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術伝流一本鍼no.65 (術伝流・体得篇(5))

手指への灸:顔面部の炎症、カゼの初期

1.はじめに

 先回まで、手足に出ているツボに刺鍼して、肩腰などの症状
を改善する「手足に引く」刺鍼法での自己養生を紹介しました。

 今回は、手の指に出るツボへの灸を使って、顔面の炎症症状
やカゼの初期などの自己養生を紹介します。顔面部の炎症とは、
モノモライ、ニキビ、小鼻の腫れ、口唇ヘルペス、口角炎など
です。

 これも、とても効果的で、効果を味わうことで、灸の実技能
力を高めるのにも役立ちます。

2.用具

 手指のツボは細かいので、達人ならともかく、凡人では指で
特定するのは難しいです。鍼柄くらいの太さのものを使って特
定します。

 手指のツボを探すために、竹串やステンレスバネ線などを加
工して作成していました。が、手芸用品のスタイラス、ネイル
アート用具なども使えることがわかりました(写真1)。

写真1

 写真の真ん中が、ステンレスバネ線を加工したもの。その右側
で木の軸のものが、スタイラス。左側でプラ軸のものが、ネイル
アート用具。

 使いやすいものを使えば良いと思います。

 あと、硬くて細い糸状灸を手早く作れない人には、手指用糸
モグサが便利です。また、灸点墨があれば、モグサが立ちやす
いです。どちらも、鍼灸用品店で手に入ります。

3.炎症の位置と出やすい指

 炎症の位置から、どの指に出やすいかが見当が付きます。手
足の甲のツボと体幹部の関係と同じです。左右と前横後が基本
です。

 炎症の位置の左右で、左右どちらの指に出やすいか決まりま
す。

 鼻や目頭など顔の中央に近ければ、拇指に出やすいです。目
の中央の辺りなら示指、目尻の辺りなら中指、耳の辺りなら薬
指、耳より後ろなら小指です。

4.指のツボの取り方

 3.の関係から予測した指のツボを探します。モノモライやニ
キビなど顔面部の炎症では、骨空に出ていることが多いです。
(骨空:近位指関節の甲側中央の窪み)
風邪の初期には、井穴に出ていることが多いです。

 スタイラスなどの道具を使って、予測した場所あたりで、一番
凹んだ所を特定します(写真2)。強めに押してみて、痛かった
ら候補です。

写真2

 付け加えると、凹んだ痕が大きめで、凹みが黒ずんで見え、凹
みがなかなか消えにくいところも、効果が出やすい所の特徴です。
比較すると、効果が出にくい所は、凹んだ痕が小さめで、色も赤
いことが多く、凹みが直ぐに浅くなります。

5.モグサの立て点火

 硬くて細い糸状灸でするときは、先ず、ツボに灸点墨を塗り、
それから糸状灸を立てます。

 手指用糸モグサのときは、糸モグサの先を、灸点墨に沈める
(写真3)と、灸点墨が付きます。それを凹んだ状態のツボに
押し付けるようにすると立ちやすいです(写真4)。

写真3
写真4

 糸モグサが立ったら、線香の火を近付け点火します。線香の
火の付いた部分の根元の方を近づけると、糸モグサに触れなく
ても点火できることが多いです(写真5,6)。

写真5
写真6

 火の付いた部分の先端の方は、灰が溜まりやすく、火は点か
ずに、モグサを持ちあげてしまうことがあるので、利用しない
方がよいです。

 熱いと感じ、手を思わず動かしてしまう位が適度です。たい
ていは、1回目で熱く感じます。熱く感じなかったら、もう1
荘します。

 熱さを感じた途端に症状は軽減します。モノモライなど、そ
の瞬間に辛さを感じなくなります。工作で失敗し白目を傷つけ
赤くなり出た痛みも、1回の灸で痛みが消えビックリした経験
もあります。

6.ニキビは、肩関節のツボも併用

 ニキビの場合には、その時は、腫れた感じが無くなり、翌朝
に効果が出ていることが多いです。額や頬など大きなニキビが
多量に出ていた人も、1回で1/10になり、びっくりされてい
ました。

 ただし、ニキビの場合は、肩のツボも併用したほうが効果が
高いです。肩隅が良いそうですが、額などのニキビでは、肩隅
よりも前側の肩関節の凹み(写真7)の方にツボが出ているこ
とが多く、効果も出やすかったです。

写真7

 ニキビの範囲が広ければ、それに応じて、2本の指を選び、
1本目の指のツボ、肩関節のツボ、2本目の指のツボの順で施
灸します。

7.カゼの初期には、左右の拇指小指の井穴

 カゼの初期には、左右の拇指小指の井穴が効果的です(写真
8、9)。スタイラスなどで押してみて痛さなど反応を感じた
所に施灸します。よく分からなければ、8か所の全部に施灸し
ても良いです。(左右2×拇指小指2×井穴2=8)

 灸は陽明で終えると治まりが良いので、拇指の示指側の井穴
を最後になるようにすると良いでしょう。

写真8

写真9

 また、施灸の後で、粒鍼を貼っておくと(写真10)、一晩で
カゼが抜けてしまうことが多いです。

写真10

 粒鍼の絆創膏が剥がれやすい(写真11)ようなら、紙絆創膏
を一周ほど巻いておくと良いです。

写真11

8.おわりに

 今回取り上げたような症状を自分で施灸して改善する経験を
増やしていきましょう。内科系の症状を鍼灸で改善するコツが
掴めるようになっていきます。

 また、以下の「表位陽明経の急性期」も参考にしてください。
 術伝流一本鍼no.21 表位の急性期2.陽明経


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最終更新:2017年01月27日 23:43