しいその車輌は新しい７６ミリ砲を搭載したＭ４Ａ１中戦車だ
った。
陸軍機甲軍は主力戦車としてＭ４中戦車の量産を進める一方で傾斜装甲、トーションバー
サスペンション、オートマチックトランスミッションといった次世代の技術を取り入れた
一連の試作戦車を製作していた。
特に実用化が急がれていたのがＢ－２５双発爆撃機のＨ型に搭載された７５ミリ砲Ｔ１３
Ｅ１を主砲にした軽戦車で、１４８３年（１９４３年）９月には試作呼称Ｔ２４のままで
生産が開始されている。
南大陸の戦いでは接地圧が高く軟弱な地面での行動が不得手なＭ４に代わって歩兵支援に
投入されたＭ３軽戦車が敵ゴーレムとの戦闘の矢面に立たされるケースが少なからずあり、実戦部隊からは軽戦車の火力の強化が切実な要望として挙がっていたのだ。
一方Ｍ４中戦車の改良努力も続けられていた。
問題の一つである接地圧の高さは１７トンのＭ２中戦車用の１６．５インチ幅履帯を３０
トンのＭ４まで使い続けていたことが原因で、この問題は後に２３インチ幅履帯と新型サ
スペンションの採用によって解決されるが「１１月攻勢」の時点では南大陸派遣軍のＭ４
は全車１６．５インチ幅履帯を使用していた。
走行装置の改良に先立って行われたのが火力の強化で、これは転移前に戦場で遭遇する相
手として想定していたドイツの新型戦車に備えて準備されていたものだった。
新しい主砲は５２口径７６ミリ戦車砲Ｍ１で、７６ミリと呼ばれているが実際の口径は３
インチである。
ちなみに旧型のＭ４が搭載している３７．５口径７５ミリ戦車砲Ｍ３は原型がメートル法
を採用しているフランスの設計なので端数は無い。
主砲の換装に伴い砲塔デザインも一新され従来の砲塔より内部容積の広いＴ２３試作中戦
車と同型の砲塔が採用された改良型Ｍ４シリーズは、１４８３年（１９４３年）８月にＭ
４Ａ１の量産第一パッチ１３０両が南大陸に運び込まれたものの現地部隊の新型戦車に対
する評価は良くて賛否両論といったところだった。
徹甲弾の性能を比べると７５ミリ砲の装甲貫通力が射距離５００メートルで６８ミリ、１
０００メートルで６０ミリなのに対し７６ミリ砲は同条件でそれぞれ１１６ミリと１０６
ミリと一定の威力の向上は認められたものの、南大陸の戦いでのＭ４の相手は重装甲のド
イツ戦車ではなく石で出来たゴーレムや生身のキメラであり、７５ミリ砲で充分対応出来
ると考えている戦車兵たちは新しい７６ミリ砲にはさほど強い印象を受けなかった。
一方榴弾に関しては７５ミリ砲弾の炸薬量が１．４７ポンドなのに対し７６ミリ砲弾は０．
８６ポンドしかなかった。
これは７５ミリ砲が初速より炸薬量を重視した野砲の転用なのに対し７６ミリ砲が炸薬量
より初速を優先した高射砲を原型としているためだが、実際問題として対戦車戦闘の可能
性がほぼ皆無な現状で戦車の主任務となっている歩兵支援のための榴弾威力が旧型より劣
っていては新型のメリットが無いという現場の声にも一理ある。
結局戦車隊員たちが「１１月攻勢」開始前に使い慣れた７５ミリ砲戦車を新型に更新する
ことに一様に難色を示したため、７６ミリ砲戦車は予備戦力として後方のモータープール
に留め置かれることになった。
はたして長砲身型Ｍ４に活躍の機会はあるのか？
その答えはやがて戦場で明らかになる。
551 ：外伝（またはパラレル）：2008/01/20(日) 15:36:32 ID:OiXF2z220
投下終了
余談：ＹＡＨＯＯ！ニュースによると第二次大戦末期ジョージ・Ｓ・パットンが義理の息
子を救出するために強行し失敗に終わった捕虜収容所襲撃作戦を題材にした映画
「Brothers in Arms」が今年３月からチェコで撮影に入るそうです
これは「戦略大作戦」以来３８年ぶりにシャーマンＶＳタイガーの戦車戦がスクリーンで
見られるか？
549 ：外伝（またはパラレル）：2008/01/20(日) 15:30:57 ID:OiXF2z220
今明かされる衝撃の事実
レイリー「ユー アー マイ サン （コーホー）」
キング 「ノ――――――――――――――ッ！」
投下させていただきます
550 ：外伝（またはパラレル）：2008/01/20(日) 15:32:57 ID:OiXF2z220
巡洋戦艦アラスカがエスピリットゥ・サントに到達しつつあったその頃、カレアント公国
ロゼングラップ郊外に設置されたアメリカ軍のデポに置かれた一群の車輌があった。
ＯＤ色の塗料の匂いも真新しいその車輌は新しい７６ミリ砲を搭載したＭ４Ａ１中戦車だ
った。
陸軍機甲軍は主力戦車としてＭ４中戦車の量産を進める一方で傾斜装甲、トーションバー
サスペンション、オートマチックトランスミッションといった次世代の技術を取り入れた
一連の試作戦車を製作していた。
特に実用化が急がれていたのがＢ－２５双発爆撃機のＨ型に搭載された７５ミリ砲Ｔ１３
Ｅ１を主砲にした軽戦車で、１４８３年（１９４３年）９月には試作呼称Ｔ２４のままで
生産が開始されている。
南大陸の戦いでは接地圧が高く軟弱な地面での行動が不得手なＭ４に代わって歩兵支援に
投入されたＭ３軽戦車が敵ゴーレムとの戦闘の矢面に立たされるケースが少なからずあり、実戦部隊からは軽戦車の火力の強化が切実な要望として挙がっていたのだ。
一方Ｍ４中戦車の改良努力も続けられていた。
問題の一つである接地圧の高さは１７トンのＭ２中戦車用の１６．５インチ幅履帯を３０
トンのＭ４まで使い続けていたことが原因で、この問題は後に２３インチ幅履帯と新型サ
スペンションの採用によって解決されるが「１１月攻勢」の時点では南大陸派遣軍のＭ４
は全車１６．５インチ幅履帯を使用していた。
走行装置の改良に先立って行われたのが火力の強化で、これは転移前に戦場で遭遇する相
手として想定していたドイツの新型戦車に備えて準備されていたものだった。
新しい主砲は５２口径７６ミリ戦車砲Ｍ１で、７６ミリと呼ばれているが実際の口径は３
インチである。
ちなみに旧型のＭ４が搭載している３７．５口径７５ミリ戦車砲Ｍ３は原型がメートル法
を採用しているフランスの設計なので端数は無い。
主砲の換装に伴い砲塔デザインも一新され従来の砲塔より内部容積の広いＴ２３試作中戦
車と同型の砲塔が採用された改良型Ｍ４シリーズは、１４８３年（１９４３年）８月にＭ
４Ａ１の量産第一パッチ１３０両が南大陸に運び込まれたものの現地部隊の新型戦車に対
する評価は良くて賛否両論といったところだった。
徹甲弾の性能を比べると７５ミリ砲の装甲貫通力が射距離５００メートルで６８ミリ、１
０００メートルで６０ミリなのに対し７６ミリ砲は同条件でそれぞれ１１６ミリと１０６
ミリと一定の威力の向上は認められたものの、南大陸の戦いでのＭ４の相手は重装甲のド
イツ戦車ではなく石で出来たゴーレムや生身のキメラであり、７５ミリ砲で充分対応出来
ると考えている戦車兵たちは新しい７６ミリ砲にはさほど強い印象を受けなかった。
一方榴弾に関しては７５ミリ砲弾の炸薬量が１．４７ポンドなのに対し７６ミリ砲弾は０．
８６ポンドしかなかった。
これは７５ミリ砲が初速より炸薬量を重視した野砲の転用なのに対し７６ミリ砲が炸薬量
より初速を優先した高射砲を原型としているためだが、実際問題として対戦車戦闘の可能
性がほぼ皆無な現状で戦車の主任務となっている歩兵支援のための榴弾威力が旧型より劣
っていては新型のメリットが無いという現場の声にも一理ある。
結局戦車隊員たちが「１１月攻勢」開始前に使い慣れた７５ミリ砲戦車を新型に更新する
ことに一様に難色を示したため、７６ミリ砲戦車は予備戦力として後方のモータープール
に留め置かれることになった。
はたして長砲身型Ｍ４に活躍の機会はあるのか？
その答えはやがて戦場で明らかになる。
551 ：外伝（またはパラレル）：2008/01/20(日) 15:36:32 ID:OiXF2z220
投下終了
余談：ＹＡＨＯＯ！ニュースによると第二次大戦末期ジョージ・Ｓ・パットンが義理の息
子を救出するために強行し失敗に終わった捕虜収容所襲撃作戦を題材にした映画
「Brothers in Arms」が今年３月からチェコで撮影に入るそうです
これは「戦略大作戦」以来３８年ぶりにシャーマンＶＳタイガーの戦車戦がスクリーンで
見られるか？
