それまで 通じ合っていた 天界 地上 冥界 の三つの界は
奇しくも愚かな14人の天界人たちの所以で やりとりが断たれてしまった
このことより一番に困ったのは
冥界の王であり 魂の循環を行なっていた ジェイドであった
彼が曰くには
「地上と冥界のやりとりが壊れてしまっては
魂の循環が行なわれなくなる」と
つまり 地上の者が所謂「死」を迎えても
魂は冥界に行くことなく いつまでも地上を彷徨う羽目になってしまい
いつまで経っても 冥界は肥やされることはないし 水晶石によって
新しい命が育まれることはなくなる というのだ
… … …
ジェイドは考えに考えを練ったが その方法は思いつかず
ただ時は過ぎ去ってゆくのみだった
しかし ある日のこと ジェイドは 一つ大事な存在を忘れていたことに気付いた
人間モルスの策略に愚かしくも自身も参加してしまった 「プシュケの死」であった
魂だけの存在になり 何度も世界が究極魔法により再編されようとも
未練がましく地上を彷徨う かつて最も徳の高い人間だった彼女の魂を
ジェイドは求めた アモルス教などではなく クリスタル伝説を復活させるために
しかし 時はすでに遅し 地上と冥界のやりとりは断たれたままだ
「一体どうすべきか?」
三日三晩ジェイドは考えた
… … …
ジェイドは死人であるノアに相談を持ちかけたところ ノアはこう言ったという
「魂の循環を行なわせているクリスタルに 精神を宿らせてはどうか?」と そして
「そうすれば必ず 行き場を失っているプシュケの魂は それを拠り所にしようと
必ず此処に来るはずだ」とも
ジェイドはそのノアの言葉に賛同し
「おお さすがはかつての出自を同じくする者同士 やはり類は友を呼ぶようだ」と言い
早速大水晶石の一部を削り取り 更にその一部を四つの欠片にし 水晶石に精神を与えた
… … …
この一連のやりとりを見た 地上に於いて初めて魔導を使いこなしたと言われる
最初の魔導師ミンウはこう記している
「私は見た ジェイド様が冥界の奥より持ってこられた伝説の水晶石の欠片にノア様が
土陽士の力であるガイア四元論を以ってして 水晶石に精神を宿すのを 四つの欠片に
四つの精神を・・・ いや 心と言っても良いのかもしれない 心を宿された水晶石は
我々死人たちに こう話しかけ そして地上へ舞い上がったのだ:
『【希望】は大地に恵みを与え・・・
【勇気】は炎を灯らせ・・・
【いたわり】は水を命の源とし・・・
【探求】は風に叡智を乗せる・・・』
その後 クリスタル伝説が地上を席巻したのか
あるいはまた愚かな人間がクリスタルの力に甘んじて
災いを起こしたのかは我々の知る余地ではない
ただ これだけは 事実である:
プシュケは結局 冥界に来なかったのだ・・・」と.
地上ではクリスタル伝説はどうなったのか?
そしてプシュケの魂はどうなったのか?
それは これから始まる ジェラール教典に全て書かれていること・・・