「真なる暗殺者」(2006/04/29 (土) 16:50:13) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<dl>
<dt>435 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">1/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:06:27 ID:???<br></dt>
<dd>
雲間から差し込む日差しが気持ちのいい日だった。天気予報では降水確率50%との事だがこの天気なら予報が当る事はないようだ。<br>
二階のベランダで洗濯物を干しているキャスターからは見えないところで吉良は考え事をしていた。<br>
吉 (はたしてこいつは『敵かどうか』・・・)<br>
庭の片隅で異形のクリーチャーと対峙する吉良吉影。それは明らかに人ではない────否、この世の生物ではないもの。<br>
変色した血を思わせる赤黒い肌、腕は成人女性より明らかに太くその表情はこの世に対する感情は怒りしかないといった鬼の形相をしている。<br>
吉 (十中八九敵のサーバントという奴だろうな・・・・・・<br>
しかし奇妙なのは『こいつが攻撃してこない』ということだ。・・・・・・バカなのか? 敵の目の前でただ何もせず突っ立ってるだけだ<br>
攻撃してこないのが逆に奇妙だが・・・・・・大事を取って今ここで始末する・・・・・・か?)<br>
<br>
バーサーカーは吉良など気にせずただ空を見上げていた。まるで幼児が自分の頭の上でクルクル回るだけの玩具を見るかのように雲を───見ていた。<br>
吉 (とは言えこいつの行動には少し興味がある。殺すのは簡単だ・・・・・・少し観察してみるか)<br>
吉 「プシッ プシ!」<br>
バ 「■?」 <br>
吉 (う~~~む、呼ばれたと思って思わず振り向く所はまるで『単細胞』のようだ・・・・・・)<br>
<br>
スッと手をバーサーカーの前に差し出す吉良。吉良はまるでネコでも相手するように異形のものを観察している。<br>
………思えばこの時期の吉良は少しハイになってたのかもしれない。<br>
見知らぬ女性との不可思議な契約、ワケの判らぬ戦争、見たことの無い魔術によるサーバントの召喚、キャスターが物置から発見した怪しげな妖刀。<br>
ここ数年、幽霊となった父親との広い空間は数日の内に新たな珍客で埋まっていった。<br>
中立を、平穏を望む吉良にとって今回の闘争や来客は忌み嫌うものだ。この変化も初めは反吐がでるほど嫌だった。<br>
まるで自身の半分がヘドロに犯されていく感覚、領域を汚されるイメージ、奴らが話しかけてくる度に何度も爆破しようと思った。<br>
<br>
<br>
<a name="436"></a></dd>
<dt>436 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">2/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:07:01 ID:???<br></dt>
<dd> 差し出された吉良の手を嗅ぐバーサーカー。<br>
吉 「なにも持ってないのに差し出された手を嗅ぐあたりまで『バカ』そっくりだ・・・・・・」<br>
そこで! 不意打ちにタバコを嗅がせてみるッ!!」<br>
バ 「■─!?」<br>
吉 「タバコの臭いに悶える所も・・・・・・誰でもそうか・・・<br>
どれ、少しくらいなら爆破してみてもよさそうだ」<br>
<br>
しかし、奴等の爆破は────耐えた。 ここで奴等を始末して自ら危険を増やすこともあるまい。<br>
別に事が明るみに出てそこから承太郎に素性を知られるのが恐いのではない。(あんな奴らを消すのに証拠を残すほど愚鈍じゃあない)<br>
だが、キャスターの話によれば承太郎もこの戦争に参加しているらしいとの事だ。<br>
・・・・・・別に聖杯が欲しいわけではなく(本当に願いが叶うなら、ちょっとだけ興味があるが)、問題は『承太郎もサーバントを持っている』点だ。<br>
本気で闘えば承太郎をキラークイーンで爆破できる自信はある。しかし、念には念を言う奴だ。<br>
もし承太郎に最強クラスのセイバーを引き入れたとし、達人レベルの二人に襲われたら負けるとまではいかなくてもかなりの負傷は覚悟しなければならない。<br>
それにキャスターはあれで中々使える。家事全般はダメダメだが、戦闘補助と言う点からみれば優秀な魔術師だ。<br>
吉 (なに、聖杯戦争が終わるまでほんのちょっとの辛抱だ・・・戦争が終われば予定通り消せばいい。<br>
他のマスターとやらが承太郎を殺ってくれれば御の字というものか・・・・・)<br>
初め吉良は、その程度に考えていた。<br>
<br>
<br>
<a name="437"></a></dd>
<dt>437 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">3/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:07:35 ID:???<br></dt>
<dd>吉 「鼻頭を爆弾に変えて────点火!」<br>
バ 「■■■ーーー!!」<br>
吉 「ふ~~む、怒ってはいるが攻撃してこない。どうやら敵意はないようだな・・・・・・<br>
敵意だけでなく、知性もないのか・・・・・・?<br>
お? 今爆破したはずの鼻がもう回復してるぞ、かなりの再生力だな・・・・・・」<br>
<br>
だが最近の吉良は───、『こうゆうのも悪くないな』と、思ってしまった。<br>
一度思ってしまうと、あとはグレイシーがマウントを返すより早く慣れてしまった。<br>
キャスターに家事を教えるのも、小次郎とアヌビスに現代の文化を教えるのも、右手の令呪も、<br>
会社から帰ってきたときに「おかえり」を言われることも、当たり前になると、心地良かった。人の温かさを─────知ってしまった。<br>
もし吉良のドス黒い感情にちょっとずつ白が混ざっていくとしたら、黒が白になるには長い時が必要だろう。<br>
未だに殺人衝動は消えてない、綺麗な手をみると独り占めしたくなる、夜の街を徘徊して白い物を黒く・血の色に染めたいと思うこともある。<br>
しかし少しずつではあるが確実に吉良の精神は灰色に向かっているように見えた。が、それを自覚するには吉良は黒くなりすぎていた。<br>
<br>
キ 「吉良様・・・・・・それは昨晩の・・・?」<br>
いつの間にか背後にキャスターが立っていた。吉良がバーサーカーと遊んでるうちに洗濯物を干し終えたのだろう、吉良との時間を共有するため庭に出てきたようだ。<br>
「キャスター・・・・・・君か・・・昨晩なにかあったのか?」吉良がそう発声する前に事態は加速する。<br>
<br>
<br>
<a name="438"></a></dd>
<dt>438 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">4/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:08:08 ID:???<br></dt>
<dd>バ 「■■■─────ッッ!!!!」<br>
鬼の咆哮と同時にバーサーカーが地面を蹴り飛ばす。地面がもの凄い破片飛沫の広がりと爆発さながらのスピードでキャスターを狙うッ!!<br>
キャス子が近接型並のスペックを有してたら何の問題もなかっただろう。<br>
だが、キャスターのクラスが示すようにキャス子には反応できない、視界に写っても思考が圧倒的に間に合わない。<br>
吉 「ッ!!」(バカな!! 彼女を見たとたん攻撃的になったぞ!! どうする、彼女にあの破片をかわす能力はない!<br>
地面に伏せるか! それとも飛んで避けるか! 違う! 落ち着けッ! 私が避けてどうする!!)<br>
吉 『キラークイーン』ッ!<br>
とっさにスタンドを出してキャスターを守とする吉良。だが、一手遅かった。急所に飛んでいった飛沫は防いだものの全弾を防ぎきるには至らない。<br>
吉 「キャス子ッ!」<br>
バ 「wooォォ■■ーーーー!!!」 間をおかず化け物が跳ぶ。当然だ、昨晩自分を『一度』殺した相手が視界に映ったのだ。<br>
理性はなくとも記憶はある。狂喜のままに相手を蹂躙する、それだけだ。<br>
一瞬躊躇したものの吉良はキャスターを助けに割って入る (何故だ? 何故私があの女を助けなければならない? 違うッ、問題はそこじゃない!)<br>
ここに至り初めてバーサーカーが吉良を敵と認識した。 (今私は彼女が攻撃された時 不安にならなかったか?)<br>
邪魔するものは破壊する、働く知能はそれくらいだろう。 (いや違うね! 単に戦力が落ちることを心配しただけだ!)<br>
吉良にめがけて音速の拳塊を突き出す──── (心配? 私は今彼女のことを心配したのか? ────ハッ!!)<br>
人一人を軽く切断するバーサーカーの攻撃はキラークイーンの防御を無視して吉良吉影をはるか後方に吹っ飛ばす。<br>
<br>
<br>
<a name="439"></a></dd>
<dt>439 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">5/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:08:41 ID:???<br></dt>
<dd>吉 「グッ───!」<br>
邪魔者を吹き飛ばしたバーサーカーは当初の目的であるキャスターを求める。不意の一撃を受けたキャスターは昏倒しているようだった。<br>
バ 「■■■!!」<br>
キャスターを殺すにあたりバーサーカーは何も特別な事をする必要はない。ただその頭を撫でてさえやればいい、それだけでヒ弱な魔術師は絶命する。<br>
簡単なことだ────否、簡単なことだったはずだ。 バーサーカーがキャスターに距離を詰めてその手を振り下ろす、<br>
その一連の動作をする間にバーサーカーの存在は庭から消えていた。<br>
吉 「殴られたとき・・・貴様の腕を爆弾に変えた・・・・・・全てが消えればすさまじい再生力も関係ないだろう・・・・・・<br>
もっとも、私の言葉はもう届かないがね・・・・・・キャス子・・・、キャスター 起きろ 意識はあるか?」<br>
キ 「吉良・・・様? かの者は昨晩のサーバント・・・ですか?」<br>
吉 「昨晩、私が寝たあと何かあったのか・・・?」<br>
<br>
───意識が戻ったことを確認した吉良は庭の隅でキャスターの介抱を試みた。<br>
不幸中の幸いか大事には至っていない、この分なら数時間もしればサーバントであるキャスターは<br>
回復するだろう。ただ、自分のスタンド能力がクレイジーDのように『治す』ことができない事を考えてしまう。痛々しいキャスターを見るのは、■い。<br>
思わず口を歪めてしまう吉良がいた。<br>
キ 「昨晩・・・、一体のサーバントがこの家を・・・強襲してきました・・・。それで、私と小次郎と・・・お義理父さまで、吉良様の邪魔にならぬよう・・・排除いたしました」 <br>
吉 「・・・そうか。・・・私に一言あってもよかったのではないか?」<br>
キ 「・・・ッ! すみません! しかし私とお義理父さまの二重結界に加え 小次郎とアヌビスの剣技なら吉良様のお手を煩わすまでもないと思って・・・!」<br>
吉 「終わったことはいい、その時は怪我は無かったのか?」<br>
キ 「はい、ただ・・・・・・あのサーバントには不死性が備わってるようで・・・・・・」<br>
吉 「ッ!!」<br>
吉良が後ろを振り返ると、異様な光景が目にはいってきた。異様というよりは『奇怪』と表現しようか、<br>
そこには完全に爆破したはずの化け物の足首が『空間から生えてきた』</dd>
<dt>441 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">6/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:09:34 ID:???<br></dt>
<dd><br>
キ 「ああ、安心してください。どうやら一度死んでしまえば完全に回復するまで2~3時間は掛かるようです。<br>
マスターが近くにいればもう少し早いのでしょうけど・・・・・・維持に莫大な量の魔力が必要なバーサーカーを、あれだけ動かせるとは・・・<br>
今回のマスターはかなりの魔力の持ち主みたいですね」 <br>
キャスターの容態が落ち着いく。ゼロから回復できるバーサーカーと比べればひ弱だが、それでもサーバントを誇るだけの回復力はある。<br>
吉 「不死性ね・・・それをどうやって倒したんだ?」<br>
キ 「ええ、マスターを叩ければよかったのですが・・・、近くに見当たらなかったので取り合えず・・・お義理父さんのアトムザファーザーで<br>
庭に固定してたのですが・・・ なぜか外にでて来てしまったようです」<br>
吉 「アトムから出てきただと?」<br>
嫌な予感が、────する。我が父ながらあの能力には戦慄を覚えたものだ。父が自ら開放しない限り外とは隔絶されたままのはずだが・・・<br>
吉 (あの写真の結界からでただと? 出れる方法は二種類しかない・・・・・・もしや・・・)<br>
<br>
億康「たくよ~~、手間ぁ掛けさせやがるぜ あのダボが!」<br>
その台詞により吉良はの予感は確信に変わる。自らの父の死を(幽霊が死ぬとは変な話だが)<br>
そして吉良とキャスターは あのクリーチャーのマスターが家の門から入ってきたのだ、と瞬時に理解した。<br>
また同時に知る事となる、一見頭の悪い不良にしか見えないその学生服の青年の恐ろしさを。<br>
億 「ぁあ? やっと見つけたってのに まーた死んでるのかよ このダボが! 勝手にいなくなったリ死んだりしやがって!」<br>
自分のサーバント(の足首)に悪態をつきながら、その空間に手をかざす青年に対して────<br>
先手必勝、有無を言わさず呪文詠唱に入るキャスター、そして落ちている小石を爆弾に変え マスターである青年に投げつける吉良。<br>
だが、その二人の行動も無駄に終わる。<br>
<br>
<br>
<a name="442"></a></dd>
<dt>442 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">7/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:10:11 ID:???<br></dt>
<dd>
吉&キ 「ッ! なんて再生力!」「ありえない・・・」<br>
一瞬。まるで安いマジックかの如くそこには完全に復活したバーサーカーが立っていた。<br>
キャスターの高速魔術をものともせず、吉良の爆弾を左手の負傷だけですます巨人。そして瞬きをする次の瞬間には傷が癒えていた。<br>
キ 「そんなっ! 明らかにサーバントの限界を超えている・・・!」<br>
億 「ぁ~~ん? お前ぇ『魔術師』ってやつか? この化け物───あ~、こいつのこと知ってるのか?<br>
なんなら死ぬ前にこいつがなんなのか教えてくれねぇか? 俺よ~『どうせお前は聞いても理解できない』って兄貴に言われてよ~、兄貴に教えてもらえなかったんだよ」<br>
キ 「・・・? あなたが呼び出したのではないのですか?」<br>
吉 「そんなことはどうでもいい・・・・・・お前が『私達』を攻撃するというなら・・・全力で始末するまでだ・・・」<br>
(キャスター、私に強化魔術を掛けるのに何秒あれば掛けれる・・・? それと宝具の準備は・・・?)<br>
キ (はい・・・1分、いえ30秒もあれば・・・・・・ 宝具は既に、)<br>
億 「オラァ! なにコソコソスットロイことやってんだよ!」<br>
バ 「■■■■ーーーー!!」<br>
マスターの怒声に呼応するようにバーサーカーが突進する、その威圧感は気の弱いものなら見ただけで恐怖で失神するかもしれない。<br>
吉 『キラークイーン』!<br>
億 「!? 『スタンド』ッ!」<br>
吉良がスタンドで応戦するもの、マスターが近距離にいるためかバーサーカーの能力が飛躍的にアップしている。<br>
相手を爆弾に変えたいが、接近戦は吉良の得意とするところではない。<br>
キラークイーンではバーサーカーの猛撃を捌ききれず、一撃毎に吉良の体から血が吹き出る。<br>
キ (早くっ! もっと早く詠唱を!) 目の前で愛するものが傷つけられるのを見せられても キャスターは詠唱を止めなかった。<br>
サイレンサー付きの銃で撃ったような乾いた音が辺りに響く。<br>
同時にバーサーカーが本日二度目の消滅を体験した、キャスターの詠唱が終わったのだ。<br>
<br>
<br>
<a name="443"></a></dd>
<dt>443 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">8/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:10:47 ID:???<br></dt>
<dd>
億 「おめぇ、スタンド使いか・・・それも触れたものを爆発させるとはよ~、なかなか強ぇじゃねぇか」 <br>
バーサーカーを瞬時に治す億康を横目に、吉良はキャスターから受け取ったルールブレイカーを 手になじませるようにクルクルを回している。<br>
吉 「・・・・・・今のが見えたということは貴様もスタンド使いか・・・、まあいい、どうせ今から死ぬんだ。・・・貴様には関係ない事だ。<br>
キャスター、下がっていてくれ。少し派手にいく」<br>
左手からシアーハートアタックを繰り出す吉良。シアハで本体を、ルブカでサーバントを狙うつもりだ。<br>
どちらかが決まれば自ずと決着は付く、マスターを失ったサーバントは消える運命を辿り サーバントを失えばマスターは死ぬだけだ。<br>
────シアーを、放つ。<br>
シアーハートに『弱点はない』、その思い込みが吉良の敗因の一つだろう。<br>
そしてもう一つはルールブレイカーが まさしく『理を無視する』例外である能力と知っていながら、『他の例外が存在する』ことを推測できなかったことか。<br>
億 「ハン! そんなチョロQだしてなんのつもりだ? 俺は不良だぜ? 子供のオモチャなんかで遊んでられっかよ!!」 <br>
不良青年が両手を鳴らしながら自身のスタンドを出現させる。<br>
吉 「・・・・・・・言っていろ」<br>
キャスターの魔術で強化された吉良に能力面での死角はない。(実際には肉体能力ではなく精神能力をあげているのだがそれは枝葉末節というものだ) <br>
英雄ヘラクレスが相手だろうが関係ない、赤子の手を捻るように それこそ簡単にルブカをバーサーカーの胸元に突き立てる。<br>
不良青年のスタンドは知らないが、最強のスタープラチナですら壊せないシアハは マスターの青年をこれ以上ないくらまでに完璧に殺すはずだし、<br>
ルブカなら不死特性を無視してマスターとの契約を断ち切りこちらの支配下に置けるはずだ。<br>
二つとも完璧に決まる───はずだった。<br>
キ 「ーーーーーーっ」 薄れゆく視界の中、 キャスターの声にならない悲鳴を見た気がした。<br>
<br>
<br>
<a name="444"></a></dd>
<dt>444 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">9/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:12:22 ID:???<br></dt>
<dd>
不良青年のスタンドの右手が弧を描く。 それだけで吉良の左手は跡形も無く消えていた。<br>
バーサーカーが右手を突き出す。 それだけで吉良の吉良の下半身と上半身は離れ離れになっていた。<br>
吉 「・・・・・・・?」 ワケが─────ワカラナイ、ワカラナイワカワナイワカナライワカラナイ───ッ!!<br>
億 「よっと、 オレのハンドに削れないものはねぇよ」 吉良様が吉良様が吉良様がキラサマガキラサマガキラガKILL
A KILLa kiLLA───っ!!<br>
<br>
シアハは削られた。それはいい、未知のスタンドに無敵のはずの『左手』が負けたのだろう。単純なことだ、シアハは無敵じゃなかった。<br>
しかし、ルブカはどういうことだ? キャス子の話によれば一撃で相手の契約を断ち切り、即座にサーバントを支配下に置けるということだ。<br>
ふと吉良が青年を観察する。・・・・・・・シアハを削り取った不良青年の右手には、確かに令呪がある。<br>
吉 「貴様・・・? マスターではないのか・・・?」<br>
億 「だからよ~ 『マスター』とか『魔術師』ってなんなんだよ、オレは兄貴がコイツに魔力? なんか知らんが送れって言ったから近くにいるだけだっての。<br>
なんかこいつ凶暴すぎて兄貴だけじゃあ扱えないから親父をショクバイ? バイタイ? なんか知らんが親父と一体化させたんだよ。<br>
それでよぉ、もっと詳しいこと聞く前に 兄貴がこいつに殺されちまった・・・・・・。自分の親父ながらそん時は殺意がチコッと沸いたっけな~。<br>
でもこの大会勝ち抜けば何でも願い叶うんだろ? そしたら兄貴を生き返らせてよ、親父も元にもどしてもらうつもりだぜ! <br>
もし願い沢山叶えてもらえるならあんた等も生き返らせてやっからよ! はっ、そうか願いを増やしてもらえばいいんじゃね? オレって天才!」<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
<a name="445"></a></dd>
<dt>445 名前: <span class="nanasi"><a class="mailto" href=
"mailto:sage%C3%A9%C2%95%C2%B7%C3%A3%C2%81%C2%99%C3%A3%C2%81%C2%8E%C3%A3%C2%81%C2%A3%C3%A3%C2%81%C2%A6%C3%A8%C2%A8%C2%80%C3%A3%C2%82%C2%8F%C3%A3%C2%82%C2%8C%C3%A3%C2%81%C2%9Forz">
9.5/12</a></span> 2006/03/26(日) 17:12:58 ID:???<br></dt>
<dd>
………要領を得ない話し方のため吉良とキャスターには殆んど伝わらない。<br>
なんとか理解できたことは、彼には兄がいてその兄がバーサーカーを召喚したのだろう。そのさい実の父親を人柱にして召喚のアシストにしたらしい。<br>
つまりあのサーバントの半分は『人間』だということだ。理性はない、知性もない、しかし『意識』はある。そうゆうことか?<br>
だがそれでもルブカが効かない説明がつかない。ルブカの神秘性ではかのサーバントに傷がつかなかったのか? ルブカ以上の神秘保護がバーサーカーに・・・?<br>
そもそも青年の潜在魔力が莫大だとしてもあの英霊は存在密度が強大すぎる。彼らの父親もなにかの能力者だったのだろうか・・・・・・?<br>
しかし、全ては今となってはどうでもいい事。<br>
いつのまにか降り始めた雨の中・・・・・・・決着は、────ついた。</dd>
<dt>447 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">10/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:13:30 ID:???<br></dt>
<dd> 決着がついたなら、することは一つ。<br>
キャスターは全魔力をその場から逃げ出すことに費やした。 <br>
大丈夫、私の飛行能力ならあの程度の奴らからは逃げ切れる。 愛するものを。 <br>
大丈夫、私の魔術なら例え首だけになったとしても彼を助けられる。 その上半身だけを。 <br>
大丈夫、私達の絆があればこれからも今までと同じ様に過ごせる。 その細い腕で抱え。 <br>
大丈夫、だからきっと、大丈夫。 <br>
<br>
き っ と 大 夫<br>
ガオンッ<br>
億 「ほれ」<br>
<br>
聖杯を手に入れることも、叶わず。 逃げることも、叶わず。 ただ愛する人と静かに暮したいという儚い思いも、叶わず。 <br>
世界から裏切られ、全てを失い。<br>
残ったのは、全てが偽りの、偽のサーバント。<br>
キ 「小次郎ーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」 <br>
<br>
<br>
<a name="448"></a></dd>
<dt>448 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">11/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:14:02 ID:???<br></dt>
<dd>
億 「ぁ? 小次郎? もしかして入り口でノタレ死んでた奴か?」<br>
<br>
メデイアには─────、なにも残っては居なかった。<br>
<br>
億 「なんか知らんがオレが着いた時には心臓ブチマケテ死んでいたぞ? 今の世の中物騒だな~、これじゃろくに外も歩けねーぜ」<br>
バーサーカーがキャスターを■■。キャスターの膝から下が、一瞬でミンチになる。雨は吉良の血を流していく。<br>
「雨・・・・・・?」 (私は失うのか・・・? キャスターを・・・?)<br>
億 「しかしよ~、バーサーカーお前勝手にいなくなるんじゃねぇよ」<br>
バーサーカーがキャスターを■■。キャスターの腰から下が、一瞬で飛び散っていく。雨はキャスターの血を流していく。<br>
「ごめんなさい・・・・・・吉良・・・様・・・・」 (バカな・・・・・・ここまで何の問題もなく守ってきたのだ・・・)<br>
億 「お前ある程度自分で魔力補給できるっても オレがいないと消えちまうんだぞ」<br>
バーサーカーがキャスターを■■。キャスターの胸から下が、バーサーカーに返り肉片をつける。雨は洗濯物を濡らしていく。<br>
「私・・・また・・・・・家事失敗してしまいました・・・・・・」 (失うものかッ!! 守りきってみせるッ!!)<br>
億 「雨も降ってきたことだし、さっさと殺して家にかえるかのぅ」<br>
バーサーカーがキャスターを■■。キャスターが、顔だけになる。 雨は、ただ降っている。<br>
「・・・愛して・・・・・・おります・・・吉影さ・・・・・・」 『キラークイーン』ッ!<br>
億 「う~む、よくみると美人だなこのサーバント・・・おれもこいつが出て欲しかった・・・」<br>
『億康が』キャスターの『顔を持ち上げる』<br>
<br>
カチリと音が────<br>
<br>
<br>
<br>
<a name="449"></a></dd>
<dt>449 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">12/12</span></span> 2006/03/26(日) 17:14:52 ID:???<br></dt>
<dd>
吉 「ふはははははは!! どうだ!! キャス子を『汚して』いいのは『私』だけだ!!<br>
見たかッ! 私は守りきって見せたぞッ!! 『私のプライド』を!!」<br>
億康は、爆弾と化したキャスターの頭により粉微塵になることすら許されず、欠片も残さず消え去った。<br>
バーサーカーが消えていく。その速さは強大な存在密度に比例するかの如く数秒も掛からない。<br>
<br>
吉良は知ってしまった、人の温かさを、人を愛するということを。<br>
スタンド能力を身につける前は幼い少年少女ばかりを狙ってきた。無垢で純粋なものを、白いものを汚すのはとても気持ちがよかった。<br>
肉体ではなく、精神が射精する感覚を味じわえる。<br>
最近、自分を慕ってくれる者を、なんの見返りもなく愛してくれる者を、汚してみたくなった。<br>
自分と関係ない白いものを汚すだけであの感覚だ。自分を愛する純白を汚すのは、きっと最高にエクスタシーに違いない。<br>
だが、まだだ。もうちょいその想いを募らせる。だんだん純白の濃度が濃くなっていくのがわかる。 <br>
もっと もっと純白に───透明になるまで待つんだ。最高に白く、みえないくらいの白になるまで。<br>
ふふ・・・キャス子のことだ、いつかは私のために死ねるとか言うかもしれないな・・・・・・<br>
そう遠くないうちに、この手でそれを壊せるのなら、人付き合いの少しくらい 我慢してやるさ・・・・・・。<br>
待ち遠しい・・・最近は・・・・・・白が・・・透明になる・・・・・・いつか・・・・・・・この手で・・・・<br>
<br>
結局、ドスグロイ殺人鬼は、己が色を最高純度に保ったまま、最高の絶頂を迎えて、死んでいった。<br>
<br>
<br>
<a name="450"></a></dd>
<dt>450 名前: <span class="nanasi"><span class="sage" title=
"sage">エピローグ</span></span> 2006/03/26(日) 17:15:58 ID:???<br></dt>
<dd>真アサ 「これで二組片付いたな・・・」<br>
リゾット 「トドメをさす必要があると思ったが・・・・・・ここまで上手く相打ちになるとはな・・・」<br>
真アサ 「・・・・・・なあ? 結局俺たちって能力使ってないんじゃないか?」<br>
リゾット 「門にいた侍をやっつけただろう。それに写真の親父を破る時もちゃんと使っただろう?」<br>
真アサ 「・・・・・・・まあ、いいさ。暗殺者たるもの表にでるのは最後だけでいいからな・・・」<br>
リゾット 「そうだぞ・・・めずらしく出番があったんだ。少しは喜べ・・・」<br>
真アサ 「最初で最後かもな・・・」<br>
リゾット 「・・・・・・・・」<br>
<br>
初めからおかしい事はいくつかあった。<br>
・何故理性がないバーサーカーが吉良家を襲ったか <br>
・誰が吉良の親父を殺ったのか<br>
・何故億康が吉良家に来たか<br>
・何故小次郎が死んでいたのか<br>
<br>
全ては、この二人組みの仕業ということで勘弁して下さい。<br>
</dd>
</dl>
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: