【約束・2】

傀「……」





雀ゴロA(ん?)

雀ゴロB(客か?)


透華(あ、あの方は……!)

智紀(……確か、傀さん)

純(こんな時にまた会うとはな……)

一(こ、これならもしかするともしかするかも……)



傀「打てますか?」

店主「え……と、その……」


雀ゴロA「1000点二千円、ウマはワンスリーでビンタは10万」

雀ゴロB「見ての通り手積み卓だ。それでよかったら入ってもいいぜ」




傀「……それで構いません」




透華「ちょ、ちょっと待って下さいまし!」

店主「今の半荘の僕のマイナス分はどうすれば……」

雀ゴロA「あぁ? そんなもんそっちが背負うに決まってんだろ」

透華「し、しかしそれでは―――」


一「――透華」


透華「っ……」

一「マスターさんの分と透華の分は合計してボクが背負います。それで良いですね?」

雀ゴロA「よし。じゃあ二回戦開始だ」




東、雀ゴロA (+62万2千円)
南、国広一 (▲95万2千円)
西、傀
北、雀ゴロB (+33万円)



東一局、ドラは五萬。


雀ゴロA「……」タンッ

一「……」タンッ

傀「……」タンッ

雀ゴロB「……」タンッ



透華(いくらなんでも二人分の負けを背負うのは危険ですわ……)

店主(面目ないな。高校生の女の子に任せるしかないなんて)

純(それほど自信があるようには見えないぜ。国広くんよ)

智紀(傀さんが紛れを起こすのに期待してるとか……?)



七巡目


一(……さて、今回はどんなイカサマを仕掛けてくるのかな)チャッ

1233六六六七1p2p8p8p9p   2


一(できるだけこの人たちの手元から目を離さないようにしないと……)


――打、9p



一(……それに素点も稼がないとね。勝負は五回戦までだし)



チンピラ【 六萬暗刻の一向聴。七萬が浮き牌です 】


雀ゴロA(あいよ)ニヤリ

雀ゴロB(……了解)ニヤリ




傀「……」



三巡後


一(…こっちが先に来ちゃうかぁ)

12233六六六七2p4p8p8p   4


一(手変わりもあるし取れる聴牌は取っておこう)


――打、七萬




雀ゴロB「……ロン。5200だ」

4p赤5p5p5p6p二二二六八4赤56




一(っ……! 直前に四萬切りで三色を捨ててる……!?)



チンピラ「……」ニヤニヤ

一(そ、そうだったよ!通しも使われてるんだからこっちの手は筒抜けなんだ……!!)




雀ゴロA・・・25000
一・・・19800 (-5200)
傀・・・25000
雀ゴロB・・・30200 (+5200)



一(同卓してる二人のイカサマに警戒しながら壁役の人に通しをさせないように打つ……か)


一(……難しいけどやるしかない!)



東二局。


ガラガラガラ…


一(洗牌してる間も油断はできない。積み込みだってしてくるだろうし……)


ガラガラガラ…



雀ゴロA「……」サッ



一(あ…! いま字牌を固めて持って行った!上山に積んでるからツバメ返しとかじゃなさそうだけど……?)


コロコロッ…


一「右6です」

傀「10……合わせて16ですね」


一(よし。これでさっきの字牌は全員の手牌に四散する)



ドラは3p。


一(とりあえず一つ目の狙いは阻めたかな?)



雀ゴロB(―――とか思ってんじゃねぇか?)


雀ゴロA(バカが。わざと分かりやすく字牌を積み込んだフリをしてやったんだよ)


雀ゴロB(そっちは囮……本命はこっちだよ!)ニヤッ



上山:■三■二■一■四■七■五■六■四■
下山:■■■■■■■■■■■■■■■■■


雀ゴロB(このまま進めば萬子の波だ。見てやがれ、二回戦もいただきだ)



八巡目


一(よし、ドラ暗刻!)チャッ…

3p3p三五67七七5p6p234   3p


一(少しでも通しをしにくいようにバラバラに理牌してるけど……これで何とか持ちこたえたいな)


――打、三萬



雀ゴロB(……)


――打、赤5索



西北1p1p白3
6赤5



一(赤切り……? 張ったのかな?)



次巡


一(……567の三色は無理だね。とりあえず萬子を解そう)

3p3p3p五67七七5p6p234   6p


――打、五萬




雀ゴロB「ロンだ。満貫」

中中中九九九2p2p888四六




一(!)

透華(っ……!)

純(こりゃやべぇ流れだな)

智紀(はじめ……)


西北1p1p白3
6赤5



一(赤入りの両面塔子を嫌ってわざわざ嵌張待ち……!?)


一(今局は後ろから牌が見えないように隠して打ってたのに……!?)


一(ボクから萬子が出ると分かってても都合よく萬子待ちにできるとは限らないはず)



一(河の牌はすり替えられてない。となると積み込み……片方の字牌積みは囮で片方の元禄積みが本命だった……?)




雀ゴロA・・・25000
一・・・11800 (-8000)
傀・・・25000
雀ゴロB・・・38200 (+8000)



雀ゴロB「そんじゃ次行くぜ」



ガラガラガラ…



一(やられた……けど、混一に育つ前に流せたって考えれば……!!)




傀「……」



東三局、ドラは4索。


傀「……」チャッ…

一五六1p1p2p3p268東東南   7p


――打、一萬



智紀(悪くはない……)

純(……あの黒服はW東が急所だな)



チンピラ【 親はW東対子の三向聴。ドラ無しです 】


雀ゴロA(なら東は死んでも出さねぇぜ?)

雀ゴロB(抱えて流局……だな)





傀「……」ニヤリ


――――――――――――


―――――――――


――――――


―――


雀ゴロA「ノーテン」

雀ゴロB「こっちもノーテンっと」

一「……聴牌」


傀「……」パタ…ン

五五六1p2p3p7p8p9p赤56東東



店主(全く鳴けずに流局か……)




雀ゴロA・・・24000 (-1000)
一・・・14800 (+3000)
傀・・・24000 (-1000)
雀ゴロB・・・37200 (-1000)

流れ一本場



一(傀さんは今まで振らずアガらず鳴かず……。動く気配が殆どないよ)


一(……やっぱり『やる』しかないのかな……)チラッ



店主(くっ……頑張ってくれ……!)

透華「あぁもう東ラスですわよ!」

純「お、落ち着け透華!飴でも舐めるか!?」

智紀「……純こそ落ち着いて」



一(みんな……)

一(ボクは自分自身の面子より、みんなの居場所が……みんなの笑顔が消える方が嫌なんだ)


一(だから―――ごめんね、透華)


一(約束…守れないや)



ガラガラガラ…



東四局一本場、ドラは8索。


一(……)

3p6p二三四14699東西白



透華(一面子一雀頭……あまりパッとしない配牌ですわね)

純(黒服はこの前打った時と同じで全然動かねぇな)

智紀(それより、一の顔つきが変わったような……)



九巡目


一「……リーチ」

2p3p5p6p7p二三四23499


 1西九白9p東
 一8p6(リーチ)



雀ゴロA(懲りねぇな)

雀ゴロB(後ろから手牌が丸見えだぜ?)



チンピラ【 ……1-4p待ち、高目234三色です 】


雀ゴロA(これで俺達が振り込むことは無くなった)

雀ゴロB(あとはツモられねぇようにすり替えりゃこっちのもんだ)



傀「……」タンッ

雀ゴロB「……」トンッ



店主(……確か傀って言ったかな? 黒服兄さんは即オリか)



雀ゴロA(聴牌…だが)チャッ…

三四赤五七七八八九1p1p3p4p4p   九



雀ゴロA(本来ならここで4pでド高目放銃だったか。残念だったな)

雀ゴロA(3p切りで同テン。しかもBの奴に差し込ませりゃ俺が頭ハネできる……貰った!)


――タンッ!



  3p




一「……ロン」


雀ゴロA(――何っ!?)



パタリ…


2p4p5p6p7p二三四23499




雀ゴロA(か、嵌3pだと……!?)

雀ゴロB(1-4p待ちじゃねぇのか!?)



一「一発がついて満貫です」




雀ゴロA・・・15700 (-8300)
一・・・23100 (+8300)
傀・・・24000
雀ゴロB・・・37200



透華(は、一がやりましたわ!)

純(あぁ!……でも確かに1-4p待ちだったのになんで……?)

智紀(……違和感。まさか……)



雀ゴロA(このガキ……握り込んでやがったな!?)


2p3p4p5p6p7p二三四23499


雀ゴロB(あいつは恐らく既にアガってるこの形で14枚目を隠し持ってやがったんだ)


雀ゴロA(フリテンと役さえ気をつけりゃどれでもアガれる…か)


雀ゴロB(油断してたぜ。このガキ、手付きがトーシロじゃねぇ)


――――――――――――――――――――――――――


二回戦終了

雀ゴロA・・・19700 → ▲58万円(計+4万2千円)
一・・・25700 → +32万8千円(計▲62万4千円)
傀・・・23000 → ▲33万4千円(計▲33万4千円)
雀ゴロB・・・31600 → +58万6千円(計+91万6千円)



雀ゴロA(なんとかBはトップを取れたが……)

雀ゴロB(まさかAの奴、こんな所で躓くとは。まぁまだまだ俺の独走状態だがな)


一(クビが残ってやっと二着、でも一着とはまだ150万円も差がある。あと三回戦で逆転できるのか……?)



純(さっきから妙だな……)

智紀(変なアガリばかり。無かった牌が急に出てきたり、あった牌が無くなったりする)

透華(……一、まさかあなた……)


店主(浮きの二着取れたのは大きいけど、150万円の差はもっと大きい……)



ガラガラガラ…



雀ゴロA「じゃあ次行くぞ」

雀ゴロB「三回戦だな――」





傀「……ビンタを上げませんか?」


一(え……?)





雀ゴロA「久し振りに喋ったと思ったらビンタupか? 兄ちゃん」

雀ゴロB「俺らはいいぜ? そっちの嬢ちゃん達の懐具合はどうなんだ?」

一「……いいかな? 透華」

透華「か、構いませんわ!」

純「そ、そうだ!気にせずやっちまえ!」

智紀「……頑張って」





傀「……では20ビンで」ニヤリ…


一(傀さんが笑った! まさか次の半荘から動くの……!?)





三回戦開始

東、雀ゴロA (計+4万2千円)
南、一 (計▲62万4千円)
西、傀 (計▲33万4千円)
北、雀ゴロB (計+91万6千円)
最終更新:2013年10月18日 17:03