バクー
「さあさあ皆さん,お待たせ致しました!
本日はFFIX発売10周年を祝して記念の特別上演会を開きたくと存じます!
それでは,会場にらっしゃる皆様も・・・
ロイヤルシートにおられますガーネット女王様も・・・
今宵,ごゆるりとご鑑賞下さいませ!


第一幕【憂いの王女】



―コーネリアの街はずれ,森にて

「王女様,旅の支度が只今整いました.今宵,あの夜空に煌く星々も,
我々の旅路を見守ってくれることでしょう」

セーラ
「待って,やはり,私達には駆け落ちをするのは無理なのです・・・.
私はお父様が使わした沢山の男性の求婚を全て断りました・・・」

「その話は以前お聴き致しました・・・が,私めは貴女を窮地から
救ったナイトで御座います.貴女の同伴者になるには申し分ないかと」

セーラ
「ですから,あの男性方と同じ様に・・・貴方のその自慢に似た・・・
ごめんなさい,上手く言えないわ,そういう態度が嫌なのです.それに・・・」

「それに・・・なんです?」

セーラ
「私の大切なリュートを奪ったでしょう?」

「そ,それは・・・」

セーラ
「小さな頃からずっと大事に持っていたものなのに・・・
そしてこれからも,数多の物語を紡ぐ大切なリュートなのに・・・」

「王女様,何を言って・・・.・・・?!追っ手が来ました!早く逃げましょう!」

(男,セーラの大切なリュートを踏み潰してしまう)

セーラ
「!!! なんてことを・・・」

「行きましょう!早く!」

セーラ
「いや!やめてガーランド!貴方はいつも自分の都合でこうやって
私の腕を引っ張って・・・,貴方なんか大嫌い! ・・・・・・うっ」

ガーランド
「お前にはしばらく眠っててもらおう・・・.
さて・・・どうするか・・・.とにかくあの建物に篭城するしかあるまい・・・」


第二幕【誓いの剣】



―ディストの城にて

大臣
「一同,控えよ!ハーン国王がお見えなられる!」

フィリップ
「おい,知っているか,リチャード?あの噂のナイト・・・
パンデモニウムという城に篭城したらしいぜ」

リチャード
「ああ,ガーランドだろう?なにやらセーラという娘を手篭めにし,
とんでもない計画を立てているとか・・・」

大臣
「そこの二人!私語を慎まんか!国王が在らせられるのだぞ!」

国王ハーン
「まぁ落ち着け,ギガメス・・・.ところでフィリップ,リチャードよ,そなた達の話は真か?」

フィリップ
「はい,国王陛下.我々の住む此処ディストより遥か北方にある
エスト・ガザの者に訊いた話であります」

リチャード
「私はコーネリアへ赴き,情報収集をして参りました」

国王ハーン
「エスト・ガザ・・・『宝がある』・・・か.よし,フィリップ,リチャード両名とそれから・・・
カインよ,エスト・ガザへ更に詳しい情報収集に行って参れ」

フィリップ&リチャード&カイン
「はっ!」


―海洋帆船ブルーナルシスにて

フィリップ
「カイン,これがお前の初陣だ,父としても竜騎士団長としても,私はお前の身を案じている」

カイン
「はい,父上」

(海面から触手が勢いよく現われる)

リチャード
「?! フィリップ,敵襲だ!」

フィリップ
「なんだあの触手は?もしや,最強の海の魔物クラーケンか?!」

カイン
「父上,危ない!」

(瞬時のところで,カインの『かばう』が父を救う)

フィリップ
「カイン!お前と言うヤツは・・・いくら『HP20%アップ』を装備しているからといって・・・.
リチャード!ヤツの得意技,スミだ,気を付け・・・」

リチャード
「大丈夫だ!『暗闇回避の術』をつけているからな.
それに『カウンター』と『目には目を』で・・・どうだッ!」

(リチャードの強烈な一撃がクラーケンをよろめかせる.
その後もカインの『ハイジャンプ』,リチャード&フィリップの
『デビルキラー』でクラーケンの生命力を削っていったが・・・)

クラーケン
「フォフォフォ・・・水のカオス,クラーケンをここまで追い詰めるとは大した奴らよ!
だが・・・この奔流には耐え切れるか!」

(奔流が帆船を打ち砕き,3人は瞬時に瀕死状態になる)

フィリップ
「フッ・・・この時を待っていたぞ・・・今だ,皆,『突撃』だ!」

クラーケン
「それは俺の台詞だ・・・食らえ」

(フィリップ,『ブレイズ』をかけられクラーケンの通常攻撃によりあっけなく即死してしまう)

カイン
「ち・・・父上ー!!!」

リチャード
「バカヤロウ!フィリップのヤツめ・・・.『熱せず冷ませず』を何故装備しておかなかったのだ・・・」

クラーケン
「ファファファ!ガーランド様の秘密を知ろうとする者はこうなるのだ!次はお前だ,リチャード・・・」

カイン
「許せない・・・許せないぞ・・・僕の父さんをよくも・・・」

(カインの体から紫色の光が放たれる)

「トランス!」

リチャード
「お前,その格好・・・そうか,お前は『選ばれし者』だったな.更にお前のトランスの能力は・・・」

(ダメージ限界突破しながら連続ジャンプをするカイン,あっけなくクラーケンを倒す)


―エスト・ガザ近辺の浜辺にて

カイン
「父上,父上,父上ーッ!」

リチャード
「カインよ・・・.本当に死を迎えた者は,
我々にはどうする事も出来ぬ・・・だから最後に・・・
せめてフィリップを素直な気持ちで大声で叫んでやれ・・・」

カイン
「お父さーーーーーーーーーーん!!!」


(カインの叫び声が,エスト・ガザ浜辺の冷たい空気によって響き渡る.
一旦幕が閉じ,ややあって)


リチャード&カイン
「この土が貴方にとって軽くありますよう」

リチャード
「カイン,もうお前は一人立ちすべき時だ」

カイン
「分かっています.涙を勇気にかえて」

リチャード
「では・・・同じ戦友として,誓いの剣をかざそう」

(交差する剣がちょうど陽の光と重なりあい一時の煌きが辺りを照らす)


第三幕【魔法は心




―エスト・ガザ,祭壇にて

「あの,そこのお方,輝く島ってご存知かしら?」

リサ
「な~に,アンタ?この男に興味あるわけ?正直ウルサイだけよ」

ガッツ
「おいリサ,そんなこと言わないでさ,もっと俺と・・・」

リサ
「きゃっ」

「・・・これも恋の一つなのかしら?」

司祭
「これこれ,そこの娘さん」

「はいはい?」

司祭
「今,輝く島と言っとったの?」

「そうよ,フィガロ王から特別指令で私ともう一人が視察に来ているわ」

司祭
「そうじゃったか.ならばここの奥にから行ける展望台に行きなされ」


―エスト・ガザ,展望台にて

「ティナ!どこにいるかと思ったらここに・・・」

ティナ
「ええ,セリス,ここから輝く島が見えたから」

セリス
「あそこから・・・行けるのね」

ティナ
「ええ,パンデモニウムのある,テラという場所へ・・・」

セリス
「ところでティナ」

ティナ
「なに?」

セリス
「さっきからふかふかしている,そのモーグリは一体・・・?」

ティナ
「あっ,彼女はモリシアちゃんって言ってモーグリの中でも一番の美人なのよ!
ほら!こんなに肌が綺麗!」

セリス
「とにかく,あそこに行くためにはどうしたらいいのかしら?」

ティナ
「分からないわ.あそこに見える扉に入れば何か分かるかもしれない」


―グルグ火山にて

リチャード
「カイン!気をつけろ!ここには『フリーズ』『ヒート』の効果を持つ
攻撃を仕掛けてくるモンスターが沢山だ!『熱せず冷ませず』は必ず装備しておけ!」

カイン
「はい,リチャードさん!」

リチャード
「『いつでもヘイスト』で手早く戦闘を切り抜ける!それが戦法だ!後,物理タイプには
『忍者の教え』も忘れるな!」

「もう一つ言わせてもらうと,攻撃魔法タイプには『いつでもリフレク』と『リフレク倍返し』と」,

「回復魔法タイプと召喚を使える人には『精神統一』と『リフレク貫通』と『おうえん』も必須ね」

リチャード
「君たちは・・・そうか,セリスとティナ,だな?剣と魔法を同時に使える戦士として聞いている,
助太刀頼むぞ!」

セリス&ティナ
「百も承知!」


―グルグ火山,抽出場にて

ティナ
「あれってエーコちゃん?」

セリス
「もうすぐ始まるのね,『テラホーミング』というのが・・・」

カイン
「テラホーミング?!どこかで聞いた様な・・・」

リチャード
「静かにしろ.遠い星へ移住するという,テラの民が仕組んでいる事のようだ」

ティナ
「マディーン・・・お父さんを思い出すわ・・・」

(エーコの周りにいる人物たちとエーコ自身も舞台からいなくなる)

セリス
「皆が去った!急いで後を追いましょう!」


「カンタンに通れると思ったら大間違いでおじゃる」

「カンタンに通れると思ったら大間違いでごじゃる」

一同
「?!」

(醜い魔物の成れの果てになったメルティジェミニが渾身の力で,
四人に,猛毒パウダーをかける)

「危ない!」

(突如現われた金髪で隻眼の女戦士は,
『ショック』で一瞬でメルティジェミニを討った・・・のだが,それは決定的なミスだった.
四人の内,三人,カイン,ティナ,セリスは毒系攻撃を完全に防ぐ『毒味の術』を装備していたが,
攻撃力特化のアビリティばかりを装備していて『魔石力』を大幅に消費していたリチャードは・・・
状態異常を防ぐアビリティは『熱せず冷ませず』しか付けていなかったのだ)

カイン
「リチャードさん!」

セリス
「しまった・・・魔力がもうない!大体アンデットが多すぎなのよ!」

ティナ
「セリス,落ち着いて・・・毒消しや万能薬,エーテルも無いわね,お手上げだわ」

「私のエスナできっと解除できるはずです」

辺りが流星の如く,煌いた.

セリス
「きれい・・・」

ティナ
「これが『聖白魔法』というものなのね・・・.人を傷つけるだけの魔法ではなくて,
体を癒す魔法・・・.貴女は?」

カイン
「かっこいい・・・」

「いえ,私はベアトリクス.こんな姿をしていますが,アレクサンドリアの一介の戦士に過ぎません.
それに・・・『泣く子も黙る冷血女』『百人斬りのベアトリクス』の異名
を持った血塗られた過去があるのです」

セリス
「似ている,私に・・・」

ベアトリクス
「そしてこのベアトリクスという名の本当の意味・・・それは『女戦士』,そのままでしょう?」

ティナ
「いいえ,そうでも貴女だけが使えるその魔法は,人の体だけではなく心も癒せると思うわ」

ベアトリクス
「何故そうおも―」

リチャード
「うっ ぐふっ」

カイン
「?!」

リチャード
「ベアトリクスよ・・・私の体は癒せなかったようだが,私はその事を決して悔やみはしない.
ただ・・・ティナの言う通り,心の癒しにはなったようだ・・・ありがとう・・・」

ベアトリクス
「そうか・・・エスナでは猛毒は解除出来なかったんだ―」

リチャード
「悔やむな.そして皆よ,私と共に戦ったことを忘れないでいて欲しい.
それから,親友の息子カインを頼むぞ」

カイン
「リチャードォォォ!!!」


アリア【悲しみのファルガバード~魔法で夢の世界を】



バクー
「エスト・ガザ,グルグ火山にて実の父フィリップと父同然に想っていたリチャードを
亡くして悲しみに暮れるカインと,血塗られた過去を背負いながらも,ティナに
己のみが使える聖白魔法の存在に気付かされ,改めて使命を全うとするベアトリクス・・・.
剣と魔法,両者は果たして人々に何をもたらすのか―――?


(エスト・ガザ,「祭壇」にて,カインがFFIIIの「隠れ村ファルガバード」に合わせて歌う)


武器は血を流す物なのに どうして人は武器を持つ? ♪
誓いの剣を 立てた それなのに ♪
争いの種が 尽きぬ どうして? ♪
武器の誓いは所詮 血を流すだけのもの ♪
それなら僕はこの剣を 今こそ砕いて平和を ♪

(間奏,この間,カインが剣を砕こうと斧を持って来て,数回叩く)

ただ争いを避けたいだけなのに どうして剣を砕けぬままなのか ♪
砕く為の 斧が また武器 ♪
争い砕く そうか 分かった ♪
剣を取った人には 血塗られた道を歩むだけ ♪
剣を取った僕には 夢見た地には行けぬのか ♪


(間奏,この間,カインが跪き助けを請うポーズで手を伸ばしたまま幕が閉じる.)


(グルグ火山,「(ヒルダのいる)室内」にて,
ベアトリクスがFFIIIの「ドーガとウネの館」に合わせて歌う)


クロマで 傷つけ シロマで 癒して ♪
恐れを解き 勇気を出し 相手を見て 心開き 言葉を念じて唱えてみて見て下さい ♪
疲れ休め 気持ち汲み 相手を聴き 心結び  言葉を念じて唱えてみて見て下さい ♪
それが魔法 (魔法は心) ♪
まずは理解する事かしら? (そうすればきっと) 争いなんてきっと起こらないはず ♪

(間奏,この間,ベアトリクスが白魔法ジュエルで輝く原石を取り出し,
奈落から現われたカインに渡す)

素敵に 弾いて 綺麗に 描いて ♪
澄んだ心 古錆びたリュートで 私を聴き   素敵な旋律を奏でてみて見て下さい ♪
澄んだ心 赤茶けた絵筆で 私を描き     綺麗な絵画を描いてみて見て下さい ♪
それが魔法 (魔法は夢) ♪
素直になりなさい (私が魔法で) 夢見た地に私が誘ってあげる ♪


(カインとベアトリクス,手を繋いで黒魔道士の村へ)


第五幕【美しき星の息吹



―コスモキャニオンにて

「わしには見える,例の居城に棲み込んだガーランドとやらの企みが・・・」

「じっちゃん,何,その"企み"って?」

「良いかナナキ,この星々の中心にはライフストリームを司る『クリスタル』が存在する・・・
我々がいるこのガイアも,テラもそうじゃ」

ナナキ
「テラって,あのガーランドがいるパンデモニウムがある星のこと?」

「そうじゃ.どれ,わしの天文台で星命学を説くとするかの」


ナナキ
「じっちゃん,このホログラフィ,ウイユヴェールでジタンが見たのとおんなじだ」

「ホーホーホウ.よく気が付いたな.ホレ,見て分かるように,赤
い色をした玉が
青い玉に今にも溶け合わさる様じゃろう?これが正にガーランドの企み,『融合』なのじゃ」

ナナキ
「じっちゃん・・・オイラよく分からないよ」

「ナナキよ,今多くの戦士たちがガーランドの企みを阻止しようと

テラに行こうとしている・・・
お前は立派な戦士を目指している強き志を持つ者・・・.
お前も『選ばれた者』に違い無い,行くのだ,輝ける島へ」

ナナキ
「でも皆,どうやって行くのか分からないままでいるよ」

「心配するなナナキ・・・わしの本"星誕生の謎"を紐解けば自ずと

分かる.さぁ携えて,旅立って,仲間の元へ」

ナナキ
「分かったよ,じっちゃん!」

(ナナキが旅立った後"じっちゃん"は)

「予言者ルカーン様,私めの役割はこれで良かったでしょうか?」

ルカーン
「ブーゲンハーゲンよ,そなたの星読みの力,しかと見届けた.こ

れからは・・・」

ブーゲンハーゲン
「ええ,私は永遠の眠りに就きます」

(ルカーン,ブーゲンハーゲンの額に手をかざし)

ルカーン
「そなたの記憶,無駄にはせぬぞ」


―黒魔道士の村にて

カイン
「あれ?ここは,変わった格好の人が一杯・・・」

ベアトリクス
「ええ,ここは黒魔道士の村という場所.かつて,とある大陸全土に混乱をもたらした・・・」

(ベアトリクス,かなり小声で)

ベアトリクス
「クジャに『霧』を利用して作られた人々が住む村なのです」

(カインもかなり小声に)

カイン
「霧って何ですか?」

ベアトリクス
「北西のずっと先の方に樹が見えるでしょう?あれが『イーファの樹』と呼ばれる魔法樹」

(黒魔道士の村とイーファの樹の中間点付近,コンデヤ・パタの
エーコイベントの回想シーンが流れつつ)

ベアトリクス
「あのイーファの樹の根元から湧き出るものが霧であり,
そして霧は私たち人間の精神を乱すものなのです」

カイン
「だから混乱をもたらしたのですね・・・.とある大陸ってきっと"霧の大陸"・・・?」

ベアトリクス
「貴方は飲み込みが速いですね.そして実はあのイーファの樹を植えたのが・・・」

カイン
「まさか・・・ガーラン・・・」

黒魔道士24号
「あの・・・あなた方は,二人で一体何の話を・・・」

(回想終了)

ベアトリクス
「いいえ,何でもありません,それより宿屋をお借りしたいのですが」

黒魔道士24号
「あっ,それなら234号くんがやっている奥の建物がそれだよ」


―黒魔道士の村,宿屋にて

カイン
「そういえばティナとセリスはどこへ?」

ベアトリクス
「彼女達の事なら心配ありません.エスト・ガザ付近に止めてあったファルコン号という
飛空挺で,フィガロ城へ帰ったそうです」

カイン
「え?でも二人はテラを目指していたんじゃ―」

ベアトリクス
「それも大丈夫.なんでも一人,強力な仲間を私たちの元へ送ってくれるそうです」

(カインのみにスポットライトが当てられ,FFVIの「ん?2」が流れ)

カイン
「あれ?"私たち"って・・・ベアトリクスもひょっとして,『選ばれた者』?ひょっとして,
彼女もトランス出来たりするとか?・・・ゴクッ」

(「ん?2」終了,ここで強制『ATE』"とある廃墟にて"発生)

「これが召喚壁ってヤツか.星々の中心に位置する『クリスタルから生まれクリスタルを守る高エネルギー体でありクリスタルに蓄積された記憶が具現化した存在が召喚獣』・・・.俺には何の事かさっぱりだが,そうか,『記憶』・・・.絶対に失わせやしないさ」

(この台詞を言っている人物は,召喚壁に遮られ見えなくなっている)


―黒魔道士の村,墓場にて

カイン
「号って,何か・・・」

黒魔道士288号
「ぼくらは兵器として作られた命・・・.いや命ですらないのかも

しれない.でもね,そういうぼくらが
自我に目覚め,自分たちの運命を知ることで,生きるっていう意味が分かりかけた・・・.だから,チョコボを育てたり,絵を描いたり,音楽を聴いてみたり,店を経営してみたり・・・色々なことをし始めたんだ.もしかしたら,ぼくらは残り僅かな命を逆算して生きているんだろう」

カイン
「逆算,ですか」

黒魔道士288号
「そう・・・それはぼくらだけに限らず,きみ達にも言えることなんじゃないかな?
あ,そうそう,今宿屋で素敵な音楽が流れているから行って見るといいよ」

第六幕【運命を見つめればこそ】



―黒魔道士村,宿屋にて

カイン
「あっ,ベアトリクス・・・こんな所に」

ベアトリクス
「彼らの"運命"と,私達の使命が分かったでしょう?」

カイン
「はい.それと・・・」

ベアトリクス
「ええ.とても綺麗な音楽ですね」

(宿屋にて,FFIIIの「ドーガとウネの館」が流れている)

黒魔道士123号
「ボクが最初にこの"おんがく"をきいたときに,だれかの声が聞こえたんだ」

ベアトリクス
「・・・声,ですか?」

黒魔道士123号
「えっと・・・このどうぐを持っていたら,とつぜん聞こえたんだ」

(カイン,興味深そうに見てから)

カイン
「見せて見せて!」

モグタロー
「ちょっと!その前におれに説明させてくれ!」


『ドーガの魔導具』・・・

[人が魔道を求むるは,その生きるがためなり.
人が夢をうみ出すは,その生きたがためなり]


『ウネの夢幻鏡』・・・

[体が死んでしまっても,魂は滅びやしないよ・・・]


モグタロー
「じゃぁなっ!」

カイン
「あのモーグリは一体・・・」

ベアトリクス
「二つとも,とても意味深な言葉・・・」

(ベアトリクスの発言に反応して)

「そこのお二人さん」

ベアトリクス
「?!」

黒魔道士123号
「あ・・・あの時の声だ・・・」

「・・・わしらは『チョコボの桃源郷』から呼びかけておる」

「そうさ,ここは隠者として暮らすにはもってこいだねぇ,ドーガ・・・」

ドーガ
「全くだ,ウネよ・・・.それはそうと,今そなたらの元へ一人の戦士をつかわしたのだ」

ウネ
「正直,いちゃついていた所に呼びかけたのはまずかったのだろうけど,世界の危機だからねぇ,
しょうがないさ」

ドーガ
「そしてカインよ,そなたの決意は固まっておるようじゃな?」

カイン
「はい.僕・・・いえ,私は試練の山へ赴き父を超える竜騎士になるよう技を磨きたくと思います」

ドーガ
「まずはデザートエンプレスへ向かえ・・・そこから試練の山へ迎えるはずだ」

カイン
「はい」

ウネ
「気をつけて行くんだよ・・・.あとこれを渡しておくよ.きっとあんたたちの旅路の助けになる」

(「ドーガとウネの館」から流れている蓄音機から発せられる音から,カインの手元に竪琴が現われる)

カイン
「こ,これは・・・」

ウネ
「それは"ノアのリュート"・・・大事に持っていくんだよ」

カイン
「はい.では・・・皆さん,私はこれより修行しに行って参ります」

ベアトリクス
「どうか,ご無事で」





ベアトリクス
「私もここを発たなければ・・・」

黒魔道士288号
「彼の"逆算"に触発されのかい?」

ベアトリクス
「それもありますが,一度会わねばならない方がいらっしゃるのです」

黒魔道士288号
「それは・・・きみの大事なひと?」

ベアトリクス
「いっいえ!そうではありません!私はリンドブルムに行くのですよ―」

(ここで幕が閉じ,ATE"4本腕の男の憂鬱"と"振りカエルとヤツがいる"が発生,来場客に多数決で選ばせる)


"4本腕の男の憂鬱"

―バイル島にて

4本腕の男
「ふゥ,やっと3匹撃破したぜ・・・.しかし何だコイツら?可愛い顔して猛攻をしかけてきて・・・
オレもう泣きそうだよ・・・」

「なーに言ってんだよ!」

4本腕の男
「んー? もしかして噂の泥棒か?」

「ど・ろ・ぼ・う? 俺を呼ぶならトレジャーハンターと言ってくれ! とにかくここから脱出するぜ!」

4本腕の男
「ダメだ! オレはここでレベルを上げに・・・」

「こいつら・・・ヤーンはウイルスパウダーを使ってくる!『ウイルス状態になると経験値が入らない』んだぞ!」

(そう言いあっている内に)

「はないき」

4本腕の男&トレジャーハンター
「うおァ~~~!」


"振りカエルと奴がいる"

―試練の山にて

カイン
「この橋を渡れば僕は本当の竜騎士の称号を得られるはず・・・」

「誰だ,私に話しかけてくるのは・・・」

(カイン,後ろを振り返るが誰もいない,前を向きなおし前身)

カイン
「父さん,母さん,見ていてくれ・・・」

「我は大地の力を食らう者なり・・・」

(同上)

カイン
「修行が終わったら,必ず皆の下へ・・・」

「貴様の様な下等な生命がテラへ向かって一体何とする?」

(カイン,フェイントをかけ,声の正体をみやぶる)

カイン
「お前は一体何者だ」

「我が名はリッチ・・・ガーランド様の配下の土のカオ・・・」

(リッチが言い切らないうちに,カインは橋から突き落として転落死させる)

カイン
「フッ・・・哀れな男の使い魔のあっけない死か.笑えるな」


第七幕【お前が行くからさ】



―カナーンにて

(ひと組の男女が村の入り口で何やら言い合っている.女,取り乱したように)

「デッシュ!あなたはまたどこかへ行ってしまうの?!」

デッシュ
「ああ・・・どうやらもう一つの使命が俺をそうさせるらしい.サリーナ,悪りぃ・・・
また独りにさせてしまうな・・・.だけど俺は必ず戻ってくるからな!それまで・・・」

(デッシュ,サリーナの方を一度振り返り)

デッシュ
「泣かないでくれよ・・・」

サリーナ「デッシュ!」

(デッシュ,サリーナに背中を見せたままカナーンを走り去る)


―ブレアサパス平野にあるク族の沼にて

(二人の男が沼を歩いている)

「なぁロック,俺たちが向かわなきゃいけない場所ってどこなんだ?」

ロック
「あぁ,パンデモニウム城の事だろ?仲間に聞いた話だが,
『輝く島』ってところから行けるらしいぜ.でもその輝く島へ行く手段が
分かってないんだよ,ギルガメッシュ.何ならあのモーグリに訊いてみるか?」

ギルガメッシュ
「それが一番いいな!困った時は誰かに訊くのが一番だぜ.
もう次元の狭間をうろつくのはコリゴリだよ・・・」

ロック
「え?今なんて・・・」

ギルガメッシュ
「いーや,何でもない!そ,それよりモーグリモーグリ!」

ロック
「ああ,そうだな・・・」

(ロック,近くにいるモーグリに訊く)

ロック
「なぁ,俺たちの行き先を教えて欲しい」

モグタロー
「そんなに人を頼りにしてちゃ,一流の冒険者にはなれないぞ!」

ロック
「まぁそう言わずにさ・・・これならどうだ?」

(ロック,モグタローに何かを差し出す)

モグタロー
「そ・・・それはクポの実!!!くっ・・・食べ物で釣るとは・・・.
仕方ない,飛空挺の操縦方法だけ教えてやる!」

ロック&ギルガメッシュ
「何でそれなんだよ・・・」

(うなだれる二人の後ろから青い服の女が現われ)

「飛空挺操縦大事!」

ロック
「うわっ!何だよいきなり!」

ギルガメッシュ
「隻眼の女・・・.お前なのか,百人斬りのベアトリクスというのは・・・」

「否!ベアトリクス既飛空挺乗挺」

ロック
「飛空挺にベアトリクスが?!それなら急ぐぞ!」

ギルガメッシュ
「お,おい,ロック!」

(降下し着陸したヒルダガルデ3号に乗り込む3人)


―ヒルダガルデ3号ブリッジにて

ベアトリクス
「これで5人集まったわけですね・・・」

ヒルダ
「そうですね・・・.ギルガメッシュ,ロック,風神,そして私とベアトリクス」

ギルガメッシュ
「なーんか楽しくなってきたなぁ?」

ベアトリクス
「楽しいのは結構ですが,私たちは残る3人の仲間を捜し,そして『4つの祠』へ
行かなければなりません」

ロック
「残る3人の仲間って誰のことなんだ?」

ヒルダ
「多分,イプセンの古城で4枚の鏡を手に入れてくれているのだと思います」

ギルガメッシュ
「なーるほど!じゃあ行こうぜ,イプセンの古城へ!」

ベアトリクス
「西のハーデリス盆地へ!」

エリン
「はいっ!」

(ヒルダガルデ3号,イプセンの古城へ)


アリア【月夜の名残~絆を求めて】



バクー
「続々とガイアにやって来る『選ばれし者たち』.彼らの共通する目的とは,
パンデモニウムに篭城したガーランドからコーネリアの王女セーラを救い出す事だった.
今,残りの3人の仲間たちを探すために乗組員の心は結束する―――


(黒魔道士の村で数人の黒魔道士たちが,
「止まった」仲間のことを偲びながら,FFVIの「墓碑銘」に合わせて歌う)

光を失くした瞳 (みつめて) ♪
私あなたの手をとり (包んで) ♪
空を見上げれば (蘇る想い) ♪
友よ安らかに眠れ (静かに) ♪
そばにいる ♪

(ここで背景のみが変わり,飛空挺ヒルダガルデ3号の「デッキ」に.ここで,
二人の黒魔道士が衣を解き,1番をベアトリクス,2番をヒルダがFFVIの「仲間を求めて」に
合わせて歌う.黒魔道士とは,実は乗組員のことだったのだ)

1.
限りあるこの命 ♪
今あなたのもとへ行く ♪
永久(とわ)に続くこの絆 ♪
誰にも断ち切れはしない ♪

(*)
耳に聞こゆるは (仲間たちの声) ♪
今私は飛び立つ ♪
絶望の丘から光の中へ ♪

2.
孤独という名の呪い ♪
この私が解き放つわ ♪
仲間という名の祈り ♪
共にいられる幸せ ♪

((*)をもう一度)

(ヒルダガルデ3号,ハーデリス盆地へ降下する)








最終更新:2011年05月01日 11:32