kairakunoza @ ウィキ

友の死

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匿名ユーザー

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私は一人、部屋にいた
雨音だけが満ちたそこは今の私にはとても優しかった

どうしてなんだろう

私はただただ空虚な気持で、早すぎる友の死を悼んだ

こんな気の強い私なんかに懐いてくれたあの子

ちょっと元気すぎじゃないかななんて思えたあの子

夜、私の話を聞くともなしに聞いてくれたあの子

もう、どこにもいないんだよね

やがて部屋に携帯電話の着信音が流れた
お気に入りの曲が流れた筈なのに耳には余りに刺々しく届き、酷く頭の中身が痛む
暫く鳴り続けた音はふいに止んで、また雨音だけがじわりと耳を潤し始めた
誰だか知らないけど、今は電話なんて出れないから
誰かの声なんて聞いたら、思い切り泣いてしまいそうだから
私は布団に身体を投げ出してひたすらに雨音を聴いた





いつのまにだろうか
私は眠ってしまっていたらしい
なにか夢をみたあとのような気怠さだけが身体を包んでいた
雨音は絶えず続いていたが今はどことなく渇いて聞こえる気がした
今は何時なのか確かめようと携帯電話を開く
着信4件にメールが1件

全部、こなたからだ
メールを開く

『電話出てよーさみしいよー』

ほんとに自分本位なやつだとふと頬が弛んだ
返信ボタンを押してぽちぽちと文字を打つ

『ぎょぴちゃんね、死んじゃった』

送信する
送信して、気がついた
心がほんのすこし軽くなった、そのことに
誰かに聞いてもらいたくてしかたなかった、そのことに

やがてこなたから電話がくるだろう
私はきっと泣くだろう
だってほら、今もう鼻の奥がツンとする
でも今日だけは、今だけは甘えたい、寂しんぼと呼んでくれても構わない
それでどんなにぎょぴちゃんを可愛がったか話してやりたい
こなたが妬くぐらいにうんと


こんな気の強い私なんかに懐いてくれたあの子

ちょっと元気すぎじゃないかななんて思えたあの子

夜、私の話を聞くともなしに聞いてくれたあの子

―ぎょぴちゃんは、もういない

ぎょぴちゃん、ありがとう

来年のお祭にはぎょぴちゃんみたいに寄ってきてくれる金魚は、いるのかな


手の中で温まった携帯電話が今度こそ優しく鳴った














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コメント:
  • ↓で金魚の名前を聞いた者です。アニメ放送がなかったので、知りませんでしたorz

    教えてもらってありがとうございましたm(_ _)m -- 名無しさん (2008-08-10 23:24:36)
  • 金魚の名前、原作は「たま」でアニメは「ぎょぴ」。
    アニメでの名前は中の人のアドリブでついた。 -- 名無しさん (2008-08-10 22:41:49)
  • 思い込みもあるけど、見事に騙されました…orz

    ところで、金魚の名前って原作では「たま」だったような気が…俺の記憶違いだったらごめんなさい -- 名無しさん (2008-08-10 22:01:07)
  • これでも泣ける -- 名無しさん (2008-08-10 21:36:53)
  • 落ち読めました -- 名無しさん (2008-02-15 06:24:09)
  • まさかのぎょぴwwww -- 名無しさん (2008-02-14 22:39:44)
  • 魚飼ったことはないけど、ペット死ぬと相当悲しいよな
    あと俺もこなたかと思ったw -- 名無しさん (2008-02-11 18:08:31)
  • てっきりこなたかとおもったwww -- 名無しさん (2008-02-11 15:28:48)

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