雪は,ここのところ三日ばかり続いてる.きっと明日の早朝には,また雪かきで忙しくなるだ
ろう.今日なんて吹雪が吹いている.お父さん,早く帰って来るといいなあ.雪上船の整備と
か言っていたけど,大丈夫かな.途中で魔物に襲われないといいんだけど・・・.だけど,お
父さんなら大丈夫よね,きっと.なんていったって腕っ節が効くもの.大丈夫,大丈夫,大丈
夫・・・.ところで今度の整備が終わったら私を雪上船に乗せてくれるってお父さんが言って
たっけ.雪上船・・・早く乗ってみたいな.

… … …

今日は,珍しく晴れだった.太陽の光が雪で反射して,いつも俯きがちな私は,とても眩しい
と感じた.今日の日はお仕事がお休みだったので,早朝からじゃなくって,もう少し遅めの時
刻に雪かきをした.お父さんは,相変わらず雪上船の整備をしていた.けれど,整備が終わっ
て,私が雪かきをしてた場所を見ると,お父さんは私の頭を撫でてくれて,

「偉いぞ,ネリー」

と言ってくれた・・・.そこで私が,

「雪上船に乗せて」

と言ったら,お父さんは,

「よしいいぞ.雪かきのご褒美だ」

と言って,私を雪上船に乗せてくれた.

雪原を駆ける雪上船に初めて乗って,私はとても気持ち良かった.雪上船の中の暖房で温まっ
たほっぺたに,サラサラとした粉雪が当たると,思わず「ひゃっ」と言ってしまうくらい,雪
上船の中と外の温度差があったんだと思う.

… … …

今日も晴れだった・・・午前中だけだけど.午後から天気が悪くなって,珍しく雨が降り始め
た.これじゃあ溶けかけた雪が凍ってしまうじゃない!と思って,私はせめて,このサラマン
ドの街道だけは,と考えて,街道の石畳に残った雪を全部取り払おうとした.

「ヨーゼフのところの娘さん!あんただけではさすがに無理じゃろう.わしも手を貸すぞい」
「ネリーちゃん,私も手伝うわ!」

と,街の皆が街道の雪を取り除こうと一生懸命になって働いた.一方,私のお父さんはという
と,反乱軍のアジトに行ってて,今日は留守だった.皆で雨の中,雪かきが終わった後,
街の皆は,

「ネリーちゃんのおかげで街道は凍らずに済んだわね」
「これをヨーゼフのやつが見たら驚くぞお」

と言ってくれた.でも,雨の中での作業だったから皆びしょ濡れになっていた.私は,せめて
もの,ということで,家の裏から薪を持って来て,どうぞこれを暖炉に使って下さい,と言っ
て渡した.今日はとても疲れた一日だった.お父さん,明日には帰って来るかなあ.

… … …

今日は,雪が降るのか降らないのかはっきりしてよっ!ていうくらい微妙な天気,曇りだった.
昨日の雪かきで,街の街道は大丈夫だったけれど,他の場所,例えば家の裏だったりすると,
雨のせいで雪がびちゃびちゃになっていた.サラサラとした雪が積もった街で有名なこのサラ
マンドも,雨のせいで,別の意味で有名になりそう.あーっ,お父さん早く帰って来ないかな
あ.そうしたら,お父さんの大好きなお紅茶を淹れてあげるのに.余ったお紅茶がだんだん溜
まってゆく・・・.

… … …

今日,お父さんが帰って来た!私が,おかえりなさい!って言ったら,お父さんは,

「なんだか,おまえの母に似てきたな・・・」

って言ってた.どういう意味なんだろう?

そして,サラマンドの綺麗な街道をを見て,お父さんはびっくりして,私にこう言った.

「ネリー.よくやってくれたね.ご褒美は何がいいかな?」

そこで私は,ジャイアントビーバーを見に行きたい!って言った.そうしたらお父さん,びっ
くりした様子で,

「ネリー?!おまえ,いつの間に雪原の洞窟に
ジャイアントビーバーがいるってことを知ったんだ?」

って.さぁて,いつでしょう.


天国にいるお母さん!お父さんは,私に任せて,いつまでも私たちを見守っててね・・・!

… … …

(ネリーの日記より)






最終更新:2012年02月19日 15:25